JP3584867B2 - 内燃機関の排気ガス浄化装置及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用担体の保持材 - Google Patents
内燃機関の排気ガス浄化装置及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用担体の保持材 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化装置及びその製造方法、並びに該方法の実施に好適な排気ガス浄化用担体の保持材に関する。より詳細には、有機物質を用いて成形された保持材を用いて担体を容器内部に保持する場合に、該有機物質の焼失過程における一時的な保持力の不足を補うための担体保持技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の排出ガス規制に基づく要請から、内燃機関の排気ガス浄化装置を構成する担体に対して、早期活性化などの実現のため、ごく薄い壁構造とすることが必要とされている。そして、このような薄壁担体を容器内部に保持するための保持材として、アルミナ繊維を母材とし、これをポリエチレンなどの有機物質でコーティングして構成された、いわゆる無膨張性保持材が提案されている。
【0003】
このものは、一般的には、シート状ないしマット状をなしており、担体外周に巻き付けられた状態で円筒状の容器内部に挿入される。そして、該容器の入口部と出口部とがスピニング加工などにより縮径されて、上記排気ガス浄化装置が製品化される。従来より、このような製造方法として、特開2000−161051号公報に開示されるものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の保持材には、次のような問題がある。
すなわち、このものでは、担体に保持材を巻き付けた状態でこれらを容器内部に設置する際に、保持材を圧縮した状態に維持する有機物質が保持材表面を覆っているため、容器の端部をスピニング加工によって縮径するときに発生する熱で、有機物質が熱分解される。そして、溶けた有機物質が完全に焼失して面圧が回復するまでの間に、保持材の面圧が担体を保持するために必要な面圧以下にまで一時的に低下し、加工時の振動などによって担体設置位置にズレが生じ、担体自体の損壊にも繋がりかねない。
【0005】
これと同様な問題は、製品化後においても生じ得る。スピニング加工時に発生した熱によって熱分解されなかった有機物質(特に、担体との接触面側)は、新車時の初期運転時において排気ガスからの受熱によって熱分解され、同様な面圧低下を生じるからである。
このような実状に鑑み、本発明は、保持材に含まれる有機物質の焼失過程における面圧低下を簡易な方法によって補うことで、要求面圧以上の面圧を常に得ることができるようにし、以上のような担体設置位置のズレを防止することができる内燃機関の排気ガス浄化装置及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用担体の保持材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法は、排気ガス浄化用担体を、有機物質を含む保持材をその外周に配して担体容器の内部に位置させ、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工する内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法であって、前記縮径加工は、前記保持材の少なくとも一部に、前記縮径加工時に発生する熱によって膨張する膨張材を付して行うことを特徴とする(請求項1)。
【0007】
また、本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法は、排気ガス浄化用担体の外面に熱分解によって焼失する有機物質を含む無膨張性の保持材を巻回して担体容器に収納し、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工する内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法であって、前記保持材が前記縮径加工時の熱によって一時的に膨張する膨張材を含んで構成されることを特徴とする(請求項2)。
【0008】
前記保持材は、無膨張性のアルミナ繊維を主体として構成されるマットであるのが好ましい(請求項3)。
前記膨張材は、バーミキュライト又はグラファイトであるのが好ましい(請求項4)。
前記膨張材は、前記縮径加工の実施部近傍に偏在させるのが好ましい(請求項5)
前記膨張材は、前記保持材の前記容器に面する側に付するのが好ましい(請求項6)。
【0009】
本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法は、前記保持材の前記担体に面する側にも膨張材を付するのが好ましい(請求項7)。
本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置は、排気ガス浄化用担体の外面に熱分解によって焼失する有機物質を含む無膨張性の保持材を巻回して担体容器に収納し、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工した内燃機関の排気ガス浄化装置であって、前記保持材を前記縮径加工時の熱によって一時的に膨張する膨張材を含んで構成したことを特徴とする(請求項8)。
【0010】
前記保持材は、無膨張性のアルミナ繊維を主体として構成されるマットであるのが好ましい(請求項9)。
前記膨張材は、バーミキュライト又はグラファイトであるのが好ましい(請求項10)。
前記膨張材は、前記縮径加工の実施部近傍に偏在させるのが好ましい(請求項11)。
【0011】
前記膨張材は、前記担体容器に面する側に偏在させるのが好ましい(請求項12)。
本発明に係る排気ガス浄化用担体の保持材は、排気ガス浄化用担体に巻回されて該担体を担体容器内に保持する無膨張性の保持材であって、熱分解によって焼失する有機物質を含み、かつ前記担体とともに前記担体容器に収納された状態で前記担体容器の縮径加工が行われるときの熱によって一時的に膨張する膨張材を含むことを特徴とする(請求項13)。
【0012】
前記膨張材は、前記縮径加工の実施部近傍となる部分に偏在するのが好ましい(請求項14)
前記膨張材を前記担体容器との接触面を形成する側に含むのが好ましい(請求項15)。
本発明に係る排気ガス浄化用担体の保持材は、前記担体との接触面を形成する側にも膨張材を含むのが好ましい(請求項16)。
【0013】
【発明の効果】
請求項1,2,8,13記載の発明によれば、有機物質を含む保持材の少なくとも一部に縮径加工時に発生する熱で膨張する膨張材を付し又は含有させたことで、次の効果を得ることができる。
縮径加工時の熱が保持材に伝わると、この熱によって保持材に含まれる有機物質が熱分解される。そして、このときに保持材の面圧が低下し、保持材自体による保持力は、一時的に要求値以下に低下する。ここで、本発明によって保持材の少なくとも一部に膨張材を付し又は含有させておくことにより、面圧の不足を補い、必要な保持力を確保することができる。
【0014】
また、縮径加工時の熱を利用して膨張材を膨張させることで、特別な熱源を必要とせずに、加工と同時に、すなわち保持材の面圧低下に合わせて膨張材を膨張させることができる。
請求項3,9記載の発明によれば、アルミナ繊維を主体として構成されるマットを用いることで、無膨張性の保持材を容易に具現化することができる。
【0015】
請求項4,10記載の発明によれば、膨張材としてバーミキュライト又はグラファイトを用いることで、保持材に含まれる有機物質が焼失するまでの間に生じる面圧の一時的な不足を補うことができるばかりでなく、時間の経過とともにその機能を失わせ、保持材本来の保持力とすることができる。
請求項5,11,14記載の発明によれば、縮径加工時における保持材の面圧の不足を、少ない量の膨張材で補うことができる。
【0016】
請求項6,12,15記載の発明によれば、保持材の面圧の不足を補うという膨張材の機能を、顕著にかつ簡単に得ることができる。
請求項7,16記載の発明によれば、車両実装後に排気ガスからの受熱によって保持材と担体との間の有機物質が溶け、その個所の面圧が低下したとしても、これを補い、担体設置位置のズレを防ぐことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の構造について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気ガス浄化装置1の構成の概略を示す断面図である。
【0018】
本装置1が備える担体11は、外形がほぼ円筒状であり、その内部には、特にディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(以下「PM」という。)をろ過捕集することのできる程度に細かい多孔質のセラミック製壁部13を介して、直進貫通空間が平行並列に多数形成されている。
そして、それぞれの相隣合う貫通空間は、目封部材15によって装置1の入口側か又は出口側かで交互に、かつ完全に又はPMに対して実質的に閉塞されており、入口側に向けて開口する入口通路17と、出口側に向けて開口する出口通路19とが、相隣り合って交互に形成されている。
【0019】
また、担体壁部13には、例えばHC,COなどの未燃焼成分を浄化するための酸化触媒などを触媒成分とする触媒層(図示せず)が付されている。
各燃焼室から排出された排気ガスは、排気マニホールドにおいて1つの流路に集められ、排気ガス浄化装置1に導かれる。そして、これに流入した排気ガスが担体11を通過するときに、壁部13のフィルタ機能によってPMがろ過除去され、また、壁部13に付された触媒層が機能してガス状汚染成分が浄化される。結果として、排気ガス浄化装置1に流入した排気ガスからは、PM及びガス状汚染成分の大部分が除去ないし浄化される。
【0020】
ここで、ガソリンエンジンの場合には、排気ガス浄化装置1として、外形がほぼ円筒状で、内部に複数のセル通路が形成されたセラミック製担体11に、三元触媒成分を含む触媒層を形成(コーティング)したものを適用することができる。そして、好ましくは、本発明の一実施形態として、担体11の壁厚tを従来のものよりも薄肉化し、例えば、t=2[mil](1[mil]=25.4[μm])として、担体11のヒートマスを低減したものを用いることができる。
【0021】
このように担体11の壁厚tを薄肉化することで、冷機時における触媒の昇温特性を向上することが可能である。その反面、担体11の強度が低下するため、容器41に収容した場合に、保持材31を介して担体11に作用する保持力を適切に管理することが求められる。そこで、担体11を、温度によらずほぼ一定の保持力を発揮することができる無膨張性の保持材31を用いて容器41内に保持する。
【0022】
無膨張性の保持材31としては、Al2O3やSiO2などの耐熱性に優れかつ熱膨張性の低い繊維(ここでは、アルミナ繊維を使用している。)を主な構成要素とするマットが用いられ、担体11の外周面に巻き付けられた状態で容器41内に収められる。これにより、保持材31外面と容器41内面との間及び保持材31内面と担体11外面との間に、それぞれ保持力(摩擦力)が働いて、担体11は、所定の設置位置に保持される。
【0023】
ここで、保持材31には熱分解によって焼失し得る有機物質、例えばポリエチレンでコーティングが施されており、組み付け時において保持材31は圧縮状態を維持するようになっている。これにより、圧縮された状態の保持材31を担体11とともに容器41内に挿入することを可能とするが、保持材31の表面、特に容器41に面する側をこうした有機物質でコーティングすれば、コーティングされた面の表面粗さが小さくなり、容器41への挿入(圧入)の作業性を向上させることができる。そして、組み付け後において、保持材31の有機物質が焼失すると、保持材31は元の厚さに復元し、担体11と容器41との間に必要な保持力を働かせる。
【0024】
容器41は、ステンレス製の円筒状素材の両端部を所定の絞り率r(縮径前の容器外径をφ1、縮径後の容器外径をφ2とすれば、r=φ2/φ1)をもって縮径したものであり、本装置1の入口側と出口側とにおいて、ディフューザ部21a,21bを形成している。
このような構造の排気ガス浄化装置1は、図2のエンジンの排気系システム図に示すように、エンジンの排気通路100の集合部より下流側に介装される。
【0025】
次に、以上に説明した排気ガス浄化装置1の製造方法について、図3〜5を参照して説明する。
本製造方法において排気ガス浄化装置1は、(1)担体11を作成し、(2)担体11に保持材31を巻き付けた担体ユニットを容器(縮径後の容器41と区別するため、縮径前の円筒状素材を以下では「容器素材41’」という。)内部にセットし、(3)容器素材41’の両端部をスピニング加工により順次縮径して完成される。
【0026】
以下、本実施形態に係る内燃機関の排気ガス浄化装置1の製造方法について、上記項目(1)〜(3)毎に説明する。
(1)担体作成
まず、担体11を設ける。図3は、担体11の斜視図である。担体11は、貫通空間の断面が四角形に形成されたいわゆるモリノス担体であり、壁部13は、担体11としての熱容量を低くするため、ごく薄く形成する。
(2)担体ユニットセット
次に、担体11に保持材31を巻き付け、保持材付きの担体(担体ユニット)を容器素材41’の一側から挿入して、図4に示すように容器素材41’内部の所定位置に配置する。
【0027】
ここで、保持材31及び容器素材41’についてさらに説明する。
先に説明したように、保持材31は、アルミナ繊維を母材とし、これを熱分解によって焼失するような有機物質(例えば、ポリエチレン)でコーティングして該母材の圧縮状態を維持させ、所定厚さのシート状ないしマット状に成形したものである。
【0028】
上記有機物質のコーティングは、保持材31の母材に有機物質を含む溶液(バインダ溶液)を塗布することによる他に、バインダ溶液に母材を漬け込んだり、あるいは袋状の有機物質の薄膜で母材を真空パックすることによっても形成することができる。
そして、保持材31には、バーミキュライトやグラファイトなどの比較的低温で膨張させることのできる膨張性素材(膨張材)を、全体に渡って均一に含有させてある。
【0029】
容器素材41’は、シート状のステンレス材を円筒状に加工したものである。なお、まず初めにU字状の容器素材を設け、その内部に担体ユニットを配置した後、筒状に接合してもよい。
(3)スピニング加工
図5に示すように、スピニング加工のためのチャック機51に容器素材41’をチャックする。そして、ロール機61によって容器素材41’の入口部及び出口部を所定の絞り率rをもって順次縮径し、装置1のディフューザ部21a,21bを形成する。
【0030】
以上に説明した排気ガス浄化装置1の製造方法によれば、保持材31に含有させた膨張材の作用により、保持材31に含まれる有機物質が焼失するまでの間に、担体11と容器41との間に形成される保持力が一時的に要求値を下回ることを防止し、担体11が正確な設置位置に保持された排気ガス浄化装置1を提供することができる。次に、この効果を、図6及び7を参照して説明する。
【0031】
図6は、スピニング加工実施部S及びその近傍の断面の概略を示しており、スピニング加工によって発生する熱の伝わりを、矢印Hで表している。図7は、保持材31に含まれる有機物質の焼失過程における、保持材31の面圧の典型的な変化を、本発明による膨張材を含有させた場合(実線カーブ1)と、従来の膨張材を含まない場合(鎖線カーブ2)とで比較して表している。
【0032】
図6のように、スピニング加工によって発生した熱は、スピニング加工実施部Sから容器素材41’を介して保持材31に伝わり、これに含まれる有機物質を熱分解させる。
ここで、膨張材を含まない従来の場合には、溶けた有機物質が完全に焼失して母材自体による保持材31本来の保持力が得られるまでの焼失過程ΔTの間に、保持材31の面圧が初期値Poから低下し、担体11を所定の設置位置に保持するための要求面圧Prを一時的に維持することができなくなる。
【0033】
これに対して、本発明によって保持材31に膨張材を含有させた場合には、上記焼失過程ΔTにおいてこの膨張材が熱影響の及ぶ範囲内で膨張し、有機物質の熱分解に伴う面圧の低下が補われる。従って、有機物質が完全に焼失するまでの間に母材自体によって必要な保持力が得られないとしても、その不足が膨張材によって補われ、保持材31全体として常に必要な要求面圧Prを与え、担体11を所定の設置位置に保持することができる。
【0034】
なお、保持材31に含まれる膨張材は、薄壁構造の担体11を崩壊させない程度の膨張力で膨張した後、時間の経過とともにその機能を失い、やがて母材自体による保持材31本来の保持力が得られる。
以上のことに加えて、上述の製造方法では、保持材31に対して膨張材を均一に含有させてあるので、膨張材は、担体11に面する側にも含まれている。ここで、スピニング加工時に焼失しなかった膨張材は、製品化後も未膨張のまま保持材31内部に残ることになり、未膨張のまま保持材31に含まれている膨張材は、新車時の初期運転時において、排気ガスからの受熱によって膨張することとなる。従って、保持材31に依然として含まれている有機物質が初期運転時に熱分解されたときに、前述同様に保持材31の面圧低下を補償し、担体設置位置のズレを防止することができる。
【0035】
ここまでは、保持体31に対して膨張材を均一に含有させる例について説明したが、本発明はこれに限らず、膨張材を部分的に含有させてもよい。図8及び9は、その好ましい例を表している。次に、これらについて順に説明する。
まず、図8を参照して、第1の例について説明する。
膨張材は、保持材のうち、スピニング加工実施部S近傍の領域R1内にのみ含有させてもよい。図8(a)は、この場合の保持材131の平面図である。なお、これを担体11に巻き付けたときには、図中の突起Aが反対側の端部の凹部Bに嵌まるようになっている。また図8(b)は、保持材131を担体11に巻き付けて容器素材41’内部に設置した状態の断面図である。
【0036】
このように、膨張材は、保持材全体に含有させなくとも、スピニング加工実施部S近傍にのみ含有させることで、実用上充分な面圧補償効果を得ることができるので、膨張材の使用量を抑えることができる。
なお、上述の説明のように、容器素材41’の両端をスピニング加工する場合には、保持材の両側に膨張材を含有させておき、それぞれのスピニング加工実施部近傍に膨張材を含ませるのが好ましい。
【0037】
次に、図9を参照して、第2の例について説明する。
膨張材は、保持材のうち、容器素材41’に面する側R2にのみ含有させてもよい。図9(a)は、この場合の保持材231の平面図であり、上述のものと同様な突起A及び凹部Bを備えている。また図9(b)は、保持材231を担体11に巻き付けて容器素材41’内に設置した状態の正面図(軸方向に沿って見た図)である。
【0038】
このように、膨張材は、容器素材41’に面する側R2にのみ含有させたとしても、スピニング加工に伴う熱が熱伝達率の高い容器素材41’を介して保持材231の表面R2全体にほぼ均一に伝わるため、実用上充分な面圧補償効果を得ることができる。また、この場合には、膨張材を含まない保持材に対して、単にその側に膨張材を含浸させたり、あるいはその側の表面に膨張材を塗り付けることで、容易に効果を得ることができる。
【0039】
さらに、担体11に面する側にも膨張材を含有させれば、スピニング加工時の面圧補償効果に加えて、初期運転時の面圧補償効果を得ることもできる。この初期運転時における効果を得ようとする場合には、膨張材は、担体11表面のうち排気ガスの入口側に面するように、含有させるのが好ましい。
これらの他にも様々な膨張材の含有形態が存在するが、膨張材は、保持体の長手方向に渡って(即ち、担体まわりに)途切れなくかつ等しく含有されているのが好ましく、これを含有させる位置や幅は、適宜設定してよい。従って、端的には、容器素材41’に面する側においてスピニング加工実施部S近傍にのみ含有させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の構成の概略を示す断面図
【図2】同上排気ガス浄化装置を備える排気系システムの構成の概略を示す図
【図3】同上排気ガス浄化装置の担体の斜視図
【図4】担体ユニットの容器素材内部での配置状態を示す図
【図5】スピニング加工装置の構成の概略を示す図
【図6】スピニング加工によって発生する熱の担体保持材への伝わりを示す図
【図7】本発明による面圧補償効果を示す図
【図8】本発明に係る担体保持材の他の例を示す平面図及び断面図
【図9】本発明に係る担体保持材の他の例を示す平面図及び正面図
【符号の説明】
1…排気ガス浄化装置
11…担体
31…保持材
41…容器
51…チャック機
61…ロール機
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化装置及びその製造方法、並びに該方法の実施に好適な排気ガス浄化用担体の保持材に関する。より詳細には、有機物質を用いて成形された保持材を用いて担体を容器内部に保持する場合に、該有機物質の焼失過程における一時的な保持力の不足を補うための担体保持技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の排出ガス規制に基づく要請から、内燃機関の排気ガス浄化装置を構成する担体に対して、早期活性化などの実現のため、ごく薄い壁構造とすることが必要とされている。そして、このような薄壁担体を容器内部に保持するための保持材として、アルミナ繊維を母材とし、これをポリエチレンなどの有機物質でコーティングして構成された、いわゆる無膨張性保持材が提案されている。
【0003】
このものは、一般的には、シート状ないしマット状をなしており、担体外周に巻き付けられた状態で円筒状の容器内部に挿入される。そして、該容器の入口部と出口部とがスピニング加工などにより縮径されて、上記排気ガス浄化装置が製品化される。従来より、このような製造方法として、特開2000−161051号公報に開示されるものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の保持材には、次のような問題がある。
すなわち、このものでは、担体に保持材を巻き付けた状態でこれらを容器内部に設置する際に、保持材を圧縮した状態に維持する有機物質が保持材表面を覆っているため、容器の端部をスピニング加工によって縮径するときに発生する熱で、有機物質が熱分解される。そして、溶けた有機物質が完全に焼失して面圧が回復するまでの間に、保持材の面圧が担体を保持するために必要な面圧以下にまで一時的に低下し、加工時の振動などによって担体設置位置にズレが生じ、担体自体の損壊にも繋がりかねない。
【0005】
これと同様な問題は、製品化後においても生じ得る。スピニング加工時に発生した熱によって熱分解されなかった有機物質(特に、担体との接触面側)は、新車時の初期運転時において排気ガスからの受熱によって熱分解され、同様な面圧低下を生じるからである。
このような実状に鑑み、本発明は、保持材に含まれる有機物質の焼失過程における面圧低下を簡易な方法によって補うことで、要求面圧以上の面圧を常に得ることができるようにし、以上のような担体設置位置のズレを防止することができる内燃機関の排気ガス浄化装置及びその製造方法、並びに排気ガス浄化用担体の保持材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法は、排気ガス浄化用担体を、有機物質を含む保持材をその外周に配して担体容器の内部に位置させ、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工する内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法であって、前記縮径加工は、前記保持材の少なくとも一部に、前記縮径加工時に発生する熱によって膨張する膨張材を付して行うことを特徴とする(請求項1)。
【0007】
また、本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法は、排気ガス浄化用担体の外面に熱分解によって焼失する有機物質を含む無膨張性の保持材を巻回して担体容器に収納し、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工する内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法であって、前記保持材が前記縮径加工時の熱によって一時的に膨張する膨張材を含んで構成されることを特徴とする(請求項2)。
【0008】
前記保持材は、無膨張性のアルミナ繊維を主体として構成されるマットであるのが好ましい(請求項3)。
前記膨張材は、バーミキュライト又はグラファイトであるのが好ましい(請求項4)。
前記膨張材は、前記縮径加工の実施部近傍に偏在させるのが好ましい(請求項5)
前記膨張材は、前記保持材の前記容器に面する側に付するのが好ましい(請求項6)。
【0009】
本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法は、前記保持材の前記担体に面する側にも膨張材を付するのが好ましい(請求項7)。
本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置は、排気ガス浄化用担体の外面に熱分解によって焼失する有機物質を含む無膨張性の保持材を巻回して担体容器に収納し、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工した内燃機関の排気ガス浄化装置であって、前記保持材を前記縮径加工時の熱によって一時的に膨張する膨張材を含んで構成したことを特徴とする(請求項8)。
【0010】
前記保持材は、無膨張性のアルミナ繊維を主体として構成されるマットであるのが好ましい(請求項9)。
前記膨張材は、バーミキュライト又はグラファイトであるのが好ましい(請求項10)。
前記膨張材は、前記縮径加工の実施部近傍に偏在させるのが好ましい(請求項11)。
【0011】
前記膨張材は、前記担体容器に面する側に偏在させるのが好ましい(請求項12)。
本発明に係る排気ガス浄化用担体の保持材は、排気ガス浄化用担体に巻回されて該担体を担体容器内に保持する無膨張性の保持材であって、熱分解によって焼失する有機物質を含み、かつ前記担体とともに前記担体容器に収納された状態で前記担体容器の縮径加工が行われるときの熱によって一時的に膨張する膨張材を含むことを特徴とする(請求項13)。
【0012】
前記膨張材は、前記縮径加工の実施部近傍となる部分に偏在するのが好ましい(請求項14)
前記膨張材を前記担体容器との接触面を形成する側に含むのが好ましい(請求項15)。
本発明に係る排気ガス浄化用担体の保持材は、前記担体との接触面を形成する側にも膨張材を含むのが好ましい(請求項16)。
【0013】
【発明の効果】
請求項1,2,8,13記載の発明によれば、有機物質を含む保持材の少なくとも一部に縮径加工時に発生する熱で膨張する膨張材を付し又は含有させたことで、次の効果を得ることができる。
縮径加工時の熱が保持材に伝わると、この熱によって保持材に含まれる有機物質が熱分解される。そして、このときに保持材の面圧が低下し、保持材自体による保持力は、一時的に要求値以下に低下する。ここで、本発明によって保持材の少なくとも一部に膨張材を付し又は含有させておくことにより、面圧の不足を補い、必要な保持力を確保することができる。
【0014】
また、縮径加工時の熱を利用して膨張材を膨張させることで、特別な熱源を必要とせずに、加工と同時に、すなわち保持材の面圧低下に合わせて膨張材を膨張させることができる。
請求項3,9記載の発明によれば、アルミナ繊維を主体として構成されるマットを用いることで、無膨張性の保持材を容易に具現化することができる。
【0015】
請求項4,10記載の発明によれば、膨張材としてバーミキュライト又はグラファイトを用いることで、保持材に含まれる有機物質が焼失するまでの間に生じる面圧の一時的な不足を補うことができるばかりでなく、時間の経過とともにその機能を失わせ、保持材本来の保持力とすることができる。
請求項5,11,14記載の発明によれば、縮径加工時における保持材の面圧の不足を、少ない量の膨張材で補うことができる。
【0016】
請求項6,12,15記載の発明によれば、保持材の面圧の不足を補うという膨張材の機能を、顕著にかつ簡単に得ることができる。
請求項7,16記載の発明によれば、車両実装後に排気ガスからの受熱によって保持材と担体との間の有機物質が溶け、その個所の面圧が低下したとしても、これを補い、担体設置位置のズレを防ぐことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の構造について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気ガス浄化装置1の構成の概略を示す断面図である。
【0018】
本装置1が備える担体11は、外形がほぼ円筒状であり、その内部には、特にディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(以下「PM」という。)をろ過捕集することのできる程度に細かい多孔質のセラミック製壁部13を介して、直進貫通空間が平行並列に多数形成されている。
そして、それぞれの相隣合う貫通空間は、目封部材15によって装置1の入口側か又は出口側かで交互に、かつ完全に又はPMに対して実質的に閉塞されており、入口側に向けて開口する入口通路17と、出口側に向けて開口する出口通路19とが、相隣り合って交互に形成されている。
【0019】
また、担体壁部13には、例えばHC,COなどの未燃焼成分を浄化するための酸化触媒などを触媒成分とする触媒層(図示せず)が付されている。
各燃焼室から排出された排気ガスは、排気マニホールドにおいて1つの流路に集められ、排気ガス浄化装置1に導かれる。そして、これに流入した排気ガスが担体11を通過するときに、壁部13のフィルタ機能によってPMがろ過除去され、また、壁部13に付された触媒層が機能してガス状汚染成分が浄化される。結果として、排気ガス浄化装置1に流入した排気ガスからは、PM及びガス状汚染成分の大部分が除去ないし浄化される。
【0020】
ここで、ガソリンエンジンの場合には、排気ガス浄化装置1として、外形がほぼ円筒状で、内部に複数のセル通路が形成されたセラミック製担体11に、三元触媒成分を含む触媒層を形成(コーティング)したものを適用することができる。そして、好ましくは、本発明の一実施形態として、担体11の壁厚tを従来のものよりも薄肉化し、例えば、t=2[mil](1[mil]=25.4[μm])として、担体11のヒートマスを低減したものを用いることができる。
【0021】
このように担体11の壁厚tを薄肉化することで、冷機時における触媒の昇温特性を向上することが可能である。その反面、担体11の強度が低下するため、容器41に収容した場合に、保持材31を介して担体11に作用する保持力を適切に管理することが求められる。そこで、担体11を、温度によらずほぼ一定の保持力を発揮することができる無膨張性の保持材31を用いて容器41内に保持する。
【0022】
無膨張性の保持材31としては、Al2O3やSiO2などの耐熱性に優れかつ熱膨張性の低い繊維(ここでは、アルミナ繊維を使用している。)を主な構成要素とするマットが用いられ、担体11の外周面に巻き付けられた状態で容器41内に収められる。これにより、保持材31外面と容器41内面との間及び保持材31内面と担体11外面との間に、それぞれ保持力(摩擦力)が働いて、担体11は、所定の設置位置に保持される。
【0023】
ここで、保持材31には熱分解によって焼失し得る有機物質、例えばポリエチレンでコーティングが施されており、組み付け時において保持材31は圧縮状態を維持するようになっている。これにより、圧縮された状態の保持材31を担体11とともに容器41内に挿入することを可能とするが、保持材31の表面、特に容器41に面する側をこうした有機物質でコーティングすれば、コーティングされた面の表面粗さが小さくなり、容器41への挿入(圧入)の作業性を向上させることができる。そして、組み付け後において、保持材31の有機物質が焼失すると、保持材31は元の厚さに復元し、担体11と容器41との間に必要な保持力を働かせる。
【0024】
容器41は、ステンレス製の円筒状素材の両端部を所定の絞り率r(縮径前の容器外径をφ1、縮径後の容器外径をφ2とすれば、r=φ2/φ1)をもって縮径したものであり、本装置1の入口側と出口側とにおいて、ディフューザ部21a,21bを形成している。
このような構造の排気ガス浄化装置1は、図2のエンジンの排気系システム図に示すように、エンジンの排気通路100の集合部より下流側に介装される。
【0025】
次に、以上に説明した排気ガス浄化装置1の製造方法について、図3〜5を参照して説明する。
本製造方法において排気ガス浄化装置1は、(1)担体11を作成し、(2)担体11に保持材31を巻き付けた担体ユニットを容器(縮径後の容器41と区別するため、縮径前の円筒状素材を以下では「容器素材41’」という。)内部にセットし、(3)容器素材41’の両端部をスピニング加工により順次縮径して完成される。
【0026】
以下、本実施形態に係る内燃機関の排気ガス浄化装置1の製造方法について、上記項目(1)〜(3)毎に説明する。
(1)担体作成
まず、担体11を設ける。図3は、担体11の斜視図である。担体11は、貫通空間の断面が四角形に形成されたいわゆるモリノス担体であり、壁部13は、担体11としての熱容量を低くするため、ごく薄く形成する。
(2)担体ユニットセット
次に、担体11に保持材31を巻き付け、保持材付きの担体(担体ユニット)を容器素材41’の一側から挿入して、図4に示すように容器素材41’内部の所定位置に配置する。
【0027】
ここで、保持材31及び容器素材41’についてさらに説明する。
先に説明したように、保持材31は、アルミナ繊維を母材とし、これを熱分解によって焼失するような有機物質(例えば、ポリエチレン)でコーティングして該母材の圧縮状態を維持させ、所定厚さのシート状ないしマット状に成形したものである。
【0028】
上記有機物質のコーティングは、保持材31の母材に有機物質を含む溶液(バインダ溶液)を塗布することによる他に、バインダ溶液に母材を漬け込んだり、あるいは袋状の有機物質の薄膜で母材を真空パックすることによっても形成することができる。
そして、保持材31には、バーミキュライトやグラファイトなどの比較的低温で膨張させることのできる膨張性素材(膨張材)を、全体に渡って均一に含有させてある。
【0029】
容器素材41’は、シート状のステンレス材を円筒状に加工したものである。なお、まず初めにU字状の容器素材を設け、その内部に担体ユニットを配置した後、筒状に接合してもよい。
(3)スピニング加工
図5に示すように、スピニング加工のためのチャック機51に容器素材41’をチャックする。そして、ロール機61によって容器素材41’の入口部及び出口部を所定の絞り率rをもって順次縮径し、装置1のディフューザ部21a,21bを形成する。
【0030】
以上に説明した排気ガス浄化装置1の製造方法によれば、保持材31に含有させた膨張材の作用により、保持材31に含まれる有機物質が焼失するまでの間に、担体11と容器41との間に形成される保持力が一時的に要求値を下回ることを防止し、担体11が正確な設置位置に保持された排気ガス浄化装置1を提供することができる。次に、この効果を、図6及び7を参照して説明する。
【0031】
図6は、スピニング加工実施部S及びその近傍の断面の概略を示しており、スピニング加工によって発生する熱の伝わりを、矢印Hで表している。図7は、保持材31に含まれる有機物質の焼失過程における、保持材31の面圧の典型的な変化を、本発明による膨張材を含有させた場合(実線カーブ1)と、従来の膨張材を含まない場合(鎖線カーブ2)とで比較して表している。
【0032】
図6のように、スピニング加工によって発生した熱は、スピニング加工実施部Sから容器素材41’を介して保持材31に伝わり、これに含まれる有機物質を熱分解させる。
ここで、膨張材を含まない従来の場合には、溶けた有機物質が完全に焼失して母材自体による保持材31本来の保持力が得られるまでの焼失過程ΔTの間に、保持材31の面圧が初期値Poから低下し、担体11を所定の設置位置に保持するための要求面圧Prを一時的に維持することができなくなる。
【0033】
これに対して、本発明によって保持材31に膨張材を含有させた場合には、上記焼失過程ΔTにおいてこの膨張材が熱影響の及ぶ範囲内で膨張し、有機物質の熱分解に伴う面圧の低下が補われる。従って、有機物質が完全に焼失するまでの間に母材自体によって必要な保持力が得られないとしても、その不足が膨張材によって補われ、保持材31全体として常に必要な要求面圧Prを与え、担体11を所定の設置位置に保持することができる。
【0034】
なお、保持材31に含まれる膨張材は、薄壁構造の担体11を崩壊させない程度の膨張力で膨張した後、時間の経過とともにその機能を失い、やがて母材自体による保持材31本来の保持力が得られる。
以上のことに加えて、上述の製造方法では、保持材31に対して膨張材を均一に含有させてあるので、膨張材は、担体11に面する側にも含まれている。ここで、スピニング加工時に焼失しなかった膨張材は、製品化後も未膨張のまま保持材31内部に残ることになり、未膨張のまま保持材31に含まれている膨張材は、新車時の初期運転時において、排気ガスからの受熱によって膨張することとなる。従って、保持材31に依然として含まれている有機物質が初期運転時に熱分解されたときに、前述同様に保持材31の面圧低下を補償し、担体設置位置のズレを防止することができる。
【0035】
ここまでは、保持体31に対して膨張材を均一に含有させる例について説明したが、本発明はこれに限らず、膨張材を部分的に含有させてもよい。図8及び9は、その好ましい例を表している。次に、これらについて順に説明する。
まず、図8を参照して、第1の例について説明する。
膨張材は、保持材のうち、スピニング加工実施部S近傍の領域R1内にのみ含有させてもよい。図8(a)は、この場合の保持材131の平面図である。なお、これを担体11に巻き付けたときには、図中の突起Aが反対側の端部の凹部Bに嵌まるようになっている。また図8(b)は、保持材131を担体11に巻き付けて容器素材41’内部に設置した状態の断面図である。
【0036】
このように、膨張材は、保持材全体に含有させなくとも、スピニング加工実施部S近傍にのみ含有させることで、実用上充分な面圧補償効果を得ることができるので、膨張材の使用量を抑えることができる。
なお、上述の説明のように、容器素材41’の両端をスピニング加工する場合には、保持材の両側に膨張材を含有させておき、それぞれのスピニング加工実施部近傍に膨張材を含ませるのが好ましい。
【0037】
次に、図9を参照して、第2の例について説明する。
膨張材は、保持材のうち、容器素材41’に面する側R2にのみ含有させてもよい。図9(a)は、この場合の保持材231の平面図であり、上述のものと同様な突起A及び凹部Bを備えている。また図9(b)は、保持材231を担体11に巻き付けて容器素材41’内に設置した状態の正面図(軸方向に沿って見た図)である。
【0038】
このように、膨張材は、容器素材41’に面する側R2にのみ含有させたとしても、スピニング加工に伴う熱が熱伝達率の高い容器素材41’を介して保持材231の表面R2全体にほぼ均一に伝わるため、実用上充分な面圧補償効果を得ることができる。また、この場合には、膨張材を含まない保持材に対して、単にその側に膨張材を含浸させたり、あるいはその側の表面に膨張材を塗り付けることで、容易に効果を得ることができる。
【0039】
さらに、担体11に面する側にも膨張材を含有させれば、スピニング加工時の面圧補償効果に加えて、初期運転時の面圧補償効果を得ることもできる。この初期運転時における効果を得ようとする場合には、膨張材は、担体11表面のうち排気ガスの入口側に面するように、含有させるのが好ましい。
これらの他にも様々な膨張材の含有形態が存在するが、膨張材は、保持体の長手方向に渡って(即ち、担体まわりに)途切れなくかつ等しく含有されているのが好ましく、これを含有させる位置や幅は、適宜設定してよい。従って、端的には、容器素材41’に面する側においてスピニング加工実施部S近傍にのみ含有させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の構成の概略を示す断面図
【図2】同上排気ガス浄化装置を備える排気系システムの構成の概略を示す図
【図3】同上排気ガス浄化装置の担体の斜視図
【図4】担体ユニットの容器素材内部での配置状態を示す図
【図5】スピニング加工装置の構成の概略を示す図
【図6】スピニング加工によって発生する熱の担体保持材への伝わりを示す図
【図7】本発明による面圧補償効果を示す図
【図8】本発明に係る担体保持材の他の例を示す平面図及び断面図
【図9】本発明に係る担体保持材の他の例を示す平面図及び正面図
【符号の説明】
1…排気ガス浄化装置
11…担体
31…保持材
41…容器
51…チャック機
61…ロール機
Claims (16)
- 排気ガス浄化用担体を、有機物質を含む保持材をその外周に配して担体容器の内部に位置させ、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工する内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法であって、
前記縮径加工は、前記保持材の少なくとも一部に、前記縮径加工時に発生する熱によって膨張する膨張材を付して行うことを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法。 - 排気ガス浄化用担体の外面に熱分解によって焼失する有機物質を含む無膨張性の保持材を巻回して担体容器に収納し、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工する内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法であって、
前記保持材が前記縮径加工時の熱によって一時的に膨張する膨張材を含んで構成されることを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法。 - 前記保持材は無膨張性のアルミナ繊維を主体として構成されるマットであることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法。
- 前記膨張材はバーミキュライト又はグラファイトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法。
- 前記膨張材を前記縮径加工の実施部近傍に偏在させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法。
- 前記膨張材を前記保持材の前記担体容器に面する側に付することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法。
- 前記保持材の前記担体に面する側にも膨張材を付することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の排気ガス浄化装置の製造方法。
- 排気ガス浄化用担体の外面に熱分解によって焼失する有機物質を含む無膨張性の保持材を巻回して担体容器に収納し、該担体容器の少なくとも一部を縮径加工した内燃機関の排気ガス浄化装置であって、
前記保持材を前記縮径加工時の熱によって一時的に膨張する膨張材を含んで構成したことを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化装置。 - 前記保持材は無膨張性のアルミナ繊維を主体として構成されるマットであることを特徴とする請求項8記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
- 前記膨張材はバーミキュライト又はグラファイトであることを特徴とする請求項8又は9記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
- 前記膨張材を前記縮径加工の実施部近傍に偏在させたことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1つに記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
- 前記膨張材を前記担体容器に面する側に偏在させたことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1つに記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
- 排気ガス浄化用担体に巻回されて該担体を担体容器内に保持する無膨張性の保持材であって、
熱分解によって焼失する有機物質を含み、かつ前記担体とともに前記担体容器に収納された状態で前記担体容器の縮径加工が行われるときの熱によって一時的に膨張する膨張材を含むことを特徴とする排気ガス浄化用担体の保持材。 - 前記膨張材を前記縮径加工の実施部近傍となる部分に偏在するように含むことを特徴とする請求項13記載の排気ガス浄化用担体の保持材。
- 前記膨張材を前記担体容器との接触面を形成する側に含むことを特徴とする請求項13又は14記載の排気ガス浄化用担体の保持材。
- 前記担体との接触面を形成する側にも膨張材を含むことを特徴とする請求項115記載の排気ガス浄化用担体の保持材。
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