JP3583219B2 - Double writing instrument - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、略非変形の複数の筆記体を搭載して、夫々の筆記先端部を軸の先端口から容易に出没可能とする複式筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ボールペン等の複数の筆記体を搭載して、軸先から選択的にその筆記先端部を出没可能とした複式筆記具が知られている。
又、複式筆記具の筆記先端部の出没機構としては、ノック式のもの、筆記具の軸筒側面から貫出したスライダーを交互に摺動させるスライダー式のもの、傾斜面を備えたカム筒を回転させて行うカム式のものなど種々知られている。
又、従来の出没機構は、筆記体を軸筒内に戻すためのリターンスプリングを内蔵しているため、構造が複雑で、部品点数も多く、コスト高となる問題がある。又、機構を内蔵するためのスペースが大きく、リフィール形状の自由度が少ない。
【0003】
一方、中粘度の水性、低粘度の油性ボールペンはインキ収容管が太くなるために通常の太さの複式筆記具に搭載した場合、筆記体間の自由度がなく突出する筆記体の先端部が軸筒の先端孔にスムーズに求心されず、作動が阻害されて筆記先端部の出没が不可となる。従って、作動を可能とするために軸筒が極端に太くなって、携帯性、使い勝手が悪くなる欠点がある。
【0004】
水性ボールペンは、粘度が数mPa・S以下の低粘性であるため、軽い筆記圧で書けることが利点であり、書き味が良好である特徴がある。しかしながら、インキがペン先からだらだらと流れ出る直流現象や、反対にボールペンの先から空気が流入してインキが流出する逆流現象などが起こり易い欠点がある。これらの現象は中綿と称する繊維の収束体などを用いて防止する方法がとられている。
又、キャップオフの状態で放置すると、溶媒の蒸気圧が高く、溶媒がれのため、先端が乾燥してインキが流出しなくなり、書けなくなってしまうという問題がある。
【0005】
一方、従来知られている油性ボールペンは、それに使用するインキが粘度が数千mPa・S以上の高粘度のために、ペン先からインキが流出する際にボールが回転する時の抵抗が大きいため書き味が悪い欠点がある。又、筆記の際に先端から流出するインキ量は少なく、ボテ現象があり、筆記描線のムラがあり筆跡濃度が薄いこと、高い筆記圧が必要なことなどの問題がある。
この油性ボールペンの改良として、 最近、上記の水性と油性との中間粘度領域(数mPa・S〜数千mPa・S)のインキを用いる中粘度と呼ばれる水性インキ用ボールペンが開発されている。このものは、先端ボールの回転によって粘度が低下してインキがスムーズに流出する特性、所謂剪断減粘性を有する相対的に低粘性の水性のインキを用いたボールペンである。しかしながら、このものはインキが乾燥しやすい欠点があるために通常は筆記先端部をシールするキャップが必要である。又、インキの流出量が多くなり、筆記寿命を延ばすためにインキ収容管の径を太くしてインキの充填量を多くする必要がある。
【0006】
又、上記油性ボールペンの改良として、耐乾燥性に優れた低粘度の油性インキを用いたボールペンが考えられるが、やはりインキの流出量が多くなり、筆記寿命を延ばすためにインキ収容管の径を太くしてインキの充填量を多くする必要がある。又、インキの粘度が低いために、チップ側を下向きにした場合に先端ボールとチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる(直流)が生じたり、筆記時にインキの流出量が多くなる欠点がある。
【0007】
上記、中粘度の水性インキ、低粘度の油性インキの何れも低粘性であることからインキが逆流や直流しやすい現象がある。インキが逆流や直流を起こすと衣類などを汚す危険がある。又、落下やノック衝撃で筆記掠れが生じやすい欠点がある。
又、筆記具に搭載して、その筆記先端部が突出したまま胸ポケット等に差した場合に、衣服を汚損するという問題もある。
又、中粘度の水性ボールペンは、通常インキ収容管後端に、フォロアと称されるグリース状の半透明不乾性物質が充填されるので、インキ蒸発防止の問題はペン先、即ちボールとホルダーの間隙からの蒸発低減化を考えればよい。例えば、油性ボールペンのように蒸気圧がかなり低い溶剤を主として用いれば、インキの蒸発は考慮しないですむ。しかし、水性インキの場合は水が主溶剤なので、低蒸気圧溶剤を選択しただけでは、水の蒸発を防げない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、即ち、略非変形の複数の筆記体を軸内に搭載して、軸先端口から夫々の筆記体の筆記先端部を容易に出没可能とし、携帯性、使い勝手性に優れた複式筆記具を提供することにある。
又、インキの逆流、直流現象が生じず、ペン先の耐乾燥性が維持されてキャップを外して放置することができ、又、落下衝撃、上向き筆記によるインキの逆流やインキの直流を防止する機構を有する中粘度の水性、低粘度の油性ボールペンの筆記体を構成し、
当該ボールペン筆記体を少なくとも1本有した、複数の筆記体を軸内に搭載して、ボールペン筆記体の筆記先端部が突出したまま胸ポケット等に差せない状態と成して衣服を汚損することがない便利な複式筆記具を提供可能とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の複式筆記具は、複数の筆記体を軸内に搭載して、選択的に夫々の筆記先端部を先端口から交互に出没可能とした複式筆記具に於いて、筆記体は略非変形で、且つ軸内に揺動なく嵌挿されるものであって、軸先に口先部が揺動可能に設けられて、前記夫々の筆記先端部が突出する際に口先部が揺動されてその先端口から貫出するよう構成されたことを特徴とする。
【0010】
又、先端ボールを抱持するチップと後方にインク収容管を有し、該インク収容管内に筆記に伴う先端ボールの回転で粘性が低下して流出される、所謂剪断減粘性を有した水性ボールペンインキ又は低粘度の油性インキが充填され、インキの後端に筆記に伴うインキの消耗に追随して移動するグリース状の半透明不乾性物から成るフォロアが充填されて構成されたボールペン筆記体を少なくとも1本含む複数の筆記体を搭載して成る。
【0011】
又、2種のボールペン筆記体を搭載して成り、先軸と後軸と、この後軸の内孔に後軸に対し略180度の範囲で回転可能に配設されると共に軸周面にカム溝が形成された回転軸と、後軸の後端に突出した回転軸の後端部に固定された操作体と、後軸に対し操作体と回転軸が回転のみ可能に保持されて、前記回転軸のカム溝と係合する突起部が夫々対向する内側に形成された一対の摺動コマが前記後軸の内孔に前後動のみ可能に案内され、夫々の摺動コマの前方に摺動コマと連動するように夫々の筆記体が設けられて、前記操作体の回転に伴う回転軸の回転で夫々の摺動コマが交互に前後動して夫々の筆記体が前後動するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
又、操作体の一側面から後軸前方に向かって延設されたクリップと、該クリップの先方部に対接する後軸周面の所定位置に膨出部が設けられて、操作体を回転して筆記先端部が先端口から突出した状態のみに於いて、クリップの先方部が前記膨出部に設けた凹部に隠蔽されて、容易にクリップが胸ポケット等に差せないように構成したことを特徴とする。
【0013】
又、ボールペン筆記体に於いて、先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に常時は押圧して密接し、筆記時には密接状態が解除されるように設けられたスプリングを有することからなる。
又更に、チップ後端に対接してボール弁が遊嵌された弁室が設けられ、該弁室後部にボール弁が密接してインキの逆流を防ぐボール受け座及び該ボール受け座からインキ収容管に通ずる導孔が設けられて成る。
【0014】
【実施例】
先ず、図1乃至図5は本発明の第1の実施例を示している。図1に於いて、2本のボールペン筆記体1a、1bが設けられている。
本発明の意図する複式筆記具は、所謂剪断減粘性を有した水性、又は低粘度の油性ボールペンインキが充填されたボールペン筆記体や、通常の油性ボールペン筆記体、シャープペンシルなどが必要に応じて組み合わせて用いられるものである。
【0015】
図1の複式筆記具は、前部に位置した筆記具機構の部分を収納する先軸49及び後軸30と後軸の後端に配設された操作体42とからなる。又、先軸49の後部内周に雌螺子49aが形成されている。
又、後軸30の前部には雄螺子32が形成され、前記先軸49の雌螺子49aと螺合されて、必要に応じて取り外されて筆記体の交換などを行う。
又、先軸49の先端には球状を成した軸支部49bが円周上又は円周上の所要箇所に部分的に形成され、それに対応して先端口50bを有した口先部50の後方内周部に前記軸支部49bに係合する凹溝50aが形成されて、相互が弾性的に係合された状態で、先軸49の先端に対し口先部50が抜け止め且つ揺動可能に結合される。先軸と口先部の結合手段は種々あるが、例えば先軸と口先部との間にリング部材や弾性体を介在させて構成することも可能である。
【0016】
又、上記後軸30の内孔後端の内周に後述する回転軸33の回転範囲を規制する回り止め用のリブ30aが形成されると共に段部30bを有し、又、後軸30の前方内周部に90度間隔にあいて軸方向に形成された4本のガイド用のリブ31が形成されている。
又、後軸30のやや後方寄りの外周に3箇所で山形状の膨出部39が形成され、2箇所の膨出部の中央には凹部40a,40bが設けられている。
【0017】
回転軸33は大径部36の前方に小径部34を有し、小径部34の周面に螺旋状のカム溝35が形成されている。又、前記大径部36の後方に縮径した軸部を有し、その軸部の前方外周に突状の係止部37が、後端に所要箇所で回転止め溝38が設けられている。又、前記大径部36の周面に、上記リブ30aが係合して後軸30との間に於いて略180度の範囲で回転軸33を回転規制する溝36aが設けられている。
尚、回転軸33の回転角度を大きくすれば回転抵抗が小さくなって操作し易くなる利点があるが、回転角度が大きくなることでアクションが大きくなる点は操作上の欠点となる。従って、回転角度は軸体の径が小さい場合は180度寄りに、径が大きい場合は120度寄りに設計都合で選択される。
【0018】
操作体42は天冠43と、天冠43の外周部の一側面から前方に延設したクリップ44で形成される。クリップ44先方の内側には玉部45が設けられ、天冠の前方には孔部43aが、孔部の前方周面に周状の係止溝42aと後方周面に所要箇所の回転止めリブ41が設けられている。
【0019】
摺動コマ46a,46bの前方には挿入孔48a,48b設けられ、夫々の挿入孔には後述するボールペン筆記体1a,1bの後端を止着する内方突条の係止部51a,51bが設けられている。又、その後方の内面側には回転軸33の回転に伴うカム溝35の押圧で夫々の摺動コマが前後動するための47a,47bが形成されている。
又、摺動コマ46a,46bの外周には、上記後軸30のガイド用のリブ31に回転止め係合する溝53a,53bが設けられている。
従って、摺動コマ46a,46bの側面に設けた溝53a,53bがガイド用のリブ31と夫々噛み合うことにより、摺動コマ46a,46bを円滑に前後動させる。又、摺動コマ46a,46bの横断面形状は略D形を成している。従って、従来例でよく示される、相対向する2つのガイド溝を有したガイド筒を取付ける複雑な構成を必要としない利点がある。
又、摺動コマ46a,46bは夫々の平坦側が相対接するが、相互間の摺動をより円滑とする為に、摺動コマ46bにガイド突起52bが、摺動コマ46aにはガイド突起52bを嵌挿するガイド溝52aが設けられている。
【0020】
そして、回転軸33は上記摺動コマ46a,46bの突起部47a,47bをカム溝35に係合させた状態で後軸30の内孔に挿入され、大径部36の後端が後軸の段部30aに当接されると共に回転軸33の後端軸部に上記操作体42が止着される。
その時、上記係止部37が天冠43の係止溝42aに係合し、回転止め溝38が天冠の回転止めリブ41に係合して回転軸33と操作体42は一体に固定されて、後軸30に対し操作体42を回転することで回転軸33が回転し、それと共に一方の摺動コマが前進し、他方の摺動コマが後退する。
又、摺動コマ46a,46bの挿入孔48a,48bにボールペン筆記体1a,1bの後端部が止着され、後軸30の前方に先軸49が固定される。
【0021】
又、筆記体の一方をシャープペンシルとした場合には、芯を繰り出すために回転軸33を軸推移させる必要がある。その手段として、後軸30の後端と操作体42の内段との間にリターンスプリングを付勢して操作体の軸推移を回転軸、摺動コマに連動するように設ければよい。
【0022】
ところで、図6は第2の実施例を示している。基本的には第1の実施例と同じであり相違点に付いては後述する作用で説明する。
【0023】
次に、ボールペン筆記体1aに付いて説明する。尚、ボールペン筆記体1aと1bは同じ構成であり、例えば、インキ色などが異なるものである。
又、ボールペン筆記体に適用されるインキは所謂剪断減粘性を有した水性、低粘度の油性インキである。
【0024】
図5に示すようにチップ10は、インキ流入可能なチャンネルを有した座に先端ボール11が略当接した状態で、先端ボール11が回転自在に抱持されるようカシメられている。又、チップ10の内孔部にスプリング13が内挿され、スプリング13の後端が抜出不能となるようにチップの軸部12の後端を適宜カシメている。又、先端ボール11がチップ抱持部の内面に密接することは筆記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極めて重要であって、そのために先端ボールを抱持するチップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度を改善する為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる為の二次的な塑性加工が配慮される。又、先端ボールとの密接面に表面処理などが配慮される。
【0025】
又、スプリング13の先方は直線状の棒軸部14となり、当該棒軸部14の先端が先端ボール11の後端に押圧状態で当接する。尚、先端ボール11はその押圧によってチップ10のボール抱持部(カシメなどで形成)の内縁に密接状態となる。
【0026】
又、継ぎ手2は先端にチップ10の軸部12を圧着する前軸部3とインキ収容管16の前端に圧着される後軸部4が形成されている。
又、前軸部3の内孔部後方にはボール弁15が遊嵌している弁室6があり、弁室6の後方にはテーパー状又は球面状のボール受け座7と軸心に適宜偏心して設けられた導孔8とが設けられ、後軸部4の内孔がインキ収容管16の内孔に連通している。又、弁室6の内壁の一側には軸方向にインキが流れる ように溝部を設けている。(図示せず)この弁室6内の遊嵌しているボール弁15は、チップ10を下向きにした状態では、チップの軸部12の後端に偏った状態に接してインキ流路を形成し、インキ収容管のインキは導孔8を通り前記溝部、前記インキ流路をなどを通じてチップ内孔部に流入する。逆に上向きの状態ではボール弁15がボール受け座7に当接してインキの逆流を防止する機能が得られる。
【0027】
又、インキ収容管16内には上記ボールペンのインキ17が充填され、更に、このインキ17の後端にインキの消耗と共にインキ面に接触して追随して移動可能なグリース状の半透明不乾性物から成るフォロア18が充填される。又、落下やノック衝撃等による変形を防止するために必要に応じてフォロア18内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒19が浸漬される。インキ収容管16の後端には尾栓20が固着されていて、該尾栓後端の軸部に上述した摺動コマ46a、46bの前部に設けられている挿入孔の係止部51a,51bに着脱可能に止着する係止溝22が設けられている。又、尾栓20にはインキ収容管16の内部と外気を連通する通気溝21が設けられている。
尚、上記インキ収容管16は一例として透明PP樹脂成形品等が使用される。又、インキ収容管16をクリアドレン性に優れた材質で選定する。又、インキ収容管は継ぎ手2と一体に形成されてもよい。
【0028】
又、インキ収容管16のインキ収容部は比較的大きな断面積を有した非変形のものであって、実施例では後軸30内に無駄なく嵌挿する略D形の断面形状を有している。尚、上記チップ10と継ぎ手2を含めボールペン筆記体1a,1bは略非変形である。
【0029】
【作用】
後軸30に対して操作体42を一方に回転すると、摺動コマ46a,46bの突起部47a,47bが回転軸33の回転に伴いカム溝35に沿って摺動して、何れか一方の摺動コマが前進、他方が後退して、前進側の筆記体の筆記先端部が口先部50を揺動させてその先端口50bから突出可能となる。即ち、ボールペン筆記体1a,1bが非変形であっても口先部50がフレキシブルに変移するので作動が阻害されずにその先端口50bからスムーズに筆記先端部が出没する。
【0030】
又、一方のボールペン筆記体1aが突出した状態に於いては、図1及び図3に示すようにクリップの玉部45が後軸の膨出部39の凹部40aに隠蔽されて容易にクリップ44が胸ポケット等に差せない状態を作る。
【0031】
次に、回転軸33を回転すると摺動コマ46aが後退してボールペン筆記体1aの筆記先端部が口先部50内に没入すると共に、摺動コマ46bが前進する。その時、筆記先端部が口先部内に収容された携帯状態となり、その状態に対するクリップが図3に示す44a位置となって胸ポケット等に容易に差すことが可能となる。
【0032】
更に回転軸33を回転すると摺動コマ46aが更に後退し、摺動コマ46bが更に前進してボールペン筆記体1bの筆記先端部が口先部50の先端口50bから突出する。その状態に対するクリップが図3に示す44b位置となって膨出部の凹部40bに隠蔽されて容易にクリップ44が胸ポケット等に差せない状態を作る。又、図4に示す回転軸の大径部36の溝36aの当接部36cが後軸のリブ30aに当接して他方の回転規制がなされる。
【0033】
ところで、上述した図6に示す第2の実施例は後軸60の膨出部61に斜めの係止凹部62を設けて、筆記先端部が突出した状態においてクリップ64の屈曲した先端部65を係止凹部62に係合させて、クリップを胸ポケット等に全く差せない状態を作ったものである。
尚、実施例の形状に限らず、例えば、係止凹部を球状溝、蟻溝等に成して、又、係合するクリップの先端部又は玉部をそれに係合する形状に成せば、クリップが拡開せずクリップを全く胸ポケット等に差せない状態を作る。
【0034】
又、ボールペン筆記体1aは、チップ10を上向きにした状態に於いて、そのボール弁15が弁室6のボール受け座7に位置して導孔8を密閉するので、上向き筆記されてチップの先端ボール11背面のインキがなくなっても、インキにヘッドが掛かり逆流することがない。従って、チップ10を下向きにした時にはインキがすぐに流出可能となり、筆記で掠れが防止される。(因みにボール弁を有しない構造では、上向き筆記でインキが逆流方向に作用するのでチップ内に空気を巻き込み、下向き筆記で即インキが追随せず掠れが生じる)
【0035】
チップ10を下向きにした筆記状態に於いては、ボール弁15がチップ10後端の一方に偏った状態に当接し、他方にはチップ10内にインキが流入可能な流路が構成され、インキ収容管16から導孔8を経て弁室6に入ったインキ17は先端ボール11の背面まで誘導される。
この状態で、棒軸部14の押圧で先端ボール11がチップ抱持部の内縁に密接されるのでインキの直流が防止される。又、筆圧により先端ボール11が微小に後退するので隙間を生じてインキが流出可能となり、筆記により先端ボール11の回転でインキがスムーズに流出され、ボテが無く、筆跡濃度の高い筆記が可能となる。
【0036】
先端ボール11の背面にはチャンネル(チップ内孔に向かって貫通したインキ流入溝を複数箇所に有した先端ボールの受け座)がありチャンネルの中心孔には棒軸部14が貫通する。チップ内のインキはインキ流入溝および中心孔と棒軸部14との間の隙間を通じて先端ボール11背面に誘導される。
【0037】
【発明の効果】
本発明の複式筆記具の構成及び作用は以上の如くであり、口先部が揺動することによって、略非変形の筆記体先端部が容易に出没可能となり、便利な複式筆記具が携帯性、使い勝手性を満足した軸体の太さで提供可能となる。
又、所謂剪断減粘性を有した水性、低粘度の油性インキを使用したボールペン筆記体を搭載して、ボテの無い、描線の濃い、筆記掠れの無い、且つ、キャップを不要として筆記先端部を出没可能とし、且つ、インキの直流や上向き筆記、ノック及び落下衝撃に対するインキの逆流で軸筒内や手や衣服等を汚す事故が防止される。
又、操作体を回転して筆記先端部が口先部の先端口から突出した状態のみに於いて、クリップの先方部が上記膨出部に設けた凹部に隠蔽されるので容易に或いは全くクリップが胸ポケット等に差せなくなるので、筆記先端部を突出したまま胸ポケット等に差すこともなく、従って、衣服を汚損する事故が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である複式筆記具の全体を示す縦断面図で、一部非断面で示されている。又、2種のボールペン筆記体が搭載されている。
【図2】図1に於けるC−C矢視断面図であるが、摺動コマ46aには筆記体が止着されてない状態で示している。
【図3】図1に於けるB−B断面図を示している。又、操作体の回転に伴うクリップの位置を示している。
【図4】図1に於けるA−A断面図である。
【図5】ボールペン筆記体1aの縦断面図である。
【図6】第2の実施例である複式筆記具の後半部を示す縦断面図で、一部非断面で示されている。
【符号の説明】
1a ボールペン筆記体
1b ボールペン筆記体
2 継ぎ手
3 前軸部
4 後軸部
5 鍔部
6 弁室
7 ボール受け座
8 導孔
9 内孔部
10 チップ
11 先端ボール
12 軸部
13 スプリング
14 棒軸部
15 ボール弁
16 インキ収容管
17 インキ
18 フォロア
19 フォロア棒
20 尾栓
21 通気溝
22 係止溝
30 後軸
30a リブ
30b 段部
31 ガイド用のリブ
32 雄螺子
33 回転軸
34 小径部
35 カム溝
36 太径部
36a 溝
36b 当接部
36c 当接部
37 係止部
38 回り止め溝
39 膨出部
40a 凹部
40b 凹部
41 回り止めリブ
42 操作体
42a 係止溝
43 天冠
43a 孔部
44 クリップ
44a クリップ(位置)
44b クリップ(位置)
45 玉部
46a 摺動コマ
46b 摺動コマ
47a 突起部
47b 突起部
48a 挿入孔
48b 挿入孔
49 先軸
49a 雌螺子
49b 軸支部
50 口先部
50a 凹溝
50b 先端口
51a 係止部
51b 係止部
52a ガイド溝
52b ガイド突起
53a 溝
53b 溝
60 後軸
61 膨出部
62 係合凹部
63 操作体
64 クリップ
65 先端部[0001]
[Industrial applications]
TECHNICAL FIELD The present invention relates to a double-type writing instrument equipped with a plurality of substantially non-deformable writing objects, and each of which allows a writing tip to easily come out and in through a tip end of a shaft.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art In general, there is known a double-type writing instrument having a plurality of writing objects such as a ball-point pen mounted thereon so that a writing tip can be selectively protruded and retracted from an axis.
In addition, as a retracting mechanism of the writing tip of the double-type writing instrument, a knocking type, a slider type that alternately slides a slider protruding from the side of the shaft cylinder of the writing instrument, and a cam cylinder having an inclined surface are rotated. Various types such as a cam type are known.
Further, the conventional retracting mechanism has a problem that the structure is complicated, the number of parts is large, and the cost is high because the return spring for returning the writing body into the shaft cylinder is built in. Further, the space for incorporating the mechanism is large, and the degree of freedom of the refill shape is small.
[0003]
On the other hand, medium-viscosity water-based and low-viscosity oil-based ballpoint pens have thick ink storage tubes. The center of the writing tip is not smoothly centered on the tip end of the cylinder, so that the operation is hindered and the tip of the writing tip cannot appear or disappear. Therefore, the shaft cylinder becomes extremely thick in order to enable the operation, and there is a disadvantage that portability and usability deteriorate.
[0004]
The water-based ballpoint pen has a low viscosity of several mPa · S or less, and therefore has an advantage that it can be written with a light writing pressure, and has a characteristic of good writing taste. However, there is a drawback that a direct current phenomenon in which the ink flows gently from the pen tip and a reverse flow phenomenon in which the air flows in from the tip of the ballpoint pen and the ink flows out easily occur. A method of preventing these phenomena by using a bundle of fibers called batting is used.
Further, if left in a cap-off state, there is a problem that the vapor pressure of the solvent is high and the solvent is leaked, so that the leading end is dried and the ink does not flow out, making it impossible to write.
[0005]
On the other hand, conventionally known oil-based ball-point pens have high resistance when the ball rotates when the ink flows out of the pen tip due to the high viscosity of the ink used for it being several thousand mPa · S or more. There is a drawback that writing is bad. In addition, there is a problem in that the amount of ink flowing out from the tip during writing is small, there is a dent phenomenon, the writing line is uneven, the writing density is low, and a high writing pressure is required.
As an improvement of the oil-based ball-point pen, recently, a ball-point pen for water-based ink called medium viscosity using an ink having an intermediate viscosity region between the above-mentioned water-based and oil-based (several mPa · S to several thousand mPa · S) has been developed. This is a ball-point pen using a relatively low-viscosity water-based ink having a characteristic that the viscosity is reduced by the rotation of the tip ball and the ink flows smoothly, that is, a so-called shear thinning property. However, since this ink has a drawback that the ink easily dries, a cap for sealing the writing tip is usually required. In addition, the amount of outflow of ink increases, and it is necessary to increase the diameter of the ink storage tube and increase the amount of ink to be filled in order to extend the writing life.
[0006]
As an improvement of the above-mentioned oil-based ballpoint pen, a ballpoint pen using a low-viscosity oil-based ink having excellent drying resistance can be considered. However, the outflow of the ink is increased, and the diameter of the ink storage tube is increased in order to extend the writing life. It is necessary to increase the thickness and the filling amount of the ink. In addition, since the viscosity of the ink is low, if the tip side faces downward and a gap is formed between the tip ball and the tip holding portion, the ink bleeds (direct current) or the amount of ink flowing out during writing increases. There are drawbacks.
[0007]
Since both the above-mentioned medium-viscosity aqueous ink and low-viscosity oil-based ink have low viscosities, there is a phenomenon that the ink easily flows backward or direct current. If the ink causes backflow or direct current, there is a risk of soiling clothes and the like. In addition, there is a drawback that handwriting is apt to occur due to drop or knock impact.
In addition, there is also a problem that clothes are stained when the device is mounted on a writing instrument and inserted into a breast pocket or the like with the writing tip protruding.
In addition, a medium-viscosity water-based ball-point pen is usually filled with a grease-like translucent non-drying substance called a follower at the rear end of an ink storage tube. What is necessary is just to consider the reduction of evaporation from the gap. For example, if a solvent having a considerably low vapor pressure such as an oil-based ballpoint pen is mainly used, the evaporation of the ink need not be considered. However, in the case of the water-based ink, water is the main solvent, and therefore, evaporation of water cannot be prevented only by selecting a low vapor pressure solvent.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to solve the above-mentioned problems of the prior art, that is, a plurality of substantially non-deformed writing bodies are mounted in a shaft, and a writing tip of each writing body easily comes out of a shaft tip opening. An object of the present invention is to provide a double-type writing instrument which is made possible and which is excellent in portability and usability.
In addition, there is no backflow of ink and no direct current phenomenon, the drying resistance of the pen tip is maintained and the cap can be removed and left alone, and the impact of drop impact, reverse flow of ink due to upward writing and direct current of ink are prevented. Construct a cursive medium of medium viscosity aqueous, low viscosity oily ballpoint pen with a mechanism,
A plurality of writing bodies having at least one ballpoint pen writing body are mounted on the shaft, and the writing tip of the ballpoint pen writing body is protruded and cannot be inserted into a breast pocket or the like, thereby contaminating clothes. It is possible to provide a convenient double-type writing instrument without any.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The dual writing instrument of the present invention is a multiple writing instrument in which a plurality of writing elements are mounted on a shaft, and each writing tip can be alternately protruded and retracted from a tip opening. The tip is swingably inserted into the shaft without swinging, and the tip is swingably provided at the tip of the shaft. It is characterized by being configured to protrude from the end opening.
[0010]
An aqueous ballpoint pen having a so-called shear-thinning viscosity, which has a tip for holding the tip ball and an ink storage tube in the rear, and the viscosity of the tip ball is reduced and flows out by rotation of the tip ball during writing into the ink storage tube. A ballpoint pen writing body that is filled with ink or a low-viscosity oil-based ink and is filled with a follower made of a grease-like translucent non-drying substance that moves at the rear end of the ink following consumption of the ink accompanying writing. A plurality of cursives including at least one are mounted.
[0011]
In addition, two types of ballpoint pen writing bodies are mounted, and a front shaft, a rear shaft, and an inner hole of the rear shaft are disposed so as to be rotatable within a range of about 180 degrees with respect to the rear shaft, and are provided on a shaft peripheral surface. A rotating shaft with a cam groove, an operating body fixed to the rear end of the rotating shaft protruding from the rear end of the rear shaft, and the operating body and the rotating shaft held only rotatable with respect to the rear shaft, A pair of sliding pieces formed on the inside where the projections engaging with the cam grooves of the rotary shaft are respectively opposed are guided by the inner hole of the rear shaft so as to be able to move only forward and backward, and in front of each sliding piece. Each writing body is provided so as to be linked with the sliding piece, and each of the sliding pieces alternately moves back and forth by the rotation of the rotation shaft accompanying the rotation of the operating body, so that each writing body moves back and forth. It is characterized by comprising.
[0012]
In addition, a clip extending from one side of the operating body toward the front of the rear shaft, and a bulging portion provided at a predetermined position on the rear shaft peripheral surface in contact with the forward end of the clip are provided, and the operating body is rotated. Only when the writing tip protrudes from the tip opening, the forward end of the clip is concealed by the recess provided in the bulging portion so that the clip cannot be easily inserted into the breast pocket or the like. Features.
[0013]
Also, in the writing pen of a ball-point pen, the tip ball always has a spring provided so as to press and contact the inner edge of the ball holding portion at the tip end of the tip, and to release the close contact during writing.
Further, a valve chamber in which a ball valve is loosely fitted is provided in contact with the rear end of the chip, and a ball valve is closely attached to the rear of the valve chamber to prevent a backflow of ink. A guide hole is provided to communicate with the tube.
[0014]
【Example】
First, FIGS. 1 to 5 show a first embodiment of the present invention. In FIG. 1, two ballpoint pen writing bodies 1a and 1b are provided.
The double-type writing implement intended by the present invention is a so-called water-based liquid having a so-called shear thinning property, or a ball-point writing body filled with a low-viscosity oil-based ball-point pen ink, a normal oil-based ball-point writing body, a mechanical pencil, or the like, if necessary. Is used.
[0015]
1 includes a
A male screw 32 is formed at a front portion of the
Further, a spherical shaft support 49b is formed at the tip of the
[0016]
Further, a
In addition, mountain-shaped bulging
[0017]
The rotating
It should be noted that increasing the rotation angle of the
[0018]
The
[0019]
Accordingly, the
The sliding
[0020]
The rotating
At this time, the locking
Further, the rear ends of the ballpoint pen writing bodies 1a, 1b are fixed to the
[0021]
When one of the cursive writings is a mechanical pencil, it is necessary to shift the
[0022]
FIG. 6 shows a second embodiment. Basically, it is the same as the first embodiment, and differences will be described in the operation described later.
[0023]
Next, the ballpoint pen writing body 1a will be described. Note that the ballpoint pen writing bodies 1a and 1b have the same configuration, for example, different ink colors.
The ink applied to the ballpoint pen writing material is a water-based, low-viscosity oil-based ink having a so-called shear thinning property.
[0024]
As shown in FIG. 5, the
[0025]
Further, the tip of the
[0026]
The front end of the joint 2 has a
Further, behind the inner hole of the
[0027]
The
The
[0028]
Further, the ink storage portion of the
[0029]
[Action]
When the operating
[0030]
1 and 3, the
[0031]
Next, when the rotating
[0032]
When the
[0033]
In the second embodiment shown in FIG. 6 described above, the swelling
The shape of the clip is not limited to the shape of the embodiment. For example, if the locking concave portion is formed in a spherical groove, a dovetail groove, or the like, and the tip or the ball portion of the clip to be engaged is formed in a shape to engage with it, However, it does not spread and makes a state where the clip cannot be inserted in the breast pocket at all.
[0034]
Further, in the state where the
[0035]
In a writing state in which the
In this state, the tip ball 11 is brought into close contact with the inner edge of the chip holding portion by the pressing of the
[0036]
On the back surface of the tip ball 11, there is a channel (a seat for the tip ball having a plurality of ink inflow grooves penetrating toward the inner hole of the chip), and a
[0037]
【The invention's effect】
The configuration and operation of the double-type writing instrument of the present invention are as described above. By swinging the tip, the substantially non-deformed writing body tip can easily appear and disappear, and a convenient double-type writing instrument is portable and easy to use. Can be provided with the thickness of the shaft body satisfying the above.
In addition, it is equipped with a ballpoint pen writing material using water-based, low-viscosity oil-based ink with so-called shear-thinning, no writing, no drawing lines, no writing scratches, and no need for a cap, and the writing tip is unnecessary. It is possible to appear and disappear, and it is possible to prevent an accident that stains the inside of the shaft cylinder, hands, clothes, and the like due to the direct current of ink, the upward writing, knocking, and the reverse flow of ink with respect to the impact of dropping.
Further, in the state where the operating body is rotated and the writing tip protrudes from the tip end of the tip, the tip of the clip is hidden by the recess provided in the bulging portion, so that the clip can be easily or completely removed. Since it cannot be inserted into the breast pocket or the like, the writing tip is not inserted into the breast pocket or the like while protruding, so that an accident that stains clothes is prevented.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view showing the entirety of a double-type writing instrument according to a first embodiment of the present invention, which is partially not shown in section. In addition, two kinds of ballpoint pen cursives are mounted.
FIG. 2 is a cross-sectional view taken along the line CC in FIG. 1, but shows a state in which a writing body is not fixed to the sliding
FIG. 3 is a sectional view taken along line BB in FIG. 1; Also, the position of the clip accompanying the rotation of the operating body is shown.
FIG. 4 is a sectional view taken along the line AA in FIG.
FIG. 5 is a longitudinal sectional view of the ballpoint pen writing body 1a.
FIG. 6 is a longitudinal sectional view showing a rear half portion of the double-type writing instrument according to the second embodiment, which is partially not shown in section.
[Explanation of symbols]
1a Ballpoint pen writing body 1b Ballpoint
44b clip (position)
45
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