JP3583165B2 - エンジンの排気ガス浄化用触媒装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はエンジンの排気ガス浄化用触媒装置、特に車両等に搭載するエンジンにおいて冷間始動時に触媒の活性化を促進し浄化性能を高めるためにガス温度の高い上記側の排気マニホールド出口部にメタルキャタを直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用等のエンジンの排気系には排気ガス浄化用触媒を設けるのが普通であり、その排気ガス浄化用触媒としては、例えば、Pt(白金)、Rh(ロジウム)等の貴金属を触媒成分としてセラミック担体に担持させたものが一般的である。
【0003】
ところが、このような触媒は所定の活性温度に達するまでは十分に機能せず、したがって、エンジン冷間始動時の排気ガス浄化性能に問題が生ずる。
【0004】
そこで、ガス温度の高い上流側の排気マニホールド出口部にメタルキャタを直接連結し、このメタルキャタに高温の排気ガスを当てることによって触媒活性速度を高め冷間始動時の浄化性能を高めるようにする試みが従来から行われている。特開平2−256815号公報に記載されたV型内燃機関の排気ガス浄化装置はその一例である。
【0005】
上記特開平2−256815号公報に記載されたV型内燃機関の排ガス浄化装置では、V型内燃機関が車両前部に車両に対し横置きに搭載され、その後側バンクの排気通路上流部(排気マニホールド)に始動時活性化促進用のサブ触媒としてメタルキャタ等で構成するスタートキャタが設けられ、前側バンクの排気通路と後側バンクの排気通路との合流部位にメイン触媒である触媒コンバータが設けられ、上流側の高温排気ガスによってスタートキャタを早期に活性温度まで上昇させ、その活性温度に達したスタートキャタの反応熱によって排気ガスを加熱し、加熱した排気ガスを触媒コンバータの中央部に導くことで触媒コンバータを加熱し早急に活性温度まで上昇させるようにしている。
【0006】
メタルキャタは、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体に触媒成分を担持させたものであって、それ自体よく知られている。このメタルキャタは、ケーシング(キャタケースという。)と担体との熱膨張差が少なく、セラミック担体を用いる場合のようなケーシングと担体との間のマット状詰め物が必要でなくて小型化できるため、スペースをとらず、V型エンジンのように排気通路が両側に分かれ排気系が複雑になるような場合に有利である。そのため、V型エンジンの排気マニホールドに触媒を直付けする場合はメタルキャタが用いられることが多い。
【0007】
また、それとは別に、キャタケース外周にグラスウール等の断熱材を巻くことにより走行風等の外流から遮蔽して触媒活性を向上させるというものが従来から知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
冷間始動時等の排気ガス浄化性能を向上させるためには、上述のように排気マニホールド直付けでメタルキャタを配設することが有効であると考えられ、そのような試みが従来から行われているが、このように排気マニホールド直付けでメタルキャタを設けた場合、特に、メタルキャタが車両走行時に受ける外風(走行風という。)が当たる位置に配置されたものである場合に、メタル製の平板と波板により形成される担体に疲労破壊が起き易いという問題が発生している。しかし、従来、このようなメタルキャタの疲労破壊がどのようなメカニズムで発生するのかが十分に解明されておらず、有効な対策を施すことができなかった。
【0009】
本発明は、排気マニホールド直付けのメタルキャタにおける上記問題点を解決するためのものである。
【0010】
すなわち、本発明は、排気マニホールド直付けのメタルキャタの疲労破壊を防止することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、排気マニホールド直付けのメタルキャタに発生する疲労破壊のメカニズムがつぎのようなものであることを解明した。
【0012】
まず、メタルキャタの担体を構成する平板と波板の接合部で図1の(a)に示すように平板(f)が波板cに押されて変形する。この現象は図の(b)にAで示すように、メタルキャタの周縁側で発生する。
つぎに、図1の(c)に示すように平板fは波板cとのロー付部分の両側にクラックが入り破損する。
【0013】
このような現象から、メタルキャタの疲労破壊は担体を構成する平板にクラックが発生することによるものであることが明らかである。そして、そのクラックの発生はメタルキャタの上流部で外周側から中心側へ向けての温度勾配が大きくなり熱膨張差で特定の範囲に応力が集中するためであることが判明した。
【0014】
排気マニホールド直付きのメタルキャタの場合には、キャタの位置は一般に排気マニホールドの曲がり部に近く、そのために、キャタ担体の上流部に排気ガスがこのように不均一に当たる。そして、排気ガスが不均一に当たることで、キャタ担体の特定部位に高温部が発生し、一方、キャタ外周側は熱逃げが生ずるので、キャタ外周側と上記高温部との間の温度勾配が大きくなって熱膨張差で担体要素が変形し、特定範囲で応力が集中してクラックが発生する。また、メタルキャタが、ケーシング外周の車両走行時に外風すなわち走行風が当たる位置で排気マニホールドに直付けされている場合には、走行風による冷却作用を受けるためにキャタ外周側の熱逃げが大きく、そのために、外周側と上記高温部との間の温度勾配が一層大きくなり、クラックが一層発生し易くなる。また、メタルキャタは、一般に上述のようにメタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体にPt,Rh等の触媒成分を担持させるものであり、その担体は、過度に剛性が高いと熱応力が集中して破壊する可能性が大きくなるため、排気流入方向の下流部では平板と波板を接合することはせずに、上流部および周縁側の数巻き分の範囲で平版と波板の接点をろう付するのが普通であるが、その場合には、キャタ上流部で平板と波板がろう付されていることによって内外温度差による熱応力が大きくなり、特に温度勾配の大きい特定部位でのクラック発生の可能性が大きくなる。
【0015】
図2は、上述のクラック発生のメカニズムを実証的に示す実験例のデータである。また、図3は、この実験例におけるキャタ配設構造を示し、図4はそのキャタ内に流入する排気ガスの流速分布状態を示す。
【0016】
上記実験例は、V型エンジンを横置きで車両前部に搭載し、従来構造のメタルキャタを排気マニホールド直付けで配設した場合に関するものであって、キャタ前方には走行風から遮蔽するためのインシュレータが設けられている。また、この例では、図4に示すようにメタルキャタは走行風の中心に対し外側に偏心した位置にあり、しかも、メタルキャタに流入する排気ガスの流れは不均一で、前方内側に偏向したものとなっている。図4では、メタルキャタの軸線に直角な断面を格子状に分割し各領域の流速を相対値で示している。
【0017】
図2において、(e)は上記メタルキャタの上流部の軸方向段面構造図であって、水平方向の位置はキャタ外周側から中心側にかけての各部位を示している。そして、図2の(d)は、上記(e)に示す部位を横軸にとって外周側から中心部(Pc)にかけての各部の温度を示すものである。この例では外周に近いP1とP2の二つの部位の間で温度差ΔTが204℃で、この間で温度勾配が著しく大きい。そして、図2の(c)はやはり上記部位を横軸にとって各部の熱伸びを示すものである。温度勾配の大きいP1,P2間で熱伸び差すなわち熱膨張差が大きくなる。図2の(a)に示すように、応力集中はP1,P2間で特に顕著である。また、図2の(b)に示すように温度が高くなると担体の材料強度が低下する。そして、(d)に示す部位P1(温度528℃)と部位P2(温度732℃)とでは材料強度の差が大きく、外側のP1での強度が大きいのに対して内側のP2での強度が著しく小さい。そのため、その間は応力集中によりクラックが発生し易い状態となる。そして、このように材料強度が著しく変化する偏曲領域に応力が集中することによって、クラックが発生し、繰り返しガス圧を受けることによって疲労破壊が起きる。
【0018】
本発明者は、排気マニホールド直付けのメタルキャタにおける疲労破壊のメカニズムが上述のようなものであることを踏まえ、この疲労破壊の要因であるクラックの発生を防止するためにはメタルキャタの上流部における外周側から中心側へ向けての温度勾配を緩和することが不可欠であるとの知見を得た。そして、上記課題解決のためのつぎのような手段に想到し、この手段によって所期の目的を達成した。
【0019】
すなわち、本発明の請求項1に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成し少なくとも排気流入方向の上流部で平板と波板との接点をろう付したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆い該担体の上流部端面から下流部端面へ排気ガスを流す構成としてなるメタルキャタを使用し該メタルキャタを排気ガスの主流が前記担体の上流部に該担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置で排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの上流部における排気ガスの主流が担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置の側のケーシング外周側の断熱性を他の位置の側のケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の排気ガスの主流がオフセットして当たる位置の側に断熱材を配設したことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項2に係るエンジンの排気浄化用触媒装置は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆ってなるメタルキャタを使用し該メタルキャタを排気ガスの主流が前記担体の上流部に該担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置で排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの上流部におけるケーシング外周側の断熱性を該メタルキャタの下流部におけるケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の上流側および下流側に断熱材を配設し、上流側の断熱材は下流側の断熱材よりも断熱性の高いものを用いたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項3に係るエンジンの排気浄化用触媒装置は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆ってなるメタルキャタを使用し該メタルキャタを排気ガスの主流が前記担体の上流部に該担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置で排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの上流部におけるケーシング外周側の断熱性を該メタルキャタの下流部におけるケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の上流側および下流側に断熱材を配設し、上流側の断熱材は下流側の断熱材よりも厚さが大のものを用いたことを特徴とする
【0022】
また、本発明の請求項4に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆い該担体の上流部端面から下流部端面へ排気ガスを流す構成としてなるメタルキャタを使用し該メタルキャタをそのケーシング外周に車両走行時の外風が当たる位置で、出力軸を挟んでV型をなす左右のバンクにそれぞれシリンダ列を配置したV型エンジンの排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの周辺の前記外風が当たる側にのみ断熱材を配設したことを特徴とする。
【0023】
これらエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記断熱材は前記メタルキャタのケーシング外周面に配設したものとするのが好適である。
【0024】
【作用】
本発明の請求項1に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、メタル製の平板および波板を巻き合わせて形成した担体の上流部に排気ガスがオフセットして当たることによって助長される担体上流部の温度勾配が、メタルキャタの上流部における排気ガスの主流が担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置の側のケーシング外周側の断熱性を他の位置の側のケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の排気ガスの主流がオフセットして当たる位置の側に配設された断熱材によって緩和され、そのため、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し担体の疲労破壊に至るのが防止される。
【0025】
また、本発明の請求項2、3に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成した担体の上流部に排気ガスがオフセットして当たることによって助長される担体上流部の温度勾配が、メタルキャタの上流部におけるケーシング外周側の断熱性をメタルキャタの下流部におけるケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺に配設された断熱材によって緩和され、そのため、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し担体の疲労破壊に至るのが防止される。この場合、メタルキャタ周辺の上流側および下流側に配設されるものについては上流側の断熱材が下流側の断熱材よりも断熱性の高いものとされ(請求項2)、あるいは、上流側の断熱材が下流側の断熱材よりも厚さが大のものとされる(請求項3)ことにより、キャタ全体が過度に断熱され耐熱限界を越えてしまって溶損したり極端に強度が落ちて破損するような事態を招くことなしに熱応力の集中によるクラックの防止が効果的に達成される。また、メタルキャタが、担体を構成する平板と波板との接点が少なくとも上流部でろう付されて、例えば上流部および周縁側の数巻分のみがろう付されたものである場合は、ろう付されたことがキャタ上流部での熱応力を一層増大させる要因になるが、このような場合でも、上記断熱材の作用で温度勾配が緩和されることにより、過度の応力集中が回避され、クラックの発生が防止される。
【0026】
また、本発明の請求項4に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、メタルキャタの平板と波板を巻き合わせて形成した担体を囲むケーシング外周に走行風が当たることによって助長される担体の温度勾配が、メタルキャタの周辺に配設された断熱材によって緩和され、そのため、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し、それが担体の疲労破壊の要因となるのが防止される。この場合、断熱材が、V型エンジンにおいて、メタルキャタの周辺の走行風が当たる側にのみ配設されることにより、メタルキャタが過度に断熱され耐熱限界を超えて溶損あるいは破損に至るのを防止しつつ熱応力集中によるクラックの防止が効果的に達成される。
【0027】
断熱材によるこのような作用は、断熱材がメタルキャタの外周に配設されたことによるもので、特にケーシング外周面に直接断熱材が配設された場合に顕著である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0029】
実施例1.
図5は本発明の実施例1のエンジンの平面図である。
【0030】
実施例1は、横置き配置で車両前部に搭載したV型6気筒エンジンに適用したものであって、図5において、1はエンジン本体であり、図の上下方向に延びる図示しない出力軸(すなわち、クランクシャフト)を挟んでV型をなすよう左右にバンク2,3を構成し、各バンク2,3にはそれぞれ3気筒直列のシリンダ列が配置されている。また、エンジン本体1には、Vバンクの外側に左右バンク2,3のそれぞれの排気マニホールド4,5が接続され、各排気マニホールド4,5の下方に向いた出口部には、直付けで垂直にメタルキャタ6,7がそれぞれ連結されている。これらメタルキャタ6,7は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体8,9にPt,Rh等の触媒成分を担持させたものであって、担体8,9は排気流入方向の上流部および周縁側の数巻き分の範囲で平版と波板の接点がろう付され、下流部は接合しない開放構造である。また、これらメタルキャタ6,7には、担体8,9を囲むキャタケース10,11の外側にインシュレータ12,13が設けられている。
【0031】
この実施例1のエンジンは、左バンク(すなわち、図5の水平方向左側のバンク)2を前側とし車両進行方向に対し出力軸を直角にする横置き配置で車両前部に搭載されるもので、図5に矢印で示す方向から走行風を受ける。したがって、車両進行方向前側に位置する左バンク2の排気マニホールド4に直付けされたメタルキャタ6には走行風が直接当たり、その冷却作用を受ける。この前側のメタルキャタ6は走行風の中心に対し外側に偏心した位置にあり、そのため、この前側のメタルキャタ6に対し走行風の冷却作用は前方内側により大きく作用する。この実施例1では、前側のメタルキャタ6の上流部周囲で、インシュレータ12とキャタケース10の間に断熱材としてグラスウール14が配設されている。一方、後側のメタルキャタ7は、インシュレータ13とキャタケース11との間が空間15となっている。
【0032】
図6はこの実施例1における左バンク2側のメタルキャタ6の配設構造を示す断面図である。このメタルキャタ6は、上述のようにメタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体8に触媒成分を担持させたものであって、担体8は排気流入方向の上流部および周縁側の数巻き分の範囲で平版と波板の接点がろう付されている。例えば図6における一点鎖線の外側の領域sがろう付の範囲である。メタルキャタ6は、担体8を囲む筒状キャタケース10の上端が排気マニホールド4の出口部に嵌入され電気溶接されている。図6の16がその溶接部である。キャタケース10は担体8の外周全面を覆うもので、下端側がろう付により担体8に接合されている。また、キャタケース10の下端は図示しない排気管に接続される出口コーン17に嵌入され電気溶接にって接合されている。図6の18がその溶接部である。また、グラスウール14は、装着可能に上下に分割されたものがメタルキャタ6の上流部においてキャタケース10の外周面に配設され、断面コの字状で2分割構造のガイド19によって保持されている。上記ガイド19は、グラスウール14をメタルキャタ6の上流部外周面に保持した状態で図示しないボルトにより一体結合されるもので、各半割部はインシュレータ12にスポット溶接で固定される。
【0033】
この実施例1によれば、排気マニホールド直付けのメタルキャタであることにより、メタル製の平板および波板を巻き合わせて形成した担体8の上流部に排気ガスが不均一に当たることによって助長される担体上流部の温度勾配がグラスウール14によって緩和され、そのため、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し疲労破壊に至るのが防止される。そして、断熱材であるグラスウール14が、直接走行風を受ける前側のメタルキャタ6に対してのみ設けられたことによって、後側のメタルキャタ7を不必要に断熱することがなく、コスト低減も達成される。
【0034】
実施例2.
図7は本発明の実施例2のエンジンの平面図である。
【0035】
実施例2は、やはり横置き配置で車両前部に搭載したV型6気筒エンジンに適用したものであり、エンジンの基本的な構造は実施例1と同様である。すなわち、図7において、1はエンジン本体であり、図の上下方向に延びる図示しない出力軸を挟んでV型をなすよう左右にバンク2,3を構成し、各バンク2,3にはそれぞれ3気筒直列のシリンダ列が配置されている。また、エンジン本体1には、Vバンクの外側に左右バンク2,3のそれぞれの排気マニホールド4,5が接続され、各排気マニホールド4,5の下方に向いた出口部には、直付けで垂直にメタルキャタ6,7がそれぞれ連結されている。これらメタルキャタ6,7は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体8,9に触媒成分を担持させたものであって、担体8,9は排気流入方向の上流部および周縁側の数巻き分の範囲で平版と波板の接点がろう付けされ、下流部は接合しない開放構造である。また、これらメタルキャタ6,7には、担体8,9を囲むキャタケース10,11の外側にインシュレータ12,13が設けられている。そして、エンジンは、左バンク(すなわち、図7の水平方向左側のバンク)2を前側とし車両進行方向に対し出力軸を直角にする横置き配置で車両前部に搭載されるもので、図7に矢印で示す方向から走行風を受け、したがって、車両進行方向前側に位置する左バンク2の排気マニホールド4に直付けされたメタルキャタ6には走行風が直接当たり、その冷却作用を受ける。また、この前側のメタルキャタ6は走行風の中心に対し外側に偏心した位置にあり、このメタルキャタ6に対し走行風の冷却作用は前方内側により大きく作用する。
【0036】
この実施例2では、前側のメタルキャタ6の上流部周囲であって、走行風が直接当たる前面側にのみ、インシュレータ12とキャタケース10の間に断熱材としてグラスウール14が配設されている。後側のメタルキャタ7のインシュレータ13とキャタケース11との間は空間15となっている。
【0037】
この実施例2の場合の左バンク2の排気マニホールド4に直付けされるメタルキャタ6の配設構造は、基本的には実施例1で説明した図6のものと同様である。そして、この場合のグラスウール14は、やはり、装着可能なよう上下に分割されたものがメタルキャタ6の上流部においてキャタケース10の外周面に配設されて、断面コの字状で一体構造のガイドによって保持され、そのガイドはインシュレータ12にスポット溶接される。
【0038】
この実施例2によれば、排気マニホールド直付けのメタルキャタであることにより、メタル製の平板および波板を巻き合わせて形成した担体8の上流部に排気ガスが不均一に当たることによって助長される担体上流部の温度勾配がグラスウール14によって緩和され、そのため、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し疲労破壊に至るのが防止される。そして、断熱材であるグラスウール14が、直接走行風を受ける前側のメタルキャタ6に対してのみ設けられたことによって、後側のメタルキャタ7を不必要に断熱することがなく、コスト低減も達成され、また、断熱材であグラスウール14が前側のメタルキャタ6の周辺の走行風が当たる側にのみ配設されたことにより、このメタルキャタ6が過度に断熱され耐熱限界を超えて溶損あるいは破損に至るのを防止しつつ熱応力集中によるクラックの防止が効果的に達成される。
【0039】
実施例3.
図8は本発明の実施例3のエンジンの平面図である。
【0040】
実施例3は、やはり横置き配置で車両前部に搭載したV型6気筒エンジンに適用したものであって、エンジンの基本的な構造は実施例1と同様であり、図3において、1はエンジン本体を示す。また、2は一方のバンク(左バンク)であり、4はそのバンク2に接続された排気マニホールド、6はこの排気マニホールド4の下方に向いた出口部に直付けで垂直に連結されたメタルキャタ6である。図示しないが、もう一方のバンク(右バンク)の排気マニホールドにもメタルキャタが連結されている。
【0041】
図示した上記メタルキャタ6は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体8に触媒成分を担持させたものであって、担体8は排気流入方向の上流部および周縁側の数巻き分の範囲で平版と波板の接点がろう付けされ、下流部は接合しない開放構造である。また、このメタルキャタ6には、担体8を囲むキャタケース10の外側にインシュレータ12が設けられている。そして、エンジンは、左バンク(すなわち、図7の水平方向左側のバンク)2を前側とし車両進行方向に対し出力軸を直角にする横置き配置で車両前部に搭載されるもので、図8の右から左に向かう方向に走行風を受け、したがって、車両進行方向前側に位置するバンク2の排気マニホールド4に直付けされたメタルキャタ6には走行風が直接当たり、その冷却作用を受ける。
【0042】
走行風を受ける前側のメタルキャタ6は、走行風の中心に対し外側に偏心した位置にあり、したがって、このメタルキャタ6に対し走行風の冷却作用は前方内側により大きく作用する。また、このメタルキャタ6は、排気ガスの主流が担体8の上流部に該担体8の軸芯に対してオフセット(偏心)して当たる位置で排気マニホールド4に直接連結されている。図8にはこのメタルキャタ6の上部の軸線に直角な断面を格子状に分割したときの各領域の流速を相対値で示す。
【0043】
この実施例3では、前側のメタルキャタ6の上流部周囲の、走行風が直接当たる前面側で、かつ、排気ガスの主流が担体8の軸芯に対してオフセットして当たる位置の側にのみ、インシュレータ12とキャタケース10の間に断熱材としてグラスウール14が配設されている。
【0044】
この実施例3の場合の左バンク2の排気マニホールド4に直付けされるメタルキャタ6の配設構造は、基本的には実施例1で説明した図6のものと同様である。そして、この場合のグラスウール14は、やはり、装着可能なよう上下に分割されたものがメタルキャタ6の上流部においてキャタケース10の外周面に配設されて、断面コの字状で一体構造のガイドによって保持され、そのガイドはインシュレータ12にスポット溶接される。
【0045】
この実施例3によれば、排気マニホールド直付けのメタルキャタであることにより、メタル製の平板および波板を巻き合わせて形成した担体8の上流部に排気ガスが不均一に当たることによって助長される担体上流部の温度勾配がグラスウール14によって緩和され、そのため、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し疲労破壊に至るのが防止される。そして、断熱材であるグラスウール14が、直接走行風を受ける前側のメタルキャタ6に対してのみ設けられたことによって、後側のメタルキャタ7を不必要に断熱することがなく、コスト低減も達成され、また、断熱材であグラスウール14が前側のメタルキャタ6の周辺の走行風が当たる側で、かつ、排気ガスの主流が担体8の軸芯に対してオフセットして当たる位置の側にのみ配設されたことにより、このメタルキャタ6が過度に断熱され耐熱限界を超えて溶損あるいは破損に至るのを防止しつつ熱応力集中によるクラックの防止が効果的に達成される。
【0046】
実施例4.
図9は本発明の実施例4のエンジンの平面図である。
【0047】
実施例4は、横置き配置で車両前部に搭載した直列4気筒エンジンに適用したものである。図9において、101はエンジン本体であり、図の上下の方向にシリンダ列が配置されている。また、エンジン本体101には、図において左側方に排気マニホールド104が接続され、この排気マニホールド104の下方に向いた出口部には、直付けで垂直にメタルキャタ106が連結されている。このメタルキャタ6は、メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体108に触媒成分を担持させたものであって、担体108は排気流入方向の上流部および周縁側の数巻き分の範囲で平版と波板の接点がろう付され、下流部は接合しない開放構造である。また、メタルキャタ106には、担体108を囲むキャタケース110の外側にインシュレータ112が設けられている。このエンジンは、排気マニホールド104が配置された側を前側とし車両進行方向に対し出力軸を直角にする横置き配置で車両前部に搭載されるもので、図9に矢印で示す方向から走行風を受け、したがって、排気マニホールド104に直付けされたメタルキャタ106には走行風が直接当たり、その冷却作用を受ける。また、メタルキャタ106は走行風の中心に対し外側に偏心した位置にあり、メタルキャタ106に対し走行風の冷却作用は前方内側により大きく作用する。
【0048】
この実施例4では、メタルキャタ106の上流部周囲であって、走行風が直接当たる前面側にのみ、インシュレータ112とキャタケース110の間に断熱材としてグラスウール114が配設されている。
【0049】
この実施例4の場合のメタルキャタ6の配設構造は、基本的には実施例1で説明した図5のものと同様である。そして、この場合のグラスウール114は、やはり、装着可能に上下に分割されたものがメタルキャタ106の上流部においてキャタケース110の外周面に配設されて、断面コの字状で一体構造のガイドによって保持され、そのガイドはインシュレータ112にスポット溶接される。
【0050】
この実施例4によれば、排気マニホールド直付けのメタルキャタであることにより、メタル製の平板および波板を巻き合わせて形成した担体108の上流部に排気ガスが不均一に当たることによって助長される担体上流部の温度勾配がグラスウール114によって緩和され、そのため、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し疲労破壊に至るのが防止される。そして、断熱材であるグラスウール114がメタルキャタ106の周辺の走行風が当たる側にのみ配設されたことにより、メタルキャタ106が過度に断熱され耐熱限界を超えて溶損あるいは破損に至るのを防止しつつ熱応力集中によるクラックの防止が効果的に達成される。
【0051】
(その他の実施例)
上記実施例1〜4では、メタルキャタの温度勾配を緩和するための断熱材としてグラスウールを用いたものを説明したが、グラスウールでなくても、メタルキャタのキャタケースとインシュレータの間が単に空間であるよりも断熱性を高くし得る断熱材であれば使用することが可能である。また、好適な断熱材は、耐熱性および耐熱性の高いものであり、そのような断熱材としては、グラスウール以外にセラミック等がある。
【0052】
また、上記実施例1〜4では、メタルキャタの上流側にグラスウールを配設したものを説明したが、グラスウールあるいはその他の断熱材をキャタ上流側および下流側に配設し、上流側の断熱材を下流側の断熱材よりも断熱性の高いものとしたり、上流側の断熱材を下流側の断熱材よりも厚さが大であるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施例1〜4では、グラスウールをキャタケースの外周面に配設したものを説明したが、キャタケース間との吹き抜け防止対策を講じてグラスウール等の断熱材をキャタケース外周面から離した配置とすることも可能であり、断熱材以外の手段でキャタケース外周側の断熱性を高め、あるいはメタルキャタの温度勾配を緩和するようにすることも可能である。
【0054】
また、上記実施例1〜4では、横置きのV型エンジンあるいは横置きの直列エンジンについて説明したが、本発明はその他の横置きあるいは縦置きエンジンにも適用し得る。
【0055】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、メタル製の平板および波板を巻き合わせて形成した担体の上流部に排気ガスがオフセットして当たることによって助長される担体上流部の温度勾配を、メタルキャタの上流部における排気ガスの主流が担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置の側のケーシング外周側の断熱性を他の位置の側のケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の排気ガスの主流がオフセットして当たる位置の側に配設された断熱材によって緩和することができ、それにより、内外熱膨張差に起因する応力集中によってクラックが発生し担体の疲労破壊に至るのを防止することができる。
【0056】
また、本発明の請求項2、3に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、メタル製の平板および波板を巻き合わせて形成した担体の上流部に排気ガスがオフセットして当たることによって助長される担体上流部の温度勾配を、メタルキャタの上流部におけるケーシング外周側の断熱性をメタルキャタの下流部におけるケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺に配設する断熱材によって緩和することができ、それにより、内外熱膨張差に起因する応力集中によってメタルキャタ担体にクラックが発生し疲労破壊に至るのを防止することができる。
【0057】
そして、本発明の請求項2に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、上流側の断熱材を下流側の断熱材よりも断熱性の高いものとすることにより、キャタ全体が過度に断熱され耐熱限界を越えて溶損したり極端に強度が落ちて破損するのを防止しつつ、熱応力の集中によるクラックの防止を効果的に達成することができる。
【0058】
また、本発明の請求項3に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、上流側の断熱材を下流側の断熱材よりも厚さが大のものとすることにより、キャタ全体が過度に断熱され耐熱温度を越えて溶損したり極端に強度が落ちて破損するのを防止しつつ、熱応力の集中によるクラックの防止を効果的に達成することができる。
【0059】
また、本発明の請求項4に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、メタルキャタの平板と波板を巻き合わせて形成した担体を囲むケーシング外周に走行風が当たることによって助長される担体の温度勾配を、メタルキャタの周辺に配設された断熱材によって緩和することができ、それにより、内外熱膨張差に起因する応力集中によって排気マニホールド直付けのメタルキャタにクラックが発生し疲労破壊に至るのを防止することができる。
【0060】
また、本発明の請求項4に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、断熱材を、メタルキャタの周辺の走行風が当たる側にのみ配設することにより、メタルキャタが過度に断熱され耐熱限界を超えて溶損あるいは破損に至るのを防止しつつ、熱応力集中によるクラックの防止を効果的に達成することができる。
【0061】
また、本発明の請求項4に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、V型エンジンにおいて、断熱材を、メタルキャタの周辺の走行風が当たる側にのみ配設することにより、メタルキャタが過度に断熱され耐熱限界を超えて溶損あるいは破損に至るのを防止しつつ、熱応力集中によるクラックの防止を効果的に達成することができる。
【0062】
また、本発明の請求項5に係るエンジンの排気ガス浄化用触媒装置によれば、断熱材をケーシング外周面に配設することによって、上記効果を一層確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタルキャタの熱による疲労破壊の現象を説明する図
【図2】メタルキャタのクラック発生のメカニズムを実証する実験例のデータ
【図3】メタルキャタのクラック発生のメカニズムを実証する実験例におけるキャタ配設構造を示す図
【図4】メタルキャタのクラック発生のメカニズムを実証する実験例においてキャタ内に流入する排気ガスの流速分布を示す図
【図5】本発明の実施例1のエンジンの平面図
【図6】本発明の実施例1におけるメタルキャタの配設構造を示す断面図
【図7】本発明の実施例2のエンジンの平面図
【図8】本発明の実施例3のエンジンの平面図
【図9】本発明の実施例4のエンジンの平面図
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 バンク
4 排気マニホールド
6 メタルキャタ
8 担体
10 キャタケース(ケーシング)
12 インシュレータ
14 グラスウール(断熱材)
19 ガイド
101 エンジン本体
104 排気マニホールド
106 メタルキャタ
108 担体
110 キャタケース(ケーシング)
112 インシュレータ
114 グラスウール(断熱材)
Claims (5)
- メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成し少なくとも排気流入方向の上流部で平板と波板との接点をろう付したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆い該担体の上流部端面から下流部端面へ排気ガスを流す構成としてなるメタルキャタを使用し該メタルキャタを排気ガスの主流が前記担体の上流部に該担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置で排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの上流部における排気ガスの主流が担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置の側のケーシング外周側の断熱性を他の位置の側のケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の排気ガスの主流がオフセットして当たる位置の側に断熱材を配設したことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化用触媒装置。
- メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆ってなるメタルキャタを使用し該メタルキャタを排気ガスの主流が前記担体の上流部に該担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置で排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの上流部におけるケーシング外周側の断熱性を該メタルキャタの下流部におけるケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の上流側および下流側に断熱材を配設し、上流側の断熱材は下流側の断熱材よりも断熱性の高いものを用いたことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化用触媒装置。
- メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆ってなるメタルキャタを使用し該メタルキャタを排気ガスの主流が前記担体の上流部に該担体の軸芯に対してオフセットして当たる位置で排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの上流部におけるケーシング外周側の断熱性を該メタルキャタの下流部におけるケーシング外周側の断熱性よりも高めるようメタルキャタ周辺の上流側および下流側に断熱材を配設し、上流側の断熱材は下流側の断熱材よりも厚さが大のものを用いたことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化用触媒装置。
- メタル製の平板と波板を巻き合わせて形成したハニカム状の担体に触媒成分を担持させ該担体の外周全面をキャタケースで覆い該担体の上流部端面から下流部端面へ排気ガスを流す構成としてなるメタルキャタを使用し該メタルキャタをそのケーシング外周に車両走行時の外風が当たる位置で、出力軸を挟んでV型をなす左右のバンクにそれぞれシリンダ列を配置したV型エンジンの排気マニホールドに直接連結したエンジンの排気ガス浄化用触媒装置において、前記メタルキャタの周辺の前記外風が当たる側にのみ断熱材を配設したことを特徴とするエンジンの排気ガス浄化用触媒装置。
- 前記断熱材は前記メタルキャタのケーシング外周面に配設したものである請求項1,2,3または4記載のエンジンの排気ガス浄化用触媒装置。
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