JP3582494B2 - 製紙工程における抗菌処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は製紙工程における抗菌処理方法に関し、特に2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(以下、DBNPAと略記する場合がある)抵抗性微生物の増殖を的確に判定し、この微生物に最適な抗菌剤を使用して抗菌処理する製紙工程における抗菌処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗菌処理の対象系において同じスライムコントロール剤を使用し続けていると、この薬剤に対して抵抗性を有する微生物が生育するようになり、ついには対象系内の優占微生物が抵抗性菌に遷移し、薬剤の効果が低減する場合がある。製紙工場では2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)を主成分とする抗菌剤が広く使用されており、このDBNPA抵抗性微生物に対する対処が課題となっている。
【0003】
従来、抵抗性微生物に対する対処は主に経験的判断によって行われている。例えば、ある抗菌剤Aで処理が行われている抄紙機において、操業時またはシャットダウン時に汚染が観察されたり、または薬注直後の白水中の殺菌率が低下した場合、抵抗性微生物の発生により抗菌剤Aが有効に作用していないと判断し、別の抗菌剤Bに代替する方法が採られている。この場合、代替抗菌剤Bの選定は抄紙機からスライムまたは白水を採取し、各種抗菌剤の殺菌試験および増殖抑制試験を行い、その結果から判断されている。
【0004】
このような方法は経験的判断によるもので主観的であり、本当に抵抗性微生物の発生による汚染であるかどうかを明確にすることはできない。また汚染の度に殺菌試験および増殖抑制試験を繰り返して行って代替抗菌剤を選定する必要があるので、時間と手間がかかっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、製紙工程中に存在する中心的なDBNPA抵抗性微生物の増殖を的確に判定することができ、この微生物に対する抗菌剤を経験的判断に頼ることなく、かつ殺菌試験および増殖抑制試験を省略して的確に選定し、これにより最適な抗菌剤を使用して効率よく抗菌処理することができる製紙工程における抗菌処理方法を提案することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の製紙工程における抗菌処理方法である。
(1) 製紙工程で発生する微生物を抗菌剤により抗菌処理する方法において、
抗菌剤を適用している対象系から、定期的または任意の時点で、微生物を含む試料を採取し、この試料中の微生物に占めるDeinococcus geothermalisの存在比率を測定し、このDeinococcus geothermalisの存在比率に増加傾向が認められる場合、Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤を使用する
製紙工程における抗菌処理方法。
(2) 製紙工程で発生する微生物を抗菌剤により抗菌処理する方法において、
抗菌剤を適用する対象系から微生物を含む試料を採取し、この試料中の微生物に占めるDeinococcus geothermalisの存在比率を測定し、このDeinococcus geothermalisの存在比率が5%以上である場合、Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤を使用する
製紙工程における抗菌処理方法。
(3) Deinococcus geothermalisが、その16S rDNAの塩基配列中に、配列表の配列番号1に示す塩基配列と98%以上の相同性を有する塩基配列を有する細菌である上記(1)または(2)記載の抗菌処理方法。
(4) 対象系が、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドを主成分とする抗菌剤を用いて抗菌処理を行っている処理系である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の抗菌処理方法。
(5) Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤が四級アンモニウム塩系界面活性剤または無機ハロゲン系化合物を有効成分とする抗菌剤である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の抗菌処理方法。
(6) 四級アンモニウム塩系界面活性剤がジデシルジメチルアンモニウムクロリドである上記(5)記載の抗菌処理方法。
(7) 無機ハロゲン系化合物が臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを反応させて得られる化合物である上記(5)記載の抗菌処理方法。
(8) Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤は、それを選定する際、少なくともDeinococcus geothermalisに対する抗菌剤の有効濃度のデータが蓄積されているデータベースを検索し、Deinococcus geothermalisに対して有効濃度が入力されている抗菌剤を抽出し、この中から選定する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の抗菌処理方法。
(9) データベースは、微生物の生育に及ぼす環境条件ごとに抗菌剤の有効濃度のデータが蓄積されており、指定された環境条件の中から抗菌剤を抽出するものである上記(8)記載の抗菌処理方法。
(10) データベースには、Deinococcus geothermalisに対する抗菌剤としてジデシルジメチルアンモニウムクロリド、および無機ハロゲン系化合物が臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを反応させて得られる化合物の有効濃度のデータが少なくとも蓄積されている上記(8)または(9)記載の抗菌処理方法。
【0007】
本明細書において、「微生物」は細菌、酵母、糸状菌(カビ)、藻類およびアーキア(古細菌)等を含む。
また「抗菌剤」は上記微生物に対する殺生物作用および/または増殖抑制作用を有する薬剤を意味し、一般に抗菌剤、殺菌剤、静菌剤、抑制剤、スライムコントロール剤、防腐剤などと称されているものが含まれる。
また「抗菌」は上記微生物を死滅させることおよび/または増殖を抑制することを意味する。
【0008】
また「微生物相」は対象系または試料中の個々の微生物の種類と構成比および含有量(微生物数または微生物量の割合)を示す意味で用いられているが、優占微生物の種類と構成比および含有量、または特定微生物の種類と構成比および含有量を示す意味で用いられる場合もある。
また「処理実績の結果」および「処理効果」はともに対象系に抗菌剤を使用した場合の効果を意味する。この効果は、例えばスライムコントロール剤の場合、一定期間内におけるスライム成長量(微生物量でもスライム厚さでも可)の差で表してもよい。ある一定の成長量に達するまでの期間で表してもよい。またスライムが対象系で発生することによって生じる障害内容の程度によって示すことも含まれる。
【0009】
本発明の抗菌処理方法が適用できる対象系は、紙を製造する製紙工程において抗菌剤を使用して抗菌処理する処理系であれば特に制限されない。製紙工程は、通常、パルプに填料や薬品を添加して紙の原料をつくる調成工程、抄紙機で紙を抄く抄紙工程、および紙の表面を塗料等で覆って印刷適性をよくする塗工工程などの工程にさらに分類されるが、このいずれの工程でもよい。具体的には、白水の抗菌処理などがあげられる。
【0010】
製紙工場ではDBNPAを主成分とするスライムコントロール剤を使用して抗菌処理が広く行われているが、このような系でどのようなDBNPA抵抗性微生物が生息しているか、従来知られていなかった。発明者はDBNPAを主成分とする抗菌剤を使用している製紙工程中の微生物を調査した結果、DBNPAに対して抵抗性を有するスライムには、特定の16S rDNA塩基配列を有する細菌が優占種として存在することを明らかにし、この細菌がDBNPAに対して顕著な抵抗性を有することを見い出した。この細菌はDeinococcus属に属しDeinococcus geothermalisに分類される細菌であった。国内のある製紙工場から分離されたこの細菌の16S rDNAの部分塩基配列を配列表の配列番号1に示すが、本発明で述べるDeinococcus geothermalisはこの部分塩基配列と98%以上の相同性を有する塩基配列を有することで特徴づけられる細菌である。
【0011】
なお、「Bergey’s Manual Determinative Bacteriology」の第8版にDeinococcus属は記載されているが、Deinococcus geothermalisの記載はない。Deinococcus geothermalisという名称は、1997年にFerreiraら(International Journal of Systematic Bacteriology、47巻、4号、939−947ページ)によって提唱されたDeinococcus属の一種であり、本明細書においてもその名称を用いている。
上記Ferreiraらの文献によれば、Deinococcus geothermalisの一般性状は次の通りである。
・グラム陽性の球菌
・4個のペアを形成する
・運動性はない
・胞子形成能はない
・最適生育温度:30〜55℃
・オキシダーゼ、カタラーゼが陽性
・コロニーはBergey’s medium 162においてオレンジ色を呈する
【0012】
本発明の抗菌処理方法では、まず抗菌剤を適用する対象系から微生物を含む試料を定期的または任意の時点で採取し、試料中に含まれる微生物に占めるDeinococcus geothermalisの存在比率を測定する。例えば、白水、スライムなどを試料として採取し、浮遊微生物またはスライム構成微生物に占めるDeinococcus geothermalisの存在比率を測定する。
【0013】
Deinococcus geothermalisの存在比率は、種々の公知の方法で求めることができる。例えば、次の方法により存在比率を求めることができる。
1)試料を平板培養して形成されたコロニー数に対するDeinococcus geothermalisのコロニー数から求める方法。
2)試料中の全DNAに占めるDeinococcus geothermalis固有のDNA量を測定する方法。
3)Deinococcus geothermalisだけが有する特定のDNA塩基配列をプライマーやプローブとして、定量PCRや古典的ハイブリダイゼーションを行い、初発のDNAコピー数として菌数を求める方法。
4)Deinococcus geothermalisだけが有する特定のDNA塩基配列をプローブとして、FISH(フルオレセント インサイチュウ ハイブリダイゼーション)によって細胞数を求める方法。
【0014】
前記1)の方法では、まず試料を平板培養して形成されたコロニーから複数、例えば20〜100個のコロニーを分離し、各コロニーの16S rDNAの塩基配列を決定する。次に、この塩基配列に基づいてコロニー毎の微生物を同定し、分析したコロニーの個数に対するDeinococcus geothermalisのコロニーの数としてDeinococcus geothermalisの存在比率を求めることができる。この場合、Deinococcus geothermalisは、16S rDNAの塩基配列中に、配列表の配列番号1に示す塩基配列と98%以上の相同性を有する塩基配列を有することで特徴づけられる細菌である。
【0015】
塩基配列に基づいて微生物を同定するには、DNAの塩基配列と微生物との関係が蓄積されている公知の微生物系統分類のデータベース(以下、微生物検索データベースという場合がある)を利用することができ、この微生物検索データベースをパソコン等のコンピュータを用いて検索することにより微生物を同定することができる。後述する具体的な微生物検索データベースにはインターネットを介してアクセスすることができるので、迅速にデータを検索できる。後述する微生物検索データベースには、リボゾームRNA(以下、rRNAという)をエンコードするDNA(rDNAという)の塩基配列のデータが蓄積されているので、微生物の同定には試料から分離したrDNAの塩基配列を用いることができる。rDNAは微生物の種類、サブユニットの大きさによって数種類に分類されるが(16S rDNA、18S rDNAなど)、どの分子を用いても差し支えない。またrDNAだけに限定されず、rRNAのスペーサー配列またはgyrEなど他のDNA画分を利用した方法であってもよい。したがって、どのような微生物検索データベースを用いてもよいし、どれか単一のものに統一して用いることもできる。またさらに複数の微生物検索データベースを併用することもできる。
【0016】
前記微生物検索データベースとしては、GenBank、EMBL、DDBJなどの公的DNAデータベースや、ミシガン大学に設置されているRibosomal Database Projectなどがあげられる。検索操作はFASTA、BLAST等の既存のプログラムによって短時間に効率的に行うことができる。また、MicroSeq 16S rDNA Sequense Database(PEバイオシステムズ社)などの商用の微生物検索データベースを、MicroSeq Analysis Software(PEバイオシステムズ社、商標)などの市販のソフトウェアにより検索することもできる。なお微生物検索データベースを自身で構築してもよい。例えば、塩基配列データから、それに対応する微生物名または微生物を区別するための微生物番号が検索できるデータベースを公知のデータベースソフトウェアなどを用いて構築し、他の微生物検索データベースと併用することもできる。
対象系から採取した試料から微生物コロニーを単離して分離株の該当DNA配列を決定し、得られた結果を微生物検索データベースと照合して微生物を同定することができる。rDNAは大腸菌等の宿主ベクター系を用い古典的クローニング操作によって単離・増幅することもできるが、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)などの試験管内DNA増幅方法によって増幅させる方が簡便である。
【0017】
前記2)の存在比率を求める方法では、対象系から採取した試料から微生物の全DNAを抽出し、特定の塩基配列をPCR増殖してDeinococcus geothermalis固有のDNA量を測定することにより、Deinococcus geothermalisの存在比率を求めることができる。混合rDNAから個々の微生物のrDNAを分離する方法には一般に電気泳動が用いられるが、これにはいくつかの方法が提案されている。例えば、DGGE法(Denatured Gradient Gel Electrophoresis:Muyzerら、Applied and Environmental Microbiology誌、59巻、695〜700ページ、1993年)、TGGE法(Temperature Gradient Gel Electrophoresis:Eichnerら、Applied and Environmental Microbiology誌、65巻、102〜109ページ、1999年)、SSCP法(Single Strand Conformational Polymorphism:Schwiegerら、Applied and Environmental Microbiology誌、64巻、4870〜4876ページ、1998年)、TRFLP法(Terminal Restriction Fragment Polymorphism:Liuら、Applied and Environmental Microbiology誌、63巻、4516〜4522ページ、1997年)、またはランダムクローニング法(Dunbarら、Applied and Environmental Microbiology誌、65巻、1662〜1669ぺージ、1999年)などが提案されている。DGGE法やTGGE法で観察されるDNAバンドの量がもとの微生物数を反映していると解釈されるので、DNAバンドの積算量に対するDeinococcus geothermalisに該当するDNAバンドの濃度の比を構成比として捉えることができる。このようなバンド濃度を測定するためには市販のデンシトメータやスキャナーに連動した画像解析装置(例えばImage Master(アマシャムファルマシアバイオテク社製、商標)など)を用いることができる。また、蛍光試薬を結合したDNAプライマーを用いたり、電気泳動後の染色に蛍光物質を利用した場合は、その蛍光量をDNA量としてFluorImager(アマシャムファルマシアバイオテク社製、商標)などの蛍光イメージアナライザーで直接測定することもできる。ランダムクローニング法であれば、Deinococcus geothermalis由来のDNAを保持するクローン数を計測し、全クローン数に対する割合として算出することができる。
【0018】
前記3)の存在比率を求める方法では、Deinococcus geothermalisだけが有する特定のDNA塩基配列をプライマーやプローブとして定量PCRや古典的ハイブリダイゼーションを行い、あらかじめ既知濃度の微生物細胞またはDNAを標準物質として同条件で反応させることにより、試料中の初発の細胞数またはDNA量を推測することが可能である。全微生物細胞数または全DNA量に対するこれらの比を算出することによって構成比を求めることができる。プライマーやプローブに利用できるDeinococcus geothermalisだけが有する特定のDNA塩基配列としては、この細菌が特異的に保持するDNAを利用することができる。また16S rDNAやgyrE遺伝子など全ての微生物が保持しているDNAのうち、他の微生物と比較してDeinococcus geothermalisだけに特異的に観察される領域を測定して利用することができる。
【0019】
前記4)の存在比率を求める方法では、Deinococcus geothermalisだけが有する特定のDNA塩基配列をプローブとしたFISH法によって、Deinococcus geothermalisの細胞だけを特異的に蛍光標識し、一定視野範囲における細胞数を顕微鏡下に直接計測し、初発の菌体濃度を推測することができる。公知の方法、例えば平板培地を用いたコロニー計数法、MNP法、DAPI・アクリジンオレンジ等の蛍光物質による染色後の微生物細胞を顕微鏡下で定量計測する方法などによって計測された全微生物に対する比率としてDeinococcus geothermalisの構成比を算出することができる。
【0020】
上記のようにして測定したDeinococcus geothermalisの存在比率を前回、またはそれ以前の存在比率と比較し、大きな変化が認められない場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が5%未満の場合は、DBNPA抵抗性菌の増殖が認められないとして、現行の抗菌処理を継続して行う。
一方、Deinococcus geothermalisの存在比率に増加傾向が認められる場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が5%以上の場合は、DBNPA抵抗菌の増殖が認められるとして、抗菌剤をDeinococcus geothermalisに抗菌作用を有する抗菌剤に切り替えて抗菌処理を行う。
【0021】
またDeinococcus geothermalisの存在比率が前回の存在比率と比較して減少傾向が認められる場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が5%未満に低下した場合は、DBNPA抵抗菌が抗菌処理されたとして、DBNPAなどの別の抗菌剤に切り替えて抗菌処理を行う。
またDeinococcus geothermalisに抗菌作用を有する抗菌剤を使用して抗菌処理しているにもかかわらず、Deinococcus geothermalisの存在比率が前回の存在比率と比較して減少傾向が認められない場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が低下していない場合は、抗菌剤をDeinococcus geothermalisに抗菌作用を有する別の抗菌剤に切り替えて抗菌処理を行う。
【0022】
本発明で使用する抗菌剤はDeinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有するものが制限なく使用できる。このような抗菌剤は殺菌試験および/または増殖抑制試験等によりスクリーニングすることができる。スクリーニングに使用される抗菌剤は既知のスライムコントロール剤およびその母剤が適しているが、これまでにスライムコントロール剤として使用されていない化合物や未知の素材でも差し支えない。
【0023】
Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤としては四級アンモニウム塩系界面活性剤または無機ハロゲン系化合物を有効成分とする抗菌剤などがあげられる。具体的には、四級アンモニウム塩系界面活性剤としてはジデシルジメチルアンモニウムクロリドなどがあげられる。また無機ハロゲン系化合物としては臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを反応させて得られる化合物、好ましくは等モル反応させて得られる化合物などがあげられる。
【0024】
本発明の抗菌処理方法では、Deinococcus geothermalisに対する抗菌剤の有効濃度のデータが蓄積されているデータベース(以下、抗菌剤検索データベースという場合がある)を予め作成しておき、このデータベースを検索して抗菌剤を選定することもできる。
【0025】
上記抗菌剤検索データベースは、少なくともDeinococcus geothermalisに対応した各種抗菌剤の有効濃度が蓄積され、その抗菌剤をディスプレイなどの出力装置に出力することができるものであれば、どのような形式のものでもよい。有効濃度のデータは、培養試験から得られた有効濃度、処理実績から得られた有効濃度のいずれでもよい。
抗菌剤検索データベースには前記ジデシルジメチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム塩系界面活性剤、臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを等モル反応させて得られる化合物などの無機ハロゲン系化合物の有効濃度は蓄積しておく。
【0026】
有効濃度が入力されているということは、検索対象の微生物に対してその濃度で抗菌作用があることを意味するが、抗菌剤の濃度を複数設けて、その濃度における抗菌作用の有無または程度が入力されていてもよい。この場合、抗菌作用が認められる濃度において抗菌剤を抽出する。
【0027】
抗菌剤検索データベースは、微生物の生育に及ぼす環境条件ごとに抗菌剤の有効濃度のデータが蓄積されており、この環境条件を検索キーとしてキーボードなどの入力装置から入力すると、指定された環境条件の中から有効濃度が蓄積されている抗菌剤を抽出するものであるのが好ましい。環境条件の具体的なものとしてはpH、温度、製紙条件、基質の種類と濃度、および抗菌剤効力に影響を与える物質、例えば還元物質の濃度などがあげられる。上記製紙条件としては、抄紙の種類、抄造条件、サイズ剤、歩留向上剤、紙力向上剤など各種内添剤の種類と添加濃度、過去に使用していた抗菌剤の種類などがあげられる。なお、抗菌剤検索データベースに入力されている抗菌剤の有効濃度が培養試験から得られたデータである場合上記pH、温度などは培養条件に相当し、処理実績から得られたデータの場合上記pH、温度などは対象系の環境条件に相当する。
【0028】
環境条件がpHの場合、複数のpH条件における有効濃度が蓄積されているのが好ましい。例えば、pH5、pH6、pH7・・・におけるデータが蓄積されているのが好ましい。温度などの場合も、pHの場合と同様に複数の条件における有効濃度が蓄積されているのが好ましい。このように有効濃度に関するデータが環境条件ごとに蓄積されている場合、例えばpH6かつ温度20℃を選定条件とし、これらを検索キーにして抗菌剤を絞り込むことができる。
【0029】
また抗菌剤検索データベースは、対象系に使用した抗菌剤の濃度および抗菌剤使用前後のDeinococcus geothermalisの存在比率、ならびに処理実績の結果を入力すると、抗菌剤使用前後のDeinococcus geothermalisの存在比率の差を演算して記録し、この演算結果からDeinococcus geothermalisに対して抗菌剤の濃度が有効であったか否かを判定して追加、蓄積および修正できるものが好ましい。このような抗菌剤検索データベースを用いることにより、より適切な抗菌剤を選定することができる。
【0030】
また新たに、ある対象系に適用する抗菌剤を選定しようとする時に、対象系に抗菌効力を阻害したり、増大させる物質の共存がある場合は、上記抗菌剤検索データベースに集積され、過大評価または過小評価と判定されたデータ群は抗菌剤選定の重要な要素になり得るのでこれらも削除せずに集積することが好ましい。
【0031】
本発明で使用する抗菌剤検索データベースを構築するコンピューターソフトウェアとしては、Microsoft社製のMicrosoft ExelやMicrosoft Access(いずれも商標)などの市販のソフトウェアを使用できるが、これらに限定されるものではなく、目的にそったものであればどのようなものでも使用することができる。該当する各抗菌剤の効力、対象系の環境条件など、目的とする内容を検索する機能は、上記ソフトウェアに通常付随しているので、それらを利用することができ、不足するプログラムがある場合は、公知の方法を組み合わせて追加することもできる。
【0032】
抗菌剤検索データベースを使用する場合、環境条件などを検索キーとして入力し、抗菌剤検索データベースから抗菌剤を絞り込むことができる。抽出結果はディスプレイなどの出力装置に出力させることができる。抽出された抗菌剤が1種の場合はその抗菌剤を選定し、複数の場合はその中から選定する。抽出または絞り込まれた抗菌剤の中から実際に使用する抗菌剤の選定方法は任意であり、人が選定することもできるし、コンピュータで自動的に行うこともできる。具体的な選定方法としは、例えば次のような方法などがあげられる。
【0033】
1)Deinococcus geothermalisに対して最も低い最小有効濃度の抗菌剤を選定する。
2)「最小有効濃度×価格」が最小となる抗菌剤を選定する。この場合、処理コストを加味した選定を行うことができる。
【0034】
これらの選定方法は、抗菌剤検索データベースに機能の一部として組み込んでおくこともできる。
選定基準は、従来の長期にわたる経験の蓄積からとりあえず設定可能であるが、抗菌剤検索データベースのデータ集積数が少ない初期段階では、データが蓄積される度に処理成功率を目安に修正することが望ましい。
【0035】
上記のような方法により抗菌剤を選定することにより、対象系の条件に対して最も適切な抗菌剤を短時間で、かつ的確に選定することができる。
Deinococcus geothermalisの存在比率の測定は、定期的または任意の時点で繰り返して行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の製紙工程における抗菌処理方法は、Deinococcus geothermalisの存在比率を指標にして抗菌処理するようにしているので、最適な抗菌剤を使用して効率よく抗菌処理することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に本発明の抗菌処理方法を図面を用いて説明する。
図1は本発明の抗菌処理方法を適用する製紙装置の系統図であり、白水系を抗菌処理する場合の例である。
【0038】
図1の装置において、1は抄紙機、2は種箱、3は白水ピット、4は微生物相解析系、5は抗菌剤選定系、6は制御系である。7a、7b・・・は抗菌剤貯槽であり、抗菌剤の種類毎に複数設けられている。
【0039】
図1の装置では次のようにして紙が製造される。すなわち、連絡路11からパルプスラリーが種箱2で流量調整されて導入され、ポンプ12により連絡路13、14を通ってスクリーン装置15に送られ夾雑物が除かれた後、連絡路17からインレット18に送られる。このパルプスラリーがインレット18から抄紙機1のワイヤー21上に供給される。ワイヤー21を通過した白水はセーブーオール22で受けた後、連絡路23から白水ピット3に集められる。白水ピット3の白水は、一部は連絡路14中でパルプスラリーと混合され、循環使用される。残部は排水路24から排出される。ワイヤー21上に形成された紙層は後工程の乾燥工程(図示せず)などを経て紙製品とされる。
【0040】
上記のような製紙装置の抗菌処理は、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)が指定された濃度となるように、抗菌剤貯槽7aから薬注路27aを通して種箱2に添加されることにより行われる。添加されたDBNPAがパルプスラリーおよび白水に溶解して製紙装置を循環することにより、装置全体が抗菌処理される。DBNPAの添加および濃度の調整は、目的の濃度となるように、制御系6から信号をポンプ28aに送り、添加量を制御することにより自動的に行うこともできる。
【0041】
上記のようにして抗菌処理が行われている製紙装置において、白水ピット3から微生物を含む試料を採取し、微生物相解析系4で前記方法によりDeinococcus geothermalisの存在比率を求める。その結果に基づいて抗菌剤選定系5で抗菌剤を選定する。抗菌剤の選定は前記抗菌剤検索データベースを用いて行うこともできる。抗菌剤選定系5の結果が制御系6にインプットされ、選定された抗菌剤が指定された濃度となるように、抗菌剤貯槽7a、7b・・・から薬注路27a、27b・・・を通して種箱2に添加される。
抗菌剤選定系5において抗菌剤を選定するに際し、Deinococcus geothermalisの存在比率を前回、またはそれ以前の存在比率と比較し、大きな変化が認められない場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が5%未満の場合は、DBNPA抵抗性菌の増殖が認められないとして、DBNPAを添加して現行の抗菌処理を継続して行う。
【0042】
一方、Deinococcus geothermalisの存在比率に増加傾向が認められる場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が5%以上の場合は、DBNPA抵抗菌の増殖が認められるとして、DBNPAの添加を中止し、Deinococcus geothermalisに抗菌作用を有する抗菌剤を薬注路27bを通して種箱2に添加して抗菌処理を行う。
【0043】
またDeinococcus geothermalisの存在比率が前回の存在比率と比較して減少傾向が認められる場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が5%未満に低下した場合は、DBNPA抵抗菌が抗菌処理されたとして、薬注路27aからのDBNPAの添加を再開する。
【0044】
またDeinococcus geothermalisに抗菌作用を有する抗菌剤を使用して抗菌処理しているにもかかわらず、Deinococcus geothermalisの存在比率が前回の存在比率と比較して減少傾向が認められない場合、あるいはDeinococcus geothermalisの存在比率が低下していない場合は、別の抗菌剤に切り替える。例えば、薬注路27bからの抗菌剤の添加を中止し、Deinococcus geothermalisに抗菌作用を有する別の抗菌剤を薬注路27cを通して種箱2に添加する。この処理結果は、データベースなどに蓄積しておく。
【0045】
白水ピット3からの試料の採取は定期的または任意の時点で行い、続いて微生物相解析、抗菌剤の選定を行う。これにより、その時点における最も適した抗菌剤が選定され、最も効果的に抗菌処理を行うことができる。
【0046】
図1では白水ピット3から試料を採取しているが、スクリーン装置15、インレット18またはセーブオール22などから試料を採取してもよい。また図1では抗菌剤貯槽7a、7b・・・は3個設けられているが、2個または4個以上であってもよい。
【0047】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。
【0048】
実施例1
国内の15箇所の製紙工場の白水系からスライムを採取した。このスライムをリン酸緩衝液に懸濁し、終濃度20ppmのDBNPAを添加して30℃で30分間インキュベーションを行い、生存菌数をCFUとして計測した。またDBNPA無添加のブランクのCFUに対する生存菌数の割合を生存率(%)として求めた。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
*1 DBNPA濃度は20ppm(終濃度)
*2 生存率=(DBNPA添加系のCFU/ブランクのCFU)×100
【0050】
表1の結果からわかるように、12工場から採取したスライムでは生存率は1%以下であったが、3工場(D,G,M)では14〜42%の生存率であった。DBNPA添加系において形成されたコロニーは3工場ともその90%以上が淡い桃色のコロニーであった。
【0051】
上記のコロニーを工場毎に6個ずつ分離し、16S rDNAの部分塩基配列を決定した。その結果、各工場における分離菌株のDNA塩基配列は完全に一致した。また工場間でも99.1〜99.8%の相同性を示した。D工場から分離したNo.101株の16S rDNAの部分塩基配列をGenBankに登録されている既知の塩基配列と比較した結果、アクセッションナンバー「Y13040」で登録されているDe inococcus geothermalisと99.8%の相同性を有することがわかった。
これらの結果から、白水系のDBNPA耐性菌はDeinococcus geothermalisに分類される微生物であり、全国の白水系に分布していることがわかった。
【0052】
実施例2
3つの製紙工場の白水系から分離したDBNPA抵抗性菌3株(No.97株、No.101株、No.128株)を1/10PY培地で一昼夜振とう培養した。この培養液を菌濃度10E6〜10E7CFU/mlとなるようにリン酸緩衝液に懸濁し、各種スライムコントロール剤に対する殺菌試験を30℃で30分間の条件で行った。3株ともDBNPAに対して抵抗性が強く、90%を殺菌するのに必要な最少濃度(MKC)は、表2に示すように25ppm以上であった。しかし、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(以下、DDACと略記する)はすべての菌株に対して強い抗菌性を示し、MKCは1.2〜2.7ppmであった。また、臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを等モル反応させて得られる無機ハロゲン系化合物も効果が高く、MKCは残留塩素濃度換算で0.5〜5.6ppmであった。
【0053】
【表2】
*1 DBNPA:2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド
*2 DDAC:ジデシルジメチルアンモニウムクロリド
*3 無機ハロゲン系化合物:臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを等モル反応させて得られる無機ハロゲン系化合物
*4 OPA:オルトフタルアルデヒド
*5 ジチオール:4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン
*6 DBNE:2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール
*7 HPGHC:2−(p−ヒドロキシフェニル)グリオキシヒドロキシモイルクロリド
【0054】
実施例3
D工場の抄紙機の白水を連続的に採取し、300 liter容量のリザーバーに保持した。抄紙機の薬注期間中は持ち込みの薬剤の影響をなくすために取水を停止した。リザーバーから白水を一定流量で3連のスライムモニターに供給した。このスライムモニターは特開平9−75065号に記載されたトルク式スライム試験装置、すなわち静止した外部シリンダと、この外部シリンダ内に同軸的に設置された内部シリンダとを有し、外部シリンダと内部シリンダとの間に水を流通させるとともに内部シリンダを回転させて内部シリンダ表面にスライムを成長させるようにしたスライム試験装置を並列に3個設けた装置である。それぞれのモニターカップには、次の抗菌剤をそれぞれ注入した。
第一系:DBNPA、接触濃度15ppm
第二系:DDAC、接触濃度15ppm
第三系:臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを等モル反応させて得られる無機ハロゲン系化合物、接触濃度10ppm
【0055】
抗菌剤の注入は15分間×4回/日の間欠注入で行った。ローター部分に付着するスライム量をスライムモニターのトルク変化で評価した。トルクの経日変化を図2に示す。
【0056】
図2の結果からわかるように、第一系では、開始8日目からトルクの上昇が起こり、15日目には著量のスライムの付着が認められた。
しかし、第二および第三系では、それぞれ開始14日目および18日目からトルクの上昇が見られたが、どちらも上昇速度は低く、終了時(28日目)もトルク値は低く、表面に薄いスライムが付着しているだけであった。
【0057】
また付着したスライムの微生物相評価を行った。すなわち、スライムを緩衝液に懸濁してホモジナイズした後、寒天平板に塗布し、形成されたコロニー24個の16S rDNAの塩基配列を指標にしてコロニー毎の微生物を同定した。GenBankに登録されている16S rDNAの塩基配列によって同定したコロニー24個に対する各微生物のコロニーの数として各微生物の存在比率を求めた。結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
表3からわかるように、第一系ではDeinococcus geothermalis(表2のNo.128株と同じ塩基配列を有するもの)の存在比率は42%であったが、第二および第三系ではそれぞれ13%および8%に低下していた。
【0060】
実施例4
P工場の抄紙機(連続操業時間20日、K社DBNPA系抗菌剤で処理)の白水中の微生物相を約10日間隔で測定した。白水を希釈後、寒天平板に塗布し、形成されたコロニー24個の16S rDNA塩基配列を指標にしてコロニー毎の微生物をGenBankの塩基配列表をもとに同定した。同定したコロニー24個に対するDei nococcus geothermalisのコロニーの数としてDeinococcus geothermalisの存在比率を求めた。結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
*1 処理状況:サクションボックス内の汚れを次の4段階で評価した。
1;良好
2;やや汚れている
3;汚れている
4;非常に汚れている
【0062】
表4からわかるように、測定開始後40日目からはDeinococcus geothermalis(No.101株と同じ塩基配列を有するもの)が検出され始め、69日目には全菌数の21%に達し、増加の傾向が認められた。シャットダウン時のサクションボックス内の汚れも50日目以降悪化する傾向にあり、薄いピンク色の付着物が見られた。
【0063】
抗菌剤検索データベースで「最小有効濃度×価格」が最小となる抗菌剤を検索したところ、無機ハロゲン系化合物が選定された。そこで80日目から注入抗菌剤を臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを等モル反応させて得られる無機ハロゲン系化合物に換えて運転した。その結果、シャットダウン時の汚れは低減し、Deinococcus geothermalisの存在比率も次第に低下し、108日目から観察されなくなった。
【0064】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌処理方法を適用する製紙装置の系統図である。
【図2】実施例3の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 抄紙機
2 種箱
3 白水ピット
4 微生物相解析系
5 抗菌剤選定系
6 制御系
7a、7b・・・ 抗菌剤貯槽
11、13、14、17、23 連絡路
12 ポンプ
15 スクリーン装置
18 インレット
21 ワイヤー
22 セーブーオール
24 排水路
27a、27b・・・ 薬注路
28a、28b・・・ ポンプ
Claims (10)
- 製紙工程で発生する微生物を抗菌剤により抗菌処理する方法において、
抗菌剤を適用している対象系から、定期的または任意の時点で、微生物を含む試料を採取し、この試料中の微生物に占めるDeinococcus geothermalisの存在比率を測定し、このDeinococcus geothermalisの存在比率に増加傾向が認められる場合、Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤を使用する
製紙工程における抗菌処理方法。 - 製紙工程で発生する微生物を抗菌剤により抗菌処理する方法において、
抗菌剤を適用する対象系から微生物を含む試料を採取し、この試料中の微生物に占めるDeinococcus geothermalisの存在比率を測定し、このDeinococcus geothermalisの存在比率が5%以上である場合、Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤を使用する
製紙工程における抗菌処理方法。 - Deinococcus geothermalisが、その16S rDNAの塩基配列中に、配列表の配列番号1に示す塩基配列と98%以上の相同性を有する塩基配列を有する細菌である請求項1または2記載の抗菌処理方法。
- 対象系が、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドを主成分とする抗菌剤を用いて抗菌処理を行っている処理系である請求項1ないし3のいずれかに記載の抗菌処理方法。
- Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤が四級アンモニウム塩系界面活性剤または無機ハロゲン系化合物を有効成分とする抗菌剤である請求項1ないし4のいずれかに記載の抗菌処理方法。
- 四級アンモニウム塩系界面活性剤がジデシルジメチルアンモニウムクロリドである請求項5記載の抗菌処理方法。
- 無機ハロゲン系化合物が臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを反応させて得られる化合物である請求項5記載の抗菌処理方法。
- Deinococcus geothermalisに対して抗菌作用を有する抗菌剤は、それを選定する際、少なくともDeinococcus geothermalisに対する抗菌剤の有効濃度のデータが蓄積されているデータベースを検索し、Deinococcus geothermalisに対して有効濃度が入力されている抗菌剤を抽出し、この中から選定する請求項1ないし4のいずれかに記載の抗菌処理方法。
- データベースは、微生物の生育に及ぼす環境条件ごとに抗菌剤の有効濃度のデータが蓄積されており、指定された環境条件の中から抗菌剤を抽出するものである請求項8記載の抗菌処理方法。
- データベースには、Deinococcus geothermalisに対する抗菌剤としてジデシルジメチルアンモニウムクロリド、および無機ハロゲン系化合物が臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとを反応させて得られる化合物の有効濃度のデータが少なくとも蓄積されている請求項8または9記載の抗菌処理方法。
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