JP3581877B2 - 機能性分子輸送体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、機能性オリゴヌクレオチド用のキャリアーに関する。さらに詳しくは、本発明は各種疾患の原因となる遺伝子から転写されるmRNAに対して配列特異的な抑制機能を有するオリゴヌクレオチドを、安定にかつ効率よく標的細胞へ運搬する新規キャリアーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オリゴヌクレオチドを医薬品として用いるための基礎研究が活発に展開されてきており、ようやくその可能性を具体的に探索する段階にはいってきた。実際に、試験管レベルの実験においては、オリゴヌクレオチドの対溶媒安定性や標的塩基配列の選択等に関する化学的研究、細胞株を使用したオリゴヌクレオチドの膜透過性、安定性、細胞内分布等に関する基礎的研究の成果が数多く報告されている。
【0003】
オリゴヌクレオチドはそれ自身の安定性が低い理由ために、ヌクレアーゼなどによって生体内で分解されやすい。そこで、これを安定に効率良く目的の部位へ送達するためのキャリアーの開発は、オリゴヌクレオチドを医薬品として有効に利用するためには不可欠であり、極めて重要であると指摘されている。具体的には、キャリヤーによる機能性オリゴヌクレオチドの細胞膜透過性向上を含めた効率の良いターゲティングシステムの確立、キャリアーによる薬物オリゴヌクレオチドの安定性向上および細胞への取り込み効率の増加等が重要な課題とされている。
【0004】
従来の技術としては、生体膜類似の脂質二分子膜構造を有する構造体であるリポソームを利用したシステムが多く見られる。例えば、リポソームにオリゴヌクレオチド薬物を封入して安定性の向上をはかると同時に、リポソームを化学修飾することにより標的細胞に対する親和性を増したという報告例がある(Alain R. Thierry and Anatoly Dritschilo, Nucleic Acids Research 20, 5691−5698 (1992))。
【0005】
さらに、オリゴヌクレオチド薬物が負電荷を有することを利用し、正電荷を有する合成高分子との間で複合体を形成させることにより、標的となる細胞もしくは細胞内へ送達させることを試みた研究報告もある(Nature 271, 130−135 (1978)、J. Biol. Chem. 262, 4429−4432 (1987), J. Biol. Chem. 263, 14621−14624 (1988), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410−3414 (1990))。
【0006】
一方、生体由来のタンパク質をキャリアーとして利用する試みもある。例えば、下記文献においては、キャリアーとして核タンパク質であるヒストン等を用い、それをプラスミドDNA用のキャリアーとした研究を行なっている。
【0007】
1)Masaru Yamaizumi, et al., Nature 273, 782−784 (1978).
2)Yasufumi Kaneda, et al., SCIENCE 243, 375−378 (1989).
3)Mirjam Breeuwer and David S. Goldfarb, Cell 60,999−1008 (1990).
4)Jian Chen, et al., Human Gene Therapy 5, 429−435 (1994).
文献(1)においては、ヒストンの細胞核への移行が非常にスムーズに生じることが示されており、文献(2)においては、プラスミドDNAを封入したリポソームに核タンパク質を導入することにより、培養細胞への取り込みの向上をはかっている。文献(3)においては、ヒストンH1へチトクロムCを導入することにより、細胞核内への取り込みの向上をはかっている。文献(4)においては、ガラクトシル化したヒストンへプラスミドDNAを結合させることにより、細胞内への取り込みおよび遺伝子発現の向上について検討している。
【0008】
真核生物において、染色体のDNAはヒストンと結合し、クロマチンと呼ばれる複合体を形成している。ヒストンは通常、H1、H2a、H2b、H3、H4の5種類のサブユニットからなり、塩基性アミノ酸の比率がきわめて高いことが知られている。ヒストンが多くの正電荷を有することは、この分子の1つの主要な特徴である。そのために、DNA等負電荷を有する物質との間で相互作用することが可能となっている。H1以外のヒストンサブユニットの一次構造は、生物種が異なっても非常によく保存されており、異種の生物のヒストンサブユニットを組み合わせてもヒストン自体は再構成されることが知られている。また、ヒストンがタンパク質の一種であるにもかかわらず、特別な酵素活性をもたないことも広く知られており、これは、機能性オリゴヌクレオチド用キャリアーとしてヒストン利用する上で有利な特徴であると考えられる。さらに、ヒストンサブユニットのH1とH2aの一次構造中には、細胞核移行性シグナルとしての機能をもつアミノ酸配列が存在しているとの報告もある(Robert B. Moreland, et al., Molecular and Cellular Biology 7, 4048−4057 (1987))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
リポソームキャリヤーの場合、生体内に投与されたリポソーム自体の安定性が低いという大きな欠点がある。そこで最近では、様々な手法を用いることにより、酸化安定性、化学的安定性、生物的安定性およびコロイド化学的安定性の改良がなされており、生体内半減期の長いステルスリポソームや、抗体を表面に埋め込んで標的特異性の向上をはかったイムノリポソーム等も開発されているが、未だ実用化には至っていない。
【0010】
合成アミノ酸キャリヤーのような正電荷を有する高分子は、高い細胞毒性を有することが以前から指摘されている(Bio−conjugate Chem. 1, 149−153 (1990))。それと同時に、これら合成高分子が生体内へ投与される場合は、異物として認識されることにより、アナフェラキシーショック等の免疫系への影響も懸念される。
【0011】
天然タンパク質のヒストンの利用により先の2つの問題回避は予想される。しかしながら、オリゴヌクレオチドとヒストンとの単純な混合により形成される複合体は、生体内において非常に不安定であることが知られている。後の実施例でも示されるが、両者の単純な混合により形成した複合体は、高濃度の人血清中では数十秒のオーダーで分解した。この種の複合体は、既成の親ヒストンへオリゴヌクレオチドを添加することで形成するものであり、両者は単純な静電気的相互作用により表面的に結合していると考えられる。これはこ機能性オリゴヌクレオチド用キャリアーを開発する上で解決すべき課題として残されている。
【0012】
上述した従来技術をふまえ、本発明者らは種々の検討を行い、ヒストンサブユニットから親ヒストンが再構築される過程で機能性オリゴヌクレオチドを共存させることにより、その安定性の向上が可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の目的は、核タンパク質であるヒストンをオリゴヌクレオチド薬物用キャリアーとして使用するにあたり、オリゴヌクレオチド自身の安定性を向上させるための技術を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、鋭意研究した結果、本発明者らは特定の順序でヒストンサブユニットを混合することにより安定な機能性オリゴヌクレオチド用ヒストンキャリヤーが得られることを発見して本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、ヒストンサブユニットをH2a→H2b→H3→H4→H1の順で混合して親ヒストンを再構築することを特徴とする機能性オリゴヌクレオチド用ヒストンキャリヤーの製造方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、上記方法の過程において機能性オリゴヌクレオチドを共存させて得られるヒストンキャリヤーと機能性オリゴヌクレオチドとの複合体を提供する。
【0016】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の機能性オリゴヌクレオチド用ヒストンキャリヤーの製造方法は、ヒストンサブユニットの混合順序に特徴を有する。上述したように、ヒストンはH1、H2a、H2b、H3およびH4の5種類のサブユニットからなっており、これらのサブユニットをH2a→H2b→H3→H4→H1の順で混合して親ヒストンを再構築する。ただし、H2aとH2bとの順序は逆であってもよいが、まずH2aとH2bとの混合物を作成することが必要である。次いでこの混合物にH3、H4、H1の順序でサブユニットを添加する。サブユニットの混合方法としては、5の階乗すなわち120通りが考えられるが、ヒストンの再構築においては本発明の方法以外の順序で混合した場合には、白濁や沈殿を生じてヒストンの生成が観察されなかった。本発明のヒストンキャリアーの製造方法を図1に模式図として示す。本発明の方法により調製した再構築ヒストンが天然のヒストンと同じ立体構造をとることを円偏光二色性(CD)測定を用いて確認した。
【0018】
本発明のヒストンキャリアーシステムを構築するために用いるヒストンサブユニットの例としては、ベーリンガーマンハイム社製のヒストンH1、ヒストンH2a、ヒストンH2b 、ヒストンH3 、ヒストンH4が挙げられる。また、正しい構造のヒストンが再構築されたかの確認に用いるため、同社製のヒストンズ(構築済みヒストン)も比較のために用いた。
【0019】
本発明の方法でヒストンキャリアーを製造するには、まず、各ヒストンサブユニットをイオン強度0.01〜0.1、好ましくは0.02のリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解後、それぞれの濃度が約5×10−6〜1×10−4M、好ましくは1×10−5Mになるように調整する。ヒストンの再構築は、H2a溶液とH2b溶液を混合した後、これに対してH3溶液を、それからH4溶液を、最後にH1溶液を添加する順序で行う。これらサブユニット溶液の混合に際しては、各サブユニットが等モル数になるようにあらかじめ調製する必要がある。本発明により得られる再構築されたヒストンは機能性オリゴヌクレオチドのキャリアーとして有用である。
【0020】
また、本発明のヒストンキャリアーと機能性オリゴヌクレオチドとの複合体を製造するには、上述したヒストンキャリアー製造の過程で機能性オリゴヌクレオチドを添加する。機能性オリゴヌクレオチドの添加はH2a、H2bを混合した後であって、かつH1を添加する前に行うことが必要である。H2aとH2bの混合物に機能性オリゴヌクレオチドを添加し、次いでH3、H4、H1の順序でサブユニットを添加するのが最も好ましい。
【0021】
機能性オリゴヌクレオチドとは、生体内で一定の生物学的機能を果たすべく設計されたオリゴヌクレオチドをいい、例えば、各種疾患の原因となる遺伝子から転写されるmRNAに対して配列特異的な抑制機能を有するアンチセンスDNAやリボヌクレオチドなどが挙げられる。本発明で使用する機能性オリゴヌクレオチドの長さは15〜40塩基が好ましい。これらの機能性オリゴヌクレオチドは市販のDNA合成機を用いて公知の方法で合成することができる。
【0022】
なお、一連の操作は室温付近で行う。
【0023】
機能性オリゴヌクレオチドとして用い得るモデルオリゴヌクレオチドの合成とその標識を以下の方法により行った。
【0024】
[モデルオリゴヌクレオチドの合成]
図2に示した配列のオリゴヌクレオチドを、DNA合成機(アプライドバイオシステムズ社製タイプ380Bまたはタイプ392)を用いて合成した。アミダイト試薬には、全て、ミリポア社のものを用いた。図2ではアデノシンンヌクレオチドをA、グアノシンンヌクレオチドをG、シチジンヌクレオチドをC、ウリジンヌクレオチドをUと記載している。これらは、2’ー水酸基の保護基としてtーブチルジメチルシリル基を用いたホスホロアミダイト法(Nucleic Acid Res.vol.177059−7071 (1989))により合成した。
【0025】
これは、32塩基からなるリボヌクレオチド(R32)であり、部分的に特異な立体構造を形成することが知られている(Nature, vol.372, 68−74 (1994))。また、オリゴヌクレオチドの精製は文献(Nucleic Acid Res. vol.19, 5125−5130(1991))に記載された方法に従った。
【0026】
[オリゴヌクレオチドの標識]
オリゴヌクレオチドの標識は、オリゴヌクレオチド(1.83OD260ユニット,5pmol)27.3μl、オートクレーブした精製水15.7μl、10×キナーゼ緩衝液(250mMトリス塩酸緩衝液:pH7.6、100mM DTT、T4ポリヌクレアーゼ溶液(100unit/μl)1μl、γー32PーATP1μlを混合後、37℃にて1時間反応させて行った。オリゴヌクレオチドへの32Pのラベルには宝酒造株式会社のT4−ポリヌクレオチドキナーゼキット(Code No. 2030)を用いた。
【0027】
【実施例】
実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0028】
【0029】
実施例1:ヒストンキャリアーおよびヒストン複合体の調製
5種類のヒストンサブユニットをイオン強度0.02のリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解後、それぞれの濃度が1×10−5M/Lになるように調整する。各サブユニットおよびオリゴヌクレオチド溶液(約5pmol/μl)を図3に示すように、様々な順序で混合した。
【0030】
得られる生成物の白濁、沈殿生成を360nmにおける吸光度測定により分光学的に行った。
【0031】
吸光度測定の結果を図3に示す。横軸はヒストンサブユニットの混合順序を、縦軸はその混合における280nmの吸光度すなわち系の濁りを示す。サブユニットの混合方法としては、5の階乗すなわち120通りが考えられるが、ヒストンの再構築において、H2a→H2b→H3→H4→H1以外の順序で混合した場合、その系は白濁した。これに対し、先の規則性を基に混合した場合、その系においては白濁、沈殿物の生成は全く観測されなかった。また、上記濃度のオリゴヌクレオチドをH2aとH2bの混合溶液に添加後、H3、H4、H1の順で各サブユニットを混合することによりヒストンキャリヤーとオリゴヌクレオチドとの複合体(オリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体)の調製を行ったが、その系においても白濁、沈殿物の生成は観測されなかった。これらの結果から、本発明の規則的な順序による混合により再構築ヒストンが得られることが示され、同時にそのオリゴヌクレオチド薬物用キャリアーシステムとしての利用の可能性が示された。
【0032】
【0033】
実施例2:円偏向二色性(CD)測定
溶液中のヒストンタンパク質の立体構造はCD測定により検討した。CD測定装置には日本分光工業株式会社のJー720型を、セルには光路長1mmの円筒型セルを用い、25℃の条件で200〜250nmの波長領域において4回のスキャンを行い、CDスペクトルを求めた。
【0034】
αーヘリックス等の二次構造の含量は、Yahnらの参照スペクトルを使ったCDスペクトルのカーブ・フィッティッング法により求めた。
【0035】
図4は、市販の構築済みヒストン(a)、実施例1により調製した本発明のH2a→H2b→H3→H4→H1の順序で再構築された再構築ヒストン(b)、実施例1により調製したモデルオリゴヌクレオチド薬物のR32を共存させた再構築ヒストンすなわちオリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体(c)のCDスペクトルを示す。3つのCDスペクトルは、この測定装置の精度内で完全に一致した。この結果から、再構築ヒストンの立体構造は、構築済みヒストンのそれと少なくとも二次構造レベルで同じ立体構造であることが示された。さらに、オリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体は、オリゴヌクレオチドを含まない再構築ヒストンと同じ立体構造をとることも示された。この結果は、再構築ヒストンが構築済みヒストンすなわち天然ヒストンと似た生理活性機能を持つことを示唆するものである。
【0036】
【0037】
実施例3:オリゴヌクレオチドの安定性
再構築ヒストンをキャリアーシステムとして利用した際の、オリゴヌクレオチドの安定性への効果に関する検討は、以下の方法によりヒト血清中で評価した。
【0038】
まず、32Pで標識したR32を実施例1に記載した方法で共存させてヒストンキャリヤ−を再構築した。次に、再構築ヒストン溶液の適当量を最終的に90%のヒト血清濃度になるように添加し、調製した。この溶液は37℃でインキュベート後、適時適量のサンプリングを行った。
【0039】
また、再構築ヒストンからのオリゴヌクレオチドR32の遊離は次の操作により行った。ヒストンサブユニットは透過せず、R32のみを透過する分画能を有する限外ろ過用チューブ(日本ミリポアリミテッド製ウルトラフリーC3ーGCUFC3TGC00)に、あらかじめ32P−ATPで標識したR32を薬物モデルとしたオリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体溶液の適量を添加した。そして、その溶液に対して終濃度が7.2M以上になるように塩酸グアニジン(和光純薬工業株式会社 075−2431)溶液を添加した後、3,000rpmで15分間遠心した。この時、塩酸グアニジンの添加によりR32が遊離し、結果としてヒストンから遊離したR32のみがろ過される。ろ過したサンプル液は分析するまでー80℃にて保存した。分析時には、それらサンプルを室温にて溶解後、それを20%のポリアクリルアミドにアプライして電気泳動した。そして、フジ写真フィルム社製のバイオイメージングアナライザBAS2000により残存R32を定量し、これから未分解のR32の量を算出した。これらの検討結果を図5に示す。
【0040】
最終濃度90%のヒト血清中において、R32は非常に短い時間で分解した。また、ヒストンに共存させていないR32は、やはり、非常に短い時間で分解した。構築済みヒストンもしくは再構築ヒストンの溶液に対して、後からR32の溶液を添加して形成させた場合、R32は、それら表面へ単純にイオン結合していた可能性の高いことが予想される。
【0041】
これに対し、ヒストン再構築時にR32を共存させたオリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体におけるR32の分解は、高濃度のヒト血清中でも全く観測されず、その様子は24時間後まで続いた。これは、ヒストンに共存したオリゴヌクレオチドが外部からの影響(例えばリボヌクレアーゼによる分解等)を受けにくくなったためと考えられる。
【0042】
この結果から、本発明のタンパク質性ヒストンキャリアーシステムは、オリゴヌクレオチドと安定な複合体を形成できるばかりでなく、生体内におけるオリゴヌクレオチドの安定化にも大きく寄与することが明らかとなった。
【0043】
【発明の効果】
以上、詳しく説明した通り、本発明により、均一状態でオリゴヌクレオチドと安定な複合体を形成し、しかも複合体を形成したオリゴヌクレオチドを外部条件から保護することが可能となる新規のオリゴヌクレオチド薬物キャリアーシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】サブユニットの混合によるヒストン再構築の概念図である。
【図2】モデル薬物として用いたオリゴヌクレオチドの二次構造である。
【図3】吸光度測定図である。
【図4】円偏向二色性スペクトルである。
【図5】オリゴヌクレオチドの安定性試験の結果図である。
【産業上の利用分野】
本発明は、機能性オリゴヌクレオチド用のキャリアーに関する。さらに詳しくは、本発明は各種疾患の原因となる遺伝子から転写されるmRNAに対して配列特異的な抑制機能を有するオリゴヌクレオチドを、安定にかつ効率よく標的細胞へ運搬する新規キャリアーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オリゴヌクレオチドを医薬品として用いるための基礎研究が活発に展開されてきており、ようやくその可能性を具体的に探索する段階にはいってきた。実際に、試験管レベルの実験においては、オリゴヌクレオチドの対溶媒安定性や標的塩基配列の選択等に関する化学的研究、細胞株を使用したオリゴヌクレオチドの膜透過性、安定性、細胞内分布等に関する基礎的研究の成果が数多く報告されている。
【0003】
オリゴヌクレオチドはそれ自身の安定性が低い理由ために、ヌクレアーゼなどによって生体内で分解されやすい。そこで、これを安定に効率良く目的の部位へ送達するためのキャリアーの開発は、オリゴヌクレオチドを医薬品として有効に利用するためには不可欠であり、極めて重要であると指摘されている。具体的には、キャリヤーによる機能性オリゴヌクレオチドの細胞膜透過性向上を含めた効率の良いターゲティングシステムの確立、キャリアーによる薬物オリゴヌクレオチドの安定性向上および細胞への取り込み効率の増加等が重要な課題とされている。
【0004】
従来の技術としては、生体膜類似の脂質二分子膜構造を有する構造体であるリポソームを利用したシステムが多く見られる。例えば、リポソームにオリゴヌクレオチド薬物を封入して安定性の向上をはかると同時に、リポソームを化学修飾することにより標的細胞に対する親和性を増したという報告例がある(Alain R. Thierry and Anatoly Dritschilo, Nucleic Acids Research 20, 5691−5698 (1992))。
【0005】
さらに、オリゴヌクレオチド薬物が負電荷を有することを利用し、正電荷を有する合成高分子との間で複合体を形成させることにより、標的となる細胞もしくは細胞内へ送達させることを試みた研究報告もある(Nature 271, 130−135 (1978)、J. Biol. Chem. 262, 4429−4432 (1987), J. Biol. Chem. 263, 14621−14624 (1988), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410−3414 (1990))。
【0006】
一方、生体由来のタンパク質をキャリアーとして利用する試みもある。例えば、下記文献においては、キャリアーとして核タンパク質であるヒストン等を用い、それをプラスミドDNA用のキャリアーとした研究を行なっている。
【0007】
1)Masaru Yamaizumi, et al., Nature 273, 782−784 (1978).
2)Yasufumi Kaneda, et al., SCIENCE 243, 375−378 (1989).
3)Mirjam Breeuwer and David S. Goldfarb, Cell 60,999−1008 (1990).
4)Jian Chen, et al., Human Gene Therapy 5, 429−435 (1994).
文献(1)においては、ヒストンの細胞核への移行が非常にスムーズに生じることが示されており、文献(2)においては、プラスミドDNAを封入したリポソームに核タンパク質を導入することにより、培養細胞への取り込みの向上をはかっている。文献(3)においては、ヒストンH1へチトクロムCを導入することにより、細胞核内への取り込みの向上をはかっている。文献(4)においては、ガラクトシル化したヒストンへプラスミドDNAを結合させることにより、細胞内への取り込みおよび遺伝子発現の向上について検討している。
【0008】
真核生物において、染色体のDNAはヒストンと結合し、クロマチンと呼ばれる複合体を形成している。ヒストンは通常、H1、H2a、H2b、H3、H4の5種類のサブユニットからなり、塩基性アミノ酸の比率がきわめて高いことが知られている。ヒストンが多くの正電荷を有することは、この分子の1つの主要な特徴である。そのために、DNA等負電荷を有する物質との間で相互作用することが可能となっている。H1以外のヒストンサブユニットの一次構造は、生物種が異なっても非常によく保存されており、異種の生物のヒストンサブユニットを組み合わせてもヒストン自体は再構成されることが知られている。また、ヒストンがタンパク質の一種であるにもかかわらず、特別な酵素活性をもたないことも広く知られており、これは、機能性オリゴヌクレオチド用キャリアーとしてヒストン利用する上で有利な特徴であると考えられる。さらに、ヒストンサブユニットのH1とH2aの一次構造中には、細胞核移行性シグナルとしての機能をもつアミノ酸配列が存在しているとの報告もある(Robert B. Moreland, et al., Molecular and Cellular Biology 7, 4048−4057 (1987))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
リポソームキャリヤーの場合、生体内に投与されたリポソーム自体の安定性が低いという大きな欠点がある。そこで最近では、様々な手法を用いることにより、酸化安定性、化学的安定性、生物的安定性およびコロイド化学的安定性の改良がなされており、生体内半減期の長いステルスリポソームや、抗体を表面に埋め込んで標的特異性の向上をはかったイムノリポソーム等も開発されているが、未だ実用化には至っていない。
【0010】
合成アミノ酸キャリヤーのような正電荷を有する高分子は、高い細胞毒性を有することが以前から指摘されている(Bio−conjugate Chem. 1, 149−153 (1990))。それと同時に、これら合成高分子が生体内へ投与される場合は、異物として認識されることにより、アナフェラキシーショック等の免疫系への影響も懸念される。
【0011】
天然タンパク質のヒストンの利用により先の2つの問題回避は予想される。しかしながら、オリゴヌクレオチドとヒストンとの単純な混合により形成される複合体は、生体内において非常に不安定であることが知られている。後の実施例でも示されるが、両者の単純な混合により形成した複合体は、高濃度の人血清中では数十秒のオーダーで分解した。この種の複合体は、既成の親ヒストンへオリゴヌクレオチドを添加することで形成するものであり、両者は単純な静電気的相互作用により表面的に結合していると考えられる。これはこ機能性オリゴヌクレオチド用キャリアーを開発する上で解決すべき課題として残されている。
【0012】
上述した従来技術をふまえ、本発明者らは種々の検討を行い、ヒストンサブユニットから親ヒストンが再構築される過程で機能性オリゴヌクレオチドを共存させることにより、その安定性の向上が可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の目的は、核タンパク質であるヒストンをオリゴヌクレオチド薬物用キャリアーとして使用するにあたり、オリゴヌクレオチド自身の安定性を向上させるための技術を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、鋭意研究した結果、本発明者らは特定の順序でヒストンサブユニットを混合することにより安定な機能性オリゴヌクレオチド用ヒストンキャリヤーが得られることを発見して本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、ヒストンサブユニットをH2a→H2b→H3→H4→H1の順で混合して親ヒストンを再構築することを特徴とする機能性オリゴヌクレオチド用ヒストンキャリヤーの製造方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、上記方法の過程において機能性オリゴヌクレオチドを共存させて得られるヒストンキャリヤーと機能性オリゴヌクレオチドとの複合体を提供する。
【0016】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の機能性オリゴヌクレオチド用ヒストンキャリヤーの製造方法は、ヒストンサブユニットの混合順序に特徴を有する。上述したように、ヒストンはH1、H2a、H2b、H3およびH4の5種類のサブユニットからなっており、これらのサブユニットをH2a→H2b→H3→H4→H1の順で混合して親ヒストンを再構築する。ただし、H2aとH2bとの順序は逆であってもよいが、まずH2aとH2bとの混合物を作成することが必要である。次いでこの混合物にH3、H4、H1の順序でサブユニットを添加する。サブユニットの混合方法としては、5の階乗すなわち120通りが考えられるが、ヒストンの再構築においては本発明の方法以外の順序で混合した場合には、白濁や沈殿を生じてヒストンの生成が観察されなかった。本発明のヒストンキャリアーの製造方法を図1に模式図として示す。本発明の方法により調製した再構築ヒストンが天然のヒストンと同じ立体構造をとることを円偏光二色性(CD)測定を用いて確認した。
【0018】
本発明のヒストンキャリアーシステムを構築するために用いるヒストンサブユニットの例としては、ベーリンガーマンハイム社製のヒストンH1、ヒストンH2a、ヒストンH2b 、ヒストンH3 、ヒストンH4が挙げられる。また、正しい構造のヒストンが再構築されたかの確認に用いるため、同社製のヒストンズ(構築済みヒストン)も比較のために用いた。
【0019】
本発明の方法でヒストンキャリアーを製造するには、まず、各ヒストンサブユニットをイオン強度0.01〜0.1、好ましくは0.02のリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解後、それぞれの濃度が約5×10−6〜1×10−4M、好ましくは1×10−5Mになるように調整する。ヒストンの再構築は、H2a溶液とH2b溶液を混合した後、これに対してH3溶液を、それからH4溶液を、最後にH1溶液を添加する順序で行う。これらサブユニット溶液の混合に際しては、各サブユニットが等モル数になるようにあらかじめ調製する必要がある。本発明により得られる再構築されたヒストンは機能性オリゴヌクレオチドのキャリアーとして有用である。
【0020】
また、本発明のヒストンキャリアーと機能性オリゴヌクレオチドとの複合体を製造するには、上述したヒストンキャリアー製造の過程で機能性オリゴヌクレオチドを添加する。機能性オリゴヌクレオチドの添加はH2a、H2bを混合した後であって、かつH1を添加する前に行うことが必要である。H2aとH2bの混合物に機能性オリゴヌクレオチドを添加し、次いでH3、H4、H1の順序でサブユニットを添加するのが最も好ましい。
【0021】
機能性オリゴヌクレオチドとは、生体内で一定の生物学的機能を果たすべく設計されたオリゴヌクレオチドをいい、例えば、各種疾患の原因となる遺伝子から転写されるmRNAに対して配列特異的な抑制機能を有するアンチセンスDNAやリボヌクレオチドなどが挙げられる。本発明で使用する機能性オリゴヌクレオチドの長さは15〜40塩基が好ましい。これらの機能性オリゴヌクレオチドは市販のDNA合成機を用いて公知の方法で合成することができる。
【0022】
なお、一連の操作は室温付近で行う。
【0023】
機能性オリゴヌクレオチドとして用い得るモデルオリゴヌクレオチドの合成とその標識を以下の方法により行った。
【0024】
[モデルオリゴヌクレオチドの合成]
図2に示した配列のオリゴヌクレオチドを、DNA合成機(アプライドバイオシステムズ社製タイプ380Bまたはタイプ392)を用いて合成した。アミダイト試薬には、全て、ミリポア社のものを用いた。図2ではアデノシンンヌクレオチドをA、グアノシンンヌクレオチドをG、シチジンヌクレオチドをC、ウリジンヌクレオチドをUと記載している。これらは、2’ー水酸基の保護基としてtーブチルジメチルシリル基を用いたホスホロアミダイト法(Nucleic Acid Res.vol.177059−7071 (1989))により合成した。
【0025】
これは、32塩基からなるリボヌクレオチド(R32)であり、部分的に特異な立体構造を形成することが知られている(Nature, vol.372, 68−74 (1994))。また、オリゴヌクレオチドの精製は文献(Nucleic Acid Res. vol.19, 5125−5130(1991))に記載された方法に従った。
【0026】
[オリゴヌクレオチドの標識]
オリゴヌクレオチドの標識は、オリゴヌクレオチド(1.83OD260ユニット,5pmol)27.3μl、オートクレーブした精製水15.7μl、10×キナーゼ緩衝液(250mMトリス塩酸緩衝液:pH7.6、100mM DTT、T4ポリヌクレアーゼ溶液(100unit/μl)1μl、γー32PーATP1μlを混合後、37℃にて1時間反応させて行った。オリゴヌクレオチドへの32Pのラベルには宝酒造株式会社のT4−ポリヌクレオチドキナーゼキット(Code No. 2030)を用いた。
【0027】
【実施例】
実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【0028】
【0029】
実施例1:ヒストンキャリアーおよびヒストン複合体の調製
5種類のヒストンサブユニットをイオン強度0.02のリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解後、それぞれの濃度が1×10−5M/Lになるように調整する。各サブユニットおよびオリゴヌクレオチド溶液(約5pmol/μl)を図3に示すように、様々な順序で混合した。
【0030】
得られる生成物の白濁、沈殿生成を360nmにおける吸光度測定により分光学的に行った。
【0031】
吸光度測定の結果を図3に示す。横軸はヒストンサブユニットの混合順序を、縦軸はその混合における280nmの吸光度すなわち系の濁りを示す。サブユニットの混合方法としては、5の階乗すなわち120通りが考えられるが、ヒストンの再構築において、H2a→H2b→H3→H4→H1以外の順序で混合した場合、その系は白濁した。これに対し、先の規則性を基に混合した場合、その系においては白濁、沈殿物の生成は全く観測されなかった。また、上記濃度のオリゴヌクレオチドをH2aとH2bの混合溶液に添加後、H3、H4、H1の順で各サブユニットを混合することによりヒストンキャリヤーとオリゴヌクレオチドとの複合体(オリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体)の調製を行ったが、その系においても白濁、沈殿物の生成は観測されなかった。これらの結果から、本発明の規則的な順序による混合により再構築ヒストンが得られることが示され、同時にそのオリゴヌクレオチド薬物用キャリアーシステムとしての利用の可能性が示された。
【0032】
【0033】
実施例2:円偏向二色性(CD)測定
溶液中のヒストンタンパク質の立体構造はCD測定により検討した。CD測定装置には日本分光工業株式会社のJー720型を、セルには光路長1mmの円筒型セルを用い、25℃の条件で200〜250nmの波長領域において4回のスキャンを行い、CDスペクトルを求めた。
【0034】
αーヘリックス等の二次構造の含量は、Yahnらの参照スペクトルを使ったCDスペクトルのカーブ・フィッティッング法により求めた。
【0035】
図4は、市販の構築済みヒストン(a)、実施例1により調製した本発明のH2a→H2b→H3→H4→H1の順序で再構築された再構築ヒストン(b)、実施例1により調製したモデルオリゴヌクレオチド薬物のR32を共存させた再構築ヒストンすなわちオリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体(c)のCDスペクトルを示す。3つのCDスペクトルは、この測定装置の精度内で完全に一致した。この結果から、再構築ヒストンの立体構造は、構築済みヒストンのそれと少なくとも二次構造レベルで同じ立体構造であることが示された。さらに、オリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体は、オリゴヌクレオチドを含まない再構築ヒストンと同じ立体構造をとることも示された。この結果は、再構築ヒストンが構築済みヒストンすなわち天然ヒストンと似た生理活性機能を持つことを示唆するものである。
【0036】
【0037】
実施例3:オリゴヌクレオチドの安定性
再構築ヒストンをキャリアーシステムとして利用した際の、オリゴヌクレオチドの安定性への効果に関する検討は、以下の方法によりヒト血清中で評価した。
【0038】
まず、32Pで標識したR32を実施例1に記載した方法で共存させてヒストンキャリヤ−を再構築した。次に、再構築ヒストン溶液の適当量を最終的に90%のヒト血清濃度になるように添加し、調製した。この溶液は37℃でインキュベート後、適時適量のサンプリングを行った。
【0039】
また、再構築ヒストンからのオリゴヌクレオチドR32の遊離は次の操作により行った。ヒストンサブユニットは透過せず、R32のみを透過する分画能を有する限外ろ過用チューブ(日本ミリポアリミテッド製ウルトラフリーC3ーGCUFC3TGC00)に、あらかじめ32P−ATPで標識したR32を薬物モデルとしたオリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体溶液の適量を添加した。そして、その溶液に対して終濃度が7.2M以上になるように塩酸グアニジン(和光純薬工業株式会社 075−2431)溶液を添加した後、3,000rpmで15分間遠心した。この時、塩酸グアニジンの添加によりR32が遊離し、結果としてヒストンから遊離したR32のみがろ過される。ろ過したサンプル液は分析するまでー80℃にて保存した。分析時には、それらサンプルを室温にて溶解後、それを20%のポリアクリルアミドにアプライして電気泳動した。そして、フジ写真フィルム社製のバイオイメージングアナライザBAS2000により残存R32を定量し、これから未分解のR32の量を算出した。これらの検討結果を図5に示す。
【0040】
最終濃度90%のヒト血清中において、R32は非常に短い時間で分解した。また、ヒストンに共存させていないR32は、やはり、非常に短い時間で分解した。構築済みヒストンもしくは再構築ヒストンの溶液に対して、後からR32の溶液を添加して形成させた場合、R32は、それら表面へ単純にイオン結合していた可能性の高いことが予想される。
【0041】
これに対し、ヒストン再構築時にR32を共存させたオリゴヌクレオチド/再構築ヒストン複合体におけるR32の分解は、高濃度のヒト血清中でも全く観測されず、その様子は24時間後まで続いた。これは、ヒストンに共存したオリゴヌクレオチドが外部からの影響(例えばリボヌクレアーゼによる分解等)を受けにくくなったためと考えられる。
【0042】
この結果から、本発明のタンパク質性ヒストンキャリアーシステムは、オリゴヌクレオチドと安定な複合体を形成できるばかりでなく、生体内におけるオリゴヌクレオチドの安定化にも大きく寄与することが明らかとなった。
【0043】
【発明の効果】
以上、詳しく説明した通り、本発明により、均一状態でオリゴヌクレオチドと安定な複合体を形成し、しかも複合体を形成したオリゴヌクレオチドを外部条件から保護することが可能となる新規のオリゴヌクレオチド薬物キャリアーシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】サブユニットの混合によるヒストン再構築の概念図である。
【図2】モデル薬物として用いたオリゴヌクレオチドの二次構造である。
【図3】吸光度測定図である。
【図4】円偏向二色性スペクトルである。
【図5】オリゴヌクレオチドの安定性試験の結果図である。
Claims (4)
- ヒストンサブユニットをH2a→H2b→H3→H4→H1の順で混合して親ヒストンを再構築することを特徴とする機能性オリゴヌクレオチド用ヒストンキャリヤーの製造方法。
- ヒストンサブユニットの混合によるキャリアーの再構築過程において、機能性オリゴヌクレオチドを共存させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 機能性オリゴヌクレオチドをH2aとH2bの混合液に添加する請求項2記載の製造方法。
- 請求項2または3の方法によって得られるヒストンキャリヤーと機能性オリゴヌクレオチドとの複合体。
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