JP3578330B2 - 荷役車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフォークリフト等の荷役車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
荷役車両として一般的なフォークリフトのうちには、図3で示すような構成とされてカウンタバランス型といわれるものがある。そして、このフォークリフトは、荷物が載置される荷台であるフォーク21と、フォーク21の昇降動作を案内する支柱であるマスト22とが前側位置に配設されており、かつ、その後側位置にはカウンタウエイト23が配設された車両本体24を備えている。また、この際、フォーク21を昇降自在に支持したマスト22に沿っては油圧シリンダ25が立設されており、この油圧シリンダ25をアクチュエータとする昇降装置(図示省略)によってフォーク21は昇降動作させられることになっている。
【0003】
さらに、車両本体24には走行モータ26が内装されており、この走行モータ26をアクチュエータとする走行装置(図示省略)によっては車両本体24そのもの、つまり、フォークリフト自体が前後方向に沿って進退動作させられると共に、旋回動作させられることになっている。さらにまた、この車両本体24に配設された運転席パネル27の内部には、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ28が設けられており、このコントローラ28によっては、昇降装置や走行装置などのような装置個々の動作や互いの連携した動作などが統括的に制御されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のフォークリフトを使用することによっては、フォーク21を上昇動作させたうえでのラック棚30に対する荷積み作業や荷取り作業が実行されることになっており、例えば、荷取り作業にあっては、車両本体24の前進動作に伴ってラック棚30内に差し込まれたフォーク21上にパレット積みされた荷物31を載置した後、車両本体24の後退動作に伴ってフォーク21をラック棚30外にまで後退動作させたうえで下降動作させることが行われる。
【0005】
しかしながら、車両本体24に着座しているオペレータとフォーク21との間には、フォーク21の基端部に取り付けられたリフトブラケット(図示省略)やバックレスト29などが介在しているため、オペレータが目視によってフォーク21の後退動作を確認することは困難である。また、ラック棚30は薄暗い倉庫内に設置されているのが通常であるから、フォーク21がラック棚30外にまで出切ったことを視認するのもやはり困難であり、誤判断したオペレータがフォーク21を下降動作させたため、フォーク21がラック棚30と接触する結果を招いて荷崩れが発生し、荷物31が落下することも起こっていた。
【0006】
本発明はこのような不都合に鑑みて創案されたものであり、下降動作中のフォークがラック棚と接触することを有効に防止し得る構成とされた荷役車両の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る荷役車両は、荷物が載置される荷台と、該荷台を昇降動作させる昇降装置と、該荷台及び昇降装置が配設された車両本体と、該車両本体に配設されて車両本体そのものを進退動作させる走行装置とを備えてなる荷役車両であって、上記車両本体の後退距離を測定する移動距離測定手段と、該移動距離測定手段により測定された車両本体の後退距離が荷台の全長及び余裕距離を合算して設定された設定距離を超えるまでは荷台の下降動作を禁止する制御を実行する動作制御手段と、該動作制御手段による制御の実行を指示する制御実行指示手段とを具備していることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る荷役車両は請求項1に記載したものであり、前記制御実行指示手段は、前記荷台が所定高さ以上にまで上昇動作している車両本体が後退動作を開始した時点でもって前記動作制御手段による制御の実行を指示するものであることを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項3に係る荷役車両は請求項1または請求項2に記載したものであり、前記動作制御手段は、前記移動距離測定手段により測定された車両本体の後退距離が荷台の全長及び余裕距離を合算して設定された設定距離を超えた時点でもって車両本体の後退動作を停止させるものであることを特徴としている。
【0010】
本発明の請求項4に係る荷役車両は請求項1ないし請求項3のいずれかに記載したものであり、前記動作制御手段による制御の実行状態を告知する通報手段または警報手段を具備していることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本実施の形態では荷役車両がフォークリフトであるとしている。しかしながら、荷役車両がフォークリフトのみに限定されることはないのであり、荷物が載置される荷台と、この荷台を支柱に沿って昇降動作させる昇降装置と、荷台及び支柱が前側位置に配設され、かつ、昇降装置が配設された車両本体と、この車両本体に配設されて車両本体そのものを進退動作させる走行装置とを備えてなる荷役車両でありさえすればフォークリフト以外であってもよいことは勿論である。
【0012】
図1は本実施の形態に係るフォークリフトが具備している制御系統の要部を示すブロック図であり、図2はその制御動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態に係るフォークリフトはカウンタバランス型であり、その全体構造は図3で示した従来の形態と基本的に異ならないので、ここでの図示は省略することとし、フォークリフトの全体構造については図3を参照しながら説明する。
【0013】
本実施の形態に係るフォークリフトは、図1及び図3で示すように、パレット積みされた荷物31が載置される荷台であるフォーク21と、このフォーク21の昇降動作を案内する支柱であるマスト22とが前側位置に配設されており、かつ、その後側位置にはカウンタウエイト23が配設された車両本体24を備えている。そして、フォーク21を昇降自在に支持したマスト22に沿っては油圧シリンダ25が立設されており、この油圧シリンダ25をアクチュエータとして車両本体24の内部に配設された昇降装置1、つまり、油圧系の昇降装置1が運転されるのに伴ってフォーク21はマスト22に案内されながら昇降動作することになっている。なお、上昇動作したフォーク21の高さ位置は、リール式ポテンショメータやマグネットセンサなどの揚高検出手段3を利用したうえで検出されている。
【0014】
また、車両本体24の内部には正逆回転可能な走行モータ26が配設されており、この走行モータ26をアクチュエータとする電気系の走行装置4によっては車両本体24そのもの、つまり、フォークリフト自体が前後方向に沿って進退動作させられ、かつ、旋回動作させられることになっている。そして、この車両本体24の前進距離及び後退距離、特に、後退距離S1は、車両本体24の前進距離をアップカウントする一方で後退距離S1をダウンカウントするアップダウン式計測器、あるいは、ロータリーエンコーダを利用して構成された移動距離測定手段5を使用することによって測定されている。なお、車両本体24の後退距離S1は、荷取り作業に際し、ラック棚30内にフォーク21を差し込んだ状態で停止している車両本体24の停止位置を原点としたうえで測定されることになっている。
【0015】
さらに、本実施の形態に係るフォークリフトが備える運転席パネル27には複数本の操作レバー、つまり、昇降装置1や走行装置4を運転する際に手動操作される各種の操作レバーと共に、液晶表示器やブザーなどのような通報手段7及び警報手段8が配置されている。そして、この運転席パネル27に対しては、フォーク21の下降動作を禁止する制御の実行を指示する制御実行指示手段6として機能するスイッチが配置されており、制御実行指示手段6から出力されたON信号、つまり、フォーク21の下降動作を禁止する制御を実行する旨の指示を表すON信号が、後述するコントローラ9へと入力したことに基づき、移動距離測定手段5は車両本体24の後退距離S1を測定することになる。
【0016】
さらにまた、この際における運転席パネル27の内部には、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ9、つまり、装置個々の動作及び各種装置の連携した動作などを統括的に制御するためのコントローラ9が配設されており、このコントローラ9は、各種のデータを記憶しているROMやRAMなどからなるメモリ部10と、CPUからなる演算処理部11とを含んだ構成を有している。そして、コントローラ9を構成するメモリ部10には、前以て計測された余裕距離A、つまり、フォーク21がラック棚30の外側にまで確実に出切った際におけるフォーク21の先端とラック棚30の外面との間に確保されるべき余裕距離Aと、フォーク21そのものの全長Lとを合算して設定された設定距離[L+A]が予めデータとして記憶されている。
【0017】
一方、この際における演算処理部11は、移動距離測定手段5で測定された車両本体24の後退距離S1がフォーク21の全長L及び余裕距離Aを合算して設定された設定距離[L+A]を超えたか否かを判断し、かつ、S1がL+Aを超えるまではフォーク21の下降動作を禁止する動作制御手段として機能するものである。そのため、図1で示すように、揚高検出手段3、移動距離測定手段5、制御実行指示手段6のそれぞれからコントローラ9に対しては各種の動作信号及び検出信号が入力しており、このコントローラ9から昇降装置1、走行装置4、通報手段7、警報手段8の各々に対してはこれらの動作を指示する信号が出力されることになっている。
【0018】
つぎに、図2で示したフローチャートに基づき、本実施の形態に係るフォークリフトが実行する荷取り作業時の制御動作を説明する。なお、ここではフォークリフトによる荷取り作業時の制御動作のみを説明しているが、荷積み作業時の制御動作は荷取り作業時と基本的に同じであるから説明を省略する。
【0019】
まず、荷取り作業時のオペレータは、荷取り作業を実行しようとするラック棚30の前面近くまで車両本体24を接近させておいた後、車両本体24を前進動作させたうえでフォーク21をラック棚30内へと差し込む。そして、差し込んだフォーク21を少しだけ上昇動作させるのに伴ってパレット積みされた荷物31をフォーク21上に載置した後、フォーク21の下降動作を禁止する制御の実行を指示する制御実行指示手段6、つまり、スイッチとして運転席パネル27に配置されている制御実行指示手段6をONする(ステップ1)。なお、ラック棚30への差し込み時に上昇動作させられたフォーク21の高さ位置は、揚高検出手段3を利用することによって検出されている。
【0020】
すると、制御実行指示手段6から0N信号が入力したコントローラ9の演算処理部11はフォーク21の下降動作を禁止する制御へと移行することになり(ステップ2)、この演算処理部11から走行装置4に対しては後退動作を指示する信号が出力される。そこで、車両本体24は走行装置4によって後退動作させることになり、この車両本体24と同時にフォーク21も後退動作することになる(ステップ3)。その後、演算処理部11は、移動距離測定手段5によって測定される車両本体24の後退距離S1が、フォーク21の全長L及び余裕距離Aを合算して設定された設定距離[L+A]を超えたか否かを判断しながらフォーク21の下降動作を禁止し続ける(ステップ4)。
【0021】
そして、車両本体24の後退距離S1が設定距離[L+A]を超えたとの判断を演算処理部11が下すと、演算処理部11からは車両本体24の後退動作を停止させる指示信号が走行装置4に対して出力されることになり、車両本体24の後退動作と共にフォーク21の後退動作が停止させられることになる(ステップ5)。すなわち、コントローラ9の演算処理部11は、車両本体24の後退距離S1が設定距離[L+A]を超えた時点でもって車両本体24の後退動作を停止させる動作制御手段としても機能している。また、車両本体24の後退距離S1が設定距離[L+A]を超えたと判断した演算処理部11ではフォーク21の下降動作を禁止する制御が解除されることになり(ステップ6)、この時点以降においてはリフトレバーの手動操作によってフォーク21を下降動作させることが可能となる。
【0022】
なお、このようなフォーク21の下降動作を実行するに際して必ずしもリフトレバーの手動操作が必要なわけではなく、車両本体24の後退距離S1がフォーク21の全長L及び余裕距離Aを合算して設定された設定距離[L+A]を超えた時点でもってフォーク21の下降動作を自動的に開始させる機能を動作制御手段である演算処理部11に予め付与しておいてもよい。また、この際における制御動作では、車両本体24の後退動作が自動的に停止させられるとしているが、ただ単にフォーク21の下降動作を禁止する制御のみを行う構成であってもよいことは勿論である。
【0023】
ところで、本実施の形態に係る制御動作にあっては制御実行指示手段6が手動操作によってONされるとしているが、制御実行指示手段6が手動操作されるものに限られることはなく、フォーク21が所定高さ以上の高さ位置にあることを検出する揚高検出手段3を利用してもよい。すなわち、フォーク21が所定高さ以上に上昇動作している状態下で車両本体24が後退動作を開始したときは、このことをもって荷取り作業であると判断し、以上説明したような制御動作を自動的に実行開始させる構成を採用することも可能である。
【0024】
なお、本実施の形態では説明を省略しているが、フォーク21の下降動作禁止が解除された際などには通報手段7を使用してその旨をオペレータに通報する構成、また、フォーク21の下降動作を禁止する制御の実行中において、オペレータが手動操作でフォーク21を下降動作させようとした際などには警報手段8がオペレータに対して警報を発するような構成としておくことが望ましく、これらのような構成を採用している場合にはオペレータの誤判断が生じがたくなるという利点が確保される。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る荷役車両では、車両本体の後退距離が荷台の全長及び余裕距離を合算して設定された設定距離を超えるまで荷台の下降動作を禁止する制御が実行されている。そのため、本発明によれば、荷積み作業時や荷取り作業時における荷台がラック棚の外側に出切って余裕距離が確保された安全な位置に至るまでは荷台の下降動作が禁止されることとなる結果、下降動作を開始した荷台がラック棚と接触することは起こり得ず、荷崩れの発生を確実かつ有効に防止し得るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るフォークリフトが具備する制御系統の要部を示すブロック図である。
【図2】その制御動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態及び従来の形態に係るフォークリフトの全体構造を示す側面図である。
【符号の説明】
1 昇降装置
4 走行装置
5 移動距離測定手段
6 制御実行指示手段
7 通報手段
8 警報手段
9 コントローラ
11 演算処理部(動作制御手段)
21 フォーク(荷台)
24 車両本体
31 荷物
S1 車両本体の後退距離
L フォーク(荷台)の全長
A 余裕距離
Claims (4)
- 荷物が載置される荷台と、該荷台を昇降動作させる昇降装置と、該荷台及び昇降装置が配設された車両本体と、該車両本体に配設されて車両本体そのものを進退動作させる走行装置とを備えてなる荷役車両であって、
上記車両本体の後退距離を測定する移動距離測定手段と、該移動距離測定手段により測定された車両本体の後退距離が荷台の全長及び余裕距離を合算して設定された設定距離を超えるまでは荷台の下降動作を禁止する制御を実行する動作制御手段と、該動作制御手段による制御の実行を指示する制御実行指示手段とを具備していることを特徴とする荷役車両。 - 前記制御実行指示手段は、前記荷台が所定高さ以上にまで上昇動作している車両本体が後退動作を開始した時点でもって前記動作制御手段による制御の実行を指示するものであることを特徴とする請求項1に記載した荷役車両。
- 前記動作制御手段は、前記移動距離測定手段により測定された車両本体の後退距離が荷台の全長及び余裕距離を合算して設定された設定距離を超えた時点でもって車両本体の後退動作を停止させるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した荷役車両。
- 前記動作制御手段による制御の実行状態を告知する通報手段または警報手段を具備していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載した荷役車両。
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