JP3577918B2 - 電磁弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソレノイドによって作動される圧力流体制御弁により流体の圧力制御を行うようにした電磁弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
流体の圧力制御を行う電磁弁としては図6で示すように、供給圧導入ポート4と制御圧導出ポート5とを備えたバルブハウジング3内に前記供給圧導入ポート4と制御圧導出ポート5とを絞り制御するスプール6が摺動可能に嵌装され、このスプール6を後述するソレノイド2のプランジャ10に当接する方向に付勢するスプリング7とからなる圧力制御弁1と、ソレノイドコイル9を巻装したソレノイドコア8に形成されている軸穴に摺動可能に嵌装され前記ソレノイドコイル9に印加される制御電流により吸引して前記圧力制御弁1を絞り方向に作動するプランジャ10を備え、このプランジャ10一端を支持するディスクスプリング11とからなるソレノイド2とによって構成されているものがある。
【0003】
前記プランジャ10とソレノイドコア8とは図7で示すように、プランジャ10の吸引移動側端面外周に軸心方向に角度θ1で傾斜したテーパ面12が形成されており、前記ソレノイドコア8の軸穴13にはプランジャ10の軸線と平行するストレート面を有し、前記テーパ面12と所定のエアギャップ量Gで対向している。
【0004】
上記の電磁弁はソレノイドコイル9に印加される制御電流によりプランジャ10を吸引して前記圧力制御弁1のスプール6を絞り方向(図中右方向)に作動し、供給圧導入ポート4から導入する流体の圧力を制御して制御圧導出ポート5より導出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の電磁弁では使用する目的で圧力特性が異なっている。上記従来の電磁弁における圧力特性は、プランジャ10のテーパ面12の角度θ1の調整と、図6で示すように、制御圧が導かれるフイードバック室の径およびスプリング7のバネ定数の変更によって対応している。
【0006】
上記従来の圧力特性の変更手法では、プランジャ10のテーパ面12の角度θ1を変更してエアギャップ量Gを変更することにより吸引力を調整しても、プランジャ10のストローク範囲で吸引力の変化はソレノイドコイル9に印加される制御電流と比例するだけで、プランジャ10のストローク範囲中における吸引力を細かく行うことができない。これにより、図8で示すように、制御電流iの変化による圧力特性は実線曲線aと、この実線曲線aよりも傾きが急な点線曲線bの変更を行うことはできるが、高い制御電流側で実線曲線aよりも傾きを緩やかにして大きく延ばした特性カーブ(図5のcを参照)を得るように調整することはできない。電磁弁の使用目的においては、高い制御電流側で傾きを緩やかにして大きく延ばした特性カーブで圧力を降下させる圧力特性の制御を必要とする場合があり、このような圧力特性が得られる電磁弁が要望されている。例えば、トランスミッションのクラッチに用いる場合には、クラッチの接続、切断を滑らかにして変速時のショックを少なくするために、このような圧力特性が得られる電磁弁が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑みて、プランジャの吸引力を細かく調整可能とし、高い制御電流で傾きを緩やかにして大きく延ばした特性カーブで圧力を降下させる圧力特性を得るようにした電磁弁を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の要旨は、供供給される流体の圧力を制御する圧力制御弁と、ソレノイドコイルを巻装したソレノイドコアに形成されている軸穴に摺動可能に嵌装され前記ソレノイドコイルに印加される制御電流により吸引して前記圧力制御弁の絞りを作動させるプランジャを備えたソレノイドとからなる電磁弁において、前記プランジャの吸引移動側の端面外周に軸心方向に傾斜したテーパ面を形成し、このテーパ面と対面する軸穴を形成したソレノイドコアに前記プランジャの軸線と平行なストレート面を有する凹欠部を設け、前記プランジャはテーパ面が前記ストレート面に対向する位置まで移動可能であり、前記プランジャのテーパ面角度と前記凹欠部のストレート面の深さ及び凹欠部の長さによるプランジャとソレノイドコアとのエアギャップ量の設定によってプランジャの吸引力を調整し、前記テーパ面が前記軸穴に対向する領域での吸引力特性の傾きに対し前記ストレート面に対向する領域に至る状態での吸引力特性がより緩やかな傾きとなるよう吸引力特性を変化させるようにし、前記圧力制御弁の制御圧を、高制御電流域と低制御電流域とで異なる吸引力特性によって制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、1は圧力制御弁1であり、2は前記圧力制御弁1を作動するソレノイドである。
【0010】
前記圧力制御弁1としては、例えば、供給圧導入ポート4と制御圧導出ポート5とを備えたバルブハウジング3内に前記供給圧導入ポート4と制御圧導出ポート5とを絞り制御するスプール6が摺動可能に嵌装され、このスプール6を後述するソレノイド2のプランジャ10に当接する方向に付勢するスプリング7とからなる構成である。
【0011】
前記ソレノイド2は、ソレノイドコイル9を巻装したソレノイドコア8に形成されている軸穴に摺動可能に嵌装され前記ソレノイドコイル9に印加される制御電流により吸引して前記圧力制御弁1を絞り方向(図中右方向)に作動するプランジャ10を備え、このプランジャ10一端を支持するディスクスプリング11とからなる構成である。これにより、ソレノイドコイル9の印加制御電流がゼロの時にプランジャ10がスプリング7のスプリング力によって図1において左端の後退端に位置される。
【0012】
そこで本発明は図2で示すように、前記プランジャ10の吸引移動側の端面外周に軸心方向に角度θ1で傾斜したテーパ面12を形成し、このテーパ面12と対面する前記ソレノイドコア8の軸穴13に前記テーパ面12とは逆方向に角度θ2で傾斜した傾斜面15と、この傾斜面15と連続した前記プランジャ10の軸線と平行で、深さSのストレート面16とからなり、前記傾斜面15とストレート面16との長さLの凹欠部14を設けたものである。
【0013】
上記の構成による本発明の動作について説明する。ソレノイドコイル9に印加される制御電流がゼロの時のプランジャ10の位置は図2のA及び図3の(A)で示すように、後退端の初期位置であり、プランジャ10のテーパ面12の一部がソレノイドコア8の軸穴13の一部とラップしている。
【0014】
上記の状態からソレノイドコイル9に制御電流iを印加して電流値を漸次増大するとソレノイドコア8によるプランジャ10の吸引力Fは図4で示すように電流値に比例して漸次増大しプランジャ10を図2のB及び図3(B)で示すように中間位置に移動する。尚、この図4は、ある制御電流iを印加したときのプランジャ10のストロークxとプランジャ10に加わる吸引力Fを示すプランジャの吸引力特性図である。この初期位置Aから中間位置Bのプランジャ10のストロークではプランジャ10のテーパ面12とソレノイドコア8の軸穴13とのラップ面積は漸次増大し、プランジャ10の吸引力Fは電流値の増大に伴い傾斜直線で漸次増大する。
【0015】
しかしながら、さらに電流値を増大してプランジャ10が前記中間位置Bを過ぎるとプランジャ10のテーパ面12はソレノイドコア8の凹欠部14のゾーンに進入し、プランジャ10のテーパ面12は凹欠部14のストレート面16とに対向することになりエアギャップ量を拡大し磁束の流れを減少する。
【0016】
これにより、プランジャ10の吸引力Fは漸次増大するものの、プランジャ10がストロークエンドC(尚、ここでいうストロークエンドCとは、制御上のストロークエンドをいい、プランジャ10がメカ的にエンドに達した状態ではない)に移動する間で凹欠部14の位置から前記エアギャップ量の拡大によって吸引力Fは低減傾向となる。すなわち、図4に示すように、高い制御電流icにおける図2のAで示す初期位置からストロークエンドCの間のプランジャ10のストロークと吸引力Fは、初期位置Aから中間位置Bまでは緩い角度fの傾斜線F2のように変化し、中間位置Bを過ぎたのちストロークエンドCに達するまでは、比較的急な角度e(>f)の傾斜線F1のように変化する。従って、ソレノイドコイル9に高い制御電流icを印加したときの吸引力Fは、従来の点線で示す角度fの傾斜線F1′上のFc′となるのに対して本発明ではFcとなり、吸引力Fを低減できる。
【0017】
このようなプランジャ10の吸引力の変化によって圧力制御弁1における制御圧は図5で示すように点線による従来の高い制御電流における曲線aよりも傾きを緩やかにして大きく延ばした特性カーブcで圧力を降下させる圧力特性が得られる。
【0018】
前記比較的急角度eの傾斜線の吸引力F1は凹欠部14の深さSと傾斜面15で決まり、緩角度fの吸引力F2はプランジャ10のテーパ面の傾斜角度θ1で決まり、さらにストロークgは凹欠部14の長さLで決まる。従って、プランジャ10の吸引力Fの調整は前記プランジャ10のテーパ面の傾斜角度θ1及び凹欠部14の深さS,傾斜面15と長さLを適宜設定することにより、それによるプランジャ10の吸引力を図5で示す幅広い圧力特性に対応させることができる。
【0019】
上記の実施の形態では圧力制御弁1をスプール弁で説明したが、本発明はスプール弁に限定されるものではなく、ソレノイドによって作動する針状弁やその他流体の通路を絞り制御する構成に適用することが可能である。
【0020】
また、上記の実施の形態では、ソレノイドコア8に角度θ2で傾斜した傾斜面15を形成して吸引力の調整を行っているが、精度が要求されない場合には角度θ2を90°にしてもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、プランジャのテーパ面と対向するソレノイドコアに前記プランジャの軸線と平行なストレート面を有する凹欠部を設け、前記プランジャのテーパ面角度と前記凹欠部の深さと長さによるプランジャとソレノイドコアとのエアギャップ量の設定によってプランジャの吸引力を調整するようにした構成であるから、プランジャの吸引力を細かく調整することができると共に、幅広い圧力特性に対応することができる。また、前記凹欠部の形状のチューニングによって要求する圧力特性を容易に得ることができる。さらに、現在の電磁弁においてもソレノイドコアに凹欠部を形成するのみで所望の圧力特性を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電磁弁の断面図
【図2】本発明の要部拡大断面図
【図3】本発明の動作を説明する断面図
【図4】本発明によるプランジャの吸引力特性図
【図5】本発明による制御圧力特性図
【図6】従来の電磁弁の断面図
【図7】従来の要部拡大断面図
【図8】従来の制御圧力特性図
【符号の説明】
1 圧力制御弁
2 ソレノイド
8 ソレノイドコア
9 ソレノイドコイル
10 プランジャ
12 テーパ面
13 軸穴
14 凹欠部
16 ストレート面
Claims (2)
- 供給される流体の圧力を制御する圧力制御弁と、ソレノイドコイルを巻装したソレノイドコアに形成されている軸穴に摺動可能に嵌装され前記ソレノイドコイルに印加される制御電流により吸引して前記圧力制御弁の絞りを作動させるプランジャを備えたソレノイドとからなる電磁弁において、
前記プランジャの吸引移動側の端面外周に軸心方向に傾斜したテーパ面を形成し、このテーパ面と対面する軸穴を形成したソレノイドコアに前記プランジャの軸線と平行なストレート面を有する凹欠部を設け、
前記プランジャはテーパ面が前記ストレート面に対向する位置まで移動可能であり、
前記プランジャのテーパ面角度と前記凹欠部のストレート面の深さ及び凹欠部の長さによるプランジャとソレノイドコアとのエアギャップ量の設定によってプランジャの吸引力を調整し、
前記テーパ面が前記軸穴に対向する領域での吸引力特性の傾きに対し前記ストレート面に対向する領域に至る状態での吸引力特性がより緩やかな傾きとなるよう吸引力特性を変化させるようにし、
前記圧力制御弁の制御圧を、高制御電流域と低制御電流域とで異なる吸引力特性によって制御するようにしたことを特徴とする電磁弁。 - 前記供給される流体の圧力を制御する圧力制御弁は前記プランジャによって作動するスプール弁とした請求項1に記載の電磁弁。
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