JP3577610B2 - ピン式シンクロナイザ機構 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、変速装置のためのピン式シンクロナイザ機構に関する。より詳細には、本発明は、このような機構のための軸方向に保持する円すい摩擦部材に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
シンクロナイザ機構が、変速比の全て又は幾つかのシフト時間を減少するために使用されることは多重比率の変速装置技術では周知である。自動車の運転手によって要求されるシフト作動力、すなわちシフトレバーに加える力が、自己増力式のシンクロナイザ機構によって減少されることはまた公知である。自己付勢を有するピン式シンクロナイザ機構の従来の例は、参照してここに組み込まれている米国特許第５，０９２，４３９ 号明細書を参照することによって確かめられる。
【０００３】
上記の特許に開示されたピン式シンクロナイザ機構は、シャフトに対して軸方向に離間されたギヤをそれぞれに同期化し、かつ、かみあいクラッチするための摩擦部材及びジョー部材を含む。すなわち、シフト力によってジョー部材の一つの初期のかみ合わせする動きに応じて、摩擦部材の初期のかみ合わせを達成するプリエナ−ジャイザにかみ合わされるブロッカーであり、このブロッカーは、ジョー部材の非同期かみ合わせを防止し、それの同期化トルクを増加するために摩擦部材にシフト力を伝達するために作動し、また、摩擦部材の同期化トルクをさらに増すために、シフト力の方向の付加力及びシフト力に付加される付加力を与えるようなトルクに反作用する自己増力傾斜面がある。ここで、本発明を使用するピン式シンクロナイザは、自己増力傾斜面を含むかもしれないし、又は含まないかもしれない。
【０００４】
多くのピン式シンクロナイザ機構は、円すい摩擦面を有するリングを含み、それはシンクロナイザ機構のニュートラル位置から、ギヤに対する回転及び全ての軸方向の動きの対して、付加される部材によって規定される円すい摩擦面との相かみ合いへと軸方向に移動可能である。
【０００５】
このような軸方向に部材を付加することは、シンクロナイザ機構がニュートラルにあるとき摩擦面間のクリアランスを確実にするために好まれ、シンクロナイザ機構がかみ合わされた位置からニュートラル位置まで移動されたとき、表面のかみ合わせからの離脱を確実にするために好まれ、例えば、トルク等を発生する摩擦面間のオイルの粘性せん断抗力による自己増力傾斜面の、故意でないかみ合わせを確実にするか又は軽減するために好まれる。
【０００６】
多くの変速装置の据え付けでは、ギヤに部材の多くを軸方向に付加することは、困難であるか、かつ／又は法外なコストである。ここで、開示されている発明は、全ての軸方向の動きに対して部材を付加する必要性を否定する。本発明はまた、前記のクリアランス、ギヤに部材を初期に軸方向に付加するために使用される他の手段の故障の場合に、かみ合わせからの離脱及び粘性せん断抗力の軽減を確実にする。
【０００７】
本発明の目的は、シンクロナイザ機構の摩擦面間の関数関係を改良することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴（特許請求の範囲に記載された構成）によれば、その概略は以下のとおりである。ピン式シンクロナイザ機構は、第１及び第２の軸方向に離間された伝動装置のいずれかを摩擦的に同期化し、かつシャフトに確動接続するために選択的に作動する。伝動装置は、シャフトに共通な軸の周りの相対回転のために取り付けられ、かつシャフトに対する軸方向の移動に対して固定される。駆動ジョー手段は、各伝動装置に付加され、シャフトに付加される軸方向に延びる外部スプラインと連続してスライド可能なようにかみ合っている軸方向に延びる内部スプラインを有する軸方向に移動可能であるジョー手段とかみ合せ可能である。第１及び第２の円すい摩擦面は、第１及び第２の伝動装置とともに一定の回転、及びギヤ間の空間から離れて限定された軸方向の動きのために、付加手段によってそれぞれ固定されている軸方向に離間される第１及び第２の部材によってそれぞれ規定される。第３及び第４の円すい摩擦面は、シャフト手段に同心的に配置され、かつシャフトとともに伝動装置を同期化するために、第１及び第２の摩擦面のそれぞれとかみ合うようにする軸方向の動きのための、離間された伝動装置間で軸方向に移動可能である軸方向に離間されたリング対によって規定される。フランジは、フランジに加えられる軸方向の双方向のシフト力（Ｆ_０ ）に応じて移動可能なリングとジョー手段がかみ合うように、軸方向に移動するためにリング間に半径方向に延びる。軸方向に移動可能ジョー手段に対する軸方向の移動に対して、フランジを固定する手段が設けられている。ブロッカー手段は、同期化する前にジョー手段のかみ合いを防止する。このブロッカーは、リングをともにしっかりと固定する複数の外周に離間され、かつ軸方向に延びるピンを含む。このピンはフランジの開口を通って延びる。各ピンは、フランジの反対側で、かつ関連開口の周りに規定されるブロッカー・ショルダとかみ合い可能である軸方向に離間されたブロッカー・ショルダを有する。プリエナージャイザは、一つの伝動装置の方へニュートラル位置からのシフト力によるフランジの初期の軸方向の動きに応じて、それぞれ第１及び第２の摩擦面と第３及び第４の摩擦面のいずれかの摩擦面をかみ合わせるためのものであり、ピンを介してフランジに伝達する同期化トルクを発生する摩擦面のかみ合わせに応じてブロッカーをかみ合わせるためのものであり、かみ合わされた摩擦面のかみ合わせる力を増加するためにかみ合わされたブロッカー手段を介して、シフト力をかみ合わされた摩擦面に伝達するためのものである。
【０００９】
本発明は、摩擦リングの方の方向に、第１及び第２の摩擦部材の軸方向の動きを可能にする付加手段によって特徴付けられ、また摩擦リングの方への軸方向の動きを制限するか又は阻止するために、第１及び第２の部材間で軸方向に挿入される複数の外周に離間された堅い部材によって特徴付けられる。
【００１０】
【実施例】
用語“シンクロナイザクラッチ機構”は、かみあいクラッチによって選択された比ギヤでシャフトが回転できないように結合するために使用されるクラッチ機構を示し、そのかみあいクラッチの部材が、かみあいクラッチに結合した同期摩擦クラッチによっておおむね同期回転をもたらされるまで、かみあいクラッチの試みられたかみ合わせが防止される。かみあいクラッチによって選択された比ギヤとシャフトとが回転できないように結合するために使用されるクラッチ機構を示す。用語“自己増力”は、摩擦クラッチの同期化トルクに比例して同期クラッチのかみ合う力を増すために、傾斜面又はカム等を含むシンクロナイザクラッチ機構を示す。
【００１１】
最初に主に図１及び図２を参照すると、地上の乗り物で使用するのに向けられているタイプ、特に、重量トラックで使用されるタイプの他の図示されていない変速装置のために、ギヤ及びシンクロナイザアセンブリ１０が示されている。しかしながら、アセンブリ１０は他の用途でも使用される。このアセンブリは、一般に共通軸１１ａ 及び１２ａ の周りに回転するために取り付けられた変速装置のインプットシャフト１１及びアウトプットシャフト１２、公知の方法でシャフトに付加された環状スラスト部材によってシャフト上に回転可能なように支持され、かつシャフトに関して軸方向の動きに対して固定される離間された比ギヤ１４、１６及び複動のピン式シンクロナイザクラッチ機構１８を含む。アセンブリ１０が、参照してここに組み入れられている米国特許第３，６４８，５４６ 号明細書及び米国特許第４，７８８，８８９ 号明細書で開示されているような、ツインカウンタ・シャフトの一部であるとき、ギヤ１４上の歯１４ａ は、ギヤ１６によって駆動される図示しないカウンタ・ シャフト上のギヤと持続的にかみ合っており、シャフト１２は、負荷に接続されるか又は選択的に接続可能であり、従来、周知であるように幾分、半径方向に自由に移動する。ギヤ１６は、インプットシャフト１１にキー溝をつけられ、歯１６ａ は図示されていないカウンタ・シャフト上のギヤの歯と持続的にかみ合っている。
【００１２】
シンクロナイザ機構１８は、環状摩擦部材すなわちコーンカップ２０、２２及びギヤ１４、１６とともに回転するために固定されている環状ジョークラッチ部材１４ｂ 、１６ｂ 、完全にシャフトとともに形成されるか、そうでなければそれに付加される外部スプライン歯１２ｂ とスライド可能なようにかみ合っている内部スプライン歯２４ａ 、２６ａ を有するジョークラッチ部材２４、２６、このジョークラッチ部材２４、２６の軸方向に面している面２４ｂ 、２６ｂ 間にサンドイッチされる軸方向と逆方向に面している側２８ａ 、２８ｂ を有し、半径方向に延びるシフトフランジ２８、フランジ及びジョー部材を相対軸方向の動きに対して、固定するための３つのＨ形のリテーナ部材３０（その一つが図４に遠近法によって示されている）、摩擦部材の各々からフランジの開口２８Ｃ を通って軸方向に延びる３つの外周に離間されるピン３６によって一緒にしっかりと固定される環状摩擦部材すなわちリング３２、３４、及びピンによって規定される面に相互に作用るスプリング４０及びプランジャ４２を各々が含んでいる３つのプリエナージャイザ・アセンブリ３８を含む。リテーナ３０、ピン３６及びアセンブリ３８の数は、ここで開示された数よりも多いかもしれないし又は少ないかもしれない。
【００１３】
シャフト１１、ギヤ１６及びベアリング１７は、好ましくは、変速装置の部分的に示されるハウジング壁のベアリングレース支持開口１９ａ を通るアセンブリとして取り付けられる。摩擦部材２２の直径は開口１９ａ の直径よりも大きいので、アセンブリが取り付けられた後、部材２２はギヤ１６上に取り付けられる。
摩擦部材２０、２２は、環状摩擦部材３２、３４の外部円すい摩擦面３２ａ 、３４ａ とそれぞれかみ合う内部円すい摩擦面２０ａ 、２２ａ を有する。容易に理解されるように、摩擦部材２０、３２及び２２、３４は、ジョークラッチのかみ合わせより前に、シャフトに対してギヤを同期化するために摩擦クラッチを規定するために２つを対にする。摩擦部材２０、２２は、それの間での相対回転を防止するために、ギヤ１４、１６によって規定される外部スプラインとスライド可能にかみ合う内部スプライン２０ｂ 、２２ｂ 含む。ギヤ１４、１６によって規定される接合部又は抗力面１４ｄ 、１６ｄ は、ギヤ間の空間から離れる部材２０、２２の軸方向の動きを制限する。ギヤ間の空間の方への部材の軸方向の動きは、部材３２、３４の軸方向に整列された開口３２ｂ 、３４ｂ 及びフランジ２８の開口２８ｃ を通ってスライド可能に延びる複数の堅い細長い部材４４によって制限されるか又は防止される。部材を把持するＯリングのようなスプリングクリップ又は弾性バンド４６は、部材２０、２２間に部材３２、３４を取り付ける前に、各部材４４を所定の位置に保持するために使用される。部材４４はまた、可動ジョー部材２４、２６のいずれかが、かみ合わされた位置からニュートラル位置に移動されるとき、円すい面のかみ合わせを確実にする。
【００１４】
広範囲のコ−ン角が使用される。ここでは、７．５゜のテーパ角が使用される。摩擦面は、ベース部材に付加される幾つかの公知の摩擦部材のどれかによって規定される。ここでは、米国特許第４，７００，８２３ 号明細書、米国特許４，８４４，２１８ 号明細書及び米国特許第４，７７８，５４８ 号明細書で開示されるような熱分解炭素（パイロライティックカ−ボン）摩擦材が好まれる。これらの特許は、参照してここに組み込まれている。
【００１５】
ピン３６は図６により詳細に示される。各ピンは、フランジ開口２８ｃ の直径よりもわずかに小さい直径を有する主要直径部３６ａ 、摩擦リング３２、３４間（ここでは、中間）に離隔される減少される直径すなわち溝部３６ｂ 、ピン軸から半径方向に外側に延び、かつピン軸に垂直な線に対して、ここでは約４０゜の角度で互いに軸方向に離れて延びる円すい状のブロッカー・ショルダ又はブロッカー面３３ｃ 、３３ｄ 、及び好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが独立しているプリエナージャイザ面３６ｅ 、３６ｆ 及び拡張された二次センタリング面３６ｇ 、３６ｈ を含む。溝が付けられた部分は、そのそれぞれのフランジ開口内に配置されるとき、フランジに対する堅い摩擦リング及びピンアセンブリの回転を制限し、フランジ開口の周りに規定される面取りされたブロッカー・ショルダとピンブロッカー・ショルダとのかみ合わせを達成することを可能にする。プリエナージャイザ面３６ｅ 、３６ｆ は、好ましくは（しかし必ずしも平たんでない）平たんな平面であり、かつブロッカー面の角度よりもピン軸に対して幾分小さい角度を形成し、円すい状のブロッカー・ショルダ３６ｃ 、３６ｄ の一部と弦のように交わるか又は除去している。センタリング面３６ｇ 、３６ｈ はまた平たん平面で、図から容易に明らかなように、ブロッカーとプリエナージャイザ面の角度よりも、ピン軸に対しておおむね小さい角度を形成する。ここで開示されているように、平たんな面の弦の長さは、ピン軸及びシャフト軸に対して同心である円に接触している。その代わりに、面３６ｅ 〜３６ｆ は不要とされ、次に、プリエナージャイザ・プランジャ１２４ はブロッカー面３６ｃ 、３６ｄ に対して反作用する。
【００１６】
フランジのスロット２８ｇ に配置されるら旋形の圧縮スプリング４０は、ピンプリエナージャイザ面の方に半径方向に外側にプランジャ４２を片寄らせる。スロットの主要な長さはシャフト軸に対して半径方向に延びることが好ましい。スロットはまた、フランジ側２８ａ 、２８ｂ を通って軸方向にフランジ開口２８ｃ の中に延び、反作用するスプリングのためにその半径方向の内側に端部２８ｈ を有する。
前述のように、ジョー部材２４、２６は、シャフトに付加される外部スプラインの歯１２ｂ とスライド可能にかみ合う内部スプラインの歯２４ａ 、２６ａ を含む。この外部スプラインは、シャフト軸に平行に延びるインボリュート・ フランク面１２ｃ を有し、かつジョー部材スプラインのフランク面とそれとのかみ合わせは、それの間の相対回転を防止する。Ｈ形部材３０の各々は、ジョー部材面２４ｃ 、２６ｃ に反作用する端部３０ａ 、３０ｂ 及びこの端部と相互に接続する中心部３０ｃ を含む。この中心部は、ジョー部材に軸方向に延びるスロット２４ｄ 、２６ｄ を通ってぴったりと合うように延び、かつ後述される理由から、ジョー部材及びシャフトに対して、フランジの回転運動を制限するために、中心部３０ｃ と協働する半径方向に延びる停止面２８ｎ ２８ｍ を有する開口２８ｋ を通って自由に延びる。
【００１７】
図１〜図２及び図７〜図１０でよく分かるように、図１、図２及び図８のフランジ２８のニュートラル位置から両方の軸方向にシャフトの外部歯１２ｂ の幾つかの部分は、１つ以上の傾斜面を設けるように修正される。この傾斜面は、フランジ２８から半径方向に内側に軸方向に延び、かつシャフトスプライン１２ｂ間の空間の中に延びる反作用手段又は内部歯４８によって規定される同様な傾斜面数と協働する。傾斜面は、ジョー部材２４、２６及びシャフト１２に対するフランジの制限された回転を可能にし、フランジ２８に加えられるシフト力によって、初期にかみ合わせされる円すいクラッチのかみ合わせ力を増加するために、付加される軸方向の自己増力を与えるための円すいクラッチとシャフト間の同期化トルクに反作用し、それによって、円すいクラッチによって与えられる同期化トルクを増加する。アップシフト及びダウンシフトに関して遭遇されるように、一つ又は両方のギヤのために同期化力を増加するため、及び／又はいずれかの方向のトルクに応じて、同期化力を増加するための傾斜面が設けられる。より詳細には、各Ｈ形リテーナ中心部３０ｃ の間の外周上の各歯１２ｂ は、ポストのような部分５０によって規定される第１の端部、軸方向に反対側の端部１２ｄ 、１２ｅ 及び最小外径１２ｆ を有する環状溝を規定する第１及び第２の軸方向に離間されたリセスを有する。最小外径１２ｆ は、スプライン１２ｂ のねじの谷径よりも大きく、かつジョークラッチ・スプライン２４ａ 、２６ａ の内径２４ｃ 、２６ｃ よりも大きい。また、最小外径１２ｆ は、フランジ内部歯４８の内部よりも小さい。ポストのような部分５０は、それから両方の軸方向の各歯の部分を取り除くことによって形成されるダイヤモンド形状を有する。取り除かれた部分の半径方向の長さ及び軸方向の長さは、ポスト部分５０上のブースト傾斜面５０ａ 、５０ｂ 、５０ｃ 、５０ｄの機械加工を容易にし、かつこのような除去が歯１２ｂ の力に対して有する効果を最小にするように選択される。さらに、スプラインの歯１２ｂは、傾斜面がそれに作用する力による摩耗を最小にするのに十分な表面積を有することを確実にするために、十分な半径方向の深さを持って設けられる。ポスト部分５０の軸端５０ａ 、５０ｂ と歯１２の半径方向の端部１２ｄ 、１２ｅ の間の除去された部分又はリセスの長さは、歯の環状溝を簡単に機械加工することによって形成される。取り除かれた部分の軸方向の長さは、傾斜面を形成するために機械加工工具の挿入を容易にするために十分である。傾斜面５０ａ 、５０ｂ は、それぞれいずれかの方向のトルクに応じてギヤ１４の同期化速度を増加するか又は支援するかするために、付加される軸方向の力（ Ｆａ）を与えるようにフランジの歯４８上の傾斜面４８ａ 、４８ｂ に対して反作用する。傾斜面５０ｃ 、５０ｄ は、それぞれいずれかの方向の同期化トルクに応じて、ギヤ１６のための付加される軸方向の力（ Ｆａ）を与えるように、傾斜面４８ｃ 、４８ｄ に対して反作用する。傾斜面の角度は、アップシフト及びダウンシフト並びに高速比及び低速比に対して異なる付加される軸方向の力量を与えるように変えられる。また、いかなる付加される軸方向の力が、１ギヤ以上に対して一つの方向に選択されないならば、傾斜面はスプラインに平行である。すなわち、有効な傾斜面は与えられない。さらに、後述されるように、軸方向の付加される力の大きさ又は量はまた、摩擦クラッチ及び自己増力傾斜面の平均半径比の関数である。したがって、シフトフォークによってシフトフランジ２８に加えられる所与のシフト力に対して付加される力の大きさは、傾斜面角及び／又は平均半径比を変えることによって変えられる。内部歯４８及びポストのような部分５０は、それの外周の反対側に非ブースト面又はフラット４８ｅ び５０ｅ とともに設けられる。この非ブースト面が互いに反作用する一方、円すいクラッチのいずれかが、例えば、摩擦面間のオイルの粘性せん断によるトルクを発生する場合、フランジ２８は、自己増力傾斜面の付勢を防止するためにニュートラル位置にある。
【００１８】
図１及び図８に関して、フランジ２８がニュートラル位置にあるとき、ピン３６の減少された直径部分３６ｂ はその関連フランジ開口２８ｃ と半径方向に整列され、円すいクラッチの摩擦面は、わずかに離間され、かつ、スプリング４０の力及び摩擦面２０、２２と境を接する細長い部材４４の端部４４ａ 、４４ｂ によって、ピン３６のプリエナージャイザ面３６ｅ 、３６ｆ に作用するプランジャ４２の曲がったプリエナージャイザ面４２ａ 、４２ｂ によってこの離隔された関係で保持される。シャフトにいずれかのギヤを結合することが望まれるとき、米国特許第４，９２０，８１５ 号明細書に開示され、かつ参照によってここに組み込まれているような適当で図示されていないシフト機構は、ギヤ１６を結合するために左又はギヤ１４を結合するために右のいずれかに、シャフト１２の軸に沿って軸方向にフランジを移動するために、公知の方法でフランジ２８の外周に接続された。このシフト機構は、リンク機構システムによって運転者によって手動で動かされ、アクチュエータによって選択的に動かされるか又は自動的にシフト機構の動作を始動し、かつまたシフト機構によって加えられる力の大きさをまた制御する手段によって動かされる。シフト機構が手動で動かされるとき、力は、運転者によってシフトレバーに加えられる力に比例する。手動又は自動で加えられるとき、力は軸方向のフランジ２８に加えられ、図１０の矢印Ｆ_０ の長さによって表される。
【００１９】
運転者のシフト力Ｆ_０ によるフランジの初期の右側の軸方向の動きは、円すい面２０ａ との円すい面３２ａ の初期の摩擦かみ合わせをもたらすためにプリエナージャイザ面３６ｆ のそばのピンに、プリエナージャイザ・ プランジャ４２によって伝達される。円すい面の初期のかみ合わせ力は、もちろん、スプリング４０の力とプリエナージャイザ面の角度との関数である。この初期の摩擦かみ合わせ（非同期状態が存在し、かつ自己増力傾斜面の効果を直ちに無視するならば）は、初期の円すいクラッチかみ合わせ力及び同期化トルクＴ_０ を発生する。このトルクは、フランジ２８とかみ合わされた摩擦リング間の制限された相対回転、したがって、フランジブロッカー・ショルダ２８ｅ とピンブロッカー・ショルダ３６ｃ とのかみ合わせを与えるために、フランジ開口２８ｃ の適当な側への減少された直径ピン部分３６ｂ の移動を確実にする。ブロッカー・ショルダがかみ合わされるとき、フランジ２８への運転者の全部のシフト力Ｆ_０ は、ブロッカー・ショルダを介して摩擦リング３２に伝達され、それによって円すいクラッチは、得られた運転者の同期化トルクＴ_０ を与えるために運転者のシフト力Ｆ_０ の全力によってかみ合わされる。この運転者の同期化トルクＴ_０ は図１０の矢印Ｔ_０ によって表される。ブロッカー・ショルダは、運転者のシフト力Ｆ_０ の軸方向に対して曲がって配置されているので、それは反対の力又は円すいクラッチからの同期化トルクと逆であるが、非同期状態中より小さい大きさである非ブロッキングトルクを発生する。実質的同期に到達されるとき、同期化トルクは非ブロッキングトルクより下に落ちる。それによって、ブロッカー・ショルダは、フランジの連続された軸方向の動き及び、図７に示されるようにギヤ１４の内部ジョーの歯１４６ とジョー部材２４の外部ジョーの歯２４ｄ とのかみ合いを可能にするために、ピンを開口２８ｃ と同心関係になるように動く。従来、公知であり、図７のジョーの歯１６ｂ に対してのみ参照番号によって詳述されるように、ジョーの歯のリード部分は、初期の接触中歯の損傷を減少するためにレーキの前縁１６ｃ を有し、歯がかみ合う整列になるようにクロックするために面取り面又はウエッジ面１６ｄ を有する。このようなリード部分を有するジョーの歯は、適正なすくい角（レ−キ角）に対して教示を与える米国特許第３，２６５，１７３ 号明細書にそって参照することによって、ここに組み込まれている米国特許第４，２４６，９９３ 号明細書により詳細に開示されている。非対称であるウエッジ面は、歯の前縁の境を接する接触によるシフトの完了の遅延を防止する。円滑に比較的骨の折れないシフトの完了を容易にするために、ジョーの歯は、外周方向に実行できるように精巧又は小さいのが好ましく、それによって、ジョーの歯にかみ合うように整列するのに必要な数、又は回転クロッキング段階を最少にする。また、好ましくは、ジョーの歯は実行できるような直径と同様な大きい直径の周りに配置される。
【００２０】
なお、自己増力傾斜面の効果を無視するとき、力Ｆ_０ によって与えられる円すいクラッチトルクは下記の式によって表される。
Ｔ_０ ＝Ｆ_０ Ｒｃ μ_ｃ ／ｓｉｎα
ここで、
Ｒｃ ＝ 円すい摩擦面の平均半径、
μ_ｃ ＝ 円すい摩擦面の摩擦係数、
α ＝ 円すい摩擦面の角度
である。
【００２１】
いま、自己増力傾斜面の性向を見ると、図８及び図９を特に参照すると、運転者により加えられた軸方向のシフト力Ｆ０ による同期化トルクＴ０ は、ピン３６によってフランジ２８に伝達され、自己増力傾斜面を横切ってシャフト１２に反作用される。自己増力傾斜面は、かみ合わされるとき、シャフト１２及びジョー部材２４、２６に対するフランジの回転を制限し、軸方向の成分、すなわちシフト力Ｆ_０ と同一の方向のフランジに作用する軸方向の付加される力Ｆａ を発生し、それによってトルクＴ_０ に付加する付加同期化トルクＴａ を与えるように、円すいクラッチのかみ合う力をさらに増加する。図８は、自己増力傾斜面の位置及びシャフトスプライン１２ｂ に対するジョー部材スプライン２４ａ 、２６ａ の位置を示す一方、シフトフランジ２８は図１の位置に対応するニュートラル位置にある。図９は、傾斜面及びスプラインの位置を示す一方、ギヤ１４はかみ合わされた円すい面３２ａ 、２０ａ によって同期化される。かみ合わされた円すい面は、シャフト傾斜面５０ａ とフランジ部材傾斜面４８ａ とのかみ合わせをもたらした方向に、同期化トルクを発生している。したがって、円すいクラッチにかみ合うための軸方向の力の和はＦ_０ ＋Ｆａ であり、円すいクラッチによって発生される同期化トルクの和は、図１０に図示されるようにＴ_０ ＋Ｔａ である。所与の運転者のシフト力Ｆ_０ 及び運転者の同期化トルクＴ_０ に対して、軸方向の付加される力の大きさは、好ましくは、かみ合わされた自己増力傾斜面の角度の関数である。この角度は、好ましくは、運転者によって所与の適度のシフト作用力に応じて同期化トルクを著しく増加し、かつ同期化時間を著しく減少するのに十分な大きさの付加される力Ｆａ を発生するのに十分大きい。しかしながら、この角度は、制御された軸方向の付加される力Ｆａ を発生するのに十分小さいのが好ましい。すなわち、力Ｆａ は、増加するか又は減少する力Ｆ０ に応じて増加又は減少すべきである。もし傾斜面角があまりにも大きいならば、傾斜面は自己増力するよりもセルフロック作用している。したがって、いったん、円すいクラッチの初期のかみ合わせがもたらされると、力Ｆａ は、力Ｆ_０ とは独立して迅速に制御できないように増加し、それによってロックアップの方に円すいクラッチを駆動する。自己増力よりもむしろセルフロックは、シフトの質又はシフトの感触を減少し、シンクロナイザの構成要素に過度に圧力を加えるかもしれないし、円すいクラッチ面の過熱及び急速な摩耗を生じるかもしれないし、シフトレバーの運転者の運動を無視さえするかもしれない。
【００２２】
運転者の力Ｆ_０ に比例して増加するか又は減少する付加される軸方向の力Ｆａ 与えるための自己増力傾斜面角を計算するための主要変数は、円すいクラッチ角、円すいクラッチ摩擦係数、円すいクラッチ及び自己増力傾斜面の平均半径比、傾斜面摩擦係数及び自己増力傾斜面の圧力角である。この圧力角はゼロである。ここで、傾斜面は２０゜の圧力角を有する。自己増力又はブースト力を計算し、かつ制御するためのさらなる詳細は、前述のように参照することによってここに組み込まれている米国特許第５，０９２，４３９ 号明細書を参照することによって得られる。
【００２３】
図１１は、細長い部材４４の他の実施例を示す。他の実施例では、各細長い部材は、１１４ として示されていて、端部とコーンカップ２０、２２間の抗力を減少するために、減摩手段１１４ｃ、１１４ｄを含むようにその端部１１４ａ、１１４ｂで修正される。このような抗力は、シフト性能に有害であり、端部がコーンカップと接触する所に摩耗及び熱発生による故障を生じる。ここで、減摩手段１１４ｃ、１１４ｄは、それぞれ端部１１４ａ、１１４ｂのポケットに保持されるボールベアリングである。各ポケットとボールベアリング間の潤滑は、公知の方法で各ポケットを潤滑剤で含浸することによってか、又はボールベアリングの露出された部分にトランスミッションオイルをはねかけることによって与えられる。
【００２４】
自己増力を有し、かつ改良されたニュートラル位置決めするシンクロナイザ機構の２つの実施例が開示された。この実施例の多くの変形例及び修正例は、本発明の精神の中にあるものと信じられる。特許請求の範囲は、開示された機構及び本発明の精神の中にあるものと信じられる変形例及び修正例の発明部分をカバーすることを意図している。
【００２５】
【発明の効果】
本発明によれば、シンクロナイザ機構がニュートラルにあるとき摩擦面間のクリアランスを確実にし、シンクロナイザ機構がかみ合わされた位置からニュートラル位置まで移動されたとき、表面のかみ合わせからの離脱を確実にし、トルク等を発生する摩擦面間のオイルの粘性せん断抗力による自己増力傾斜面の、故意でないかみ合わせを確実にするか又は軽減する。
多くの変速装置の据え付けでは、ギヤに部材の多くを軸方向に付加することは、困難であるか、かつ／又は法外なコストを要する。ここで、開示されている発明は、全ての軸方向の動きに対して部材を付加する必要性を否定する。本発明はまた、前記のクリアランス、ギヤに部材を初期に軸方向に付加するために使用される他の手段の故障の場合に、かみ合わせからの離脱及び粘性せん断抗力の軽減を確実にする。
【図面の簡単な説明】
【図１】図２のライン１−１に沿って見た複動式シンクロナイザ機構の断面図である。
【図２】図１のライン２−２に沿って見た機構の部分断面図である。
【図３】図１のライン３−３に沿って見た機構の一部の断面図である。
【図４】図１及び図２の構成要素であるリテ−ナの透視図である。
【図５】図１及び図２のプランジャ構成部分の詳細図である。
【図６】図１及び図２のピン構成部分の詳細図である。
【図７】かみ合った位置にあるそれのジョークラッチを有する図１の機構の部分図である。
【図８】図１のライン８−８に沿って見た歯付部分の断面図である。
【図９】図１のライン８−８に沿って見た歯付部分の断面図である。
【図１０】シンクロナイザのシフトフランジに働く、軸方向力及び軸方向トルクのグラフ図である。
【図１１】シンクロナイザ機構の一部の細長い部材の他の実施例の拡大図である。
【符号の説明】
１０ シンクロナイザアセンブリ
１２ シャフト
１２ａ シャフトの軸
１２ｂ 外部スプライン
１２ｃ フランク面
１４，１６ 伝動装置
１８ シンクロナイザ機構
２０，２２ コーンカップ
２０ａ，２２ａ 内部コーン摩擦面
２４ａ，２６ａ 内部スプライン
２４ｄ，２６ｄ スロット
２８ フランジ
３２，３４ リング
３２ａ，３４ａ 外部コーン摩擦面
３６ ピン
５０ａ 傾斜面
１１４ａ，１１４ｂ ポケット
１１４ｃ，１１４ｄ 減摩手段

Claims (7)

1. シャフト（１２）の軸（１２ａ ）の周りの相対回転のために取り付けられ、かつ前記シャフトに対する軸方向の動きに対して固定される第１及び第２の軸方向に離間された伝動装置（１４、１６）のいずれかを摩擦により同期化し、かつ確動接続するように選択的に作動するピン式シンクロナイザ機構において、
   各伝動装置（１４、１６）に付加され、かつ前記シャフト（１２）に付加される軸方向に延びる外部スプライン（１２ｂ ）と連続して、スライド可能なようにかみ合う軸方向に延びる内部スプライン（２４ａ 、２６ａ ）を有する軸方向に移動可能なジョー手段（２４ｄ 、２６ｄ ）とかみ合わせ可能である伝動ジョー手段（１４ｂ 、１６ｂ ）と、
   前記第１及び第２の伝動装置（１４、１６）とともに一定の回転をし、前記第１及び第２の伝動装置間の空間から離れて、制限された軸方向の動きを行うための付加手段（１４ｃ 、１６ｃ 及び１４ｄ 、１６ｄ ）によって、それぞれ固定される軸方向に離隔された第１及び第２の部材（２０、２２）でそれぞれ規定される第１及び第２の円すい摩擦面（２０ａ 、２２ａ ）及び、
   前記シャフト軸（１２ａ ）に対して同心であり、前記シャフト（１２）と伝動装置（１４、１６）とを同期化するために、前記第１及び第２の摩擦面（２０ａ 、２２ａ ）とそれぞれかみ合うように、軸方向の動きを行うために離間された伝動装置（１４、１６）間で、軸方向に移動可能でかつ軸方向に離間されたリング対（３２、３４）によって規定される第３及び第４の円すい摩擦面（３２ａ、３４ａ） と、
   前記リング及び前記軸方向に移動可能なジョー手段（２４ｄ 、２６ｄ ）を，加えられる軸方向の双方向のシフト力（Ｆ_０ ）に応じて、前記かみ合わせするように軸方向に移動するために前記リング対（３２、３４）間に半径方向に延びるフランジ（２８）と、
   前記軸方向に移動可能なジョー手段（２４ｄ 、２６ｄ ）に関して軸方向の動きに対して前記フランジを固定する手段（３０）と、
   前記同期化するよりも先に前記軸方向に移動可能なジョー手段（２４ｄ 、２６ｄ ）のかみ合わせを防止するブロッカー手段（３６ｄ 、３６ｃ 及び２８ｅ 、２８ｆ ）と、
   ニュートラル位置から伝動装置（１４、１６）の一つの方への前記シフト力によって、前記フランジ（２８）の初期の軸方向の動きに応じて、前記第３及び第４の摩擦面（３２ａ 、３４ａ ）を前記第１及び第２の摩擦面（２０ａ 、２２ａ ）とそれぞれかみ合わせ、ピン（３６）を介してフランジ（２８）に伝達される同期化トルクを発生する前記摩擦面（２０ａ 、２２ａ 、３２ａ 、３４ａ ）のかみ合わせに応じて、前記ブロッカー手段（３６ｄ 、３６ｃ 及び２８ｅ 、２８ｆ ）とかみ合わせ、前記かみ合わされた摩擦面のかみ合わせ力を増加するために、前記かみ合わされたブロッカー手段を介して前記かみ合わされた摩擦面に前記シフト力を伝達するプリエナージャイザ手段（３８、３６ｆ 、３６ｅ ）と、
   前記摩擦リング対（３２、３４）の方へそれの軸方向の動きを制限するために、前記第１及び第２の部材（２０、２２）間に軸方向に配置される複数の外周に離隔された堅い部材（４４）とを備え、
   前記外部スプライン（１２ｂ ）は、それとの間の空間と反対側に面するフランク面対（１２ｃ ）を有し、
   前記ブロッカー手段は、複数の外周に離間され、かつ前記リング対（３２、３４）を一緒にしっかりと固定する軸方向に延びるピンを含み、
   各ピンは、前記フランジ（２８）の反対側で、かつ結合する開口（２６ｃ ）の周りに規定されるブロッカー・ショルダ（２８ｅ 、２８ｆ ）とかみ合わせ可能な軸方向に離間されたブロッカー・ショルダ（３６ｄ 、３６ｃ ）を有し、
   前記付加手段（１４ｃ 、１６ｃ 及び１４ｄ 、１６ｄ ）は、少なくとも一つの前記摩擦リング対（３２、３４）の方への少なくとも一つの第１及び第２の部材（２０、２２）の軸方向の動きを可能にすることを特徴とするピン式シンクロナイザ機構。
2. 前記付加手段（１４ｃ 、１６ｃ 及び１４ｄ 、１６ｄ ）は、リング対（３２、３４）及びフランジ（２８）を通って軸方向に延びる複数の外周に離隔された開口セット（２８ｃ 、３２ｄ 、３４ｄ ）を含み、前記堅い部材（４４）のそれぞれは前記開口セットの一つにスライド可能なように配置される細長い部材であり、かつ第１及び第２の部材（２０、２２）と、比較的近接して接する関係の反対側の端部（４４ａ ４４ｂ 又は１１４ｃ、１１４ｄ）を有することを特徴とする請求項１に記載のピン式シンクロナイザ機構。
3. 前記第１及び第２の部材（２０、２２）間の前記リング対（３２、３４）の取り付けよりも前に、開口（２８ｃ 、３２ｄ 、３４ｄ ）内に前記細長い部材（４４）を保持する手段（４６）を含むことを特徴とする請求項２に記載の機構。
4. 前記摩擦手段（２０ａ 、３２ａ ）と前記シャフト（１２）間の同期化トルク（Ｔ_０ ）に反作用し、かつ前記第１の摩擦面（３２ａ ）にかみ合う力をさらに増加するために軸方向の付加される力（Ｆａ ）を発生するために、一つの方向の前記同期化トルクに応じてかみ合い可能である第１及び第２の傾斜面（５０ａ 、４８ａ ）を含んでいる第１の自己増力手段（４８、５０）を含んでいることを特徴とする請求項１又は２に記載のピン式シンクロナイザ機構。
5. 軸方向に移動可能なジョー手段（２４ｄ 、２６ｄ ）に対するフランジ（２８）の外周上の動きを可能にする前記フランジを固定する手段（３０）と、
   それのフランク面（１２ｃ ）対の、少なくとも一つに形成される第１の傾斜面（５０ａ ）を有する外部スプライン（１２ａ ）間の少なくとも一つの空間と、
   フランジ（２８）から半径方向に内側にそして一つの空間に延びる反作用手段（４８）とを含んでいて、
   前記第１の傾斜面（５０ａ）は、シャフト軸（１２ａ ）とフランク面（１２ｃ ）に垂直な面に対して９０゜よりも小さい角度を形成し、
   前記反作用手段（４８）は、フランジ（２８）から半径方向に内側に一つの空間の中に延び、前記第１の傾斜面（５０ａ ）におおむね平行であり、かつ前記第１の伝動装置（１４）に関連される前記摩擦面（２０ａ 、３２ａ ）のかみ合わせ力を増すための前記シフト力の方向への、フランジ（２８）に軸方向の付加される力を発生するために前記第１の伝動装置（１４）に結合してかみ合わされた摩擦面（２０ａ 、３２ａ ）から、一つの方向の同期化トルクに応じて、それとのかみ合わせ可能な第２の傾斜面（４８ａ ）を含んでいることを特徴とする請求項１又は２に記載のピン式シンクロナイザ機構。
6. 各細長い部材（１１４ ）の反対側の端部は、減摩手段（１１４ｃ，１１４ｄ）を含むことを特徴とする請求項１、２、４又は５に記載のピン式シンクロナイザ機構。
7. 前記減摩手段（１１４ｃ，１１４ｄ）は、各細長い部材の各端部のポケット（１１４ａ，１１４ｂ）に保持されるボールベアリングを含むことを特徴とする請求項６に記載のピン式シンクロナイザ機構。

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