JP3577518B2 - 冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、電子顕微鏡、電子線加速器およびX線発生装置用の電子線源として有用な冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源の陰極先端部の冷却効率をより高め、より多量の電子がより長時間安定的に放出される冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、電子顕微鏡、電子線加速器およびX線発生装置用等の電子線源として、電界放射型電子線源や熱電子放出型電子線源が一般的に使用されており、とくに電界放射型電子線源は今日最高輝度の電子線源として様々な分野に利用されている。しかしながら、最高輝度の電子線源とされる電界放射型電子線源を搭載した電子顕微鏡でさえも、現在実用的に放出される電子の総電流はわずか1μA程度となっている。
【0003】
また、電子線源を電子顕微鏡に用いるに際して、1948年にD.Gaborが考案した「電子線ホログラフィーを利用した「凸レンズしか使えない電子顕微鏡」の分解能の向上」の効果が発揮されるためには収差を生じさせないことが重要であるが、電界放射型電子線源の場合、放出される電子の個数が少なく、しかも電子が陰極先端部の表面に垂直なあらゆる方向に放出されるため、高い輝度を得るためにはクロスオーバー位置での電子線の太さをなるべく細くするために静電加速レンズで電子線を絞らなくてはならず、その際に収差が生じてしまっていた。また、その輝度には限界があり、良質のホログラムを得る上でも限界があった。したがって、電子顕微鏡用の電子線源に電界放射型電子線源を用いたのでは上記のようなD.Gaborが考案した電子線ホログラフィーによる分解能向上の効果には限界があり、実際電界放射型電子線源が実用化された当初から比べてもたかだか2倍程度にしか向上していないのが現状である。さらに、電界放射型電子線源では放出される電子の総電流が1μA程度しかないため、今後その輝度を飛躍的に高くすることは望めない。そのため電界放射型電子線源に取って代わる、極めて高い輝度で収差のほとんどない新しい電子線源が要望されている。
【0004】
そこで、新しい電子線源としてフォトカソード型電子線源が挙げられている。フォトカソード型電子線源は光電効果を利用しており、先端部に量子効率の高い物質を被覆させた陰極に対してレーザ等の光を照射し、光電子を放出させることによって電子線源として使用することができる。たとえば、波長が488nmで出力が1Wの連続(CW)発振のレーザを、488nmで量子効率(100個の光子により物質表面から放出される電子の個数(%で表示))が7〜8%と高いCsSbに照射した場合、28〜32mAもの電子が放出される。
【0005】
これは、電界放射型電子線源よりも約3万倍も多い電子放出量であり、フォトカソード型電子線源は電界放射型電子線源よりも格段に輝度が高く、また収差がほとんどない電子線源となる可能性を有している。
【0006】
したがってフォトカソード型電子線源を電子顕微鏡に用いることにより、電子線の輝度が向上し、その分解能が飛躍的に向上するだけでなく、コヒーレント電子線回折、元素分析の位置精度の向上、磁束の観察精度の向上等をもたらすことが期待できる。また、輝度が高くかつ収差がほとんどなく、さらにエネルギー幅が原理的に小さいフォトカソード型電子線源は、電子線加速器やX線発生装置の諸性能も飛躍的に向上させる可能性がある。また電子線の輝度が格段に高くなることにより思いがけない科学的進歩がもたらされる可能性を有している。
【0007】
しかしながら、フォトカソード型電子線源で最も重要な要素であるCsSbに代表される量子効率の高い物質は化学的に極めて活性であり、微量の酸素と反応するとその量子効率が時間とともに減少することが知られており、この傾向は高量子効率物質の温度が高くなるほど加速されてしまう。このため、高量子効率物質を用いたフォトカソード型電子線源からより多量の電子をより長時間安定的に放出させるためには、陰極先端部をより効果的に冷却しなければならない。
【0008】
そこでこの出願の発明の発明者は、2001年9月17日付けで出願済みの「冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源およびその作製方法」(特願2001−282038、発明者:木本高義)において、冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源における高量子効率物質の被覆方法、冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源における陰極の冷却方法およびレーザ照射方法を提案した。
【0009】
この特願2001−282038においては、図4に示しているように陰極先端部を冷却するために、陰極ユニット(40)において、ペルチェ冷却効率の高いn型半導体とp型半導体(図4ではn型BiTe(41)とp型BiTe(42))を直接接合して陰極(43)を構成し、この陰極(43)が熱伝導率および電気伝導率の高い陰極基盤(44)と接合されている。そしてn型BiTe(41)とp型BiTe(42)の接合面が吸熱面となるように陰極ユニット(40)のコンタクト部(45)および陰極基盤(44)を介して電流を流し、陰極先端部(46)の局所冷却を行っている。これは、熱伝導のみで陰極先端部を冷却するよりは遥かに冷却効率が高く、レーザー照射される陰極先端部の入熱をより効果的に除ける方法であった。
【0010】
なお、n型BiTe(41)とp型BiTe(42)の接合面ではドーピング量が最適であれば、吸熱量は電流1A当たり0.112Wであり、10Aの電流を流せば1.12Wの吸熱量となる。半田付けした接合部の接触抵抗と半導体そのものの電気抵抗に起因するジュール熱との競合の関係で最も冷却効率の高い電流値が定まる。また、陰極先端部(46)の研磨の際の接合面の破損や接触抵抗の増加を防止するために、図4(b)に示すように補強用絶縁物(47)をn型BiTe(41)とp型BiTe(42)に接着させておき、また陰極の先端は図4(c)に示しているように僅かに凹状にする。光電効果によって表面から放出される光電子は電場に垂直に進行するので、陰極の先端を凹面にすることにより、レーザー光を極端に細く絞らなくても、電子のクロスオーバー位置(陰極から少し陽極側に離れた位置)での電子線の太さを収差の影響を受けずに十分に細くすることができるのである。
【0011】
なお特願2001−282038においては、図4(c)において、陰極先端部(46)にニッケル(48)および金(49)の順でメッキし、さらにその上に高量子効率物質であるCsSb(50)を被覆している。この陰極(43)を使用して量子効率が低下した場合、金メッキ処理が行われているため、陰極先端部(46)を酸で洗っても陰極先端部(46)を傷つけることなくCsSb(50)を除去でき、何度もCsSb(50)の被覆と除去を行って陰極(43)のリサイクルを行うことができる。
【0012】
また、陰極先端部(46)にCsSb(50)を被覆する際に陰極先端部(46)の温度を制御する必要があるため、n型BiTe(41)とp型BiTe(42)の接合面に細い熱電対(直径0.0254mmφ以下のなるべく細い線)(51)が挿入してある。さらに、熱電対用コンタクト(52)も被覆装置に着いている温度測定用の熱電対コンタクト(53)に着脱できるように陰極ユニット(40)に合計4本取り付けてある。
【0013】
しかしながら、図4に示している陰極ではBiTeのようなペルチェ冷却効率の高い物質自体を陰極先端部としているため次のような問題を有していた。
【0014】
まず、空間電荷効果による電子の放出量低下を防ぐために陰極先端部の先鋭化が必要であるが、ペルチェ冷却効率の高い物質は多くの場合脆いため陰極先端部の先鋭化が困難な場合が多く、また陰極先端部に外力が働くと破壊に至ることもあった。
【0015】
また、n型半導体とp型半導体同士の半田付けによる接合に際して、無視し得ない接触抵抗が生じ、これに電流を流すとその接触抵抗分のジュール熱が発生するため陰極先端部の冷却効果を低下させるといった欠点も有していた。
【0016】
さらに、陰極先端部に高量子効率物質を被覆する際に陰極先端部の温度を制御する必要があるため、n型半導体とp型半導体の接合面に細い熱電対を挿入したままで両者の半田付けを行うのであるが、接合後の陰極に対してCsSbの再被覆前の酸洗い除去に必要な金メッキを行う際に熱電対にも金メッキが施されるため、金メッキを行った後に熱電対から金メッキを除去しなければならないという煩雑さがあった。
【0017】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、上記3つの欠点を解消し、冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源をより実用的に使用可能なものとする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供することを課題としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源に用いられる陰極であって、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極基盤と接合され、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質を有し電流を流すことでペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質間のペルチェ効果により陰極先端部が局所冷却される陰極において、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部が、一端が先鋭化された状態でペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間に配置され、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質のそれぞれと接合されていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0019】
第2には、第1の発明において、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質が一部のn型半導体とp型半導体の組み合わせに代表される熱電半導体の組み合わせであることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0020】
第3には、第2の発明において、ペルチェ冷却効率の高い熱電半導体がn型BiTeとp型BiTeであることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0021】
第4には、第1ないし3のいずれかの発明において、熱伝導率および電気伝導率の高い物質が、銅、銀または金であることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0022】
第5には、第1ないし4のいずれかの発明において、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部が、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質のそれぞれと半田付けにて接合されていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0023】
第6には、第1ないし5のいずれかの発明において、陰極先端部の先鋭化された側の端部の先端面が凹面もしくは平面に加工されていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0024】
また、第7には、第1ないし6のいずれかの発明において、陰極先端部の先鋭化されていない部分に平面部が形成され、その平面部がペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質と接合されていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0025】
さらに第8には、第1ないし6のいずれかの発明において、陰極先端部が、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間に挟み込まれた状態でそれらペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質と接合されていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0026】
また、第9には、第1ないし6のいずれかの発明において、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質が複数組配列されて形成されたサーモモジュールの吸熱面に、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部の先鋭化されていない部分に形成された平面部が接合されていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極をも提供する。
【0027】
また、第10には、第9の発明において、サーモモジュールの吸熱面と陰極先端部との接触面およびサーモモジュールの発熱面と陰極基盤との接触面に、熱接触を良くするグリースを塗布することを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0028】
第11には、第9または10の発明において、陰極先端部と陰極基盤が同電位であることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0029】
第12には、第9ないし11のいずれかの発明において、サーモモジュールの吸熱面を陰極先端部の平面部にネジ止めによって機械的に接触させ、これに電流を流して陰極先端部を冷却することを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0030】
第13には、第12の発明において、ネジが微小絶縁性ネジか、金属製ネジが絶縁性物質を介して陰極先端部と陰極基盤に直接接触していないことを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0031】
第14には、第1ないし13のいずれかの発明において、熱電対が陰極先端部もしくは陰極先端部と陰極基盤に半田付けもしくはネジ止めによって取り付けられていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極を提供する。
【0032】
【発明の実施の形態】
この出願の発明の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極は、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極基盤と接合され、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質を有し電流を流すことでペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質間のペルチェ効果により陰極先端部が局所冷却される陰極であるが、この出願の発明の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極の最も大きな特徴は、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部が、一端が先鋭化された状態でペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間に配置され、それぞれのペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質と接合されていることである。
【0033】
ペルチェ冷却効率の高い物質は、熱電半導体を含めて数多く見つかっているが、一般的に半導体は金属に比べて機械的に脆いことが知られている。金属は金属結合で原子が結びついており、結合の強さにほとんど方向性がないため劈開現象が見られないのに対し、半導体や絶縁体では劈開現象が多く見られるのである。
【0034】
現在ペルチェ冷却効率の高い物質としては、ビスマス・テルル系、鉛・テルル系、シリコン・ゲルマニウム系が知られているが、その中ではビスマス・テルル(BiTe)系が0℃近辺で冷却効率が最も高く、BiTe、BiSe、SbSeについてそれぞれn型とp型の半導体の組み合わせの系である。これらの半導体はVb−VIbのカルコゲン化合物であり、c軸方向に沿って結合の切れやすいファンデルワールス結合があるため、劈開性があり、機械的強度が弱く、引っ張り強さは1.4kg/mm以下である。
【0035】
また、鉛・テルル(PbTe)系は、800Kまでの中温領域で冷却効率が高いが真空中での性能劣化に問題があり、PbTeに添加するn型不純物としてはIV族ハロゲン化物(PbI、PbBrなど)やIV族テルル箇物(GeTeなど)が、p型不純物としてはNaTeやKTeが使用される。なお、引っ張り強さは1.4kg/mm以下である。
【0036】
また、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)系は、600Kから1300Kまでの中・高温領域で冷却効率が高く、高温用熱電材料として使用されており、引っ張り強さは2.1〜3.5kg/mmである。
【0037】
一方、この出願の発明において陰極先端部に用いられる銅、銀または金のような熱伝導率および電気伝導率の高い物質の引っ張り強さは、銅が7.8kg/mm、銀が7.5kg/mm金が11kg/mmであり、上記のようなペルチェ冷却効率の高い物質に比べて大きな強度を有しており加工しやすいため、陰極先端部の先鋭化は機械工作により容易に行うことができ、破損する可能性もペルチェ冷却効率の高い物質に比べて遥かに小さい。なお、熱伝導の観点では銀が最適であり、価格では銅が最適であり、耐食性からは金が最適である。
【0038】
図4中に示された冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極は、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質が先鋭化された端部で接合されかつ反対側の端部でそれらが2つの陰極基盤のそれぞれに接合されており、その陰極基盤との接合面では発熱が生じるが、陰極基盤はコンタクト部を通じて熱伝導によって冷却され、流した電流が一方の陰極基盤を通り、陰極基盤に接合されたペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の一方の物質からもう一方の物質へ流れる際にペルチェ効果によりそれらの間の界面が冷却されることにより、陰極先端部が局所冷却されるように構成されているが、この出願の発明の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極の場合、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質がその陰極基盤のそれぞれに接合されている点は、図4中に示された冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極と同じであるが、熱伝導率および電気伝導率の高い物質がペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質それぞれと接合されているため、熱伝導率および電気伝導率の高い物質中を電流および熱が伝導し、熱伝導率および電気伝導率の高い物質とペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間の界面で吸熱反応が起こり、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる先鋭化された陰極先端部を局所冷却することが可能となる。また、このような構成の陰極における2箇所の接合面で生ずる吸熱量の合計は、ペルチェ冷却効率の高い物質同士を接合した場合(図4)に接合面で生ずる吸熱量に等しい。
【0039】
特願2001−282038中に示されているようにペルチェ冷却効率の高い物質としてn型半導体とp型半導体を直接接合した陰極の場合は、ペルチェ冷却効率の高い物質の接合面の接触抵抗を10mΩ以下にすることは極めて難しくそのため冷却効率は著しく低下していたのに対し、この出願の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極はペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間に熱伝導率および電気伝導率の高い物質が陰極先端部として配置されているため、特願2001−282038中の陰極と比べて冷却効率を高くすることができ、多量の電子をより長時間安定的に放出することが可能となる。
【0040】
なお、この出願の発明の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極では、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質同士の間に接触はなく、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質のそれぞれと接合されている熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部を介してペルチェ効果が働く。
【0041】
このとき、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質として、一部のn型半導体とp型半導体の組み合わせに代表される熱電半導体の組み合わせを用いることができ、とくにn型半導体であるn型BiTeとp型半導体であるp型BiTeを用いることによって局所冷却効率の高い陰極とすることができる。
【0042】
また、熱伝導率および電気伝導率の高い物質としては、銅、銀または金を好適に用いることができる。なお、陰極先端部および陰極基盤に銅または銀を使用する場合には、それらの表面に金メッキを施して表面酸化による熱接触や電気抵抗の発生を無くすようにし、またとくに陰極先端に金メッキを施すことによってCsSb等の高量子効率物質の再被覆を行う際に、古い高量子効率物質を酸洗いで簡単に除去できるようにしておくことが大切である。
【0043】
また、この出願の発明においては、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部を、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質のそれぞれと半田付けにて接合させることも可能である。
【0044】
また陰極の構成として、陰極先端部の先鋭化されていない部分に平面部を形成し、その平面部をペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質と接合させるようになすことも可能であり、また、陰極先端部を1組のペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間には挟み込むことも可能である。このようにすることによって、陰極先端部を、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間に、それらとの接触面積が十分得られしかも陰極先端部の体積をより小さくする形で容易に固定することができ、冷却効率をより高めることができる。
【0045】
なお、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質は直方体を初めとする様々な形状とすることが可能である。また陰極先端部の冷却効率を高めるためには、陰極先端をできるだけ細くし、先端部と吸熱面との距離をできるだけ短くするのが望ましい。また陰極先端面に量子効率の高い物質を被覆する際に、陰極先端の温度をある程度の温度(CsSbの場合には130〜150℃)に保持する必要があるため、先端部の温度を測定するために熱電対を半田付けもしくはネジ止めによって取り付けることが好ましい。このとき取り扱いを容易にするため、熱電対をネジ止めすることがより好ましく、熱電対を陰極への金メッキを行った後にネジ止めすることで、今までのように金メッキを行った後に熱電対からの金メッキの除去作業を行うといった必要がなくなる。
【0046】
また、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質を陰極先端部あるいは陰極基盤に半田付けする際にはなるべく融点の高い半田を用い、接触抵抗がほとんどゼロに成るように半田付けを行う。なお高量子効率物質を被覆する際に、陰極基盤側の半田が溶けることのないように温度をモニターするために、陰極基盤側にも熱電対をネジ止めしておくのが望ましい。また取り付けた熱電対について合計4本(たとえばアルメル用2本とクロメル用2本)の熱電対用コンタクト(高量子効率物質被覆装置の温度測定用熱電対のコンタクトへの着脱が可能)を取り付けておくことが好ましい。
【0047】
また陰極の構成として、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質が複数組配列されて形成されたサーモモジュールの吸熱面に、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部の先鋭化されていない部分に形成された平面部を接合させることもできる。
【0048】
この場合、たとえば、サーモモジュールの吸熱面を陰極先端部の平面部にネジ止めによって機械的に接触させ、これに電流を流して陰極先端部を冷却させることができる。ネジとしては、熱伝導率および電気伝導率がほとんどゼロに近いセラミックスやポリカーボネイドなどのような絶縁物質からなる微小絶縁性ネジを好適に用いることができる。もしくは、金属ネジを円筒状のセラミックス等で一部を覆って熱伝導および電気伝導を遮断するように工夫を施して使用することも可能である。
【0049】
また、陰極先端の反対側には銅などの熱伝導率および電気伝導率の高い物質で作製した2個の陰極基盤があり、小型サーモモジュールの吸熱面と陰極先端部の接触面およびその発熱面と陰極基盤との接触面には、熱接触を良くする専用のグリースを塗布するとともに、光電効果での電子放出を行うために微小絶縁性ネジ等を利用して細い導線を1本だけ取り付けて陰極先端と陰極基盤と同電位にする。
【0050】
なおこの場合にも、陰極先端部もしくは陰極先端部と陰極基盤に熱電対をネジ止めによって取り付けることによって、高量子効率物質を被覆する際などの温度制御が容易になる。
【0051】
また、陰極先端部の一端は空間電荷効果で多量の電子の放出が抑制されることのないようになるべく細くなるように尖らせ、陰極先端部の先端面は凹面もしくは平面に加工されることによって、電子線を細く収束しやすくなり、電子線の輝度を容易に高くすることができる。なお、陰極先端部の先端面を凸面にした場合、陰極から表面に垂直に電子が放出されるため、熱電子放出型や電界放出型電子線源と同じく、放出電子ビームは一度大きく膨らんでから、収束用電極でクロスオーバー位置に収束されるため、より細く収束させることはできず、電子線の輝度の低下をもたらす。熱電子放出型や電界放出型の電子線源の陰極では、電子は陰極先端部の全ての部分からあらゆる方向に放出されるため、放出後の電子ビームの膨らみは原理的に除去できず、輝度低下の原因となっている。
【0052】
しかし、フォトカソード型電子線源の大きな特長として、高量子効率物質を被覆した領域でかつレーザー光を照射した場所のみから電子が放出されるため、陰極先端を凹面または平面にしておけばこのような放出電子の膨らみによるクロスオーバー位置での収束の困難性ひいては電子線の輝度低下は著しく軽減される。このような理由から陰極の先端は通常0.4mmφ以下とし、先端面をわずかに凹面にするか平面とすることにより輝度の向上が図れる。なお、陰極ユニットに設けたウェネルトキャップの電位が陰極先端に対してマイナスの電位となるようにバイアスを印加することにより、陰極先端部の先端面が平面であっても放出されるビーム径を細く収束させることができる。
【0053】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0054】
【実施例】
<実施例1>
熱伝導率および電気伝導率の高い物質から成る陰極先端部を1対のn型とp型のペルチェ冷却効率の高い半導体のペルチェ効果により冷却する方式の陰極の一例を以下に示す。
【0055】
図1(a)は冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源に用いる陰極ユニット(1)の全体図であり、図1(b)はその陰極ユニット(1)の陰極(2)および陰極基盤(3)の要部拡大図である。図1(b)に示しているように、n型BiTe(幅4mm×奥行2mm×高さ1.5mmの直方体)(4)およびp型BiTe(幅4mm×奥行2mm×高さ1.5mmの直方体)(5)を、それぞれ無酸素銅製で表面にNiメッキ後に金メッキした2つの陰極基盤(3)に融点が221℃と高い半田を用いて接合し、さらにn型BiTe(4)とp型BiTe(5)のそれぞれに熱伝導率および電気伝導率の高い物質である銅からなる陰極先端部(6)を融点が221℃の半田を用いて接合した。n型とp型のBiTeを選んだ理由は、0℃近傍の温度範囲でのペルチェ冷却効率が高いためである。なおこれらの接合に高融点半田を使用するのは、たとえば陰極先端にCsSb(7)を被覆する場合には陰極先端の温度を130〜150℃とするので、その際に陰極先端部(6)とn型BiTe(4)(p型BiTe(5))の間およびn型BiTe(4)(p型BiTe(5))と陰極基盤(3)の間の半田が溶けないようにするためである。またこの例では、図1(d)に示しているように陰極先端部(6)の先端面は僅かに凹面であり、金メッキを施した後にCsSb(7)の被覆を行っている。
【0056】
なお、陰極先端部(6)および陰極基盤(3)にネジ止めにより取り付けた2対の熱電対(8)を取り付けておくことによって温度測定を可能とした。この2対の熱電対(8)について合計4本(アルメル用2本とクロメル用2本)の高量子効率物質の被覆装置の温度制御用熱電対のコンタクト(9)への着脱が可能な熱電対用コンタクト(10)を取り付けている。
【0057】
半田付け後に2つの陰極基盤(3)の間の電気抵抗を測定すると6〜7mΩであり、これはほとんどn型BiTe(4)とp型BiTe(5)そのものの電気抵抗値に等しく、半田付けした接合面での接触抵抗をほとんどゼロに近くすることができたといえる。
【0058】
図4に示したようにn型とp型のBiTeを直接半田付けで接合した場合には、接合面の接触抵抗を10mΩ以下にすることは極めて困難であったため冷却効率は著しく低下したが、この出願の発明による方法ではその問題は解決された。
【0059】
また銅製の陰極先端部(6)は機械加工だけでも直径0.2mm程度にまで陰極先端を先鋭化することができた。
【0060】
次に上記のように作製した陰極(2)および陰極基盤(3)を陰極ユニット(1)に取り付け、これを図2に示すような陰極(2)の周辺部を冷却できる陰極周辺部冷却ユニット(11)に取り付けて冷却実験を行った。
【0061】
まず図2に示しているように、陰極ユニット(1)のコンタクト部(12)(表面は金メッキ)を、電子線源の電極ブロック(13)(電気伝導と熱伝導の高い銅製)のバネ性のある切り込み入りの筒部(内側表面は金メッキ)(14)に装着する。銅製の電極ブロック(13)には電流を流せるようにするとともに2枚の市販のペルチェ冷却用モジュール(15)の冷却面を接触させて、冷却できるようになっている。さらにこのペルチェ冷却モジュール(15)の発熱面を電気的絶縁性オイル(16)を循環できるようにして冷却される金属板(17)に接触させて冷却させる。電気的絶縁性オイル(16)を使用する理由は、陰極とアース間に高い電圧が印加されているためである。絶縁性オイル(16)は市販の液体冷却循環装置により冷却されるとともに循環される。このようにして、陰極ユニット(1)を取り付けている電極そのものを冷却して陰極先端部(6)を熱伝導によって冷却する。その上で、図1(b)の陰極に電流を流して、陰極先端を局所冷却する。ペルチェ冷却は熱の伝達の担い手が電流であるので、熱伝導よりも熱除去のスピードが比較できないくらい速く、レーザー照射により陰極先端部(6)に入る熱がほとんど瞬間的に除去されるという利点がある。
【0062】
まず、陰極周辺部冷却ユニット(11)だけを用いた場合の陰極先端部(6)の温度は約−15〜−10℃であった。そして図1(b)に示しているように陰極先端部(6)に接合したn型BiTe(4)からp型BiTe(5)の向きに電流を流すと、電流の増加と共に陰極先端部(6)の温度は徐々に低下し、約12Aの電流で約−41〜−35℃の温度にまで低下した。12Aよりさらに電流を上げると、n型BiTe(4)とp型BiTe(5)内部で発生するジュール熱がペルチェ効果による冷却熱を上回るため、陰極(2)の先端部の温度は上昇し始めた。なお、実験は非真空中と真空中とで別々に行ったが、真空中の方が非真空中よりも約5℃低かった。
【0063】
上記の実験結果は図4に示した陰極のようなn型BiTe(4)とp型BiTe(5)を直接接合して陰極先端部を作製した場合の通常の冷却温度に比べて、20〜30℃も低い温度であり、陰極(2)における冷却効率がn型BiTe(4)とp型BiTe(5)を直接接合した陰極よりも十分良好であることを示す。
【0064】
さらに、機械加工で陰極先端部(6)の直径を約0.4mmφにした陰極先端面に約0.3mmφに絞った波長488nmのレーザを照射し、先端部の温度を測定した。その結果照射されるレーザの出力の増加とともに、ほぼ直線的に先端部の温度は上昇し、照射されるレーザの出力が10mW増加するごとに陰極先端部(6)の先端周辺の温度は約0.46℃ずつ増加した。
【0065】
たとえば、真空中でレーザが照射されていない場合に−35.7℃であった陰極先端部(6)の温度は、480mWのレーザ照射では約−14.8℃であり、780mWのレーザ照射では0℃にまで温度上昇した。このことから、この出願の発明の陰極(2)を用い、CsSbを被覆した場合には、488nmの波長で約0.5Wのレーザを照射すると、約15mAもの多量の電子が安定的に放出されることになる。
【0066】
これは、従来の熱電対放出型や電界放出型電子線源を搭載した電子顕微鏡で実用的に放出される電子の総電流がわずかに1μAであることに比べて、約15万倍の電子放出量である。これは、この出願の発明による陰極が高い冷却効率を有するために実現したことである。なお、陰極先端部の温度測定は、先端面の中央に半田付けした太さ0.0254mmφのアルメルとクロメルを用いて行った。
<実施例2>
次に、図3に示しているように陰極先端を複数組のペルチェ冷却効率の高いn型とp型半導体で形成するサーモモジュールを用いて冷却する方式の陰極の場合を示す。
【0067】
幅0.7mm、奥行き0.7mm、高さ1.1mmの直方体のn型BiTe(4)とp型BiTe(5)を31組、図3(b)に示すように、幅8.8mm、奥行き8.8mm、厚さ0.8mmの電気絶縁板(セラミック板)(18)に配置・固定して作製した小型のサーモモジュール(19)(各BiTeの導通板(20)への半田付けには実施例1と同様の理由により融点が221℃の高融点半田を使用)を用いて、陰極先端部(6)を冷却できる陰極(2)を作製した。サーモモジュール(19)は図3(b)に示しているように、n型BiTe(4)とp型BiTe(5)を複数組配列したものであって、n型BiTe(4)からp型BiTe(5)に電流が流れる側で吸熱があり、その反対側で発熱がある。また、陰極基盤(3)と陰極先端部(6)は、熱伝導率および電気伝導率の高い銅で作製し、表面酸化による熱接触の低下や半田付けにおける接触電気抵抗の増加を防止するため、表面に金メッキ処理を施した。
【0068】
陰極基盤(3)と陰極先端部(6)の間に挟み込んだ小型サーモモジュール(19)が落下しないように、かつ熱的密着性が良いように、接触面に熱接触を良くする特殊グリース(商品名:ヒートシンカー)を塗り、ポリカーボネイド製の絶縁性ネジ(21)で締め付けた。この陰極(2)を陰極ユニット(1)に取り付け、さらに陰極ユニット(1)を図2の陰極周辺部冷却ユニット(11)に取り付けて冷却実験を行った。
【0069】
なお、陰極ユニット(1)に設けたウェネルトキャップ(22)の電位が陰極先端部(6)に対してマイナスの電位となるようにバイアスを印加することにより、陰極先端部の先端面が図3(d)に示すように平面であっても、放出されるビーム径を細く収束させることができる。
【0070】
まず、陰極周辺部冷却ユニット(11)だけを用いた場合の陰極先端部(6)の温度は約−7〜−4℃であった。次に、陰極先端部(6)に密着した小型サーモモジュール(19)に電流を流すと、陰極先端部(6)の温度は電流の増加と共に急激に低下し、わずか約0.7Aの電流で約−23〜−26℃にまで低下した。しかし、0.7Aを超えて電流を増加させると、逆に温度は上昇し出し、1.5Aの電流値では陰極先端部(6)の温度は約−7〜−6℃となった。このように、極めて弱い電流で最低温度に到達するのがこの陰極(2)の特徴である。現在使用されている透過型電子顕微鏡においては、熱電子放出型の電子線源を搭載している機種が大部分であるが、フィラメントの加熱のために通常流せる直流電流の最大値は3A程度である。したがって、この陰極(2)は、現用の透過型電子顕微鏡の電気回路を変更しなくてもそのまま使用できるという利点がある。この陰極(2)は、特願2001−282038のn型BiTe(4)とp型BiTe(5)を直接接合して陰極先端を作製した場合の通常の冷却温度に比べて、約15℃低い温度であり、この陰極(2)の方が冷却効率は高い。小型サーモモジュール(19)と陰極先端部(6)および小型サーモモジュール(18)と陰極基盤(3)との熱的密着性が高まれば、冷却温度はさらに低下できることが期待される。本陰極(2)についても、レーザ照射による温度上昇試験を行ったが、上記の<実施例1>で得られた結果とほぼ同じ温度上昇の結果が得られた。
【0071】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、電子顕微鏡、電子線加速器およびX線発生装置用の電子線源等の電子線源として有用であり、高輝度で収差がほとんどなくかつ安全性の高い冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源における冷却効率の高い陰極が提供され、その陰極を用いた冷却式高量子効率フォトカソード型電子線により電子顕微鏡、電子線加速器、X線発生装置等の性能が向上し、材料研究、物性研究、基礎物理等の研究が進展すれば、光におけるレーザの発明にも匹敵し得る経済的効果も期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源の陰極ユニットの構成の一例を示した図である。
【図2】この発明の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源の陰極周辺の冷却機構を示した図およびである。
【図3】この発明の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源の陰極ユニットの構成の他の例を示した図である。
【図4】特願2001−282038における冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源の陰極ユニットの構成の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 陰極ユニット
2 陰極
3 陰極基盤
4 n型BiTe
5 p型BiTe
6 陰極先端部
7 CsSb
8 熱電対
9 メス型熱電対用コンタクト
10 オス型熱電対用コンタクト
11 陰極周辺部冷却ユニット
12 コンタクト部
13 電極ブロック
14 筒部
15 ペルチェ冷却モジュール
16 電気的絶縁性オイル
17 金属板
18 電気絶縁板(セラミック板)
19 小型サーモモジュール
20 導通板
21 絶縁性ネジ
22 ウェネルトキャップ

Claims (14)

  1. 冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源に用いられる陰極であって、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極基盤と接合され、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質を有し電流を流すことでペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質間のペルチェ効果により陰極先端部が局所冷却される陰極において、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部が、一端が先鋭化された状態でペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間に配置され、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質のそれぞれと接合されていることを特徴とする冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  2. ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質が一部のn型半導体とp型半導体の組み合わせに代表される熱電半導体の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  3. ペルチェ冷却効率の高い熱電半導体がn型BiTeとp型BiTeであることを特徴とする請求項2に記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  4. 熱伝導率および電気伝導率の高い物質が、銅、銀または金であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  5. 熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部が、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質のそれぞれと半田付けにて接合されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  6. 陰極先端部の先鋭化された側の端部の先端面が凹面もしくは平面に加工されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  7. 陰極先端部の先鋭化されていない部分に平面部が形成され、その平面部がペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質と接合されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  8. 陰極先端部が、ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質の間に挟み込まれた状態でそれらペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質と接合されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  9. ペルチェ冷却効率の高い組み合わせの物質が複数組配列されて形成されたサーモモジュールの吸熱面に、熱伝導率および電気伝導率の高い物質からなる陰極先端部の先鋭化されていない部分に形成された平面部が接合されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  10. サーモモジュールと陰極先端部との接触面およびサーモモジュールと陰極基盤との接触面に、熱接触を良くするグリースを塗布することを特徴とする請求項9に記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  11. 陰極先端部と陰極基盤が同電位であることを特徴とする請求項9または10に記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  12. サーモモジュールの吸熱面を陰極先端部の平面部にネジ止めによって機械的に接触させ、これに電流を流して陰極先端部を冷却することを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  13. ネジが微小絶縁性ネジであるか、金属製ネジが絶縁性物質を介して陰極先端部と陰極基盤に直接接触していないことを特徴とする請求項12に記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
  14. 熱電対が陰極先端部もしくは陰極先端部と陰極基盤に半田付けもしくはネジ止めによって取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の冷却式高量子効率フォトカソード型電子線源用陰極。
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