JP3577383B2 - 欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製缶加工時に欠陥発生が少なくかつ焼付硬化性に優れた缶用鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常2ピース缶用鋼板は転炉で溶製された未脱酸の溶鋼をAlで脱酸を行うAlキルド鋼で製造されている。このようなAl脱酸鋼では、脱酸時に添加したAlと溶鋼中の酸素が反応したり、脱酸後に鋼中に残留したAlがスラグや空気中等の酸素によって酸化してアルミナが生じる。このアルミナは硬質のため圧延や加工等で破砕されずに鋼板に塊状で残存し、製缶時に割れや疵等の欠陥発生の原因となる。そこでこれらのアルミナに対してスラグ中や雰囲気中の酸素の制御による溶鋼中のAlの酸化によるアルミナの生成防止や、溶鋼中へのガスやフラックスの吹き込みによる溶鋼中のアルミナの浮上促進による低減と、溶鋼中へのCaの添加によってアルミナを圧延・加工時に破砕されやすいカルシウムアルミネートへ形態制御することによる無害化が行われてきた。
【0003】
しかし、Alで脱酸を行っている限りはアルミナの生成は皆無にはできず、除去も不十分である。そして、Ca添加による方法もCaは高価であるとともに歩留まりがきわめて悪いために合金コストが高くなる。また介在物にアルミナを含有するため冷却時に介在物中に固いアルミナが部分的に晶出し、圧延等によっても破砕されずに残存し欠陥が発生する。さらに、Caを添加して生成するカルシウムアルミネートは肥大化しやすく、このような介在物が浮上しきれず残留した場合には欠陥となる。これらの問題を解決するためにはAl以外の元素で脱酸することが考えられ、特公昭48−29005号公報に見られるようにAlもSiも全く添加せずにTiのみで脱酸する方法があるが、この場合Mnのみによる脱酸のためにTi添加前の溶鋼中酸素は非常に高い値となり、この様な溶鋼にTiを添加すると粒径の大きなチタン酸化物が多量に生成して溶鋼中に残存し、これはアルミナと同様に固く破砕されにくいため欠陥となる。
このため、特公平2−9646号公報に見られるようにTi添加前にAlを添加して予備脱酸を行い、溶鋼酸素を低減した後にTiを添加する方法がある。
【0004】
上記のごとき方法ではAlを添加しているため多量のアルミナが生成してそのまま残留したり、アルミナを含有する複合介在物が生成して冷却時に介在物中の一部にアルミナが晶出し、この部分が圧延等によっても破砕されずに残存し欠陥が発生する。また、Alは脱酸力が強いので酸素のコントロールが不安定である。さらに、Tiを添加した際にTiと溶鋼中の酸素との反応によって生成したチタン酸化物の一部は複合介在物となるが、この複合酸化物はアルミナを含むために冷却時に介在物中に晶出するアルミナが破砕されずに残存し欠陥が発生する。一方、生成したチタン酸化物の大部分は粒径が大きくかつ、破砕されにくいチタン酸化物となって溶鋼中に存在し、その一部は浮上しきれずに残留して欠陥となる等の課題がある。
【0005】
また、一般の極低炭素鋼では、固溶Cおよび固溶Nによる時効の防止のため、Ti,Nbなどの炭窒化物形成元素を添加して、CおよびNを炭窒化物として析出固定し時効の防止を行っているが、そのため、時効硬化による強度の上昇が望めず缶底部の耐圧強度が不足しているのが実状であった。
缶用鋼板の場合、充填される内容物によっても異なるが製缶後には所定の耐圧が必要とされるため、上記の極低炭素鋼では缶としての十分な強度を得ることが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、鋼中の介在物を微細でかつ、部分的に固い晶出相がなく介在物全体が変形・破砕しやすい組成の介在物にコントロールし、比較的低コストで介在物欠陥を少なくして、さらに、Tiによって鋼中の固溶NをTiNの窒化物をして析出固定するとともにNbによって固溶Cを所定量だけ析出固定し、鋼中に適量の固溶Cを残存させるため、ストレッチャーストレインの発生がなく、かつ残留した固溶Cにより製缶後の塗装焼付工程において鋼板を硬化させた耐圧強度に優れた缶用鋼板およびその製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明では、鋼中の介在物を微細でかつ、部分的に固い晶出相がなく介在物全体が変形・破砕しやすい組成の介在物にコントロールし、介在物性欠陥が少ない焼付硬化性に優れた缶用鋼板およびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を要旨とする。
(1)質量%で、
C :0.0009〜0.0080%、
Si:0.001〜0.10%、
Mn:0.05〜1.0%、
P :0.001〜0.050%、
S :0.001〜0.030%、
N :0.0005〜0.0080%、
Ti:0.002〜0.030%、
Nb:0.003〜0.070%、
を含有し、かつ
Ti(%)≦(48/14)×N(%) …(A)
(93/12)×(C(%)−0.0040)≦Nb(%) ≦(93/12)×(C(%)−0.0005) …(B)
なる条件式(A),(B)を満足し、残部鉄および不可避的不純物よりな、鋼中の介在物中アルミナを含まないチタン系酸化物、マンガン系酸化物、シリコン系酸化物からなる酸化物系介在物を有することを特徴とする欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板。 (2)質量%で、
C :0.0009〜0.0080%、
Si:0.001〜0.10%、
Mn:0.05〜1.0%、
P :0.001〜0.050%、
S :0.001〜0.030%、
N :0.0005〜0.0080%、
Ti:0.002〜0.030%、
Nb:0.003〜0.070%
を含有し、かつ
Ti(%)≦(48/14)×N(%) …(A)
(93/12)×(C(%)−0.0040)≦Nb(%) ≦(93/12)×(C(%)−0.0005) …(B)
なる条件式(A),(B)を満足し、更に、
B :0.0002〜0.0050%
を含有し、残部鉄および不可避的不純物よりな、鋼中の介在物中アルミナを含まないチタン系酸化物、マンガン系酸化物、シリコン系酸化物からなる酸化物系介在物を有することを特徴とする欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板。
(3)精錬後の溶鋼を真空脱ガス処理とSi,Mnの1種もしくは2種添加のいずれか一方又は両方を行って鋼中酸素量を300ppm 以下に脱酸し、ついでTiを添加して前記(1)または(2)記載の成分の鋼とし、この鋼を連続鋳造−熱間圧延の後、600℃〜750℃で巻取り、ついで脱スケール処理、冷間圧延後、650℃〜900℃で連続焼鈍を施し、めっき工程を経て缶用鋼板とすることを特徴とする欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板の製造方法。
)精錬後の溶鋼を真空脱ガス処理とSi,Mnの1種もしくは2種添加のいずれか一方又は両方を行って鋼中酸素量を300ppm 以下に脱酸した後、化学組成がTi:10〜75質量%、残りFe,Mn,Siの1種〜3種および不可避的不純物からなる合金を添加することを特徴とする前記(3)記載の欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板の製造方法
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、種々の組成の介在物を人工的に合成して鋼中に埋め込み、実験室的に圧延実験を行った。その結果、介在物中にアルミナを含まないチタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物を主成分とする組成の介在物とすれば、融点が低く、冷却時に高融点で固い晶出相が生成せず、圧延等によって微細に破砕されることを知見した。
このような介在物を分散させた鋼を実験室的に溶製、鋳造し、通常の方法で熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延、めっきを行って鋼板とし、製缶を行ったが割れ等の欠陥が発生した。この欠陥の部分の調査を行った結果、欠陥部には伸延した介在物が検出され、その大きさは鋳片での大きさに換算するといずれも50μmより大きかったことが判った。欠陥が発生しなかった部分を切断し鋼中の介在物の大きさを測定すると、これには50μm以下の介在物が検出された。50μmより大きな介在物では圧延等による圧下で伸展・変形を受けても、破砕されずに連続したまま残ったり、破砕されてもその粒が大きく連続して存在するために製缶時に欠陥となる。
【0009】
以上のことより、50μm以下の介在物であれば製缶後に欠陥とならないことが推測されたため、50μm以下のアルミナが主体でないチタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物を主成分とする組成の介在物のみを分散させた鋼を実験室的に溶製、鋳造し、通常の方法で熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延、めっきを行って、鋼中の固溶Nおよび固溶Cを析出固定した鋼板とし、製缶を行ったところ時効性が良好で欠陥の発生がないことが確認できた。しかし、製缶後の塗装焼付工程に相当の熱処理を施した缶に要求される耐圧強度を十分に満足するものではなかった。このため、50μm以下のアルミナを含まないチタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物を主成分とする組成の複合介在物のみを分散させた鋼を実験室的に溶製、鋳造し、通常の方法で熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延、めっきを行って、鋼中の固溶Nを析出固定するとともに固溶C濃度が5ppm 〜40ppm になるように残りの固溶Cを析出固定した鋼板とし、製缶を行ったところ時効性がほぼ良好で欠陥の発生がなく、さらに製缶後の塗装焼付工程に相当する熱処理を施すと耐圧強度を満足することが確認できた。
【0010】
添加するTi濃度を変化させて実験を行った結果、アルミナを含まないチタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物を主成分とする組成の介在物とするには、Ti濃度を0.030%以下にすることが必要である。これはTiが高すぎるとTiの脱酸力がMnやSiに比べて高いのでこれらの酸化物と複合せず、アルミナと同様な高融点のチタン酸化物含有量の高い介在物が生成するためである。一方、Tiの下限を0.002%としたのは連続鋳造時に脱酸不足による気泡の発生を防止するためである。Ti濃度は、脱酸に使用された残りを用いてNを析出固定するので、このNの析出固定に必要な量である鋼中N濃度の(48/14)倍に脱酸に必要な0.002%を加えた量以下、すなわち(A)式に従うものとする。もしTi濃度が、固溶N濃度の(48/14)倍を超えるとTiは鋼中の固溶Cと炭化物を形成し析出するため、後述するNbによる固溶Cの析出固定量の制御ができなくなり、鋼中に存在する固溶C量が少なくなるため製缶後の塗装焼付工程で缶が硬化しないため所定の耐圧強度を得られなくなる。
【0011】
次に添加するNb濃度を変化させて、製缶後の塗装焼付工程で缶を硬化させるために必要な固溶C濃度を検討した結果、時効性が良好でストレッチャーストレインの発生がなく、かつ、製缶後の塗装焼付工程で、十分な耐圧強度を得るための固溶C濃度は5ppm 以上40ppm 以下であること、すなわち(B)式を満足する必要があることを確認した。固溶C濃度が5ppm 未満では、塗装焼付工程で、缶の強度が十分に確保できない。また、40ppm より多くなると時効性が悪化しストレッチャーストレインが発生する。Nbは添加量が0.070%を超えると、連続焼鈍時の再結晶温度の上昇を招くため、上限を0.070%とする。また、0.003%未満では結晶粒が粗大化し、缶の成形性が劣るため、0.003%を下限とする。
【0012】
また、アルミナをほとんど含まない介在物とするためにはAlは一切添加せずに不可避的に混入する程度とすることが望ましい。Alを添加するとAlの脱酸力はTiより高いので、マンガン酸化物、シリコン酸化物は還元されてしまい、安定して本発明の複合介在物とすることはできない。また、鋼中にアルミナが生成し、介在物中にアルミナが含まれてしまい、融点が高く破砕されにくい介在物となる。
【0013】
次に本発明の製造法について詳述しながら説明する。
まず、転炉で目標とする0.0009〜0.0080%のCを含む溶鋼を溶製する。この際、溶鋼中のCが目標とするC濃度より高い場合には出鋼後に真空脱ガス装置等による脱炭処理を行い所定のC濃度まで低減し、目標とするC濃度より低い場合には出鋼後にCを添加して所定のC濃度とする。C量は、0.0009%未満に下げることは、Nb添加量が前述の適正添加量の下限値(0.003%)でも鋼中に存在する固溶C量が5ppm より少なくなるため、製缶後の耐圧強度を確保できなくなるので、0.003%を下限とし、0.0080%を超えると鋼中の固溶C量を固定するためのTiあるいはNbの添加量が多くなり、炭窒化物の析出による硬化が著しくなるため、缶としての加工ができなくなるので、0.0080%を上限とする。
【0014】
次に、出鋼した溶鋼をMn,Siおよび/または真空脱ガス処理による予備脱酸を行って溶鋼中の酸素を300ppm 以下とする。アルミナを介在物中に含ませないためにはAlは添加しないことが必要であり、Fe−MnやFe−Siを添加してMn,Siにより脱酸を行う。Mn,Siの添加量は脱酸時に添加するTi合金中に含まれるSiやMnによって増加する量を考慮して添加する。また、MnやSiは脱酸力が弱いので製品によっては目標範囲内では溶鋼中の酸素を300ppm 以下にすることが困難な場合があるので、その際には真空脱ガス処理により真空脱酸を行い酸素を下げる。この際、必要があればC源を溶鋼中に添加してもよい。溶鋼中の酸素が300ppm より高くなると、Ti合金を多量に添加することが必要になり、後述するように脱酸時の過飽和度が大きくなり、Ti添加時にアルミナと同様の高融点のチタン酸化物が多数生成し、複合介在物が安定して生成しない。また、これらが凝集して大きな介在物となる。
【0015】
このようにして溶鋼中の酸素を300ppm 以下に調整した溶鋼に、化学組成がTi:10〜75質量%の成分と残部はFe,Mn,Siのうち1種から3種および不可避的不純物とからなる合金を添加して、Tiを溶鋼成分として0.002〜0.030%含有させる。
溶鋼中のTi濃度を0.030%以下とすることでチタン酸化物、マンガン酸化物、シリカを主成分とする組成の複合介在物とすることが可能となる。溶鋼中のTi濃度が高すぎるとTiの脱酸力がMnやSiに比べて高いのでこれらの酸化物と複合せず、アルミナと同様な高融点のチタン酸化物が主成分の介在物となる。
【0016】
更に、脱酸時の過飽和度を小さくすれば核生成速度が遅くなり、生成する介在物の個数および介在物径が小さくなる。過飽和度はTiと酸素の積で決まるので、過飽和度を小さくする方法として脱酸合金中のTi含有量を低くすることと脱酸時の溶鋼中の酸素を低くすることが有効である。脱酸合金中のTi含有量が高い場合には溶鋼中に添加した脱酸合金の周囲にTi濃度の高い部分が生成して過飽和度が高くなるので、Ti含有量の低い脱酸合金を使用する。酸素濃度および合金中Ti含有量が低くなるにしたがって介在物径は小さくなり、酸素を300ppm 以下とし、かつ、Ti含有量が75%以下の合金で脱酸することで、最大でも50μm以下の介在物となる。Ti含有量が高くなると介在物径が大きくなるとともに、脱酸時にチタン酸化物の割合の高い介在物が生成し、それが溶鋼中に残存し混在する。Ti濃度が低すぎると脱酸合金の投入量が多くなりすぎ、溶鋼温度の低下が起こって溶鋼の凝固や鋳造が困難になったり、添加に時間がかかり生産性に障害を与える。また、Ti含有量が高い場合には少量ずつ添加すると部分的に過飽和度の高い部分が少なくなり有効である。
また、TiをFeやSi,Mnとの合金とすることで、Tiの活量を下げるとともに部分的に濃度の高い領域を減少させるために、過飽和度が一層減少し、チタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物の複合介在物の生成を促進する。
【0017】
最終的に鋼中に含有されるMnの含有量は、0.05%未満に下げるのは精錬時間が長くなり経済性を大きく損ねるので、0.05%を下限とし、1.0%を超えると鋼板の加工性が大きく劣化し缶としての加工ができなくなるので、1.0%を上限とする。
Si量は、0.001%未満に下げるのは十分な予備処理等が必要で精錬に大幅なコスト負担をかけ経済性を損ねるので0.001%を下限とし、0.1%を超えるとめっきの際にめっき不良が発生し、表面性状、耐食性を損ねるので0.1%を上限とする。
【0018】
Pは、0.001%未満に下げることは溶銑予備処理に時間とコストがかかり、経済性を大きく損ねるので、0.001%を下限とし、0.050%を超えると加工性が劣化し、缶としての加工に支障をきたすので0.050%を上限とする。
Sは、0.001%未満に下げることは溶銑予備処理に時間とコストがかかり、経済性を大きく損ねるので、0.001%を下限とし、0.030%を超えると加工性・耐食性が劣化し、缶としての加工・性能に支障をきたすので0.030%を上限とする。
【0019】
Nは、0.0005%未満に下げることは精錬の段階での大幅なコスト上昇を伴い経済性を大きく損ねるので、0.0005%を下限とし、0.0080%を超えると、固溶NをなくすためのTi添加量が多く必要で、本願の目的である介在物の形態制御が不可能になるので、0.0080%を上限とする。
Bは窒化物形成元素であり、Tiが添加されている場合には、NはTiと優先的に結合するため、Bは粒界に析出し粒界割れを防止する。その効果は0.0002%以上で現れ、0.0050%を超えると時効性を劣化させるため、その範囲を0.0002%〜0.0050%とした。
【0020】
このようにして溶製した溶鋼を通常と同じ方法でタンディッシュを通して、連続鋳造機で鋳造する。さらに、適宜、熱間圧延に先立って加熱を施し、この鋳片は通常と同じ方法で熱間圧延した後、600℃〜750℃の温度範囲で巻取りを行う。600℃未満ではTiによるNの析出固定が不十分であり、製品での時効性が劣化するので600℃を下限とし、750℃を超えると、炭化物が粗大凝集して耐食性を損ねるので750℃を上限とする。ついで、脱スケール処理を行う。一般には酸洗を施すが、機械的にスケール除去を行っても良い。その後、冷間圧延を行い、連続焼鈍を行う。連続焼鈍の温度は、650℃〜900℃とする。650℃未満では再結晶せず、加工性が劣化するので650℃を下限とし、900℃を超えると鋼板の高温強度が弱まり、連続焼鈍炉内で絞りと呼ばれる現象を起こし、破断するなどの問題が生じやすくなるので900℃を上限とする。その後、スキンパス圧延あるいは5〜40%程度のダブル・レデュース圧延を施し、クロムめっきあるいは錫めっきなどの表面処理を施し、缶用の鋼板とする。また、表面に樹脂フィルムを貼り付けた鋼板とすることも可能である。これらの鋼板は特に2ピース缶用の鋼板として好適である。
【0021】
【実施例】
270トン転炉で表2に示す合金組成の脱酸用合金を用いて、各成分の鋼を溶製し連続鋳造した。得られた鋼の成分および鋼中の介在物組成を表1に示す。ついで、加熱−熱間圧延を行った。その際の仕上圧延および巻取は、表2中に示す温度で行った。ついで、酸洗、冷間圧延を行った後、表2に示す温度で焼鈍を行った。焼鈍の後、一部のものについては、DR圧延(ダブルレデュース圧延)を施した。ついでクロムめっきまたは錫めっきを施し、さらに一部の鋼板については表裏面にポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを貼り付け、缶用鋼板となした。
その鋳片の一部および冷延鋼板の一部を採取し、断面を調査し、介在物の組成、大きさ、形状を調査した。その結果を表1に示す。本発明法では鋳片内にはチタン酸化物、マンガン酸化物、シリコン酸化物を主成分とする組成で、かつ、ほぼ球形の介在物が検出されており、アルミナを含む介在物やチタン酸化物の濃度の高い介在物は検出されなかった。また、冷延鋼板ではこれらの介在物が破砕され微細分散化していることが確認された。
【0022】
さらに、得られた缶用鋼板を用いて、3段絞りにより成形した絞り缶と絞りとしごきを加えたDI缶を製造し、このときの割れが発生した欠陥率を調査した。この結果を表2に示す。本発明鋼では、比較鋼に比べて欠陥率が少なくなっていることがわかる。また、缶底部に発生するストレッチャーストレインの発生有無および塗装焼付後の耐圧強度の調査を行った。耐圧強度は所定の圧力(0.75MPa)を缶内部から負荷したときの缶の塑性変形の有無によって評価した。本発明鋼ではストレッチャーストレインの発生がなく、時効性に優れ、更に製缶後の耐圧強度にも優れていることが確認された。
【0023】
【表1】
Figure 0003577383
【0024】
【表2】
Figure 0003577383
【0025】
【発明の効果】
本発明によって製缶時の欠陥発生が少ない焼付硬化性に優れた缶用鋼板の製造が可能となった。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.0009〜0.0080%、
    Si:0.001〜0.10%、
    Mn:0.05〜1.0%、
    P :0.001〜0.050%、
    S :0.001〜0.030%、
    N :0.0005〜0.0080%、
    Ti:0.002〜0.030%、
    Nb:0.003〜0.070%
    を含有し、かつ
    Ti(%)≦(48/14)×N(%) …(A)
    (93/12)×(C(%)−0.0040)≦Nb(%) ≦(93/12)×(C(%)−0.0005) …(B)
    なる条件式(A),(B)を満足し、残部鉄および不可避的不純物よりな、鋼中の介在物中アルミナを含まないチタン系酸化物、マンガン系酸化物、シリコン系酸化物からなる酸化物系介在物を有することを特徴とする欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板。
  2. 質量%で、
    C :0.0009〜0.0080%、
    Si:0.001〜0.10%、
    Mn:0.05〜1.0%、
    P :0.001〜0.050%、
    S :0.001〜0.030%、
    N :0.0005〜0.0080%、
    Ti:0.002〜0.030%、
    Nb:0.003〜0.070%
    を含有し、かつ
    Ti(%)≦(48/14)×N(%) …(A)
    (93/12)×(C(%)−0.0040)≦Nb(%) ≦(93/12)×(C(%)−0.0005) …(B)
    なる条件式(A),(B)を満足し、更に、
    B :0.0002〜0.0050%
    を含有し、残部鉄および不可避的不純物よりな、鋼中の介在物中アルミナを含まないチタン系酸化物、マンガン系酸化物、シリコン系酸化物からなる酸化物系介在物を有することを特徴とする欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板。
  3. 精錬後の溶鋼を真空脱ガス処理とSi,Mnの1種もしくは2種添加のいずれか一方又は両方を行って鋼中酸素量を300ppm 以下に脱酸し、ついでTiを添加して請求項1または2記載の成分の鋼とし、この鋼を連続鋳造−熱間圧延の後、600℃〜750℃で巻取り、ついで脱スケール処理、冷間圧延後、650℃〜900℃で連続焼鈍を施し、めっき工程を経て缶用鋼板とすることを特徴とする欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板の製造方法。
  4. 精錬後の溶鋼を真空脱ガス処理とSi,Mnの1種もしくは2種添加のいずれか一方又は両方を行って鋼中酸素量を300ppm 以下に脱酸した後、化学組成がTi:10〜75質量%、残りFe,Mn,Siの1種〜3種および不可避的不純物からなる合金を添加することを特徴とする請求項3記載の欠陥が少なく焼付硬化性に優れた缶用鋼板の製造方法。
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JP4660038B2 (ja) * 2001-09-27 2011-03-30 新日本製鐵株式会社 薄板用鋼板の溶製方法およびその鋳片

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