JP3577326B2 - 高濃度石炭・水スラリー用安定剤 - Google Patents
高濃度石炭・水スラリー用安定剤 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、石炭・水スラリー用安定剤に関する。更に詳しくは、微粉炭を水に分散させ高濃度且つ低粘度であって、輸送、貯蔵、取扱いなどが容易であり貯蔵中、輸送中に石炭粒子の沈降が非常に遅く、圧密化することのない安定性に優れた石炭・水スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、石油資源の枯渇により石炭の利用が再確認されその利用方法が種々検討されている。しかしながら、石炭は石油と異なり固体であるためにポンプ輸送ができない等の理由で、輸送や貯蔵を効率よく行うことができないという欠点がある。
【0003】
これらの欠点を改善するために、石炭を粉体化して水中に分散し、水スラリーにする方法が種々検討されている。しかしながら、この方法は石炭濃度を上げていくと著しく増粘し、流動性がなくなるためポンプ輸送が困難になってくる。一方、石炭濃度を下げると、輸送効率が低下し、更に燃焼前に脱水工程が必要となってきて費用がかかるために実用的ではない。これらの問題点を解決するために種々の添加剤の検討や石炭の粒度分布の検討などが行われている。
【0004】
しかしながら、これらの方法により、高濃度で石炭を含む石炭・水スラリーの粘度を低下させたとしても、高濃度石炭・水スラリーは、輸送中のタンカーやタンクローリー、貯蔵中のタンクの中で石炭の沈降が起こり、圧密化された沈降層を形成する場合が多い。この様な場合には、石炭・水スラリーの性状変化が生じると共に沈降層を再び分散させて使用することは極めて困難であり、作業効率の大きな低下につながる。従って、高濃度かつ低粘度の石炭・水スラリーの安定性を向上させることは、石炭・水スラリーの実用上極めて重要である。
【0005】
従来においても石炭・水スラリーの安定剤については、種々の検討がなされているが十分なものではない。例えば、特開昭63−165489 号には、石炭・水スラリーに水溶性高分子と微粒子状無機物質とから成る安定剤を添加することが記載されているが、無機物質を添加することによりスラリー中の灰分を増大させることにつながり適当ではない。また、カルボキシメチルセルロースの記載もあるが、その物性値についての規定は全くなされておらず、これらと安定性を関連づける記載も見当たらない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、微粒子石炭を高濃度で含有しているにも関わらず低粘度であり、しかも長期間の保存中石炭の沈降が極めて遅く、圧密化された沈降層が形成されない安定性の極めて優れた石炭・水スラリーを提供すべく、石炭・水スラリーに添加する安定剤とその安定性について種々検討していたところ、1重量%水溶液の粘度が25℃において 2,000〜10,000センチポイズ(cp)のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を少量添加することにより、石炭・水スラリー全体の粘度を極端に挙げることなく微粉石炭の沈降が極めて抑制され安定な高濃度石炭・水スラリーを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、1重量%水溶液の粘度が25℃において4,000〜10,000センチポイズ(cp)で、エーテル化度が0.3〜2.7であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩を必須成分としてなることを特徴とする高濃度石炭・水スラリー用安定剤に関する。
【0008】
本発明における石炭・水スラリー中の固体燃料は石炭であり、その石炭は特に限定されず通常の燃料として一般に使用されている無煙炭、れき青炭、亜れき青炭、褐炭、またはそれらをクリーン化したものを使用することができる。また、石炭・水スラリー中の石炭粒子の粒度も粉末であればどのような粒度であってもよいが、最大粒径が 500μm 以下が望ましい。しかし、本発明の安定剤はどの様な粒径の石炭粉末に対しても優れた効果を発揮する。更に本発明の石炭・水スラリー中の石炭の含有量は60〜80重量%であり、望ましくは65〜75重量%である。本発明にて用いる安定剤は、1重量%水溶液における粘度が25℃において 2,000〜10,000センチポイズ(cp)であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩を必須成分として含有するものである。
【0009】
本発明に用いるカルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度は、0.3〜2.7 の範囲であり、水溶性であればよい。塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、アミン塩、及びこれらの塩の一部がカルシウムなどのアルカリ土類金属で置換されたものなどが使用できる。
【0010】
上記安定剤の添加量は、石炭・水スラリー 100重量部に対して 0.001〜0.5 重量部、好ましくは、 0.005〜0.05重量部の範囲内の量である。安定剤の量が上記範囲よりも少ないと石炭・水スラリーの安定化が不十分であり、上記範囲よりも多いと石炭・水スラリーの粘度が高くなり、スラリーの流動性が低下するため石炭の濃度を低減する必要が生じ好ましくない。
【0011】
本発明の石炭・水スラリーにおいては、高濃度化にともなう粘度上昇を抑制するために、適当な分散剤を含有させることが望ましい。分散剤としては、それ自体公知のノニオン性あるいはアニオン性界面活性剤を使用することができ、例えばポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0012】
本発明の石炭・水スラリーを製造する方法としては、石炭を予め乾式で粉砕した後、分散剤、安定剤の混合溶液中に微粉石炭を混合する方法や、適当な分散剤を用いて石炭・水スラリーを調製した後、安定剤を添加する方法や、ミル中へ石炭、水、分散剤、安定剤を加え、石炭を粉砕しながら混合する方法などがある。
【0013】
本発明の安定剤は、それ自身の水溶液の粘度は、1重量%の水溶液で25℃において 2,000〜10,000センチポイズ(cp)と非常に高いものであるが、石炭・水スラリーに添加した場合、系全体の粘度は、低粘度のカルボキシメチルセルロースを添加した場合とほとんど変わらない。それにもかかわらず、降伏値が大きくなり微粉石炭の沈降は極めて抑制される。
【0014】
【発明の効果】
本発明の石炭・水スラリーは、固体燃料である石炭を高濃度で含有しているにも関わらず、その粘度は低くポンプによる圧送が可能であり、しかも安定性に優れているので、長期の保存、長距離の輸送が可能である。
【0015】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0016】
(石炭微粒子の調製)
ボールミル中で乾燥させた石炭を乾式で粉砕を行い幾何平均径約 100μm に粉砕した微粒子状石炭と、同微粒子状石炭を更にボールミルで幾何平均径約10μmに乾式粉砕した超微粒子状石炭とそれぞれ絶乾状態で60対40の重量割合で配合した。
【0017】
(石炭・水スラリーの調製)
石炭・水スラリーの調製は、水の中に予め分散剤である一般に知られている界面活性剤と安定剤であるカルボキシメチルセルロースを溶解させておき、モーターによって攪拌しながら所定量の微粉砕石炭を投入した。投入後 3000rpmで15分間攪拌を行った。実施例及び比較例における石炭・水スラリーの性状、石炭・水スラリーの粘度測定方法、貯蔵安定性試験法を次に示す。
【0018】
(石炭・水スラリーの性状)
実施例及び比較例における石炭・水スラリーの構成成分、石炭濃度、粘度を表1に示した。
【0019】
(粘度測定方法)
石炭・水スラリーの粘度測定は、二重円筒型粘度計 (ハーケ社製、RV−2型) で25℃において行った。剪断速度を図1のように時間に対して変化させ、剪断速度が 100 1/sの時の粘度を見かけ粘度とした。
【0020】
(石炭・水スラリーの貯蔵安定性試験方法)
石炭・水スラリーを調製した後それをいくつかの容積 300mlの容器に 200mlずつ分割しそれらを一定期間静置後上部60mlの粘度を測定することにより石炭・水スラリーの貯蔵安定性を評価した。スラリーの安定性が悪いとその上部の粘度は、経時的に大きく変化し、安定性が優れているとその粘度変化は少ない。図2には実施例及び比較例のそれぞれの場合においてある一定期間静置したときの石炭・水スラリーの上部の粘度をそれぞれの製造時の粘度で規格化した値を縦軸に、また経過日数を横軸にとったものを示した。
【0021】
実施例1、2
上記の石炭を使用し、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム塩をスラリー全体に対して約 0.5重量%、また表1に示した本発明の安定剤を表1に示した量を使用し石炭濃度を表1に示した濃度に調製した。その貯蔵安定性試験の結果を図2に示した。また表2には、20日後の石炭・水スラリーの上部の粘度を初日の粘度で規格化した値を示した。
【0022】
実施例3、4
実施例1で用いた安定剤を使用し、表1に示した量を添加することにより石炭・水スラリーを表1に示したような構成成分で調製した。その貯蔵安定性試験の結果を実施例1、2と同様に表2に示した。
【0023】
比較例1〜3
安定剤として表1に示す本発明の範囲外のものを用いるか (比較例1、2) 、あるいは安定剤を用いない (比較例3) 石炭・水スラリーを実施例と同様に表1に示したような構成成分で調製した。その貯蔵安定性試験の結果を図2に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
(評価結果)
表1に示したようにそれ自体高粘度のカルボキシメチルセルロースを添加した場合においても、それ自体低粘度のカルボキシメチルセルロースを添加した場合に比べて極端に粘度の上昇は起こらないことがわかる。
また、図2に示したように本発明の安定剤を用いることにより、一般の界面活性剤だけを添加した場合、あるいは本発明の安定剤よりも低粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加した場合に比べて、微粉石炭の沈降による上部粘度低下は極端に少なくなりスラリーの安定性が飛躍的に向上していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例における石炭・水スラリーの粘度測定時の時間と剪断速度の関係を表すグラフである。
【図2】実施例及び比較例における粘度の経時的変化を規格化した値で示したグラフである。
Claims (3)
- 1重量%水溶液の粘度が25℃において4,000〜10,000センチポイズ(cp)で、エーテル化度が0.3〜2.7であるカルボキシメチルセルロースまたはその塩を必須成分としてなることを特徴とする高濃度石炭・水スラリー用安定剤。
- 石炭・水スラリーの石炭濃度が60〜80重量%である請求項1記載の高濃度石炭・水スラリー用安定剤。
- 請求項1または2記載の安定剤および分散剤を添加することを特徴とする高濃度石炭・水スラリー。
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JP5224193A JP3577326B2 (ja) | 1993-03-12 | 1993-03-12 | 高濃度石炭・水スラリー用安定剤 |
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JPH06264075A JPH06264075A (ja) | 1994-09-20 |
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- 1993-03-12 JP JP5224193A patent/JP3577326B2/ja not_active Expired - Fee Related
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