JP3576459B2 - 車両走行路用ルーバーユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、自動車道路あるいは鉄道のトンネル出入口や掘割形状の開口部などに設置され、調光、吸音、遮音および換気の機能を発揮する車両走行路用ルーバーユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両走行路用のルーバーは、翼状のルーバー部材を車両進行方向に多数並列させて構成されており、例えばトンネルの出入口などで、野外の輝度とトンネル内の輝度の差を緩和するなど、主として調光を目的として開発されている。
【0003】
特公昭57−40288号公報には、自動車道路用ルーバーとして、傾斜する平板状のルーバー部材を、傾斜面に光線が投射されるよう南方から北方に向けて多数並列させて架設し、それらのルーバー部材およびこれと直交して配された垂直障壁板に透光細孔を形成し、調光機能の向上を図ったものが記載されている。
【0004】
また、特公昭58−10523号公報には、平板をくの字あるいは横向きのW字状に屈曲させたルーバー部材を同様に南方から北方に向けて多数並列させて架設し、それらのルーバー部材およびこれと直交して配された垂直障壁板に透光細孔を形成したものが記載されている。
【0005】
また、このような車両走行路用ルーバーによる吸音、遮音効果や換気効果を考慮して、例えば実公平6−47932号公報に記載されているように、透孔を有する中空のルーバー部材にグラスウールやロックウール等の吸音材を充填したものが開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ルーバーの調光機能の面では、ルーバー部材間の傾斜面あるいは屈曲面の重なりなどにより、できるだけ太陽光が車両走行路に直接照射されていようにしつつ、適度な光量が取り入れられるようにする必要があり、また特に遮音機能の面ではできるだけルーバー部材間の間隔を狭くしたり、あるいはルーバー部材の屈曲を利用して音が抜け難いようにすることが望ましい。
【0007】
一方、ルーバー部材間の間隔が小さ過ぎたり、屈曲部があると、通気性が悪くなり換気機能の低下が生ずる他、ルーバー部材に埃が付着したり、落葉等のゴミがルーバー部材間に詰まってしまうなどして、ルーバーの機能を阻害するといった問題がある。
【0008】
本願発明は、従来の技術における上述のような課題の解決を図ったものであり、調光、吸音、遮音および換気の各機能に優れ、かつゴミなどが詰まりにくく、メンテナンスの容易な車両走行路用ルーバーユニットを提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、枠部材の内側にルーバー部材を車両方向に間隔をおいて多数並列配置してなる車両走行路用ルーバーユニットにおいて、前記ルーバー部材として、表面に多数の透孔を有し、吸音材を円管状に配置してなる円管状ルーバー部材を用い、前記円管状ルーバー部材の一部または全部の底部に車両進行方向と逆方向に張り出す板状の張出部を設けてあることを特徴とするものである。
【0010】
枠部材の最も一般的な形態は、鋼材などからなる帯板材を長方形に枠組したものであるが、外形その他特に限定されず、端部をトンネル出入口部や掘割道路の構造体部分等に架設できるものであればよい。また、必要に応じ中間に桁材などを加えて補強することができる。
【0011】
円管状ルーバー部材は表面が滑らかな曲面形状を有することで、換気における気流の乱れが少なく、通気性が良い。また、通気性が良いことに加え、滑らかな曲面であることから埃やゴミがルーバー部材間に溜まり難く、その分、面倒なメンテナンスが不要となる。
【0012】
さらに、従来の翼状のルーバー部材などに比べ、各方向の断面剛性が大きくなることから、個々のルーバー部材およびルーバーユニット全体として、変形の少ない安定した構造が得られる。
【0013】
また、通気性が良く、埃やゴミがが溜まり難いことから、ルーバー部材間の間隔を小さく設定することもでき、直射日光の遮断や調光に関する設計の自由度が高い。調光については、できるだけ下を通過するドライバー等の目に直射日光が入らない範囲で、ルーバー部材の間隔を調整して自然光を取り入れることで、内部がより明るくなる。
【0014】
円管状ルーバー部材の外面を構成する表面材の材質としては、主として鋼板、ステンレス、アルミなどの金属が使用されるが、強化プラスチックその他の合成樹脂等の使用も考えられる。
【0015】
また、金属製の場合、ダル仕上げ(にぶい灰色のつや消し仕上げ)などにより表面粗度を高めれば、光を拡散させる形で光の反射を制御し、まぶしさを抑えることができる。また、これらの表面に光触媒を塗布し、表面の汚れ防止や排ガス浄化を図ることもできる。
【0016】
透孔の形成方法は特に限定されないが、パンチング板あるいはエキスパンドメタルなどで成形するのが経済的である。耐久性の面では、ステンレス鋼からなるものなどが適し、その場合、吸音性を期待する側の開孔率を50〜70%程度とすることが好ましい。
【0017】
開孔率を大きくすることで吸音効果を高めることができるが、開孔率を70%以上とすると、吸音材の保持の面や一部雨水やゴミなどの流入に対するメンテナンスが面倒になる恐れがある。なお、透孔は全面に設けるよりむしろ、下面側など吸音性などに影響を与える部分に設ければよく、雨水やゴミなどの侵入を防止するためには、上面側などには透孔を設けないことも考えられる。ただし、加工性の問題などもあるため、別途、透孔部分を塞ぐといったことも考えられる。
【0018】
その他、全体または一部を格子状または網状の部材、あるいは格子状または網状の部材で補強されたガラス繊維やアルミ繊維などからなる吸音性シート、所要の剛性を有する発泡アルミ板などの多孔質吸音材で形成することが考えられる。
【0019】
吸音材としては、従来のルーバー部材等で使用されているグラスウール、ロックウール等を用いることができるが、表面材の内側に保持できる吸音材であれば特に限定されない。
【0020】
例えば、表面材の内側に円筒状に整形したグラスウールなどを挿入して固定してもよく、また、表面材を所定の肉厚を有する中空の2重管構造とし、中空の肉厚部分に吸音材を充填するといったことも可能である。
【0021】
なお、吸音材は、円管状ルーバー部材全体に必ずしも均一に充填する必要はなく、主として吸音性が要求される下面側あるいは一側に密に配置し、上面側あるいは他側には粗に配置することで、吸音材の使用量を低減することができる。あるいは、部分的に吸音材を配置しない形でもよい。
【0022】
また、吸音材自体に剛性を期待できる場合には、別途表面材を設けずに、吸音材を円管状を形成して用いてもよい。
さらに、本発明では、円管状ルーバー部材に車両進行方向と逆方向に張り出す板状の張出部を設けてあるため、ルーバーユニットをトンネル出入口部分や掘割道路の天井に使用した場合、下を通過する走行車両によって天井部分下面には車両進行方向の気流が生じ、張出部がその気流を捉え、排ガスなどといっしょに外部へ排出し、空気を自然循環させる形で新鮮な空気を外部から取り入れ、換気効果を高めることができる。
【0023】
請求項2は、請求項1に係る車両走行路用ルーバーユニットにおいて、前記円管状ルーバー部材を上下に複数段、千鳥状に配置した場合である。
【0024】
円管状ルーバー部材を1段に並列配置した場合、遮光性や遮音性を期待して間隔を狭めると、通気性、すなわち換気性が損なわれるため、2段以上の千鳥配置にするなどして遮光性、調光性、遮音性を持たせつつ、換気性能を確保することができる。
【0025】
請求項3は、請求項1に係る車両走行路用ルーバーユニットにおいて、前記円管状ルーバー部材と他の形式のルーバー部材を適宜組み合わせて配置した場合である。
【0026】
ルーバーユニットについては、全てるルーバー部材を円管状ルーバー部材とする必要はなく、他の形状、材質、性能のルーバー部材と組み合わせて使用することもできる。また、形状の異なるルーバー部材を上下に配置したり、交互に配置する(1つおきとは限らない)ことで、遮光性、遮音性を持たせつつ、十分な換気性能を確保することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は本願の請求項1、2に係る車両走行路用ルーバーユニットの一実施形態を示したもので、ルーバーユニット1は、縦桁2aおよび横桁2bを長方形に組んだ枠部材2の内側に、多数の円管状ルーバー部材3を、上下2段に千鳥状に配置してパネル状に形成したものである。
【0030】
このようなパネル状に形成されたルーバーユニット1は、例えば図4に示す掘割道路11の場合、その開口部上に架設され、調光、吸音、遮音および換気のためのルーバーを構成する。
【0031】
本実施形態における円管状ルーバー部材3は、図2に示すように、表面に多数の透孔を有するステンレス製のパンチング板などの表面材の内側に、所定の肉厚の円筒状に整形したグラスウール等の吸音材4が取り付けられている。なお、課題を解決するための手段の項で述べたように、吸音材に剛性を期待できる場合には、別途、表面材を設けず、あるいは表面材に剛性を期待せずに、吸音材で円管を形成してもよい。
【0032】
上下2段に千鳥状に配置した円管状ルーバー部材3間の間隔を調整することで、適度な遮光性を持たせた上で、通気性を確保することができる。また、車両の通過の際の騒音を、パンチング板などからなる表面部材の透孔5を通して、吸音材4に吸収させることができる。
【0033】
また、下段の円管状ルーバー3については、その底部から車両進行方向と反対方向の斜め下方に向けて板状の張出部5を設けてある。前述したように、ルーバーユニット1をトンネル出入口部分や掘割道路の天井に使用した場合に、下を通過する走行車両によって生ずる車両進行方向の気流を張出部5が捉え、排ガスなどといっしょに外部へ排出し、空気を自然循環させる形で新鮮な空気を外部から取り入れ、換気効果を高める。
【0034】
図3は、請求項3に係る車両走行路用ルーバーユニットの一実施形態におけるルーバー部材の形状および配置の一例を示したものである。
【0035】
図1、図2に示した実施形態では、全てのルーバー部材を円管状ルーバー部材3としていたのに対し、本実施形態では、上段については、平型ルーバー部材6を用いている。
【0036】
平型ルーバー部材6は、円管状とする代わりに、透孔を有する平型の板状のルーバー部材を構成するものであり、肉厚部分の内側を中空とし、その部分に吸音材4を充填してある。
【0037】
平型ルーバー部材6は、円管状ルーバー部材3より製作コストがやすく、また、円管状ルーバー部材3の遮光性、遮音性を補うような形での配置が容易である。また、下面のみ透孔を設け、上面には透孔を設けないといった製作も容易である。あるいは、透孔のない金属板の片面に所定厚の板状に整形した遮音材を貼り付けたものなどでもよい。
【0038】
その他、ルーバーユニット1の設置や、吸音材充填型ルーバー部材3については、図1の実施形態の場合と同様である。
【0039】
【発明の効果】
(1)本願発明の車両走行路用ルーバーユニットでは、ルーバー部材の一部または全部に円管状ルーバー部材を用いており、従来の翼状のルーバー部材と比べ、同じ材質であれば円管状ルーバー部材はどの方向に対しても断面剛性が大きくなるため、個々のルーバー部材およびルーバーユニット全体としても、形状安定性に優れたものとなる。
(2)表面が滑らかな曲面形状をなすため、換気における通気性が良く、また従来の翼状ルーバー部材に比べ、埃やゴミがルーバー部材間に溜まり難く、従来、大きな問題であったルーバー部材間の詰まりなどに対するメンテナンスが容易である。
(3)ルーバー部材間の通気性が良く、埃やゴミが溜まり難いことから、ルーバー部材間の間隔を小さくすることもでき、設計の自由度が高い。
(4) 円管状ルーバー部材に車両進行方向と逆向きに設けた張出部により、通過する走行車両によって生じる気流を利用して、換気効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1、2に係る車両走行路用ルーバーユニットの一実施形態を示したもので、(a) は車両進行方向における鉛直断面図、(b) は底面図である。
【図2】図1の実施形態におけるルーバー部材の形状および配置の一例を示す鉛直断面図である。
【図3】請求項3に係る車両走行路用ルーバーユニットの一実施形態におけるルーバー部材の形状および配置の一例を示す鉛直断面図である。
【図4】本願発明の車両走行路用ルーバーユニットを掘割道路の開口上部に用いた場合のルーバーユニット架設位置を示したもので、(a) は道路と直角方向の鉛直断面図、(b) は平面図である。
【符号の説明】
1…ルーバーユニット、2…枠部材、2a…縦桁、2b…横桁、3…円管状ルーバー部材、4…吸音材、5…張出部、6…平型ルーバー部材、11…掘割道路
Claims (3)
- 枠部材の内側にルーバー部材を車両方向に間隔をおいて多数並列配置してなる車両走行路用ルーバーユニットにおいて、前記ルーバー部材として、表面に多数の透孔を有し、吸音材を円管状に配置してなる円管状ルーバー部材を用い、前記円管状ルーバー部材の一部または全部の底部に車両進行方向と逆方向に張り出す板状の張出部を設けてあることを特徴とする車両走行路用ルーバーユニット。
- 前記円管状ルーバー部材を上下に複数段、千鳥状に配置してある請求項1記載の車両走行路用ルーバーユニット。
- 前記円管状ルーバー部材と他の形式のルーバー部材を適宜組み合わせて配置してある請求項1記載の車両走行路用ルーバーユニット。
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