JP3575831B2 - 縮射用翼安定徹甲弾の速度低下の低減 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、銃器で発射される、縮射用翼安定徹甲弾に関する。
【0002】
【従来の技術】
銃器からターゲットへとその弾道に沿って進行する間に、このような砲弾は、空気抵抗の作用のために速度の低減を受ける。このような運動エネルギ徹甲弾薬の最終的な効力は、先ずターゲットにおける衝突速度に関係するので、ターゲットへの飛翔の間の速度低下の低減は、特にターゲットまでの距離が離れている場合に、その性能を改善するための有力な方法である。
【0003】
その放棄式装弾筒を有する典型的な翼安定徹甲弾は、例えば、米国特許第4,901,646号明細書に記載されている。砲弾が縮射用であるので、これは、翼の幅を含めたその全ての横断面寸法が砲身の口径よりも小さいことを意味するが、装弾筒は、砲身内の移動の間に砲弾を支持する必要がある。砲身の砲口から出ると直ぐ、装弾筒は、自動的に放棄され、砲弾は、ターゲットへのその弾道に沿って、自由に移動することができる。
【0004】
縮射用翼安定長幹弾は、前部に本質的に円錐形の先端部構造と、後部に取り付けられる空気力学的な安定のための翼アッセンブリを有する、円筒形の柱状メインボディから成る。所望の性能を得るために、砲弾のボディは、好ましくは、タングステン重金属又は劣化ウランのような高密度で高強度の合金から成る。特に、翼アッセンブリは、砲弾のメインボディの周囲に対称に配置された4つ又はそれ以上の翼から成る。翼の付された縮射用砲弾は、装弾筒内に同軸に収容され、従って、発射の間は砲身の軸に沿って移動する。縮射用砲弾の調心及び半径方向の支持に加えて、装弾筒は、燃焼する発射薬のガス圧力によって引き起こされる軸方向の加速度を縮射用砲弾に伝達する。この伝達を容易にするために、砲弾のメインボディの一部は、装弾筒内の同等の対応区間に係合する一連の環状溝を備えている。代案として、環状溝は、縮射用砲弾の円筒形のボディに備えられ、かつアルミニウム装弾筒ボディの内側の対応ネジに係合する或る長さのネジで代用しても良い。
【0005】
従来技術において、溝の付された部分又はネジの付された部分の長さは、前記ボディの直径の4〜10倍の長さで変化する縮射用砲弾の円筒形のボディの大部分にわたって延在し、或る例では、円筒形のボディの全長にわたって、即ち翼アッセンブリから砲弾先端部の肩部まで、延在する。縮射用砲弾の環状溝又はネジの付された部分が、放棄式装弾筒から発射時の加速度を伝達するのに適しているのに対して、その構造、特にその長さ及び位置は、結果として速度低下を増加させ、これに応じてターゲットにおける衝突速度を低下させる、ターゲットへの飛翔の間の空気力学的な性能に逆効果を惹起する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
構造的なインターフェースの空気力学的な逆効果及び結果として生じる過度の速度低下を低減させることが、本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題は、本発明によれば、機関砲の砲身から発射するための放棄式装弾筒を有する、特に高密度焼結タングステン合金又は劣化ウラン合金の、直径対長さの比の大きい縮射用翼安定徹甲弾において、
前記砲弾が、細い先端部と、円筒形の中間部分と、後部に取り付けられる翼アッセンブリと、砲弾の円筒形の部分に備えられ、かつ機関砲から発射されている間に装弾筒から縮射用砲弾へと軸方向の加速度を伝達するのに必要とされる、放棄式装弾筒のアルミニウム基体の内側に備えられた環状溝の対応部分に係合する複数の環状溝とから成ること、
前記環状溝の数が、軸方向の加速度の大きさと、相互噛合いするアルミニウム装弾筒の動的強度特性とによって決定される最小値であること、
前記多数の環状溝が、層流境界層の低い摩擦係数を最適に利用するため、乱流境界層への層流境界層の強制遷移を遅延させるために、翼アッセンブリに隣接し、かつ層流境界層から乱流境界層への自然遷移の点の後の砲弾の円筒形の部分に配置されていること、
前記環状溝が、その圧力抵抗及び造波抵抗を最小化するのに望ましい修整60°STUBネジ構造のプロフィルと同様のプロフィルを有すること、
によって解決される。
【0008】
本発明による他の有利な構成は、特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。
【0009】
縮射用翼安定徹甲弾の空気抵抗は、砲弾先端部の抵抗、基礎抵抗を含めたその円筒形のメインボディの抵抗、翼アッセンブリの抵抗、及び最後に、しかしながら特に、装弾筒から縮射用砲弾へと発射時の加速度を伝達するのに必要とされる、円筒形のボディに備えられた環状溝又はネジの付された部分のいずれかによって惹起される寄生抵抗から成る。空気抵抗は、空気力学的な構造に依存する圧力抵抗又は造波抵抗と、表面摩擦から結果として生じる摩擦抵抗とから構成される。全抵抗の大きさが、砲弾の速度、マッハ数及びレイノルズ数に関係すること、そして、レイノルズ数が、境界層の性質及び結果として生じる表面摩擦に対して顕著な効果を有することが知られている。
【0010】
20〜35mmの機関砲から発射されるほとんどの縮射用翼安定(長幹)徹甲弾は、発射時にM≒4のマッハ数を有し、レイノルズ数Re≒106 〜107 の範囲にわたって動作する。ここで、レイノルズ数は以下のように定義される。即ち、V=砲弾の速度(m/s)、L=全砲弾長(m)、ν=空気の動粘度(m2 /s)として、
Re=V×L/ν
である。
【0011】
本発明の対象は、放棄式装弾筒のアルミニウム部品から発射時の加速度を伝達するのに必要な、縮射用砲弾の円筒形のメインボディに適用される環状溝及び/又はネジの付された区間によって惹起される空気抵抗の低減に関する。全砲弾抵抗の他の成分は、これらの成分が本発明の対象に影響を与える時にのみ議論する。更に、力伝達インターフェースの長さと最も効果的な構造を、円筒形のメインボディにおけるその最適な位置と同様に限定することも、本発明の対象である。
【0012】
空気抵抗に対する逆効果を最小化するため、環状溝又はネジの付された区間のいずれかから成る力伝達インターフェースは、できるだけ短くすべきである。縮射用砲弾のボディが、好ましくは、一方で、タングステン合金又は劣化ウラン合金のような高強度で高密度の金属から成り、他方で、対応するアルミニウム合金装弾筒が比較的低い強度特性を有するので、環状溝の最小の数及び/又はネジの付された部分の長さは、装弾筒によって決定される。好ましくは、構造計算は、アルミニウム合金の動的強度特性に基づくべきである。環状溝の数又はネジの長さの制限は、結果として、空気力学的な圧力抵抗又は造波抵抗を減少させる。この抵抗成分は、円筒形のメインボディの外側の表面の不連続から発生する衝撃波によって惹起される。
【0013】
縮射用砲弾の円筒形のボディにおける力伝達インターフェースの最も効果的な配置は、本発明の更なる対象である。周知のように、円錐形−円筒形のボディに沿った境界層は、もちろん、ボディの表面が、平滑で、逆圧力勾配を惹起する段又は溝のような不規則性を有することがないということを備えたその前方部分にわたって層流である。砲弾の先端から一定の距離の下流では、層流境界層が不安定になり、乱流条件への遷移が生じる。遷移が生じるところでの臨界レイノルズ数は、先ずマッハ数Mに関係する。検討中の砲弾は、4.2〜3.5のマッハ数のところで、砲弾先端から測定された距離に基づいてReTrans ≒5×106 の値を有する。140mmの長さを有する縮射用翼安定徹甲弾の場合は、遷移が、先端から55〜60ミリメートルのところ、即ち、砲弾先端部と翼アッセンブリの前部との間のおおよそ中間のところで生じる。力伝達インターフェースを、即ち環状溝又はネジの部分を境界層の遷移が生じる場所の後に配置することは、層流境界層の低い境界層摩擦係数特性を最適に利用する利点を提供する。良く知られているように、遷移の下流で遭遇させられる乱流境界層の摩擦係数は、相当高い。縮射用砲弾の円筒形のボディにおける構造的なインターフェースが、境界層の自然遷移の点の前、即ち上流に、配置されている場合は、強制遷移が、従来技術における場合のような相応に高い摩擦係数を有する点で生じる。このような強制遷移は、また境界層のより急激な成長を伴い、境界層の剥離へと導くかもしれない。本発明の利点は、2000メートルの範囲までのレーダ測定によって決定される速度低下の低減にあることは明らかであり、飛翔中の砲弾のシュリーレン写真によって定性的に立証されている。要約すると、本発明は、環状溝又はネジの付された部分のいずれかから成る構造的なインターフェースの長さの最小化及び縮射用砲弾の円筒形のメインボディにおける構造的なインターフェースの配置によって、ターゲットへと飛翔している間の砲弾の速度の低下を低減する。本発明は、スピンあり及びスピンなしの翼安定弾に等しく適用可能である。
【0014】
【実施例】
本発明の対象及び利点を、図面と以下の詳細な説明を基にして明らかにする。
【0015】
縮射用翼安定徹甲弾装弾筒アッセンブリの縦断面が図1に示されている。縮射用砲弾は、円筒形のボディ10,円錐形の先端部12,後部に取り付けられる十字形の翼アッセンブリ14から成る。円筒形のボディ10と砲弾先端部12は、好ましくは、焼結タングステン合金又は劣化ウラン合金のような高密度で高強度の金属から成る。翼アッセンブリは、アルミニウム又は鋼のような低密度の金属から成る。砲弾が高速である場合、アルミニウムの翼は、空気力学的な加熱の効果からの保護のための保護用被覆を必要とする。翼アッセンブリ14は、一般的に発光式曳光物質15を包含する。
【0016】
縮射用翼安定徹甲弾は、図1に図示されているように、放棄式装弾筒内に収容されている。この図のために選択された特別な装弾筒は、米国特許第4,815,682号及び第4,901,646号明細書に記載されているように、フルスピン発射用に設計されている。放棄式装弾筒の主要部品は、定心部として働き、かつその後部に回転バンド20を備えている射出成形されたプラスチックボディ18内に同軸に収容された三部材のアルミニウム基体16である。特に、放棄式装弾筒は、砲身内での同軸の位置に縮射用翼安定徹甲弾を支持するのに必要である。装弾筒は、また、縮射用砲弾に発射時の加速度を伝達するためにも必要である。これは、円筒形のボディ10に備えられた環状溝22によって行われ、これらの溝は、装弾筒のアルミニウム基体16内の相応の数の溝に係合する。ターゲットへの縮射用砲弾の飛翔の間の溝の空気力学的な干渉を低減するため、溝の数を、これらの溝が配分されているスペースと同様に最小に低減することが望ましく、これは本発明の一実施例である。アルミニウム装弾筒基体の強度特性は、縮射用砲弾の高密度で高強度の材料の強度特性よりも低いので、環状溝の数は装弾筒基体の材料によって決定される。従って、構造計算のために7075−T6のような高強度のアルミニウム合金の動的強度特性を使用することが好ましい。直径に対する長さの比が12.5である縮射用砲弾の例として、例えば、6つの環状溝が円筒形のボディに等間隔で配置されているところの長さは、ボディ直径のせいぜい1.4倍である。
【0017】
環状溝のための好ましい構造は、図2に示されている。この溝プロフィルは、空気力学的な考察から望ましい。何故なら、このプロフィルは、造波抵抗及び圧力抵抗を低減するからである。溝の形状は、以下の特徴を有する。即ち、
a.法線から軸へと測定された負荷側フランク24の角度が約30°であること、
b.法線から軸へと測定された解放側フランク25の角度が少なくとも30°であること、
c.溝の深さ27及び頂部幅29が溝間隔23の約0.3倍であるように頂部26が頭部を切断されていること、
である。
【0018】
約30°の負荷側フランク24の角度は、この負荷側フランク角が、推力の一部を半径方向成分に再配分することによって、加速度伝達インターフェースの長さの短縮、即ち本発明の一実施例、を可能にする点で有益である。推力の半径方向成分は、回転バンドの後のアルミニウム装弾筒基体の周囲に影響を与えるガス圧力によって直接相殺される。
【0019】
解放側フランク25の角度は、境界層の剥離及び付随する抵抗の増加を防止しようとして、この位置で生じる逆圧力勾配の大きさを低減するために、30°又はそれ以上であるべきである。
【0020】
頂部幅29は、溝が存在するために生じる剥離した流れの再結合のための最良の条件を提供するように、アルミニウム装弾筒の強度特性によって許容される制約内で最大化されるべきである。同じ理由から、溝深さ27は、最小化されるべきであり、好ましくは、砲弾直径の0.065倍より深くあるべきでない。
【0021】
本発明の対象ではないが、負荷側フランクと解放側フランクの間の全内包角を60°又はそれ以上にすること、及び溝深さを最小化することが、装弾筒の分離、次いで砲弾のばらつきに対して有益な効果を有することを述べておく。
【0022】
アルミニウム装弾筒から縮射用砲弾へと発射時の加速度を伝達するための選択的な方法は、図3に図示されているようなネジの付された区間を手段としている。このような構造は、ネジ込み式のアルミニウム装弾筒基体を収容する放棄式装弾筒と組み合わせることが望ましい。ネジの付された区間28のための同様の設計上の配慮が、環状溝インターフェースのために議論されたように適用される。ネジの付された区間は、できるだけ短くあるべきであり、最小の数のネジ山から成るべきである。好ましくは、ネジの付された区間の長さは、装弾筒基体30のために使用すべき高強度のアルミニウムの動的強度特性に基づくべきである。空気力学的な圧力抵抗及び造波抵抗を低減するために望まれる少ない数のネジ山を得るためには、ハイピッチの使用が望ましい。ネジのピッチは、対応する装弾筒基体のために使用される材料の強度特性によって課される制約内で最大化されるべきである。上で述べた設計上の配慮に基づいて、円筒形の砲弾ボディの直径の約1.5倍の全ネジ長さが必要とされた。これは、約18g/cm3 の密度及び直径に対する長さの比が12〜13である高密度金属の縮射用砲弾に適合する。30°の負荷側フランク32及び解放側フランク33と砲弾の直径の約0.22倍のピッチ34を有する、STUB ACMEネジ又は図4に示されているような更に良い修整60°STUBネジのプロフィルが使用される。図4に示されている60°STUBネジのプロフィルは、ネジ深さ35を最小化し、頂部幅37を増加させるネジ山の頂部36の頭部を切断することによって標準形状から修整されている。上で述べたネジの付された構造を使用することからの空気力学的な干渉は、例えば種々の従来技術の応用において使用されるような標準的なメートルネジ構造で経験されるものより相当少ない。
【0023】
本発明の更なる実施例では、加速度伝達インターフェースの位置は、溝又はネジのどちらを付されるにしても、縮射用翼安定徹甲弾の円筒形のメインボディ上である。一般的に20〜40ミリメートルの範囲の口径を有する自動の機関砲から発射される、長幹弾とも称するこの種の砲弾は、毎秒1400〜1450メートルの範囲内の砲口速度で発射される。砲弾の速度及び寸法のために、銃器からターゲットへの弾道にわたって遭遇するレイノルズ数は、層流境界層の低い摩擦係数が、音響空気力学的な設計(sound aerodynamic design)により砲弾のボディの相当の部分にわたり首尾よく利用され得るようになっている。結果として生じる全空気抵抗の減少は、銃器からターゲットへの速度の低下を低減し、装甲の貫通にとって重要であるターゲットにおける高い衝突速度を可能にする。
【0024】
本質的に細い円錐形の先端部と円筒形の後部ボディから成る縮射用砲弾のメインボディにわたって、もし、外面が滑らかで段及び他の不連続から解放されているなら、層流境界層が形成される。好ましくは、0.8マイクロメートル又はそれ以下の表面粗さが望ましい。乱流境界層への層流境界層の自然遷移が生じる、縮射用砲弾の円筒形の部分の場所では、臨界レイノルズ数ReTrans に達する。臨界レイノルズ数は、以下のように定義される。即ち、V=砲弾の速度(m/s)、LTrans =砲弾の先端部から自然遷移が生じるところまでの距離(m)、ν=空気の動粘度(m2 /s)として、
ReTrans =V×LTrans /ν
である。
【0025】
自然遷移を示すレイノルズ数は、図5に円錐−円筒ボディに対して示されているようなマッハ数と関係する。このデータから、境界層の遷移が生じるところまでの(砲弾の先端から測定される)距離LTrans が計算できる。例として、約140mmの長さで1400m/sの発射速度を有する翼安定弾に対して、境界層の自然遷移は、砲弾の先端から約60mmのところで始まる。これは、縮射用翼安定徹甲弾を示す図6に図示されている。この図には、発射速度での遷移開始の推定点38と、2000メートルの領域での遷移開始の推定点40とが含まれている。これは、砲弾の前方部分にわたって境界層が層流で、遷移の点を過ぎると乱流に変わることを意味する。層流境界層の表面摩擦係数が、乱流境界層の表面摩擦係数より相当低いことは、一般常識である。従って、境界層の自然遷移の点、即ち38及び40、の後の位置に加速度伝達インターフェースの前端部42を配置することによって、層流境界層44及びその低い表面摩擦係数を維持することにおける十分な利益が保証されている。
【0026】
これに反して、一般的に従来技術で設計されているような縮射用砲弾の中間部分へのその位置決めを含む相当大きな加速度伝達インターフェースは、境界層において強制的な乱流を、またこれにより増加した空気抵抗を惹起する。加えて、自然遷移位置の前に境界層を移動させることは、結果として、境界層の急激な肥大を、またしばしば境界層の剥離を生じさせる。
【0027】
要するに、環状溝又はネジのどちらかから成るとしても、境界層の自然遷移開始の後のその配置と合わせて、加速度伝達インターフェースを最小値に至るまで短縮するような本発明の実施例は、空気抵抗を低減し、翼安定弾のその弾道に沿ったターゲットへの飛翔の間に結果として生じる速度低下を低減する点で効果的である。このことは、砲弾がフルスピンで発射されたのか、パーシャルスピンで発射されたのかに係わらず、砲弾に適用できる。
【0028】
例として、1400m/sで25mmの機関砲から発射された図1に示されるような縮射用翼安定徹甲弾は、2000メートルの範囲にわたって244m/sの速度低下が測定された。従来技術を代表する同様の砲弾は、同じ範囲にわたって300m/sの速度低下を有する。これは、運動エネルギ徹甲弾の効力にとって著しい差となる。この改良は、距離に関係する速度低下を低減した結果であって、砲口速度の増加によるものではない。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、構造的なインターフェースの空気力学的な逆効果及び結果として生じる過度の速度低下を低減させることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縮射用翼安定徹甲弾放棄式装弾筒アッセンブリの縦断面図である。
【図2】環状溝の詳細図である。
【図3】ネジの付された区間を有する縮射用翼安定徹甲弾放棄式装弾筒アッセンブリの縦断面図である。
【図4】ネジの付された区間の詳細図である。
【図5】縮射用砲弾の円筒形のボディにおいて層流境界から乱流境界への自然遷移が生じるところのマッハ数に関係する臨界レイノルズ数を表したグラフである。
【図6】層流境界層条件と乱流境界層条件との間の遷移点を図示する縮射用翼安定徹甲弾の縦断図である。
【符号の説明】
10 円筒形のボディ
12 円錐形の先端部
14 翼アッセンブリ
15 発光式曳光物質
16 アルミニウム基体
18 プラスチックボディ
20 回転バンド
22 環状溝
23 溝間隔
24 負荷側フランク
25 解放側フランク
26 頂部
27 溝の深さ
28 ネジの付された区間
29 頂部幅
30 装弾筒基体
32 負荷側フランク
33 解放側フランク
34 ピッチ
35 ネジ深さ
36 頂部
37 頂部幅
38 遷移開始の推定点
40 遷移開始の推定点
42 加速度伝達インターフェースの前端部
44 層流境界層

Claims (11)

  1. 機関砲の砲身から発射するための放棄式装弾筒を有する、特に高密度焼結タングステン合金又は劣化ウラン合金の、直径対長さの比の大きい縮射用翼安定徹甲弾において、
    前記砲弾が、細い先端部と、円筒形の中間部分と、後部に取り付けられる翼アッセンブリと、砲弾の円筒形の部分に備えられ、かつ機関砲から発射されている間に装弾筒から縮射用砲弾へと軸方向の加速度を伝達するのに必要とされる、放棄式装弾筒のアルミニウム基体の内側に備えられた環状溝の対応部分に係合する複数の環状溝とから成ること、
    前記環状溝の数が、軸方向の加速度の大きさと、相互噛合いするアルミニウム装弾筒の動的強度特性とによって決定される最小値であること、
    前記多数の環状溝が、層流境界層の低い摩擦係数を最適に利用するため、乱流境界層への層流境界層の強制遷移を遅延させるために、翼アッセンブリに隣接し、かつ層流境界層から乱流境界層への自然遷移の点の後の砲弾の円筒形の部分に配置されていること、
    前記環状溝が、その圧力抵抗及び造波抵抗を最小化するのに望ましい修整60°STUBネジ構造のプロフィルと同様のプロフィルを有すること、
    を特徴とする縮射用翼安定徹甲弾。
  2. 砲弾の円筒形の部分に、機関砲において発射されている間に放棄式装弾筒から砲弾へと軸方向の加速度を伝達するのに必要とされるネジの区間を備えており、
    前記ネジの区間が、加速力と、アルミニウム装弾筒基体の動的強度特性とによって決定される最小長さであること、
    前記ネジが、ネジ山の数及びこれらのネジ山が配分されているネジの長さを最小化するため、アルミニウム装弾筒の動的強度特性の下で許される最大のピッチを有すること、
    前記ネジが、本質的に、圧力抵抗及び造波抵抗の形をした空気力学的な干渉を低減するための修整60°STUB構造であること、
    前記ネジの付された区間が、層流境界層の低い摩擦係数を最適に利用するため、層流境界層から乱流境界層への自然遷移の点の後の縮射用砲弾の円筒形の部分に配置されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  3. 機関砲の砲身において発射されている間にアルミニウム装弾筒基体から縮射用砲弾へと軸方向の加速度を伝達するのに必要とされる、最小の長さのネジの区間及び最小の数のネジ山を有し、
    前記ネジの区間が、層流境界層の低い摩擦係数を最適に利用するため、乱流境界層への層流境界層の強制遷移を遅延させるために、翼アッセンブリに隣接する縮射用砲弾の円筒形の部分に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  4. ターゲットへと飛翔している間に受ける砲弾の全空気抵抗の低減及びその速度低下の低減をするため、圧力抵抗及び造波抵抗を低減し、かつ層流境界層の低い摩擦係数を最大限に利用するような構造及び配置の多数の環状溝又はネジの付された区間の形をした、砲弾の円筒形のボディに配置された構造的なインターフェースを有することを特徴とする請求項2に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  5. 自然遷移の点が、V=砲弾の速度(m/s)、LTrans =砲弾の先端部から自然遷移が生じるところまでの距離(m)、ν=空気の動粘度(m2 /s)として、
    ReTrans =V×LTrans /ν
    から決定されることを特徴とする請求項1に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  6. 加速度伝達インターフェースが、ボディ直径の1.5倍を超えない長さに限定されていることを特徴とする請求項1に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  7. 加速度伝達インターフェースが、法線から軸へと測定された約30°の負荷側フランク角と、法線から軸へと測定された少なくとも30°の解放側フランク角とによって限定される溝プロフィルをそれぞれ有する一連の環状溝から成ることを特徴とする請求項6に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  8. 加速度伝達インターフェースが、インターフェースに沿った所定の溝間隔及びこの溝間隔の約0.3倍の頂部幅及び溝の深さの切頭溝を有することを特徴とする請求項6に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  9. 加速度伝達インターフェースが、法線から軸へと測定された約30°の負荷側フランク角と、法線から軸へと測定された少なくとも30°の解放側フランク角と、インターフェースに沿った所定の溝間隔及びこの溝間隔の約0.3倍の頂部幅及び溝の深さとによって限定される溝プロフィルをそれぞれ有する一連の環状溝から成ることを特徴とする請求項6に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  10. 環状溝が、縮射用砲弾直径の0.065倍よりも深くないことを特徴とする請求項7に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
  11. 加速度伝達インターフェースが、圧力抵抗及び造波抵抗を最小化するためのSTUB ACMEネジ構造から成ることを特徴とする請求項6に記載の縮射用翼安定徹甲弾。
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