JP3574876B2 - オイルパルスインパクト工具 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は油圧を利用してインパクト出力を取り出すオイルパルスインパクト工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ねじ締めやボルト締めに使用されるインパクト工具において、回転駆動源による回転力から油圧を利用してインパクト出力を取り出すものがある。オイルパルスインパクト工具と称されているこのタイプのものは、従来、回転駆動源として、圧縮空気にて作動するエアモータが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、コンプレッサーのような圧縮空気源が別途必要となる上に、この圧縮空気源との接続用のエアホースが作業の邪魔になる。このために、回転駆動源として電動機を用いたり、更には電源として電池を用いることで、別途装置を不要としたり、接続されるコード類を無くすことが提案されている。
【0004】
しかし、電動タイプとした場合、次のような問題が新たに生ずる。すなわちオイルパルスインパクト工具では、そのインパクト装置の温度が過剰に上昇すると、封入してある作動油の膨張によって内圧が高くなり、作動油が漏れ出してしまうことになるが、エアモータを回転駆動源としていたものでは、エアモータそのものが供給される圧縮空気によって冷却されるために発熱源とならない上にインパクト装置も空気の流れで冷却してしまうことができるために、上記温度上昇による作動油漏れが生ずることはなかった。しかし電動タイプでは、電動機も発熱源となってしまうために、そして冷却剤として機能する空気の流れもないために、インパクト装置の温度が上昇しやすく、作動油の漏れが深刻な問題となっている。
【0005】
本発明はこのような点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは電動機を回転動力源とするものにおいて、温度上昇による作動油漏れを未然に防ぐことができるオイルパルスインパクト工具を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、回転駆動源としての電動機と、その回転出力で作動する油圧式で前記電動機と熱的につながっているインパクト装置とを備えたオイルパルスインパクト工具において、発熱部である電動機またはインパクト装置の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段で検出される温度が所定温度以上となる時に電動機への給電を遮断するスイッチ手段とを具備したオイルパルスインパクト工具において、温度検出手段とスイッチ手段とを兼用するサーモスイッチを電動機の外面に配していることに特徴を有しており、上記温度検出手段とスイッチ手段としてサーモスイッチを用いたことや、スイッチ手段による電動機への給電の遮断時に作動する報知手段を具備していることに他の特徴を有している。
【0007】
【作用】
本発明によれば、発熱部である電動機またはインパクト装置の温度が所定温度以上になれば、これを検出した温度検出手段がスイッチ手段を作動させて電動機への給電を遮断するために、作動油漏れが生じる温度までインパクト装置の温度が上昇してしまうことがないのに加えて、温度検出手段とスイッチ手段として両者を兼用するサーモスイッチを用いたことで、部品数の削減を図ることができる
【0008】
また、スイッチ手段による電動機への給電の遮断時に作動する報知手段を設けたものでは、電動機の停止理由が温度上昇であることを使用者に知らせることができる。
【0009】
【実施例】
以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述すると、このオイルパルスインパクト工具は、本体1におけるハンドル部11に着脱自在に装着される蓄電池パック9内の蓄電池を電源とするとともに、トリガーハンドル15を引いた際にオンとなるスイッチユニット16を通じて給電される電動機20を回転動力源とする電池電源型の電動式のもので、そのハウジング10の後端部には、回転駆動源としての電動機20と、トリガーハンドル15の引き具合に応じた出力を出すスイッチユニット16内のスピードコントロールモジュールの出力に応じて、電動機20の回転数をデューティ比の変化で制御するドライブ回路Dとが納められている。
【0010】
そして上記ハウジング10の先端側のアルミニウムダイキャスト製のギアケース13内には、電動機20の回転を減速する減速機2と、オイルパルスインパクトを出力軸5に与える油圧式のインパクト装置3とが納められている。
減速機2は、電動機20の出力軸に固着されたサンギア21と、ハウジング10に固定されたモータ取付台12の内周面に固着されたインターナルギア22と、サンギア21とインターナルギア22とに噛み合う複数個の遊星ギア23、そして遊星ギア23を支持しているキャリア24とからなる遊星機構で構成されたもので、キャリア24の支持用の軸受28を内蔵している。
【0011】
油圧式のインパクト装置3は、筒状であり且つ内面の断面形状が図3に示すように「繭」型となっているライナー30と、ライナー30の外周を囲んでいるジャケット31と、ライナー30の両端を閉じているエンドプレート32,33、出力軸5におけるライナー30で囲まれた部分に取り付けられたベーン50,50、そしてライナー30の内部空間に充填された作動油とから構成されたもので、減速機2からの減速出力でライナー30が回転駆動される時、オイルパルスインパクトを出力軸5に与える。
【0012】
減速機2からインパクト装置3への動力伝達は、インパクト装置3のライナー30におけるエンドプレート33に、遊星機構2における遊星ギア23を支持している前記キャリア24を兼ねさせて、電動機20で回転駆動されるサンギア21によって駆動されるとともにインターナルギア22との噛み合いによって自転及び公転を行う遊星ギア23の公転がインパクト装置3のライナー30に伝達されるようにすることで行っている。これは、減速機2である遊星機構における出力部の遊星ギア23とキャリア24とを、電動機20と減速機2とからなるブロックにではなく、インパクト装置3側のブロックに配することにより、両ブロックを連結させて、モータ取付台12で保持されている軸受28で、キャリア24を兼ねたエンドプレート33に設けた軸部を支持する時、インパクト装置3側の遊星ギア23が、電動機20と減速機2側のブロックにおけるインターナルギア22とサンギア21との間に入り込んでこれらと噛み合うようにしているわけであり、上記両ブロックの回転伝達の連結部を、上記両ブロックの間に介在させるのではなく、一方のブロックにおける減速機2内に位置させることによって、軸方向全長を短くしているものである。
【0013】
上記ライナー30は、図3に示すように、その内面における長径方向に夫々シール面35,35を備えるとともに、短径方向で且つ長径方向の一方にずれたところに夫々シール面36,36を備えており、またライナー30内に位置する出力軸5は、ばね51によって外方へと突出する方向に付勢された上記一対のベーン50,50を備えるほか、外周面に一対のシール面56,56を備えている。ここで、両ベーン50,50は、出力軸5の中心を通る線上に並んでいるのに対して、両シール面56,56は、両ベーン50,50をつなぐ線と直交する方向で且つ一方のベーン50側に寄ったところに設けられており、出力軸5に対するライナー30の一回転中において、図3に示す位置関係にある時にのみ、ベーン50,50がシール面35,35に接するとともにシール面56,56がシール面36,36に接して、作動油が充填されたライナー30の内部空間を複数室に分離する。なお、図3中の左上の室と右下の室とはベーン50,50の配置部分を通じて連通していることから、3室に分離されていることになる。また、このように分離されるのはこの時点だけであり、たとえば図3に示す状態から出力軸5に対してライナー30が180°回転した状態においては、シール面36とシール面56とがずれた位置となる。
【0014】
今、電動機20の減速出力によってライナー30が回転する時、出力軸5に負荷がかかっておれば、ライナー30のみが回転することになるが、ベーン50及びシール面56を備えた出力軸5と、シール面35,36を備えたライナー30とが図3に示す位置関係に達する度に、ライナー30の回転が作動油を介して回転軸5に伝達される状態となり、出力軸5に力が加えられる。
【0015】
ところで、図3に示す位置関係になった時、ベーン50の両側に位置する2室のうち、一方はライナー30の回転で容積が小さくなり、他方は容積が大きくなるために、前者の室内の作動油は高圧HPとなり、後者の室内の作動油は低圧LPとなる。そして、高圧HPとなった作動油の圧力値は、出力軸5でボルト締めやねじ締めを行う時の締め付けトルクに応じたものとなるために、作動油の圧力値を検知することによってトルクコントロールを行えることになる。
【0016】
ライナー30内に配されているとともに、ライナー30における2つのシール面36,36のうちの一方の両側に形成されている一対のポート37,38間を連通させることになる環状の溝41を外周面に備えた図3中の調整軸40は、作動油の圧力検知用リリーフバルブ(図示せず)等と共に上記トルクコントロール用に設けられたものであるが、トルクコントロール機構についてはここでは説明を省略する。
【0017】
そして、このオイルパルスインパクト工具においては、前記電動機20の外面に温度検出手段とスイッチ手段とを兼ねたサーモスイッチTSを配設してある。図4に示すように、電動機20への給電路に直列に挿入されたサーモスイッチTSは、連続作業等で電動機20の温度が所定温度以上に上昇した時、オフとなって電動機20を停止させる。電動機20とインパクト装置3とは熱的につながっている上に各発熱に相関状態があるために、インパクト装置3に作動油漏れが生じる前に電動機20を停止させることができるものである。また、この時にはサーモスイッチTSと並列に接続された発光ダイオードからなる報知部LEDが点灯して、この異常を報知するとともに、電動機20の停止理由が温度上昇であることを報知する。報知部LEDに2つの発光ダイオードを配しているのは、電動機20の正逆転に対応するためである。
【0018】
ここでは、サーモスイッチTSを電動機20の外面に配して電動機20の温度を検出するようにしているが、インパクト装置3の外面に配して、インパクト装置3の温度を直接検出するようにしてもよいのはもちろんであり、更には電動機20やインパクト装置3に熱的につながっている部分で温度を間接的に検出するものであってもよい。また、温度検出手段とスイッチ手段とを兼ねているサーモスイッチTSに代えて、温度センサーとリレーやスイッチング素子を用いてもよい。報知部LEDにしても、ブザーのような他の報知手段を用いてもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、発熱部である電動機またはインパクト装置の温度が所定温度以上になれば、これを検出した温度検出手段がスイッチ手段を作動させて電動機への給電を遮断するために、作動油漏れが生じる温度までインパクト装置の温度が上昇してしまうことを未然に防ぐことができて、作動油漏れに起因する問題を排除することができるとともに、冷却ファンを別途設けた場合のように、大型化や電池電源の場合に特に問題となる消費電力の増大が生じることもなく、さらに、上記温度検出手段とスイッチ手段として両者を兼用するサーモスイッチを用いたことで、部品数の削減によって組立性の向上やコストダウンを図ることができる。
【0020】
また、スイッチ手段による電動機への給電の遮断時に作動する報知手段を設けたものでは、電動機の停止理由が温度上昇であることを使用者に知らせることができるために、使用者が戸惑うことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の縦断面図である。
【図2】同上のインパクト装置の縦断面図である。
【図3】同上のインパクト装置の横断面図である。
【図4】同上の温度対策部を示す概略回路図である。
【符号の説明】
2 減速機
3 インパクト装置
10 ハウジング
20 電動機
TS サーモスイッチ
Claims (3)
- 回転駆動源としての電動機と、その回転出力で作動する油圧式で前記電動機と熱的につながっているインパクト装置とを備えたオイルパルスインパクト工具であって、発熱部である電動機またはインパクト装置の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段で検出される温度が所定温度以上となる時に電動機への給電を遮断するスイッチ手段とを具備したオイルパルスインパクト工具において、温度検出手段とスイッチ手段とを兼用するサーモスイッチを電動機の外面に配していることを特徴とするオイルパルスインパクト工具。
- スイッチ手段による電動機への給電の遮断時に作動する報知手段を具備していることを特徴とする請求項1記載のオイルパルスインパクト工具。
- 報知手段は電動機への給電路に直列に挿入されたスイッチ手段と並列に接続されていることを特徴とする請求項2記載のオイルパルスインパクト工具。
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Family Applications (1)
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JP00444695A Expired - Lifetime JP3574876B2 (ja) | 1995-01-13 | 1995-01-13 | オイルパルスインパクト工具 |
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- 1995-01-13 JP JP00444695A patent/JP3574876B2/ja not_active Expired - Lifetime
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