JP3574740B2 - オプトデバイス封止用透明樹脂組成物及びオプトデバイス封止方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はLED、フォトセンサー、レーザー等のオプトデバイスや一般光学材料に用いられる封止用透明樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは硬化前の樹脂組成物の取り扱いが常温で行なえることを特徴とするオプトデバイス封止用透明樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オプトデバイスの分野は目覚ましい発展を遂げてきている。中でもLEDはエレクトロニクス分野における機能表示材料として重要な役割を果たすと共に、部品産業としても急成長している。新しい結晶成長技術の開発による高輝度化の実現により、今後は光源としての利用も大いに期待されている。
その一方で生産技術の革新による製造コスト低減も想像を絶するスピードで推進されつつある。またこれと並行して構成各材料に対する見直しも急ピッチで進められている。
オプトデバイス封止用透明樹脂組成物としては従来から、エポキシ樹脂をBステージの状態で反応凍結したものが用いられている。これは文字通り反応凍結であり、タブレット等の形状に加工された後、使用される前日までは凍結して保管されている。このような取り扱いをしないと反応が徐々に進行し、性能が変動したり、ゲル化により成形性が大幅に低下してしまうからである。冷凍されたタブレットは使用前日に湿度調整された雰囲気に取り出し、吸湿しないよう注意深く常温に戻された後、成形加工の工程に用いられる。このような細心の注意を払ってもなお、含有水分による成形物への気泡の混入が避けられず、製品外観の全数検査が行なわれているのが実情である。
【0003】
オプトデバイス封止用透明樹脂組成物を冷凍保管しなければならないというのは、近年俄かに盛んになった生産のアジア地区への生産移転において、移送、保管上重大な問題点となっている。すなわち冷凍コンテナを用いた原料樹脂組成物の現地への輸送と、現地での保管は製造メーカーに過重な負担を強いることとなっている。
【0004】
一方、オプトデバイス用として、またオプトデバイス以外の光学用樹脂として最近、熱可塑性樹脂を検討する動きも出てきている。熱可塑性樹脂の優れた成形性、例えばインジェクション成形による量産化とコストダウンが期待しうるからである。しかしながら熱可塑性樹脂を用いた製品は当然のことながら耐熱性は全く期待できず、例えば半田ディップや半田リフロー工程に耐えることができず、生産の自動化プロセスから外して組み込むといった繁雑さ、コスト上昇が避けられない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はエポキシ樹脂とは全く別の視点と別の硬化機構に基づく、常温で輸送、保管が可能な熱硬化性樹脂をベースとするオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を工業的に提供することを目的とする。
上記のような観点からの論議を進めてみると、縮合反応を中断するといった不自然な形態に依存してポリマー合成を進めるのではなく、常温では安定で、高温では重合が瞬時に進行するラジカル重合形式による方がずっとオプトデバイス封止用透明樹脂組成物には適した反応形式であることが分かる。
しかしながら、こうした反応形態で用いられるラジカル重合形式のベース樹脂はいまだ実用化されていない。耐熱性は一般には高い結晶性によって実現されるが、これは透明性とは相容れない性質であるためである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは以上述べてきたような仮説にもとずき、最適なポリマー骨格を求めて鋭意試作検討を行なった。多くの試作品の性能評価を行なった結果、特定の分子骨格を有する不飽和ポリエステル樹脂と、フタル酸ジアリルとを複合したオプトデバイス封止用透明樹脂組成物が本発明の目的に合致することを見いだし本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A)脂環式多価アルコール、脂環式飽和多塩基酸及び不飽和多塩基酸からなる不飽和ポリエステル樹脂、(B)フタル酸ジアリル、ならびに(C)有機過酸化物とからなることを特徴とするオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂が非結晶性であって、50〜120℃の軟化点を有することを特徴とする、上記のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
さらに本発明は、(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂が、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸を主成分として縮重合してなることを特徴とする、上記のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
さらにまた本発明は、(B)成分のフタル酸ジアリルがテレフタル酸ジアリルであることを特徴とする、上記のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
そしてまた本発明は、樹脂組成物が0℃〜70℃の軟化点を有することを特徴とする、上記に記載されるオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂は、従来実施されている公知の方法で合成することが可能であるが、次のような方法で合成するのがゲル化の危険性を少なくする点で特に好適である。即ち脂環式多価アルコールと脂環式飽和多塩基酸及び必要に応じてその他第三成分を、脂環式多価アルコールが過剰の条件下で予め縮合を行ない、充分に酸価を低下せしめる。次いで不飽和多塩基酸、本発明においてはフマル酸または無水マレイン酸を加えて、酸価が一定値以下になるまで縮合反応を完結せしめる。
【0008】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する原料のうち、脂環式多価アルコールとしては次のようなものを例示することができる。
シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、水素化ジフェニルエチレンオキサイド付加物、ノルボルナンジアルコール、トリシクロデカンジメタノール。
【0009】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する原料のうち、脂環式多塩基酸としては次のようなものを例示することができる。
シクロヘキサンジカルボン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水クロレンディック酸。
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する原料のうち、不飽和多塩基酸としては、好適にはフマル酸が用いられるが、一般的に使用されているように、シス型の無水マレイン酸を用いて、高温でのフマル酸への転移を利用することも可能である。
【0010】
本発明において、(A)成分の不飽和ポリエステルを構成する飽和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸との総和における不飽和多塩基酸成分であるフマル酸また無水マレイン酸の比率は、10モル%以上、70モル%未満であることが望ましく、より好ましくは20モル%以上、60モル%未満である。フマル酸の比率が10モル%未満では本発明の透明モールディングコンパウンドの硬化後の機械的強度が不満足となる。また70モル%以上となると硬化の透明性が本発明の目的に達しない。
【0011】
本発明において、(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する成分として、上述の各成分以外に各種の第三成分を共縮合して用いることも可能である。例えば炭素原子数で6〜12の範囲のジカルボン酸またはグリコールの併用は、樹脂の靭性を向上せしめるのに極めて有効であるが、反面併用量が多くなると本発明の目的とする透明性と高融点化とを著しく損なうことになるため、その使用は必要最小限に止めるべきである。
【0012】
(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂は数平均分子量が2500以上が好ましく、より望ましくは3000以上である。(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量が2500未満では本発明の目的とする透明樹脂の機械的強度が不満足となる。
(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂は非結晶性であって、その融点は50℃〜120℃が好ましく、より望ましくは65℃〜90℃である。非結晶性であることは透明性の実現には不可欠である。また(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂の融点が50℃未満では、本発明の目的とするコンパウンドの高軟化点化、従って保存安定性が実現されないだけでなく、硬化後の成形体の耐熱性も期待できない。また(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂の融点が120℃以上では、フタル酸ジアリルとの複合化により軟化点は低下するとはいえ、有機過酸化物との複合化に際して高温での加工を行なう必要があり、このとき有機過酸化物の一部分解に伴うゲル化の確率が高くなり危険である。
本発明における(B)成分のフタル酸ジアリルにはオルソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル3タイプがあるが、いずれのタイプも単独、もしくは複合して用いることはできるが、特に好ましくはテレフタル酸ジアリルであり優れた耐熱性が実現できる。
【0013】
本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の重量%は5〜50重量%、好ましくは10〜3重量%である。(B)成分が5重量%未満では本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物の硬化性が不十分であり、硬化後の強度、耐熱性が不満足となる。50重量%を超えると、やはり硬化性が不十分となり、強度、耐熱性ともに本発明の目的にとって不満足なものとなる。
【0014】
本発明の硬化体が良好な耐熱性、透明性を示す熱硬化性樹脂組成物の軟化点は0℃以上、70℃以下が望ましく、より好ましくは20℃以上60℃以下である。硬化体が透明性良好な熱硬化性樹脂組成物の融点が20℃未満であると、夏期の保存に特段の注意を払う必要が生じてくる。また80℃を超えると有機過酸化物との複合行程に特段の注意を払う必要が生じてくる。室温以下の軟化点を有する硬化体が透明性良好な熱硬化性樹脂組成物の輸送・保管に際しては特願平9−358976に開示されているような技術を利用するのが実用的である。
【0015】
本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を硬化させるには従来不飽和ポリエステルで用いられている硬化方法、例えばUV硬化等を採用しうるが、特に有機過酸化物を用いて加熱硬化するのが簡便である。有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを用いることができ、具体的には以下のようなものが例示しうる。
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン。
有機過酸化物の使用量は樹脂組成物に対して0.5〜4重量%程度の範囲が好ましい。
【0016】
本発明の透明モールディングコンパウンドには、さらに下記に例示するようなアクリルモノマー、オリゴマーおよびその他のビニル化合物を併用してさらに硬化性、強度その他の性質を改良することが可能である。ただし、それらの採用は本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物の融点を低下させるため、その併用量は必要最小限に止める様な配慮が不可欠である。
(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート。
本発明には同様の効果を求めてウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート類も使用可能である。
その他のビニルモノマーまたはアリルモノマー;
スチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート。
【0017】
本発明の透明モールディングコンパウンドを得るには、各成分をロール、ニーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー等の一般的に知られている混合用機器を使用し、なるべく均一に混合させるのが望ましい。複合時には、先ず最も融点の高い不飽和ポリエステル樹脂から混練し、これに温度を下げながらビニルエステル樹脂を添加し、最後に有機過酸化物を加えて混練するのが好ましい。得られた透明モールディングコンパウンドはペレット、タブレット等の形状にして最終的なの成形工程に供することができる。
本発明の透明モールディングコンパウンドを用いた成形方法としては、インジェクション成形、トランスファー成形、プレス成形など一般的に知られている成形方法を用いて所望の形状に賦形するとともに加熱して、有機過酸化物が生成するラジカルにより、三次元硬化せしめることができる。
【0018】
硬化温度としては、有機過酸化物の種類に応じて最適温度を選定する。一例を挙げてみると、有機過酸化物として、ジキュミルパーオキサイドを使用するとき、150℃で5分間キュアーして脱型し、170℃で1時間アフターキュアーすることで完全な硬化が実施しうる。また例えば165℃、5分間型内に止めることでアフターキュアを省略しても差し支えない程度に硬化を完結せしめることも可能である。
なお、本発明の透明モールディングコンパウンドには硬度、耐久性、耐候性、耐水性、防蝕性性等を改良するために前述の添加剤以外に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、イオン捕捉剤等の添加剤を加えて更に一層の性能改善を図ることもできる。
本発明の透明モールディングコンパウンドはまた、材料的にも容易かつ大量に入手しうるもので構成されており極めて実用性が高いといえる。
【0019】
【作用】
本発明の方法により硬化前の輸送、保管等の取扱いが常温で可能となり、迅速な硬化性と硬化後の透明性と高度な耐熱性が実現できた理由は次のようなところにあると本発明者らは考えている。
不飽和ポリエステル樹脂の骨格構造を脂環式化合物を主体とする骨格を選定したことにより、非結晶性であって、高い耐熱性とが併せ実現できたこと、この樹脂がフタル酸ジアリルと極めて良好な相溶性と共重合性とを有することを見い出したこと、またフタル酸ジアリルと複合することで、硬化性を高めるとともに透明性、耐熱性を更に向上せしめることが可能となったことである。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例になんら限定されるものではない。
[不飽和ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた1リットルのフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノール 173.4g(1.2モル)、1,4−シクロヘキサンジカルポン酸 206.4g(1.2モル)、水素化ビスフェノールA 192g(0.8モル)、亜燐酸 3.0gを加え220℃で3時間エステル化反応を行なった。次に温度を170℃まで下げ、フマル酸 92.8g(0.8モル)を追加し、更に温度170〜190℃でエステル化を4時間続け、酸価20となった段階で金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られた生成物は無色透明で、GPCによる測定では、数平均分子量3500、重量平均分子量7100、またDSC測定による融点は78.5℃であった。この樹脂を(A−1)とする。
【0021】
[不飽和ポリエステル(A−2)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物 384g(1.20モル)、水素化ビスフェノールA 188.8g(0.80モル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 189.4g(1.10モル)、アジピン酸 14.6g(0.10モル)、亜燐酸1.2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら220℃で5時間反応を行なった。酸価0となった段階で、温度を170℃に下げフマル酸 92.8g(0.80モル)を加え190℃に昇温し8時間反応を行った。酸価8.5となった段階で反応を終了し、フラスコ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させたところ無色透明な樹脂が得られた。GPCによる測定では、数平均分子量4100、重量平均分子量7880、またDSC測定による軟化点は84℃であった。この樹脂を(A−2)とする。
【0022】
(実施例1)
ニーダーを用いて(A−1)の不飽和ポリエステル100重量部を105℃で溶融し、ついでテレフタル酸ジアリル20重量部を添加して混練しながら80℃まで冷却し、ジビニルベンゼン3重量部、ジクミルパーオキサイド2重量部を加えて更に混練した。この樹脂組成物を複数の内径35mmのポリプロピレン製容器内に各40gを入れて放冷してタブレット上の形状とした。DSCで測定したこのものの軟化点は48℃であった。
成形に際しては容器から樹脂組成物を取り出して50℃に加温し、70トンプレスを使用して、押し込み圧力は120kg/cm2、金型温度は165℃で、GaAlAsLEDを5分間トランスファー成形により封止したところ、強靱で透明な一体成形物が得られた。
上記の上記試作品を温度85℃、湿度85%RHの雰囲気において1電流20mAで1000時間の高温硬質連続通電試験を行った。その結果、輝度残存率は88%と良好な性能維持が確認された。
【0023】
(実施例2)
ニーダーを用いて(A−2)の不飽和ポリエステル100重量部を105℃で溶融し、ついでテレフタル酸ジアリル15重量部とイソタタル酸ジアリル10重量部を添加して混練りしながら80℃まで冷却し、テトラブロムビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート5重量部、ターシャリーブチルパーベンゾエート2重量部を加えて更に混練した。この樹脂組成物を複数の内径35mmのポリプロピレン製容器内に各40gを入れて放冷してタブレット上の形状とした。DSCで測定したこのものの軟化点は40℃であった。
成形に際しては容器から樹脂組成物を取り出して45℃に加温し、70トンプレスを使用して、押し込み圧力は120kg/cm2、金型温度は155℃で、GaAlAsLEDを5分間トランスファー成形により封止したところ、強靱で透明な一体成形物が得られた。
上記の上記試作品を温度85℃、湿度85%RHの雰囲気において1電流20mAで1000時間の高温硬質連続通電試験を行った。その結果、輝度残存率は85%と良好な性能維持が確認された。
【0024】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したので、硬化前の輸送、保管等の取扱いが常温で可能であり、迅速な硬化性と硬化後の透明性と高度な耐熱性を有するオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はLED、フォトセンサー、レーザー等のオプトデバイスや一般光学材料に用いられる封止用透明樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは硬化前の樹脂組成物の取り扱いが常温で行なえることを特徴とするオプトデバイス封止用透明樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オプトデバイスの分野は目覚ましい発展を遂げてきている。中でもLEDはエレクトロニクス分野における機能表示材料として重要な役割を果たすと共に、部品産業としても急成長している。新しい結晶成長技術の開発による高輝度化の実現により、今後は光源としての利用も大いに期待されている。
その一方で生産技術の革新による製造コスト低減も想像を絶するスピードで推進されつつある。またこれと並行して構成各材料に対する見直しも急ピッチで進められている。
オプトデバイス封止用透明樹脂組成物としては従来から、エポキシ樹脂をBステージの状態で反応凍結したものが用いられている。これは文字通り反応凍結であり、タブレット等の形状に加工された後、使用される前日までは凍結して保管されている。このような取り扱いをしないと反応が徐々に進行し、性能が変動したり、ゲル化により成形性が大幅に低下してしまうからである。冷凍されたタブレットは使用前日に湿度調整された雰囲気に取り出し、吸湿しないよう注意深く常温に戻された後、成形加工の工程に用いられる。このような細心の注意を払ってもなお、含有水分による成形物への気泡の混入が避けられず、製品外観の全数検査が行なわれているのが実情である。
【0003】
オプトデバイス封止用透明樹脂組成物を冷凍保管しなければならないというのは、近年俄かに盛んになった生産のアジア地区への生産移転において、移送、保管上重大な問題点となっている。すなわち冷凍コンテナを用いた原料樹脂組成物の現地への輸送と、現地での保管は製造メーカーに過重な負担を強いることとなっている。
【0004】
一方、オプトデバイス用として、またオプトデバイス以外の光学用樹脂として最近、熱可塑性樹脂を検討する動きも出てきている。熱可塑性樹脂の優れた成形性、例えばインジェクション成形による量産化とコストダウンが期待しうるからである。しかしながら熱可塑性樹脂を用いた製品は当然のことながら耐熱性は全く期待できず、例えば半田ディップや半田リフロー工程に耐えることができず、生産の自動化プロセスから外して組み込むといった繁雑さ、コスト上昇が避けられない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はエポキシ樹脂とは全く別の視点と別の硬化機構に基づく、常温で輸送、保管が可能な熱硬化性樹脂をベースとするオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を工業的に提供することを目的とする。
上記のような観点からの論議を進めてみると、縮合反応を中断するといった不自然な形態に依存してポリマー合成を進めるのではなく、常温では安定で、高温では重合が瞬時に進行するラジカル重合形式による方がずっとオプトデバイス封止用透明樹脂組成物には適した反応形式であることが分かる。
しかしながら、こうした反応形態で用いられるラジカル重合形式のベース樹脂はいまだ実用化されていない。耐熱性は一般には高い結晶性によって実現されるが、これは透明性とは相容れない性質であるためである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは以上述べてきたような仮説にもとずき、最適なポリマー骨格を求めて鋭意試作検討を行なった。多くの試作品の性能評価を行なった結果、特定の分子骨格を有する不飽和ポリエステル樹脂と、フタル酸ジアリルとを複合したオプトデバイス封止用透明樹脂組成物が本発明の目的に合致することを見いだし本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A)脂環式多価アルコール、脂環式飽和多塩基酸及び不飽和多塩基酸からなる不飽和ポリエステル樹脂、(B)フタル酸ジアリル、ならびに(C)有機過酸化物とからなることを特徴とするオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂が非結晶性であって、50〜120℃の軟化点を有することを特徴とする、上記のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
さらに本発明は、(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂が、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸を主成分として縮重合してなることを特徴とする、上記のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
さらにまた本発明は、(B)成分のフタル酸ジアリルがテレフタル酸ジアリルであることを特徴とする、上記のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
そしてまた本発明は、樹脂組成物が0℃〜70℃の軟化点を有することを特徴とする、上記に記載されるオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂は、従来実施されている公知の方法で合成することが可能であるが、次のような方法で合成するのがゲル化の危険性を少なくする点で特に好適である。即ち脂環式多価アルコールと脂環式飽和多塩基酸及び必要に応じてその他第三成分を、脂環式多価アルコールが過剰の条件下で予め縮合を行ない、充分に酸価を低下せしめる。次いで不飽和多塩基酸、本発明においてはフマル酸または無水マレイン酸を加えて、酸価が一定値以下になるまで縮合反応を完結せしめる。
【0008】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する原料のうち、脂環式多価アルコールとしては次のようなものを例示することができる。
シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、水素化ジフェニルエチレンオキサイド付加物、ノルボルナンジアルコール、トリシクロデカンジメタノール。
【0009】
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する原料のうち、脂環式多塩基酸としては次のようなものを例示することができる。
シクロヘキサンジカルボン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水クロレンディック酸。
本発明における(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する原料のうち、不飽和多塩基酸としては、好適にはフマル酸が用いられるが、一般的に使用されているように、シス型の無水マレイン酸を用いて、高温でのフマル酸への転移を利用することも可能である。
【0010】
本発明において、(A)成分の不飽和ポリエステルを構成する飽和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸との総和における不飽和多塩基酸成分であるフマル酸また無水マレイン酸の比率は、10モル%以上、70モル%未満であることが望ましく、より好ましくは20モル%以上、60モル%未満である。フマル酸の比率が10モル%未満では本発明の透明モールディングコンパウンドの硬化後の機械的強度が不満足となる。また70モル%以上となると硬化の透明性が本発明の目的に達しない。
【0011】
本発明において、(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂を構成する成分として、上述の各成分以外に各種の第三成分を共縮合して用いることも可能である。例えば炭素原子数で6〜12の範囲のジカルボン酸またはグリコールの併用は、樹脂の靭性を向上せしめるのに極めて有効であるが、反面併用量が多くなると本発明の目的とする透明性と高融点化とを著しく損なうことになるため、その使用は必要最小限に止めるべきである。
【0012】
(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂は数平均分子量が2500以上が好ましく、より望ましくは3000以上である。(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量が2500未満では本発明の目的とする透明樹脂の機械的強度が不満足となる。
(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂は非結晶性であって、その融点は50℃〜120℃が好ましく、より望ましくは65℃〜90℃である。非結晶性であることは透明性の実現には不可欠である。また(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂の融点が50℃未満では、本発明の目的とするコンパウンドの高軟化点化、従って保存安定性が実現されないだけでなく、硬化後の成形体の耐熱性も期待できない。また(A)成分の不飽和ポリエステル樹脂の融点が120℃以上では、フタル酸ジアリルとの複合化により軟化点は低下するとはいえ、有機過酸化物との複合化に際して高温での加工を行なう必要があり、このとき有機過酸化物の一部分解に伴うゲル化の確率が高くなり危険である。
本発明における(B)成分のフタル酸ジアリルにはオルソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル3タイプがあるが、いずれのタイプも単独、もしくは複合して用いることはできるが、特に好ましくはテレフタル酸ジアリルであり優れた耐熱性が実現できる。
【0013】
本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の重量%は5〜50重量%、好ましくは10〜3重量%である。(B)成分が5重量%未満では本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物の硬化性が不十分であり、硬化後の強度、耐熱性が不満足となる。50重量%を超えると、やはり硬化性が不十分となり、強度、耐熱性ともに本発明の目的にとって不満足なものとなる。
【0014】
本発明の硬化体が良好な耐熱性、透明性を示す熱硬化性樹脂組成物の軟化点は0℃以上、70℃以下が望ましく、より好ましくは20℃以上60℃以下である。硬化体が透明性良好な熱硬化性樹脂組成物の融点が20℃未満であると、夏期の保存に特段の注意を払う必要が生じてくる。また80℃を超えると有機過酸化物との複合行程に特段の注意を払う必要が生じてくる。室温以下の軟化点を有する硬化体が透明性良好な熱硬化性樹脂組成物の輸送・保管に際しては特願平9−358976に開示されているような技術を利用するのが実用的である。
【0015】
本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を硬化させるには従来不飽和ポリエステルで用いられている硬化方法、例えばUV硬化等を採用しうるが、特に有機過酸化物を用いて加熱硬化するのが簡便である。有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを用いることができ、具体的には以下のようなものが例示しうる。
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサン。
有機過酸化物の使用量は樹脂組成物に対して0.5〜4重量%程度の範囲が好ましい。
【0016】
本発明の透明モールディングコンパウンドには、さらに下記に例示するようなアクリルモノマー、オリゴマーおよびその他のビニル化合物を併用してさらに硬化性、強度その他の性質を改良することが可能である。ただし、それらの採用は本発明のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物の融点を低下させるため、その併用量は必要最小限に止める様な配慮が不可欠である。
(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート。
本発明には同様の効果を求めてウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート類も使用可能である。
その他のビニルモノマーまたはアリルモノマー;
スチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート。
【0017】
本発明の透明モールディングコンパウンドを得るには、各成分をロール、ニーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー等の一般的に知られている混合用機器を使用し、なるべく均一に混合させるのが望ましい。複合時には、先ず最も融点の高い不飽和ポリエステル樹脂から混練し、これに温度を下げながらビニルエステル樹脂を添加し、最後に有機過酸化物を加えて混練するのが好ましい。得られた透明モールディングコンパウンドはペレット、タブレット等の形状にして最終的なの成形工程に供することができる。
本発明の透明モールディングコンパウンドを用いた成形方法としては、インジェクション成形、トランスファー成形、プレス成形など一般的に知られている成形方法を用いて所望の形状に賦形するとともに加熱して、有機過酸化物が生成するラジカルにより、三次元硬化せしめることができる。
【0018】
硬化温度としては、有機過酸化物の種類に応じて最適温度を選定する。一例を挙げてみると、有機過酸化物として、ジキュミルパーオキサイドを使用するとき、150℃で5分間キュアーして脱型し、170℃で1時間アフターキュアーすることで完全な硬化が実施しうる。また例えば165℃、5分間型内に止めることでアフターキュアを省略しても差し支えない程度に硬化を完結せしめることも可能である。
なお、本発明の透明モールディングコンパウンドには硬度、耐久性、耐候性、耐水性、防蝕性性等を改良するために前述の添加剤以外に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、イオン捕捉剤等の添加剤を加えて更に一層の性能改善を図ることもできる。
本発明の透明モールディングコンパウンドはまた、材料的にも容易かつ大量に入手しうるもので構成されており極めて実用性が高いといえる。
【0019】
【作用】
本発明の方法により硬化前の輸送、保管等の取扱いが常温で可能となり、迅速な硬化性と硬化後の透明性と高度な耐熱性が実現できた理由は次のようなところにあると本発明者らは考えている。
不飽和ポリエステル樹脂の骨格構造を脂環式化合物を主体とする骨格を選定したことにより、非結晶性であって、高い耐熱性とが併せ実現できたこと、この樹脂がフタル酸ジアリルと極めて良好な相溶性と共重合性とを有することを見い出したこと、またフタル酸ジアリルと複合することで、硬化性を高めるとともに透明性、耐熱性を更に向上せしめることが可能となったことである。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例になんら限定されるものではない。
[不飽和ポリエステル樹脂(A−1)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた1リットルのフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノール 173.4g(1.2モル)、1,4−シクロヘキサンジカルポン酸 206.4g(1.2モル)、水素化ビスフェノールA 192g(0.8モル)、亜燐酸 3.0gを加え220℃で3時間エステル化反応を行なった。次に温度を170℃まで下げ、フマル酸 92.8g(0.8モル)を追加し、更に温度170〜190℃でエステル化を4時間続け、酸価20となった段階で金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られた生成物は無色透明で、GPCによる測定では、数平均分子量3500、重量平均分子量7100、またDSC測定による融点は78.5℃であった。この樹脂を(A−1)とする。
【0021】
[不飽和ポリエステル(A−2)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた1リットルのフラスコに、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物 384g(1.20モル)、水素化ビスフェノールA 188.8g(0.80モル)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 189.4g(1.10モル)、アジピン酸 14.6g(0.10モル)、亜燐酸1.2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら220℃で5時間反応を行なった。酸価0となった段階で、温度を170℃に下げフマル酸 92.8g(0.80モル)を加え190℃に昇温し8時間反応を行った。酸価8.5となった段階で反応を終了し、フラスコ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させたところ無色透明な樹脂が得られた。GPCによる測定では、数平均分子量4100、重量平均分子量7880、またDSC測定による軟化点は84℃であった。この樹脂を(A−2)とする。
【0022】
(実施例1)
ニーダーを用いて(A−1)の不飽和ポリエステル100重量部を105℃で溶融し、ついでテレフタル酸ジアリル20重量部を添加して混練しながら80℃まで冷却し、ジビニルベンゼン3重量部、ジクミルパーオキサイド2重量部を加えて更に混練した。この樹脂組成物を複数の内径35mmのポリプロピレン製容器内に各40gを入れて放冷してタブレット上の形状とした。DSCで測定したこのものの軟化点は48℃であった。
成形に際しては容器から樹脂組成物を取り出して50℃に加温し、70トンプレスを使用して、押し込み圧力は120kg/cm2、金型温度は165℃で、GaAlAsLEDを5分間トランスファー成形により封止したところ、強靱で透明な一体成形物が得られた。
上記の上記試作品を温度85℃、湿度85%RHの雰囲気において1電流20mAで1000時間の高温硬質連続通電試験を行った。その結果、輝度残存率は88%と良好な性能維持が確認された。
【0023】
(実施例2)
ニーダーを用いて(A−2)の不飽和ポリエステル100重量部を105℃で溶融し、ついでテレフタル酸ジアリル15重量部とイソタタル酸ジアリル10重量部を添加して混練りしながら80℃まで冷却し、テトラブロムビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート5重量部、ターシャリーブチルパーベンゾエート2重量部を加えて更に混練した。この樹脂組成物を複数の内径35mmのポリプロピレン製容器内に各40gを入れて放冷してタブレット上の形状とした。DSCで測定したこのものの軟化点は40℃であった。
成形に際しては容器から樹脂組成物を取り出して45℃に加温し、70トンプレスを使用して、押し込み圧力は120kg/cm2、金型温度は155℃で、GaAlAsLEDを5分間トランスファー成形により封止したところ、強靱で透明な一体成形物が得られた。
上記の上記試作品を温度85℃、湿度85%RHの雰囲気において1電流20mAで1000時間の高温硬質連続通電試験を行った。その結果、輝度残存率は85%と良好な性能維持が確認された。
【0024】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したので、硬化前の輸送、保管等の取扱いが常温で可能であり、迅速な硬化性と硬化後の透明性と高度な耐熱性を有するオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を提供することができる。
Claims (4)
- (A)脂環式多価アルコール、脂環式飽和多塩基酸及び不飽和多塩基酸からなる不飽和ポリエステル樹脂であって、該樹脂が非結晶性であり、且つ50〜120℃の軟化点を有する不飽和ポリエステル樹脂、(B)フタル酸ジアリル、ならびに(C)有機過酸化物とからなるオプトデバイス封止用透明樹脂組成物において、該樹脂組成物が40℃〜70℃の軟化点を有することを特徴とするオプトデバイス封止用透明樹脂組成物。
- (A)成分の不飽和ポリエステル樹脂が、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸を主成分として縮重合してなることを特徴とする請求項1に記載のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物。
- (B)成分のフタル酸ジアリルがテレフタル酸ジアリルであることを特徴とする請求項1に記載のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物。
- 請求項1に記載のオプトデバイス封止用透明樹脂組成物を加熱して溶融し、これを容器中で冷却してタブレットとし、このタブレットを封止成形に用いることを特徴とするオプトデバイス封止方法。
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