JP3573555B2 - 乳母車の胴ガードの取付け構造 - Google Patents

乳母車の胴ガードの取付け構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、乳母車の座席に関連して設けられる胴ガードの取付け構造に関するもので、特に、胴ガードを着脱可能とする取付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乳母車には、多くの場合、その座席の両側に配置される1対の手摺の前方端間を連結するように、胴ガードが設けられている。特に、乳母車に乗せられる乳幼児が小さい場合、胴ガードを設けて、乳幼児の胴まわりを保護することが推奨される。
【0003】
胴ガードは、通常、手摺に対して着脱可能に取り付けられていて、乳幼児が成長して大きくなったときには、取り外せるように構成されている。このように着脱可能とされた胴ガードが、たとえば、特公昭58−32068号公報に記載されている。
【0004】
この特公昭58−32068号公報に記載された胴ガードは、これを手摺に取り付けるためにピンが用いられ、胴ガードと手摺とを貫通するようにピンを挿入することにより、胴ガードの取付け状態が得られ、他方、ピンを抜くことにより、胴ガードが手摺から取り外されるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の胴ガードは、これを取り外すにあたり、ピンを抜く操作が比較的面倒であり、また、これを取り付けるに際しても、ピンを挿入する操作が比較的面倒である。もっとも、乳幼児の成長に合わせて、今まで使用していた胴ガードを取り外す場合には、そのための操作がたとえ面倒であっても、取外しおよび取付けの頻度がそれほど高くないので、ほとんど問題となることはない。
【0006】
これに対して、乳母車の座席に乳幼児を乗せ降ろしするときには、胴ガードを取り外した状態としておく方が容易にこれを行なえるので、胴ガードの着脱可能な構成は、このように乳幼児を乗せ降ろしするときに取り外し、その後に、再び取り付けるようにするために用いられることもある。この場合には、特に、胴ガードの取付けおよび取外しを楽に行なえることが望まれる。
【0007】
そこで、この発明の目的は、取付けおよび取外し操作の楽な乳母車の胴ガードの取付け構造を提供しようとすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、座席の両側に配置される1対の手摺の前方端間を連結するように取り付けられる、乳母車の胴ガードの取付け構造に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0009】
すなわち、この発明では、1対の手摺の各前方端には、側面に係合凹部が形成された突起がそれぞれ設けられる。この突起は断面円形であり、係合凹部がこの突起の周面を周回するように形成されている。他方、胴ガードは、その中央部において、折り曲げ可能であり、かつ、その各端において、上述の突起を着脱可能に受け入れる筒状の端部を有する構造とされる。この端部内には、突起を取り囲むリング状係止具が突起の側面に対して交差する方向に移動可能に設けられる。このリング状係止具は、その移動の一方終端において係合凹部に係合し、かつその移動の他方終端において係合凹部から脱出するように構成されるとともに、前記一方終端へ移動するように弾性体により付勢される。さらに、リング状係止具には、弾性体による付勢に抗して、これを前記一方終端から前記他方終端へ移動操作するための操作部が胴ガードの端部から露出するように設けられている。
【0010】
さらに、この発明では、突起は、手摺に対して突出した状態と引っ込んだ状態とを選択的にとるように設けられる。そして、突起を手摺に対して突出する状態に付勢するための第2の弾性体、および第2の弾性体による付勢に抗して突起を引っ込んだ状態に係合して維持しかつ係合解除が手動操作可能な係合部材がさらに設けられる。
【0011】
【発明の効果】
この発明によれば、胴ガードの端部から露出する操作部を操作して、リング状係止具を弾性体による付勢に抗して移動させることにより、これが係合凹部から脱出し、胴ガードを手摺から取り外すことができる状態となる。他方、リング状係止具を弾性体による付勢に抗して移動させながら、胴ガードの端部内に突起を受け入れ、リング状係止具を係合凹部に係合させれば、胴ガードの取付け状態を得ることができる。
【0012】
このように、胴ガードの着脱のための操作は簡単であり、胴ガードの着脱を迅速に行なうことができる。したがって、頻繁にこの操作を繰り返すことも問題なく行なえ、たとえば、胴ガードを取り外すことによって、座席の前方が開放され、乳幼児を容易に乗せ降ろしすることができるようになる。
【0013】
また、突起が断面円形であり、係合凹部がこの突起の周面を周回するように形成されているため、リング状係止具が係合凹部に係合したまま、胴ガードの端部が突起を中心として、回転することが可能となるので、上述のように胴ガードを取り外すことを胴ガードの一方の端部においてのみ行なえば、他方の端部側の突起を中心として、胴ガードを回転させ、座席の前方を開放した状態とすることができる。乳幼児を乗せ降ろしを容易にするためには、この状態で足りるので、胴ガードの着脱のための手間をより簡素化することができる。
【0014】
上述のような構成は、また、乳母車が折り畳み式であり、折り畳み動作時において、1対の手摺の間隔が変更される場合には、このような折り畳み動作を許容するようにも機能する。すなわち、このような態様の折り畳み動作を行なう乳母車では、1対の手摺の間隔の変更を許容するため、通常、胴ガードがその中央部において折り曲げ可能とされるが、この場合、胴ガードの折り曲げを可能とするには、胴ガードの端部が手摺に対して回転可能でなければならない。この構成によれば、胴ガードの端部が手摺に対して回転可能であるので、胴ガードを取り付けたままであっても、乳母車の折り畳み動作が胴ガードによって妨げられることはない。
【0015】
また、突起は、手摺に対して突出した状態と引っ込んだ状態とを選択的にとるように設けられるので、胴ガードを取り外した状態において、突起が手摺から突出する不都合を回避できる。すなわち、突起が手摺から突出するとき、ここに触れた乳幼児に対して、不快感を及ぼすばかりでなく、傷害の問題を引き起こすこともあり得るが、これらの問題は、胴ガードを取り外した状態において、突起を引っ込んだ状態としておくことで回避できる。
【0016】
また、上述のように、突起が突出した状態と引っ込んだ状態とを選択的にとるようにされながら、第2の弾性体により、突起を手摺に対して突出する状態に付勢するとともに、第2の弾性体による付勢に抗して突起を引っ込んだ状態に係合して維持しかつ係合解除が手動操作可能な係合部材を設けているので、突起を突出した状態にしたり、引っ込んだ状態にしたりすることを簡易かつ迅速に行なえるようになる。すなわち、突出する突起を第2の弾性体による付勢に抗して引っ込め、係合部材を係合させるだけで、引っ込んだ状態が維持され、他方、係合部材による係合を解除するだけで、第2の弾性体による付勢により、自動的に突起の突出した状態が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による胴ガードの取付け構造が適用された乳母車の全体の外観を示す斜視図である。ここに示した乳母車1は、座席2を備え、この座席2の両側には、1対の手摺3および4が配置されている。これら手摺3および4の各前方端間を連結するように、胴ガード5が取り付けられている。
【0018】
胴ガード5の、一方の手摺3への取付け部分の詳細が、図2に一部破断側面図によって示されている。図3は、図2の線III −III に沿う断面図である。また、図4は、図2に相当する図であって、図1とは異なる状態を示し、図5は、図4の線V−Vに沿う断面図である。また、図6は、胴ガード5が取り外された後の手摺3を示す、図2に相当の図である。なお、胴ガード5自身および手摺3および4は、左右対称の構造を有していて、図示しない胴ガード5の、他方の手摺4への取付け構造は、図示した手摺3への取付け構造と同様であるので、以下の説明は、胴ガード5の、手摺3に対する取付け部分について行ない、他方の手摺4に対する取付け部分についての説明は省略する。
【0019】
手摺3の前方端には、突起6が設けられる。突起6の側面には、係合凹部7が形成される。この実施形態では、突起6は断面円形とされ、係合凹部7は突起6の周面を周回するように形成されている。
【0020】
また、突起6は、たとえば図2に示すように、手摺3に対して突出した状態と、図6に示すように、手摺3に対して引っ込んだ状態とを選択的にとるように構成されていることが好ましい。そのため、突起6は、手摺3に形成された筒状部8内で移動可能に案内され、その突出状態の終端は、図2等に示すように、突起6の基部に形成されたフランジ9が筒状部8の端面に係合することによって規定される。他方、突起6の引っ込んだ状態の終端は、図6に示すように、手摺3に取り付けられた保持台10に当接することによって規定される。
【0021】
上述のように、突起6が突出した状態と引っ込んだ状態とをとるように構成される場合、より好ましくは、突起6は、手摺3に対して突出する状態になるように、弾性体としてのコイルばね11により付勢され、他方、引っ込んだ状態に維持するため、前述したフランジ9に係合するフック状の係合部材12が設けられる。この係合部材12は、係合およびその解除を許容するため、弾性的に変形可能である。これらコイルばね11および係合部材12は、前述した保持台10によって保持されている。
【0022】
他方、胴ガード5は、突起6を着脱可能に受け入れる筒状の端部13を有する。この端部13内には、突起6を取り囲むリング状係止具14が配置される。このリング状係止具14は、突起6の側面に対して交差する方向、たとえばこの実施形態では直交する方向に移動可能に設けられる。このようにして、リング状係止具14は、その移動の一方終端において、図2および図3に示すように、係合凹部7に係合し、その移動の他方終端において、図4および図5に示すように、係合凹部7から脱出するように構成されている。
【0023】
また、リング状係止具14は、上述の一方終端へ移動するように、弾性体としての板ばね15により付勢されている。板ばね15は、たとえば、筒状の端部13の内周面とリング状係止具14との間に配置される。また、板ばね15によるリング状係止具14の移動の終端を規定するため、リング状係止具14には、筒状の端部13の内周面に係合する係止片16が形成されている。
【0024】
また、リング状係止具14には、板ばね15による付勢に抗して、これを一方終端から他方終端へ移動操作するための操作部17が端部13から露出するように設けられている。この実施形態では、操作部17は、端部13から突出するように設けられ、操作部17を押し込むことにより、リング状係止具14を移動させることができる。なお、操作部17は、胴ガード5の前方側ないし下方側に位置していて、乳幼児が不用意に触れないように配慮されていることに注目すべきである。
【0025】
このような構成において、図1ないし図3に示すように、胴ガード5が手摺3および4に取り付けられた状態から、これを取り外すには、次のように操作される。すなわち、操作部17を押し込み、図4および図5に示すように、リング状係止具14を係合凹部7から脱出させた状態とする。この状態で、端部13を引き上げれば、突起6が端部13から抜け、端部13と手摺3とを互いに分離することができる。
【0026】
上述の操作は、両方の手摺3および4に対して行なわれても、あるいは片方の手摺、たとえば手摺3のみに対して行なわれてもよい。
【0027】
両方の手摺3および4に対して、この操作が行なわれた場合には、胴ガード5は、手摺3および4から完全に分離することができる。この状態にして、乳幼児の乗せ降ろしが行なわれてもよいが、通常、乳幼児が成長して、胴ガード5が不要となったときに、この状態にされるのが好ましい。
【0028】
このように、胴ガード5が手摺3および4から完全に分離されたとき、図6に示すように、突起6が押し込まれることが好ましい。突起6が押し込まれたとき、係合部材12は、その途中でフランジ9との接触によって変形し、最終的にフランジ9に係合する。これによって、コイルばね11による付勢にもかかわらず、突起6の引っ込んだ状態が維持される。
【0029】
逆に、突起6を突出させた状態にするには、手摺3の下方から指等を挿入し、係合部材12を変形させ、フランジ9との係合を解けばよい。これに応じて、突起6は、コイルばね11の作用により、直ちに突出した状態に戻される。
【0030】
このように、突起6が突出した状態において、図4および図5に示すように、操作部17を押し込みながら、端部13内に突起6を受け入れる状態に、胴ガード5を手摺3および4に対して位置決めした後、操作部17を押し込んでいる力を除けば、図1ないし図3に示すように、胴ガード5を手摺3および4に取り付けた状態に再びすることができる。
【0031】
胴ガード5は、前述したように、手摺3および4から完全に分離するのではなく、その一方の端部、たとえば端部13のみを手摺3から取り外すだけで、乳幼児の乗せ降ろしを行なうようにする方がより能率的である。すなわち、突起6が断面円形であり、かつ係合凹部7が突起6の周面を周回するように形成されているため、端部13のみを手摺3から取り外すだけで、胴ガード5は他方の手摺4に対して回転可能な状態になり、この回転に従って、座席2の前方を開放した状態にすれば、乳幼児を容易に乗せ降ろしすることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による胴ガードの取付け構造が適用された乳母車1の全体の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示した乳母車1における一方の手摺3への胴ガード5の取付け部分を拡大して示す一部破断側面図である。
【図3】図2の線III −III に沿う断面図である。
【図4】操作部17を押し込んだ状態にある、手摺3への胴ガード5の取付け部分を示す、図2に相当の図である。
【図5】図4の線V−Vに沿う断面図である。
【図6】胴ガード5を取り外した後の手摺3を示す、図2に相当の図である。
【符号の説明】
1 乳母車
2 座席
3,4 手摺
5 胴ガード
6 突起
7 係合凹部
11 コイルばね
12 係合部材
13 端部
14 リング状係止具
15 板ばね
17 操作部

Claims (2)

  1. 座席の両側に配置される1対の手摺の前方端間を連結するように取り付けられる、乳母車の胴ガードの取付け構造であって、
    1対の前記手摺の各前方端には、側面に係合凹部が形成された突起がそれぞれ設けられ、
    前記突起は断面円形であり、前記係合凹部は前記突起の周面を周回するように形成され、
    前記胴ガードは、その中央部において、折り曲げ可能であり、かつ、その各端において、前記突起を着脱可能に受け入れる筒状の端部を有し、
    前記端部内には、前記突起を取り囲むリング状係止具が前記突起の側面に対して交差する方向に移動可能に設けられ、
    前記リング状係止具は、その移動の一方終端において前記係合凹部に係合し、かつその移動の他方終端において前記係合凹部から脱出するように構成されるとともに、前記一方終端へ移動するように弾性体により付勢され、
    前記リング状係止具には、前記弾性体による付勢に抗して、これを前記一方終端から前記他方終端へ移動操作するための操作部が前記端部から露出するように設けられ、
    前記突起は、前記手摺に対して突出した状態と引っ込んだ状態とを選択的にとるように設けられ、
    前記突起を前記手摺に対して突出する状態に付勢するための第2の弾性体、および前記第2の弾性体による付勢に抗して前記突起を前記引っ込んだ状態に係合して維持しかつ係合解除が手動操作可能な係合部材をさらに備える、
    乳母車の胴ガードの取付け構造。
  2. 前記操作部は、前記胴ガードの前方側ないし下方側に位置している、請求項1に記載の乳母車の胴ガードの取付け構造。
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