JP3572881B2 - 減温塔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は都市ごみ焼却施設、可燃性廃棄物処理施設等の焼却装置などから排出される排ガスを廃水を生じることなく冷却するための減温塔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
焼却炉等から排出される800℃以上の高温排ガスは、ボイラやエコノマイザ等の熱エネルギー回収手段か、水の蒸発潜熱を利用した水噴射式の冷却塔によって、250〜350℃程度に減温され、後段の電気集塵機などの集塵機に導入され処理されていた。ところが、ごみ焼却において、近年、猛毒であるダイオキシン類が300℃付近の温度において生成することが知られるようになり、300℃付近の集塵処理は敬遠され、200℃以下でバグフィルターを用いた低温集塵が主流となりつつある。
【0003】
排ガスを200℃以下にするためには、ボイラ等により熱回収された250〜350℃程度の排ガスを、例えば、スプレーノズルを用いた水噴霧によりさらに減温する方法が用いられている。すなわち、ボイラと集塵機の間に減温塔を設置させて、ダイオキシン類の発生の少ない200℃以下の低温化を実施するケースが増えている。
【0004】
従来、減温塔は図9または図10に示すように円筒型胴部の下部に排ガス導入ダクトを設置し、上部に排ガス排出ダクトを設置し、排ガスを冷却するために水噴霧スプレーノズルを排ガス導入ダクト上部に設置していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の形状の減温塔では、噴霧水の蒸発潜熱により排ガスを冷却するための減温領域である本体胴部において、導入する排ガス流れが均一に胴部断面全体に亘って拡散しないために、噴霧水滴の活発かつ効率的な蒸発が行われずに、未蒸発水滴による塔内壁の濡れ面形成、後段のパグフィルターへの未蒸発水滴の流出、濡れダストの生成によりダストの固着、ダスト排出困難等の問題を生じていた。
【0006】
図9、図10を用いて説明すると、排ガス導入ダクト12から導入された排ガスは減温塔胴部11に至る過程で、十分に拡散できずに、排ガス排出ダクト19に短絡して到達する。すなわち、所定の排ガス滞留時間が得られないために、噴霧水滴の十分な蒸発時間が得られないこと、また排ガス流れが胴部断面において均一でないので、噴霧水滴の蒸発が均一に効果的に行われず、温度分布に偏りが生じることにより噴霧水滴の完全蒸発が得られなくなり、上記問題を生じるに至る。
【0007】
これらの問題は、先に述べたように近年の集塵温度の低温下とともにより顕著に発生した問題である。
本発明は集塵温度の低温下にも対応でき、上記問題の発生しない高性能の減温塔を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
噴霧水滴の効果的な完全蒸発を達成し、以て上記問題点を解決するために、減温塔胴部におけるガス流れの整流化、均一化を目指し、以下の手段を考案した。第一に、排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、排ガス導入部形状に関して、
イ)減温塔本体の外塔に対して内塔を同心円上に設置し、
ロ)内塔の上部はテーパ状に広がりを持たせて、外塔に対して隙間なく設置させ、
ハ)排ガス導入ダクトを上記二重塔を構成する部分に設置し、排ガスを外塔と内塔の環状の空間を介して、二重塔の下部より所定の流速以上となる下降流を生じさせたのち、減温塔上部へ排ガスを誘導させる、
ことを特徴とする減温塔である。
【0009】
このように減温塔の排ガス導入部を構成することにより、導入された排ガスが一旦、ダストホッパ部へ下降流を生じ、ダストホッパ部へ衝突した排ガスは、効果的に整流され、同整流された排ガスは誘引ファン等のガス吸引作用により減温塔胴部に誘導され、同胴部において均一に分散し、均一状態のまま減温塔出口に到達する。すなわち、噴霧水滴の蒸発に関わる減温塔胴部において、排ガス流れが均一であるので、スプレーノズルにより水噴霧を行った際に効果的に噴霧水滴の蒸発がなされる作用が得られる。
【0010】
第二に、請求項1において、前記所定の流速が10m/s以上となるように、内塔を設置したことを特徴とする減温塔である。
排ガスの下降流速を10m/s以上とするので、排ガス下降流がダストホッパ部へ衝突する際の整流効果が一層高められ、第一の発明の作用がより効果的に得られる。10m/s以下とすると、排ガス下降流がダストホッパ部へ衝突する作用が弱くなり、排ガス流れの整流効果、均一化効果が顕著に得られない。
【0011】
第三に、内塔径を外塔径の0.7〜0.95倍とすることを特徴とする減圧塔である。
内塔径を外塔径に対して0.7倍以下とすると、内塔断面積が外塔断面積(減温塔胴部断面積)に対しておよそ0.5倍以下となり、内塔から胴部へガスが移動する際に、ガスが2倍以上拡散しなければならない。このように狭い断面から広い断面にガスが拡散する場合、ガスの粘性や流速等の条件により、テーパ部分が設置されていたとしても、効果的にガス流れが胴部断面全体に亘って拡散することができないことが本発明者らの調査により判明している。
【0012】
したがって、胴部において均一なガス流れを得るためには、内塔径を外塔径の0.7倍以上とする必要がある。さらに、内塔径を外塔径の0.95倍以上とすると、内塔と外塔の隙間が狭くなり、内塔と外塔の間にガスが極端に流れにくくなるため好ましくない。
【0013】
以上から、内塔径を外塔径の0.7〜0.95倍とするので、内塔を通過し胴部に至る排ガスが効果的に分散するので、排ガス流れを均一にするという本発明の作用がより効果的に得られる。
【0014】
第四に、排ガス導入ダクトを設置する位置の外塔周方向に沿って外塔壁をドーナツ状に覆うように排ガス導入ダクトを設置し、ドーナツ状導入ダクト内の前記外塔は、複数の開口を設置するか空洞とすることを特徴とする減温塔である。
【0015】
このように、外塔壁をドーナツ状に設置し、ドーナツ状導入ダクト内の外塔は、複数の穴を開けるか空洞とする、すなわち、外塔と内塔の隙問の空間をより大きくするので、内塔下部の外周に沿って下降流を生じさせるときの該下降流が内塔外周に沿ってより均一に生じる作用が得られる。
【0016】
第五に、請求項1〜2のいずれか1つにおいて、排ガス導入ダクトをあらかじめ複数本に分岐させて、同複数本のダクトより排ガスを導入することを特徴とする減温塔である。
【0017】
このように、複数本に分岐して減温塔に排ガスを導入するので、内塔下部の外周に沿って下降流を生じさせるときの該下降流が内塔外周に沿ってより均一に生じる作用が得られる。
【0018】
第六に、排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、排ガス排出部形状に関して、
ニ)複数の排出口を有したドーナツ型の排ガス排出部形状で、
ホ)排ガス排出ダクトを前記ドーナツ型の排ガス排出部の側面に設置、
したことを特徴とする減温塔である。
【0019】
減温塔胴部におけるガスの均一さは排ガス導入部の形状に大きく影響されるが、排ガス排出部の形状がガスの流れを大きく偏らせるものであると、減温塔胴部においてもガス流れの均一さが損なわれることがある。そこで、このように減温塔排ガス排出部において、複数の排ガス排出口を有したドーナツ型の排ガス排出部形状にすることにより、排ガスが従来の側面に設置された一つのダクトによる偏った排ガス排出ではなく、複数の排出口により排ガスを排出するので、均一に排ガスを排出することが可能となる。
【0020】
また、排ガス排出ダクトをドーナツ型の排ガス排出部の側面に設置するので、減温塔を設置する際に、従来の排ガス排出ダクトが塔上部に設置されるような不必要に垂直方向の長さを大きくする必要なく、コンパクトな垂直長さの減温塔が得られる。
【0021】
第七に、請求項6におけるドーナツ型の排ガス排出部における複数の開口を、排ガス排出ダクトに近い側の開口割合が小さくなるように設置することを特徴とする減温塔である。
【0022】
このように排ガス排出部の形状を設定すると、排ガス排出部に近い側の開口部からの排ガス排出量が相対的に減少すると同時に、排ガス排出部に遠い側の開口部からの排ガス排出量が相対的に増加する。これは、排ガス排出ダクトに近い側の開口部の方が圧力損失が小さいので、より多くの排ガスが流出しやすいことを考慮し、より均一の量の排ガス排出を行うためである。したがって、排ガス排出部において、第六の発明の作用がより効果的に得られる。
【0023】
第八に、排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、排ガス導入部が請求項1〜5のいずれか1つに記載の形状で、排ガス排出部が請求項6または7に記載の形状であることを特徴とする減温塔である。
【0024】
上記、第一から第五で示した排ガス導入部の形状を有し、かつ第六または第七に示した排ガス排出部の形状を同時に有することにより、第一から第七の作用が相乗的に得られる。
【0025】
第九に、排ガスを水噴霧により冷却するスプレーノズルの設置位置を、請求項1における二重塔部分より上部とし、塔断面において水噴霧流の対称性が得られるように、塔胴部周方向にスプレーノズルを複数本設置することを特徴とする請求項1または2に記載の減温塔である。
【0026】
このように水噴霧のためのスプレーノズルを設置することにより、スプレーノズルの水滴噴霧流が対面の内壁に衝突することなく、すなわち、内壁が水噴霧により濡れ面を形成することなく、胴部断面において対称的な水噴霧流が得られ、水噴霧流の均一性および、塔内の完全蒸発が効果的に得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1〜図8は、本発明に係わる減温塔の一実施形態を示す図である。
図9、図10は、本発明と比較のため従来の減温塔を示す図である。
ここで、1は減温塔外塔または本体胴部、2は排ガス導入ダクト、2aはドーナツ型の排ガス導入ダクト、3は内塔のテーパ部、4は内塔の直胴部、5はダス卜捕集ホッパ部、6はダスト排出部、7は排ガス導入部における開口部、8は排ガス排出部における開口部、9はドーナツ型の排ガス排出ダクト、1Oはスプレーノズル、11は減温塔本体胴部、12は排ガス導入ダクト、15はダスト捕集ホッパ部、16はダスト排出部、19は排ガス排出ダクトである。
【0028】
以下、図1〜図8に基づいて本発明の実施形態を説明する。
焼却炉などから排出されボイラなどにより熱回収されたあとの200℃以上の排ガスは、減温塔下部に設置される排ガス導入ダクト2を介して、減温塔1に導入され、スプレーノズル10(但し、簡単化のため図1〜図6においてはスプレーノズルを示していない。図7に記載)による水噴霧の結果、水滴の有する蒸発潜熱により排ガスは冷却されて、減温塔上部に設置される排ガス排出ダクト9から排出される。排出された排ガスは後段に設置される集塵機に導入される。但し、ここで述べた焼却炉、ボイラ、集塵機は図示していない。
【0029】
減温塔で減温された排ガスの温度は、後段の集塵機の条件やその他運転に係わる条件によって異なるが、例えば、ごみ焼却施設に設置される減温塔の場合は、150〜200℃のダイオキシン類の発生のごく少ない低温度に冷却することが近年、大いに望まれている。減温塔での温度降下、すなわち、入口温度と出口温度の差は、減温塔の大きさやスプレーノズルの噴霧性能にもよるが、通常、30〜200℃程度である。
【0030】
図1に示すのは、排ガス導入ダクト2を減温塔下部の側面に設置し、減温塔下部に内塔4を設置し、内塔4と外塔1をテーパ部3で接続した排ガス導入部の形状である。排ガス導入ダクト2から導入された排ガスは外塔1と内塔4の隙間の空間に行き渡ると同時に、内塔下部外周と外塔内周(またはダスト捕集ホッパ部5上部)の隙間aから、内塔下部外周の周方向に亘って、ダスト捕集ホッパ部5に向けて、下降流となって噴射される。
【0031】
隙間aは外塔径D1よりも極端に小さいので、隙間aを通過する排ガスは流速が胴部平均流速よりも大きいため、勢いよくダスト捕集ホッパ部に衝突するとともに、対面からの下降流とも衝突するので、排ガス導入ダクト部2で偏りがある流れであっても、ガス流れの衝突作用により、ガス流れの偏りは効果的に解消される。言い換えると、隙間aから発せられる高流速のガス流れは、前記衝突作用により一時的に多方向の速度成分を持つガス流れとなるが、このことが排ガスがすでに有していた流れの偏りを解消することとなる。
【0032】
次に、排ガスは連続的に流れるので、多方向の速度成分を持つガス流れは、内塔直胴部4を通過する課程で、直前、直後に流れる同ガス流れと相互干渉により排ガス流れは整流され、テーパ部3から胴部以降では整流された排ガスが得られる。また、内塔径D2は外塔径D1に対して極端に小さくないので、内塔を通過した排ガスは胴部において効率よく分散する。このように、二重塔に構成することにより排ガス導入部における排ガスは整流され、内塔から胴部に至る過程で効率よく分散するので、減温塔胴部において偏りのない均一なガス流れが得られる。
【0033】
次に、水噴霧スプレーノズル10を図7に示す位置、すなわち、二重塔部分の上部のガス流れが均一である位置に設置するので、スプレーノズル10による噴霧水滴の効果的な蒸発が得られる。ここで、隙間aにおける排ガス下降流の平均流速が10m/s以上の高流速となるように隙間aを設定することがより望ましい。排ガスの下降流速を10m/s以上とするので、排ガス下降流がダストホッパ部へ衝突する際の整流効果が一層高められ、上記の作用がより効果的に得られる。10m/s以下とすると、排ガス下降流がダストホッパ部へ衝突する作用が弱くなり、排ガス流れの整流効果、均一化効果が顕著に得られない。
【0034】
また、内塔径D2は外塔径D1に対して0.7〜0.95倍とすることが望ましい。内塔径を外塔径に対して0.7倍以下とすると、内塔断面積が外塔断面積(減温塔胴部断面積)に対しておよそ0.5倍以下となり、内塔から胴部へガスが移動する際に、ガスが2倍以上拡散しなければならない。
【0035】
このように狭い断面から広い断面にガスが拡散する場合、ガスの粘性や流速等の条件により、テーパ部分が設置されていたとしても、効果的にガス流れが胴部断面全体に亘って拡散することができないことが本発明者らの調査により判明している。したがって、胴部において均一なガス流れを得るためには、内塔径を外塔径の0.7倍以上とする必要がある。
【0036】
さらに、内塔径を外塔径の0.95倍以上とすると、内塔と外塔の隙間が狭くなり、内塔と外塔の間にガスが極端に流れにくくなるため好ましくない。
以上から、内塔径を外塔径の0.7〜0.95倍とするので、内塔を通過し胴部に至る排ガスが効果的に分散するので、すでに述べた作用がより効果的に得られる。
【0037】
図2に示すのは、排ガス導入ダクトを設置する位置の外塔周方向に沿って外塔壁をドーナツ状に覆うように排ガス導入ダクト2aを設置し、ドーナツ状導入ダクト内の前記外塔を、空洞とした排ガス導入部の形状である。
【0038】
図3に示すのは、排ガス導入ダクト2aを設置する位置の外塔周方向に沿って外塔壁をドーナツ状に覆うように排ガス導入ダクトを設置し、ドーナツ状導入ダクト2a内の前記外塔に、複数の開口7を設置した排ガス導入部の形状である。
【0039】
このように、外塔壁をドーナツ状に設置し、ドーナツ状導入ダクト内の外塔は、複数の穴を開けるか空洞とする、すなわち、外塔と内塔の隙間の空間をより大きくするので、内塔下部の外周に沿って下降流を生じさせるときの該下降流が内塔外周に沿ってより均一に生じる作用が得られる。
【0040】
図4に示すのは、排ガス導入ダクトをあらかじめ2本に分岐させて、2本のダクト2,2より排ガスを導入した場合の排ガス導入部の形状である。
このように複数ダクトから排ガスを導入するので、内塔下部の外周に沿って下降流を生じさせるときの該下降流が内塔外周に沿ってより均一に生じる作用が得られる。
【0041】
図5に示すのは、複数の排出口を有したドーナツ型の排ガス排出部の形状で、排ガス排出ダクトを前記ドーナツ型の排ガス排出部の側面に設置した場合の排ガス排出部の形状である。
【0042】
減温塔下部から誘導される排ガスは、排ガス排出ダクト9内の複数の開口部8を通過し、その後、排ガスは合流し、排ガス排出ダクト9から排出される。減温塔胴部におけるガスの均一さは排ガス導入部の形状に大きく影響されるが、排ガス排出部の形状がガスの流れを大きく偏らせるものであると、減温塔胴部においてもガス流れの均一さが損なわれることがある。
【0043】
そこで、このように減温塔の排ガス排出部において、複数の排ガス排出口を有したドーナツ型の排ガス排出部形状にすることにより、排ガスが図9に示される従来の側面に設置された一つのダクトによる偏った排ガス排出ではなく、複数の排出口により排ガスを排出するので、均一に排ガスを排出することが可能となる。
【0044】
また、排ガス排出ダクトをドーナツ型の排ガス排出部の側面に設置するので、減温塔を設置する際に、図10に示される従来の排ガス排出ダクトが塔上部に設置されるような不必要に垂直方向の長さを大きくする必要なく、コンパクトな垂直長さの減温塔が得られる。
【0045】
さらに、排ガス排出部の開口部8を図6に示すように、排ガス排出ダクトに近い側の開口割合が小さくなるように設置してもよい。このように設置すると、排ガス排出部に近い側の開口部からの排ガス排出量が相対的に減少すると同時に、排ガス排出部に遠い側の開口部からの排ガス排出量が相対的に増加する。これは、排ガス排出ダクトに近い側の開口部の方が圧力損失が小さいので、より多くの排ガスが流出しやすいことを考慮し、より均一の量の排ガス排出を行うためである。したがって、排ガス排出部において、図5で示した効果がより確実に得られる。
【0046】
今までに述べたのは、排ガス導入部の形状と排ガス排出部の形状であるが、もちろん、図7に示すようにこれらを同時に組み合わせて用いてもよく、すでに述べた効果がより顕著に得られることは言うまでもない。
【0047】
次に、水噴霧のためのスブレーノズル10は、排ガス導入部の二重塔部分より上部に設置し、塔断面において水噴霧流の対称性が得られるように、塔胴部周方向に複数本設置することが望ましい。
【0048】
図8に示すのは図7Bにおける断面図で、スプレーノズルを、水噴霧流の対称性が得られるように配置させた実施例である。
図8(a)は同一断面に等間隔に4本設置した場合、図8(b)は等間隔に3本設置した場合、図8(c)は等間隔ではないが、対面方向にノズルを2組、合計4本設置した場合をそれぞれ示す図である。何れの場合も、水噴霧流の対称性が得られることは明らかである。
【0049】
このように水噴霧のためのスプレーノズルを設置することにより、スプレーノズルの水滴噴霧流が対面の内壁に衝突することなく、すなわち、内壁が水噴霧により濡れ面を形成することなく、胴部断面において対称的な水噴霧流が得られ、水噴霧流の均一性および、塔内の完全蒸発が効果的に得られる。
【0050】
図8では、スプレーノズルを同一断面に複数本設置したが、もちろん、設置断面を二段以上にしてもよい。
スプレーノズル10は、運転条件によっても異なるが、例えば、200℃以下に冷却するような低温用の減温塔の場合は、より微細な噴霧水滴が得られる水と空気を用いる二流体ノズルを採用するのが好ましいが特に限定しない。また、噴霧水として、消石灰スラリ等のアルカリ性吸収液を用いて、排ガス中の酸性成分を除去してもよく、水の潜熱を用いて排ガスを冷却できるものであればいかなる様式でもよい。
【0051】
スプレーノズル10を減温塔に設置する場合の取り付け方法として、例えば、内壁から数10cm突き出してもよいし、そうでなくともよい。ノズルの耐久性を確保するために、ノズルの外周に保護管を取り付けてもよいし、ノズルと保護管の間にパージエアー等を用いてもよい。
【0052】
また、ノズルを断面に対して仰角を持たせて設置するか、ノズル先端部をガス流れ方向に屈曲させてもよい。何れの場合においても、本発明の効果が同様に得られることは明らかである。
【0053】
「実施例」
本発明をごみ焼却場に付設する減温塔に実施して得られた試験結果を従来の比較例とともに図11、図12に示す。
【0054】
図11は、本発明を実施した場合の試験結果を示す図である。
図12は、本発明を実施しない場合の試験結果の従来の比較例を示す図である。但し、20は堆積ダストである。
【0055】
実施例は、図1に示す排ガス導入部の形状と、図6に示す排ガス排出部の形状からなる減温塔で、内塔径D2と外塔径D1の比をD2/D1=0.8とした。このとき、二重塔の下部に生じる下降流の平均流速(図1のa部分の流速)が15m/sとなるように内塔の直胴部の長さを設定した。
【0056】
比較例は、図9に示す形状の減温塔とした。
共通の条件として、減温塔の外形は同一寸法とし、排ガス処理量40000Nm3 /h、減温塔排ガス滞留時間4秒(容積と排ガス量で算定される)、減温塔入口排ガス温度約200℃、出口排ガス温度(水噴霧量を調整して一定とする)150℃とした。スプレーノズルは4本同一断面に等間隔に設置し、二流体ノズルを用いた。
【0057】
試験内容は、まず、水噴霧を行う前に塔内の断面におけるガス流速分布を測定し、次に水噴霧運転を連続一ケ月行い、一ケ月後の塔内のダストの堆積状況を確認した。
【0058】
この結果、水噴霧前のガス速度分布は、従来の比較例では、排ガス導入ダクトから排出ダクトにかけてガス流れが短絡して分散しないので、流速分布が極端に偏った結果が得られたが、本発明の実施例ではほぼ均一な流速分布が得られた。
【0059】
次に、一ケ月後の塔内ダスト堆積を観察すると、比較例(図12)では、塔内壁の広範囲に亘って噴霧水滴の不完全蒸発による湿りダストが10cm以上の厚みで堆積し、一部は排ガス検熱により固着していたのに対し、本発明の実施例(図11)は、塔内のダストの堆積は見られず、内壁にうっすらとダストが付着している程度であった。ダストの堆積は、未蒸発水滴が塔壁に付着したり、ダストの凝集効果を促進させるために発生するので、水滴が完全蒸発し、以て安定した運転がなされたかどうかの判断指標となる。
【0060】
すなわち、本発明の減温塔は、塔内で均一な排ガス流れが得られ、150℃と低温であっても効果的に噴霧水滴を蒸発させ、もって不完全蒸発によるダスト堆積等の問題の生じない優れた減温塔であることが確認できた。
【0061】
【発明の効果】
本発明の減温塔を用いれば、排ガス導入部で排ガスが効果的に整流され、胴部において、均一なガス流れが得られので、ダイオキシン類の発生のごく少ない150℃程度の低温であっても、スプレーノズルによる噴霧水滴を効果的に蒸発させ、以て不完全蒸発による塔内のダスト堆積等の問題の生じない優れた排ガス冷却が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる減温塔の排ガス導入部形状の実施形態の一例を示す図。
【図2】本発明に係わる減温塔の排ガス導入部形状の実施形態の他の例を示す図。
【図3】本発明に係わる減温塔の排ガス導入部形状の実施形態の他の例を示す図。
【図4】本発明に係わる減温塔の排ガス導入部形状の実施形態の他の例を示す図。
【図5】本発明に係わる減温塔の排ガス排出部形状の実施形態の一例を示す図。
【図6】本発明に係わる減温塔の排ガス排出部形状の実施形態の他の例を示す図。
【図7】本発明に係わる減温塔の実施形態の一例を示す図。
【図8】本発明に係わる減温塔のスプレーノズル設置の一実施例を示す図。
【図9】従来の減温塔の一例を示す図。
【図10】従来の減温塔の他の例を示す図。
【図11】本発明に係わる減温塔の運転結果を示す図。
【図12】従来の減温塔の運転結果を示す図。
【符号の説明】
1…減温塔外塔または本体胴部、2…排ガス導入ダクト、2a…ドーナツ型の排ガス導入ダクト、3…内塔のテーパ部、4…内塔の直胴部、5…ダス捕集ホッパ部、6…ダスト排出部、7…排ガス導入部における開口部、8…排ガス排出部における開口部、9…ドーナツ型の排ガス排出ダクト、1O…スプレーノズル、11…減温塔本体胴部、12…排ガス導入ダクト、15…ダスト捕集ホッパ部、16…ダスト排出部、19…排ガス排出ダクト、20…堆積ダスト。
Claims (9)
- 排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、
排ガス導入部形状に関して、
イ)減温塔本体の外塔に対して、その径が外塔の径の0.7〜0.95倍である内塔を、二重塔を構成するように外塔下部に同心円上に設置し、
ロ)内塔の上部はテーパ状に広がりを持たせて、外塔に対して隙間なく設置し、
ハ)排ガス導入ダクトを、前記二重塔を構成する部分に外塔の半径方向に向けて設置し、
排ガスを、前記排ガス導入ダクトを介して外塔と内塔の間の環状の空間に導入し、前記二重塔の下部より所定の流速以上となる下降流を生じさせたのち、減温塔上部へ排ガスを誘導することを特徴とする減温塔。 - 請求項1において、前記所定の流速が10m/s以上となるように、内筒を設置したことを特徴とする減温塔。
- 排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、
排ガス導入部形状に関して、
イ)減温塔本体の外塔に対して、その径が外塔の径の0.7〜0.95倍である内塔を、外塔下部に設置し、
ロ)内塔の上部はテーパ状に広がりを持たせて、外塔に対して隙間なく設置し、
ハ)排ガス導入ダクトを、内塔が設置された高さ位置に内塔をドーナツ状に覆うように設置するとともに、この排ガス導入ダクトへの排ガス導入口を外塔の半径方向に向けて設置し、
排ガスを、前記排ガス導入口を介して前記排ガス導入ダクトに導入し、前記排ガス導入ダクトの下部より所定の流速以上となる下降流を生じさせたのち、減温塔上部へ排ガスを誘導することを特徴とする減温塔。 - 排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、
排ガス導入部形状に関して、
イ)減温塔本体の外塔に対して、その径が外塔の径の0.7〜0.95倍である内塔を、二重塔を構成するように外塔下部に同心円上に設置し、
ロ)内塔の上部はテーパ状に広がりを持たせて、外塔に対して隙間なく設置し、
ハ)排ガス導入ダクトを、前記二重塔を構成する部分の外塔の周方向に沿って外塔をドーナツ状に覆うように設置し、この排ガス導入ダクトで覆われた部分で外塔の壁に複数の開口を設置するとともに、この排ガス導入ダクトへの排ガス導入口を外塔の半径方向に向けて設置し、
排ガスを、前記排ガス導入口、前記排ガス導入ダクト、前記開口を介して、外塔と内塔の間の環状の空間に導入し、前記二重塔の下部より所定の流速以上となる下降流を生じさせたのち、減温塔上部へ排ガスを誘導することを特徴とする減温塔。 - 請求項1または2において、排ガス導入ダクトをあらかじめ複数本に分岐させて、同複数本のダクトより排ガスを導入することを特徴とする減温塔。
- 排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、排ガス排出部形状に関して、
ニ)複数の排出口を有したドーナツ型の排ガス排出部形状で、
ホ)排ガス排出ダクトを前記ドーナツ型の排ガス排出部の側面に設置したこと、
を特徴とする減温塔。 - 請求項6におけるドーナツ型の排ガス排出部における複数の開口を、排ガス排出ダクトに近い側の開口割合が小さくなるように設置することを特徴とする減温塔。
- 排ガスを廃水を生じることなく水噴霧により冷却し、排ガスを減温塔下部より導入して、冷却した排ガスを塔上部より排出する減温塔であって、排ガス導入部が請求項1〜5のいずれか1つに記載の形状であり、かつ排ガス排出部が請求項6または7に記載の形状であることを特徴とする減温塔。
- 排ガスを水噴霧により冷却するスブレーノズルの設置位置を、請求項1における二重塔部分より上部とし、塔断面において水噴霧流の対称性が得られるように、塔胴部周方向にスプレーノズルを複数本設置することを特徴とする請求項1または2に記載の減温塔。
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