JP3572785B2 - 摺動性および耐型かじり性に優れる熱延鋼板ならびにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延後、酸洗して使用される熱延鋼板とその製造方法に係るものであって、とくに摺動性と耐型かじり性とを兼ね備えた特性を有し、プレス等の成形加工用の使途に好適な熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱延鋼板は、連続鋳造法あるいは造塊法によって得た鋼片を熱間圧延して製造される。こうして製造された熱延鋼板は、一部は冷延鋼板用素材として使用されるが、一部は熱延のままで加工用に使用される。
さて、最近、特に、自動車分野などにおいては、製品コストを低減させる方策として、従来では冷延鋼板が用いられたプレス部位をより低コストの熱延鋼板に置き替えようとする傾向が増してきた。
このような、冷延鋼板に代替するための熱延鋼板の製造技術は、例えば、特開昭59−76823号公報、特開昭4−136122号公報などに提案されている。
【0003】
上記特開昭59−76823号公報に開示の方法は、C,Mn,P量を規定した鋼を、熱延後600 ℃以上で3時間以上の熱処理を行い、酸洗後、1 〜5%で調質圧延を行う薄手の熱延鋼板の製造法である。また、前記特開平4−136122号公報に開示の方法は、C 、Mn量を規定した鋼をAr3変態点以上で圧延し、酸洗工程を通した後に5 〜20%の調質圧延を加えて板厚0.8 〜2.0mm とする極薄熱延鋼板の製造方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の熱延鋼板は、安価ではあるもののそのプレス加工性は冷延鋼板には遠く及ばないのが実情であった。このように、従来の技術によって製造した熱延鋼板の加工性が劣る大きな理由として、製品の表面粗さが粗い(Ra:1.5μm程度)ために、摺動性が劣ることが挙げられる。
すなわち、自動車用の鋼板として理想的な表面粗さは、プレス加工時の摺動性の向上(摩擦係数の低減)の観点から、Ra:0.8 μm以下、Rmax : 4.0μm以下であるのに対し、従来の技術では、熱延鋼板の表面粗さはどうしてもこれよりも大きくなり、加工に耐えうる熱延鋼板を製造することができなかったのである。その上、表面粗さが粗いと、プレス成形し塗装した後の表面外観も劣るという欠点も招いていた。
【0005】
ところで、このように表面性状が劣る熱延鋼板の表面粗さを低減するための手段として、焼鈍後の冷延鋼板に一般的に採用されている、調質圧延を適用することが考えられる。
しかし、粗度の大きな熱延鋼板を調質圧延で無理矢理粗度調整するには高圧下が必要となり、加工性、例えば延性の低下が避けられないという問題があった。このことは、通常の熱延鋼板の製造工程において、酸洗効率を向上させるために、酸洗の前に行う、調質圧延あるいはレベラーによる延性の低下と重畳して、延性の低下が一層大きくなるという問題があった。
また、鋼板表面を低粗度とすることにより、従来の熱延鋼板では粗度が粗いため問題とならなかった、耐型かじり性が低下するという問題が新たに出現した。すなわち、従来の技術を駆使して低粗度を達成した熱延鋼板を、冷延鋼板の代替に使用した場合に、プレス加工後のビード部やコーナー部のように大きな荷重がかかる個所で耐型かじり性が低下するのである。
【0006】
上述したように、従来の技術では、摺動性と耐型かじり性とを共に満たした、プレス加工に耐えるような熱延鋼板を製造することができなかった。
そこで、本発明の主たる目的は、従来の熱延鋼板が抱えている上述した問題を解消した、摺動性および耐型かじり性に優れる新規な熱延鋼板を提供することにある。
本発明の他の目的は、0.13以下の低い摩擦係数を有し、しかも上記耐型かじり性を解決した熱延鋼板を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記各熱延鋼板を、熱間粗圧延工程と熱間仕上げ圧延工程との間で超高圧のデスケーリングを適用することにより、有利に製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的を達成すべく、まず、摺動性の改善(摩擦係数の低減)について、仕上圧延に先立って行うデスケーリング条件に着目して鋭意研究を重ねた結果、これまでに用いられたことのないような超高圧のデスケーリングを適用することによって、鋼板表面の表面粗さを小さくすることができ、極めて有効であることを知見した。
また、熱延鋼板の型かじりが、冷延鋼板に比べ発生しやすくなるという現象は、冷延鋼板では焼鈍中の元素濃化により鋼板表面に表面濃化層が存在するのに対し、酸洗した熱延鋼板では鋼板表面に地鉄がそのまま露出した状態となり、摺動性は良好でも金型との焼きつきのようなかじりを引き起こすためである考えて多くの実験を重ねた。その結果、素材成分と製造時の温度履歴を適正に制御することによって、鋼中に多量のAlNを存在させることにより耐かじり性を改善できることを知見した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものであり、その要旨構成は下記のとおりである。
【0009】
(1) C:0.1wt%以下、Si:0.02wt%以下、Mn:0.05〜2wt%、P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以下、sol Al:0.02〜0.3wt%、N:0.005〜0.03wt%、かつAlN析出物をN量に換算して0.005wt%以上含有し、残部が実質的にFeよりなり、鋼板の少なくとも一方の面の表面粗さが、Ra:0.8μm以下およびRmax: 4.0μm以下であることを特徴とする摺動性および耐型かじり性に優れる熱延鋼板。
【0010】
(2) C: 0.1wt %以下、 Si : 0.02wt %以下、 Mn : 0.05 〜2 wt %、P: 0.05wt %以下、S: 0.05wt %以下、 sol Al : 0.02 〜 0.3wt %、N: 0.005 〜 0.03wt %を含有し、残部が実質的に Fe よりなる連続鋳造後または造塊−分塊圧延後のスラブを、一旦700℃以下まで冷却後、950〜1150℃に加熱して、熱間粗圧延し、得られたシートバーの少なくとも一方の面に、衝突圧25kgf/cm2以上の超高圧デスケーリングを施し、次いで熱間仕上げ圧延を行い、750℃以下で巻き取り、酸洗を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
【0011】
(3) C: 0.1wt %以下、 Si : 0.02wt %以下、 Mn : 0.05 〜2 wt %、P: 0.05wt %以下、S: 0.05wt %以下、 sol Al : 0.02 〜 0.3wt %、N: 0.005 〜 0.03wt %を含有し、残部が実質的に Fe よりなる連続鋳造後または造塊−分塊圧延後のスラブを、700℃以下まで冷却することなく、そのまままたは加熱後、熱間粗圧延し、得られたシートバーの少なくとも一方の面に、衝突圧25kgf/cm2以上の超高圧デスケーリングを施し、次いで熱間仕上げ圧延を行い、600〜750℃で巻き取り、酸洗を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の鋼成分について以下に説明する。
Al:0.02〜0.3 wt%
Alは、通常は脱酸剤として添加されるが、本発明では特にNをAlNとして析出させて耐型かじり性を改善するために重要な元素である。十分な量のAlNを析出させるためには、Al量は0.02wt%以上添加することが必要である。一方、Alを過多に添加しても効果が飽和し、製造コストが上昇するのみならず,延性の低下を招くので好ましくない。したがってその上限を0.3 wt%とする。
なお、後述するようにスラブを一旦700 ℃以下とすることなく、巻取段階でAlNを析出させる工程を採用する場合には、Al添加量は重量にしてN量の5倍以上添加することが好ましい。
【0014】
N:0.005 〜0.030 wt%、かつN as AlN:0.005 wt%以上
本発明において、Nの含有量も重要である。すなわち、通常、Nは時効性を抑制する観点から極力低下することが好ましいとされ、0.003 wt%を超えない程度に調整されている。これに対し、本発明では、むしろNを鋼中に多量に存在させ、AlNとして析出させることにより耐型かじり性を改善するのである。
AlNが耐かじり性を改善する機構は、必ずも明らかではないが、工具と鉄の接触率を低減させ、型かじり前に生じる工具への鉄の凝着(焼きつき)を防止する作用が考えられる。
このような効果を得るためには、Nは0.005 wt%以上、好ましくは0.008 wt%以上添加することが必要であり、また、AlN析出物をN量に換算して0.005 wt%以上(すなわち、N as AlNを0.005 wt%以上)とする必要がある。ただし、Nを過多に添加すると固溶状態のNの絶対量も増加し、時効性が大きくなる傾向にあるため、その上限を0.030 wt%とする。
【0015】
上述したように、本発明で目指した効果は、基本的な鋼成分として、Al、N、N as AlNの量を上記範囲に制御することにより得られるが、その他の成分を下記の成分範囲に調整することによって、より一層、成形加工用として好適な熱延鋼板となる。
【0016】
C:0.1 wt%以下
Cは、強度確保のために必要な元素であるが、0.1 wt%を超えるとスケールと地鉄との界面にCOガスを発生して圧延途中にスケール疵を引き起こすので、0.1 wt%以下とする。なお、強度確保のためには0.001 wt%以上とするのが好ましい。
【0017】
Si:0.02wt%以下
Siは、多量に存在すると延性の低下を引き起こすので、その上限を0.02wt%とする。
【0018】
Mn:0.05〜2 wt%
Mnは、熱間加工時の脆化の原因となる固溶SをMnSとして無害化するほか、強度の向上にも効果があるため、必要に応じて添加される。その量が0.05wt%未満では効果がなく、また2 wt%を超えて添加すると靱性低下を招くので0.05〜2 wt%とする。
【0019】
P:0.05wt%以下
Pは、強度を調整するために特に極低炭系で利用される元素であるが、多量に存在すると粒界脆化を引き起こすので、その上限を0.05wt%とする。なお、現状の精錬技術では0.001 wt%以下に低下させるには製鋼コストが著しく増大するので、その下限は0.001 wt%とするのが好ましい。
【0020】
S:0.05wt%以下
Sは、熱間加工性や靱性を著しく劣化させる元素である。Sの含有量が0.05wt%を超えるとこの影響がとくに顕著になるので、0.05wt%以下、好ましくは0.01wt%以下とする。なお、現状の精錬技術では0.001 wt%以下に低下させるには製鋼コストが著しく増大するので、その下限は0.001 wt%とするのが好ましい。
【0021】
また、熱延鋼板の表面状態をRa : 0.8μm以下およびRmax : 4.0μm以下に制御することにより摩擦係数の減少が可能となり、摺動性が改善される。これらの表面粗さの両特性のいずれか一方でも上記範囲を逸脱すると、目標とする摩擦係数が得られなくなる。したがって、本発明における熱延、酸洗後の鋼板の表面粗さは、Ra : 0.8μm以下およびRmax : 4.0μm以下の範囲とする。
【0022】
以下、本発明方法における製造条件について、限定理由を含めて説明する。
本発明鋼板において、AlNを多量に析出させるためには、鋼中のN含有量を多くするほか、スラブ加熱温度、仕上げ熱間圧延後の巻取温度の条件について配慮する必要がある。
熱延鋼板中のAlN析出量を確保するためには、熱間圧延中に極力析出させることが重要である。このためには連続鋳造後または造塊−分塊圧延後のスラブを、一旦700 ℃以下に冷却する場合、その後の熱延のためのスラブ加熱温度を低温とし,AlNの固溶を防止することが有効である。このようにAlNの固溶を防止するためのの加熱温度は1150℃以下である。ただし、熱間圧延前には溶体化処理がなされる必要があるため、Ar3点以上に加熱する必要がある。したがって、具体的なスラブ加熱温度は950 〜1150℃とするのが好ましい。
一方、エネルギーコスト削減のため、前記スラブを一旦700 ℃以下まで冷却することなく、圧延のための加熱を行う場合には熱延前でのAlNの析出量は少ない。従って、この場合には後述するように熱間圧延後の巻取の段階で析出させるので、スラブ再加熱温度は高温でもよく、950 ℃〜1300℃が適する。なお、連続鋳造後または造塊−分塊圧延後のスラブを再加熱することなく熱間圧延(直送圧延)することもできる。この場合、スラブ加熱温度はAr3点を切らないようにするため、950 ℃以上とする必要があり、950 ℃〜1300℃が適する。
【0023】
上記加熱に次いで、粗圧延および仕上げ圧延よりなる熱間圧延を行う。また、この粗圧延と仕上げ圧延の間で超高圧水によるデスケーリングを行う。
熱間圧延の圧延条件は、特に定めないが、超高圧デスケーリングのもとで酸洗効率のよい薄スケール鋼板を製造するため、粗圧延は(Ar3点+100 ℃)〜(Ar3点+50℃)の範囲で終了し、高圧デスケーリング後に、圧下率80%以上で圧延終了温度Ar3点以上の条件で仕上げ圧延するのが好ましい。
粗圧延を(Ar3点+100 ℃)〜(Ar3点+50℃)の範囲で終了させるのは、粗圧延終了温度が(Ar3点+100 ℃)を超えると鋼板の表層がγ域の状態となるため、強度が高くなり、この後に引き続き行われる高圧デスケーリングによる粗度調整が行い難くなるためである。一方、(Ar3点+50℃)よりも低くなると、デスケーリング中にα変態が進行して強度が上昇し、粗度調整が行いにくくなるためである。
また、仕上げ圧延の圧下率を80%以上とするのは、圧下率が80%未満であると、圧延によるスケールの伸展が不十分となり、薄スケールが達成できにくいからである。さらに、仕上げ温度をAr3点以上とするのは、Ar3未満の温度で圧延すると、圧延による加工組織が製品としての熱延鋼板に残り、延性が小さくなる可能性があるからである。
【0024】
上記の粗圧延と仕上げ圧延との間で超高圧のデスケーリングを施す。このデスケーリングは、本発明において特に重要な工程であり、粗圧延で得られたシートバーの少なくとも一方の面に、鋼板面での衝突圧を25kgf/cm2 以上、好ましくは30kgf/cm2 以上の範囲の超高圧とする必要がある。衝突圧が、25kgf/cm2 未満では、仕上げ圧延後に酸洗、調質圧延を行っても表面粗さと延性とをともに高レベルに維持することが困難になるからである。
因に、従来の高圧デスケーリングの衝突圧は1.0〜4.0kgf/cm2 程度であり、本発明では、その約10倍に当たる超高圧を採用することで、従来技術の下では期待されていなかった特有の作用効果を発現したものと思われる。
【0025】
なお、デスケーリング時の鋼板表面での上記衝突圧pは、一般に、ノズルの吐出圧Pおよび吐出量Q、鋼板表面とノズルとの間の距離Hから次式により求めることができる。(「鉄と鋼」1991 vol.77 No.9 p11450参照)
p=5.64PQ/H2
ただし、p:鋼板表面での衝突圧(MPa)
P:吐出圧(MPa)
Q:吐出量(リットル/sec)
H:鋼板表面とノズルとの間の距離(cm)
【0026】
デスケーリング後、常法により仕上げ圧延を行い、巻き取る。この巻取温度が、 750℃を超えると特にコイル端部において巻取後のスケール成長が著しくなり、薄スケールとすることができなくなる。なお、スラブを一旦700 ℃以下に冷却することなく再加熱して熱間圧延する場合には、圧延前のAlNの析出量が少ないため、巻取段階でAlNを析出させることが必要がある。この場合には600 ℃以上で巻き取ることが必要となる。
したがって、適正な巻取温度範囲は、連続鋳造後または造塊−分塊圧延後のスラブを、一旦700 ℃以下まで冷却後熱間圧延する場合は 750℃以下、また、前記スラブを700 ℃以下まで冷却することなく熱間圧延する場合は600 ℃〜750 ℃とする。
【0027】
上述したような熱間圧延と巻取処理を行った後の熱延鋼板に、常法に従い、酸洗を施す。ここで、酸洗は通常の、酸洗前に伸び率0.5 %〜3%の調質圧延あるいはテンションレベラによるメカニカルデスケーリング、形状調整等を行う工程を含むものである。本発明法で得られる熱延後の鋼板のスケールは極めて薄く、かつ素材が軟質なため、この酸洗前に行う調質圧延による粗度調整が有効であり、所定の粗度に調整できる。また、用いる酸洗液としては、例えば50℃−20 %の塩酸等を使用すればよい。
なお、酸洗−水洗が終了した鋼板に、さらに粗度レベルを制御して摺動性のバラツキを低減するため、再度、伸び率0.5 %〜3%の調質圧延を施すことも可能である。また、通常は、酸洗−水洗を行った後、もしくはさらに前記調質圧延を施した後の鋼板表面に、防錆油を塗油する。ここで、塗油する防錆油は防錆効果を有するものでよいが、これに油性剤あるいは極圧剤を添加した高潤滑防錆油であれば一層好ましい。
以上説明した製造方法により、AlN析出物量を制御し、鋼板の表面状態をRa : 0.8μm以下およびRmax : 4.0μm以下に制御することができ、耐型かじり性と摺動性に優れる熱延鋼板を製造することが可能になる。
【0028】
【実施例】
表1のNo1〜8に示す成分組成を有する連続鋳造または造塊−分塊圧延工程を経たスラブを、一旦 300〜680 ℃まで冷却後、再加熱後粗圧延を行い、30mmのシートバーとし、その両面にデスケーリングを施し、7パスで最終板厚1.2 mmに仕上げ圧延し、巻き取った。また、表1のNo9に示す連鋳工程を経たスラブは、800 ℃まで冷却後、再加熱後粗圧延を行い、デスケーリング、仕上げ圧延を行い、巻き取った。これらの各製造条件を表2に示す。
これらの鋼帯に、酸洗槽の入り側で伸び率2%で調質圧延してメカニカルデスケーリングと形状矯正を行った後、50℃−20%塩酸の条件で酸処理を行う酸洗を施した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
このようにして製造した熱延鋼板の両面に、防錆油(スギムラ化学製 プレトンR850)を片面当り1.5g/m2 塗油した後、摩擦係数の測定および耐型かじり性の評価を行った。なお、防錆油を塗布する前の鋼板について、その表面粗さをJIS B0601に従い測定した。さらに、AlN析出物としてのN量を測定した。
ここに、摩擦係数はJIS G4404 にある冷間金型用鋼SKD11 製の治具を用い、平均面圧1kgf/mm2 、引き抜き速度100mm/sec の条件で求めた。
また、型かじり試験はJIS G4404 にある冷間金型用鋼SKD11 製の治具を用い、平均面圧20kgf/mm2 、引き抜き速度100mm/sec の条件で治具で供試材を押しつけ、引き抜く摺動試験により、目視でかじりが観察されるまでの摺動距離を求め、このこの距離が長いものほど良好であるとして評価した。これらの結果を併せて表2に示す。
得られた結果から明らかなように、本発明法により、Ra が 0.8μm以下およびRmax が 4.0μm以下の熱延鋼板が得られ、その摩擦係数は0.13以下、耐かじり性試験における摺動距離も90 cm 以上の優れた摺動性および耐型かじり性を有することがわかった。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、摺動性が良好なうえ、耐型かじり性にも優れる熱延鋼板を製造することが可能になる。
したがって本発明によれば、これまでプレス成形用材料として用いられてきた冷延鋼板の一部を、この発明による熱延鋼板で代替させることが可能になり、自動車部材などの低コスト化に大きく貢献できる。
Claims (3)
- C:0.1wt%以下、Si:0.02wt%以下、Mn:0.05〜2wt%、P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以下、sol Al:0.02〜0.3wt%、N:0.005〜0.03wt%、かつAlN析出物をN量に換算して0.005wt%以上含有し、残部が実質的にFeよりなり、鋼板の少なくとも一方の面の表面粗さが、Ra:0.8μm以下およびRmax:4.0μm以下であることを特徴とする摺動性および耐型かじり性に優れる熱延鋼板。
- C: 0.1wt %以下、 Si : 0.02wt %以下、 Mn : 0.05 〜2 wt %、P: 0.05wt %以下、S: 0.05wt %以下、 sol Al : 0.02 〜 0.3wt %、N: 0.005 〜 0.03wt %を含有し、残部が実質的に Fe よりなる連続鋳造後または造塊−分塊圧延後のスラブを、一旦700℃以下まで冷却後、950〜1150℃に加熱して、熱間粗圧延し、得られたシートバーの少なくとも一方の面に、衝突圧25kgf/cm2以上の超高圧デスケーリングを施し、次いで熱間仕上げ圧延を行い、750℃以下で巻き取り、酸洗を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
- C: 0.1wt %以下、 Si : 0.02wt %以下、 Mn : 0.05 〜2 wt %、P: 0.05wt %以下、S: 0.05wt %以下、 sol Al : 0.02 〜 0.3wt %、N: 0.005 〜 0.03wt %を含有し、残部が実質的に Fe よりなる連続鋳造後または造塊−分塊圧延後のスラブを、700℃以下まで冷却することなく熱間粗圧延し、得られたシートバーの少なくとも一方の面に、衝突圧25kgf/cm2以上の超高圧デスケーリングを施し、次いで熱間仕上げ圧延を行い、600〜750℃で巻き取り、酸洗を行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
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