JP3572461B2 - ボイラ装置の腐食防止装置および腐食防止方法 - Google Patents

ボイラ装置の腐食防止装置および腐食防止方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、脱酸素剤が注入された給水のpHおよび温度のうち少なくとも一方を適正レベルに制御し、脱酸素剤による給水中の溶存酸素の除去を促進させ、これにより腐食防止を図ったボイラ装置の腐食防止装置および腐食防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は一般的な排熱ボイラの概略構成を示している。図において、1は気水ドラムであり、蒸発水管2で加熱された循環水(缶水)を水蒸気と水に分離する。蒸発水管2は水平ループの伝熱管を有しており、発生した蒸気が停滞しないよう、循環ポンプ3は循環水を加圧して、気水ドラム1と蒸発水管2間で循環管4に沿って循環水を強制的に循環させている。また、気水ドラム1には節炭器5が接続されており、この節炭器5へは、脱気器6を通り給水ポンプ7で加圧された給水が給水管8を介して供給される。節炭器5への給水は、ボイラの負荷に見合った給水量となるよう給水調節弁9により制御される。給水管8の途中には、脱酸素剤注入ライン10が接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記ボイラ装置では、脱気器を通じても給水温度は上昇しないため、脱酸素剤が注入されても脱酸素剤が反応しにくく、給水中に存在する溶存酸素によって節炭器が腐食を生ずる欠点がある。
【0004】
例えば、焼結クーラ用排熱ボイラ等では、腐食成分がないガスを用い、ボイラ入口ガス温度を低くして効率的な熱回収を行っている。このため、給水温度を上げずに溶存酸素除去を行なう真空脱気器を設置するのが一般的である。しかし、真空脱気器では、出口の溶存酸素が、0.1ppm程度であり、この残存Oをなくすよう脱酸素剤を注入しても、給水温度が常温で低いために反応が進まず、その残存Oが節炭器へと流入し、管の入口付近でOアタックによる腐食が発生する。
【0005】
なお、給水温度を上げて、溶存酸素を除去する方法として加圧脱気器があるが、これは、前述の様にガスに腐食成分がなく、熱交換器への流入ガス温度が低い場合には、給水温度が低い(常温に近い)方がより高い熱回収効率が得られること、加圧蒸気分がプラント全体の損失となり不経済となること、から上述の排熱ボイラでは殆ど採用されていない。
【0006】
本発明の目的は、給水のpHおよび温度のうち少なくとも一方を適正に制御することにより、脱酸素剤の反応を活性化して、Oアタックによる腐食防止を図ったボイラ装置の腐食防止装置および腐食防止方法を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の装置および方法は、循環水を水蒸気と水に分離する気水ドラムに外部から水を給水する際、前記給水に脱酸素剤を注入して給水中の溶存酸素を除去することにより、ボイラ各機器の腐食防止を行うボイラ装置及びその腐食防止方法において、前記循環水の一部を前記給水に導入する。
【0008】
そして、循環水の一部が導入された給水のpHを検出し、該検出結果に基づいて前記循環水の導入量を調節する。
【0009】
【作用】
給水中に溶存酸素が、存在すると次の化学反応によりボイラ鋼材の腐食を進行させる。
【0010】
2Fe+2HO+O→2Fe(OH)
4Fe(OH)+2HO+O→4Fe(OH)
したがって、給水中の溶存酸素を除去するため、脱気器を設置するが完全には除去できないため、脱気器出口での残存Oを0にするよう、脱酸素剤を注入するのが一般的である。脱酸素剤の一例として、ヒドラジンの場合の化学反応は、
+O→N+2H
となり、この反応は給水のpHと温度により影響され、pHが8以上、温度は高い程、反応速度が増し、給水の残存Oが短時間で除去される。
【0011】
上記構成によれば、通常、pHについては給水よりも循環水の方が高いので、循環水の一部を給水に導入することにより、給水のpHを上昇させることができる。これによって、ボイラ鋼材の腐食を防止できる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。なお、従来の技術と同一部分には同一の符号を記し、その詳細な説明は省略する。図1は、本発明の腐食防止装置を設置したボイラ装置の概略構成を示している。図1に示すように、循環管4と給水管との間には節炭器循環ライン11が設けられ、循環水の一部を給水に導入することができる。また、循環管4の途中には循環水調節弁12が、給水管6の途中にはpH計13と温度計14がそれぞれ取り付けられ、これらは制御装置15に接続されている。pH計13は循環水と混合された給水のpHを検出し、温度計14は前記給水の温度を検出する。制御装置15は、pH計13および温度計14からの検出結果を取り込んで、給水と循環水の混合後のpHおよび温度が規定レベルになるよう、循環水調節弁12の開度を調節する。
【0013】
なお、節炭器循環ライン11は循環水導入手段を、pH計13と温度計14は検出手段を、循環水調節弁12および制御装置15は調節手段をそれぞれ構成している。
【0014】
脱気器6出口の溶存酸素は0.1ppm程度であるが、0にするため脱酸素剤注入ライン10より脱酸素剤を注入する。ヒドラジンの場合(多くのプラントがヒドラジン使用)は、図2および図3に示すように、pHおよび温度により反応速度が違う。
【0015】
次に、本実施例のように、循環水の一部を給水ラインに導入すると、なぜ給水のpHと温度を高めることができるのかについて説明する。
まず、pHについては、給水には循環水のpHを一定に保つためにpH調整用の薬品が入れられている。通常、給水のpH7〜9であるが、循環水はその一部が水蒸気として蒸発するため、pH調整用の薬品が濃縮された恰好となりpHは約11となっている。また温度については、給水は常温20℃前後であるが、循環水は蒸発水管2で加熱されて約200℃前後(圧力による変わる)である。したがって、循環水を給水に導入することにより、給水のpHと温度を規定値迄引き上げることができる。そして、これによって、脱酸素剤の反応速度が速くなり、未反応のOが節炭器5へ流入することを防ぐことができ、ボイラ鋼材の腐食を防止できる。またpHが上昇するため、ボイラ鋼材の防食効果はより一層向上する。
【0016】
また、この様な排熱ボイラの場合、ボイラ負荷に応じて燃料を調節する機能をもたないため、低負荷域において、脱気器1がスチーミングを起こす場合がある。このスチーミング対策として、本実施例の節炭器循環ライン11を使用することにより、節炭器5内で発生した蒸気を停滞させることなく気水ドラム1へと押し流す効果もあり、腐食防止のみでなく、スチーミング対策としての効果も合せもっている。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、給水のpHと温度を高めることができるため、脱気器出口で注入される脱酸素剤の反応速度が速くなり、残存Oを0にすることができるとともに、pHも高くなるので防食効果もより一層向上させることができ、節炭器の腐食を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の腐食防止装置を設置した排熱ボイラ装置の系統図である。
【図2】pHが脱酸素剤の脱酸素反応に及ぼす影響を示した図である。
【図3】温度が脱酸素剤の脱酸素反応に及ぼす影響を示した図である。
【図4】一般的な排熱ボイラ装置の系統図である。
【符号の説明】
1 気水ドラム
2 蒸発水管
3 循環ポンプ
4 循環管
5 節炭器
6 脱気器
7 給水ポンプ
8 給水管
9 給水調節弁
10 脱酸素剤注入ライン
11 節炭器循環ライン
12 循環水調節弁
13 pH計
14 温度計
15 制御装置

Claims (4)

  1. 循環水を加熱する加熱手段と、加熱された循環水を水蒸気と水に分離する気水ドラムと、脱酸素剤が注入された水を前記気水ドラムに給水する給水手段と、該給水手段によって給水される水を前記加熱手段の熱を利用して給水前に加熱する節炭器と、を備えたボイラ装置において、
    前記循環水の一部を前記節炭器の上流側で前記給水手段に導入する循環水導入手段と、前記循環水の一部が導入された給水のpHを検出する検出手段と、その検出結果に基づいて前記循環水導入手段による循環水の導入量を調節する調節手段とを設けたことを特徴とするボイラ装置の腐食防止装置。
  2. 請求項に記載の腐食防止装置において、
    前記pHを8〜11に制御することを特徴とするボイラ装置の腐食防止装置。
  3. 循環水を水蒸気と水に分離する気水ドラムに外部から水を給水する際、前記給水に脱酸素剤を注入して給水中の溶存酸素を除去することにより、ボイラ各機器の腐食防止を行うボイラ装置の腐食防止方法において、
    前記循環水の一部を前記給水に導入し、その循環水の一部が導入された給水のpHを検出し、該検出結果に基づいて前記循環水の導入量を調節することを特徴とするボイラ装置の腐食防止方法。
  4. 請求項に記載の腐食防止方法において、
    前記pHを8〜11に制御することを特徴とするボイラ装置の腐食防止方法。
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