JP3571931B2 - コンパクト容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンパクト容器とりわけ気密性にすぐれたコンパクト容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファンデーシヨンで代表される化粧料の一種として、揮発性液たとえば水分やアルコールなどを添加して練り上げたタイプのものが知られている。かかる化粧料(以下含水化粧料と略称する)の容器として、従来、本体に含水化粧料収容部とスポンジ収容部を並列状に設け、前記含水化粧料収容部の外縁部に軟質材料からなるパッキンを取り付け、蓋体には前記パッキンに当接可能な環状突起を設けたコンパクト容器が知られている。
しかし、このコンパクト容器は、蓋体と本体とがヒンジと180度位置に設けられたフック型の係合機構によって止められているだけであるため、パッキンに対する環状突起の接触圧が不十分となりやすく、そのためどうしてもシール性が不十分となって水分が揮散しやすいという問題があった。
【0003】
この対策として、コンパクト容器でなく、雄ねじを外周に有する本体に含水化粧料の収容部を設け、雌ねじを設けた蓋体を本体に螺合するようにしたねじ式の容器が使用されている。この容器は螺合締付けにより蓋体に設けたパッキンに本体の口縁部が密接するためシール性が良好であるが、本体と蓋体とは機構的に独立した部材であり、化粧に際して、いちいち蓋体を本体から取外さなければならないため、蓋体の置き場所を考慮することとなって面倒であり、車中などにおいて化粧するときに蓋体が紛失してしまいやすいという問題があるほか、鏡がないため、別途鏡を用意するか、あるいは鏡のあるところで使用しなければならない不便さがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解消するために創案されたもので、その目的とするところは、比較的簡単な構造でありながら気密性にすぐれ、しかも蓋体と本体が分離せず、使い勝手がよいコンパクト容器を提供することにある。
本発明のコンパクト容器は揮発成分を含有する化粧料(クリーム状、ペースト状なとを含む)に好適であるほか、通常の乾いた化粧料のコンパクト容器としても好適である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、化粧料収容部を画成する囲壁と該囲壁と同心状の外壁を有し、囲壁の外周に等間隔で複数のねじ部を有し各ねじ部の間に上下方向挿脱用スペースを設けた本体と、内周壁に前記ねじ部に対応する間隔で複数の螺合用の突起を有し、下面にヒンジ用突片部を突設した蓋体と、前記本体の囲壁と外壁間の環状空間に回転可能に嵌められた回転リングとを備え、前記本体の外壁の一部には蓋体のヒンジ用突片部の傾転を許容する開口を欠設し、回転リングの円周上の一部には前記蓋体のヒンジ用突片部を嵌合し枢支する開口部を欠設し、回転リングと回転に対して一体化した蓋体は、ヒンジ用突片部を枢支している開口部と本体の開口が合致した位置においてのみ開閉されるようになっていることを特徴としている。
【0006】
本発明は、前記本体が囲壁と外壁と底壁を含む全体を1部材で構成されている場合のほか、囲壁を有する第1部体と、外壁とこれの下端に底壁を有する第2部体の2体からなっていて、それらを組み付けることにより構成されるものを含む。また、囲壁とこれの下端から鍔状の底壁を一体形成した第1部体と、前記底壁に外嵌して外壁を構成するCリング状の第2部体からなっていて、それらを組み付けることで構成されているものを含む。
シール構造としては、蓋体が囲壁またはこれに嵌合される中皿の頂部に当接されるシール材を備えていてもよいし、囲壁ないしはこれに嵌合される中皿の頂部に、蓋体の内面に当接されるシール材を備えていてもよい。
好ましくは、前記本体はストッパを有し、回転リングにはストッパと協働する回転角規制用部を有している。
また、好ましくは、回転リングにヒンジ用突片部を開き方向に押圧する押圧手段が設けられるか、あるいはこれに代えて、蓋体のヒンジ用突片部と回転リング間にヒンジ用突片部を開き方向に押圧する押圧手段が設けられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1ないし図9は本発明によるコンパクト容器の第1実施例を示している。
1は本体であり、この実施例では、第1部体1Aと、これよりも外径の大きな第2部体1Bとからなっている。2は回転リング、3は蓋体である。それら第1部体1Aと第2部体1Bと回転リング2および蓋体3は、それぞれ合成樹脂の成形体からなっている。
【0008】
第1部体1Aは、図4に単体の状態で示しているように、内部に含水化粧料の収容部5を有して全体がカップ状をなしており、収容凹部5を形成している囲壁6の中間部よりも適度に上位には、外方に突出する鍔部7を有し、囲壁6には円周上で複数のねじ部8が等間隔で形成されている。それらねじ部8は、それぞれ基端が鍔部7に位置し、基端に続く台形状の主部が囲壁6の反時計方向に延びており、該主部は反時計方向で次第に幅が狭くなるように傾斜した斜面80を有している。各ねじ部8,8の間には、後述する蓋体3の突起の挿脱を許容するため突起の周方向長さよりも大きな挿脱用スペース81が形成されている。
第1部体1Aの底部には第2部体1Bに嵌合接着するための突台部9が設けられており、該突台部9には、必要に応じてねじ部8の位置決めのための突起90が設けられる。
【0009】
第2部体1Bはカバーとして機能するもので、図5に単体の状態を示している。第2部体1Bは前記第1部体1Aよりも外径が大きく、かつ高さの低い外壁10を有して全体が浅いカップ状をなしており、外壁10の円周上には、後述する蓋体3のヒンジ用突片部18の傾転を許容する開口100が欠設されている。底壁11には前記第1部体1Aの突台部9を嵌合する凹部110を有し、該凹部110には必要に応じて突起の嵌まる溝111が配設される。そして前記底壁11には回転リング2の回転を規制するためのストッパ12が突設されている。
【0010】
回転リング2は図6に単体の状態を示しており、前記第2部体1Bの外壁10の内径と略一致する外径を有するともに、前記第1部体1Aの囲壁6の外径と略一致する内径を有しており、外壁10と囲壁6との間の環状空間に回転可能に嵌められる。
回転リング2は、内径部分の口縁付近に前記第1部体1Aの鍔部7に対応する段部13を有し、これらにより、組立て時に回転リング2は抜け止めされる。
また、回転リング2は、前記第2部体1Bの開口100と略一致する幅の開口部14が円周の一部に欠設されている。
そして、開口部14の領域に、図2と図3のように、蓋体3の後述するヒンジ用突片部18を開放側に押圧する手段15を有している。この例では、押圧手段15は開口部14の内径部分に一体形成された弾性を有する突片からなり、突片の上端には突条が付設され、これでヒンジ用突片部18の側面を常時付勢している。
【0011】
回転リング2は、切欠き部14と所要回転角位置が変位した部分に前記ストッパー12と協働する回転角規制用部を有している。この例では、回転角規制用部は、下面に向かって開放した溝形空所16として構成されており、該溝形空所16には2枚の舌状片17a,17bが設けられている。1枚の舌状片17aは溝形空所16の右端壁に近く位置し、回転リング2が蓋体3とともに閉まり方向に回転されたときに、前記ストッパ12との接触によって弾性変形し、ストッパ12を抜けることによりカチンと閉まり状態を感得させるとともに、みだりに蓋体3が回転されるのを防止する。また、他方の舌状片17bは、溝形空所16の左端壁に近く位置し、回転リング2が蓋体3とともに開き方向に回転されたときに、前記ストッパ12との接触によって弾性変形し、ストッパ12を抜けることにより、開放回転角位置に至ったことを感得させるとともに、みだりに蓋体3が回転されるのを防止する。
【0012】
蓋体3は、下面一側にヒンジ用突片部18を突設しており、該ヒンジ用突片部18は、前記回転リング2の開口部14に嵌められ、枢ピン22が通されることによって回転リング2に対して開閉自在に枢着される。
蓋体3は、図7のように、下面から凹入部が形成されており、その凹入部の内周壁には、前記本体1のねじ部8と螺合するための複数の突起19が所定間隔で形成されている。該突起19は短柱状でもよいが、好ましくは突条である。
前者の場合には、本体1のねじ部斜面80と鍔部7との間に進入して密接可能な径とすることが必要である。後者の場合には、ねじ部の斜面80に合致する角度の傾斜面190を上縁に設けるものであり、高さ方向の寸法は本体1のねじ部斜面80と鍔部7との間に進入して密接可能なものとする。
【0013】
前記蓋体3の凹入部の内天面には鏡20を固着しており、かつ鏡よりも開口側の領域には本体1の囲壁6の頂面に密接可能なシール材21が取り付けられている。シール材21はゴムや軟質合成樹脂からなり、この実施例では、シール材21は、凹入部の形状に合致するように嵌着され、中間の内鍔210によって鏡20を保持している。この構成は鏡20の固定を良くし、また、衝撃を受けたときの緩衝効果をよくすることができる利点がある。
22はスポンジであり、含水化粧料23の上面に載せられる。
なお、開閉操作を容易にするためと密閉状態の確認を容易にするために、本体の外面(この例では第2部体1Bの外面)たとえばねじ部8の終端位置に相当する部位の外面に第1の表示Aを設け、蓋体3の外面にはヒンジ用突片部18が本体1の切欠き100に合致した位置に相当する位置に第2の表示Bを設けている。
【0014】
この実施例において、コンパクト容器として組み立てるには、図2の状態における蓋体3のヒンジ用突片部18を回転リング2の開口部14に嵌め、枢ピン22を挿入して連結し、アッセンブリーとする。
ついで、このアッセンブリーを蓋体3を閉じた状態で第2部体1Bに嵌める。そして最後に蓋体3を開放し、回転リング2内に第1部体1Aを嵌合する。このときに突台部9または第2部体1Bの凹部110に接着剤を塗布しておくもので、突台部9と凹部110との嵌合によって第1部体1Aと第2部体1Bとは一体化される。回転リング2は第1部体1Aの鍔部7によつて抜け止めが図られる。
【0015】
図10ないし図13は本発明によるコンパクト容器の第2実施例を示している。この第2実施例は、第1実施例における本体1の第1部体1Aと第2部体1Bとを一体成形品で構成したことに特徴がある。
本体1は内部に含水化粧料を収容するための収容部5を画成する囲壁6を内径側に有し、該囲壁6の外面には、高さ方向略中間部位から下方に厚肉部60が周方向で所定の間隔をおいて複数(図では4個)形成されており、各厚肉部60の下端からは、半径方向に延びる底壁11が連設され、その底壁11の半径方向外端に前記囲壁6よりも高さの低い外壁10が形成されている。前記各底壁11間は穴112となっている。
【0016】
前記囲壁6の外面には円周上で等間隔にねじ部8が形成されている。それらねじ部8は、基端が厚肉部60の上面に位置し、基端に続く台形状の主部が囲壁の反時計方向に延びており、該主部は反時計方向で次第に幅が狭くなるように傾斜した斜面80を有している。各ねじ部8の間には蓋体3の突起19の幅よりも大きな挿脱用スペース81が形成される。
前記外壁10には円周方向の一部に蓋体3のヒンジ用突片部18の傾転を許容する開口100を有している。また、開口縁には回転リング2の抜け止めのためのアンダカット113が複数個形成されている。そして、底壁11には、回転リング2の回転を規制するストッパ12が突設されている。
回転リング2は外周面に係合用の突条24を有している点で第1実施例と異なるが、他の構成は同様である。また、蓋体3の構成は第1実施例と同じである。よって同じ部分に同じ符号を付し、説明は援用するものとする。
【0017】
この実施例のものを組立てるには、図13の状態における蓋体3のヒンジ用突片部18を回転リング2の開口部14に嵌め、枢ピン22を挿入して連結する。ついで蓋体3を開放状態として、回転リング2を本体1の囲壁6と外壁10の間に嵌めればよい。こうすれば、回転リング2の外周面の突条24が外壁10のアンダカット113を乗り越え、図12のように回転のみを許すように保持される。
【0018】
図14と図15は本発明の第3実施例を示している。
この実施例においては、回転リング2と蓋体3は第1実施例と同じ構成であるが、本体1が底鍔付きの第1部体1Aとリング状の第2部体1Bからなっている点で異なっている。
すなわち、第1部体1Aは、内部に含水化粧料を収容するための収容部5を形成している囲壁6の中間部に段部を有せしめるべく下方に厚肉部60が形成されており、囲壁6には円周上で等間隔にねじ部8が形成されている。それらねじ部8は、第2実施例と同様に、基端が厚肉部60の段部に位置し、基端に続く台形状の主部が囲壁6の反時計方向に延びており、該主部は反時計方向で次第に幅が狭くなるように傾斜した斜面80を有している。各ねじ部8の間には蓋体3の突起18の幅よりも大きな挿脱用スペース81が形成される。
【0019】
囲壁6の下端から半径方向には、リング状の底鍔11’が一体形成されており、底鍔11’の一部には回転リング2の回転を規制するストッパ12が突設されている。
第2部体1Bは外壁ないしカバーとして機能するもので、前記第1部体1Aの鍔部7までの対応する高さと、底鍔11’の外径略一致するかやや小さい内径を有し、一部に蓋体3のヒンジ用突片部18の傾転を許容する開口100を有して全体が平面C状リングをなしている。そして、上縁には回転リング2の抜け止めのための内鍔114が形成されている。
回転リング2は外周面に第2部体1Bの内鍔114と係合するための段部25を有している点で第1実施例と異なるが、他の構成は同様である。なお、図14では開口14を明確に示すため、ヒンジ用突片部19を開放側に押圧する手段15は仮想線で示している。蓋体3の構成は第1実施例と同じである。よって同じ部分に同じ符号を付し、説明は援用するものとする。
【0020】
この実施例のものを組立てるには、図14の状態における蓋体3のヒンジ用突片部18を回転リング2の開口部14に嵌め、枢ピン22を挿入して連結する。ついで蓋体3を開放状態として、回転リング2を第1部体1Aに嵌め、この状態で第2部体1Bを被せ、第2部体1Bの下部内面と第1部体1Bの底鍔11’の外面とを接着すればよい。
【0021】
なお、以上説明した構造はあくまでもいくつかの例であり、本発明はそれに限定されるものではない。
(1)含水化粧料の収容部5は囲壁6に直接設けられこれに化粧料が直接充填されるほか、交換可能な中皿6’に化粧料が充填され、中皿6’を囲壁6に嵌合されることによって構成されてもよい。この場合、シール材21は、図16(a)のように中皿6’の開口フランジ600に密接される。
(2)シール材21は必ずしも実施例1ないし実施例3のように鏡20の保持部材を兼ねていなくてもよく、図16(b)のように蓋体3の内面にリング状に固着されていてもよい。図16(b)の左半部は含水化粧料の収容部5が囲壁6に直接設けられている場合を、同図の右半部は交換可能な中皿6’を用い、この中皿6’を囲壁6に嵌合された場合をそれぞれ示している。
(3)シール材21は蓋体3側に設けられる場合に限定されず、囲壁6または中皿6’に設けられている場合を含む。図16(c)はこの例を示しており、中皿6’のフランジ600を囲繞するようにシール材21を取り付け、該シール材21に蓋体3の内面が接触するようになっている。蓋体3の接触面は突条を有していてもよい。
(4)回転角規制用部は、本体1の底壁11のストッパー(突起)12と回転リング2の溝状空所16の関係でなくてもよい。すなわち、本体1の外壁10の内面または第2部体1Bの外壁10の内面に突起12を設けて溝状空所16とで機能させるようにしてもよい。あるいは、蓋体3の下面に突起(または溝)を設け、対向する本体1の囲壁6の上面に溝(または突起)を設けてもよい。
(5)蓋体3のヒンジ用突片部18に対する押圧手段15は、回転リング2に設けられる場合に限らない。すなわち、ばね部材を使用し、これで回転リング2と蓋体3とを結んでもよい。図17(a)(b)はその例を示しており、ヒンジ用突片部18の幅方向一側に溝穴180を形成する一方、回転リング2の開口部14の内側には係止用溝28を欠設し、前記凹入部180にばねたとえばキャンセルばね15’を挿入し、一端を溝穴内面に係止させるとともに他端を係止用溝28に係止させている。
(6)コンパクトの外観形状は必ずしも円形に限られず、図18のように、多角形状としてもよい。この場合には、本体1の外壁の肉厚を増し、同様に蓋体3の囲壁の肉厚を増せばよい。また、蓋体3は軽量化のために盗みを設けてもよく、2部体で構成してもよい。
【0022】
【実施例の作用】
本発明の第1実施例においては、蓋体3はヒンジ用突片部18が本体1(第2部体1B)の開口100と合致した位置においてのみ開閉することができる。そこで、この位置で蓋体3を閉じる。これにより、シール材21は含水化粧料の収容部5を画成している囲壁6の頂面に接する。それと同時に、蓋体3の各突起19は、囲壁6の各ねじ部8間の挿脱用スペース81に進入する。
そこで、蓋体3を時計方向に回動する。蓋体3はヒンジ用突片部18によって回転リング2と連結され、回転に対しては一体化しているため、回転リング2は本体1の囲壁6と外壁10との間で蓋体3と同回転角度回動し、それによって蓋体3の各突起19は囲壁6の各ねじ部8と噛み合い、ねじ部8の斜面80との摺接によって、下方すなわち本体1に接近する方向へと牽引され、それによってシール材21と囲壁6の頂面とが強接しあい、気密シール状態が形成される。
この回動時に、回転リング2の溝状空所16の舌状片17aが本体1のストッパー12と接触し、舌状片17aがストッパー12を乗り越える抵抗と続く開放によって閉じ完了状態が感得される。これが図1(a)と図8の状態である。
【0023】
次に、化粧料を使用するには、前記状態から、蓋体3を反時計方向に回動する。こうすれば、蓋体3と回転リング2は一体に本体1内で回動し、蓋体3の突起19が囲壁6のねじ部8の斜面80に沿って移動するため、シール材21によるシールが緩められ、回転の継続により突起19は囲壁6のねじ部8から離脱した位置(挿脱用スペース81)に位置する。同時に、蓋体3のヒンジ用突片部18は本体1の開口100に整合する位置に至る。
したがって、蓋体3はヒンジ用突片部18と枢ピン22を支点として傾転することができ、図1(c)のように開放される。よって、蓋体3を分離しないまま含水化粧料を取出し、蓋体3に付属している鏡20を見ながら化粧を施すことができる。
【0024】
実施例では、回転リング2の開口部位の内側位置に突片15を有しているため、前記のように蓋体3のヒンジ用突片部18が本体1の開口100と整合すると、それまでの本体外壁11によるヒンジ用突片部18の受けとめが開放されるため、突片15の押圧力によってヒンジ用突片部18は外転し、自動的に開披される。したがって、使い勝手がさらに良くなる。また、図17の例では、キャンセルばね15’が働き、ヒンジ用突片部18は外転し、自動的に開披される。
なお、前記のように蓋開放可能状態にいたるときには、回転リング2の回転角規制用の溝状空所16の舌状片17bが本体1のストッパー12と接触し、舌状片17bがストッパー12を乗り越える抵抗と続く開放と溝状空所16の端壁への衝突によって開き可能位置を感得することができる。また、この状態では蓋体3に回転方向の外力が作用しても、ストッパー12と舌状片17bにより回転がロックされているため、蓋体3はみだりに回転されない。したがって、ご操作によるヒンジ用突片部18と本体1の開口壁のかじりを防止することができる。
第2実施例および第3実施例の作用も同様である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によれば、蓋体3がねじによって本体1に螺合されるため気密性が高く、化粧料に含有されている揮発分の放散を確実に防止することができる。しかも、蓋体3が独立した部品ではなく、回転リング2に対して開閉可能に枢支されていて、その回転リング2が本体1に回転可能に組み込まれており、蓋体3のヒンジ用突片部18が本体1の外壁10の一部に設けた開口100と合致した回転角位置において、蓋体3が開閉可能であるため、通常のねじ式と違っていちいち開放した蓋体3をテーブルなどに置いたりする必要がなく、軽易に素早く化粧をほどこすことができるというすぐれた効果が得られる。
請求項4によれば、本体1と回転リング2と蓋体3の3部品数で構成されているため、金型費などの製造コストおよび組立てコストを低減することができるというすぐれた効果が得られる。
請求項5によれば、本体1がストッパ12を有し、回転リング2がストッパ12と協働する回転角規制用部を有しているため、蓋体3の開披可能位置とシール完了位置が確定され、いたずらに蓋体3を過度に回転して破損することがないというすぐれた効果が得られる。
請求項6によれば、さらに回転角規制用部が、ストッパ12を乗り越え可能な舌状片17a,17bを有しているため、開披可能位置とシール完了位置を確実に感得することができるとともに、良好なロック機能が得られ、不用意に蓋体3が回動されず、シール状態および蓋開放状態を確実に保つことができるというすぐれた効果が得られる。
請求項9と10によれば、蓋体3が所定の回転角位置に至ると、自動的に開披されるため、使い勝手がよくなるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明によるコンパクト容器を閉じ状態で示す斜視図、(b)は蓋体を回転した状態の斜視図、(c)は蓋体を開披した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を分解状態で示す斜視図である。
【図3】第1実施例を閉じ状態で示す部分切欠縦断面図である。
【図4】(a)は第1実施例における第1部体の断面図、(b)は同じくその正面図である。
【図5】(a)は第1実施例における第2部体の平面図、(b)は同じくその断面図である。
【図6】(a)は回転リングの平面図、(b)は同じく部分切欠正面図、(c)は同じく(a)のX−X線に沿う断面図である。
【図7】(a)は蓋体の平面図、(b)は(a)のY−Y線に沿う断面図である。
【図8】(a)は第1実施例における閉止状態を示す平面図、(b)は同じくそのときの本体と蓋体との取り合いを示す正面図である。
【図9】(a)は第1実施例における開放位置に至ったときの状態を示す平面図、(b)は同じくそのときの本体と蓋体との取り合いを示す正面図である。
【図10】本発明の第2実施例の斜視図である。
【図11】本発明の第2実施例の本体平面図である。
【図12】図11のZ−Z線に沿う断面図である。
【図13】本発明の第2実施例の分解斜視図である。
【図14】本発明の第3実施例の分解斜視図である。
【図15】第3実施例を閉止状態で示す断面図である。
【図16】(a)は本発明におけるシール構造の他の例を示す部分的断面図、(b)はシール構造の他の例を示す部分的断面図、(c)はシール構造の他の例を示す部分的断面図である。
【図17】(a)は本発明における蓋体自動開披機構の他の例を分解状態で示す斜視図、(b)は同じくその組立て状態を示す部分的断面図である。
【図18】本発明の外観形状の変化例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 本体
1A 第1部体
1B 第2部体
2 回転リング
3 蓋体
5 化粧料の収容部
6 囲壁
8 ねじ部
10 外壁
100 開口
12 ストッパー
14 開口部
15 突片
16 回転角規制用の溝状凹所
17a,17b 舌状片
18 ヒンジ用突片部
19 突起
21 シール材
Claims (10)
- 化粧料収容部5を画成する囲壁6と該囲壁6と同心状の外壁10を有し、囲壁6の外周に等間隔で複数のねじ部8を有し各ねじ部の間に上下方向挿脱用スペース81を設けた本体1と、内周壁に前記ねじ部8に対応する間隔で複数の螺合用の突起19を有し、下面にヒンジ用突片部18を突設した蓋体3と、前記本体1の囲壁6と外壁10間の環状空間に回転可能に嵌められた回転リング2とを備え、前記本体1の外壁10の一部には蓋体3のヒンジ用突片部18の傾転を許容する開口100を欠設し、回転リング2の円周上の一部には前記蓋体3のヒンジ用突片部18を嵌合し枢支する開口部14を欠設し、回転リング2と回転に対して一体化した蓋体3は、ヒンジ用突片部18を枢支している開口部14と本体1の開口100が合致した位置においてのみ開閉されるようになっていることを特徴とするコンパクト容器。
- 本体1が、囲壁6を有する第1部体1Aと、外壁10とこれの下端に底壁11を有する第2部体1Bからなっており、これらを組み付けることで構成されている請求項1に記載のコンパクト容器。
- 本体1が、囲壁6とこれの下端から鍔状の底壁11’を一体形成した第1部体1Aと、前記底壁11’に外嵌して外壁10を構成するCリング状の第2部体1Bからなっていて、それらを組み付けることで構成されている請求項1に記載のコンパクト容器。
- 本体1が、囲壁6と底壁11と外壁10とを一体形成している請求項1に記載のコンパクト容器。
- 本体1がストッパ12を有し、回転リング2がストッパ12と協働する回転角規制用部を有している請求項1ないし4のいずれかに記載のコンパクト容器。
- 回転角規制用部にストッパ12を乗り越え可能な舌状片17a,17bを有している請求項5に記載のコンパクト容器。
- 蓋体3が囲壁6またはこれに嵌合される中皿6’の頂部に当接されるシール材21を備えている請求項1ないし6のいずれかに記載のコンパクト容器。
- 囲壁6ないしはこれに嵌合される中皿6’の頂部に、蓋体3の内面に当接されるシール材21を備えている請求項1ないし6のいずれかに記載のコンパクト容器。
- 回転リング2が、ヒンジ用突片部18を開き方向に押圧する押圧手段を有するものを含む請求項1ないし8のいずれかに記載のコンパクト容器。
- 蓋体3のヒンジ用突片部18と回転リング2間にヒンジ用突片部18を開き方向に押圧する押圧手段を有するものを含む請求項1ないし8のいずれかに記載のコンパクト容器。
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