JP3571503B2 - 高含水ソフトコンタクトレンズおよびその製造方法 - Google Patents

高含水ソフトコンタクトレンズおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水率が50〜70%である高含水ソフトコンタクトレンズ及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、水または生理食塩水などで置換できる希釈剤の存在下、モノマー混合液を重合し、得られる重合体中に含まれる希釈剤を水または生理食塩水などで置換することにより、高含水コンタクトレンズを得る方法であって、特に、優れた透明性と高い機械的強度とを有する高含水コンタクトレンズを製造できる方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ソフトコンタクトレンズは、その材料のしなやかさに起因して装用感が良いことが知られている。特に、含水率が高いソフトコンタクトレンズ程、装用感が良好であると言われている。しかしながら、高含水ソフトコンタクトレンズは、一般に強度が小さく、そのため取り扱いが困難であるといった欠点を有している。
通常、ソフトコンタクトレンズは共重合物を、切削、研磨し、これを水に膨潤させることより得る、切削研磨法により製造されている。この切削研磨法により高含水ソフトコンタクトレンズを製造した場合、加工中に共重合物が大気中の水分を吸収するため、目的とするレンズの達成率を高めることは容易ではない。また、切削研磨法は、これらの問題に加え、ベースカーブ、フロントカーブ、およびエッジ部分などを切削、研磨するという精密さを要する工程を数多く含むため、コンタクトレンズを大量に製造するには不向きである。
【0003】
それに対して、切削研磨が不要で、大量生産に適したコンタクトレンズの製造方法として、コンタクトレンズ製造用モールド型を用いてキャスト重合する方法が知られている。しかしこの方法は、体積の小さな型中の界面重合において、モールド型に吸着している酸素分子の影響を受け、重合が阻害され、強度低下や透明性の低下、特に白濁が起こる場合がある。また、この方法で高含水ソフトコンタクトレンズを製造した場合、レンズの膨潤過程における伸び率が高いため、レンズパラメータの精密な制御が難しいという問題もある。
そこで最近、このキャスト重合を用い、しかもパラメータの一定した高含水ソフトコンタクトレンズを製造する方法が用いられている。この方法は、レンズモノマーを、モノマーの重合を阻害しないモノマー希釈剤の存在下、重合し、得られた重合体中に含まれる希釈剤を水や生理食塩水等と置換することによりコンタクトレンズを得るものである。この方法では、レンズの膨潤率を抑えることができ、レンズパラメータの精密な制御が容易になる。
【0004】
例えば、特開平6−289331号(以下、先行技術1という)には、親水性モノマーを、純水、ジオキサン、ジメチルスルフォキサイドから選ばれる水溶性溶液の存在下で重合することによりコンタクトレンズを注型重合する方法が開示されている。重合混合物中の水溶性溶液の含量は、共重合可能な単量体100重量部当たり30〜80重量部であることが推奨されている。
特公平4−49093号(以下、先行技術2という)は、アクリル酸系またはメタクリル酸系単量体を、水で置換し得るホウ酸エステルからなる混合物の存在下で重合することによりコンタクトレンズを静止注型する方法を開示する。ホウ酸エステルとしては、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールまたはそれらの混合物のホウ酸エステルが例示されている。
【0005】
特開平4−110311号(以下、先行技術3という)は、主要な割合の親水性(メタ)アクリレートエステルモノマー、そのアルキル基が少なくとも4つの炭素原子を含むアルキルメタアクリレート、および橋かけモノマーを水で置換できる希釈剤の存在下、注型重合してコンタクトレンズを得ることを開示している。ここで希釈剤は、ある種の2価アルコールのホウ酸エステルである。
米国特許第3,699,089号(以下、先行技術4という)は、親水性モノマーを水または水混和性溶媒の存在下、重合することによってソフトコンタクトレンズを回転注型することを開示している。ここで水混和性溶媒は、エチレングリコール、グリセロール、ジオキサンなどである。
上記先行技術の開示から明らかなように、溶媒または希釈剤は、光学的に透明でかつ優れた機械的強度を有するコンタクトレンズを得るために、モノマーの種類に応じて適宜選択されている。
【0006】
本発明者らの検討によれば、上記先行技術に開示された方法で用いられている希釈剤の存在下で、親水性モノマーおよびアルキルメタクリレートからなるモノマーを注型重合し、かつ希釈剤(または溶媒)の置換を行うことでは、前述の光学的に透明でかつ優れた機械的強度を有するコンタクトレンズを得ることは極めて困難であった。上記先行技術の方法では、光学的に不透明であるレンズや機械的強度の低いレンズしか得られなかった。
【0007】
そこで本発明の目的は、親水性モノマーおよびアルキルメタクリレートからなるモノマーの重合体からなる高含水ソフトコンタクトレンズであって、光学的に透明でかつ優れた機械的強度を有する高含水コンタクトレンズとその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術に鑑みて高含水性であって優れた透明性と高い機械的強度を有するソフトコンタクトレンズを、量産に適した注型重合で製造できないか鋭意研究を重ねた。その結果、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノメチルエーテルを希釈剤として用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、モノマー用希釈剤の存在下、コンタクトレンズ用モノマーを重合させ、得られた重合体中に含まれる上記希釈剤を水溶液と置換することにより含水ソフトコンタクトレンズを製造する方法であって、
前記希釈剤がトリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることを特徴とする製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、モノマー用希釈剤の存在下、コンタクトレンズ用モノマーを重合させ、得られた重合体中に含まれる上記希釈剤を水溶液と置換することにより含水ソフトコンタクトレンズを製造する方法である。このような希釈剤を用いる方法自体は公知であって、本発明の方法においても、重合方法や条件、希釈剤と置換する水溶液や置換方法等は、従来の方法をそのまま利用することができる。具体的な方法については後述する。
【0011】
本発明の特徴は、前記希釈剤がトリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることである。
これらの希釈剤を用いることで、重合後にコンタクトレンズ中の希釈液を水や生理食塩水などの水溶液で置換して含水コンタクトレンズとするときに、レンズの膨潤率を低く抑え、レンズパラメータを均一に精密に制御することができる。さらに、これらの希釈剤は、モールド型中での重合時に発生する重合熱を効果的に奪い、均一性に優れたコンタクトレンズを得ることにも効果を発揮する。
モノマー用希釈剤は、モノマー用希釈剤とコンタクトレンズ用モノマーとの合計量に対して20〜40重量%の範囲で存在させることが適当である。モノマー用希釈剤の量が20重量%未満では、含水コンタクトレンズとしたときの膨潤率を低く抑えることが難しくなる傾向がある。また、40重量%を超えると、得られたレンズの強度が低下する傾向がある。特に、モノマー用希釈剤の量は25〜35重量%の範囲であることが好ましい。
【0012】
本発明の方法では、上記コンタクトレンズ用モノマーは(1)2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2− ピロリドン及びN,N−ジメチルアクリルアミドからなる群から選ばれる2種以上の親水性モノマー、(2)アルキルメタクリレート、及び(3)架橋性モノマーを主成分として含有することが適当である。
上記親水性モノマーは、コンタクトレンズの含水率を調節するために用いられる。特に、2種以上の親水性モノマーを用いることで、高い含水率のコンタクトレンズを得ることができる。これら親水性モノマーは、モノマー用希釈剤とコンタクトレンズ用モノマーとの合計量に対して50〜75重量%の範囲であることが適当である。親水性モノマーの量が50重量%未満では、目的とする高含水ソフトコンタクトレンズを得ることが困難になり、一方、75重量%を超えると、得られたレンズの強度が低下する傾向がある。特に、親水性モノマーの量は55〜70重量%であることが好ましい。
【0013】
アルキルメタクリレート(以下、RMAという)は、レンズの機械的強度を向上させる目的で用いられる。RMAとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートまたは両者を用いることができる。RMAは、モノマー用希釈剤とコンタクトレンズ用モノマーとの合計量に対して3〜20重量%の範囲であることが適当である。RMAの量が3重量%未満では、機械的強度を十分に向上させることができず、また、20重量%を超えると、レンズの柔軟性が低下したり、レンズの表面水漏れ性が低下する場合もある。特に、RMAの量は5〜18重量%であることが好ましい。
【0014】
架橋性モノマーは、コンタクトレンズの変形の防止および機械的強度の向上を目的として使用される。架橋性モノマーは、多価アルコールのジ(メタ)アクリレートまたは分子中に少なくとも一つはアリル基を有するモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーである。多価アルコールのジ(メタ)アクリレートの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、分子中に少なくとも一つはアリル基を有するモノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレートなどを挙げることができる。尚、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を意味する。
これら架橋性モノマーの使用量は、前記親水性モノマーおよびアルキルメタアクリレートの合計量に対して0.1〜2重量%の範囲であることが適当である。0.1重量%未満では、架橋性モノマーを導入した効果が現れにくく、2重量%を超えると、レンズがもろくなり、力学的物性が悪くなる傾向がある。特に、架橋性モノマーの量は0.25〜1重量%であることが好ましい。
【0015】
さらに本発明においては、得られるコンタクトレンズに紫外線吸収能を付与したり、着色するために、共重合成分として、例えば重合性紫外線吸収剤、重合性色素などを用いることができる。
前記重合性紫外線吸収剤の具体例としては、5−クロロ−2−[2−ヒドロキシ−5−(β− メタクリロイルオキシエチルカルバモイルオキシエチル)]フェニル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2− ヒドロキシ−5−(β− メタクリロイルオキシエチルカルバモイルオキシエチル)]フェニル−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−[2−ヒドロキシ−4−(p−ビニルベンジルオキシ−2− ヒドロキシプロピルオキシ)]フェニル−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0016】
前記重合性色素の具体例としては、1,4−ビス(4− ビニルベンジルアミノ) アントラキノン、1−p−ヒドロキシベンジルアミノ−4−p− ビニルベンジルアミノアントラキノン、1−アニリノ−4− メタクリロイルアミノアントラキノンなどが挙げられる。本発明のコンタクトレンズを着色する場合、これらの重合性色素を用いず、建染め浴に漬け染料のロイコ体をレンズ全体に十分含浸させた後、酸化浴に漬けてロイコ体を酸化体に変えて定着させる建染め法を用いても差し支えない。
その他に着色剤として、Alcian Blue 8GX やAlcian Green 2GX等のフタロシアニン系色素も使用することができる。
前記重合性紫外線吸収剤および重合性色素の配合量は、レンズの厚さに影響されるため、共重合成分の5重量%以下、特に好ましくは0.02〜3重量%であることが適当である。配合量が5重量%を超えると、得られるコンタクトレンズの機械的強度が低下する場合があり、また、紫外線吸収剤および色素の毒性を考慮すれば、生体に直接接触するソフトコンタクトレンズとしては適さなくなる傾向がある。
【0017】
本発明においてソフトコンタクトレンズを製造するに際しては、先ず、上記希釈剤とモノマーを含む混合液に重合開始剤を添加して十分に攪拌し、均質なモノマー混合液とする。ここで用いられるラジカル開始剤としては、一般的なラジカル開始剤として知られている、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物や、アゾビスバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。これら開始剤の使用量としては、親水性モノマーおよびアルキルメタアクリレートの合計量に対し、0.1〜1重量%の範囲であることが適当である。
【0018】
上記モノマー混合液は、コンタクトレンズ製造用モールド型に注入した後重合される。このモールド型は、凸面と凹面の曲率をもつ合わせ型であり、金属、ガラス、樹脂などの材質からなることができる。但し、重合物の剥離性がよく、耐溶剤性、耐熱性に優れた材質のものであることが好ましい。また、樹脂製のモールド型は、所望のレンズデザインに必要な形状を有するモールド型を容易に製造できるため好ましい。これらの樹脂材料は、成形収縮が低く、金型からの面転写性が良く、寸法精度及び耐溶剤性に優れるものの中から選択することが好ましく、そのような樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、環状オレフィン系共重合体(例えば、「アペル(APL) 」三井石油化学(株)、「ゼオネックス」日本ゼオン(株))、オレフィン・マレイミド共重合体等を挙げることができる。
モールド型を十分に減圧して型表面の水分や酸素等の反応に影響を及ぼす物質を除去し、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスでパージした後に、モノマー混合液をモールド型へ注入する。また、モノマー混合液を注入する際には、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
【0019】
重合の方法としては、例えば、段階的あるいは連続的に25〜120℃の温度範囲で昇温し、5〜24時間で重合を完結させる方法を挙げることができる。このとき重合炉内を窒素またはアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気とし、かつ大気圧または加圧状態で重合することが望ましい。また、重合に際しては、光重合開始剤を配合した後、紫外線や可視光線などによる光重合法を適用することも可能である。
重合終了後、型から共重合体を取り出し、共重合体中に含まれる希釈剤を水溶液と置換することで含水コンタクトレンズを得る。希釈剤と置換する水溶液は、含水コンタクトレンズに通常含まれる水溶液であれば良く、例えば、水、生理食塩水またはソフトコンタクトレンズ用保存液等を挙げることができる。また、共重合体中の未重合モノマーおよび希釈剤を効率良く除去するために、まず、レンズに対して膨潤度の高いアルコールまたはアルコール/水混合液で置換し、次いで上記水溶液と置換することもできる。
【0020】
本発明は、新規の含水コンタクトレンズも包含する。
本発明の含水コンタクトレンズは、前記親水性モノマー、アルキルメタクリレート、及び架橋性モノマーを主成分として含有するコンタクトレンズ用モノマーの共重合体と水溶液とからなる含水コンタクトレンズである。
親水性モノマー、アルキルメタクリレート及び架橋性モノマー並びにそれらの使用量(共重合体量)は前記製造方法で説明したものと同様のものである。さらに、水溶液の種類も前記製造方法で説明したものと同様のものである。
また、本発明の含水コンタクトレンズは、含水率が50〜70%と高いにも係わらず、突き抜き強度が1100gf/mm 以上と機械的強度も優れている。本発明の含水コンタクトレンズの含水率は、装着感が優れるという観点から、好ましくは55〜70%である。
【0021】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
容量100mlのガラス製サンプル瓶に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAという)18.75g(37.5重量%)、N−ビニル−2−ピロリドン(以下、NVPという)13.5g(27重量%)、エチルメタクリレート(以下、EMAという)5.25g(10.5重量%)、トリエチレングリコール(以下、TEGという)12.5g(25重量%)、ジアリルマレエート(以下、DAMという)0.1875g(HEMA、NVP、EMAの合量に対して0.5重量%)および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)0.15g(HEMA、NVP、EMAの合量に対して0.4重量%)を入れ、十分に攪拌しモノマー混合液を調製した。このモノマー混合液を、ポリプロピレン製のコンタクトレンズ形状をしたモールド型中に入れ、圧力2(kgf/cm)の窒素雰囲気中で、25〜110℃で15時間重合を行った。重合終了後、モールド型より重合物を取り出し、多量の蒸留水中に浸漬することにより希釈剤を除去した。その後、生理食塩水中に浸漬することにより目的とするコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは含水時に透明であり、機械的強度が良好なものであった。
【0023】
このコンタクトレンズを用いて各物性を以下の方法に従って調べた。その結果を表1に示す。
▲1▼透明性
25℃の生理食塩水中でのコンタクトレンズを肉眼観察し、以下の評価に基づき評価した。
〔評価基準〕
○:透明
△:薄く白濁する
×:強く白濁する
【0024】
▲2▼含水率
水和膨潤後、25℃の生理食塩水中で平衡膨潤に達したコンタクトレンズの重量をWw、再乾燥(80℃、4時間)後の重量をDwとしたとき、次式により含水率を算出した。
含水率(%)={(Ww−Dw)/Ww}×100
▲3▼膨潤率
重合後、希釈剤を置換する前のレンズの直径をDd、水和膨潤後、25℃の生理食塩水中で平衡膨潤に達したコンタクトレンズの直径をWdとしたとき、次式により膨潤率を算出した。
膨潤率(%)={(Wd−Dd)/Dd}×100
【0025】
▲4▼突き抜き強度
ステンレス棒の先端に直径1/16インチのスチールボールを取り付けた突き抜き棒を、インストロン万能材料試験機4310型に取り付け、25℃の生理食塩水中で固定されたレンズの中心部分の破断時における突き抜き荷重(g)を測定した。ただし、表1中の値は、破断時の突き抜き荷重をレンズの中心厚(mm)で除した値である。
なお、測定に用いたレンズの中心厚は、0.10〜0.12(mm)の範囲にあった。
【0026】
実施例2〜10
組成を表1に示すように変更したほかは実施例1と同様にしてコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは、含水時に透明であり、機械的強度が良好なものであった。
【0027】
比較例1(特開平6−289331号(先行技術1))
実施例1において、希釈剤として用いたTEGをジメチルスルホキシド(以下、DMSOという)に変更したほかは実施例1と同様にしてコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは、実施例1で得られたコンタクトレンズに比べ、機械的強度の弱いものであった。
【0028】
比較例2(特開平4−110311号(先行技術3))
実施例1において、希釈剤として用いたTEGをジエチレングリコールホウ酸エステル(1) (以下、DEGホウ酸という)に変更したほかは実施例1と同様にしてコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは強く白濁し、コンタクトレンズとして使用できるものではなかった。
(1)82.2重量%のジエチレングリコールを17.8重量%のホウ酸と10mmHgの真空下で80℃の温度で4時間反応させることによって製造された(特開平4−110311号、表2中のエステル番21)。
【0029】
比較例3(特公平4−49093号(先行技術2))
実施例1において、希釈剤として用いたTEGをグリセロールホウ酸エステル(2) (以下、Glyホウ酸という)に変更した他は実施例1と同様にしてコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは強く白濁し、コンタクトレンズとして使用できるものではなかった。
(2)73.5重量%のグリセロールを26.5重量%のホウ酸と10mmHgの真空下で80℃の温度で4時間反応させることによって製造された(特公平4−49093号、実施例2の希釈剤)。
【0030】
比較例4
実施例1において、希釈剤として用いたTEGをジエチレングリコール(以下、DEGという)に変更したほかは実施例1と同様にしてコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは、実施例1で得られたコンタクトレンズに比べ、機械的強度の弱いものであった。
【0031】
比較例5(米国特許第3,699,089号(先行技術4))
実施例1において、希釈剤として用いたTEGをエチレングリコール(以下、EGという)に変更したほかは実施例1と同様にしてコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは、実施例1で得られたコンタクトレンズに比べ、機械的強度の弱いものであった。
【0032】
比較例6(米国特許第3,699,089号(先行技術4))
実施例1において、希釈剤として用いたTEGをグリセロール(以下、Glyという)に変更し、実施例1と同様にモノマー混合液を調製したが、EMAとGlyが分離し、均一なモノマー混合液を得ることができなかった。
【0033】
比較例7(希釈剤を用いない系)
容量100mlのガラス製サンプル瓶にHEMA17.5g(35重量%)、NVP25g(50重量%)、メチルメタクリレート(以下、MMAという)7.5g(15重量%)、DAM0.25g(HEMA、NVP、MMAの合量に対して0.5重量%)およびAIBN0.2g(HEMA、NVP、MMAの合量に対して0.4重量%)を入れ、十分に攪拌しモノマー混合液を調製した。その後、実施例1と同様にしてコンタクトレンズを得た。得られたコンタクトレンズは薄く白濁し、実施例1で得られたコンタクトレンズに比べ膨潤率も大きく、さらに機械的強度の弱いものであった。
【0034】
【表1】
Figure 0003571503
【0035】
表1に示すように、比較例1、4および5のコンタクトレンズは希釈剤を用いたことにより膨潤率は抑えられているものの、機械的強度の弱いものであった。
比較例2および3のコンタクトレンズは白濁し、コンタクトレンズとして使用できるものではなかった。
比較例6ではモノマーと希釈剤が分離したため、均一なモノマー混合液を調製することができなかった。
比較例7のコンタクトレンズは薄く白濁し、また希釈剤を用いずにコンタクトレンズを作製したために膨潤率は大きく、さらに機械的強度の弱いものであった。
【0036】
これに対し、実施例1〜10のコンタクトレンズは、いずれも透明であり、希釈剤を用いない系(比較例7)に比べて膨潤率を抑えることができ、さらに突き抜き強度が1100gf/mm 以上であり、高い機械的強度を有するものであった。これは、特にトリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルらの溶媒を希釈剤として用いたことによる効果である。
【0037】
【発明の効果】
本発明のコンタクトレンズは、高含水性であって優れた透明性と高い機械的強度を有し、かつ本発明の製造方法により量産に適した注型重合で製造できるという利点がある。

Claims (8)

  1. モノマー用希釈剤の存在下、コンタクトレンズ用モノマーを重合させ、得られた重合体中に含まれる上記希釈剤を水溶液と置換することにより含水ソフトコンタクトレンズを製造する方法であって、
    前記コンタクトレンズ用モノマーが
    (1)2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン及びN,N−ジメチルアクリルアミドからなる群から選ばれる2種以上の親水性モノマー、
    (2)アルキルメタクリレート、及び
    (3)架橋性モノマー
    を主成分として含有し、かつ
    前記希釈剤がトリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物であることを特徴とする製造方法。
  2. モノマー用希釈剤とコンタクトレンズ用モノマーとの合計量に対して20〜40重量%のモノマー用希釈剤を存在させる請求項1に記載の製造方法。
  3. コンタクトレンズ用モノマーが、モノマー用希釈剤とコンタクトレンズ用モノマーとの合計量に対して50〜75重量%の親水性モノマーと3〜20重量%のアルキルメタクリレートを含有する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. アルキルメタクリレートが、メチルメタクリレートおよび/またはエチルメタクリレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 架橋性モノマーが、多価アルコールのジ(メタ)アクリレートまたは分子中に少なくとも1つはアリル基を有するモノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーである請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. コンタクトレンズ用モノマーが、親水性モノマーおよびアルキルメタクリレートの合計量に対して、0.1〜2重量%の架橋性モノマーを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. モノマー用希釈剤とコンタクトレンズ用モノマーとの混合液をモールド型中に注入し、共重合させてコンタクトレンズ形状の重合体を得る請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により製造された含水コンタクトレンズであって、含水率が50〜70%であることを特徴とする含水コンタクトレンズ。
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