JP3571332B2 - 選択性ガス富化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定のガス成分の濃度を高める機能を備えた選択性ガス富化ユニットを有する空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、選択性ガス透過膜を用いた酸素富化装置や窒素富化装置など、特定のガス濃度を相対的に向上させる装置が医療用の酸素富化装置、空気調和機、空気清浄機などの機器として提案されている。
例えば酸素濃度を向上させるものとして、分離型空気調和機の室外機に酸素富化手段を設け、その酸素が富化された空気を、送出配管を介して室内機に送り、室内側に放出して被空調空間である室内の酸素濃度を向上させて、居住者の快適性の用に供するものがある(例えば特許文献1)。
一方、特許文献1においても課題として取り上げられているように、酸素富化膜を用いた酸素富化装置では、酸素富化膜は空気成分の大半を占める窒素と分離させ選択的に酸素を透過させるものの、現在実用化されている酸素富化膜は酸素と同時に少なくとも空気中の水分も透過させる特徴を持っている。
即ち、酸素富化膜の1次側の空気に対して、膜を透過した2次側では窒素が分離された分だけ相対的に湿度が高くなり露点が1次側の空気に比べて上昇するため、膜の2次側配管中でしばしば結露水を発生させてしまうことが知られている。
上記結露水が空気調和機の室内機で放散されて、室内を濡らしたり、ユーザに降りかかって不快感を与えたりしないように特許文献1では、室内機において、酸素富化空気の輸送流路に酸素富化空気を冷却して含有水分を結露させる熱交換器とその後流側に水分離器を介装して、水分が室内に飛散するのを未然に防止している。
このように選択性ガス透過膜や、PSA法など吸着材を用いた選択性ガス富化装置では、分離装置の2次側では必然的に相対湿度が上がり、空気の露点が上昇するために結露を発生しやすい。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−113227号公報(図1等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、次のような課題が発生する可能性がある。
即ち、まず第一に少なくとも選択性ガス透過膜の2次側において富化空気の輸送流路が低温雰囲気に暴露される場合(例えば、輸送流路が屋外大気に暴露されており、大気温度が低くなる場合)、輸送流路の内部で結露水が凍結して酸素富化した空気が室内に搬送できなくなる可能性がある。また、第二には輸送流路中に結露水が発生し、それが富化空気の流れによって室内に運ばれる際に「コポコポ」や「コンコン」というような空気脈動や破裂音が発生することがあり、それがユーザの居住する室内側に伝播してユーザに不快感を与える可能性がある。更にはこの結露水が減圧ポンプに逆流すると、内部部品の寿命に影響を及ぼすと共に、万一ポンプが結露水を多量に圧縮すれば、液圧縮により圧縮機構が破損する可能性もある。
【0005】
そこで本発明は、ポンプからの騒音や吐出口に至る通風路で発生する結露水による騒音を防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の空気調和装置は、室外ユニットと室内ユニットから構成される空気調和装置であって、前記室外ユニットには空気の酸素濃度を高める機能を有する酸素富化ユニットと、前記酸素富化された空気を送出するポンプとを具備し、前記室内ユニットには前記ポンプから送出された酸素富化空気の吐出口とを具備し、前記ポンプから前記吐出口に至る通風路の前記ポンプ吐出近傍に多孔質材又は粒状物を充填して構成された消音手段を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明の空気調和装置は、は、室外ユニットと室内ユニットから構成される空気調和装置であって、前記室外ユニットには空気の酸素濃度を高める機能を有する酸素富化ユニットと、前記酸素富化された空気を送出するポンプとを具備し、前記室内ユニットには前記ポンプから送出された酸素富化空気の吐出口とを具備し、前記ポンプから前記吐出口に至る通風路の接続部に通風路多孔質材又は粒状物を充填して構成された消音手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本実施の形態は、ポンプから吐出口に至る通風路に消音手段を設けることで、ポンプからの騒音や吐出口に至る通風路で発生する結露水による騒音を防止することができる。
本実施の形態は、消音手段をポンプ吐出近傍に設けることで、ポンプからの騒音を発生源に近いところで消音することができるとともに、ポンプへの結露水の逆流による浸入を防止することができる。
本実施の形態は、多孔質材又は粒状物を充填して構成された消音手段を設けることで、通風路で発生した結露水を多孔質材又は粒状物によって吸収することができる。
本実施の形態は、酸素富化ユニットとポンプとを室外空間に配置し、吐出口を室内空間に配置したことで、室外から酸素富化の空気を取り出し、室内にこの酸素富化の空気を放出することができるので室内を酸素富化の状態とすることができる。
本実施の形態は、消音手段を室内ユニット側通風路との接続部に設けることで、接続部を利用して消音手段を設けることができるとともに、室内ユニット側に消音手段を設けることで、通風路内の結露水の発生による騒音が室内側に伝搬することを防止することができる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例による選択性ガス富化装置を、室外ユニットと室内ユニットから構成される空気調和装置に適用した場合について説明する。
図1は本実施例による空気調和装置の構成図である。
同図において、空気調和装置は室外ユニット10と室内ユニット20から構成され、冷媒ガスが循環するように接続配管(図示せず)で接続されている。室外ユニット10は、圧縮機11、熱交換器12、及びファン13を有するとともに、一室を隔してガス富化ユニット31、減圧ポンプ32等の選択性ガス富化装置の主な構成部材が設けられている。室内ユニット20は、ファン21や熱交換器22を有するとともに、選択性ガス富化装置の吐出口33が設けられている。
【0009】
選択性ガス富化装置は、選択性ガス透過膜である酸素富化膜を備えたガス富化ユニット31と、ガス富化ユニット31の二次側を減圧する減圧ポンプ32と、ガス富化ユニット31と減圧ポンプ32とを通気可能に連結する酸素供給主管34と、減圧ポンプ32の吐出側に連結された吐出主管36を備えている。
送風管40は、吐出主管36と吐出口33とを接続する配管であり、室外ユニット10から導出し室内ユニット20内に導入されている。また送風管40の一部はトラップ構成をしている。
送風管40には、少なくとも1個所に消音手段50が設けられている。この消音手段50は、通気性に富み結露水を通過させない材質や構造であり、ウレタン材、繊維材、又は不織布等の多孔質材、又は粒状物で構成される。
本実施例においては、消音手段50は、減圧ポンプ32の出口側であってトラップ41の入口側、トラップ41と室内ユニット20との間の送風管40、及び室内ユニット20との接続部の3個所に設けた場合を示している。
また図の拡大図に示すように、消音手段50は、連結パイプ51で構成され、連結パイプ51の両端には通風路との接続部を形成し、連結パイプ51の内部には消音材52を充填している。
なお、ガス富化ユニット31の1次側(大気側)には、滞留する窒素富化空気を掃気するためのファン(図示せず)を配置しておき、選択性ガス富化装置の運転に連動して動作させるとよい。また、ガス富化ユニット31を、室外ユニット10のファン13を有する送風回路内に配置し、ファン13の送風によってガス富化ユニット31の1次側の窒素富化空気を掃気するようにしてもよい。またガス富化ユニット31、減圧ポンプ32、酸素供給主管34及び吐出主管36は、独立したユニットとして構成して、室外ユニット10の枠体に装着する構成としてもよい。
【0010】
一方、吐出口33は、室内ユニット20の筐体内部またはその付近に配置され、室内ユニット20内の送風回路中に配置される場合には、ファン21の動作により吹き出される送風に酸素富化空気が添加されて吹き出し口より室内空間に送出される。また吐出口33は、その近傍に拡管部を有することが好ましく、本実施例では吐出口33を拡管部とした構成を示している。このように拡管部を設けることで、押し出された氷結や結露水を吐出口33からまき散らすことなく、拡管部で一旦受けることで融解・蒸発を促すことができる。なお本実施例に示すように、熱交換器22の風回路の上流側で、熱交換器22の上方に吐出口33を設けることでも結露水などの飛散を防止することができる。
【0011】
上記構成において、減圧ポンプ32が運転されると、ガス富化ユニット31内で酸素富化膜を通過した空気は、酸素供給主管34を通過して減圧ポンプ32に吸い込まれ、酸素富化された空気が吐出主管36、送風管40を順次通過して吐出口33から室内ユニット20内に送出される。
なお、本実施例では、選択性ガス富化装置を居住空間の空気調和に用いる分離型の空気調和装置に適用した場合について説明したが、例えば車両用空気調和装置、一体形空気調和装置に用いてもよく、その他空気清浄機や医療用酸素富化装置、携帯用酸素富化装置、燃焼機器用酸素富化装置、冷蔵庫など鮮度保持に用いる窒素富化装置などに適用してもよい。
また、本実施例では酸素富化膜を用いたガス富化ユニットを用いて説明したが、例えば中空糸膜などの酸素富化を実現できる機能を有すればよく、この場合には、減圧ポンプに代えて加圧ポンプを用い、又は送風装置をポンプとして用いることもできる。
【0012】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、減圧ポンプからの騒音や吐出口に至る通風路で発生する結露水による騒音を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による空気調和装置の構成図
【符号の説明】
10 室外ユニット
20 室内ユニット
31 ガス富化ユニット
32 減圧ポンプ
33 吐出口
34 酸素供給主管
36 吐出主管
40 送風管
50 消音手段
51 連結パイプ
52 消音材

Claims (2)

  1. 室外ユニットと室内ユニットから構成される空気調和装置であって、前記室外ユニットには空気の酸素濃度を高める機能を有する酸素富化ユニットと、前記酸素富化された空気を送出するポンプとを具備し、前記室内ユニットには前記ポンプから送出された酸素富化空気の吐出口とを具備し、前記ポンプから前記吐出口に至る通風路の前記ポンプ吐出近傍に多孔質材又は粒状物を充填して構成された消音手段を設けたことを特徴とする空気調和装置。
  2. 室外ユニットと室内ユニットから構成される空気調和装置であって、前記室外ユニットには空気の酸素濃度を高める機能を有する酸素富化ユニットと、前記酸素富化された空気を送出するポンプとを具備し、前記室内ユニットには前記ポンプから送出された酸素富化空気の吐出口とを具備し、前記ポンプから前記吐出口に至る通風路の接続部に通風路多孔質材又は粒状物を充填して構成された消音手段を設けたことを特徴とする空気調和装置。
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