JP3570121B2 - ナビゲーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加速度センサを用いて移動体の位置を算出するナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来のナビゲーション装置を示す概略構成図であり、図4は従来のナビゲーション装置を示すブロック図である。図3、図4において、11は移動体、12は移動体11の進行方向の加速度を非接触にて検出する加速度センサ、13は移動体11のヨー角動作すなわち垂直軸回りの回転角速度(ヨー角速度)を検出するジャイロセンサ、14は複数個のGPS(Global Positioning System,全地球測位システム)衛星からの電波を受信し、地球上における絶対位置を測定する衛星測位部、15は加速度センサ12で検出された加速度を所定微小時間だけ積分して移動体11の移動速度を求め、求めた移動速度を更に所定微小時間だけ積分して移動距離を求める距離演算部、16はジャイロセンサ13で検出したヨー角速度を所定微小時間だけ積分して移動体11の移動方位角(ヨー角)を求める方位演算部、17は道路情報等の地図情報を記憶する記憶部、18は距離演算部15で演算した移動距離と方位演算部16で演算した移動方位角と衛星測位部14で測定した絶対位置と記憶部17からの地図情報から移動体11の位置を演算する位置演算部、19は位置演算部18で演算された位置と記憶部17から読み出した地図情報とを操作者に表示する表示部である。
【0003】
以上のように構成されたナビゲーション装置について、その動作を説明する。図5は位置演算の概念図である。まず加速度センサ12の出力をΔt時間(所定微小時間)ごとにサンプリングし、次に示す方法で移動体進行方向の移動距離を演算する。ここで、停止中すなわち時刻Δt×0の加速度センサ12の出力をAx(0)、時刻Δt×nでの加速度センサ12の出力をAx(n)、速度をVn、走行距離(移動距離)をΔDnとする。停止中の加速度センサ12の出力は路面の傾斜による重力成分のみであるので、走行中の傾斜変化が無いと仮定すると、移動体11の時刻Δt×nにおける加速度ax(n)は(数1)により算出される。
【0004】
【数1】
【0005】
この加速度ax(n)を用いることにより、速度Vnは(数2)により、走行距離ΔDnは(数3)により算出される。
【0006】
【数2】
【0007】
【数3】
【0008】
(数2)に示すV0は初期速度である。
次に、方位演算部16は、ジャイロセンサ13の出力をΔt時間ごとにサンプリングし、次に示す方法で移動方位角を算出する。ジャイロセンサ13で検出したヨー角速度をWz(n)、初期方位角をθ0とすると、垂直軸回りの回転角すなわち方位角θznは(数4)により算出される。
【0009】
【数4】
【0010】
位置演算部18は、(数3)、(数4)から求められた移動体11の走行距離ΔDn、方位角θznを用いて、図5に示すような考え方(微小時間の走行距離とそのときの方位角とからx、y方向の微小距離を求め、その微小距離を積算するという考え方)に基づいて、次に示す演算を行うことにより、移動体11の位置を計算することができる。すなわち、時刻Δt×nでの方位角をθn、時間周期Δtで時刻Δt×nでの走行距離をΔDn、移動体11の初期位置を(x0、y0)とすると、時刻Δt×nでの位置(xn、yn)は(数5)、(数6)により算出される。
【0011】
【数5】
【0012】
【数6】
【0013】
これにより、移動後の位置が計算される。
しかしながら、移動体11が長時間停止せずに連続走行すると、路面の傾斜変化によるピッチ角変化のために加速度に誤差が生じ、移動速度は加速度を積分演算して求めるために移動速度誤差が累積する。そこで、停止した時点で速度Vnをゼロにリセットすることで移動速度の累積誤差をキャンセルする。
【0014】
衛星測位部14は、GPS衛星と呼ばれる複数個の人工衛星からの電波を受信し、各衛星との距離を求めることで、移動体11の地球上での絶対位置を求める。また、受信した電波のドップラ変移から移動体11の速度VGPSを求める。速度VGPSを用いることで、(数2)で求めた速度Vnの補正を行うことができる。これを(数7)に示す。
【0015】
【数7】
【0016】
(数7)にて速度Vnの補正を行うことにより、連続走行中に生じたピッチ角変化による誤差の累積をキャンセルすることができる。しかし、衛星測位部14で測定された絶対位置は最大で30mから100mの誤差が発生する。また、ビルの陰やトンネルなどのようにGPS衛星からの電波を受信できない場所では、絶対位置および速度を求めることができない。
【0017】
位置演算部18は、(数5)、(数6)で求められた演算位置と衛星測位部14で求められた絶対位置とから推測される現在位置(例えばそれぞれの位置の中間位置)を求め、CD−ROM等で構成される記憶部17に記憶された道路情報を用い、上記現在位置を最も近傍の道路上に補正する。すなわちマップマッチング処理を行う。
【0018】
表示部19は、位置演算部18でマップマッチングにより求めた位置と記憶部17に記憶された地図情報とを重ねて表示し、地図上での移動体11の位置を操作者に対して表示する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のナビゲーション装置では、(数5)、(数6)で求められた演算位置と衛星測位部14で求められた絶対位置とから推測される現在位置を求めるようにしているが、演算位置と絶対位置とのいずれに重きを置くべきかを判別する機能がなく、位置演算の精度が確かなものではないという問題点を有していた。
【0020】
このナビゲーション装置では、演算位置と絶対位置との重み付けを行うことにより位置演算を高精度化することが要求されている。
【0021】
本発明は、演算位置と絶対位置との重み付けを行うことにより位置演算の高精度化が図れるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明によるナビゲーション装置は、複数のGPS衛星の電波を受信し、移動体の絶対位置、移動体の速度を測定する衛星測位部と、移動体の加速度を検出する加速度センサと、移動体のヨー角速度を検出するジャイロセンサと、加速度センサで検出した移動体の加速度から所定微小時間における移動速度および移動距離を演算する距離演算部と、ジャイロセンサで検出したヨー角速度から移動体の方位角を演算する方位演算部と、道路情報等の地図情報を記憶する記憶部と、加速度センサで検出された加速度、ジャイロセンサで検出したヨー角速度および衛星測位部で測定された移動体の速度から距離演算部の信頼度を演算する信頼度演算部と、衛星測位部で測定された移動体の絶対位置、距離演算部で演算された移動距離、方位演算部で演算された方位角、信頼度演算部で演算された信頼度および記憶部に記憶された地図情報から移動体の位置を演算する位置演算部とを有するように構成した。
【0023】
これにより、演算位置と絶対位置との重み付けを行うことにより位置演算の高精度化が図れるナビゲーション装置が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数のGPS衛星の電波を受信し、移動体の絶対位置、移動体の速度を測定する衛星測位部と、移動体の加速度を検出する加速度センサと、移動体のヨー角速度を検出するジャイロセンサと、加速度センサで検出した移動体の加速度から所定微小時間における移動速度および移動距離を演算する距離演算部と、ジャイロセンサで検出したヨー角速度から移動体の方位角を演算する方位演算部と、道路情報等の地図情報を記憶する記憶部と、加速度センサで検出された加速度、ジャイロセンサで検出したヨー角速度および衛星測位部で測定された移動体の速度から距離演算部の信頼度を演算する信頼度演算部と、衛星測位部で測定された移動体の絶対位置、距離演算部で演算された移動距離、方位演算部で演算された方位角、信頼度演算部で演算された信頼度および記憶部に記憶された地図情報から移動体の位置を演算する位置演算部とを有することとしたものであり、距離演算部の信頼度、すなわち移動体の方位角および移動速度から演算された演算位置の信頼度に基づいて移動体の位置が演算されるという作用を有する。
【0025】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、信頼度演算部は、加速度センサで検出された加速度とジャイロセンサで検出されたヨー角速度とから移動体が停止状態か否かを判別し、衛星測位部で測定される移動体の速度情報が消失したか否かを判別し、移動体が停止したと判別してからの経過時間である停止以降経過時間を計時し、衛星測位部で測定される移動体の速度情報が消失したと判別してからの経過時間である消失以降経過時間を計時し、停止以降経過時間および消失以降経過時間に基づいて信頼度を演算することとしたものであり、停止以降経過時間が消失以降経過時間より長いと、移動体の方位角および移動速度から演算された演算位置の信頼度は絶対位置の信頼度よりも低く、停止以降経過時間が消失以降経過時間より短いと、移動体の方位角および移動速度から演算された演算位置の信頼度は絶対位置の信頼度よりも高いという作用を有する。
【0026】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、位置演算部は、距離演算部で演算された移動距離と方位演算部で演算された方位角とから演算される移動体の演算位置と、衛星測位部で測定された移動体の絶対位置とのそれぞれに信頼度に応じた重み付けを行うこととしたものであり、演算位置と絶対位置とのそれぞれの信頼度に応じて位置演算が行われるという作用を有する。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1によるナビゲーション装置を示すブロック図である。図1において、衛星測位部1、加速度センサ2、ジャイロセンサ3、距離演算部4、方位演算部5、記憶部6、位置演算部7、表示部8は図4の衛星測位部14、加速度センサ12、ジャイロセンサ13、距離演算部15、方位演算部16、記憶部17、位置演算部18、表示部19に対応するものであり、説明は省略する。9は衛星測位部1、加速度センサ2、ジャイロセンサ3、距離演算部4の出力信号に基づき距離演算部4の信頼度を演算する信頼度演算部である。
【0028】
以上のように構成されたナビゲーション装置について、その動作を図2を用いて説明する。図2は図1のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【0029】
まず、信頼度演算部9は加速度センサ2およびジャイロセンサ3の出力信号から移動体が停止しているか移動しているかを判別する(S1)。移動していると判別したときは停止時からの経過時間(停止以降経過時間)TSTOPを計時する(S2)。ステップ1で停止していると判別したときは停止以降経過時間TSTOPをクリアする(TSTOP=0とする)(S3)。
【0030】
次に、GPS衛星の捕捉個数を判別する(S4)。捕捉個数が3個以下であると判別したときは捕捉個数が3個以下となったときからの時間、すなわち衛星測位部1から速度情報が出力されなくなった時点(速度VGPSによる速度Vnの補正が行われなくなった時点、(数7)参照)からの経過時間(消失以降経過時間)TGPSを計時する(S5)。ステップ4で捕捉個数が3個より多いと判別したときは消失以降経過時間TGPSをクリアする(TGPS=0とする)(S6)。速度誤差は、前述したように、停止以降経過時間TSTOPまたは消失以降経過時間TGPSの増加と共に増大する。そこで、経過時間TSTOPとTGPSとのうち小さい値の方を用いて信頼度Rを次のように算出する。
【0031】
停止以降経過時間TSTOP≧消失以降経過時間TGPSの場合にはR=C1×TGPSとし、停止以降経過時間TSTOP<消失以降経過時間TGPSの場合にはR=C2×TSTOPとする(S7)。ここで、C1、C2は定数であり、各センサ2、3の検出精度、衛星測位部1の測定精度などによりその値が決定される。位置演算部7は信頼度Rを用いてマップマッチングを行う(S8)。まず閾値Kを用いた位置決定について説明する。
【0032】
信頼度Rが閾値Kよりも大きいときは、距離演算部4演算の移動距離および方位演算部5演算の方位角から演算された演算位置はマップマッチングの情報として用いない。すなわち、衛星測位部1で測定された絶対位置のみからマップマッチングにより位置を決定する。
【0033】
信頼度Rが閾値K以下のときは、信頼度Rを用いて位置を決定する。ここで時刻Δt×nにおける衛星測位部1からの絶対位置を(XGPS,YGPS)、距離演算部4および方位演算部5から求められた演算位置を(XSEN,YSEN)、推測される位置を(X,Y)とすると、推測位置(X,Y)は(数8)により算出される。
【0034】
【数8】
【0035】
(数8)において、0≦(R+C3)≦1であり、C3は定数である。(数8)により算出した位置(X,Y)を用いてマップマッチングにより移動体の位置を決定する。このように推測位置(X,Y)は、絶対位置(XGPS,YGPS)と演算位置(XSEN,YSEN)とを距離演算部4の信頼度Rに応じて重み付けした位置である。このようにして決定された移動体の位置は記憶部6からの地図情報と共に表示部8に表示され、操作者に通知される。
【0036】
以上のように本実施の形態によれば、移動体の位置決定を距離演算部4の信頼度に応じて行うようにしたので、位置演算の高精度化を図ることができ、より正確な位置に移動体の位置を表示することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明のナビゲーション装置によれば、距離演算部の信頼度、すなわち移動体の方位角および移動速度から演算された演算位置の信頼度に基づいて移動体の位置を演算することができるので、位置演算の高精度化を図ることができるという有利な効果が得られる。
【0038】
また、加速度センサで検出された加速度とジャイロセンサで検出されたヨー角速度とから移動体が停止状態か否かを判別し、衛星測位部で測定される移動体の速度情報が消失したか否かを判別し、移動体が停止したと判別してからの経過時間である停止以降経過時間を計時し、衛星測位部で測定される移動体の速度情報が消失したと判別してからの経過時間である消失以降経過時間を計時することにより、停止以降経過時間と消失以降経過時間とを比較して信頼度を演算することができるので、これから位置演算精度の向上を図ることができるという有利な効果が得られる。
【0039】
さらに、距離演算部で演算された移動距離と方位演算部で演算された方位角とから演算される移動体の演算位置と、衛星測位部で測定された移動体の絶対位置とのそれぞれに信頼度に応じた重み付けを行うことにより、演算位置と絶対位置とのそれぞれの信頼度に応じて位置演算が行われることになるので、更に位置演算精度の向上を図ることができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるナビゲーション装置を示すブロック図
【図2】図1のナビゲーション装置の動作を示すフローチャート
【図3】従来のナビゲーション装置を示す概略構成図
【図4】従来のナビゲーション装置を示すブロック図
【図5】位置演算の概念図
【符号の説明】
1 衛星測位部
2 加速度センサ
3 ジャイロセンサ
4 距離演算部
5 方位演算部
6 記憶部
7 位置演算部
8 表示部
9 信頼度演算部
Claims (2)
- 複数のGPS衛星の電波を受信し、移動体の絶対位置および移動体の速度を測定する衛星測位部と、
移動体の加速度を検出する加速度センサと、
移動体のヨー角速度を検出するジャイロセンサと、
前記加速度センサで検出した移動体の加速度から移動速度および移動距離を演算する距離演算部と、
前記ジャイロセンサで検出したヨー角速度から移動体の方位角を演算する方位演算部と、
道路情報等の地図情報を記憶する記憶部と、
前記加速度センサで検出された加速度と前記ジャイロセンサで検出されたヨー角速度とから移動体が停止状態か否かを判別して停止状態にあった移動体が始動してから計時した停止以降経過時間と、前記衛星測位部で速度情報が得られたか否かを判別して前記速度情報が得られなくなってから計時した消失以降経過時間に基づいて前記距離演算部の信頼度を演算する信頼度演算部と、
前記信頼度演算部で算出された信頼度に基づき、前記衛星測位部で測定された移動体の絶対位置と、前記距離演算部で演算された移動距離と前記方位演算部で演算された方位角とから演算される移動体の演算位置と、前記記憶部に記憶された地図情報とから移動体の位置を演算する位置演算部とを有するナビゲーション装置。 - 前記位置演算部は、前記距離演算部で演算された移動距離と前記方位演算部で演算された方位角とから演算される移動体の演算位置と、前記衛星測位部で測定された移動体の絶対位置とのそれぞれに前記信頼度に応じた重み付けを行う請求項1に記載のナビゲーション装置。
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JP31164296A JP3570121B2 (ja) | 1996-11-22 | 1996-11-22 | ナビゲーション装置 |
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Family Applications (1)
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JP31164296A Expired - Fee Related JP3570121B2 (ja) | 1996-11-22 | 1996-11-22 | ナビゲーション装置 |
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