JP3569704B2 - 大気圧プラズマ反応を利用した粉体表面の処理方法 - Google Patents

大気圧プラズマ反応を利用した粉体表面の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、大気圧プラズマ反応を利用した粉体表面の処理方法に関し、さらに詳しくは、大気圧下の高安定性グロー放電プラズマにより高効率で粉体の表面改質を行うことが可能な大気圧プラズマ反応を利用した処理方法に関する。
一般に、プラズマは、気体が強く電離してイオンと電子とに分離し、全体としてほぼ中性であるが、その特性が中性の気体とは異なるものをいうことは周知の通りである。このプラズマは、通常、気体の放電により人工的に得ることができる。
ところで、かかるプラズマの応用技術として、低圧グロー放電プラズマを利用した製膜法や表面改質法が広く知られており、産業的にも種々の分野に応用されている。このような低圧グロー放電プラズマによる表面処理方法の一つとして、いわゆる有機プラズマ方法があり、この有機プラズマ方法は有機化合物気体をプラズマ化することにより薄膜形成、表面改質するものである。さらに、真空容器内におけるプラズマを利用して、ダイヤモンド粉体、超微粒子粉体を製造し、あるいは表面改質する方法も提案されている。
しかしながら、これら従来の低圧グロー放電プラズマによる表面処理法によれば、いずれも10-5〜10-3〔Torr〕程度の真空下での反応であるため、低圧真空装置及び当該設備が必要であり、かつ不連続処理(バッチ処理)等のため、製造に時間がかかり、製造コストが高価なものとならざるを得ないという欠点があった。また、粉体などの表面処理方法の場合には、顔料等の表面を湿式法で樹脂または各種酸、アルカリ、含界面活性剤溶液エーロゾル等で処理し、乾燥、粉砕、分級等の行程を通す必要があることから、設備、処理時間、処理行程等が相当複雑であり、しかも廃液を処理する必要がある欠点があった。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、大気圧下において反応活性が大きく、しかも高安定性の反応ガスプラズマを利用し、気相方法でしかも安価に大量の粉体表面を処理し得る大気圧プラズマ反応を利用した粉体表面の処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の大気プラズマ反応を利用した粉体表面の処理方法は、金属電極を誘電体で覆ってなる高電圧印加電極及び接地電極を有する反応容器内に粉体を入れ、前記反応容器内に希ガス及び/又はモノマーガスを含む反応ガスを導入し、前記高電圧印加電極及び接地電極に電力を供給して大気圧下でプラズマ励起し、前記粉体表面を処理する方法であって、前記反応容器内にメッシュを設けるとともに、メッシュ上に粉体を設置し、メッシュ下部よりガスを送入しながらプラズマ処理することを特徴とし、反応ガスは、さらに他のガス(他ガス)を含む。他ガスとしては、溶剤ガス、有機酸または無機酸のガス、アルカリ性ガス及び含界面活性剤溶液エーロゾルから選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
本発明の大気圧プラズマを利用した粉体表面の処理方法によれば、金属電極を誘電体で覆ってなる高電圧印加電極及び接地電極を有する反応容器の内部に、反応ガスを導入し、被処理物である粉体を設置したメッシュ下部から送入し、金属電極を誘電体で覆って構成した接地電極、高電圧印加電極と導入ガスとの相互作用により大気圧プラズマを安定に発生させて粉体表面を処理するようにしている。
これにより、粉体は、分散性、再分散性、凝集性、沈降防止性、結束性、混練り性等が向上する。
以下、本発明の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の大気圧プラズマ反応装置の一実施形態を示す構成図である。
図1において、例えば耐熱ガラス製のベルジャー反応容器からなる反応容器1は、下容器1aの上に上容器1bが脱着可能となっており、使用時には下容器1aと上容器1bとの間にOリング2を介在させてクランプ3によりジョイントできるようにしてある。反応容器1は、その内部において、上容器1bの一部に粉体の飛散防止のためのフィルター4を設置してあり、さらに下容器1aの底部に粉体が容易に巻き上がり、しかも粉体が底部に滞積し、処理の不都合を生じないようにメッシュ5が敷いてある。前記反応容器1には、真空排気管6が接続してあり、当該反応容器1の使用時に、その内部や粉体中の空気等を除去する必要があるときに、真空排気管6から内部空気等を排出し、10-3〔Torr〕程度を得ている。なお、真空排気管6にトラップが必要なときには、真空排気管6と真空ポンプ(図示せず)との間に設置すればよい。
上記反応容器1の内部中心には接地電極7が直線状に設けられており、この接地電極7の周囲に高電圧印加電極8が螺旋状に設けられている。また、上記反応容器1の下容器1aの周囲には、接地電極9が設けられている。上記接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9は、極性を逆にしてもよく、その場合にも良く放電するが、上記した極性が好適である。接地電極9は、螺旋状のもの、ステンレス等の金属製金網、あるいは金網に誘電体を両面ラミネートしたものを用いることができ、特に金網に誘電体を両面ラミネートしたものが好適である。この場合、電極を被覆する誘電体としては、ガラス、セラミックス、プラスチック等が使用可能であるが、絶縁油を塗布してもよく、また絶縁油を各種ゴムに練り込んだもの及び加硫化ゴム等と架橋反応させたもの等が使用可能である。もちろん、絶縁油を基材等に含浸させ、導電性金属等に巻き付け電極としてもよい。さらには絶縁油を管中に注入し金属電極を挿入し、電極としてもよい。これにより、電極部分が発熱するとき固体誘電体が熱歪み等により変形破壊するのを防止することができる。また絶縁油を使用することにより、循環冷却装置の使用が可能になり、電極部分の発熱を制御することができ、しかも基材温度の上昇に伴いアーク放電に移行するのを防止することも可能である。さらに液体誘電体を使用することにより、放電電極部分の面積の拡大が容易であり、かつ加工、製造しやすい等の利点もある。
希ガス供給管10は、流量計11a、バブリング装置12aを経由して反応容器1の底部に接続されている。また、他ガス供給管13は、流量計11b、バブリング装置12bを経由して反応容器1の底部に接続されている。これら、希ガス供給管10、他ガス供給管13により、単独あるいは混合で、ガスの供給が可能である。また、モノマーガス供給管14は上記同様に流量計11cを介して反応容器1の底部に接続されており、希ガス供給管10とモノマーガス供給管14とにより、単独ガス若しくは混合ガスの供給が可能としてある。これら希ガス供給管10、他ガス供給管13、及びモノマーガス供給管14により、各供給ガスは、流量計11a、11b、11cで流量を調整し、反応容器1の内部に導入される。
前記反応容器1の上容器1bには、排気ガス管15が接続してあり、排気ガス管15の途中にはフィルター16が設けてある。この排気ガス管15で外気中に排気する際には、フィルター4は、排気ガスを通過し粉体を通過させない大きさとすると良く、例えば0.01〜250〔ミクロン〕とすることが望ましい。特に、0.1〜50〔ミクロン〕のものが望ましい。また、反応容器1の内部において、He等希ガスを再利用する場合には、フィルター4は、0.01〜5〔ミクロン〕のものを使用することが望ましい。
粉体サンプルは、メッシュ5の中央部分に置き、供給ガスと供に反応容器1の内部に拡散するようにする。
次に、接地電極7及び高電圧印加電極8の構造について図2及び図3を使用して説明する。
図2は、上記反応容器1内で使用される接地電極7、高電圧印加電極8の具体的構造を示す説明図である。図2において、接地電極7及び高電圧印加電極8は、金属電極17の周囲に誘電体被覆材18で被覆して構成されている。ここで、誘電体被覆材としては、ガラス、セラミックス、プラスチック等が使用可能である。
図3は液体誘電体を使用した際の接地電極7及び高電圧印加電極8の具体的構成を示す説明図である。
図3において、接地電極7及び高電圧印加電極8は、金属電極17の周囲を容器19で覆い、その容器19内部に液体誘電体20を封入して構成する。ここで、液体誘電体20として使用可能なものは、アルキルベンゼン、ポリブテン、五塩化ジフェニール等に代表される炭化水素系合成絶縁油、塩素化合成油、鉱油、シリコーン油、フッ素油等であり、これを単独使用する。単独で使用する場合、金属電極17に使用する金属は、銅よりもアルミニウム、マグネシウム、スズ、亜鉛、ニッケル等の合金、あるいはステンレススチール等が良い。
また、上記接地電極7及び高電圧印加電極8において、金属電極17の周囲に設ける液体誘電体20は、適当な基材に含浸させてもよい。また、これらの液体誘電体20は、他の樹脂やゴム等と練り込むか、架橋硬膜したものでもよい。比較的低電力で使用する場合には、高密度ポリエチレン、ニトリルゴム、ウレタンゴム等のゴム系が取扱い易い。他にポリビニールアルコール及びポリビニールアセタールの架橋タイプのものが使用可能である。
また、容器19の材料としては、耐熱ガラス、アルミナ系セラミックス、チタン酸バリウム系セラミックス等がより実用的である。例えば、耐熱ガラスの管で構成した容器19の中にシリコン(GE社、SF96)等を封入して接地電極7あるいは高電圧印加電極8としてもよい。
次に、上記構成の反応容器1の内部にて、プラズマ放電させる動作を以下に説明する。
まず、反応容器1の内部に導入するガスは大気圧グロー放電の安定化に重要な要素であり、以下に詳細に説明する。
希ガスとしては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)等のガスが使用可能である。
モノマーガスとしては、不飽和炭化水素、ハロゲンその他の官能基を有し若しくは有しない炭化水素類が使用可能である。特に、ハロゲン官能基を有する炭化水素類としては、例えばCF4、C24、C38、(CH33B等のものが良い。
他ガスとして使用する溶剤ガスの溶剤としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、アセタール、ケトン、エステル、多価アルコールとその誘導体、脂肪酸及びフェノール、窒素化合物、イオウ、リンその他の化合物、無機溶剤等を含む。処理する粉体の種類により前記他ガスを適時選択することができるが、これらの溶剤ガスを単体又は混合して使用することも可能である。他ガスとして使用する有機酸としては、カルボン酸(RCOOH)、スルホン酸(RSO3)、スルフィン酸(RSO2 )、フェノール(ArOH)、エノール(RCH=C(OH)R、チオフェノール(ArSH)、イミド(RCONHCOR)、オキシム(RCH=NOH)、芳香族スルホナミド(ArSONH)、ニトロ化合物(RCH2NO22CHNO2)が使用可能であるが、ギ酸、マレイン酸、フマール酸等の単独、あるいは、水、アルコール溶剤等の溶解物が良い。無機酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等が使用可能である。
他ガスとして使用する含界面活性剤溶液エーロゾルとしては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、シリコン系、フッ素及びフロロカーボン系、炭化水素系、脂肪酸及びアミド系、エステル系、アルコール系、金属セッケン等の単独又は水、溶剤等の溶解物が使用される。
添加量としては、0.001〔ppm〕〜50〔%〕、好ましくは0.01〔ppm〕〜5〔%〕の添加が望ましい。
次に、処理可能な粉体について以下に説明する。
ここに、処理可能な粉体としては、有機物、無機物の粉体なら何でも良い。
まず、処理可能な粉体として有機物粉体を説明すると、有機物粉体には、有機顔料、有機染料、澱粉蛋白質粉、脂肪粉、炭水化物粉体、ビタミン粉体、酵素粉体、樹脂微粉体、有機物炭化微粉体、セルロース及びその誘導体粉体等が含まれる。特に、有機顔料では、a)中性型ニトロ系として、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、アジン系が、b)陽イオン系として、トリフェニールメタン系、キサンテン系が、c)陰イオン系として、アゾ系、トリフェノールメタン系が、d)その他として、アントラキノン系、ジオキサジン系、キナクリドン系が、e)カーボンブラック(ボーンブラック)等が考えられる。一方、有機染料としては、アゾ系、アゾメタル複合体、アゾメチン系、ダイアリライド系、モノアゾ系、アンサンスロン系、ピランスロン系、ペリオン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アンスラピリミディン系、フタロシアニン系、インダンスロン系、ニグロシン、ペリノン系、キノリン系、クマリン系、チオインディゴ系等が含まれる。
次に、処理可能な粉体として無機物粉体について説明すると、無機物粉体には、無機顔料、すなわち無機化合物より構成されるところの白色顔料、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化ケイ素(SiO2)、タルク、酸化カルシウム(CaO)、燐酸カルシウム系、燐灰石、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、水銀(Hg)、鉛(Pb)、アンチモン(Sb)等有色遷移元素より構成された物、及び硫黄(S)、セレン(Se)を含む顔料、金属微粉末等が含まれる。
さらに、処理可能な粉体として土壌一次鉱物について説明すると、土壌一次鉱物には、a)正ケイ酸塩として、白雲母、黒雲母、緑濂石、ジルコンが、b)メタケイ酸塩として、透角閃石が、c)多ケイ酸として、正長石、曹長石、灰長石、斜長石、d)酸化物として、石英、磁鉄鉱、チタン鉄石が、f)リン酸塩として燐灰石が、g)炭酸塩として石灰石が含まれる。
加えて、処理可能な粉体として土壌二次鉱物について説明すると、土壌二次鉱物には、粘土鉱物、カオリナイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト、イライト、バーミキュライト、モンモリロナイト、ハイデライト、ノンロナイト、サポナイト、クロライト、アタパルジャイト、ギブサイト、ヘマタイト、ゲータイト、ライモナイト、ピロルサイト、アロフェン等が含まれる。
また、処理可能な粉体としてセラミックスについて説明すると、セラミックスには、金属酸化物として、チタン酸バリウム(BaTiO3)系、酸化アルミニウム(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化トリウム(ThO2)、PLZT系、フェライト系、カルコゲン系、酸化物ガラス系、希土類コバルト系、及びそれらの多相形セラミックスが含まれる。
さらに、処理可能な粉体として非酸化物系について説明すると、非酸化物系には、炭素、炭化珪素(SiC)系、炭化チタン(TiC)、窒化ホウ素(BN)、硫化カドミウム(CdS)及びそれらの多相系セラミックスが含まれる。
なお、処理可能な粉体としてセメントについて説明すると、セメントには、ポルトランドセメント、マグネシアセメント、アルミナセメント、シリカセメント等が含まれる。
大気圧プラズマ処理を行うに際しては、まず上述した粉体を適当量秤量し、反応容器1の上容器1bを外して反応容器1の下容器1aの内部(メッシュ5の中央部分)に装填しあるいは導入した後、上容器1bを下容器1aに装着し、これら下容器1aに上容器1bをクランプ3でもってジョイントする。
また、必要なガスを、希ガス供給管10、他ガス供給管13、及び又はモノマーガス供給管14を介して反応容器1の内部に導入し、メッシュ5下部から送入して、粉体が供給ガスと供に反応容器1の内部に拡散するようにするとともに、接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に電圧を印加することにより、大気圧プラズマ処理を行う。
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1
第1処理方法について以下に説明する。2〔g〕の処理品シリカ粉体を反応容器1の内部に装填し、毎分2000〔ml〕の希ガス(ヘリウム(He))を希ガス供給管10を介して反応容器1の内部に導入し、接地電極7、高電圧印加電極8及び接地電極9に電圧を印加して、大気圧プラズマ処理を10分間行った。この際に、接地電極7、高電圧印加電極8等の誘電体としてPEを使用し、それら接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に周波数が23〔kHz〕の交流電圧を印加した。このとき、放電開始電力は、150〔W〕であった。
上述のようにして大気圧プラズマ処理を行った結果についての評価は次のようにした。
分散性の評価については、0.2〔g〕の処理済みシリカ粉体を分散瓶に採取し、20.0〔ml〕の蒸留水を添加してペイントシェーカーで分散した。また、溶剤に対する分散沈降速度については、0.2〔g〕の処理済みシリカ粉体を分散瓶に採取し、20.0〔ml〕のMEK(メチルエチルケトン)を添加してペイントシェーカーで分散した。メデイア無添加、分散時間10分経過した後、分散液の一部を採取し、石英セルに入れ、紫外、可視分光光度計で沈降速度を測定した。分散程度の良いビヒクルは、顔料の沈降速度が一般に遅く、透過率も低い値を相対的に示した。沈降速度が速いと、上澄み液は時間の経過に伴なって透過率を増大させるので、透過率を時間の経過と共に測定し、沈降速度とした。粉体の粒径、比重等により、透過率は変化するので同じ粉体間での相対的比較とした。
尚、透過率は顔料の種類、溶剤などにより異なるが、設定後、9分、30分、90分ごとに透過率を測定した。透過率の値は、波長700〔ミリミクロン〕における各時間での値を示してある。
また、凝集性については、沈降後、分散液中の粉体の凝集性を見た。さらに、再分散性については、沈降後、その分散液を振った後に、再分散性を見た。
無処理のシリカ粉体に関しても、同様な分散をし、測定を行った。
また、混練り性に関しては、未処理粉及び処理粉末を0.5〔g〕だけ秤量し、予め溶解していたアクリロニトリルゴム溶液(固形部分20〔%〕のMEK溶液)の10〔g〕で混練りし、グラインドゲージで粒径を測定した。未処理の物と比較して、ヘリウム(He)処理したものは、水分散系で良好な分散性、再分散性、凝集性、混練り性が認められた。なお、上述した評価及び処理条件については、表1に記載した。
Figure 0003569704
また表1において、混練り評価基準(分散粒子径〔μ〕ヘグマンゲージ)は、◎は5、○は5〜10、△は10〜15、×は15〜25という基準で記載している。なお、以下の表においても同様とする。
実施例2
次に、第2処理方法について説明する。上記第1処理方法と同様にしてシリカ粉体を反応容器1に装填し、毎分2000〔ml〕の希ガス(He)を希ガス供給管10を介して反応容器1の内部に導入すると共に、毎分2000〔ml〕のモノマーガス(CF4)をモノマーガス供給管14を介して反応容器1の内部に導入し、接地電極7、高電圧印加電極8及び接地電極9に電圧を印加して、大気圧プラズマ処理を10分間行った。この際に、接地電極7、高電圧印加電極8等の誘電体としてPEを使用し、それら接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に周波数が25〔kHz〕の交流電圧を印加した。このとき、放電開始電力は、150〔W〕であった。
上述のようにして大気圧プラズマ処理を行った結果についての評価は、次のようにし、その結果を表2に記載した。表2には処理条件も記載されている。
処理品シリカ粉体0.2〔g〕を分散瓶に秤量し、蒸留水及びMEK20.0〔ml〕を添加し、第1処理方法と同様に分散を行い評価した。CF4処理シリカ粉体の場合は、表2からも分かるように、第1処理方法とは逆に、溶剤MEKに対する分散性、再分散性、凝集性、混練り性の向上が認められた。
Figure 0003569704
実施例3
第3処理方法について以下に説明する。上記第1処理方法と同様にしてシリカ粉体を反応容器1に装填し、毎分2000〔ml〕の希ガス(He)を希ガス供給管10を介して反応容器1の内部に導入すると共に、他ガスとしてギ酸をバブリング方法で他ガス供給管13を介して反応容器内に導入し、接地電極7、高電圧印加電極8及び接地電極9に電圧を印加して、大気圧プラズマ処理を10分間行った。この際に、接地電極7、高電圧印加電極8等の誘電体としてガラス容器19の内部に液体誘電体20を封入したものを使用し、それら接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に周波数が28〔kHz〕の交流電圧を印加した。このとき、放電開始電力は、75〔W〕であった。
上述のようにして大気圧プラズマ処理を行った結果についての評価は、次のようにし、その結果を表3に記載した。表3には処理条件も記載されている。
上記第1の方法と同様に蒸留水、MEKによる分散結果は、表3からも分かるように、MEKにおいて、分散性、再分散性、凝集性、混練り性の向上が認められた。
Figure 0003569704
なお、接地電極7あるいは高電圧印加電極8は、図3に示すように、金属電極17としてアルミを使用し、ガラス管19の中に液体誘電体20としてGE社のシリコン油(SF96−100)を入れたものを使用してプラズマ放電を行ったところ、均一なグロー放電が安定して得られた。
さらに、接地電極7、高電圧印加電極8等に印加する電力として、200〔W〕に上げ、30分連続処理を試みたところ、安定なグロー放電を維持し続けた。放電終了後、接地電極7、高電圧印加電極8等は、発熱も無いことから、液体誘電体の冷却効果があることがわかった。したがって、大出力プラズマ処理する場合、液体誘電体を使用することにより、液体誘電体自体を循環冷却装置で連続冷却をすることが可能になることから、アーク放電への移行も防止可能になり、非常に好都合である。加えて、上述した構成の接地電極7あるいは高電圧印加電極8の場合、固体誘電体と金属電極を張り合わす必要がなく、金属とガラス等のように熱膨張率の違いによって生じる破壊も無く、安定したグロー放電が長時間得られることが分かった。
実施例4
第4処理方法について以下に説明する。上記第1処理方法と同様にしてシリカ粉体を反応容器1に装填し、毎分2000〔ml〕の希ガス(He)を希ガス供給管10を介して反応容器1の内部に導入すると共に、他ガスとしてフロロカーボン(スリーエム社 FC431)の1%水溶液をHeガスでバブリング(6mml/分)して他ガス供給管13を介して反応容器内に導入し、接地電極7、高電圧印加電極8及び接地電極9に電圧を印加して、大気圧プラズマ処理を10分間行った。この際に、接地電極7、高電圧印加電極8等の誘電体としてPEを使用し、それら接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に周波数が24〔kHz〕の交流電圧を印加した。このとき、放電開始電力は、75〔W〕であった。
上述のようにして大気圧プラズマ処理を行った結果についての評価は、次のようにし、その結果を表4に記載した。表4には処理条件も併せて記載した。
上記第1の方法と同様に蒸留水、MEKによる分散結果は、表4からも分かるように、MEKにおいて、分散性、再分散性、凝集性、混練り性の向上が認められた。
処理済みシリカ粉体を実施例1と同様に蒸留水、MEKで分散し測定した。表4からも分かるように、MEKに対して分散性、再分散性、凝集性、混練り性の向上が認められた。
Figure 0003569704
実施例5
第5処理方法について、以下に説明する。上記第1処理方法と同様にして、2〔g〕のカーボンブラック粉体を反応容器1に装填し、毎分2000〔ml〕の希ガス(He)を希ガス供給管10を介して反応容器1の内部に導入し、接地電極7、高電圧印加電極8及び接地電極9に電圧を印加して、大気圧プラズマ処理を10分間行った。この際に、接地電極7、高電圧印加電極8等の誘電体としてPEを使用し、それら接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に周波数が22〔kHz〕の交流電圧を印加した。このとき、放電開始電力は、75〔W〕であった。
このようにして処理済みカーボンブラック粉体0.2〔g〕を分散瓶に採取し、蒸留水20.0〔ml〕を添加し、ペイントシェーカーで10分間分散した。以下、第1処理方法と同様に測定した。同時に未処理のカーボンブラックに対しても同様に行い比較した。
このような測定結果を表5に示す。表5からも分かるように、未処理のカーボンブラックに対し、He処理カーボンブラックは、著しく分散性、再分散性、凝集性、混練り性の向上が認められた。
Figure 0003569704
実施例6
第6処理方法について、以下に説明する。上記第1処理方法と同様にして、2〔g〕のカーボンブラック粉体を反応容器1に装填し、毎分2000〔ml〕の希ガス(He)を希ガス供給管10を介して反応容器1の内部に導入すると共に、他ガスとしてメタノールをHeガスでバブリング(6mml/分)して他ガス供給管13を介して反応容器内に導入し、接地電極7、高電圧印加電極8及び接地電極9に電圧を印加して、大気圧プラズマ処理を10分間行った。この際に、接地電極7、高電圧印加電極8等の誘電体としてPEを使用し、それら接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に周波数が22〔kHz〕の交流電圧を印加した。このとき、放電開始電力は、75〔W〕であった。
その処理条件及び処理結果を表6に記載した。
処理済みカーボンブラックの粉体0.2〔g〕を分散瓶に採取し、蒸留水20.0〔ml〕を添加し、ペイントシェーカーで10分間分散した。以下、上記第1処理方法と同様に測定した。これにより、表6からも分かるように、カーボンブラック粉体に対して、分散性、再分散性、凝集性、混練り性の向上が認められた。
Figure 0003569704
実施例7
第7処理方法について、以下に説明する。上記第1処理方法と同様にして、2〔g〕のアパタイト粉体を反応容器1に装填し、毎分2000〔ml〕の希ガス(He)を希ガス供給管10を介して反応容器1の内部に導入すると共に、他ガスとしてギ酸をHeガスでバブリング(6mml/分)して他ガス供給管13を介して反応容器1の内部に導入し、接地電極7、高電圧印加電極8及び接地電極9に電圧を印加して、大気圧プラズマ処理を10分間行った。この際に、接地電極7、高電圧印加電極8等の誘電体としてガラスを使用し、それら接地電極7、高電圧印加電極8、接地電極9に周波数が24〔kHz〕の交流電圧を印加した。このとき、放電開始電力は、75〔W〕であった。その処理条件及び処理結果を表7に記載した。
ギ酸処理したアパタイトは、表7からも分かるように、MEK分散において分散性、再分散性、凝集性、混練り性の向上が認められた。なお、未処理アパタイト粉体の評価も表7に記載した。
Figure 0003569704
以上、代表的な粉体、希ガス、モノマーガス、他ガスについての処理方法とその処理結果の評価について説明したように、本発明の実施例では、粉体の種類により、その処理ガスを変えることにより、水系、溶剤系のどちらの系にも分散性、再分散性、凝集性、混練り性を向上させることが可能になる。これは、従来の粉体の分散に対して、当該発明を適用することにより従来分散不可能であったものが分散可能になることを意味し、粉体の種類によっては溶解性をも改良可能であることを示し、簡単にその粉体表面の改質が可能となることを示している。
また、接地電極7、高電圧印加電極8等に液体誘電体20を使用することにより、容易にその放電電極部分の拡大が可能になり、しかも安価に製造可能である。しかも、循環冷却装置の併用により、長時間連続処理に対しても放電電極部分の温度が制御でき、安定な放電が持続可能になり、一層応用範囲が広がることが期待できる。
以上説明したように、本発明によれば、粉体の種類により、その処理ガスを変えることにより、水系、溶剤系のどちらの系にも分散性、再分散性、凝集性、混練り性を向上させた粉体を得ることが可能になり、かつ簡単にその粉体表面の改質が可能になるという効果がある。
本発明の大気圧プラズマ反応装置の実施例を示す構成図である。 同実施例で使用される接地電極、高電圧印加電極の一構成例を示す図である。 同実施例で使用される接地電極、高電圧印加電極の他の構成例を示す図である。
符号の説明
1・・・反応容器、1a・・・下容器、1b・・・上容器、2・・・Oリング、3・・・クランプ、4・・・フィルター、5・・・メッシュ、7・・・接地電極、8・・・高電圧印加電極、9・・・接地電極、10・・・希ガス供給管、13・・・他ガス供給管、14・・・モノマーガス供給管、17・・・金属電極、18・・・誘電体被覆材、19・・・容器、20・・・液体誘電体

Claims (1)

  1. 金属電極を誘電体で覆ってなる高電圧印加電極及び接地電極を有する反応容器内に粉体を入れ、前記反応容器内に希ガス及び/又はモノマーガスを含む反応ガスを導入し、前記高電圧印加電極及び接地電極に電力を供給して大気圧下でプラズマ励起し、前記粉体表面を処理する方法であって、反応ガスとして、さらに溶剤ガス、有機酸または無機酸のガス、アルカリ性ガス及び含界面活性剤溶液エーロゾルから選ばれる少なくとも1種の他ガスを用い、前記反応容器内にメッシュを設けるとともに、メッシュ上に粉体を設置し、メッシュ下部よりガスを送入しながらプラズマ処理することを特徴とする大気圧プラズマを利用した粉体表面の処理方法。
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