JP3568566B2 - 二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガス用脱硝装置の使用方法 - Google Patents
二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガス用脱硝装置の使用方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガス用脱硝装置の使用方法に係り、特に起動時、停止時のガスタービン排ガスのように二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガス中のNOX を低減するに好適な脱硝装置の使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電所、各種工場、自動車などから排出される窒素酸化物(NOX )は、光化学スモッグや酸性雨の原因物質であり、その効果的な除去方法として、アンモニア(NH3 )を還元剤とした脱硝触媒による排煙脱硝法が火力発電所を中心に幅広く用いられている。近年の電力需要増加、特に夏期電力需要の増加に対応するため、ガスタービンの建設、または、ガスタービンとHRSG(排熱回収装置: HEAT RECOVERY STEAM GENERATER)を組み合わせたコージェネレーションシステムの建設が急増している。ここでは後者を例にとり説明する。
【0003】
図3に、脱硝触媒装置6を内蔵したHRSGの一例を示す。ガスタービン9から排出された排ガス2はHRSG1へ導かれ、過熱器3で熱回収された後、NH3 注入装置5にてNH3 を注入混合されて、1次蒸発器4aと2次蒸発器4bとの中間に設けられた脱硝触媒装置6にて、NOX が除去され、クリーンガスとなって節炭器7を経て、煙突8より排出される。排ガス中の熱エネルギーは過熱器3、蒸発器4a、4b、節炭器7で回収される。
【0004】
従来の上記HRSGの運転方法は、脱硝触媒装置6の入口側(1次蒸発器4aと脱硝触媒装置6との空間部)で、排ガスの温度を測定し、排ガス温度が、210℃となった時点で、NH3 注入装置5からNH3 の注入を開始するという方法をとっていた。なお、HRSGで発生した蒸気は、蒸気タービン10に送られ発電用動力を発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、起動時および停止時の排ガス温度が低い時点においては、排ガス中の二酸化窒素(以下NO2 と記す)とNH3 とが反応して生成する硝酸アンモニウム(以下NH4 NO3 と記す)の析出を回避するため、NH4 NO3 の分解温度である210℃以上に排ガス温度が達した時点でNH3 を注入する運転方法をとっていた。
【0006】
ところが上記方法では、排ガス温度がこの温度に達するまで排ガス中のNOX は除去できずに排出されていたため、最近特に厳しくなりつつあるNOX 総量排出規制等の制限から、早期に脱硝装置の起動および、プラント停止ぎりぎりまで脱硝装置を運転するという要求に対応できない場合があった。他方、早期起動のシステムとしてガスタービン排ガスをHRSG内の脱硝装置6前流側へバイパスして排ガス温度の早期上昇を図る方法(特願昭60−153535号、特開昭62−014922号公報)も提案されているが、バイパス回路設置による設備費の増大、運転制御の複雑さという問題があり、より安価な解決法が所望されていた。
【0007】
本発明の目的は、プラントの起動時、停止時の排ガス温度が低い領域においても安価、簡便なシステム、運転方法にてNOX 排出量をできるだけ低減する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1)二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガスを、アンモニア注入装置と脱硝触媒を備えた脱硝装置に導入し、排ガス中にアンモニアを注入して脱硝触媒により窒素酸化物を接触還元する脱硝装置の使用方法において、前記排ガス中の窒素酸化物中に占める二酸化窒素の比率を求め、この比率より求めた理論脱硝率が得られる排ガス温度を前記脱硝触媒の温度特性カーブより求め、この温度に基づき前記アンモニア注入装置のアンモニア注入開始、または停止する排ガス温度を100〜200℃の範囲で設定することを特徴とする二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガス用脱硝装置の使用方法。
【0009】
【実施例】
本発明に至った着眼点は、NH3 の注入開始を早めるためには、硝酸アンモニウム(NH4 NO3 )の生成要因となるNO2 を除去すれば良いという点である。NH4 NO3 の生成を式で表わすと次のようになる。
2NO2 +2NH3 → NH4 NO3 +N2 +H2 O (1)
ガスタービンでは、燃料ガスと燃焼空気との予混合による緩慢な燃焼を行なうためNOからNO2 への酸化が促進され、その排ガス中のNO2 の割合が従来ボイラのバーナによる燃焼によって発生する排ガス中のNO2 の割合約5%以下に比較して高くなる傾向にあり、起動時、40%程度に達することもある。この高比率のNO2 も総NOX の50%を越えない範囲においては、上記脱硝方法によりNOX 中から選択的にNO2 を除去可能である。というのは、NOとNO2 が共存する排ガスの脱硝反応は、次式の順で反応が進むためである。
【0010】
NO+NO2 +2NH3 → 2N2 + 3H2 O (2)
NO+NH3 + 1/4O2 → N2 + 3/2H2 O (3)
NO2 + 8/6NH3 → 7/6N2 +2H2 O (4)
今、NOX 中のNO2 の比率をaとして(a≦0.5)(2)式の反応が完了する脱硝率を求めると下記のようになる。
【0011】
【数1】
【0012】
すなわち、aが10%の時、NO2 が脱硝装置出口で消失するときの理論脱硝率は20%となる。実際にガスタービン排ガス中のNOX に対するNO2 の割合を測定すると、10〜30%程度であった。このことより、NO2 が脱硝装置出口で消失する時の理論脱硝率は20〜60%となる。
図1はそれぞれ温度特性の異なる3つの触媒A、B、Cの反応温度に対する脱硝率の関係を示したものである。このカーブより、脱硝率が20〜60%となる温度範囲を求めると100〜200℃となる。排ガス温度がこの温度領域であれば、従来使用されている一般の脱硝触媒を用いた脱硝装置では、脱硝装置出口NO2 をほぼ完全に除去することができるため、NH3 を注入開始することができる。
【0013】
以上のように本発明は、まず排ガス中のNOX 中のNO2 比率を測定して、その比率の2倍を必要理論脱硝率として定義し、この脱硝率が得られる排ガス温度を触媒の温度特性カーブより求め、NH3 注入開始温度として設定し運転するという方法をとる。実際の運転上でのNH3 注入開始温度は上記の温度に5〜10℃の裕度を見込んで設定し、触媒温度上昇の遅れや排ガス温度のバラつきなどに対処することになる。
【0014】
本発明と従来技術の差をまず説明すると、既述したように従来技術では、NH4 NO3 の分解温度である210℃をNH3 注入開始温度として設定していた。この理由は、仮にNH4 NO3 が析出した場合においても分解除去するという考えに基づいているもので、コンバインドサイクルと比較して、起動、停止、負荷変化頻度の少ない従来ガス焚ボイラの排ガスのNH3 注入開始温度として、採用されてきた。
【0015】
本発明を採用し、210℃より低い排ガスでNH3 を注入した場合、NH4 NO3 の析出が生じないかをまず検討した。というのは、本発明においても脱硝装置前流側では未反応のNO2 とNH3 が共存するためである。ガスタービン排ガスの起動時のNO2 を測定し、脱硝装置前流側NH3 濃度を仮定してNH4 NO3 の析出温度を計算すると90〜95℃になった。これに対し、NH3 注入開始時点での脱硝装置前流側の管群温度は100℃以上となり、管群へのNH4 NO3 の析出は起こらないことになる。
【0016】
また脱硝装置後流側管群の温度は、NH4 NO3 の析出温度より低くなるが、前述した本発明の運転では脱硝装置後流側へのNO2 の流出はないのでNH4 NO3 の析出はなく問題とはならない。
図2は、起動時の脱硝装置入口ガス温度と入口NOX 濃度の運転データを示す。従来技術である210℃でNH3 注入を開始した場合の起動時刻は、図2中上側のカーブから1.2hであるのに対し、図1にて示す触媒CのNH3 注入開始温度に相当する130℃でのNH3 注入開始時刻は、図2中上側のカーブから0.9hとなり、0.3hの脱硝装置の起動時間短縮を図ることが可能となった。
【0017】
本発明の上記実施例ではコンバインドサイクルのシステムの1つであるHRSG用の脱硝装置を主として説明したが、ガスタービンの排ガスを熱回収せずに脱硝処理するシンプルサイクル用の脱硝装置についても適用可能である。後者の場合は、脱硝装置の前、後流に管群がないので、管群へのNH4 NO3 付着は考慮する必要はないが、粉塵として脱硝装置後流側へNH4 NO3 が飛散するのを防止するという意味で、NH3 注入開始温度が決まり、本発明を適用することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、ガスタービン起動、停止時の排ガス温度が低いときでも排出NOX 量を低減することができ、厳しい排ガス規制に対応可能な高性能の脱硝装置の運転が可能となる。一方、他の早期起動方法、例えば、高温排ガスの脱硝装置へのバイパス方式等が多額の設備費用を要するのに対して、本発明は極めて安価な方法でNOX の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒の脱硝率と反応温度との関係を示す図。
【図2】起動時間と、脱硝装置入口NOX 濃度および同入口ガス温度の運転データを示す図。
【図3】HRSGに脱硝装置を組み込んだ装置を示す図。
【符号の説明】
1…排熱回収ボイラ、2…排ガス流、3…過熱器、4a…1次蒸発器、4b…2次蒸発器、5…NH3 注入装置、6…脱硝触媒、7…節炭器、8…煙突、9…ガスタービン装置、10…蒸気タービン装置。
Claims (1)
- 二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガスを、アンモニア注入装置と脱硝触媒を備えた脱硝装置に導入し、排ガス中にアンモニアを注入して脱硝触媒により窒素酸化物を接触還元する脱硝装置の使用方法において、前記排ガス中の窒素酸化物中に占める二酸化窒素の比率を求め、この比率より求めた理論脱硝率が得られる排ガス温度を前記脱硝触媒の温度特性カーブより求め、この温度に基づき前記アンモニア注入装置のアンモニア注入開始、または停止する排ガス温度を100〜200℃の範囲で設定することを特徴とする二酸化窒素と一酸化窒素を含有する排ガス用脱硝装置の使用方法。
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