JP3567844B2 - モノリス担体の欠陥検査方法及び欠陥検査装置 - Google Patents

モノリス担体の欠陥検査方法及び欠陥検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノリス担体の規則的な格子状パターンの良否等のモノリス担体の欠陥を検査する検査方法及び検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の検査方法においては、例えば、モノリス担体の格子状に配列したパターンを撮像し、この撮像画像から個々のパターンを特定してその形状を評価して検査を行うようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、規則的配列個数が多いモノリス担体に対しては、上記検査方法では、パターン形状の計測精度を十分に確保するために、高倍率の画像入力が必要となる。
【0004】
このため、画面あたりの視野(写る領域)が狭くなり、数多くの画像入力処理が必要となり、その結果、画像記憶メモリの増大や処理時間の増大を招くという不具合がある。
【0005】
このような問題に対し、特開平6−242013号公報では、規則的な繰り返しパターンをもつ検査対象物の広範囲の画像データを入力し、この画像データに対して所定の演算処理を行って、欠陥を検査する装置が提案されている。具体的には、画像データをフーリエ変換により空間周波数データに変換し、この空間周波数データから繰り返しパターンに対応する周波数領域をマスクする。そして、マスクした空間周波数データをフーリエ逆変換して画像データを復元し、この画像データに基づき繰り返しパターンの欠陥の検査をする。
【0006】
上記のように、繰り返しパターンに対応する周波数領域をマスクすることにより、マスクされた空間周波数データにおいて不規則に生ずる欠陥に対応する周波数成分の比率が高められる。このため、復元された画像データにおいて、欠陥部分が強調して表示されるので、欠陥を容易に検出できる。
【0007】
しかしながら、上記公報に開示された欠陥検査方法を、モノリス担体に適用した場合、以下の問題が生ずることが本発明者等の検討により明らかとなった。即ち、モノリス担体においては、繰り返しパターンである格子状パターンがモノリス担体の外縁まで達しており、外縁が格子状パターンを遮るように形成されている。このため、規則的な格子状パターンに対応する周波数成分のみを除去しても、モノリス担体の外形形状による影響が残るので、欠陥に対応する成分を十分に強調することができない。従って、復元された画像データに基づき、高精度に欠陥を検査することができない。
【0008】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、モノリス担体の外形形状の影響を極力排除し、高精度に欠陥検査を行うことが可能な欠陥検査方法及び欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、モノリス担体特有の欠陥である格子の欠落等も高精度に検査可能な欠陥検査方法及び欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明では、
所定形状の外縁を有し、この外縁によって囲まれる領域に規則的な格子状パターンが形成されるモノリス担体(S)の検査面を撮像し、画像データとして出力する撮像手段(10、20、4060、200、201、210)と、
画像データをフーリエ変換して空間周波数データとするフーリエ変換手段(133)と、
空間周波数データから、規則的な格子状パターンに対応する周波数成分を中心とする所定の大きさの円形状の領域の周波数データを除去することにより、外縁の形状及び格子状パターンに対応する周波数成分を減衰した周波数データを作成する周波数データ作成手段(133a)と、
この周波数データ作成手段によって作成された周波数データをフーリエ逆変換して画像データを復元するフーリエ逆変換手段(134)と、
復元された画像データを複数の領域に分割し、各領域における画像データの信号の分散を求め、相対的に分散の大きな領域の信号の振幅を大きくする演算手段(135)と、
演算手段によって振幅が大きくされた画像データに基づいて、モノリス担体の検査面における格子状パターンの欠陥の有無を判定する判定手段(140)と
を備える。
【0011】
このように、空間周波数データから、規則的な格子状パターンに対応する周波数成分を中心とする所定の大きさの円形状の領域の周波数データを除去することにより、外縁の形状及び格子状パターンに対応する周波数成分を減衰した周波数データを作成するので、この周波数データのフーリエ逆変換結果を用いれば、モノリス担体の外形形状の影響を極力排除し、高精度に欠陥検査を行うことが可能となる。また、振幅が大きくされた画像データに基づいてモノリス担体の検査面における格子状パターンの欠陥の有無を判定するので、欠陥の検査感度をも向上できる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
撮像手段よりも高い倍率で撮像可能な高倍率撮像手段(30、60、50、200、201、210)と、
判定手段によって格子状パターンに欠陥があると判定されたとき、その欠陥部位を高倍率撮像手段によって撮像した高倍率画像データに基づいて、欠陥の程度が許容範囲内か否かを決定する決定手段(14乃至145)とをさらに有し、この決定手段によって許容範囲外であると決定されたとき、モノリス担体を不良品とみなすことを特徴とする。
【0013】
これにより、請求項1に記載の欠陥検査精度をより一層向上できる。
【0020】
請求項に記載の発明では、
所定形状の外縁を有し、この外縁によって囲まれる領域に規則的な格子状パターンが形成されるモノリス担体の検査面を撮像し、画像データとして出力する工程と、
画像データをフーリエ変換して空間周波数データとする工程と、
空間周波数データから、規則的な格子状パターンに対応する周波数成分を中心とする所定の大きさの円形状の領域の周波数データを除去することにより、外縁の形状及び格子状パターンに対応する周波数成分を減衰した周波数データを作成する工程と、
作成された周波数データをフーリエ逆変換して画像データを復元する工程と、
復元された画像データを複数の領域に分割し、各領域における画像データの信号の分散を求め、相対的に分散の大きな領域の信号の振幅を大きくする工程と、
前記信号振幅が大きくされた画像データに基づいて、モノリス担体の検査面における格子状パターンの欠陥の有無を判定する工程とを備えることを特徴とする。
【0021】
これにより、請求項1に記載の発明の作用効果を達成できるモノリス担体の欠陥検査方法を提供できる。
【0022】
また、請求項に記載の発明では、請求項に記載の発明において、格子状パターンに欠陥があると判定されたとき、その欠陥部位を画像データよりも高倍率の高倍率画像データとして取り込み、この高倍率画像データに基づいて、欠陥の程度が許容範囲内か否かを決定する工程を有し、欠陥の程度が許容範囲外であると判定されたとき、モノリス担体を不良品とみなすことを特徴とする。
【0023】
これにより、請求項2に記載の発明の作用効果を達成できるモノリス担体の欠陥検査方法を提供できる。
【0030】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。図1は、本発明に係る撮像式欠陥検査装置の一例を示している。
【0032】
この欠陥検査装置は、XYテーブル装置10を備えており、このXYテーブル装置10は、Xテーブル11、Yテーブル12及び、それぞれのテーブルを駆動する各モータ13、14を備えている。
【0033】
Xテーブル11は、モータ13により駆動されてYテーブル12と共にX軸方向(図1にて左右方向)に移動するようになっている。Yテーブル12は、モータ14により駆動されてXテーブル11上に沿いY軸方向(図1にて紙面に直角な方向)に移動するようになっている。
【0034】
Yテーブル12上には、載置板12aが載置されており、この載置板12a上には、被検査体S(本実施形態では、モノリス担体)が載置されている。ここで、この被検査体Sの検査面には、格子状パターン(図5参照)が形成されている。なお、この格子状パターンは無歪みのとき正常な格子状となっている。
【0035】
また、当該欠陥検査装置は、低倍率カメラ20及び高倍率カメラ30を備えている。図1において、低倍率カメラ20は、その受光部21にて、Yテーブル12の右側部を臨むように、Yテーブル12の上方に支持されている。この低倍率カメラ20は、被検査体Sの検査面を、照明光源40による照明のもと、撮像して撮像データを出力する。本実施形態では、低倍率カメラ20の撮像範囲は、約100mm×100mmの範囲である。
【0036】
一方、図1において、高倍率カメラ30は、その受光部31にて、Yテーブル12の左側部を臨むように、Yテーブル12の上方に支持されている。この高倍率カメラ30は、被検査体Sの検査面を、照明光源50による照明のもと、撮像して撮像データを出力する。本実施形態では、高倍率カメラ30の撮像範囲は、約7mm×7mmの範囲である。
【0037】
照明光源40は、低倍率カメラ20の右側方から被検査体Sを照明するように図1にて示す位置に支持されている。一方、照明光源50は、高倍率カメラ30の左側方から被検査体Sを照明するように図1にて示す位置に支持されている。なお、両照明光源40、50の各照明光は、被検査体Sの検査面上にて相互に重ならないようになっている。
【0038】
A−D変換器60は、低倍率カメラ20の撮像データ及び高倍率カメラ30の撮像データをそれぞれ低倍率撮像データ及び高倍率撮像データにデジタル変換しマイクロコンピュータ70に出力する。
【0039】
マイクロコンピュータ70は、図2乃至図4にて示すフローチャートに従いコンピュータプログラムを実行し、この実行中において、被検査体Sの検査面の欠陥検査のための処理及びCRT80の表示処理をする。なお、マイクロコンピュータ70のROMには、上記コンピュータプログラムが予め記憶されている。
【0040】
以上のように構成した本実施形態において、マイクロコンピュータ70が図2及び図3のフローチャートに示すコンピュータプログラムの実行を開始すると、まず、図2のステップ100において、XYテーブル装置10のステージ移動処理がなされる。具体的には、被検査体Sを載置板12a上に載置できるようにXテーブル11及びYテーブル12が両モータ13、14により移動処理される。これに伴い、被検査体Sが図1にて例示するごとく載置板12a上に載置される。なお、被検査体Sの検査面は上方に向いている。
【0041】
然る後、ステップ110において、XYテーブル装置10の低倍率検査ステーションへ向けてのステージ移動処理がなされる。即ち、被検査体Sの検査面が低倍率カメラ20の撮像範囲に入るような位置に、Xテーブル11及びYテーブル12が両モータ13、14により移動処理される。
【0042】
このように被検査体Sが低倍率検査ステーションに置かれると、低倍率カメラ20が、被検査体Sの検査面に対する照明光源40による照明のもと、被検査体Sの検査面を低倍率にて撮像し撮像データをA−D変換器60に出力する。
【0043】
すると、A−D変換器60は低倍率カメラ20からの撮像データをデジタル変換し低倍率撮像データとしてマイクロコンピュータ70に出力する。これに伴い、ステップ120において、当該低倍率撮像データがマイクロコンピュータ70に入力される。
【0044】
その後、欠陥候補検出ルーチン130における処理がなされる(図4参照)。この欠陥候補検出ルーチン130においては、ステップ131において、上記低倍率撮像データがメモリデータTとしてマイクロコンピュータ70のRAMに一時的に記憶される。
【0045】
ついで、ステップ132において、被検査体Sであるモノリス担体の格子状パターンが形成されている円形領域を抽出し、モノリス担体の外縁部分を除く領域を検査領域データRとして上記RAMに一時的に記憶する。
【0046】
そして、ステップ133において、メモリデータTが2次元フーリエ変換処理され、この処理データ(周波数成分を表す)をメモリデータTfとして、上記RAMに一時的に記憶する。
【0047】
ここで、モノリス担体の画像データを2次元フーリエ変換処理した場合、その処理データには、繰り返しパターンである格子状パターンに対応する周波数成分と、その繰り返しパターンを遮るモノリス担体の外形形状(円形)に対応する周波数成分とが含まれることになる。このため、格子状パターンに対応する周波数成分のみを減衰しても、依然としてモノリス担体の外形形状に対応する周波数成分が除去されていないので、格子状パターンの欠陥を示す欠陥信号が強調できない。
【0048】
従って、本実施形態においては、格子状パターンに対応する周波数成分の減衰のみでなく、モノリス担体の外形形状に対応する周波数成分をも減衰することにより、欠陥信号を強調し、欠陥検査精度を向上することとした。
【0049】
具体的には、格子状パターンに対応する周波数成分を中心とする所定の大きさの円形状の周波数領域のメモリデータTfをマスクして除外する。これにより、メモリデータTfから、繰り返しパターンに対応する周波数成分と繰り返しパターンでない外形形状に対応した周波数成分の両者を十分に減衰させることが可能となる。以下、その理由について詳細に説明する。
【0050】
モノリス担体の画像f(図8(a)参照)は、次の数1の式に基づき、繰り返しパターン信号gと繰り返しのない外形形状パターン信号hとの積算により表現できる。
【0051】
【数1】
f=g×h
ここで、f、g、hのフーリエ変換像をそれぞれF、G、Hとすると、Fは、次の数2の式により与えられるGとHとの畳み込み積分となる。
【0052】
【数2】
F=G*H
ここで、図6(a)にて示すモノリス担体の格子状パターンをデジタル画像信号としてとり込み、この画像信号に対して2次元フーリエ変換を行った場合、そのフーリエ変換像は、図6(b)に示すようなものになる。つまり、格子状パターンから生成される繰り返しパターン信号gのフーリエ変換像Gは、繰り返しパターンに対応した周波数において離散的にインパルス状に高いパワースペクトルを示す。
【0053】
従って、外形形状パターン信号hの影響がない場合には、繰り返しパターンに対応した周波数成分のみをマスクして除去することにより、繰り返しパターンに対応した周波数成分を減衰することができる。この場合、周波数空間における微小な領域をマスクするだけであるので、繰り返しパターンの欠陥に対応した不規則周波数成分は殆ど除去されない。よって、繰り返しパターンに対応した周波数成分のみをマスクした後の周波数データをフーリエ逆変換することにより、画像データに格子状パターンの欠陥が良好に再現される。
【0054】
しかしながら、モノリス担体の画像データのフーリエ変換後の周波数データには、外形形状パターン信号hの影響があり、単に繰り返しパターンに対応した周波数成分のみを除去しても、格子状パターンの欠陥を強調することはできない。
【0055】
図7(a)は、モノリス担体の外形形状(円形)に対応した画像を示しており、図7(b)はその画像信号をフーリエ変換した場合のフーリエ変換像を示している。図7(b)にて示されるように、外形形状パターン信号hのフーリエ変換像Hは、周波数空間において低域周波数成分の値が高く、かつ広がりをもったパターンとなる。なお、フーリエ変換像Hのピークの周波数はゼロであり、直流成分が最も強いことを示している。
【0056】
上述のように、モノリス担体の画像fのフーリエ変換像Fは、繰り返しパターン信号gのフーリエ変換像Gと外形形状パターン信号hのフーリエ変換像Hとの畳み込み積分となる。従って、そのフーリエ変換像Fは、図8(b)に図示されるように、フーリエ変換像Gのインパルスにフーリエ変換像Hの広がり成分を重畳させたパターンとなる。
【0057】
そこで、ステップ133aの規則的成分除去処理では、フーリエ変換像Gのインパルス状のパワースペクトルを示す周波数領域のみでなく、インパルスに重畳したフーリエ変換像Hの広がり成分をも除去できるように、インパルス状パワースペクトルの周波数成分を中心とする所定の大きさの円形状の周波数領域のデータをマスクして除外する。これにより、周波数データからフーリエ変換像Hの低周波数成分が取り除かれる。
【0058】
ここで、フーリエ変換像Hの高周波数成分は、そのまま周波数データに残ることになるが、その高周波数成分は、モノリス担体の外縁に対応する信号である。従って、高周波数成分を含む周波数データをフーリエ逆変換した場合、外縁に囲まれた格子状パターンが形成される領域の画像データに対するその高周波数成分の影響はごく僅かである。換言すると、この高周波数成分は、フーリエ逆変換によって復元された画像データにおいて、外縁近傍部分でのみ影響を及ぼす。
【0059】
ここで、モノリス担体は、その外縁近傍には、格子状パターンによって囲まれる形状が四角形状とはならない部分をもつ。通常、この部分は、モノリス担体が、例えば、エンジンの排気ガスを浄化するために排気管に装着されるときには、排気ガスが流通しないようにマスクされる。従って、モノリス担体の外縁近傍部分は、欠陥の有無を検査する必要がない。よって、周波数データにフーリエ変換像Hの高周波数成分が含まれていても、欠陥検査を行う上で実用上問題とならない。
【0060】
ステップ134では、ステップ133の処理により規則成分が除去されたメモリデータTfを2次元フーリエ逆変換する。
【0061】
次に、ステップ135では、2次元フーリエ逆変換処理により復元された画像データに対して、欠陥強調処理を行う。
【0062】
上述のように、本実施形態では、フーリエ変換像Gのインパルスに重畳したフーリエ変換像Hの広がり成分をもマスクして除去することにより、モノリス担体の外形形状の影響を排除した。しかし、この処理は、空間周波数領域の多くの部分をマスクすることになるので、復元後の画像データにおいて、欠陥信号の成分も同時に低減することになる。従って、復元後の画像データから欠陥候補個所を検出するには、S/N比が十分でなく、欠陥個所に対応する欠陥信号を強調することが好ましい。
【0063】
ここで、復元された画像データについて検討したところ、正常な格子状パターンを有する部位においても高周波ノイズが再現されているが、欠陥の存在部位では、欠陥信号の周波数成分によってその高周波雑音の振幅が増大していることを突き止めた。
【0064】
このため、この振幅の変化を協調するために、欠陥協調処理として局所分散処理を行う。この局所分散処理とは、画像データを多数の局所領域に分割し、各局所領域における信号の分散を求め、相対的に分散の大きな局所領域の信号の振幅を増大させる処理である。
【0065】
その後、ステップ135aにおいて、ステップ135で欠陥協調処理がなされた処理データに対して、その振幅が所定値以上であるか否かを基準として2値化処理を行い、この2値化処理データがメモリデータTfとして更新され、上記RAMに一時的に記憶される。
【0066】
次に、ステップ136において、ステップ131のメモリデータTが局所平均化処理される。具体的には、メモリデータTにより表される格子状パターン(図5(a)参照)の縦横に1周期分ずつ平均化処理され、メモリデータTbとして上記RAMに一時的に記憶される。
【0067】
以下、ステップ136における処理について詳細に説明する。ステップ133乃至ステップ135aの処理は、図5(b)に示すような欠陥を検出するのに非常に有効である。図5(b)に示す欠陥では、格子状パターンの一部が歪んでいるので、その歪んだ格子の両サイドで高周波数成分、低周波数成分の欠陥信号が生成されるためである。つまり、高周波数成分と低周波数成分の欠陥信号により画像データの振幅が増大されるので、局所分散処理において分散値が増大し易い。
【0068】
しかしながら、格子の一部が欠落した場合や、正常な格子パターンに付加的に異常な格子が形成された場合には、高周波数成分もしくは低周波数成分のどちらか一方の欠陥信号しか生成されず、上記の処理によって確実にその欠陥を検出することは困難となる。
【0069】
このため、ステップ136では、格子の一部が欠落した欠陥や、正常な格子パターンに付加的に異常な格子が形成された欠陥を効果的に検出するために、格子パターンの1周期ずつ画像データの信号振幅を平均化処理する。これにより、格子パターンの一部が欠落した場合には、その平均値が異常に低下し、一方、付加的に異常な格子が形成された欠陥については、その平均値が異常に上昇する。
【0070】
このようにして平均化処理されたデータに対して、ステップ136aにて2値化処理を行い、この2値化処理後のデータをメモリデータTbとして更新し、上記RAMに一時的に記憶させる。
【0071】
そして、ステップ137において、非検査領域のマスク処理を行う。具体的には、ステップ135aにおけるメモリデータTfと検査領域データRとが乗算処理され、メモリデータTfとして更新される。また、ステップ136aにおけるメモリデータTbと検査領域データRとが乗算処理され、メモリデータとして更新される。これにより、上記マスク処理が終了する。
【0072】
そして、ステップ138において、両更新データTf、Tbがラベリング処理される。このラベリング処理では、2値化された両更新データTf、Tbから欠陥候補位置に対応して所定の表示を行うべく、欠陥候補位置に表示データを付与する。
【0073】
最後に、ステップ139において、被検査体Sの検査面における格子状パターンの欠陥候補位置が、上記ラベリング処理結果に基づいて、CRT80に表示される。
【0074】
以上のようにして、欠陥候補検出ルーチン130の処理が終了すると、図3のステップ140において、欠陥候補検出ルーチン130の処理結果に基づき、被検査体Sの検査面における格子状パターンに欠陥候補が有るか否かが判定される。
【0075】
ここで、欠陥候補がなければ、ステップ140における判定がNOとなり、ステップ161において、被検査体Sは良品と判定される。
【0076】
一方、ステップ140における判定がYESとなると、ステップ141において、被検査体Sがその検査面にて高倍率カメラ30の撮像範囲に入るような位置(以下、高倍率検査ステーションという)に、Xテーブル11及びYテーブル12が両モータ13、14により移動処理される。
【0077】
被検査体Sが高倍率検査ステーションに置かれると、高倍率カメラ30が、被検査体Sの検査面に対する照明光源50による照明のもと、被検査体Sの検査面を、上記欠陥候補の位置を含む領域にて高倍率でもって撮像し撮像データをA−D変換器60に出力する。
【0078】
すると、A−D変換器60は高倍率カメラ30からの撮像データをデジタル変換し高倍率撮像データとしてマイクロコンピュータ70に出力する。これに伴い、ステップ142において、当該高倍率撮像データがマイクロコンピュータ70に入力される。
【0079】
ついで、ステップ143において、高倍率撮像データが2値化処理され、ステップ144にて、当該2値化処理データがラベリング処理される。このラベリング処理では、欠陥候補位置における格子によって囲まれる各領域を特定する。
【0080】
その後、ステップ145において、特定された格子によって囲まれる各領域の重心位置を算出する。つまり、格子の形状評価を行うためのパラメータとして、その格子によって囲まれる領域の重心位置を利用するのである。ステップ150では、算出した重心位置が正常な格子とみなせる範囲にあるか否かに基づいて、正常か否かを判定する。
【0081】
現段階にて、欠陥候補に残りがあれば、ステップ160にてNOとの判定のもと、ステップ141以後の処理が繰り返される。また、ステップ160における判定がYESとなれば、被検査体Sは良品と判定する。
【0082】
ステップ150における判定が上述とは逆にNOとなる場合には、ステップ151において、被検査体Sは不良品と判定される。
【0083】
以上説明したように、本実施形態では、被検査体Sの検査面の低倍率画像から欠陥候補位置を特定し、然る後、上記検査面の欠陥候補位置を含む領域の高倍率画像から被検査体Sが良品か否かを判定する。
【0084】
ここで、被検査体Sの低倍率画像は被検査体Sの検査面の広い領域に亘る画像であるから、上記欠陥候補位置決定にあたり、一画面でもってより多くの欠陥候補の位置の検査が可能となる。従って、被検査体Sの検査面の非常に狭い領域の高倍率画像でもって欠陥候補位置を決定する場合に比べて、画面数を大幅に低減できる。
【0085】
換言すれば、上述のように、低倍率検査の結果の欠陥候補のみを高倍率で検査すればよいから、被検査体Sの良否判定に要する画面数が、従来のように高倍率だけで検査する場合に比べて大幅に減少され、大容量の記憶メモリを必要とすることもなく、同一の精度で検査可能となる。
【0086】
よって、被検査体Sの良否の判定精度を高めつつ、当該被検査体Sの良否を判定する要する処理時間を大幅に短縮できる。
【0087】
図9は、上記実施形態の変形例を示している。
【0088】
この変形例においては、産業用ロボット200が、上記実施形態にて述べたXYテーブル装置10に代えて採用されている。
【0089】
この産業用ロボット200は、適宜な固定治具上に載置した被検査体Sの近傍に位置している。当該産業用ロボット200は、そのロボットハンド201をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動するようになっている。
【0090】
そして、この産業用ロボット200は、ロボットハンド201にてズームカメラ210を把持した状態で、このズームカメラ210により被検査体Sの検査面(本変形例では、この検査面は、上記実施形態と異なり、X方向に位置している)を低倍率或いは高倍率にて撮像するように、ロボットハンド201を移動する。その他の構成は上記実施形態と同様である。
【0091】
このように構成した本変形例において、上記実施形態と同様に、コンピュータプログラムが図2のステップ110に達すると、産業用ロボット200が、ズームカメラ210を被検査体Sの検査面に対し低倍率検査ステーションの位置に移動する。これに伴い、ズームカメラ210は、被検査体Sの検査面を低倍率にて撮像して撮像データとしてA−D変換器60に出力する。すると、このA−D変換器60の変換による低倍率撮像データがステップ120にてマイクロコンピュータ70に入力される。
【0092】
その後、当該低倍率撮像データに基づき欠陥候補検出ルーチン130の処理が、上記実施形態と同様になされる。
【0093】
また、上記実施形態と同様に、コンピュータプログラムが図3のステップ142に進むと、産業用ロボット200が、ズームカメラ210を被検査体Sの検査面に対し高倍率検査ステーションの位置に移動する。これに伴い、ズームカメラ210は、被検査体Sの検査面を高倍率にて撮像して撮像データとしてA−D変換器60に出力する。すると、このA−D変換器60の変換による高倍率撮像データがステップ142にてマイクロコンピュータ70に入力される。
【0094】
その後、当該高倍率撮像データ及び欠陥候補検出ルーチン130の処理結果である欠陥候補に基づきステップ143以後の処理が上記実施形態と同様になされる。
【0095】
このように、産業用ロボット200及びズームカメラ210を用いても、上記実施形態と同様の作用効果を達成できる。この場合、本変形例では、上記実施形態にて述べたように低倍率カメラ20及び高倍率カメラ30の双方に代えて、単一のズームカメラ210で済むので、この種検査装置の構成がより一層簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る検査装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1のマイクロコンピュータ70の作用を示すフローチャートの前段部である。
【図3】図1のマイクロコンピュータ70の作用を示すフローチャートの後段部である。
【図4】図2の欠陥候補検出ルーチン130の詳細フローチャートである。
【図5】(a)は、被検査体Sの検査面を表す撮像画像を示す模式図であり、(b)は、(a)の符号Aで示す欠陥候補を表す模式的拡大図である。
【図6】(a)は、モノリス担体の格子状パターン画像を示す図であり、(b)は、当該モノリス担体の格子状パターンのフーリエ変換像を示す図である。
【図7】(a)は、モノリス担体の外形形状の画像を示す図であり、(b)は、当該モノリス担体の外形形状の像のフーリエ変換像を示す図である。
【図8】(a)は、モノリス担体の画像を示す図であり、(b)は、当該モノリス担体の画像のフーリエ変換像を示す図である。
【図9】上記実施形態の変形例を示す産業用ロボット、ズームカメラ及び被検査体の概略側面図である。
【符号の説明】
10…XYテーブル装置、20…低倍率カメラ、30…高倍率カメラ、
40、50…照明光源、60…A−D変換器、70…マイクロコンピュータ、
200…産業用ロボット、210…ズームカメラ、S…被検査体。

Claims (4)

  1. 所定形状の外縁を有し、この外縁によって囲まれる領域に規則的な格子状パターンが形成されるモノリス担体(S)の検査面を撮像し、画像データとして出力する撮像手段(10、20、4060、200、201、210)と、
    前記画像データをフーリエ変換して空間周波数データとするフーリエ変換手段(133)と、
    前記空間周波数データから、前記規則的な格子状パターンに対応する周波数成分を中心とする所定の大きさの円形状の領域の周波数データを除去することにより、前記外縁の形状及び前記格子状パターンに対応する周波数成分を減衰した周波数データを作成する周波数データ作成手段(133a)と、
    この周波数データ作成手段によって作成された周波数データをフーリエ逆変換して画像データを復元するフーリエ逆変換手段(134)と、
    前記復元された画像データを複数の領域に分割し、各領域における画像データの信号の分散を求め、相対的に分散の大きな領域の信号の振幅を大きくする演算手段(135)と、
    前記演算手段によって振幅が大きくされた画像データに基づいて、前記モノリス担体の検査面における格子状パターンの欠陥の有無を判定する判定手段(140)と
    を備えることを特徴とするモノリス担体の欠陥検査装置。
  2. 前記撮像手段よりも高い倍率で撮像可能な高倍率撮像手段(30、60、50、200、201、210)と、
    前記判定手段によって前記格子状パターンに欠陥があると判定されたとき、その欠陥部位を前記高倍率撮像手段によって撮像した高倍率画像データに基づいて、前記欠陥の程度が許容範囲内か否かを決定する決定手段(14乃至145)とをさらに有し、
    この決定手段によって許容範囲外であると決定されたとき、前記モノリス担体を不良品とみなすことを特徴とする請求項1に記載のモノリス担体の欠陥検査装置。
  3. 所定形状の外縁を有し、この外縁によって囲まれる領域に規則的な格子状パターンが形成されるモノリス担体の検査面を撮像し、画像データとして出力する工程と、
    前記画像データをフーリエ変換して空間周波数データとする工程と、
    前記空間周波数データから、前記規則的な格子状パターンに対応する周波数成分を中心とする所定の大きさの円形状の領域の周波数データを除去することにより、前記外縁の形状及び前記格子状パターンに対応する周波数成分を減衰した周波数データを作成する工程と、
    前記作成された周波数データをフーリエ逆変換して画像データを復元する工程と、
    前記復元された画像データを複数の領域に分割し、各領域における画像データの信号の分散を求め、相対的に分散の大きな領域の信号の振幅を大きくする工程と、
    前記信号振幅が大きくされた画像データに基づいて、前記モノリス担体の検査面における格子状パターンの欠陥の有無を判定する工程と
    を備えることを特徴とするモノリス担体の欠陥検査方法。
  4. 前記格子状パターンに欠陥があると判定されたとき、その欠陥部位を前記画像データよりも高倍率の高倍率画像データとして取り込み、この高倍率画像データに基づいて、前記欠陥の程度が許容範囲内か否かを決定する工程を有し、
    前記欠陥の程度が許容範囲外であると判定されたとき、前記モノリス担体を不良品とみなすことを特徴とする請求項に記載のモノリス担体の欠陥検査方法。
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