JP4518979B2 - 微細な試料を可視化する装置と方法、微細な格子の乱れを可視化する装置と方法 - Google Patents

微細な試料を可視化する装置と方法、微細な格子の乱れを可視化する装置と方法 Download PDF

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Description

本発明は微細な試料や微細な格子の乱れを可視化する装置と方法に関する。詳しくは、格子状の光透過特性を備える対象物に光を照射し、回折によって形成される像を画像データとして取得し、その画像データに復元処理を実施することによって、その対象物に載置された試料や、その対象物にもともと備わっている格子の乱れを可視化する装置と方法に関する。
近年、電気産業分野におけるデジタル化が進む中で、半導体集積回路の集積度の向上が盛んに行われている。そして、このように高度に集積された半導体集積回路を如何に効率良く低コストで提供できるかが、今後のデジタル電気産業の発展を左右する重要な課題となっている。
半導体集積回路ではフォトマスクを利用して回路パターンを形成する。集積度の向上に伴い回路パターンの微細化が進み、それを形成するために利用するフォトマスクの形状も微細化が進んでいる。
半導体集積回路を低コストで効率良く生産するためには、製造プロセス中に発生する問題を迅速に且つ正確に検出することが重要である。このため、フォトマスクの形状などの微細パターンを精度良く観察し、健全性を検査できる技術に対する需要が高まっている。
このように微細な構造を観察する技術は、他の技術分野においても待望されている。例えば生物化学の分野では、ペプチドやタンパク質を始めとする生体高分子の研究が盛んに行われている。生体高分子の特性を評価する際には、高分子の組成を正確に把握する必要があり、数nm程度の微細な分子構造を観察する技術が待望されている。
高い解像度を有する観察装置としては、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)や原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)等を用いたものが知られている。しかしながら、これら走査電子顕微鏡や原子間力顕微鏡は、観察に真空を必要とするので取り扱いが不便である。また1回の観察にある程度の時間を要するため、例えば半導体デバイス全体を検査する場合や、生体高分子を含む試料を網羅的に観察する場合に、長時間を要するという問題がある。さらに装置そのものが高価であり、観察を行うために要する費用が高いという難点もある。
このような背景から、光学顕微鏡を始めとする光学式の観察装置が注目されている。光学式の観察装置には、非破壊で観察することができ、真空を必要とせず、非接触で検査ができるという利点がある。近年、非線形光学結晶を用いてYAGレーザ等を波長変換することにより紫外光を出射する固体レーザが開発されており、この固体レーザを照明光源として用い、高NAの対物レンズを用いて照明光学系を構成すれば、光学顕微鏡によって、走査電子顕微鏡等に肉薄する解像度が得られることから、大きな期待が寄せられている。
上記した光学式の観察装置の場合、解像度を向上することが求められている。光学式の観察装置を用いた観察では、原理上、光の波長を越える解像度を実現することができない。光の波長は数百nmである。したがって、数nm〜数十nmの解像度を実現することはできなかった。
本発明者らは、光学式の観察装置から得られた画像を、微細な部位の情報が失われた劣化画像として捉え、確率統計の理論に基づいて、劣化前の画像を復元することを着想した。光を用いた観測における画像の劣化は、出鱈目に生じているわけではなく、光の伝達特性に依存して生じている。従って確率統計の理論に基づいて、劣化した画像から最大に尤もらしい劣化前の画像を推定することが可能である。このようにして、微細な部位の情報を備える劣化前の画像を推定することで、光学式の観察装置の解像度を実質的に向上することが可能であることを着想した。
なお、以下では微細な部位の情報が失われた、実際に取得される画像のことを劣化画像と呼び、微細な部位の情報が失われていない、理想的な画像のことを原画像と呼ぶ。確率統計の理論に基づいて、劣化画像から原画像を復元する処理については、本出願人が先に出願した特許出願2004−300206号および特許出願2004−300207号に詳述されている。ただし、これらの特許出願は、本願出願の時点で公開されていないことに注意されたい。
上記したようなフォトマスクは多くの場合に微細な格子模様を備えている。このようなフォトマスクについては、格子模様の乱れを可視化することができれば、健全性を評価することができる。またタンパク質などの生体高分子は、微細な格子模様の上に載置することで、格子模様の乱れとして扱うことができる。格子模様の乱れを可視化することによって、その分子構造を観察することが可能となる。
本発明は複雑で高価な装置を用いることなく、光を用いた観察によって、微細な試料や微細な格子の乱れを可視化することが可能な技術を提供する。
本発明で具現化される装置は、微細な試料を可視化する装置である。その装置は、試料を載置可能な載置面を備え載置面に沿って格子状に変化する光透過特性の分布を備える載置板と、載置板に光を照射する光源と、載置面と略平行な撮像面を備えており載置板で回折された光が撮像面に形成する像の画像データを取得する画像データ取得手段と、取得した画像データを復元する復元装置を備えている。
その復元装置は、
(A1)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する処理と、
(B1)原画像の最初の推定分布を特定する処理と、
(C1)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する処理と、
(D1)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する処理と、
(E1)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する処理と、
(F1)上記(D1)と(E1)の処理を交互に繰返す処理と、
(G1)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する処理、
を実施する。
その(D1)のインパルス応答の推定分布を更新する処理は、
(D1−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る処理と、
(D1−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る処理と、
(D1−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る処理と、
(D1−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る処理と、
(D1−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る処理と、
(D1−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る処理と、
(D1−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る処理と、
(D1−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る処理と、
(D1−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る処理と、
(D1−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える処理
を備えている。
その(E1)の原画像の推定分布を更新する処理は、
(E1−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る処理と、
(E1−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る処理と、
(E1−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る処理と、
(E1−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る処理と、
(E1−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る処理と、
(E1−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る処理と、
(E1−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る処理と、
(E1−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る処理と、
(E1−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る処理と、
(E1−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える処理
を備えている。
本明細書でいうインパルス応答とは、原画像が光学系を伝達して劣化画像を形成する際の点像分布関数(PSF;Point Spread Function)の分布のことを示す。また、本明細書でいう周波数応答とは、原画像の分布のスペクトル分布に対する、劣化画像の分布のスペクトル分布の比、すなわち光学系の光学的伝達関数(OTF;Optical Transfer Function)の分布のことを指す。
光源から載置板に光を照射すると、載置板によって光は回折されて、画像データ取得手段の撮像面に結像する。このとき撮像面には、載置板が備える格子状の光透過特性と、載置面の上に載置された試料の光透過特性に依存した像が形成される。試料が微細なものである場合には、撮像面には微細な乱れを備える格子の像が形成される。この格子像の乱れは載置面に載置された試料によって引き起こされるものであるから、この乱れを可視化することによって試料の微細な特徴を可視化することができる。
撮像面に形成される像は、伝達の過程で、種々の要因によってぼけてしまっており、微細な部位に関する情報が失われている。すなわち、劣化している。従って、撮像面に形成された像をそのまま扱ったとしても、細部まで詳細に観察することができない。本発明の可視化装置では、この劣化した画像データに復元処理を施して、細部まで詳細に観察可能な画像データにまで復元する。
本発明の可視化装置が実施する画像データの復元処理について説明する。最初にBayesの理論に基づく画像の復元について説明する。以下では、原画像は白黒の画像であり、ある光学系を介して原画像が伝達して、白黒の劣化画像が形成される場合について説明する。以下では、原画像と劣化画像はそれぞれの大きさが同一であり、画像内の点の位置を座標(x、y)で表現することが可能であって、原画像の照度分布はf(x、y)、劣化画像の照度分布はg(x、y)で表現されるものとする。
上記の原画像の分布f(x、y)と劣化画像の分布g(x、y)は、以下に示す二次元フーリエ変換を実施することによって、x軸に関する空間周波数sと、y軸に関する空間周波数tについてのスペクトルを得ることができる。
上記の光学系のOTFは、原画像の分布f(x、y)の空間スペクトルF(s、t)、劣化画像の分布g(x、y)の空間スペクトルG(s、t)に対して、次の関係を満たす複素関数H(s、t)のことをいう。
一般的な光学系の場合、どのような原画像の分布f(x、y)に対しても、光学系と撮影条件で定まるOTFであるH(s、t)を用いて、劣化後の画像g(x、y)を得ることができる。
複素関数であるOTFは、複素振幅の大きさを表す振幅伝達関数(MTF;Modulation Transfer Function)M(s、t)と、位相ズレを表す位相伝達関数(PTF;Phase Transfer Function)P(s、t)を用いて、次式で表現される。
上記のOTFを用いることによって、光学系の位相に関する特性についても、正確に評価することができる。上記のOTFは、光学系の特性パラメータから計算することができる。
本発明の装置では、原画像の分布と劣化画像の分布を確率密度関数として扱い、Bayesの理論に基づいて原画像の推定を行う。上記で設定された原画像分布f(x、y)と劣化画像分布g(x、y)は、下記の正規化を行うことによって、確率密度関数として扱うことが可能になる。
上記の正規化に合わせて、光学的伝達関数H(s、t)についても正規化する。H(s、t)は、空間周波数が0の点における値を用いて正規化する。
正規化された原画像の分布f(x、y)と、劣化画像g(x、y)は、非負の関数であり、定義された領域での積分値が1であるから、確率密度関数として扱うことができる。上記の場合において、f(x、y)は原画像の座標(x、y)における結像という事象の確率密度関数である。g(x、y)は劣化画像の座標(x、y)における結像という事象の確率密度関数である。
原画像および劣化画像の分布を、確率密度関数と見なすことが可能な場合、Bayesの理論に基づいて、劣化画像の分布から、その劣化画像を生じさせている原画像の分布を推定することができる。
原画像の座標(x、y)に光が結像する事象は、その座標(x、y)に点光源が存在する事象として扱うことができる。原画像の座標(x、y)において点光源が存在する事象をV(x、y)、劣化画像の座標(x、y)において点像が結像する事象をA(x、y)とした場合、それぞれの事象の確率P(V)およびP(A)は以下で表現される。
また、原画像の座標(x、y)に点光源が存在している場合に、劣化画像の座標(x、y)に結像する確率は、事象V(x、y)の生起を条件とする事象A(x、y)の生起確率である。上記の確率は光学系のPSFであるh(x、y)を用いて以下で表現される。
Bayesの理論に基づくと、劣化画像内の点(x、y)に点像を結像させる場合の原画像の分布P(V(x、y)|A(x、y))は、以下で推定される。
上式の右辺のP(V(x、y))、P(A(x、y)|V(x、y))に、式(8)および式(10)を代入すると、次式を得る。
上式の左辺は、劣化画像において点像が結像している場合に、推定される原画像の分布を表している。上式に劣化画像の分布g(x、y)を乗じて積分することによって、劣化画像の分布g(x、y)を実現するための原画像の分布f(x、y)を得ることができる。
上式の両辺に、P(A(x、y))=g(x、y)を乗じて、すべての(x、y)に関して積分すると、次式が得られる。
上式の左辺に式(9)を代入すると、その積分の結果はP(V(x、y))であり、f(x、y)に等しい。従って、Bayesの理論に基づくと、以下の関係が成り立つ。
上記の関係は、分布f(x、y)が真の原画像の分布である場合に成立すると考えられる。すなわち、上式を満たす分布f(x、y)を算出することが、劣化画像の復元に相当する。
上記の関係を満たす分布f(x、y)は、式(14)の右辺のf(x、y)をf(x、y)とし、式(14)の左辺のf(x、y)をfk+1(x、y)として、f(x、y)に関する反復計算を実施し、f(x、y)の収束値を求めることで算出することができる。上記の反復計算によって求まるf(x、y)の収束値は、Bayesの理論に基づく原画像の推定分布に相当する。
上記では、原画像の分布f(x、y)や劣化画像の分布g(x、y)を正規化した場合について説明したが、実際の反復計算を実施する上では、これらの分布は正規化することなく、そのまま使用することができる。
上記の反復計算においては、反復計算を実施する前に、原画像の最初の推定分布f(x、y)を設定しておく。最初の推定分布f(x、y)としては、任意の分布を設定することができる。一般的には、劣化画像の分布g(x、y)は原画像の分布f(x、y)から大きく異なることはないため、最初の推定分布f(x、y)としては、劣化画像の分布g(x、y)を用いることが好ましい。
式(14)の右辺は、PSFであるh(x、y)をもちいた畳み込み積分を備えている。一般に、光学系の位相特性まで含めてPSFを正確に評価することは困難であり、上記の反復計算を正確な位相特性を含めて実施することは困難である。正確な位相特性を含まないPSFを用いた反復計算は、誤った収束の結果をもたらすため、原画像の正確な復元の妨げとなる。
そこで、PSFの代わりに正確な位相特性を含ませることが容易であるOTFを用いることで、より正確に原画像を復元することが可能となる。また、復元の過程で位相特性を正確に評価するために、原画像の推定分布f(x、y)(k=0,1,2,・・・)を複素関数に拡張し、その実部が画像分布を表現するものとして取扱う。上式の右辺に、フーリエ変換と逆フーリエ変換を用いることで、OTFを用いた形式に変更することができる。フーリエ変換をFT()、逆フーリエ変換をFT−1()で表現すると、式(14)は以下で表現される。
上記の反復計算を、fが収束するまで繰り返し実施することによって、原画像を推定することができる。fが収束したか否かの判定は、例えば反復計算の回数を予め設定しておいて、反復計算の回数によって判定してもよいし、fとfk+1の差分を算出して、算出される差分の絶対値の総和があるしきい値以下となるか否かで判断してもよい。
上記した原理を用いる復元方法は、以下に示す工程を順次実施していくことで実現される。以下では繰り返し計算によって推定される原画像の分布をf(k=0、1、・・・)とする。原画像の推定分布fは、復元の過程で位相に関する特性を正確に評価するために、複素関数として扱う。
まず伝達系の特性に基づいて、OTFであるH(s、t)を特定する。
次に原画像の最初の推定分布として、f(x、y)の実部をg(x、y)として、f(x、y)の虚部を0とする。
次に以下に示す演算を、f(x、y)が収束するまで繰り返し実施する。ここでFT()は二次元のフーリエ変換を表し、FT−1()は二次元の逆フーリエ変換を表す。またH(s、t)は、H(s、t)の反転関数であり、H(s、t)=H(−s、−t)である。
上記の反復計算を繰返し実施し、最終的な原画像の推定分布fを得る。最終的に得られる原画像の推定分布f(x、y)の実部が、原画像の復元画像f(x、y)に相当する。
上記した処理を行うことで、劣化画像分布とOTF分布が既知であれば、未知である原画像分布を復元することができる。上記と同様の原理によって、OTF分布が未知である場合に、劣化画像分布と原画像分布が既知であれば、OTF分布を復元することが可能となる。
式(12)において、x−xを新たにx’とし、y−yを新たにy’とすると、次式が得られる。
上式の両辺にP(A(x、y))を乗じると、次式が得られる。
上式の左辺は、Bayesの理論に基づくと、P(A(x、y)|V(x−x’、y−y’))×P(V(x−x’、y−y’))に等しいため、次式となる。
上式に、式(8)、式(9)および式(10)を代入すると、次式が得られる。
上式の両辺を、(x、y)に関して積分すると、次式が得られる。
上式左辺の積分は1に等しいため、結局、Bayesの理論に基づくと、以下の関係が成立する。
上式の関係を満たすh(x、y)が算出されると、算出されたh(x、y)をフーリエ変換することによって、OTF分布H(s、t)を推定することができる。
本発明に係る方法では、式(14)の右辺のh(x、y)をh(x、y)とし、式(24)の左辺のh(x、y)をhk+1(x、y)として、h(x、y)に関する反復計算を実施し、h(x、y)の収束値を求める。この反復計算は、次式で表される。
上記の反復計算によって求まるh(x、y)の収束値をフーリエ変換して、Bayesの理論に基づくOTFの推定分布H(x、y)を得ることができる。この関係は次式で表される。
上記した原理を用いるOTFの推定方法は、以下に示す工程を順次実施していくことで実現される。以下では繰り返し計算によって推定されるPSFの分布をh(k=0、1、・・・)とする。PSFの推定分布hは、反復計算の過程で位相に関する特性を正確に評価するために、複素関数として扱う。
まず劣化画像の分布g(x、y)と、原画像の分布f(x、y)を特定する。本発明の方法では、g(x、y)の実部を劣化画像における照度の分布として、g(x、y)の虚部を0とする。またf(x、y)の実部を原画像における照度の分布として、f(x、y)の虚部を0とする。
次に原画像の分布f(x、y)をフーリエ変換して、原画像の分布のスペクトル分布F(s、t)を算出する。
次に、PSFの最初の推定分布h(x、y)を特定する。PSFの最初の推定分布h(x、y)は、どのような分布としてもよい。例えば、PSFの最初の推定分布h(x、y)は、実部を1として、虚部を0とする。
次に以下に示す演算を、h(x、y)が収束するまで繰り返し実施する。ここでFT()は二次元のフーリエ変換を表し、FT−1()は二次元の逆フーリエ変換を表す。またF(s、t)は、F(s、t)の反転関数であり、F(s、t)=F(−s、−t)である。
(x、y)の収束の判定は、例えば反復計算の回数が予め定められた回数に到達したか否かを基準に判別してもよいし、h(x、y)とhk+1(x、y)の差分の分布を算出して、その差分の絶対値が全ての(x、y)に対してあるしきい値以下となるか否かを基準に判別してもよいし、fとfk+1の差分を算出して、算出される差分の絶対値を(x、y)に関して積分した値があるしきい値以下となるか否かで判断してもよい。
(x、y)が収束したら、それをフーリエ変換して、OTFの推定分布H(s、t)を算出する。
上記の方法を用いることによって、伝達系のOTFを好適に推定することができる。本発明の方法を用いる場合、原画像分布が特定の周波数帯を含まない場合であっても、全ての周波数帯に対するOTFを推定することができる。
上記したように、劣化画像とOTFとが既知であれば原画像を復元することが可能であり、劣化画像と原画像が既知であればOTFを推定することが可能である。
これらを組み合わせることによって、劣化画像のみに基づいて、OTFを推定し、原画像を復元することが可能となる。
すなわち、原画像とPSFのそれぞれについて、適当な分布を仮定しておき、上記したPSFの推定(すなわち、OTFの推定)と原画像の推定とを交互に繰返し実施していくことによって、原画像を復元する。
OTFに関しては、劣化画像の分布と、原画像の推定分布を用いて、Bayesの理論に基づく計算によって、より改善された推定分布を得ることができる。OTFの推定に用いる原画像の推定分布が、真の原画像の分布に近いほど、真のOTFの分布に近い推定分布を得ることができる。
原画像に関しては、劣化画像の分布と、OTFの推定分布を用いて、Bayesの理論に基づく計算によって、より改善された推定分布を得ることができる。原画像の推定に用いるOTFの推定分布が、真のOTFの分布に近いほど、真の原画像の分布に近い推定分布を得ることができる。
従って、上記したOTFの推定と原画像の推定を交互に繰返し実施していくことによって、原画像の推定分布はより真の原画像の分布に近づいていき、OTFの推定分布はより真のOTFの分布に近づいていき、結果として良好に復元された原画像と良好に推定されたOTFの双方を得ることができる。
本発明の装置では、以下の工程を順に実施していくことによって、劣化画像のみから原画像を復元することができる。
まず原画像の最初の推定分布と、PSFの最初の推定分布を設定する。原画像の最初の推定分布は、どのような分布を用いてもよい。一般に、劣化画像の分布は原画像の分布から大きく異なることはないため、原画像の最初の推定分布としては劣化画像の分布を用いることが好ましい。PSFの最初の推定分布は、どのような分布を用いてもよい。
次に、式(27)〜(29)の計算を実施して、より改善されたPSFの推定分布h(s、t)を取得して、得られたh(s、t)をフーリエ変換してOTFの推定分布H(s、t)を取得する。上記の推定を実施することによって、より真のOTF分布に近いOTFの推定分布を得ることができる。
次に、式(16)〜(18)の計算を実施して、より改善された原画像の推定分布f(x、y)を取得する。上記の推定を実施することによって、より真の原画像分布に近い原画像の推定分布を得ることができる。
上記したOTFの推定と原画像の推定を、交互に繰返し実施していくことによって、推定される原画像の分布は真の原画像の分布に近づいていき、推定されるOTFの分布は真のOTFの分布に近づいていく。従って、上記の反復計算を実施することによって、原画像を復元することが可能となる。
上記した画像の復元処理を撮像面に形成される像に対して行うことで、画像データ取得手段で取得される画像がぼけてしまっていても、その画像をぼけのない画像に復元することができる。撮像面に形成される像を、細部まで鮮明に復元することができる。これによって、微細な試料を格子像の乱れとして可視化し、細部まで詳細に観察することができる。
上記した可視化装置においては、載置板は光を透過する特性が格子状に変化しているものであれば、どのようなものを用いてもよい。例えば光透過部と光遮蔽部から形成され、光遮蔽部が格子状に分布し、その格子の目の部分に光透過部が分布した、一般的なフォトマスクを用いてもよい。あるいは、透過する光の位相遅れ特性が格子状に変化する、いわゆる位相シフトマスクを用いてもよい。
また、格子の形状は四角形に限らず、三角形格子や、六角形格子であってもよい。
本発明に用いる載置板の格子のサイズは、試料を可視化する際に、所望のサイズでの特徴を可視化できるように、調整することができる。本発明の原理によれば、自然に存在する結晶格子を載置板として用いることも可能と考えられる。この場合は数オングストロームから数nm程度の格子間隔であるから、同程度に微細な試料についても可視化することが可能と考えられる。
上記の可視化装置では、前記光源は載置板に近接する点光源であって、前記撮像面は、載置板の光透過特性の分布に応じたフーリエ面に位置することが好ましい。
光源から載置板へ照射された光は、載置板で回折し、光源から見て載置板の後側に載置板の光透過特性の分布と相似な格子の像の列を形成する。このようにして形成される像はフーリエイメージと呼ばれる。フーリエイメージは、載置面から距離zだけ離れた面に形成される。距離zは次式で計算される。
ここで、aは光源から載置面までの距離であり、zは載置面から後側への距離である。λは照射される光の波長である。nは任意の自然数である。dは載置板の光透過特性の分布における格子の繰返し周期である。本明細書では、フーリエイメージが形成される面(すなわち、載置面と平行であって、格子からの距離がzである面)のことを、フーリエ面と言う。載置板の光透過特性の分布に応じたフーリエ面は、任意の自然数nに対応して、無数に存在する。
光源が点光源である場合、フーリエイメージとして、載置板の光透過特性の分布における格子と相似な形状の像が形成される。載置板の格子に対する形成される像の倍率は、以下で与えられる。
従って上記の可視化装置によれば、レンズを用いることなく、載置板の格子を所望の倍率に拡大した画像を得ることができる。試料が載置されたことによって、格子の像が乱れている場合には、その乱れを拡大して観察することができる。しかしながら、載置板の格子は有限の大きさを備えており、完全なフーリエイメージを得ることはできない。画像データ取得手段の撮像面に実際に形成される像は、高次の波長成分が失われた像である。また、上記したフーリエ面と画像データ取得手段の撮像面を正確に一致させることは困難であり、わずかに位置がずれた場合にも形成される像はぼけてしまう。すなわち通常は拡大された像の細部まで鮮明に可視化することができない。しかしながら、このようにして得られた画像に、すでに詳述した画像復元処理を施すことで、微細な格子の像に存在する乱れを可視化することができる。微細な試料の特徴を好適に可視化することが可能となる。
この可視化装置によれば、レンズを用いることなく試料の特徴を拡大して可視化することが可能である。このような可視化装置は簡素な構成で実現することが可能であり、安価に製作することができる。
上記の可視化装置は、試料画像検出装置をさらに備え、その試料画像検出装置は、載置板に試料を載置した状態で取得された画像データから復元された画像データと、載置板に試料を載置していない状態で取得された画像データから復元された画像データの差異を検出することが望ましい。
試料を載置した状態で取得される画像データは、載置板の光透過特性の分布と、載置面に載置された試料の光透過特性に起因して、乱れのある格子の像を備えている。一方で、試料を載置していない状態で取得される画像データは、載置板の光透過特性の分布に起因して、乱れのない格子の像を備えている。従って、前者の画像データから復元された画像データと後者の画像データから復元された画像データの差分を算出することで、画像データから載置板の格子と相似な像を除去して、試料の特徴のみを可視化することができる。
あるいは、上記した可視化装置では、載置板で回折された光を前記撮像面に結像するレンズをさらに備え、前記光源は、載置面に対して偏斜した軸を光軸とする光を照射し、前記レンズは、載置板で回折された高次光を前記撮像面に結像することが好ましい。
載置板に光を照射すると、照射された光は回折されて、波長成分ごとに異なる方向へ分光される。予め光源の光軸を偏斜させておくことで、回折によって生じる高次光のみをレンズに入射させ、撮像面に結像させることができる。載置面に試料が載置され、形成される格子の像に乱れが存在する場合、その乱れに対応する波長の高次光をレンズに入射させ、撮像面に結像することで、格子の像に乱れが存在する位置を強調して可視化することができる。高次光成分は波長の短い光であり、微細な部位の情報を含んでいる。従って、レンズによって拡大した場合であっても、細部まで鮮明に可視化することができる。このようにして撮像面に形成された像に、さらに上述した画像復元の処理を施すことによって、格子の像の乱れが強調された鮮明な画像を取得することができる。従って載置面に載置された試料の特徴を鮮明に可視化することができる。試料が極めて微細なものであって、撮像面に形成される像における格子の像の乱れが極めて微細なものであっても、その乱れが存在する部位を強調して鮮明に可視化することができる。
上記の可視化装置の原理は、方法として具現化することもできる。
本発明の方法は、微細な試料を可視化する方法である。その方法は、試料を載置可能な載置面を備え載置面に沿って格子状に変化する光透過特性の分布を備える載置板に試料を載置する工程と、載置板に光を照射する工程と、載置板で回折された光が、載置面と略平行な撮像面に形成する像の画像データを取得する工程と、取得した画像データを復元する工程を備えている。
その復元する工程は、
(A3)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する工程と、
(B3)原画像の最初の推定分布を特定する工程と、
(C3)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する工程と、
(D3)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する工程と、
(E3)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する工程と、
(F3)上記(D3)と(E3)の工程を交互に繰返す工程と、
(G3)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する工程と
を備えている。
その(D3)のインパルス応答の推定分布を更新する工程は、
(D3−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る工程と、
(D3−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る工程と、
(D3−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る工程と、
(D3−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る工程と、
(D3−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る工程と、
(D3−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る工程と、
(D3−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る工程と、
(D3−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る工程と、
(D3−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る工程と、
(D3−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える工程
を備えている。
その(E3)の原画像の推定分布を更新する工程は、
(E3−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る工程と、
(E3−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る工程と、
(E3−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る工程と、
(E3−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る工程と、
(E3−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る工程と、
(E3−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る工程と、
(E3−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る工程と、
(E3−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る工程と、
(E3−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る工程と、
(E3−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える工程と、
を備えている。
上記の可視化装置または方法によれば、格子状の光透過特性を備える載置板を用いて、微細な試料を可視化することができる。この場合、観察の対象とする試料は、格子の像の微細な乱れとして可視化される。本発明の原理を応用することによって、試料に起因して生じる格子の像の乱れを可視化するのみではなく、もともとの格子の形状不整に起因して生じる格子の像の乱れを可視化することもできる。
例えば半導体装置の製造過程においては、規則正しい格子模様を備えるフォトマスクが利用される。このようなフォトマスクにおいて、格子模様にもともと備わっている形状不整を可視化することができれば、フォトマスクの健全性を正確に評価することができる。
本発明の他の1つの装置は、微細な格子の乱れを可視化する装置である。その装置は、格子に光を照射する光源と、格子の面と略平行な撮像面を備えており格子で回折された光が撮像面に形成する像の画像データを取得する画像データ取得手段と、取得した画像データを復元する復元装置を備えている。
その復元装置は、
(A2)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する処理と、
(B2)原画像の最初の推定分布を特定する処理と、
(C2)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する処理と、
(D2)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する処理と、
(E2)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する処理と、
(F2)上記(D2)と(E2)の処理を交互に繰返す処理と、
(G2)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する処理、
を実施するものである。
その(D2)のインパルス応答の推定分布を更新する処理は、
(D2−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る処理と、
(D2−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る処理と、
(D2−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る処理と、
(D2−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る処理と、
(D2−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る処理と、
(D2−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る処理と、
(D2−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る処理と、
(D2−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る処理と、
(D2−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る処理と、
(D2−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える処理
を備えている。
その(E2)の原画像の推定分布を更新する処理は、
(E2−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る処理と、
(E2−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る処理と、
(E2−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る処理と、
(E2−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る処理と、
(E2−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る処理と、
(E2−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る処理と、
(E2−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る処理と、
(E2−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る処理と、
(E2−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る処理と、
(E2−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える処理と、
を備えている。
上記の可視化装置によって格子の乱れを可視化する原理は、既に詳述した微細な試料を可視化する装置における格子の像の乱れを可視化する原理と同様であるため、説明を省略する。
上記の可視化装置によれば、格子模様にもともと備わっている微小な格子の乱れを可視化することができる。例えば格子模様を備えるフォトマスクに適用することで、フォトマスクの健全性を、安価な装置を用いて、迅速且つ正確に評価することができる。
上記した可視化装置では、前記光源は格子に近接する点光源であって、前記撮像面は、格子のフーリエ面に位置することが好ましい。
上記した可視化装置では、格子の乱れ検出装置をさらに備え、前記格子の乱れ検出装置は、格子に乱れのある状態で取得された画像データから復元された画像データと、格子に乱れのない状態で取得された画像データから復元された画像データの差異を検出することがさらに好ましい。
あるいは上記した可視化装置では、格子で回折された光を前記撮像面に結像するレンズをさらに備え、前記光源は、格子の面に対して偏斜した軸を光軸とする光を照射し、前記レンズは、格子で回折された高次光を前記撮像面に結像することが望ましい。
上記の可視化装置の原理は、方法として具現化することもできる。
本発明の他の1つの方法は、微細な格子の乱れを可視化する方法である。その方法は、格子に光を照射する工程と、格子で回折された光が格子の面と略平行な撮像面に形成する像の画像データを取得する工程と、取得した画像データを復元する工程を備えている。
その復元する工程は、
(A4)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する工程と、
(B4)原画像の最初の推定分布を特定する工程と、
(C4)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する工程と、
(D4)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する工程と、
(E4)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する工程と、
(F4)上記(D4)と(E4)の工程を交互に繰返す工程と、
(G4)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する工程と
を備えている。
その(D4)のインパルス応答の推定分布を更新する工程は、
(D4−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る工程と、
(D4−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る工程と、
(D4−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る工程と、
(D4−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る工程と、
(D4−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る工程と、
(D4−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る工程と、
(D4−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る工程と、
(D4−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る工程と、
(D4−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る工程と、
(D4−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える工程
を備えている。
その(E4)の原画像の推定分布を更新する工程は、
(E4−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る工程と、
(E4−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る工程と、
(E4−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る工程と、
(E4−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る工程と、
(E4−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る工程と、
(E4−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る工程と、
(E4−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る工程と、
(E4−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る工程と、
(E4−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る工程と、
(E4−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える工程と、
を備えている。
本発明の可視化装置または方法を用いることで、微細な試料の特徴を可視化することができる。例えばペプチド、タンパクを始めとする生体高分子のナノレベルの構造を可視化することができる。さらに可視化された微細な試料の特徴の経時的変化を取得することによって、生体高分子の動態を可視化することもできる。
また本発明の可視化装置または方法によれば、格子模様がもともと備えている微小な形状不整を可視化することができる。例えば半導体デバイスの製造に用いる格子模様を備えたフォトマスクの健全性の検査を高度な正確さで行うことができる。
以下、本発明を具現化した実施例について図面を参照して説明する。
(第1実施例)
図面を参照しながら、本実施例の可視化装置102について説明する。
図1は本実施例の可視化装置102の構成を示す概略図である。本実施例の可視化装置102は、試料114を載置可能なプレート112と、光源104と、イメージセンサ106と、復元装置108を備えている。
光源104はコヒーレント光を照射する点光源であって、プレート112へ光を照射する。光源104には、例えば発光ダイオードを用いることができる。
プレート112は、その上部に試料114を載置可能である。
図2はプレート112を上方から見た場合の拡大図である。プレート112は、照射される光を透過する透過部204と、照射された光を遮蔽する格子状に形成された遮蔽部202を備えている。従って、プレート112は光源104から照射される光に対して、回折格子の役割を果たす。本実施例の可視化装置102では、透過部202の横幅d1および縦幅d3はそれぞれ5nmである。また本実施例の可視化装置102では、遮蔽部204の格子の横幅d2および縦幅d4はそれぞれ5nmである。
試料114が、プレート112上に載置されると、プレート112の遮蔽部202の格子模様の乱れとして観察される。この乱れた格子模様を、乱れのない格子模様と比較することによって、プレート112上の試料114の微細な特徴を可視化することができる。また上記した格子模様の乱れの経時的変化を調べることによって、試料114の微細な特徴の変化を観察することができる。
本実施例の可視化装置102では、例えばペプチド、タンパクを始めとする生体高分子を試料114として、その微細な構造を可視化することができる。
イメージセンサ106は、プレート112の面に対して平行な撮像面110を備えている。イメージセンサ106は撮像面110に複数の撮像素子を備えており、撮像面110に形成される像を撮像素子を介して認識し、RGBの各色成分の照度の分布を示す電気信号に変換して復元装置108へ送信する。イメージセンサ106はプレート112の面から撮像面110までの間隔を調整可能である。
本実施例の可視化装置102では、1つの撮像素子の寸法を、10μm×10μmとする。
復元装置108は、イメージセンサ106から送信されるデータに、復元処理を実施する。復元装置108が実施する復元処理の詳細については後述する。
本実施例の可視化装置102の動作を説明する。
光源104から照射された光は、プレート112と試料114によって回折され、一部は散乱し、一部は透過する。
プレート112を透過した光は回折して、プレート112の後側に格子と相似な像の列を形成する。このようにして形成される像はフーリエイメージと呼ばれる。フーリエイメージは以下で特定される位置zに形成される。ただし、aは光源104からプレート112までの距離であり、zはプレート112から後側への距離である。λは照射される光の波長である。nは任意の自然数である。dはプレート112の格子の繰返し周期であり、本実施例の可視化装置102の場合、d=d1+d2=10nmである。
プレート112の後方に形成される像は、プレート112の格子と相似な形状となる。形成される格子の像のプレート112の格子に対する倍率は、以下で与えられる。
従って、イメージセンサ106の撮像面110には、倍率mで拡大されたプレート112と試料114の像が形成される。本実施例の可視化装置102では、光源104からプレート112までの距離をa=10μm、z=999,990μmとする。この場合、倍率m=100,000である。イメージセンサ106の撮像面110には、10万倍の倍率で拡大されたプレート112と試料114の像が形成される。
撮像面110に結像された像は、イメージセンサ106によって読取られ、データとして復元装置108へ送信される。
上記したフーリエイメージを正確に撮像面110上に形成するためには、プレート112と撮像面110の間隔を上記した焦点距離zに正確に一致させなければならない。このような位置の調整は、非常に困難である。多くの場合、プレート112と撮像面110との距離が上記の焦点距離zから微妙にズレてしまう。また、プレート112の格子模様は有限の大きさであるから、完全なフーリエイメージを形成することができない。従って、撮像面110に形成される像は、倍率は拡大しているものの、細部まで完全に再現しておらず、ぼけてしまっている。そのままでは細部を詳細に観察することができない。
本実施例の可視化装置102は、上記した撮像面110で取得される像を、光学系を伝達したことによって劣化した画像として捉え、復元装置108で復元処理を施して、劣化後の画像から細部まで表現された画像を復元する。
復元装置108はイメージセンサ106から送信された画像データを受信し、その画像データの復元処理を行う。復元装置108は、イメージセンサ106によって得られた画像データを劣化画像として扱い、光学系の特性と原画像の双方が未知であるものとして、劣化画像から原画像への復元処理を行う。
以下では復元装置108が行う復元処理について説明する。
図3は復元装置108が行う復元処理のフローチャートを示す。
まずステップS302では、復元装置108に受信された画像データから、RGBそれぞれの色成分の照度の分布gr(x、y)、gg(x、y)、gb(x、y)を特定する。各色成分の照度の分布gr(x、y)、gg(x、y)、gb(x、y)は、各色成分の照度を実数で表現した変数である。本実施例の復元装置108は、上記した各色成分の照度の分布gr(x、y)、gg(x、y)、gb(x、y)のそれぞれについて、ステップS304以降の処理を実施して、画像を復元する。以下では例示として、gr(x、y)の分布を復元する処理を説明する。gg(x、y)、gb(x、y)の復元処理については、gr(x、y)と同様の処理を行うため、説明を省略する。
ステップS304では、劣化画像の分布g(x、y)を特定する。劣化画像の分布g(x、y)は、光の照度の分布を位相特性も含めて記述する複素関数である。本実施例の可視化装置102では、g(x、y)の実部をgr(x、y)の分布と一致させ、g(x、y)の虚部を全て0とする。
ステップS306では、原画像の最初の推定分布f(x、y)を設定する。原画像の最初の推定分布f(x、y)には、任意の分布を設定することができる。本実施例の方法では、原画像の最初の推定分布f(x、y)として、劣化画像の分布g(x、y)を用いる。一般的に、原画像の分布と劣化画像の分布は大きく異ならないと考えられるため、上記のように原画像の最初の推定分布f(x、y)を設定することによって、原画像の復元に伴う反復計算の回数を低減することができる。
またステップS306では、光学系のインパルス応答である、点像分布関数PSFの最初の推定分布h(x、y)を設定する。PSFの最初の推定分布h(x、y)としては、任意の分布を設定することができる。本実施例の方法では、PSFの最初の推定分布h(x、y)として、全ての(x、y)に対して実部が1であり、虚部が0である関数を用いる。
さらにステップS306では、反復計算の繰返し数kを0に設定する。
ステップS308では、反復計算の繰返し数kを1増加させる。
ステップS310では、PSFの推定分布h(x、y)を算出して、PSFの推定分布を更新する。この計算については後述する。
ステップS312では、PSFの推定分布h(x、y)をフーリエ変換して、OTFの推定分布H(s、t)を算出する。
ステップS314では、原画像の推定分布f(x、y)を算出して、原画像の推定分布を更新する。この計算については後述する。
ステップS316では、ステップS314で更新された原画像の推定分布f(x、y)と、更新される前の原画像の推定分布fk−1との差分を算出し、その差分がすべての(x、y)に対してあるしきい値εを下回るか否かを判断する。前記差分がある(x、y)に対してしきい値ε以上の場合(ステップS316でNOの場合)、原画像の推定分布f(x、y)は未だ収束に達していないと判断して、処理はステップS308へ進み、ステップS308からステップS314までの処理を再度繰返す。前記差分がすべての(x、y)に対してしきい値εを下回る場合(ステップS316でYESの場合)、原画像の推定分布f(x、y)は収束に達したと判断して、処理はステップS318へ進む。
ステップS318では、反復計算の結果得られた原画像の推定分布f(x、y)を、復元された原画像の分布f(x、y)に設定する。本実施例の方法では、反復計算の過程で画像を記述する分布を複素関数として扱っているため、上記で設定される原画像の分布f(x、y)は一般に複素関数となる。本実施例の方法では、復元された原画像の分布f(x、y)の実部が、原画像における照度の分布を表す。劣化画像の分布g(x、y)の実部が、画像データのR成分の照度分布gr(x、y)である場合には、復元された原画像の分布f(x、y)の実部が、原画像におけるR成分の照度の分布fr(x、y)を表す。
上記したステップS304からステップS318までの一連の処理によって、R成分の照度分布gr(x、y)から、R成分の照度分布fr(x、y)が復元される。上記した処理をgg(x、y)、gb(x、y)についても実施することによって、照度分布fg(x、y)、fb(x、y)についても復元される。復元されたfr(x、y)、fg(x、y)、fb(x、y)から、画像データを得ることができる。
上記の方法によって復元されたfr(x、y)、fg(x、y)、fb(x、y)は、ディスプレーに表示してもよいし、印刷装置を用いて紙に印刷してもよいし、ハードディスクなどの記憶装置に記憶してもよいし、通信回線を経由して他のコンピュータに送信してもよい。
以下ではステップS310のh(x、y)の推定について詳細に説明する。本実施例の方法では、h(x、y)の推定として、図4のフローチャートに示すステップS402〜S426の工程を実施する。
ステップS402では、h(x、y)の最初の推定分布h (x、y)を設定する。本実施例の方法では、すでに取得されているhk−1(x、y)を、h(x、y)の最初の推定h (x、y)とする。また、ステップS402では、h(x、y)の推定に係る反復計算の繰返し数mを0に設定する。
ステップS404では、原画像のスペクトルの推定分布F(s、t)を設定する。本実施例の方法では、すでに取得されている原画像の推定分布fk−1(x、y)をフーリエ変換して、その結果をF(s、t)とする。
ステップS406では、h(x、y)の推定分布h (x、y)をフーリエ変換して、その結果を関数K(s、t)に設定する。関数K(s、t)は、第1の関数に相当する。
ステップS408では、ステップS406で算出された関数K(s、t)に、ステップS404で算出された原画像のスペクトルの推定分布F(s、t)を乗じて、関数K(s、t)を算出する。関数K(s、t)は、第2の関数に相当する。
ステップS410では、ステップS408で算出された関数K(s、t)を逆フーリエ変換して、その結果を関数L(x、y)に設定する。関数L(x、y)は、第3の関数に相当する。
ステップS412では、図3のステップS304で特定された劣化画像分布g(x、y)を、図4のステップS410で算出された関数L(x、y)で除して、関数L(x、y)を算出する。関数L(x、y)は、第4の関数に相当する。
ステップS414では、ステップS412で算出された関数L(x、y)をフーリエ変換して、その結果を関数K(s、t)に設定する。関数K(s、t)は、第5の関数に相当する。
ステップS416では、ステップS414で算出された関数K(s、t)に、F(s、t)を乗じて、関数K(s、t)を算出する。関数K(s、t)は、第6の関数に相当する。F(s、t)は、ステップS404で算出された原画像のスペクトルの推定分布F(s、t)の反転関数であり、F(s、t)=F(−s、−t)の関係を満たす。
ステップS418では、ステップS416で算出された関数K(s、t)を逆フーリエ変換して、その結果を関数L(x、y)に設定する。関数L(x、y)は、第7の関数に相当する。
ステップS420では、h(x、y)の推定分布h (x、y)に、ステップS418で設定された関数L(x、y)を乗じて、その結果をh(x、y)の改善された推定分布h m+1(x、y)に設定する。
ステップS422では、h(x、y)の推定のための反復計算の繰返し数mを1増加させる。
ステップS424では、h(x、y)の推定のための反復計算の繰返し数mが、しきい値以上になったか否かを判断する。本実施例では、h(x、y)の推定のために実施する反復計算の回数を5回としている。繰り返し数mが5未満の場合(ステップS424でNOの場合)、処理はステップS406へ進み、ステップS406からステップS422までの処理を再度実施する。繰り返し数mが5以上の場合(ステップS424でYESの場合)、処理はステップS426へ進む。
ステップS426では、上記の反復計算の結果得られる分布h (x、y)を、h(x、y)の推定分布として設定する。
上記の反復計算は、劣化画像分布g(x、y)と、原画像分布fk−1(x、y)から、PSFの分布h(x、y)を推定することに相当する。原画像分布fk−1(x、y)が、真の原画像分布f(x、y)に近いほど、上記の反復計算によって推定されるh(x、y)は、真のPSFの分布h(x、y)に近づく。
以下では図3のステップS314のf(x、y)の推定について詳細に説明する。本実施例の方法では、f(x、y)の推定として、図5のフローチャートに示すステップS502〜S524の工程を実施する。
ステップS502では、f(x、y)の最初の推定分布f (x、y)を設定する。本実施例の方法では、既に取得されているfk−1(x、y)を、f(x、y)の最初の推定分布f (x、y)として設定する。また、ステップS502では、f(x、y)の推定のための反復計算の繰返し数nを0に設定する。
ステップS504では、f(x、y)の推定分布f (x、y)をフーリエ変換して、その結果を関数K(s、t)に設定する。関数K(s、t)は、第1の関数に相当する。
ステップS506では、ステップS504で算出された関数K(s、t)に、図3のステップS312で算出されたOTFの推定分布H(s、t)を乗じて、関数K(s、t)を算出する。関数K(s、t)は、第2の関数に相当する。
ステップS508では、ステップS506で算出された関数K(s、t)を逆フーリエ変換して、その結果を関数L(x、y)に設定する。関数L(x、y)は、第3の関数に相当する。
ステップS510では、図3のステップS304で特定された劣化画像分布g(x、y)を、図5のステップS508で算出された関数L(x、y)で除して、関数L(x、y)を算出する。関数L(x、y)は、第4の関数に相当する。
ステップS512では、ステップS510で算出された関数L(x、y)をフーリエ変換して、その結果を関数K(s、t)に設定する。関数K(s、t)は、第5の関数に相当する。
ステップS514では、ステップS512で算出された関数K(s、t)に、H (s、t)を乗じて、関数K(s、t)を算出する。H (s、t)は、図3のステップS312で算出されたOTFの推定分布H(s、t)の反転関数であり、H (s、t)=H(−s、−t)の関係を満たす。
ステップS516では、ステップS514で算出された関数K(s、t)を逆フーリエ変換して、その結果を関数L(x、y)に設定する。関数L(x、y)は、第7の関数に相当する。
ステップS518では、f(x、y)の推定分布f (x、y)に、ステップS516で算出された関数L(x、y)を乗じて、f(x、y)の改善された推定分布f n+1(x、y)を算出する。
ステップS520では、f(x、y)の推定のための反復計算の繰返し数nを1増加する。
ステップS522では、f(x、y)の推定のための反復計算の繰返し数nが、しきい値以上になったか否かを判断する。本実施例では、f(x、y)の推定のために実施する反復計算の回数を5回としている。繰り返し数nが5未満の場合(ステップS522でNOの場合)、処理はステップS504へ進み、ステップS504からステップS520までの処理を再度実施する。繰り返し数nが5以上の場合(ステップS522でYESの場合)、処理はステップS524へ進む。
ステップS524では、上記の反復計算の結果得られる分布f (x、y)を、f(x、y)の推定分布として設定する。
上記の反復計算は、劣化画像分布g(x、y)と、OTF分布H(s、t)とに基づいて、原画像分布f(x、y)を推定することに相当する。OTF分布H(s、t)が、真のOTF分布H(s、t)に近いほど、上記の反復計算によって推定されるf(x、y)は、真の原画像の分布f(x、y)に近づく。
復元装置108は、試料114をプレート112上に載置した状態で得られる画像データから復元した画像と、試料114をプレート112上に載置していない状態で得られる画像データから復元した画像との差分を算出する。算出された差分の分布は、試料114の存在によって生じている格子の乱れを可視化したものである。この算出された差分の分布は、可視化装置102によってm=100,000倍の倍率に拡大されたものである。この差分の分布を観察することによって、試料114の微細な構造を可視化することができる。
上記のように可視化された格子の乱れを観察し、経時的な変化を記録していくことで、試料114の変成の様子を知ることができる。例えば、試料114が変成過程のタンパク質である場合、可視化装置102を用いることで、変成過程のタンパク質の微視的な動態を可視化することが可能となる。
上記の実施例では、反復計算の過程において、先にOTFの推定分布を更新して、次に原画像の推定分布を更新する例を説明した。OTFの推定分布の更新と、原画像の推定分布の更新は、交互に繰返し実施すればよいため、先に原画像の推定分布を更新して、次にOTFの推定分布を更新してもよい。
上記の実施例では、プレート112に載置された試料114を可視化する例を説明したが、同様の構成の装置を用いて、格子状の光透過特性の分布を備えるフォトマスクにおける形状不整を可視化することもできる。
(第2実施例)
図面を参照しながら、本実施例の可視化装置602について説明する。第1実施例と同様のものについては、同一符号を付して説明を省略する。
可視化装置602は、格子状の光透過模様を備えるマスク612と、光源604と、レンズ614と、イメージセンサ106と、復元装置108を備える。
図7はマスク612を上方から見た図である。マスク612は、照射される光を透過する透過部802と、照射された光を遮蔽する格子状に形成された遮蔽部804を備えている。従って、マスク612は光源604から照射される光に対して、回折格子の役割を果たす。
マスク612はCCDデバイスを製造する際に使用するフォトマスクであって、エレクトロンビームの照射によって格子模様を形成されている。このように格子模様を形成する場合、折り返し点や繰り返し点において格子に段差を生じることがある。このような段差はフォトマスクの欠陥の一種であって、EBストライピング欠陥またはEB段差欠陥と呼ばれる。本実施例のマスク612では、透過部の幅が9.9μm、遮蔽部の幅が1.1μmの格子模様を備えるフォトマスクであって、縦と横にEB段差808、810を備えている。
図6の光源604はコヒーレント光を照射する光源である。光源604の光軸LBは、マスク612の面に対して偏斜している。説明を簡略化するために、図6では光源604として単一の光源を示しているが、光源604は複数の光源であってもよい。このような場合、光源604は互いに異なる方向から、マスク612の面に対して同じ偏斜角度で光を照射する。
レンズ614はマスク612で回折された高次光をイメージセンサ106の撮像面110に結像する。本実施例の可視化装置602では、レンズ614は撮像面110に形成される像が所望の倍率となるように、その開口数NAを調整されている。またレンズ614は、マスク612で回折された高次光のうち所望の高次光のみが入射するように、位置を調整されている。
復元装置108は、イメージセンサ106から送信されるデータに、復元処理を実施する。復元装置108が実施する復元処理は、第1実施例の復元装置108が実施する復元処理と同様であるため、説明を省略する。
図8を参照しながら、本実施例の可視化装置602の動作について説明する。
光源604はマスク612に対して偏斜した光軸LBに沿って光を照射する。マスク612に照射された光は、マスク612の格子模様で回折され、光源604から見てマスク612の後方に分光する。図8では、照射された光と同じ波長の光をLで、照射された光より高次の波長の光の1次光、2次光、・・・をL、L、・・・・で、−1次光、−2次光、・・・・をL−1、L−2、・・・で表現している。
マスク612で回折された光のうち、高次成分のみがレンズ614へ入射する。図8に示す例では、5次成分Lから7次成分Lまでの高次光のみがレンズ614へ入射し、他の成分はレンズ614へ入射しない場合を示している。レンズ614に入射された高次光は、レンズ614で屈折して、イメージセンサ106の撮像面110に所望の倍率で拡大されて結像する。
レンズ614へ入射する高次光は、レンズ614の位置や開口数を変更することによって、調整することができる。例えば19次光のみをレンズ614へ入射し、他の成分はレンズ614へ入射させないこともできる。
撮像面110に形成される像は、回折された光のうちの高次光成分のみから構成されている。高次光成分として、マスク612の格子模様における空間周波数よりも短い波長の光をレンズ614へ入射することで、マスク612の格子模様の乱れを強調した像を撮像面110に形成することができる。撮像面110に形成される像は高次光成分のみから構成されており、レンズ614によって拡大して結像させた場合にも、細部まで可視化することができる。
図9は図7に示すマスク612を用いた場合に撮像面110に形成される像906を示す。像906は、マスク612で回折された光のうち19次光のみが入射されるように、レンズ614の位置と開口数を調整した状態で取得されたものである。
像906はぼやけており、マスク612の格子模様はほとんど識別できないが、段差808に対応する位置に線908が、段差810に対応する位置に線910が、強調されて現れていることが分かる。
撮像面110に得られた像906を、光学系を伝達したことによって劣化した画像として捉え、復元処理を施すことによって、このような格子の乱れをさらに鮮明に可視化することができる。
復元装置108はイメージセンサ106から送信される画像データに基づいて、復元処理を実施して、復元された画像データを作成する。復元装置108が実施する復元処理は第1実施例と同様であるから、説明を省略する。
上記の可視化装置602によれば、マスク612の格子模様に存在する微小な格子の乱れを可視化した映像を得ることができる。極めて微小な欠陥についても、その欠陥が存在する部位を強調して鮮明に可視化することができる。マスク612の健全性を、安価な装置を用いて、迅速且つ正確に評価することができる。
上記ではマスク612の微小な欠陥を可視化する例を説明したが、マスク612の代わりに、正確な格子状の光透過特性の分布を備えるプレートを用い、同様の構成の装置を用いることで、プレート上に載置された微細な試料の特徴を鮮明に可視化することもできる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
図1は可視化装置102の構成を示す図である。 図2は格子模様を備えるプレート112を上面から見た図である。 図3は復元装置108が実施する処理を説明するフローチャートである。 図4は復元装置108が実施するOTF分布の推定処理を説明するフローチャートである。 図5は復元装置108が実施する原画像分布の推定処理を説明するフローチャートである。 図6は可視化装置602の構成を示す図である。 図7はマスク612を上面から見た図である。 図8は可視化装置602の原理を示す図である。 図9は撮像面110に形成される像906を示す図である。
符号の説明
102・・・可視化装置
104・・・点光源
106・・・イメージセンサ
108・・・復元装置
110・・・撮像面
112・・・プレート
114・・・試料
202・・・遮蔽部
204・・・透過部
602・・・可視化装置
604・・・光源
612・・・マスク
614・・・レンズ
802・・・透過部
804・・・遮蔽部
808、810・・・段
906・・・画像
908、910・・・線

Claims (10)

  1. 微細な試料を可視化する装置であって、
    試料を載置可能な載置面を備え、載置面に沿って格子状に変化する光透過特性の分布を備える載置板と、
    載置板に光を照射する光源と、
    載置面と略平行な撮像面を備えており、載置板で回折された光が撮像面に形成する像の画像データを取得する画像データ取得手段と、
    取得した画像データを復元する復元装置を備えており、
    前記復元装置は、
    (A1)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する処理と、
    (B1)原画像の最初の推定分布を特定する処理と、
    (C1)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する処理と、
    (D1)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する処理と、
    (E1)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する処理と、
    (F1)上記(D1)と(E1)の処理を交互に繰返す処理と、
    (G1)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する処理、
    を実施するものであり、
    前記(D1)のインパルス応答の推定分布を更新する処理は、
    (D1−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る処理と、
    (D1−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る処理と、
    (D1−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る処理と、
    (D1−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る処理と、
    (D1−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る処理と、
    (D1−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る処理と、
    (D1−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る処理と、
    (D1−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る処理と、
    (D1−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る処理と、
    (D1−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える処理
    を備えており、
    前記(E1)の原画像の推定分布を更新する処理は、
    (E1−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る処理と、
    (E1−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る処理と、
    (E1−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る処理と、
    (E1−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る処理と、
    (E1−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る処理と、
    (E1−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る処理と、
    (E1−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る処理と、
    (E1−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る処理と、
    (E1−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る処理と、
    (E1−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える処理と、
    を備えている、
    ことを特徴とする可視化装置。
  2. 前記光源は載置板に近接する点光源であって、
    前記撮像面は、載置板の光透過特性の分布に応じたフーリエ面に位置する
    ことを特徴とする請求項1の可視化装置。
  3. 試料画像検出装置をさらに備え、
    前記試料画像検出装置は、載置板に試料を載置した状態で取得された画像データから復元された画像データと、載置板に試料を載置していない状態で取得された画像データから復元された画像データの差異を検出することを特徴とする請求項2の可視化装置。
  4. 載置板で回折された光を前記撮像面に結像するレンズをさらに備え、
    前記光源は、載置面に対して偏斜した軸を光軸とする光を照射し、
    前記レンズは、載置板で回折された高次光を前記撮像面に結像する、
    ことを特徴とする請求項1の可視化装置。
  5. 微細な格子の乱れを可視化する装置であって、
    格子に光を照射する光源と、
    格子の面と略平行な撮像面を備えており、格子で回折された光が撮像面に形成する像の画像データを取得する画像データ取得手段と、
    取得した画像データを復元する復元装置を備えており、
    前記復元装置は、
    (A2)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する処理と、
    (B2)原画像の最初の推定分布を特定する処理と、
    (C2)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する処理と、
    (D2)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する処理と、
    (E2)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する処理と、
    (F2)上記(D2)と(E2)の処理を交互に繰返す処理と、
    (G2)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する処理、
    を実施するものであり、
    前記(D2)のインパルス応答の推定分布を更新する処理は、
    (D2−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る処理と、
    (D2−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る処理と、
    (D2−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る処理と、
    (D2−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る処理と、
    (D2−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る処理と、
    (D2−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る処理と、
    (D2−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る処理と、
    (D2−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る処理と、
    (D2−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る処理と、
    (D2−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える処理
    を備えており、
    前記(E2)の原画像の推定分布を更新する処理は、
    (E2−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る処理と、
    (E2−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る処理と、
    (E2−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る処理と、
    (E2−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る処理と、
    (E2−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る処理と、
    (E2−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る処理と、
    (E2−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る処理と、
    (E2−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る処理と、
    (E2−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る処理と、
    (E2−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える処理と、
    を備えている、
    ことを特徴とする可視化装置。
  6. 前記光源は格子に近接する点光源であって、
    前記撮像面は、格子のフーリエ面に位置する
    ことを特徴とする請求項5の可視化装置。
  7. 格子の乱れ検出装置をさらに備え、
    前記格子の乱れ検出装置は、格子に乱れのある状態で取得された画像データから復元された画像データと、格子に乱れのない状態で取得された画像データから復元された画像データの差異を検出することを特徴とする請求項6の可視化装置。
  8. 格子で回折された光を前記撮像面に結像するレンズをさらに備え、
    前記光源は、格子の面に対して偏斜した軸を光軸とする光を照射し、
    前記レンズは、格子で回折された高次光を前記撮像面に結像する、
    ことを特徴とする請求項5の可視化装置。
  9. 微細な試料を可視化する方法であって、
    試料を載置可能な載置面を備え、載置面に沿って格子状に変化する光透過特性の分布を備える載置板に、試料を載置する工程と、
    載置板に光を照射する工程と、
    載置板で回折された光が、載置面と略平行な撮像面に形成する像の画像データを取得する工程と、
    取得した画像データを復元する工程を備えており、
    前記復元する工程は、
    (A3)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する工程と、
    (B3)原画像の最初の推定分布を特定する工程と、
    (C3)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する工程と、
    (D3)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する工程と、
    (E3)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する工程と、
    (F3)上記(D3)と(E3)の工程を交互に繰返す工程と、
    (G3)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する工程と
    を備えており、
    前記(D3)のインパルス応答の推定分布を更新する工程は、
    (D3−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る工程と、
    (D3−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る工程と、
    (D3−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る工程と、
    (D3−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る工程と、
    (D3−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る工程と、
    (D3−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る工程と、
    (D3−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る工程と、
    (D3−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る工程と、
    (D3−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る工程と、
    (D3−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える工程
    を備えており、
    前記(E3)の原画像の推定分布を更新する工程は、
    (E3−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る工程と、
    (E3−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る工程と、
    (E3−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る工程と、
    (E3−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る工程と、
    (E3−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る工程と、
    (E3−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る工程と、
    (E3−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る工程と、
    (E3−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る工程と、
    (E3−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る工程と、
    (E3−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える工程と、
    を備えている、
    ことを特徴とする可視化方法。
  10. 微細な格子の乱れを可視化する方法であって、
    格子に光を照射する工程と、
    格子で回折された光が格子の面と略平行な撮像面に形成する像の画像データを取得する工程と、
    取得した画像データを復元する工程を備えており、
    前記復元する工程は、
    (A4)取得した画像データを劣化画像の分布に変換する工程と、
    (B4)原画像の最初の推定分布を特定する工程と、
    (C4)伝達系のインパルス応答の最初の推定分布を特定する工程と、
    (D4)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、インパルス応答の推定分布を更新する工程と、
    (E4)前記劣化画像の分布と、原画像の推定分布と、インパルス応答の推定分布に基づいて、原画像の推定分布を更新する工程と、
    (F4)上記(D4)と(E4)の工程を交互に繰返す工程と、
    (G4)更新された原画像の推定分布を画像データに変換する工程と
    を備えており、
    前記(D4)のインパルス応答の推定分布を更新する工程は、
    (D4−1)原画像の推定分布をフーリエ変換して、原画像の推定分布のスペクトル分布を得る工程と、
    (D4−2)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して第1の関数を得る工程と、
    (D4−3)前記第1の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布を乗じて第2の関数を得る工程と、
    (D4−4)前記第2の関数を逆フーリエ変換して第3の関数を得る工程と、
    (D4−5)前記劣化画像の分布を前記第3の関数で除して第4の関数を得る工程と、
    (D4−6)前記第4の関数をフーリエ変換して第5の関数を得る工程と、
    (D4−7)前記第5の関数に前記原画像の推定分布のスペクトル分布の反転関数を乗じて第6の関数を得る工程と、
    (D4−8)前記第6の関数を逆フーリエ変換して第7の関数を得る工程と、
    (D4−9)前記インパルス応答の推定分布に前記第7の関数を乗じて、インパルス応答の次の推定分布を得る工程と、
    (D4−10)インパルス応答の次の推定分布をインパルス応答の推定分布に置き換える工程
    を備えており、
    前記(E4)の原画像の推定分布を更新する工程は、
    (E4−1)インパルス応答の推定分布をフーリエ変換して、伝達系の周波数応答の推定分布を得る工程と、
    (E4−2)原画像の推定分布をフーリエ変換して第8の関数を得る工程と、
    (E4−3)前記第8の関数に前記周波数応答の推定分布を乗じて第9の関数を得る工程と、
    (E4−4)前記第9の関数を逆フーリエ変換して第10の関数を得る工程と、
    (E4−5)前記劣化画像の分布を前記第10の関数で除して第11の関数を得る工程と、
    (E4−6)前記第11の関数をフーリエ変換して第12の関数を得る工程と、
    (E4−7)前記第12の関数に前記周波数応答の推定分布の反転関数を乗じて第13の関数を得る工程と、
    (E4−8)前記第13の関数を逆フーリエ変換して第14の関数を得る工程と、
    (E4−9)原画像の推定分布に前記第14の関数を乗じて、原画像の次の推定分布を得る工程と、
    (E4−10)原画像の次の推定分布を原画像の推定分布に置き換える工程と、
    を備えている、
    ことを特徴とする可視化方法。
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