JP3567467B2 - 圧電発振子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧電セラミック素子を備えた圧電発振子、特に面実装型圧電発振子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電発振子として、例えば面実装型セラミック発振子は、ベース基板と、ベース基板に形成された電極と、ベース基板上にて電極に導電性接着剤を介して固着された圧電セラミック素子と、ベース基板上に取付けられ、圧電セラミック素子を防護するキャップとを備える。
【0003】
このような圧電発振子は、一般に次のように製造している。即ち、個々のベース基板の上面及び下面に電極を形成すると共に、上面電極と下面電極を接続し、上面電極に圧電セラミック素子を固着し、更にベース基板上にキャップをそれぞれ接合している。
或いは、1枚の基板から複数個のベース基板が得られる複数個取り用の基板を用い、この基板の上面及び下面に所定パターンの電極を形成すると共に、スルーホール等によって上面電極と下面電極を接続し、各ユニット(圧電発振子)毎に上面電極に圧電セラミック素子を固着し、更に各ユニットにそれぞれキャップを個別に接合し、その後に基板をカッティングし、個々の発振子に分離している。又は、予め基板に分割用のスリットを縦横に形成しておき、キャップを個々に接合した後に、スリットからブレイクすることも行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、個々のベース基板に個々のキャップを取付ける製造方法では、発振子を1個ずつ組み立てなければならず、生産性が悪い。又、複数個取り用の基板を用いる製造方法では、前者の製造方法よりは生産性が良くなるが、ベース基板とキャップで構成されるパッケージの材料(主にセラミック)から、特にキャップは単数品である必要があるため、キャップの材料費が依然として高く、しかもキャップは個々に取付けなければならないため、製造コストも高くなる。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点に鑑み、一度に複数個の圧電発振子を作製することのできる製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
前記目的を達成するために、本発明の圧電発振子の製造方法は、縦横に多数個取りが可能なサイズの樹脂製のベース板の少なくとも上面に所定の電極パターン(上面電極)を形成し、各ユニット(圧電発振子)間に位置する上面電極部分に上面電極が開口周囲に存在するように楕円形状のスルーホールを、その楕円形の長軸がユニット間に位置するように形成し、各ユニット毎に、前記上面電極と当該上面電極に対応させて形成した下面電極とを楕円形状のスルーホールを利用して接続し、各ユニットにて一対の上面電極に圧電セラミック素子をそれぞれ取付け、各圧電セラミック素子を個別に収容する凹部を有する樹脂からなる一体成形の1枚のキャップの凹部側を、各凹部で各圧電セラミック素子を収容するように且つ各ユニットの周囲領域に沿うとともに楕円形状のスルーホールの各ユニットの周囲領域に位置する部分を覆うようにベース板に接合し、その後に各ユニット間を切断することで、圧電発振子がベース基板とキャップで構成されるパッケージに封止された個々のユニットに分離し、多数個の圧電発振子を得ることを特徴とする。
【0007】
この製造方法によれば、複数個の圧電発振子を一度に作製することが可能となる。つまり、予め所望の個数の圧電発振子が得られるサイズの1枚のベース板を用意し、このベース板にて各ユニット毎に電極を形成し、電極に圧電セラミック素子を取付けた後、各圧電セラミック素子を収容する凹部を有する1枚のキャップをベース板上に接合する。これにより、ベース板とキャップからなるパッケージで各圧電セラミック素子がそれぞれ個別に封止された状態になる。その後、ダイシング(例えばスクライビング)によってユニット間をベース板及びキャップ共々切断し、各ユニットに分離することで、複数個の圧電発振子が一度に得られる。従って、生産性が向上し、製造コストが低減する。
【0008】
なお、本発明において、ベース基板及びキャップに使用する樹脂は、面実装型の電子部品として要求される耐リフロー性を満足すると共に、発振子として求められる耐食性、機械的性能を満足するために、更にはダイシングの容易性をも考慮して、耐熱性、機械的強度、耐気密性に優れ、且つ加工性に富んだものであることが重要である。これらの条件を備えた樹脂としては、特にBTレジン(ビスマレイミド・トリアジン付加重合型熱硬化性樹脂)、耐熱性ガラスエポキシ樹脂(耐リフロー性から耐熱性は250℃程度以上)、液晶ポリマー、PBT(ポリブチレン・テレフタレート)、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)等が最適である。
【0009】
一般に樹脂は、セラミックに比べて、加工性が良くスクライビング(ダイシング)が容易であること、及び材料コストが安いこと等の利点を有するため、樹脂をベース基板及びキャップ(即ちパッケージ)の材料とすることで、複数個の圧電発振子を一度に作製することが可能となる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の圧電発振子の製造方法を実施例に基づいて説明する。
その一実施例に係る面実装型圧電発振子の製造工程図(部分平面図のみ示す)を図1〜図3に示す。まず図1において、任意の複数個の発振子が得られるサイズのベース板1を用意する。このベース板1は前例の樹脂からなるものである。そして、樹脂製ベース板1の上面に、図示のような所定の電極パターン2を所定間隔で並列状に形成すると共に、この上面電極2に対応してベース板1の下面にも所定の電極パターン(図示せず)を形成する。この上面電極2のうち、拡幅のパッド部2aが圧電セラミック素子を積載する部分となる。更に、各ユニット(圧電発振子)間に設定されたスクライブ部9に位置する電極部分2bにスルーホール3を形成し、ベース板1の上面電極2と下面電極を接続する。
【0011】
次いで、図2に示すように、一対の対向する電極パッド部2a,2a上にそれぞれ圧電セラミック素子4を導電性接着剤5で固着する。その後、各ユニットに対面する部分に凹部を有する一体成形のキャップ(図示せず)の凹部側を、ベース板1に接合する。このキャップも、前例の樹脂からなるものである。接合部分は、図3に点線斜線で示してあるように各ユニットの周囲領域である。1枚の樹脂製キャップをベース板1に接合することにより、各凹部にそれぞれ圧電セラミック素子4が収容された状態で封止され、このキャップとベース板1でパッケージが構成される。
【0012】
続いて、各ユニット間に設定された縦横のスクライブ部9から、スクライブによりキャップとベース板1を切断し、個々のユニットに分離することにより、複数個の圧電発振子が一度に得られる。
このように、1枚のベース板及び1枚のキャップを使用し、ベース板全体に電極パターンを形成し、各ユニット毎に圧電セラミック素子を取付け、更にベース板全体をキャップで覆い、それから個々の圧電発振子に分離するため、生産性が向上し、しかも特にキャップを単数品にする必要がなく、材料費が安くなる。従って、製造コストが低くなる。
【0013】
上記製造方法で作製した圧電発振子の構造例を図4〜図8に示す。図4はその要部断面図、図5は上面図、図6は図5の矢視Aから見た側面図、図7は図5の矢視Bから見た側面図、図8は下面図である。
この圧電発振子は、樹脂製のベース基板10と、ベース基板10の両側にて基板10の上面及び下面に形成された電極11,12と、電極11,12にそれぞれ導電性接着剤13,14によって固着された圧電セラミック素子15と、ベース基板10の周囲に接合された、圧電セラミック素子15を保護する樹脂製のキャップ16とを備える。電極11,12は、前述したように、ベース基板10の側面に形成されたスルーホール10a,10bによって基板10の下面電極(外部電極)11a,12aに導通している(図6及び図8参照)。
【0014】
更に、この実施例では、ベース基板10のスルーホール10a,10bに対応するキャップ16の部分(側部)には、切欠き16a,16bが形成されている(図6参照)。但し、この切欠き16a,16bは、必ずしもキャップ16の側部に設ける必要はないし、或いはキャップ16の側部を突き抜けるように設けてもよい。
【0015】
なお、上記実施例は単なる一例であり、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。例えば、上記実施例では、2つの端子電極を有するものの製造について説明したが、コンデンサ機能を備えた3端子電極タイプのものでも、1枚のキャップと1枚のベース基板を使用して同様に製造することができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の圧電発振子の製造方法は、以上説明したように構成されるため、下記の効果を有する。
(1)1枚のベース板及び1枚のキャップを使用して、複数個の圧電発振子を一度に作製するため、生産性が向上する。
(2)特にキャップを複数個取り用とするため、単数品とする場合よりも材料費を抑えることができる。
(3)生産性の向上及び材料費の低減により、低製造コスト化を実現できる。
(4)スルーホールの形状が楕円形状であり、その楕円形の長軸がユニット間に位置するようにスルーホールを形成するため、各ユニット間隔を狭くしてもスルーホールの面積を十分に確保できる。
(5)スルーホールの開口周囲にも上面電極が存在するので、上面電極と下面電極がより確実に導通する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の工程を説明するための部分平面図である。
【図2】図1に続く製造工程の部分平面図である。
【図3】図2に続く製造工程の部分平面図である。
【図4】本発明の製造方法によって作製した圧電発振子の要部断面図である。
【図5】図4に示す発振子の上面図である。
【図6】図5に示す発振子を矢視Aから見た側面図である。
【図7】図5に示す発振子を矢視Bから見た側面図である。
【図8】図4に示す発振子の下面図である。
【符号の説明】
1 ベース板
2 電極パターン
3 スルーホール
4 圧電セラミック素子
5 導電性接着剤
6 キャップとの接合部分
9 スクライブ部

Claims (1)

  1. 縦横に多数個取りが可能なサイズの樹脂製のベース板の少なくとも上面に所定の電極パターン(上面電極)を形成し、各ユニット(圧電発振子)間に位置する上面電極部分に上面電極が開口周囲に存在するように楕円形状のスルーホールを、その楕円形の長軸がユニット間に位置するように形成し、各ユニット毎に、前記上面電極と当該上面電極に対応させて形成した下面電極とを楕円形状のスルーホールを利用して接続し、各ユニットにて一対の上面電極に圧電セラミック素子をそれぞれ取付け、各圧電セラミック素子を個別に収容する凹部を有する樹脂からなる一体成形の1枚のキャップの凹部側を、各凹部で各圧電セラミック素子を収容するように且つ各ユニットの周囲領域に沿うとともに楕円形状のスルーホールの各ユニットの周囲領域に位置する部分を覆うようにベース板に接合し、その後に各ユニット間を切断することで、圧電発振子がベース基板とキャップで構成されるパッケージに封止された個々のユニットに分離し、多数個の圧電発振子を得ることを特徴とする圧電発振子の製造方法。
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