JP3567160B2 - 半導体集積回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は微細MOSトランジスタで構成された半導体集積回路に係り、特に高速・低電力動作に適した回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
非特許文献1に述べられているように、MOSトランジスタが微細化されるにつれてその耐圧が低下するために、その動作電圧を低くせざるを得ない。
この場合に、高速動作を維持するためには、動作電圧の低下に見合ってMOSトランジスタのしきい電圧(VT)も低下させる必要がある。これは、動作速度は、MOSトランジスタの実効ゲート電圧、すなわち動作電圧からVTを差し引いた値で支配され、この値が大きいほど高速だからである。しかし、VTを0.4V程度以下にすると、以下に述べるように、MOSトランジスタのサブスレッショルド特性(テーリング特性)によって、トランジスタを完全にオフすることはもはやできなくなり、直流電流が流れるという現象が生ずる。
【0003】
図49に示す従来のCMOSインバータについて説明する。理想的には、入力信号INが低レベル(=VSS)の時はNチャネルMOSトランジスタMNがオフ、INが高レベル(=VCC)の時はPチャネルMOSトランジスタMPがオフになり、いずれにしても電流が流れることはない。しかし、MOSトランジスタのVTが低くなると、サブスレッショルド特性を無視することができなくなる。
【0004】
図50に示すように、サブスレッショルド領域におけるドレイン電流IDSは、ゲート・ソース間電圧VGSの指数関数に比例し、次式で表される。
【0005】
【数1】
【0006】
ただし、WはMOSトランジスタのチャネル幅、I0、W0はVTを定義する際の電流値およびチャネル幅、Sはテーリング係数(VGS−log IDS特性の傾きの逆数)である。したがって、VGS=0でもサブスレッショルド電流
【0007】
【数2】
【0008】
が流れる。図49のCMOSインバータでオフ状態のトランジスタはVGS=0であるから、非動作時において高電源電圧VCCから接地電位である低電源電圧VSSに向かって上記の電流ILが流れることになる。
このサブスレッショルド電流は、図50に示すように、しきい電圧をVTからVT’に低下させると、ILからIL’に指数関数的に大きくなる。
数2の上式から明らかなように、サブスレッショルド電流を低減するためには、VTを大きくするかSを小さくすればよい。しかし、前者は実効ゲート電圧の低下による速度の低下を招く。特に、耐圧の点から微細化とともに動作電圧を低くしていくと、速度低下は顕著になり、微細化の利点を生かせなくなるので好ましくない。また後者は、室温動作を前提とする限り、次の理由により困難である。
テーリング係数Sは、ゲート絶縁膜の容量COXとゲート下の空乏層の容量CDにより、次のように表される。
【0009】
【数3】
【0010】
ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは素電荷である。上式から明らかなように、COXおよびCDの如何にかからわずS≧kT ln 10/qであり、室温では60mV以下にすることは困難である。
以上述べた現象のために、多数のMOSトランジスタで構成された半導体集積回路の実質的な直流電流は著しく増大してしまう。特に高温動作時には、VTが低くSが大きくなるため、この問題はさらに深刻になる。低電力化が重要である今後のコンピュータ等のダウンサイジング時代においては、このサブスレッショルド電流の増大は本質的な問題である。
【非特許文献1】
1989 インターナショナル シンポジウム オン ブイ・エル・エス・アイテクノロジー,システムズ アンド アプリケーションズ、プロシーディングズ オブ テクニカル ペーパーズ(1989年5月)第188頁から第192頁(1989 International Symposium on VLSI Technology, Systems and Applications, Proceedings of Technical Papers, pp.188−192 (May 1989))
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、MOSトランジスタを微細化しても高速・低電力の半導体集積回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための一つの手段は、本発明では、MOSトランジスタのソースと電源の間に大電流と小電流との電流供給を制御する制御回路手段を挿入し、用途に応じてこれらの電流を切り換えてMOSトランジスタ回路に供給する。たとえば、高速動作が要求される時は大電流を供給し、低消費電力が要求される時は小電流を供給する。その際に、上記MOSトランジスタのソースに接続される電源線と上記電源に接続される電源線を交差するように配置する。
【0013】
上記の構成により通常動作時には高速動作が要求されるので、上記電流供給手段から大電流をMOSトランジスタ回路に供給し、高速動作を可能にする。この時、MOSトランジスタ回路には前述のとおり直流電流が流れるが、動作電流すなわち負荷の充放電電流に比べて普通十分小さいので差し支えない。
一方、待機時には低消費電力が要求されるので、供給される電流を小電流に切り換え、サブスレッショルド電流を抑える。この時、電流が制限されることにより、MOSトランジスタ回路の論理振幅は一般に大電流供給時よりも小さくなるが、論理レベルを保証できる程度であれば差し支えない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、まず、参考例として図1〜図35及び図40〜図43を参照して本発明を適用する半導体集積回路を説明し、図36〜図39及び図44〜図48を参照して具体的な実施例を説明する。
【0015】
まず、図1は本発明を適用する半導体集積回路の原理を説明するのに好適な参考例である。
図1(a)は参考例によるインバータの回路図である。図中、LはCMOSインバータであり、PチャネルMOSトランジスタMPとNチャネルMOSトランジスタMNからなる。本発明を適用する半導体集積回路は、後述のように、インバータだけでなくNAND、NORなどの論理ゲートあるいは論理ゲート群にも適用できるが、ここでは簡単のためインバータの場合について説明する。SCおよびSSはスイッチ、RCおよびRSは抵抗であり、本参考例の特徴は、インバータLの電源端子VCL、VSLと電源VCC、VSSの間にそれぞれスイッチSC、SSと抵抗RC、RSが並列に挿入されていることであり、これにより以下に説明するようにサブスレッショルド電流低減が実現される。
高速動作が要求される時間帯には、スイッチSC、SSをオンにし、VCC、VSSを直接インバータLに印加する(以下、高速動作モードという)。MP、MNのしきい電圧(VT)を低く設定しておけば、高速動作させることができる。この時、前述のようにインバータLにはサブスレッショルド電流が流れるが、これは普通、動作電流すなわち負荷の充放電電流に比べて十分小さいので問題にならない。
【0016】
一方、低消費電力が要求される時間帯には、スイッチSC、SSをオフにして、抵抗RC、RSを通してインバータに電源を供給する(以下、低消費電力モードという)。サブスレッショルド電流が抵抗を通して流れることによる電圧降下により、VCLはVCCよりも低下し、VSLはVSSよりも上昇する。図2に示すように、この電圧降下により、次の2種の機構によってサブスレッショルド電流が減少する。尚、入力信号INが低レベル(VSS)の場合のMNについて説明するが、INが高レベル(VCC)の場合のMPも同様である。
(i)ソース電位VSLが上昇するため、バックゲートバイアスVBS=VSS−VSL=−VMがかかり、しきい電圧がVT0からVT1まで上昇する。しきい電圧の上昇分は、
【0017】
【数4】
【0018】
である。これにより、サブスレッショルド電流はIL0からIL1まで減少する。減少率は、
【0019】
【数5】
【0020】
である。ここでKは基板効果係数である。例えば、VM=0.3V、K=0.4√V、S=100mV/decade、2ψ=0.64Vならば、サブスレッショルド電流は21%に低減される。
【0021】
(ii)ソース電位VSLが上昇するため、ゲート・ソース間電圧VGS=VSS−VSL=−VMが負になる。これにより、サブスレッショルド電流はさらにIL1からIL2まで減少する。減少率は、
【0022】
【数6】
【0023】
である。例えば、VM=0.3V、S=100mV/decadeならば、サブスレッショルド電流は0.1%に低減される。
(i)(ii)の効果を併せると、
【0024】
【数7】
【0025】
となる。例えば、VM=0.3Vならば0.02%になる。ここで、VMは方程式
【0026】
【数8】
【0027】
の解である。
尚、インバータLのMOSトランジスタMP、MNのバックゲートはそれぞれのソース(VCL、VSL)に接続してもよいが、(i)の効果を得るためには図1(a)のようにVCC、VSSに接続する方が望ましい。
【0028】
図3にサブスレッショルド電流低減効果を示す。ここでは、将来の超低電圧動作の超高集積LSIを想定し、バックゲートバイアスが0のときのしきい電圧VT0=0.05〜0.15V、LSI全体のオフ状態のトランジスタのチャネル幅の総和W=100mである場合について計算している。抵抗を大きくするほどVMが大きくなり、効果が大きくなる。
ただし、図1(b)に示すように、出力信号OUTの論理振幅は入力信号INの論理振幅よりも小さくなるので、多段接続の際は信号の電圧レベルに注意しなければならないが、これについては後述する。
【0029】
また、本発明を適用する半導体集積回路にはしきい電圧のバラツキを自動的に補償する作用がある。すなわち、しきい電圧が低くサブスレッショルド電流が大きいときは、抵抗による電圧降下VMが大きくなり、しきい電圧が高くサブスレッショルド電流が小さいときは、VMが小さくなる。いずれの場合も、電流の変動が抑制される。図3から明らかなように、サブスレッショルド電流の変動は抵抗値が大きいほど小さい。例えば、抵抗値を3kΩ以上にすれば、しきい電圧が±0.05Vばらついても、サブスレッショルド電流ILの変動は±20%以内に抑えられる。
【0030】
次に、参考例1で説明したスイッチと抵抗の具体的な実現方法を示す。図4は、スイッチと抵抗とをともにMOSトランジスタで実現した例である。
スイッチ用のMOSトランジスタMC1とMS1は、コンダクタンスの大きいMOSトランジスタであり、それぞれ図1のスイッチSC、SSに相当する。高速動作モードの時は、信号φCを低レベル、φSを高レベルにすることによって、MC1、MS1はオンになる。φC、φSの電圧レベルは、それぞれVSS、VCCでもよいが、MC1、MS1のコンダクタンスをより大きくするために、φCをVSSよりも低く、φSをVCCよりも高くしてもよい。そのための電圧は、チップの外部から与えるか、EEPROMやDRAMで周知のオンチップ昇圧回路で発生させればよい。
低消費電力モードのときは逆に、φCを高レベル、φSを低レベルにすることによって、MC1、MS1はオフになる。この時は、電流を確実に抑止できるようにしなければならない。そのためには、次の2通りの方法がある。第1の方法は、外部電圧またはオンチップ昇圧回路によって、φCをVCCよりも高く、φSをVSSよりも低くすることである。第2の方法は、MC1、MS1として、インバータLに用いられているものよりもしきい電圧が高い(よりエンハンスメントの)トランジスタを用いることである。第1の方法は、しきい電圧の異なるトランジスタを作るための工程が不要であるという利点がある。一方、第2の方法は、外部電圧を受ける端子あるいはオンチップ昇圧回路が不要であるから、面積の点で有利である。
MOSトランジスタMC2とMS2はコンダクタンスの小さいMOSトランジスタであり、それぞれ図1の抵抗RC、RSに相当する。これらのトランジスタは、ゲートがそれぞれVSS、VCCに接続されており、常にオンである。これらのトランジスタはオフにする必要がないので、そのしきい電圧は低くても差し支えない。
【0031】
次に、本発明を適用する半導体集積回路が適用される時間帯について述べる。図5に信号φC、φSのタイミングの例を示す。
図5(a)および(b)は、本発明を適用する半導体集積回路をメモリLSIに適用した場合である。メモリLSIは、チップエネーブル信号CE ̄(補信号)が低レベルのとき動作状態、高レベルのとき待機状態になる。図5(a)の場合は、信号φCは、CE ̄の立下りに同期して低レベルになり、CE ̄の立上りからやや遅れて高レベルになる。信号φSはその逆である。従って、図中のaの時間帯は高速動作モード、bの時間帯は低消費電力モードになる。一般に多数のメモリLSIを用いたメモリ装置では、動作状態にあるLSIは少数であり、大多数のLSIは待機状態にある。従って、待機状態にあるLSIを低消費電力にすれば、メモリ装置全体の低消費電力化に大きく寄与する。なお、CE ̄の立上りから低消費電力モードに入るまでに遅延を設ける理由は、この間にLSIの内部回路のリセットが行われるからである。
図5(b)はさらに低消費電力化を図った例である。ここでは、CE ̄が変化した直後のみを高速動作モードにしている。すなわち、CE ̄が低レベルになった直後はデータの読出し/書込みが行なわれ、CE ̄が高レベルになった直後は内部回路のリセットが行なわれるので、これらの時間帯は高速動作モードとし、その他の時間帯は低消費電力モードにしている。なお、ここには記載されていないが、アドレス信号が変化したときに高速動作モードに入るようにしてもよい。
図5(c)は本発明を適用する半導体集積回路をマイクロプロセッサに適用した例である。通常動作状態では、クロックCLKが印加されている。このとき、信号φCは低レベル、φSは高レベルであり、高速動作モードである。マイクロプロセッサが待機状態またはデータ保持状態になると、クロックCLKが停止し、信号BUが高レベルになる。これに同期して、φCは高レベル、φSは低レベルになり、低消費電力モードになる。これにより、マイクロプロセッサの消費電力が低減され、電池などの小容量の電源で長時間バックアップすることが可能になる。
【0032】
図6は、図4の回路を実現するためのデバイス構造の一例である。この図のポリシリコン130、131、132、133がそれぞれ図4のMC2、MP、MN、MS2のゲートに相当する(MC1、MS1はここには記載されていない)。
注意すべきことは、MC2とMPとが同一のnウェル101(n+拡散層120を介してVCCに接続されている)を共有していることである。MNとMS2も同様にp基板(VSSに接続されている)100を共有している。これからわかるように、MOSトランジスタのバックゲートをVCC、VSSに接続する方が、ソースに接続する場合に比べて、前述の(i)の効果が得られるだけでなく、レイアウト面積の点でも有利である。
ここに示した例では、p基板中にnウェルを形成しているが、逆にn基板中にpウェルを形成してもよい。あるいは、アイ・エス・エス・シー・シー、ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ、第248頁から第249頁、1989年2月(ISSCC Digest of Technical Papers, pp.248−249, Feb.1989)に記載されているような三重ウェル構造を用いてもよい。
【0033】
図7にスイッチと抵抗の他の実現方法を示す。本参考例の特徴は、カレントミラー回路を用いていることである。すなわち、しきい電圧が同じMOSトランジスタMC2とMC3は、ゲートとソースを共有するいわゆるカレントミラー回路を成しており、MC2には電流源I0に比例する電流が流れ、そのインピーダンスは大きい。MS2とMS3についても同様である。したがって、MC2、MS2は高抵抗とみなすことができる。尚、電流源I0とMC3、MS3から成る回路CSを複数の論理ゲートで共有してもよい。
カレントミラー回路はここに示した回路だけでなく、他の回路でもよい。例えば、MOSトランジスタの代わりにバイポーラトランジスタを用いてもよい。
【0034】
このように、スイッチと抵抗の実現方法は、いろいろな変形がありうる。要は、高速動作が要求される時間帯には大電流を、低消費電力が要求される時間帯には小電流を流す手段であればよい。以下の図面では、簡単のため、図1のようにスイッチと抵抗で表すことにする。
【0035】
インバータのMOSトランジスタのバックゲートは、VCC、VSSに限らず別の電源に接続してもよく、その電圧を可変にしてもよい。図8にその例を示す。ここでは、MP、MNのバックゲートをそれぞれ電源VWW、VBBに接続し、それらのバックゲート電圧値を動作時と待機時とで変えている。VBBについて言えば、高速動作が要求される時間帯にはVBBを浅くして(あるいは極端な場合わずかに正にして)MNのVTを低くして高速動作を可能にする。低消費電力が要求される時間帯にはVBBを深くしてMNのVTを高くして、サブスレッショルド電流を抑える。これにより、前記(i)の効果がさらに大きくなる。以上VBBについて述べたが、VWWも電圧の極性が逆になるだけで同様である。なお、この種のバックゲート電圧発生回路は、例えばアイ・エス・エス・シー・シー、ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ、第254頁から第255頁、1985年2月(ISSCC Digest of Technical Papers, pp.254−255, Feb.1985)に記載されている。
【0036】
図9は、図8の回路を実現するためのデバイス構造の一例である。ここでは、前述の三重ウェル構造を用いており、nウェル105(PチャネルMOSトランジスタのバックゲート)はn+拡散層120を介してVWWに、pウェル103(NチャネルMOSトランジスタのバックゲート)はp+拡散層127を介してVBBに接続されている。
この三重ウェル構造は、Pチャネル、Nチャネル共に回路ごとに独立したウェルに入れることができるので、回路ごとにバックゲート電圧を設定できるという利点がある。例えば、1つのLSI内に動作状態にある回路と待機状態にある回路が混在する場合、前者のバックゲート電圧を浅く、後者のバックゲート電圧を深くすることができる。
【0037】
次に、インバータを多段接続したインバータ列の場合について述べる。簡単のため、まず2段の場合で原理を説明する。
図10(a)は、CMOSインバータL1、L2を接続した場合の回路図である。各段のインバータごとに、スイッチSCi、SSiと抵抗RCi、RSi(i=1,2)が挿入されている。
高速動作モードでは、4個のスイッチをすべてオンにし、VCC、VSSを直接インバータL1、L2に印加する。インバータのMOSトランジスタのしきい電圧(VT)を低く設定しておけば、高速動作させることができる。一方、低消費電力モードでは、4個のスイッチをすべてオフにして、抵抗を通してインバータに電源を供給する。サブスレッショルド電流が抵抗を通して流れることによる電圧降下により、VCL1、VCL2はVCCよりも低下し、VSL1、VSL2はVSSよりも上昇する。
第1段のインバータL1については、図1の場合と同様に、前記(i)(ii)の機構によってサブスレッショルド電流が減少する。しかし、図10(b)に示すように、L1の出力N1の論理振幅は入力信号INの論理振幅よりも小さい。すなわち、INが低レベル(=VSS)の時はN1の電圧レベルはVCL1になり、INが高レベル(=VCC)の時はN1の電圧レベルはVSL1になる。これが第2段のインバータL2の入力となるから、L2のサブスレッショルド電流低減のためには、VCC>VCL1>VCL2、VSS<VSL1<VSL2となるように抵抗値を設定するのが望ましい。これにより、L2についても前記(i)(ii)の機構によってサブスレッショルド電流が減少する。VCL1=VCL2、VSL1=VSL2の時は、(i)による効果は得られるが(ii)による効果は得られない。
【0038】
図11(a)に示す多段接続の場合も上と同様で、VCC>VCL1>VCL2>……>VCLk、VSS<VSL1<VSL2<……<VSLkとなるようにするのがよい。ただし、図11(b)に示すように、1段ごとに論理振幅が小さくなるので、適宜レベル変換回路を挿入して振幅を回復させる。この例では、k段のインバータの後にレベル変換回路LCを付加して、出力信号OUTの論理振幅が入力信号INと同じになるようにしている。この種のレベル変換回路は、例えばシンポジウム・オン・ブイ・エル・エス・アイ・サーキッツ、ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパーズ、第82頁から第83頁、1992年6月(Symposium on VLSI Circuits, Digest of Technical Papers, pp.82−83, June 1992)に記載されている。
レベル変換回路LCは高速動作時には不要である。なぜなら、スイッチがすべてオンになっているので、VCL1=VCL2=……=VCLk=VCC、VSL1=VSL2=……=VSLk=VSSであり、論理振幅の減少がないからである。したがって、高速動作時には、スイッチSLCをオンにしてレベル変換回路をバイパスさせることによって、遅延を避けることができる。
【0039】
図12(a)に多段接続インバータ列の他の例を示す。この例では、スイッチSC、SSと抵抗RC、RSがすべてのインバータL1〜Lkにより共有されており、電圧VCL、VSLはL1〜Lkに共通である。それゆえに、図10の説明で述べたように、前記(i)の機構によるサブスレッショルド電流低減効果は得られるが(ii)による効果は得られない。したがって、サブスレッショルド電流低減効果は前参考例よりも小さくなる。
しかし、その反面スイッチと抵抗のレイアウト面積が節約できるという利点がある。また、図12(b)に示すように、すべての信号(入出力信号を含めて)の電圧レベルが同一であり、前参考例のような論理振幅の減少がないという特長がある。そのため、レベル変換回路は不要であり、また、NAND、NORなどの論理が組みやすいという利点がある。
【0040】
次に、本発明を適用する半導体集積回路を一般の組合せ論理回路に適用する場合について述べる。
【0041】
例えば、図13に示す組合せ論理回路を考える。これに本発明を適用する半導体集積回路を適用するには、まず論理ゲートを図13のようにグループ分けする。この例では、15個の論理ゲートL1〜L15が3つのグループG1、G2、G3に分けられている。グループ分けに当たっては、第i番目のグループに含まれる論理ゲートの出力信号は、第(i+1)番目以降のグループの論理ゲートにのみ入力されるようにする。
【0042】
次に、図14に示すように、各グループごとに電源との間にスイッチと抵抗を挿入する。論理ゲートの出力信号の論理振幅は、図11の場合と同様に、1段ごとに小さくなるから、図14に示すようにレベル変換回路群GC1、GC2を挿入して振幅を回復させる。尚、図示されていないが、高速動作時には図11の場合と同様にレベル変換回路群GC1、GC2をパイパスさせてもよい。
本参考例の特徴の1つは、同じグループに含まれる論理ゲートは、スイッチと抵抗を共有していることである。図13の例で言えば、グループG1に含まれる3個のインバータは、スイッチSC1、SS1と抵抗RC1、RS1を共有している。
本参考例のもう1つの特徴は、レベル変換回路の前後のグループでスイッチと抵抗を共有していることである。すなわち、グループG1とGk+1はスイッチSC1、SS1および抵抗RC1、RS1を、グループG2とGk+2はスイッチSC2、SS2および抵抗RC2、RS2を、……、グループGkとG2kはスイッチSCk、SSkおよび抵抗RCk、RSkをそれぞれ共有している。
このように、複数の論理ゲートでスイッチと抵抗を共有することにより、LSI全体として見ればスイッチと抵抗との数を低減でき、レイアウト面積を節約できる。
【0043】
図15に本発明を適用する半導体集積回路の他の参考例を示す。図15の参考例がこれまでの参考例と相違するのは、電圧リミッタ(降圧回路、昇圧回路)VC1、VC2、……、VCk、VS1、VS2、……、VSkを用いていることである。
低消費電力が要求される時には、スイッチTC1〜TCk、TS1〜TSkを図示の側に切換え、電圧リミッタによって論理ゲート群に電源を供給する。電圧リミッタVC1、VC2、……、VCkは、電源電圧VCC側の降圧回路として動作し、VCCよりも低くほぼ安定化された内部電圧VCL1、VCL2、……、VCLkをそれぞれ発生する。一方、VS1、VS2、……、VSkは、接地VSS側の昇圧回路として動作し、VSSよりも高くほぼ安定化された内部電圧VSL1、VSL2、……、VSLkをそれぞれ発生する。発生する電圧は前述の参考例と同様に、VCC>VCL1>VCL2>……>VCLk、VSS<VSL1<VSL2<……<VSLkとするのがよい。尚、この種の電圧リミッタについては、特開平2−246516号公報に開示されている。
逆に、高速動作が要求される時は、スイッチを図示されているのとは反対側に切換えて、VCC、VSSを直接論理ゲート群に印加して、高速動作を可能にする。尚、この時は電圧リミッタは不要になるので、その動作を停止させてもよい。
【0044】
これまでの参考例は、インバータ列や組合せ論理回路といったフィードバックのない回路であったが、本発明を適用する半導体集積回路はフィードバックのある回路にも適用できる。一例として、図16(a)に示す2個のNANDゲートを組合せたラッチ回路の場合について説明する。
図16(b)に回路図を示す。2個のNANDゲートL1、L2と電源Vccおよび接地Vssとの間に、それぞれスイッチSC1、SS1、SC2、SS2および抵抗RC1、RS1、RC2、RS2が挿入されている。VCL1、VCL2がVCCよりも低下し、VSL1、VSL2がVSSよりも上昇し、前記(i)の機構によってサブスレッショルド電流が低減される。
【0045】
図17は、さらにサブスレッショルド電流を低減するために、情報のラッチに用いられる4個のMOSトランジスタMP12、MP22、MN12、MN22のしきい電圧VTを他のMOSトランジスタMP11、MP21、MN11、MN21のしきい電圧より高く(よりエンハンスメントに)した例である。入力信号が印加される他のMOSトランジスタMP11、MP21、MN11、MN21のしきい電圧VTは低いままであるから、高速動作が可能である。この場合、VSS側のスイッチと抵抗は不要である。なぜならば、高しきい電圧のVSS側トランジスタMN12、MN22によって電流を確実に抑止できるからである。
【0046】
これまでの参考例は、入力信号が低レベルでも高レベルでもサブスレッショルド電流を低減できるものであった。しかし実際のLSIでは、サブスレッショルド電流低減が必要な時間帯、例えば待機状態における特定の信号のレベルは予め判っていることが多い。このような場合は、より簡単な回路でサブスレッショルド電流を低減することができる。
【0047】
図18は、待機状態における入力信号INは低レベル(“L”)であると判っている場合のインバータ列の回路例である。INが低レベルであるから、ノードN1、N3、N5、……は高レベル、N2、N4、N6、……は低レベルになり、PチャネルMOSトランジスタのうちMP2、MP4、……がオフ、NチャネルMOSトランジスタのうちMN1、MN3、……がオフである。スイッチと抵抗は、これらのオフ状態のトランジスタのソースにのみ挿入すれば十分である。サブスレッショルド電流が流れるのはオフ状態のトランジスタだからである。
【0048】
また、図19に示すように、スイッチと抵抗を複数のインバータで共有しても差し支えない。
これらの参考例は、入力信号のレベルが判っていなければならないという制約はあるが、簡単な回路でサブスレッショルド電流を低減できるという利点がある。図18、19を図11と比較してみれば明らかなように、スイッチと抵抗の数が少なくなり、レベル変換回路が不要になる。
インバータだけでなくNAND、NORなどの論理ゲートでも、待機状態における入力信号のレベルが判っている場合は、より簡単な回路でサブスレッショルド電流を低減することができる。
【0049】
図20は2入力NANDゲート、図21は2入力NORゲートの例である。2つの入力信号IN1とIN2がいずれも低レベル、あるいはいずれも高レベルの場合は、これらのゲートは実質的にインバータと等価であるから、図18、図19で説明した方法が適用できる。問題は、図のように一方の入力が低レベル(“L”)、他方の入力が高レベル(“H”)の場合である。
【0050】
図20のNANDゲートの場合は、PチャネルMOSトランジスタMP12とNチャネルMOSトランジスタMN11がオフであるが、出力OUTは高レベルであるから、サブスレッショルド電流が流れるのはMN11である。従って、VSS側にスイッチと抵抗を挿入すればよい。図21のNORゲートの場合は逆に、サブスレッショルド電流が流れるのはPチャネルMOSトランジスタMP14である。従って、VCC側にスイッチと抵抗を挿入すればよい。
図20、図21は上記方式を2入力論理ゲートに適用した例であるが、3入力以上の論理ゲートでも同様にできる。また、スイッチと抵抗は、他の論理ゲートと共有してもよいことはもちろんである。
【0051】
図22はクロックインバータにおいて、待機状態ではクロックCLK1は低レベル、CLK2は高レベルであると判っている場合の回路例である。この場合は、MOSトランジスタMP16、MN16が共にオフであるから、出力OUTは高インピーダンスになり、その電圧レベルはOUTに接続されている他の回路(図示せず)によって決まる。電圧レベルによってMOSトランジスタMP16、MN16のいずれにサブスレッショルド電流が流れるかが決まるから、この場合は、図のようにスイッチと抵抗をVCC側、VSS側の両方に挿入すればよい。
一般の組合せ論理回路の場合も、入力信号のレベルが予め判っている場合は、より簡単な回路でサブスレッショルド電流を低減することができる。図13に示した組合せ論理回路を例にとりあげて説明する。
【0052】
図23は、この回路の入力IN1〜IN6がすべて低レベルと判っている場合の回路構成例である。インバータL1〜L3、L5、L6については、図18、図19と同様に、L1〜L3のVSS側とL5、L6のVCC側にスイッチと抵抗を挿入する。NORゲートL7は、入力信号がいずれも低レベルであるから、実質的にインバータと等価である。従って、VSS側にスイッチと抵抗を挿入すればよい。NORゲートL4は、入力信号の一方が低レベル、他方が高レベルであるから、図21と同様に、VCC側にスイッチと抵抗を挿入する。回路グループG内の8個のNANDゲートのうち、L12だけは3つの入力信号がすべて高レベルであり、インバータと等価であるから、VCC側にMCで示したスイッチと抵抗を挿入する。他のNANDゲートは、入力信号に低レベルのものと高レベルのものが混在するから、図20と同様に、VSS側にMSで示したスイッチと抵抗を挿入すればよい。
以上の説明から明らかなように、出力が高レベルである論理ゲートにはVSS側に、出力が低レベルである論理ゲートにはVCC側に、スイッチと抵抗を挿入すればよい。図23に示すように、これらのスイッチと抵抗を複数の論理ゲートで共有することにより、レイアウト面積を節約できる。
【0053】
図24はレイアウト構成の例を示す図である。この例は他に開示されておらず本明細書で初めて示されたものである。メモリ特にダイナミック形ランダムアクセスメモリ(DRAM)のデコーダ回路とワードドライバ回路を例にしている。グループG1(デコーダ回路),G21〜G24(ワードドライバ回路)は図23のGと同種の回路グループであり、回路グループG1とVCC側の電源であるVCC1との間にはMC1を、回路グループG21〜G24とVCC側の電源であるVCC2との間にはMC2を挿入している。MC1とMC2はpMOSで構成し、pMOSのオン抵抗とオフ抵抗によって、図23のMCで示したスイッチと抵抗を実現している。すなわち、オン抵抗は図23でスイッチを閉じた時の抵抗であり、オフ抵抗は図23でスイッチを開いた時のRcである。また、MAはメモリセルMCを2次元的に敷き詰めたメモリセルアレーであり、ワードドライバ回路の出力W1,W2のうち例えばW1が選択されるとデータ線対DT,DBにメモリセルの信号が読み出され、これがセンスアンプSA1,SA2で増幅される。このような構成がDRAMでは多数あり、レイアウト上MAの図24での横方向の長さとG1,G21〜G24の長さとはほぼ一致する。この時、MC1,MC2は多数のG1,G21〜G24で共用し、この図24に示すように、図中でセンスアンプ領域の下の領域に配置する。このように配置することによりレイアウト面積を節約できる。
【0054】
フィードバックがある回路についても、信号のレベルが予め判っている場合は、より簡単な回路でサブスレッショルド電流を低減することができる。図25は、図16(a)のラッチに適用した例である。
この種のラッチは、待機状態においては普通、入力信号IN1、IN2が共に高レベルであり、出力信号OUT1、OUT2のうちの一方が低レベル、他方が高レベルとなって1ビットの情報を保持している。図25は、OUT1が低レベル、OUT2が高レベルであると判っている場合の回路構成例である。NANDゲートL1は、2つの入力信号が共に高レベルであるから、インバータと等価であり、図18、図19と同様に、VCC側にスイッチと抵抗を挿入する。NANDゲートL2は、入力信号の一方が低レベル、他方が高レベルであるから、図20と同様に、VSS側にスイッチと抵抗を挿入すればよい。これらのスイッチと抵抗は、他の論理ゲートと共有してもよいことはもちろんである。
【0055】
図26は、上記方式をメモリLSIなどで周知のデータ出力バッファに適用した例である。待機状態においては、出力エネーブル信号OEが低レベルであり、NANDゲートL21及びL22の出力は高レベル、インバータL23の出力は低レベルである。従って、出力段L24を構成する2個のMOSトランジスタMP20およびMN20は共にオフであり、出力DOUTは高インピーダンスである。
論理ゲートL21〜L23については、図23の説明で述べた方針に従って、VSS側もしくはVCC側にスイッチと抵抗を挿入すればよい。出力段L24については、図22のクロックインバータの場合と同様に、スイッチと抵抗をVCC側、VSS側の両方に挿入すればよい。
【0056】
図27は、上記方式をメモリLSIなどで周知のデータ入力バッファに適用した例である。図中、SBは待機状態のときに高レベルになる信号である。インバータL31およびL32の出力は、図4および図7に示したように、それぞれφS、φCとしてスイッチの制御に用いることができる。L33はNANDゲートであり、その入力はφSとデータ入力信号DINである。待機状態のときはφSは低レベルであるから、DINの如何にかかわらずL33の出力は高レベル、従ってインバータL34の出力dINの出力は低レベルになる。一方、動作状態のときは、SBが低レベルであるから、dINはDINに追随する。
NANDゲートL33とインバータL34については、それぞれVSS側、VCC側にスイッチと抵抗を挿入することにより、サブスレッショルド電流を低減できる。インバータL31とL32についてはこの手法は使えないが、MOSトランジスタのしきい電圧を高くすることにより、サブスレッショルド電流を低減できる。待機状態と動作状態の切り換えにはそれほど高速性は要求されないことが多いから、しきい電圧の高いMOSトランジスタを用いても差し支えない。
図18〜26の参考例は、簡単な回路でサブスレッショルド電流を低減できるという利点がある反面、サブスレッショルド電流低減が必要な時間帯、例えば待機状態における信号レベルが判っていなければ適用できないという制約がある。従って、このときには、LSI内のできるだけ多くのノードのレベルが確定するようにすることが望ましい。図27の入力バッファを用いることによって、このときの信号dINのレベルを低レベルに確定させることができる。なお、信号dINのレベルを確定させる方法としては、この他に、例えば「待機状態のときはデータ入力端子DINは低レベル(または高レベル)にする」という仕様を定めておく方法もある。
以上、データ入力バッファについて述べたが、アドレス信号その他の信号の入力バッファも同様である。
【0057】
図18〜図27の参考例は、メモリLSIに適用するのに好適である。メモリLSIでは、待機状態の時に高レベルであるか低レベルであるかが判っているノードが比較的多く、さらに図27の入力バッファを用いることによってほとんどのノードのレベルを確定させられるからである。
図26、27の参考例は、LSIチップの外部端子に対する入出力回路としてだけでなく、例えばマイクロプロセッサの内部バスに対するドライバ/レシーバとしても用いることができる。
【0058】
これまでは本発明を用いる半導体集積回路をCMOS回路に適用した参考例について述べてきたが、本発明を用いる半導体集積回路は、単一極性のMOSトランジスタで構成された回路にも適用できる。図28にNチャネルMOSトランジスタのみで構成された回路の例を示す。図中、PCはプリチャージ信号、IN1、IN2は入力信号である。
待機時、すなわちプリチャージ状態では、PCが高レベル、IN1とIN2は低レベルであり、出力OUTは高レベル(=VCC−VT)にプリチャージされている。動作時には、PCが低レベルになった後、IN1とIN2は高レベルになるかあるいは低レベルにとどまる。IN1とIN2のうち少なくとも一方が高レベルになれば、OUTは低レベルになり、両方共低レベルにとどまれば、OUTは高レベルのままである。すなわち、この回路はIN1とIN2のNORを出力する回路である。
この回路では、待機時にオフになっているトランジスタは、VSS側のMN41、MN42であり、これらのトランジスタにサブスレッショルド電流が流れる。従って、この回路に本発明を用いる半導体集積回路を適用するには、図に示すように、VSS側にスイッチと抵抗を挿入すればよい。VCC側には不要である。
【0059】
図18〜28の参考例は、簡単な回路でサブスレッショルド電流を低減できるという利点がある反面、サブスレッショルド電流低減が必要な時間帯、例えば待機状態における信号レベルが判っていなければ適用できないという制約がある。従って、このときには、LSI内のできるだけ多くのノードのレベルが確定するようにすることが望ましい。このための手段としては、図27の入力バッファのような回路を用いることによって、このときの信号dINのレベルを低レベルに確定させることができる。このレベルを確定させる方法としては、この他に、例えば「待機状態のときはデータ入力端子DINは低レベル(または高レベル)にする」という仕様を定めておく方法もある。
図18〜図28の参考例は、メモリLSIに適用するのに好適である。メモリLSIでは、待機状態の時に高レベルであるか低レベルであるかが判っているノードが比較的多く、さらに図27の入力バッファを用いることによってほとんどのノードのレベルを確定させられるからである。
【0060】
以上の例では、論理振幅が段数の増加とともに低下したり、入力信号の電圧レベルが予め判っていない場合にはやや複雑な設計が必要であるといった問題がある。図29は、これらを解決するもので、論理出力が確定するまでの所要時間帯は、これまで述べてきたようにスイッチをオンにして、通常の高速動作をさせる。それ以外の時間帯では、スイッチをオフにすることによって、論理回路(図はCMOSインバータの例)のサブスレッショルド電流経路を遮断するものである。ただし、スイッチがオフになると電源電圧の供給路が断たれるため、論理回路の出力はフローティングとなり、論理出力は確定しなくなる。そこで、その出力に、電圧レベルを保持する一種のラッチ回路(レベルホールド回路)を設けていることが特長である。レベルホールド回路にしきい電圧の高いトランジスタなどを使えば、レベルホールド回路のサブスレッショルド電流は無視できるほど小さくなり、全体としてはサブスレッショルド電流は小さくできる。遅延時間は、レベルホールド回路の影響は小さく、論理回路により定まる。論理回路に駆動能力の大きい高速な回路を用いても、待機状態では論理回路を通じて電流が流れないため、消費電流はレベルホールド回路を通じて流れる電流だけである。レベルホールド回路は、出力を保持するだけなので駆動能力が小さくて良く、消費電流は小さくできる。スイッチをオフにしても、レベルホールド回路により論理回路の出力が保持されるので、出力が反転する恐れが無く、安定に動作する。したがって、低消費電力で高速に安定動作を行う半導体装置を実現できる。本発明を適用する半導体集積回路によれば、電圧レベルが常にレベルホールド回路で一定値に保証されるので、論理段数の増加とともに論理振幅が低下することはない。また、論理入力によらず効力を発揮する。
図29を用いてさらに本参考例を説明する。論理回路LCが、スイッチSWH及びSWLを介して、高電位の電源線VHH及び低電位の電源線VLLに接続される。ここでVHHならびにVLLは、これまで述べてきたVCC、VSSにそれぞれ対応させることもできる。論理回路LCの出力端子OUTには、レベルホールド回路LHが接続される。スイッチSWHとSWLは、制御パルスCKで制御され、同時にオン,オフする。論理回路LCは、インバータ、NAND回路、NOR回路などの論理ゲートやフリップフロップ回路、あるいはそれら複数個の組合せで構成される。レベルホールド回路LHは、正帰還回路により構成できる。
論理回路LCの動作は、スイッチSWH及びSWLをオンにして行う。論理回路LCの入力INに応じた出力OUTが確定した後、スイッチSWH及びSWLをオフにして、論理回路LCを介したVHHからVSSへの電流経路を遮断し、論理回路LCの出力をレベルホールド回路LHにより保持する。
回路の遅延時間には、レベルホールド回路LHの影響は小さく、論理回路LCにより定まる。論理回路LCに駆動能力の大きい回路を用いて遅延時間の短い高速な動作を行うことができる。例えば待機状態では論理回路LCを通じて電流が流れないため、消費電流はレベルホールド回路LHを通じて流れる電流だけである。レベルホールド回路LHは、駆動能力が小さくて良いので、消費電流は小さくできる。しかも、レベルホールド回路LHにより論理回路LCの出力OUTが維持されるため、誤動作の恐れがない。したがって、低消費電力で高速に安定動作を行う回路を実現できる。
【0061】
本発明を適用する半導体集積回路をCMOSインバータで構成した参考例を、図30に示す。NMOSトランジスタMN1,PMOSトランジスタMP1が、それぞれ図29でのスイッチSWL,SWHとして動作する。オフにしたときのリーク電流を小さくするため、トランジスタMN1,MP1のしきい値電圧は十分大きくする。オン抵抗が大きくならないようにチャネル幅/チャネル長を定める。NMOSトランジスタMN1のゲートには制御パルスCKが、PMOSトランジスタMP1のゲートには制御パルスCKBが入力される。CKBはCKの相補信号である。NMOSトランジスタMN2とPMOSトランジスタMP2からなるCMOSインバータINVを、MN1,MP1に接続する。低電圧動作で駆動能力を大きくするため、トランジスタMN2,MP2のしきい値電圧は小さくする。インバータINVの出力端子OUTには、NMOSトランジスタMN3,MN4とPMOSトランジスタMP3,MP4からなるレベルホールド回路LHが接続される。出力を保持している間の貫通電流を小さくするため、トランジスタMN3,MN4,MP3,MP4のしきい値電圧を十分大きくし、チャネル幅/チャネル長を十分小さくする。電源電圧としきい値電圧の数値例を挙げる。VLLを接地電位0Vとし、VHHを外部電源電圧1Vとする。NMOSトランジスタのしきい値電圧は、MN2は0.2V,MN1とMN3及びMN4は0.4Vとする。PMOSトランジスタのしきい値電圧は、MP2は−0.2V,MP1とMP3及びMP4は−0.4Vとする。
【0062】
図31に示すタイミング図を用いて、動作を説明する。まず、制御パルスCKをVHHに上げ、CKBをVLLに下げて、トランジスタMN1,MP1をオンにして、インバータINVをVHH,VLLに接続する。入力信号INがVLLからVHHに上がることにより、MP2がオフにMN2がオンになり、出力OUTがVHHからVLLに放電される。トランジスタMN2は飽和領域で導通を始め、MN2を流れる電流値はゲート(入力端子IN)−ソース(ノードNL)間の電圧で定まる。トランジスタMN1がノードNLとVLLとの間に設けられているので、MN1のオン抵抗とMN2から流れる電流によりノードNLの電位が一時的に上昇する。しかし、MN1のゲートはVHHとなっているので、しきい値電圧が大きくても、オン抵抗が十分小さくなるように設計することができ、遅延時間に対する影響を小さくできる。また、出力OUTがVLLに反転するとき、レベルホールド回路LHは出力OUTをVHHに保つように、MN4がオフにMP4がオンになっている。そのため、MN2がオンになることによりVHHからMP4,MN2を通じてVLLに貫通電流が流れるが、MN2に比べてMP4の駆動能力を小さく設計することにより、遅延時間や消費電流に対する影響は小さい。出力OUTが下がることにより、MN3がオフにMP3がオンになり、レベルホールド回路内のノードNLHがVLLからVHHに反転し、MN4がオンにMP4がオフになって、レベルホールド回路LHは出力OUTをVLLに保つように動作し、貫通電流は流れなくなる。MP2はゲート,ソースが共にVHHなのでオフであるが、しきい値電圧が小さいため、リーク電流が大きく貫通電流がインバータINVを通じて流れる。そして、制御パルスCKをVLLに下げ、CKBをVHHに上げて、トランジスタMN1,MP1をオフにして、インバータINVをVHH,VLLから分離する。このとき、MN1,MP1はゲート,ソースが等電位で、しきい値電圧が大きいため完全にオフになる。レベルホールド回路LHの正帰還により、出力OUTはVHHに保たれる。このとき、NMOSトランジスタMN2がオンなので、ノードNLはVLLに保たれる。一方、ノードNHから出力端子OUTへのPMOSトランジスタMP2のリーク電流のため、ノードNHの電圧は低下し始める。そして、MP2はゲート電位よりもソース電位が下がり完全にオフとなる。その結果、待機状態でインバータINVの貫通電流は流れない。そして、入力信号INが変化する前に、制御パルスCKをVHHに上げ、CKBをVLLに下げて、トランジスタMN1,MP1をオンにして、ノードNHをVHHにする。入力INがVHHからVLLに反転することにより、出力OUTがVLLからVHHに反転する。
インバータINVとレベルホールド回路LHを通じて貫通電流が流れる期間が短くなるように、レベルホールド回路LHが出力OUTにすばやく追従するのが望ましい。そのため、インバータINVとレベルホールド回路LHは近接して配置し、配線遅延を小さくする。
本参考例から明らかなように、スイッチとして用いるMOSトランジスタのしきい値電圧を、従来サブスレッショルド電流を小さくするために必要とされている0.4V程度以上にすれば、待機状態の貫通電流を増加させずに、論理回路中のMOSトランジスタのしきい値電圧を小さくすることができる。動作電圧を1V以下に低電圧化しても、MOSトランジスタのしきい値電圧を0.25V以下にして駆動能力を確保できる。したがって、低電圧化による低消費電力化が実現できる。また、従来のスケーリング則に基づき、素子のスケーリングによる性能向上が実現できる。しかも、スイッチとレベルホールド回路を負荷すること以外は、従来のCMOS論理回路と同じ構成であるので、従来と同じ設計手法を用いることができる。
【0063】
図32は、上記方式をCMOSインバータチェーンに適用した参考例を示している。図30に示した1段のインバータにスイッチ2個とレベルホールド回路も設けた構成を多段接続すればインバータチェーンが実現できるが、本参考例はスイッチやレベルホールド回路を複数のインバータで共有して、素子数及び面積を小さくした例である。ここでは4段のインバータチェーンの場合を例にとるが、他の段数の場合も同様に構成される。4個のインバータINV1,INV2,INV3,INV4が直列接続される。最終段のインバータINV4の出力端子OUTにレベルホールド回路LHが接続される。各インバータは、図30中のINVと同様にPMOSトランジスタとNMOSトランジスタ1個ずつで構成される。各インバータのトランジスタサイズは、同じであっても異なっていても良い。ドライバとしてよく用いられるように、チャネル長を同じにして、一定の段間でチャネル幅をINV1,INV2,INV3,INV4の順に大きくしていくこともできる。各インバータのPMOSトランジスタのソースはノードNHに、NMOSトランジスタのソースはノードNLに接続される。ノードNLと低レベルの電源VLLとの間にスイッチSWLが、ノードNHと高レベルの電源VHHとの間にスイッチSWHが設けられる。スイッチSWLとSWHは制御パルスCKにより制御され、同時にオン,オフする。図30に示したように、スイッチSWLはNMOSトランジスタで、SWHはCKの相補信号をゲートに入力したPMOSトランジスタで実現される。
インバータチェーンの動作は、スイッチSWL,SWHをオンにして行う。例えば、入力INが低レベルVLLから高レベルVHHに反転すると、インバータINV1によりノードN1がVHHからVLLに反転し、INV2によりノードN2がVLLからVHHに反転し、INV3によりノードN3がVHHからVLLに反転し、INV4により出力端子OUTがVLLからVHHに反転する。OUTがVHHに確定すると、レベルホールド回路LHはOUTをVHHに保つように動作する。待機状態では、スイッチSWL,SWHをオフにすることにより、インバータを介したVHHからVLLへの電流経路を遮断する。
インバータチェーンに上記方式を適用する場合、本参考例の様にインバータチェーンをまとめて一つの論理回路として取扱うことにより、その出力端子にのみレベルホールド回路を設ければ良い。また、スイッチSWL,SWHを複数のインバータで共有できる。スイッチSWL、SWHの大きさは、流れるピーク電流の大きさで決定される。複数個のインバータを流れる電流和のピークは、各インバータのピーク電流での和よりも小さくなる。例えば、段間比を3としてインバータチェーンを構成する場合、電流和のピークは最終段のピーク電流にほぼ同じになる。したがって、複数のインバータでスイッチを共有する方が、インバータごとにスイッチを設ける場合に比べて、スイッチの面積が小さくて済む。
【0064】
図33は、上記方式をインバータチェーンに適用した別の参考例を示している。図32と同様に4段のインバータチェーンの場合を例にとるが、他の段数の場合も同様に構成される。4個のインバータINV1,INV2,INV3,INV4が直列接続される。インバータINV3の出力端子でINV4の入力端子であるノードN3とINV4の出力端子OUTに、それぞれレベルホールド回路LH3,LH4が接続される。各インバータは、図30中のINVと同様にPMOSトランジスタとNMOSトランジスタ1個ずつで構成される。奇数番目のインバータINV1,INV3はノードNL1及びNH1に、偶数番目のインバータINV2,INV4はノードNL2及びNH2に接続される。ノードNL1,NL2と低レベルの電源VLLとの間にそれぞれスイッチSWL1,SWL2が、ノードNH1,NH2と高レベルの電源VHHとの間にそれぞれスイッチSWH1,SWH2が設けられる。スイッチSWL1,SWL2とSWH1,SWH2は制御パルスCKにより制御され、同時にオン,オフする。
インバータの動作は、スイッチSWL1,SWL2,SWH1,SWH2をオンにして行う。例えば、入力INが低レベルVLLから高レベルVHHに反転すると、ノードN1がVHHからVLLに、ノードN2がVLLからVHHに、ノードN3がVHHからVLLに、INV4により出力端子OUTがVLLからVHHに順次反転する。N3がVLLに確定すると、レベルホールド回路LH1はN3をVLLに保つように動作する。また、OUTがVHHに確定すると、レベルホールド回路LHはOUTをVHHに保つように動作する。たとえば待機状態では、スイッチSWL1,SWL2,SWH1,SWH2をオフにすることにより、インバータを介したVHHからVLLへの電流経路を遮断する。このとき、ノードN3がレベルホールド回路LH3により低レベルVLLに保たれるため、ノードNL1もインバータINV3を通じてVLLに保たれる。さらに、インバータINV1を通じてノードN1がVLLに保たれる。同様に、出力端子OUTがレベルホールド回路LH4により高レベルVHHに保たれることにより、ノードNH2及びN2もVHHに保たれる。したがって、インバータ間を接続するノードがVHHとVLLのいずれかに保たれる。
以上のように、スイッチを2組設け、奇数番目のインバータと偶数番目のインバータとを違うスイッチに接続し、奇数番目のインバータのいずれかの出力端子と偶数番目のインバータのいずれかの出力端子とに、それぞれレベルホールド回路を接続することにより、インバータ間のノードN1,N2,N3が全て高レベルと低レベルのいずれかに保たれる。待機状態が長く続いてもインバータの入力が中間レベルとならないため安定に動作し、スイッチをオンにしたときに情報が反転したり貫通電流が流れたりする恐れがない。
以上上記方式を、CMOSインバータやインバータチェーンに適用した参考例を示しながら説明してきたが、論理回路にスイッチとレベルホールド回路を負荷して低消費電力で高速に安定動作を行うという上記方式の趣旨を逸脱しないかぎり、これまでに述べた参考例に限定されるものではない。
【0065】
例えば、上記方式をCMOSインバータに適用した別の参考例を図34に示す。図30に示した参考例では、スイッチとして動作するトランジスタMN1,MP2をCMOSインバータINVと電源VLL,VHHとの間に設けている。それに対して、本参考例ではNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとの間に設ける。
2個のNMOSトランジスタMN2,MN1と2個のPMOSトランジスタMP1,MP2が直列に、低レベルの電源VLLと高レベルの電源VHHの間に接続される。NMOSトランジスタMN1,PMOSトランジスタMP1は、スイッチとして動作する。オフにしたときのリーク電流を小さくするため、トランジスタMN1,MP1のしきい値電圧は大きくする。NMOSトランジスタMN1のゲートには制御パルスCKが、PMOSトランジスタMP1のゲートにはCKの相補信号の制御パルスCKBが入力される。NMOSトランジスタMN2とPMOSトランジスタMP2は、ゲートが入力端子INに接続され、CMOSインバータとして動作する。低電圧動作で駆動能力を大きくするため、トランジスタMN1,MP1のしきい値電圧は小さくする。出力端子OUTには、図30と同様に構成されたレベルホールド回路LHが接続される。
図30に示した参考例と同様に、動作を行う。制御パルスCK,CKBにより、トランジスタMN1,MP1をオンにして、トランジスタMN2,MP2をCMOSインバータとして動作させる。例えば、入力INが低レベルVLLから高レベルVHHに反転すると、それまでオフであったトランジスタMN2が導通し始め飽和領域で動作する。このときMN2の電流値はゲート−ソース間の電圧で定まる。本参考例では、トランジスタMN1がMN2と出力端子OUTとの間に設けられているので、MN1のオン抵抗はMN2のドレインに接続される。そのため、MN1のオン抵抗の、MN2の電流値に対する影響は小さい。出力OUTが確定後、トランジスタMN1,MP1をオフにして、貫通電流を防止し、レベルホールド回路LHにより出力OUTを維持する。
本参考例のようにスイッチを論理回路の出力端子側に挿入すると、スイッチを複数の論理ゲートで共有することは出来ないが、スイッチのオン抵抗の影響が小さい。スイッチとして用いるトランジスタが同じ場合、図30に示した参考例の様にスイッチを論理回路の電源側に設ける場合に比べて、遅延時間が短くなる。あるいは、遅延時間が同じになるように設計すると、スイッチとして用いるトランジスタのチャネル幅/チャネル長が小さくて済み、その面積を小さくできる。
【0066】
図35は、レベルホールド回路の別な構成例である。このレベルホールド回路を、図30に示した参考例でNMOSトランジスタMN3,MN4とPMOSトランジスタMP3,MP4で構成されているレベルホールド回路LHと置き換えて、用いた場合について説明する。
このレベルホールド回路は、それぞれ3個のNMOSトランジスタMN3,MN4,MN5とPMOSトランジスタMP3,MP4,MP5で構成される。待機状態でのリーク電流を低減するため、各トランジスタのしきい値電圧は大きくする。例えば、NMOSトランジスタは0.4V,PMOSトランジスタは−0.4Vとする。MN3,MP3はインバータを構成しており、MN4,MN5,MP4,MP5はスイッチングインバータを構成している。MN5のゲートには制御パルスCKBが、MP5のゲートには制御パルスCKが入力される。動作タイミングは、図30に示したレベルホールド回路LHを用いた場合と同じで、図31に示したとおりである。制御パルスCKを高レベルVHHに上げ、CKBを低レベルVLLに下げてインバータINVを動作させる。この時、レベルホールド回路で、トランジスタMN5,MP5がオフとなる。そのため、出力OUTが反転するときに、インバータINVとレベルホールド回路を通じて貫通電流が流れることがなく、遅延時間と消費電流が小さくて済む。待機状態では、制御パルスCKを低レベルVLLに下げ、CKBを高レベルVHHに上げてインバータINVを電源VLL,VHHから切り離す。この時、レベルホールド回路で、トランジスタMN5,MP5がオンとなり、正帰還により出力OUTが保持される。
【0067】
このように、レベルホールド回路をインバータとスイッチングインバータの組合せで構成することにより、トランジスタが2個増えるが、論理回路とレベルホールド回路が競合することが無くなり、遅延時間と消費電流が小さくて済む。また、レベルホールド回路の駆動能力を大きくしてもよく、出力端子でのリークが大きい場合でも出力が変動する恐れがなく安定動作ができる。
最近の3.3Vから5Vで動作するマイクロプロセッサでは、前述したように低電力化するために、低電力バックアップモード(スリープモード)などでは不必要な回路へのクロックの印加を停止させ充放電電流を低減したりしている。本参考例では、図42に示すように、スリープモードの間クロックCK1t,CK2tをともに低レベルにすることにより、トランジスタMP11及びMN11,MP12及びMN12がいずれもオフになり、論理回路LC1,LC2の両方の貫通電流が遮断される。そのため、スリープモードでは動作モードよりも、サブスレッショルド電流を低減する効果がさらに大きい。
図29〜図35の参考例では、一つのタイミング信号CK(CKB)によって電源スイッチを制御していたが、LSI内に複数の回路ブロックがある場合はそれぞれの電源スイッチを別々のタイミングで制御することによりサブスレッショルド電流をさらに減じることができる。本発明の実施例としてこの方法を図36〜図39に示す。なお、以下の手法ではサブスレッショルド電流低減のみではなく一般の非過渡動作時の電流低減にも用いることができる。
【0068】
実施例1
図36は本発明の第1の実施例である複数の回路ブロックの電源スイッチの制御例を示す例である。INはこのLSIチップに入力する信号を代表させて示したもので、動作期間ではこのINの信号によって、LG1,LG2,LG3と続く論理回路ブロックが次々と動作していく。各論理回路ブロックは図29〜図35で説明したように、論理回路LCとレベルホールド回路LHとからなる。SWH1〜SWH3はVCCとLG1,LG2,LG3との間に挿入した電源スイッチであり、SWL1〜SWL3はVSSとLG1,LG2,LG3との間に挿入した電源スイッチである。図36の特長は、LG1の電源スイッチSWH1,SWL1の制御はスリープモード/通常動作モード切り換え信号SLPで行うが、後段のLG2,LG3以降は、前段の動作を感知する手段KH1〜KH3によって電源スイッチSWH2〜SWL3の制御を行うことにある。また、図面には示していないが後段の動作を検知し各論理回路ブロックの電源スイッチをオフしたり、タイマを備え一定の時間後に自動的に電源スイッチをオフする手段を設けてもよい。電源スイッチをオフしても各論理回路ブロック内のレベルホールド回路によって情報は保持される。各論理回路ブロックの電源スイッチは、論理回路ブロックが動作する時に初めてオンになるので、LSI全体のサブスレッショルド電流は小さくなる。また、スリープモードから通常動作モードへの移行は初段のみリセット(セット)すれば良いため短い時間で済む。なお、図ではLG1においてKH1はLCの出力の変化を検知する例を示したが、LCの内部ノードの変化を検知しても良い。また、KH1で次段のLG2の電源スイッチを活性化するだけでなく、さらに後段のLG3の電源スイッチを活性化しても良い。
【0069】
図36の動作例を図37に示す。SLPが高レベルの時スリープモードであり、低レベルの時が動作モードである例である。さて、時刻t1でSLPが高レベルから低レベルに切り替わり、スリープ状態から通常動作状態に切り替わる。これによって、初段のLG1の電源スイッチSWH1,SWL1がオンになる。次に、時刻t2でINが変化しLG1が動作する。この時間t2−t1は、前述のようにSWH1,SWL1をオンするのみで良いので短くて済む。なお、このSWH1,SWL1はSLPが低レベルの間は常に活性化している。一方、その他の電源スイッチは信号の流れに沿って対応する回路ブロックのものがオンになる。すなわち、時刻t3でLG1の出力φG1が切り替わり、これをKH1が検知してφ1を切り替え、次段のLG2の電源スイッチSWH2,SWL2をオンにする。これによって、LG2が動作し、時刻t4でその出力φG2が切り替わる。また、KH2がこの変化を検知しφ2を切り替え、LG3の電源スイッチSWH3,SWL3をオンする。これによってLG3が動作する。ここで、時刻t4でφG2が切り替わり後段のLG3が動作し始めれば、LG2はその出力レベルを保持しておきさえすれば良い。このため、時刻t5で再びφ1を切り替え、電源スイッチをオフすることができる。この時刻t5の検知は前述のように後段の回路の出力からフィードバックしても良いし、タイマを設けても良い。以下、同様な動作を行う。
【0070】
実施例2
図38は本発明の第2の実施例であるクロックに同期して動作するLSIにおける電源スイッチの制御例を示す図である。この例では、注目するLSIチップはクロック信号CLKに同期して動作し、しかもnサイクル(ここではn=4)のクロックによって、このLSIの一回の動作が完了する場合である。チップ内では、CLKに同期して入力INを受けて回路ブロックLG1〜LG4が順に動作する。各回路ブロックは、前参考例同様に論理回路とレベルホールド回路からなる。この例の特長はCLKを用いて、電源線スイッチ制御回路SVで電源線スイッチSWH1〜SWL4を制御し、サブスレッショルド電流を小さく抑えることにある。各回路ブロックはnサイクルのうちの1サイクルのみ動作するから、チップ内部の信号の流れに沿って電源線スイッチを順次オンし、またオフすれば良い。これによって、電源スイッチが活性化している回路ブロックはおよそn分の1に抑えることができる。
【0071】
図38の動作例を図39に示す。CLKの4クロック分でLSIチップの1サイクルが動作する例である。1サイクル目のCLKの立ち下がりを受けて、その時のINの信号を取り込み、φ1が切り替わりSWH1,SWL1がオンになり、LG1が動作する。このLG1の出力φG1が切り替わる前後に(図では少し前)、次のCLKの立ち下がりを受けてφ2が切り替わり、SWH2,SWL2がオンになりLG2が動作可能となる。φG1が切り替わり、LG2の動作が開始するとLG1では出力レベルを保持しさえすれば良い。このため、適当なタイミング(ここでは次のCLKの立ち上がり)によってSWH1,SWL1をオフし、LG1内のレベルホールド回路によって信号を保持しておく。以下、φ4まで示したように電源スイッチの制御を行う。これによって、LSIチップ内の各回路ブロックでは、その電源線スイッチをCLKによってこまめにオンオフできるので、サブスレッショルド電流を含めた消費電流の小さな動作とすることができる。
【0072】
マイクロプロセッサのようなランダムロジックLSIなどにおいては、内部のレジスタの出力を固定したり、リセット機能付きフリップフロップ回路などの論理を追加して、問題となるノードの電圧を強制的に固定することも有効である。図40に、出力を固定できるラッチ回路の構成例を示す。この回路は、通常のラッチ回路中のインバータをNAND回路で置き換えただけの簡単な構成である。図41に示すように、φSが高レベルの間は通常のラッチ回路とし動作し、φSが低レベルの間(スリープモード)は出力信号Qのレベルを高レベルに確定させる。ここで、スリープモードとは、消費電流低減のために、LSI全体もしくは回路ブロック単位の動作を停止させるモードである。なお、スリープモードの間、φtを低レベル,φbを高レベルにしておけば、ラッチ回路自身のサブスレッショルド電流も低減できる。このラッチ回路を用いた場合、φSが低レベルになることによりノードN41が強制的に高レベルになるため、スリープモードによりレジスタの情報が消去される。しかし、CPU中の必要な情報を主記憶へ退避しておき、スリープモード後にリセット状態から再開するような使い方、例えばノートパソコンで入力が一定時間無いときに待機状態にするレジューム機能などでは問題ない。図42は出力を強制的に固定できるラッチ回路の別な構成例である。図43に示すように、この回路も、φSが高レベルの間は通常のラッチ回路とし動作し、φSが低レベルの間は出力信号Qのレベルを高レベルに確定させる。このラッチ回路は、φSが低レベルになってもノードN41に影響しないため、スリープモードの間も情報を保持できる。スリープモード解除後にスリープモード前の状態からそのまま再開でき、CPUがタスクを実行している間でもスリープモードにできる。そのため、スリープモードから比較的短時間で復帰するような場合に好適である。
尚、ランダムロジックLSIのように複雑な動作をするLSI等においては、例えば待機状態でのチップ内部の各ノードの論理(電圧)状態をデザインオートメーション(DA)の手法を用いて求め、その結果に応じて、DAで上述したスイッチと抵抗を挿入する位置を自動的に決めることができる。
図18〜図27の参考例は、入力信号が特定のレベルにあることを前提としている。入力レベルが意図したレベルとは異なる場合は、サブスレッショルド電流低減効果が小さくなる。したがって、例えば電源投入時においては、入力信号レベルが確定せず、大きなサブスレッショルド電流が流れる可能性がある。これを防ぐためには、本発明の実施例として図44より図48に示すように電源線にスイッチを入れることが望ましい。
【0073】
実施例3
図44は、本発明の第3の実施例である電源線スイッチの第1の制御例を示す図である。K1は、例えば図18〜図27に示した論理ゲート群である。電源線スイッチSCCは制御回路SVによって制御される。この回路中には、外部印加電源VCCのレベルを検知するレベル検知回路LD1と、外部入力信号INのレベルを検知するレベル検知回路LD2があり、これらの回路はそれぞれ出力信号φVC及びφSBを発生する。LLは、φVC及びφSBを受けて、スイッチ制御信号φ1を発生する論理回路である。すなわち、VCCの立ち上がり時には、VCCが所定のレベルに達し、かつ入力信号INが特定のレベル(K1のサブスレッショルド電流を小さくするレベル)になったことを検出してスイッチSCCをオンし、VCCの立ち下がり時には、VCCのレベル低下を検出してスイッチをオフする。
【0074】
図44のLSIの動作例を図45に示す。電源VCCが投入されると電位が上昇するが、これが例えばVCαに達すると、LD1が動作し、この例では出力信号φVCを低レベルから高レベルに切り替える。次に入力信号INがK1のサブスレッショルド電流低減効果が大きい特定の信号レベル(ここでは高レベル)になると、この図の例ではそのレベルがVCβ以上になると、LD2の出力φSBが切り替わる。これによりφ1が切り替わり電源スイッチがオンするので、内部電源VC1が立ち上がる。逆にINがVCCよりも先に立ち上がった場合は、まず、INがVCβ以上になるとLD2の出力φSBが切り替わり、この後VCCがVCαに達すると、LD1が動作し、φVCを低レベルから高レベルに切り替える。これによりφ1が切り替わり電源スイッチがオンし、内部電源VC1が立ち上がる。いずれの場合も、INのレベルが確定した後にスイッチがオンになるので、大きなサブスレッショルド電流が流れることはない。LLは、VCCがVCα以上になった後でINが変化しそれによってφSBが変化してもφ1は変化しないように構成する。内部電源VC1は外部電源VCCが立ち下がることによって立ち下がる。なお、スイッチはこの図の例ではVCC側に入れてあるが、VSS側に入れても良い。また、複数の電源が印加される場合もあるが、その場合はそのうちの少なくともひとつの電源に対してレベル検知回路を設ければ良い。
【0075】
実施例4
図46は、本発明の第4の実施例である電源線スイッチの第2の制御例を示す図である。この実施例の特徴は、論理ゲート群K1の入力信号レベルを確定させるための回路LK1(ここではNORゲート)が設けられたことである。この回路により、電源立ち上がり時には、K1の入力信号IN’のレベルがK1のサブスレッショルド電流を小さくするレベル(ここでは低レベル)に固定される。図47に動作例を示す。電源VCCが投入され所定の電位レベルVCαとなると、LD1がこれを検知し、信号φVCをこの例では低レベルから高レベルに切り替える。これによって、ワンショット発生回路OSHによってφK1にワンショットパルスが発生する。このφK1が高レベルになることにより、K1の入力信号IN’は外部からの入力信号INのレベルにかかわらず、低レベルになる。並行して、遅延回路DLYによってφVCからφVC’が発生され、スイッチSCCがオンになり、内部電源VC1が立ち上がりK1へ電流が供給される。すでに上述のLK1によってIN’はK1のサブスレッショルド電流を小さくするレベルとなっている。こうすれば、電源投入時に内部の電位が確定せずに大電流が流れるということは無い。VCCが立ち下がると、これによって内部電源VC1も立ち下がる。図46では、レベル検知回路はVCCに対するもののみを示しているが、図44に示したように入力信号INに対するものや他の電源に対するものを設けても良い。また、スイッチはこの図の例ではVCC側に入れてあるが、VSS側に入れても良い。
【0076】
実施例5
図48は本発明の第5の実施例である電源線スイッチの第3の制御例を示す図である。図44〜図47の実施例では、電源線スイッチ制御回路SVは外部電源VCCを入力とし、またこれを回路の電源として用い、このレベルを検知する構成としていた。しかし、本実施例ではLSIボード上に、外部電源電源VCC以外に電池を設け、この電池からSVへ電源VCTを供給している。電池は、例えばボード上に1個だけ設け、これを複数個のチップで共用すれば良い。この様な構成とすると、電源VCCを入れていない時でも、レベル検知回路が動作しているので、本来の電源VCCの変化を監視することが容易にできる。各LSIチップは図44又は図46と同様の構成とすればよい。ただし、電池からの電流で電源線スイッチ制御回路SVを常に活性化しておき、外部電源電源VCCの変化を監視するようにする。本構成を用いれば、前に説明した電源投入時の過大なサブスレッショルド電流を防止することが容易にできる。なお、図44では常に一定電圧が得られる電池を用いたが、最初にレベルが確定することが決まっている電源が用意されていればこれを電池の代わりに用いることができる。
【0077】
以上説明したように、本発明は、MOSトランジスタ回路およびそれで構成された半導体集積回路の低消費電力化にきわめて有効である。半導体集積回路の低消費電力化に対する要求は、最近特に強く、例えば日経エレクトロニクス1991年9月2日号、第106頁から第111頁には、低電力バックアップモードを有するマイクロプロセッサシステムについて記載されている。バックアップモードでは、クロックを停止させたり、不要な部分への電源の供給を停止したりして、低消費電力化を図っている。しかし、サブスレッショルド電流の低減についてまでは考慮されていない。これらのプロセッサシステムは3.3〜5Vで動作するために、十分に高いしきい電圧のトランジスタが使えるので、サブスレッショルド電流は問題にならないほど小さい。しかし、将来動作電圧が2Vあるいは1.5Vと低くなり、しきい電圧も低くせざるを得なくなると、従来のCMOS回路を使うやり方ではもはや過大なサブスレッショルド電流は低減できなくなる。本発明を、例えばレジューム用回路(バックアップモードでも電源が供給されている)に適用すれば、さらに低消費電力化が実現できる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高速・低消費電力のMOSトランジスタ回路、およびそれで構成された半導体集積回路が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1のインバータを示す図である。
【図2】本発明によるサブスレッショルド電流低減の原理を示す図である。
【図3】本発明によるサブスレッショルド電流低減効果を示す図である。
【図4】本発明の参考例2のインバータの回路図である。
【図5】本発明の信号のタイミングを示す図である。
【図6】本発明のデバイス構造を示す図である。
【図7】本発明の参考例3のインバータの回路図である。
【図8】本発明の参考例4のインバータの回路図である。
【図9】本発明のデバイス構造を示す図である。
【図10】本発明の参考例5のインバータ列を示す図である。
【図11】本発明の参考例6のインバータ列を示す図である。
【図12】本発明の参考例7のインバータ列を示す図である。
【図13】本発明が適用される組合せ論理回路のグループ分けの例を示す図である。
【図14】本発明の参考例8の組合せ論理回路を示す図である。
【図15】本発明の参考例9の組合せ論理回路を示す図である。
【図16】本発明の参考例10のラッチを示す図である。
【図17】本発明の参考例11のラッチの回路図である。
【図18】本発明の参考例12のインバータ列の回路図である。
【図19】本発明の参考例13のインバータ列の回路図である。
【図20】本発明の参考例14のNANDゲートの回路図である。
【図21】本発明の参考例15のNORゲートの回路図である。
【図22】本発明の参考例16のクロックインバータの回路図である。
【図23】本発明の参考例17の組合せ論理回路の回路図である。
【図24】本発明の参考例17の組合せ論理回路のレイアウト配置例である。
【図25】本発明の参考例18のラッチの回路図である。
【図26】本発明の参考例19の出力バッファの回路図である。
【図27】本発明の参考例20の入力バッファの回路図である。
【図28】本発明の参考例21のNMOSダイナミック回路の回路図である。
【図29】概念的参考例を示す図である。
【図30】CMOSインバータに適用した参考例の回路図である。
【図31】CMOSインバータに適用した参考例の動作タイミング図である。
【図32】インバータチェインに適用した参考例を示す図である。
【図33】インバータチェインに適用した別の参考例を示す図である。
【図34】CMOSインバータに適用した別の参考例を示す図である。
【図35】レベルホールド回路の別の構成例の回路図である。
【図36】本発明の第1の実施例による複数の回路ブロックの電源スイッチ制御例を示す図である。
【図37】図36の動作例を示す図である。
【図38】本発明の第2の実施例によるクロック同期式動作での電源スイッチ制御例を示す図である。
【図39】図38の動作例を示す図である。
【図40】出力を固定できるラッチ回路の回路図である。
【図41】制御クロックの動作タイミング図である。
【図42】出力を固定できる別なラッチ回路の回路図である。
【図43】制御クロックの動作タイミング図である。
【図44】本発明の第3の実施例による電源線スイッチの第1の制御例を示す図である。
【図45】図44の例の動作例を示す図である。
【図46】本発明の第4の実施例による電源線スイッチの第2の制御例を示す図である。
【図47】図46の例の動作例を示す図である。
【図48】本発明の第5の実施例による電源線スイッチの第3の制御例を示す図である。
【図49】従来のCMOSインバータの回路図である。
【図50】MOSトランジスタのサブスレッショルド特性を示す図である。
【符号の説明】
L、L1〜Lk……論理ゲート、G1〜Gk……論理ゲート群、SC、SC1〜SCk、
SS、SS1〜SSk……スイッチ、RC、RC1〜RCk、RS、RS1〜RSk……抵抗。
Claims (10)
- 第1配線と、
上記第1配線にソース・ドレイン経路が接続され、上記第1配線により動作電位が供給される複数のMOSトランジスタを有する第1回路ブロックと、
第2配線と、
上記第2配線にソース・ドレイン経路が接続され、上記第2配線により動作電位が供給される複数のMOSトランジスタを有する第2回路ブロックとを有し、
上記複数のMOSトランジスタのソース・ドレイン経路には各MOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧が0Vのときにもリーク電流が流れ、
上記第1配線は第1MOSFETのソース・ドレイン経路を介して第3配線に接続され、
上記第2配線は第2MOSFETのソース・ドレイン経路を介して上記第3配線に接続され、
上記第1MOSFETは第1制御信号を受け、該第1制御信号が第1状態のとき、上記第1回路ブロックの複数のMOSトランジスタのソース・ドレイン経路に第1電流が流れ、
該第1制御信号が第2状態のとき、上記第1回路ブロックの複数のMOSトランジスタのソース・ドレイン経路に上記第1電流よりも小さい第2電流が流れるように制限され、
上記第2MOSFETは第2制御信号を受け、該第2制御信号が上記第1状態のとき上記第2回路ブロックの複数のMOSトランジスタのソース・ドレイン経路に第3電流が流れ、
該第2制御信号が上記第2状態のとき、上記第2回路ブロックの複数のMOSトランジスタのソース・ドレイン経路に上記第3電流よりも小さい第4電流が流れるように制限され、
上記第3配線は第1方向に延在し、
上記第1配線は上記第1方向と交わる第2方向に延在するように配置され、
上記第2配線は上記第2方向に延在するように配置されることを特徴とする半導体集積回路。 - 上記第2方向は上記第1方向に対して垂直であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
- 上記第1配線は第2方向上にある第1電位点より更に第1方向に延在することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体集積回路。
- 第1配線、第2配線、第3配線、第4配線、第5配線、第6配線と、
第1回路ブロック、第2回路ブロック、第3回路ブロック、第4回路ブロックとを有し、
上記第1配線は、上記第3配線により上記第1回路ブロックに動作電圧を供給し、上記第1配線と上記第3配線は第1MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接続され、
上記第1配線は、上記第4配線により上記第2回路ブロックに動作電圧を供給し、上記第1配線と上記第4配線は第2MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接続され、
上記第1回路ブロックは上記第3配線とソース・ドレイン経路が接続された第3MOSFETを有し、
上記第3MOSFETのソース・ドレイン経路には上記第3MOSFETのゲートとソースの電位差がOVであるときも貫通電流が流れ、
上記第1MOSFETはゲートに第1制御信号を受け、上記第1制御信号により上記第3MOSFETのソース・ドレイン経路に流れる上記貫通電流は制御され、
上記第2回路ブロックは上記第4配線とソース・ドレイン経路が接続された第4MOSFETを有し、
上記第4MOSFETのソース・ドレイン経路には上記第4MOSFETのゲートとソースの電位差がOVでも貫通電通が流れ、
上記第2MOSFETはゲートに第2制御信号を受け、上記第2制御信号により上記第4MOSFETに流れる上記貫通電流を小さくなるように制御し、
上記第2配線は、上記第5配線により上記第3回路ブロックに動作電圧を供給し、上記第2配線と上記第5配線は第5MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接続され、
上記第2配線は、上記第6配線により上記第4回路ブロックに動作電圧を供給し、上記第2配線と上記第6配線は第6MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接続され、
上記第3回路ブロックは上記第5配線とソース・ドレイン経路が接続された第7MOSFETを有し、
上記第7MOSFETのソース・ドレイン経路には上記第7MOSFETのゲートとソースの電位差が0Vでも貫通電流が流れ、
上記第5MOSFETはゲートに第3制御信号を受け、上記第3制御信号の状態により上記第7MOSFETに流れる貫通電流を小さくなるように制御し、
上記第4回路ブロックは上記第6配線とソース・ドレイン経路が接続された第8MOSFETを有し、
上記第8MOSFETのソース・ドレイン経路には上記第8MOSFETのゲートとソースの電位差が0Vでも貫通電通が流れ、
上記第6MOSFETはゲートに第4制御信号を受け、上記第4制御信号の状態により上記第8MOSFETに流れる貫通電流を小さくなるように制御し、
上記第1配線と上記第2配線とは第1方向に延在し、
上記第3配線、上記第4配線、上記第5配線と上記第6配線とは第2方向に延在し、
上記第2方向は上記第1方向と交わることを特徴とする半導体集積回路。 - 上記第1方向と上記第2方向は垂直に交わることを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路。
- 上記第3配線は上記第2方向上の第1電位点より更に第1方向に延在し、
上記第5配線は上記第2方向上の第2電位点より更に第1方向に延在することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の半導体集積回路。 - 上記第1回路ブロック、上記第2回路ブロックはデコーダであり、上記第3回路ブロックと上記第4回路ブロックはワードドライバであり、ワードドライバにより選択されるメモリセルはDRAMであることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の半導体集積回路。
- 論理ゲートを含んだ第1四辺形領域と、
第1、第2、第3、及び第4の配線とを有し、
上記第1四辺形領域の第1辺は第1方向に延在し、
上記第1四辺形領域の第2辺は上記第1辺と角を共有し、第2方向に延在し、
上記第1の配線と第2の配線は上記第1四辺形領域の第1辺に沿って、第1方向に延在し、
上記第3の配線と第4の配線は上記第1四辺形領域の第2辺に沿って、第2方向に延在し、
第1MOSFETのソース・ドレイン経路は上記第1配線と上記第2配線の間に配置され、
第2MOSFETのソース・ドレイン経路は上記第3配線と上記第4配線の間に配置され、
上記第2配線は第3MOSFET群のソースと接続され、上記第3MOSFET群はそれぞれ上記論理ゲートの一部を構成し、
上記第4配線は第4MOSFET群のソースと接続され、上記第4MOSFET群はそれぞれ上記論理ゲートを構成し、
上記第3MOSFET群のソース・ドレイン経路には上記第3MOSFET群のゲートとソースの電位差が0Vでも貫通電通が流れ、
上記第4MOSFET群のソース・ドレイン経路には上記第4MOSFET群のゲートとソースの電位差が0Vでも貫通電通が流れ、
上記第1MOSFETはそのゲートの受ける第1制御信号の値により、上記第3MOSFET群のソース・ドレイン経路を流れる電流を制限し、
上記第2MOSFETはそのゲートの受ける第2制御信号の値により、上記第4MOSFET群のソース・ドレイン経路を流れる電流を制限することを特徴とする半導体集積回路。 - 上記第1四辺形領域の第3辺と、辺を共有する第2四辺形領域を有し、
上記第2四辺形領域にはDRAMのメモリセルが構成され、
上記第3MOSFET群から構成された論理ゲートはデコーダ回路を構成し、
上記第4MOSFET群から構成された論理ゲートはワードドライバ回路を構成し、
上記ワードドライバ回路は上記DRAMのメモリセルを選択することを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路。 - 上記第1配線と上記第2配線との間に更に接続された第1回路と、
上記第3配線と上記第4配線との間に更に接続された第2回路とを有し、
上記第1回路は上記第1MOSFETがオフ状態のときには上記第2配線の電位を上記第1配線の電位よりも下げ、
上記第2回路は上記第2MOSFETがオフ状態のときには上記第4配線の電位を上記第3配線の電位よりも下げ、
上記第1と第2MOSFETはpチャネルMOSFETであることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の半導体集積回路。
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