JP2003298410A - 半導体集積回路 - Google Patents

半導体集積回路

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JP2003298410A JP2003021299A JP2003021299A JP2003298410A JP 2003298410 A JP2003298410 A JP 2003298410A JP 2003021299 A JP2003021299 A JP 2003021299A JP 2003021299 A JP2003021299 A JP 2003021299A JP 2003298410 A JP2003298410 A JP 2003298410A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、高速・低消費電力の半導体
集積回路を提供することにある。 【解決手段】 第1配線と、上記第1配線にソース・ド
レイン経路が接続され、上記第1配線により動作電位が
供給される複数のMOSトランジスタを有する第1回路ブ
ロックと、第2配線と、上記第2配線にソース・ドレイ
ン経路が接続され、上記第2配線により動作電位が供給
される複数のMOSトランジスタを有する第2回路ブロッ
クとを有し、上記第1配線は第1MOSFETのソース
・ドレイン経路を介して第3配線に接続され、上記第2
配線は第2MOSFETのソース・ドレイン経路を介し
て上記第3配線に接続され、上記第3配線は第1方向に
延在し、上記第1配線は上記第1方向と交わる第2方向
に延在するように配置され、上記第2配線は上記第2方
向に延在するように配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微細MOSトランジ
スタで構成された半導体集積回路に係り、特に高速・低
電力動作に適した回路に関する。
【0002】
【従来の技術】非特許文献1に述べられているように、
MOSトランジスタが微細化されるにつれてその耐圧が
低下するために、その動作電圧を低くせざるを得ない。
この場合に、高速動作を維持するためには、動作電圧の
低下に見合ってMOSトランジスタのしきい電圧
(VT)も低下させる必要がある。これは、動作速度
は、MOSトランジスタの実効ゲート電圧、すなわち動
作電圧からVTを差し引いた値で支配され、この値が大
きいほど高速だからである。しかし、VTを0.4V程
度以下にすると、以下に述べるように、MOSトランジ
スタのサブスレッショルド特性(テーリング特性)によ
って、トランジスタを完全にオフすることはもはやでき
なくなり、直流電流が流れるという現象が生ずる。
【0003】図49に示す従来のCMOSインバータに
ついて説明する。理想的には、入力信号INが低レベル
(=VSS)の時はNチャネルMOSトランジスタMN
オフ、INが高レベル(=VCC)の時はPチャネルMO
SトランジスタMPがオフになり、いずれにしても電流
が流れることはない。しかし、MOSトランジスタのV
Tが低くなると、サブスレッショルド特性を無視するこ
とができなくなる。
【0004】図50に示すように、サブスレッショルド
領域におけるドレイン電流IDSは、ゲート・ソース間電
圧VGSの指数関数に比例し、次式で表される。
【0005】
【数1】
【0006】ただし、WはMOSトランジスタのチャネ
ル幅、I0、W0はVTを定義する際の電流値およびチャ
ネル幅、Sはテーリング係数(VGS-log IDS特性の傾
きの逆数)である。したがって、VGS=0でもサブスレ
ッショルド電流
【0007】
【数2】
【0008】が流れる。図49のCMOSインバータで
オフ状態のトランジスタはVGS=0であるから、非動作
時において高電源電圧VCCから接地電位である低電源電
圧VSSに向かって上記の電流ILが流れることになる。
このサブスレッショルド電流は、図50に示すように、
しきい電圧をVTからVT'に低下させると、ILからIL'
に指数関数的に大きくなる。数2の上式から明らかなよ
うに、サブスレッショルド電流を低減するためには、V
Tを大きくするかSを小さくすればよい。しかし、前者
は実効ゲート電圧の低下による速度の低下を招く。特
に、耐圧の点から微細化とともに動作電圧を低くしてい
くと、速度低下は顕著になり、微細化の利点を生かせな
くなるので好ましくない。また後者は、室温動作を前提
とする限り、次の理由により困難である。テーリング係
数Sは、ゲート絶縁膜の容量COXとゲート下の空乏層の
容量CDにより、次のように表される。
【0009】
【数3】
【0010】ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温
度、qは素電荷である。上式から明らかなように、COX
およびCDの如何にかからわずS≧kT ln 10/qであ
り、室温では60mV以下にすることは困難である。以上
述べた現象のために、多数のMOSトランジスタで構成
された半導体集積回路の実質的な直流電流は著しく増大
してしまう。特に高温動作時には、VTが低くSが大き
くなるため、この問題はさらに深刻になる。低電力化が
重要である今後のコンピュータ等のダウンサイジング時
代においては、このサブスレッショルド電流の増大は本
質的な問題である。
【非特許文献1】1989 インターナショナル シン
ポジウム オン ブイ・エル・エス・アイテクノロジ
ー,システムズ アンド アプリケーションズ、プロシ
ーディングズ オブ テクニカル ペーパーズ(1989年
5月)第188頁から第192頁(1989 International
Symposium on VLSI Technology, Systems and Applicat
ions, Proceedings of Technical Papers, pp.188-192
(May 1989))
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、MO
Sトランジスタを微細化しても高速・低電力の半導体集
積回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の一つの手段は、本発明では、MOSトランジスタのソ
ースと電源の間に大電流と小電流との電流供給を制御す
る制御回路手段を挿入し、用途に応じてこれらの電流を
切り換えてMOSトランジスタ回路に供給する。たとえ
ば、高速動作が要求される時は大電流を供給し、低消費
電力が要求される時は小電流を供給する。その際に、上
記MOSトランジスタのソースに接続される電源線と上
記電源に接続される電源線を交差するように配置する。
【0013】上記の構成により通常動作時には高速動作
が要求されるので、上記電流供給手段から大電流をMO
Sトランジスタ回路に供給し、高速動作を可能にする。
この時、MOSトランジスタ回路には前述のとおり直流
電流が流れるが、動作電流すなわち負荷の充放電電流に
比べて普通十分小さいので差し支えない。一方、待機時
には低消費電力が要求されるので、供給される電流を小
電流に切り換え、サブスレッショルド電流を抑える。こ
の時、電流が制限されることにより、MOSトランジス
タ回路の論理振幅は一般に大電流供給時よりも小さくな
るが、論理レベルを保証できる程度であれば差し支えな
い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、まず、参考例として図1〜
図35及び図40〜図43を参照して本発明を適用する
半導体集積回路を説明し、図36〜図39及び図44〜
図48を参照して具体的な実施例を説明する。
【0015】まず、図1は本発明を適用する半導体集積
回路の原理を説明するのに好適な参考例である。図1
(a)は参考例によるインバータの回路図である。図
中、LはCMOSインバータであり、PチャネルMOS
トランジスタMPとNチャネルMOSトランジスタMN
らなる。本発明を適用する半導体集積回路は、後述のよ
うに、インバータだけでなくNAND、NORなどの論
理ゲートあるいは論理ゲート群にも適用できるが、ここ
では簡単のためインバータの場合について説明する。S
CおよびSSはスイッチ、RCおよびRSは抵抗であり、本
参考例の特徴は、インバータLの電源端子VCL、VSL
電源VCC、VSSの間にそれぞれスイッチSC、SSと抵抗
C、RSが並列に挿入されていることであり、これによ
り以下に説明するようにサブスレッショルド電流低減が
実現される。高速動作が要求される時間帯には、スイッ
チSC、SSをオンにし、VCC、VSSを直接インバータL
に印加する(以下、高速動作モードという)。MP、MN
のしきい電圧(VT)を低く設定しておけば、高速動作
させることができる。この時、前述のようにインバータ
Lにはサブスレッショルド電流が流れるが、これは普
通、動作電流すなわち負荷の充放電電流に比べて十分小
さいので問題にならない。
【0016】一方、低消費電力が要求される時間帯に
は、スイッチSC、SSをオフにして、抵抗RC、RSを通
してインバータに電源を供給する(以下、低消費電力モ
ードという)。サブスレッショルド電流が抵抗を通して
流れることによる電圧降下により、VCLはVCCよりも低
下し、VSLはVSSよりも上昇する。図2に示すように、
この電圧降下により、次の2種の機構によってサブスレ
ッショルド電流が減少する。尚、入力信号INが低レベ
ル(VSS)の場合のMNについて説明するが、INが高
レベル(VCC)の場合のMPも同様である。 (i)ソース電位VSLが上昇するため、バックゲートバイ
アスVBS=VSS−VSL=−VMがかかり、しきい電圧が
T0からVT1まで上昇する。しきい電圧の上昇分は、
【0017】
【数4】
【0018】である。これにより、サブスレッショルド
電流はIL0からIL1まで減少する。減少率は、
【0019】
【数5】
【0020】である。ここでKは基板効果係数である。
例えば、VM=0.3V、K=0.4√V、S=100mV/deca
de、2ψ=0.64Vならば、サブスレッショルド電流は21
%に低減される。
【0021】(ii)ソース電位VSLが上昇するため、ゲー
ト・ソース間電圧VGS=VSS−VSL=−VMが負にな
る。これにより、サブスレッショルド電流はさらにIL1
からIL 2まで減少する。減少率は、
【0022】
【数6】
【0023】である。例えば、VM=0.3V、S=100m
V/decadeならば、サブスレッショルド電流は0.1%
に低減される。(i)(ii)の効果を併せると、
【0024】
【数7】
【0025】となる。例えば、VM=0.3Vならば0.02%
になる。ここで、VMは方程式
【0026】
【数8】
【0027】の解である。尚、インバータLのMOSト
ランジスタMP、MNのバックゲートはそれぞれのソース
(VCL、VSL)に接続してもよいが、(i)の効果を得る
ためには図1(a)のようにVCC、VSSに接続する方が
望ましい。
【0028】図3にサブスレッショルド電流低減効果を
示す。ここでは、将来の超低電圧動作の超高集積LSI
を想定し、バックゲートバイアスが0のときのしきい電
圧V T0=0.05〜0.15V、LSI全体のオフ状態のトラン
ジスタのチャネル幅の総和W=100mである場合につい
て計算している。抵抗を大きくするほどVMが大きくな
り、効果が大きくなる。ただし、図1(b)に示すよう
に、出力信号OUTの論理振幅は入力信号INの論理振
幅よりも小さくなるので、多段接続の際は信号の電圧レ
ベルに注意しなければならないが、これについては後述
する。
【0029】また、本発明を適用する半導体集積回路に
はしきい電圧のバラツキを自動的に補償する作用があ
る。すなわち、しきい電圧が低くサブスレッショルド電
流が大きいときは、抵抗による電圧降下VMが大きくな
り、しきい電圧が高くサブスレッショルド電流が小さい
ときは、VMが小さくなる。いずれの場合も、電流の変
動が抑制される。図3から明らかなように、サブスレッ
ショルド電流の変動は抵抗値が大きいほど小さい。例え
ば、抵抗値を3kΩ以上にすれば、しきい電圧が±0.
05Vばらついても、サブスレッショルド電流ILの変
動は±20%以内に抑えられる。
【0030】次に、参考例1で説明したスイッチと抵抗
の具体的な実現方法を示す。図4は、スイッチと抵抗と
をともにMOSトランジスタで実現した例である。スイ
ッチ用のMOSトランジスタMC1とMS1は、コンダクタ
ンスの大きいMOSトランジスタであり、それぞれ図1
のスイッチSC、SSに相当する。高速動作モードの時
は、信号φCを低レベル、φSを高レベルにすることによ
って、MC1、MS1はオンになる。φC、φSの電圧レベル
は、それぞれVSS、VCCでもよいが、MC1、MS1のコン
ダクタンスをより大きくするために、φCをVSSよりも
低く、φSをVCCよりも高くしてもよい。そのための電
圧は、チップの外部から与えるか、EEPROMやDR
AMで周知のオンチップ昇圧回路で発生させればよい。
低消費電力モードのときは逆に、φCを高レベル、φS
低レベルにすることによって、MC1、MS1はオフにな
る。この時は、電流を確実に抑止できるようにしなけれ
ばならない。そのためには、次の2通りの方法がある。
第1の方法は、外部電圧またはオンチップ昇圧回路によ
って、φCをVCCよりも高く、φSをVSSよりも低くする
ことである。第2の方法は、MC1、MS1として、インバ
ータLに用いられているものよりもしきい電圧が高い
(よりエンハンスメントの)トランジスタを用いること
である。第1の方法は、しきい電圧の異なるトランジス
タを作るための工程が不要であるという利点がある。一
方、第2の方法は、外部電圧を受ける端子あるいはオン
チップ昇圧回路が不要であるから、面積の点で有利であ
る。MOSトランジスタMC2とMS2はコンダクタンスの
小さいMOSトランジスタであり、それぞれ図1の抵抗
C、RSに相当する。これらのトランジスタは、ゲート
がそれぞれVSS、VCCに接続されており、常にオンであ
る。これらのトランジスタはオフにする必要がないの
で、そのしきい電圧は低くても差し支えない。
【0031】次に、本発明を適用する半導体集積回路が
適用される時間帯について述べる。図5に信号φC、φS
のタイミングの例を示す。図5(a)および(b)は、
本発明を適用する半導体集積回路をメモリLSIに適用
した場合である。メモリLSIは、チップエネーブル信
号CE ̄(補信号)が低レベルのとき動作状態、高レベ
ルのとき待機状態になる。図5(a)の場合は、信号φ
Cは、CE ̄の立下りに同期して低レベルになり、CE
 ̄の立上りからやや遅れて高レベルになる。信号φS
その逆である。従って、図中のaの時間帯は高速動作モ
ード、bの時間帯は低消費電力モードになる。一般に多
数のメモリLSIを用いたメモリ装置では、動作状態に
あるLSIは少数であり、大多数のLSIは待機状態に
ある。従って、待機状態にあるLSIを低消費電力にす
れば、メモリ装置全体の低消費電力化に大きく寄与す
る。なお、CE ̄の立上りから低消費電力モードに入る
までに遅延を設ける理由は、この間にLSIの内部回路
のリセットが行われるからである。図5(b)はさらに
低消費電力化を図った例である。ここでは、CE ̄が変
化した直後のみを高速動作モードにしている。すなわ
ち、CE ̄が低レベルになった直後はデータの読出し/
書込みが行なわれ、CE ̄が高レベルになった直後は内
部回路のリセットが行なわれるので、これらの時間帯は
高速動作モードとし、その他の時間帯は低消費電力モー
ドにしている。なお、ここには記載されていないが、ア
ドレス信号が変化したときに高速動作モードに入るよう
にしてもよい。図5(c)は本発明を適用する半導体集
積回路をマイクロプロセッサに適用した例である。通常
動作状態では、クロックCLKが印加されている。この
とき、信号φCは低レベル、φSは高レベルであり、高速
動作モードである。マイクロプロセッサが待機状態また
はデータ保持状態になると、クロックCLKが停止し、
信号BUが高レベルになる。これに同期して、φCは高
レベル、φSは低レベルになり、低消費電力モードにな
る。これにより、マイクロプロセッサの消費電力が低減
され、電池などの小容量の電源で長時間バックアップす
ることが可能になる。
【0032】図6は、図4の回路を実現するためのデバ
イス構造の一例である。この図のポリシリコン130、
131、132、133がそれぞれ図4のMC2、MP
N、MS2のゲートに相当する(MC1、MS1はここには
記載されていない)。注意すべきことは、MC2とMP
が同一のnウェル101(n+拡散層120を介してV
CCに接続されている)を共有していることである。MN
とMS2も同様にp基板(VSSに接続されている)100
を共有している。これからわかるように、MOSトラン
ジスタのバックゲートをVCC、VSSに接続する方が、ソ
ースに接続する場合に比べて、前述の(i)の効果が得ら
れるだけでなく、レイアウト面積の点でも有利である。
ここに示した例では、p基板中にnウェルを形成してい
るが、逆にn基板中にpウェルを形成してもよい。ある
いは、アイ・エス・エス・シー・シー、ダイジェスト・
オブ・テクニカル・ペーパーズ、第248頁から第24
9頁、1989年2月(ISSCC Digest of Technical Pa
pers, pp.248-249, Feb.1989)に記載されているような
三重ウェル構造を用いてもよい。
【0033】図7にスイッチと抵抗の他の実現方法を示
す。本参考例の特徴は、カレントミラー回路を用いてい
ることである。すなわち、しきい電圧が同じMOSトラ
ンジスタMC2とMC3は、ゲートとソースを共有するいわ
ゆるカレントミラー回路を成しており、MC2には電流源
0に比例する電流が流れ、そのインピーダンスは大き
い。MS2とMS3についても同様である。したがって、M
C2、MS2は高抵抗とみなすことができる。尚、電流源I
0とMC3、MS3から成る回路CSを複数の論理ゲートで
共有してもよい。カレントミラー回路はここに示した回
路だけでなく、他の回路でもよい。例えば、MOSトラ
ンジスタの代わりにバイポーラトランジスタを用いても
よい。
【0034】このように、スイッチと抵抗の実現方法
は、いろいろな変形がありうる。要は、高速動作が要求
される時間帯には大電流を、低消費電力が要求される時
間帯には小電流を流す手段であればよい。以下の図面で
は、簡単のため、図1のようにスイッチと抵抗で表すこ
とにする。
【0035】インバータのMOSトランジスタのバック
ゲートは、VCC、VSSに限らず別の電源に接続してもよ
く、その電圧を可変にしてもよい。図8にその例を示
す。ここでは、MP、MNのバックゲートをそれぞれ電源
WW、VBBに接続し、それらのバックゲート電圧値を動
作時と待機時とで変えている。VBBについて言えば、高
速動作が要求される時間帯にはVBBを浅くして(あるい
は極端な場合わずかに正にして)MNのVTを低くして高
速動作を可能にする。低消費電力が要求される時間帯に
はVBBを深くしてMNのVTを高くして、サブスレッショ
ルド電流を抑える。これにより、前記(i)の効果がさら
に大きくなる。以上VBBについて述べたが、VWWも電圧
の極性が逆になるだけで同様である。なお、この種のバ
ックゲート電圧発生回路は、例えばアイ・エス・エス・
シー・シー、ダイジェスト・オブ・テクニカル・ペーパ
ーズ、第254頁から第255頁、1985年2月(IS
SCCDigest of Technical Papers, pp.254-255, Feb.198
5)に記載されている。
【0036】図9は、図8の回路を実現するためのデバ
イス構造の一例である。ここでは、前述の三重ウェル構
造を用いており、nウェル105(PチャネルMOSト
ランジスタのバックゲート)はn+拡散層120を介し
てVWWに、pウェル103(NチャネルMOSトランジ
スタのバックゲート)はp+拡散層127を介してV BB
に接続されている。この三重ウェル構造は、Pチャネ
ル、Nチャネル共に回路ごとに独立したウェルに入れる
ことができるので、回路ごとにバックゲート電圧を設定
できるという利点がある。例えば、1つのLSI内に動
作状態にある回路と待機状態にある回路が混在する場
合、前者のバックゲート電圧を浅く、後者のバックゲー
ト電圧を深くすることができる。
【0037】次に、インバータを多段接続したインバー
タ列の場合について述べる。簡単のため、まず2段の場
合で原理を説明する。図10(a)は、CMOSインバ
ータL1、L2を接続した場合の回路図である。各段のイ
ンバータごとに、スイッチSCi、SSiと抵抗RCi、RSi
(i=1,2)が挿入されている。高速動作モードで
は、4個のスイッチをすべてオンにし、VCC、VSSを直
接インバータL1、L2に印加する。インバータのMOS
トランジスタのしきい電圧(VT)を低く設定しておけ
ば、高速動作させることができる。一方、低消費電力モ
ードでは、4個のスイッチをすべてオフにして、抵抗を
通してインバータに電源を供給する。サブスレッショル
ド電流が抵抗を通して流れることによる電圧降下によ
り、VCL1、VCL2はVCCよりも低下し、VSL1、VSL2
SSよりも上昇する。第1段のインバータL1について
は、図1の場合と同様に、前記(i)(ii)の機構によって
サブスレッショルド電流が減少する。しかし、図10
(b)に示すように、L1の出力N1の論理振幅は入力信
号INの論理振幅よりも小さい。すなわち、INが低レ
ベル(=VSS)の時はN1の電圧レベルはVCL1になり、
INが高レベル(=VCC)の時はN1の電圧レベルはV
SL1になる。これが第2段のインバータL2の入力となる
から、L2のサブスレッショルド電流低減のためには、
CC>VCL1>VCL2、VSS<VSL1<VSL2となるように
抵抗値を設定するのが望ましい。これにより、L2につ
いても前記(i)(ii)の機構によってサブスレッショルド
電流が減少する。VCL1=VCL2、VSL1=VSL2の時は、
(i)による効果は得られるが(ii)による効果は得られな
い。
【0038】図11(a)に示す多段接続の場合も上と
同様で、VCC>VCL1>VCL2>……>VCLk、VSS<V
SL1<VSL2<……<VSLkとなるようにするのがよい。
ただし、図11(b)に示すように、1段ごとに論理振
幅が小さくなるので、適宜レベル変換回路を挿入して振
幅を回復させる。この例では、k段のインバータの後に
レベル変換回路LCを付加して、出力信号OUTの論理
振幅が入力信号INと同じになるようにしている。この
種のレベル変換回路は、例えばシンポジウム・オン・ブ
イ・エル・エス・アイ・サーキッツ、ダイジェスト・オ
ブ・テクニカル・ペーパーズ、第82頁から第83頁、
1992年6月(Symposium on VLSI Circuits, Digest
of Technical Papers, pp.82-83, June 1992)に記載
されている。レベル変換回路LCは高速動作時には不要
である。なぜなら、スイッチがすべてオンになっている
ので、VCL1=VCL2=……=VCLk=VCC、VSL1=V
SL2=……=VSLk=VSSであり、論理振幅の減少がない
からである。したがって、高速動作時には、スイッチS
LCをオンにしてレベル変換回路をバイパスさせることに
よって、遅延を避けることができる。
【0039】図12(a)に多段接続インバータ列の他
の例を示す。この例では、スイッチSC、SSと抵抗
C、RSがすべてのインバータL1〜Lkにより共有され
ており、電圧VCL、VSLはL1〜Lkに共通である。それ
ゆえに、図10の説明で述べたように、前記(i)の機構
によるサブスレッショルド電流低減効果は得られるが(i
i)による効果は得られない。したがって、サブスレッシ
ョルド電流低減効果は前参考例よりも小さくなる。しか
し、その反面スイッチと抵抗のレイアウト面積が節約で
きるという利点がある。また、図12(b)に示すよう
に、すべての信号(入出力信号を含めて)の電圧レベル
が同一であり、前参考例のような論理振幅の減少がない
という特長がある。そのため、レベル変換回路は不要で
あり、また、NAND、NORなどの論理が組みやすい
という利点がある。
【0040】次に、本発明を適用する半導体集積回路を
一般の組合せ論理回路に適用する場合について述べる。
【0041】例えば、図13に示す組合せ論理回路を考
える。これに本発明を適用する半導体集積回路を適用す
るには、まず論理ゲートを図13のようにグループ分け
する。この例では、15個の論理ゲートL1〜L15が3
つのグループG1、G2、G3に分けられている。グルー
プ分けに当たっては、第i番目のグループに含まれる論
理ゲートの出力信号は、第(i+1)番目以降のグルー
プの論理ゲートにのみ入力されるようにする。
【0042】次に、図14に示すように、各グループご
とに電源との間にスイッチと抵抗を挿入する。論理ゲー
トの出力信号の論理振幅は、図11の場合と同様に、1
段ごとに小さくなるから、図14に示すようにレベル変
換回路群GC1、GC2を挿入して振幅を回復させる。
尚、図示されていないが、高速動作時には図11の場合
と同様にレベル変換回路群GC1、GC2をパイパスさせ
てもよい。本参考例の特徴の1つは、同じグループに含
まれる論理ゲートは、スイッチと抵抗を共有しているこ
とである。図13の例で言えば、グループG1に含まれ
る3個のインバータは、スイッチSC1、SS1と抵抗
C1、RS1を共有している。本参考例のもう1つの特徴
は、レベル変換回路の前後のグループでスイッチと抵抗
を共有していることである。すなわち、グループG1
k+1はスイッチSC1、SS1および抵抗RC1、RS1を、
グループG2とGk+2はスイッチSC2、SS2および抵抗R
C2、RS2を、……、グループGkとG2kはスイッチ
Ck、SSkおよび抵抗RCk、RSkをそれぞれ共有してい
る。このように、複数の論理ゲートでスイッチと抵抗を
共有することにより、LSI全体として見ればスイッチ
と抵抗との数を低減でき、レイアウト面積を節約でき
る。
【0043】図15に本発明を適用する半導体集積回路
の他の参考例を示す。図15の参考例がこれまでの参考
例と相違するのは、電圧リミッタ(降圧回路、昇圧回
路)VC1、VC2、……、VCk、VS1、VS2、…
…、VSkを用いていることである。低消費電力が要求
される時には、スイッチTC1〜TCk、TS1〜TSkを図示
の側に切換え、電圧リミッタによって論理ゲート群に電
源を供給する。電圧リミッタVC1、VC2、……、VC
kは、電源電圧VCC側の降圧回路として動作し、VCC
りも低くほぼ安定化された内部電圧VCL1、VCL2、…
…、VCLkをそれぞれ発生する。一方、VS1、VS2
……、VSkは、接地VSS側の昇圧回路として動作し、
SSよりも高くほぼ安定化された内部電圧VSL1
SL2、……、VSLkをそれぞれ発生する。発生する電圧
は前述の参考例と同様に、VCC>VCL1>VCL2>……>
CLk、VSS<VSL1<VSL2<……<VSLkとするのがよ
い。尚、この種の電圧リミッタについては、特開平2−
246516号公報に開示されている。逆に、高速動作
が要求される時は、スイッチを図示されているのとは反
対側に切換えて、VCC、VSSを直接論理ゲート群に印加
して、高速動作を可能にする。尚、この時は電圧リミッ
タは不要になるので、その動作を停止させてもよい。
【0044】これまでの参考例は、インバータ列や組合
せ論理回路といったフィードバックのない回路であった
が、本発明を適用する半導体集積回路はフィードバック
のある回路にも適用できる。一例として、図16(a)
に示す2個のNANDゲートを組合せたラッチ回路の場
合について説明する。図16(b)に回路図を示す。2
個のNANDゲートL1、L2と電源Vccおよび接地Vss
との間に、それぞれスイッチSC1、SS1、SC2、SS2
よび抵抗RC1、RS1、RC2、RS2が挿入されている。V
CL1、VCL2がVCCよりも低下し、VSL 1、VSL2がVSS
りも上昇し、前記(i)の機構によってサブスレッショル
ド電流が低減される。
【0045】図17は、さらにサブスレッショルド電流
を低減するために、情報のラッチに用いられる4個のM
OSトランジスタMP12、MP22、MN12、MN22のしきい
電圧VTを他のMOSトランジスタMP11、MP21
N11、MN21のしきい電圧より高く(よりエンハンスメ
ントに)した例である。入力信号が印加される他のMO
SトランジスタMP11、MP21、MN11、MN21のしきい電
圧VTは低いままであるから、高速動作が可能である。
この場合、VSS側のスイッチと抵抗は不要である。なぜ
ならば、高しきい電圧のVSS側トランジスタMN12、M
N22によって電流を確実に抑止できるからである。
【0046】これまでの参考例は、入力信号が低レベル
でも高レベルでもサブスレッショルド電流を低減できる
ものであった。しかし実際のLSIでは、サブスレッシ
ョルド電流低減が必要な時間帯、例えば待機状態におけ
る特定の信号のレベルは予め判っていることが多い。こ
のような場合は、より簡単な回路でサブスレッショルド
電流を低減することができる。
【0047】図18は、待機状態における入力信号IN
は低レベル(“L”)であると判っている場合のインバ
ータ列の回路例である。INが低レベルであるから、ノ
ードN1、N3、N5、……は高レベル、N2、N4、N6
……は低レベルになり、PチャネルMOSトランジスタ
のうちMP2、MP4、……がオフ、NチャネルMOSトラ
ンジスタのうちMN1、MN3、……がオフである。スイッ
チと抵抗は、これらのオフ状態のトランジスタのソース
にのみ挿入すれば十分である。サブスレッショルド電流
が流れるのはオフ状態のトランジスタだからである。
【0048】また、図19に示すように、スイッチと抵
抗を複数のインバータで共有しても差し支えない。これ
らの参考例は、入力信号のレベルが判っていなければな
らないという制約はあるが、簡単な回路でサブスレッシ
ョルド電流を低減できるという利点がある。図18、1
9を図11と比較してみれば明らかなように、スイッチ
と抵抗の数が少なくなり、レベル変換回路が不要にな
る。インバータだけでなくNAND、NORなどの論理
ゲートでも、待機状態における入力信号のレベルが判っ
ている場合は、より簡単な回路でサブスレッショルド電
流を低減することができる。
【0049】図20は2入力NANDゲート、図21は
2入力NORゲートの例である。2つの入力信号IN1
とIN2がいずれも低レベル、あるいはいずれも高レベ
ルの場合は、これらのゲートは実質的にインバータと等
価であるから、図18、図19で説明した方法が適用で
きる。問題は、図のように一方の入力が低レベル
(“L”)、他方の入力が高レベル(“H”)の場合で
ある。
【0050】図20のNANDゲートの場合は、Pチャ
ネルMOSトランジスタMP12とNチャネルMOSトラ
ンジスタMN11がオフであるが、出力OUTは高レベル
であるから、サブスレッショルド電流が流れるのはM
N11である。従って、VSS側にスイッチと抵抗を挿入す
ればよい。図21のNORゲートの場合は逆に、サブス
レッショルド電流が流れるのはPチャネルMOSトラン
ジスタMP14である。従って、VCC側にスイッチと抵抗
を挿入すればよい。図20、図21は上記方式を2入力
論理ゲートに適用した例であるが、3入力以上の論理ゲ
ートでも同様にできる。また、スイッチと抵抗は、他の
論理ゲートと共有してもよいことはもちろんである。
【0051】図22はクロックインバータにおいて、待
機状態ではクロックCLK1は低レベル、CLK2は高レ
ベルであると判っている場合の回路例である。この場合
は、MOSトランジスタMP16、MN16が共にオフである
から、出力OUTは高インピーダンスになり、その電圧
レベルはOUTに接続されている他の回路(図示せず)
によって決まる。電圧レベルによってMOSトランジス
タMP16、MN16のいずれにサブスレッショルド電流が流
れるかが決まるから、この場合は、図のようにスイッチ
と抵抗をVCC側、VSS側の両方に挿入すればよい。一般
の組合せ論理回路の場合も、入力信号のレベルが予め判
っている場合は、より簡単な回路でサブスレッショルド
電流を低減することができる。図13に示した組合せ論
理回路を例にとりあげて説明する。
【0052】図23は、この回路の入力IN1〜IN6
すべて低レベルと判っている場合の回路構成例である。
インバータL1〜L3、L5、L6については、図18、図
19と同様に、L1〜L3のVSS側とL5、L6のVCC側に
スイッチと抵抗を挿入する。NORゲートL7は、入力
信号がいずれも低レベルであるから、実質的にインバー
タと等価である。従って、VSS側にスイッチと抵抗を挿
入すればよい。NORゲートL4は、入力信号の一方が
低レベル、他方が高レベルであるから、図21と同様
に、VCC側にスイッチと抵抗を挿入する。回路グループ
G内の8個のNANDゲートのうち、L12だけは3つの
入力信号がすべて高レベルであり、インバータと等価で
あるから、VCC側にMCで示したスイッチと抵抗を挿入
する。他のNANDゲートは、入力信号に低レベルのも
のと高レベルのものが混在するから、図20と同様に、
SS側にMSで示したスイッチと抵抗を挿入すればよ
い。以上の説明から明らかなように、出力が高レベルで
ある論理ゲートにはVSS側に、出力が低レベルである論
理ゲートにはVCC側に、スイッチと抵抗を挿入すればよ
い。図23に示すように、これらのスイッチと抵抗を複
数の論理ゲートで共有することにより、レイアウト面積
を節約できる。
【0053】図24はレイアウト構成の例を示す図であ
る。この例は他に開示されておらず本明細書で初めて示
されたものである。メモリ特にダイナミック形ランダム
アクセスメモリ(DRAM)のデコーダ回路とワードド
ライバ回路を例にしている。グループG1(デコーダ回
路),G21〜G24(ワードドライバ回路)は図23
のGと同種の回路グループであり、回路グループG1と
CC側の電源であるVCC1との間にはMC1を、回路グ
ループG21〜G24とVCC側の電源であるVC C2との
間にはMC2を挿入している。MC1とMC2はpMO
Sで構成し、pMOSのオン抵抗とオフ抵抗によって、
図23のMCで示したスイッチと抵抗を実現している。
すなわち、オン抵抗は図23でスイッチを閉じた時の抵
抗であり、オフ抵抗は図23でスイッチを開いた時のR
cである。また、MAはメモリセルMCを2次元的に敷
き詰めたメモリセルアレーであり、ワードドライバ回路
の出力W1,W2のうち例えばW1が選択されるとデー
タ線対DT,DBにメモリセルの信号が読み出され、こ
れがセンスアンプSA1,SA2で増幅される。このよ
うな構成がDRAMでは多数あり、レイアウト上MAの
図24での横方向の長さとG1,G21〜G24の長さ
とはほぼ一致する。この時、MC1,MC2は多数のG
1,G21〜G24で共用し、この図24に示すよう
に、図中でセンスアンプ領域の下の領域に配置する。こ
のように配置することによりレイアウト面積を節約でき
る。
【0054】フィードバックがある回路についても、信
号のレベルが予め判っている場合は、より簡単な回路で
サブスレッショルド電流を低減することができる。図2
5は、図16(a)のラッチに適用した例である。この
種のラッチは、待機状態においては普通、入力信号IN
1、IN2が共に高レベルであり、出力信号OUT1、O
UT2のうちの一方が低レベル、他方が高レベルとなっ
て1ビットの情報を保持している。図25は、OUT1
が低レベル、OUT2が高レベルであると判っている場
合の回路構成例である。NANDゲートL1は、2つの
入力信号が共に高レベルであるから、インバータと等価
であり、図18、図19と同様に、VCC側にスイッチと
抵抗を挿入する。NANDゲートL2は、入力信号の一
方が低レベル、他方が高レベルであるから、図20と同
様に、VSS側にスイッチと抵抗を挿入すればよい。これ
らのスイッチと抵抗は、他の論理ゲートと共有してもよ
いことはもちろんである。
【0055】図26は、上記方式をメモリLSIなどで
周知のデータ出力バッファに適用した例である。待機状
態においては、出力エネーブル信号OEが低レベルであ
り、NANDゲートL21及びL22の出力は高レベル、イ
ンバータL23の出力は低レベルである。従って、出力段
24を構成する2個のMOSトランジスタMP20および
N20は共にオフであり、出力DOUTは高インピーダ
ンスである。論理ゲートL21〜L23については、図23
の説明で述べた方針に従って、VSS側もしくはVCC側に
スイッチと抵抗を挿入すればよい。出力段L24について
は、図22のクロックインバータの場合と同様に、スイ
ッチと抵抗をVCC側、VSS側の両方に挿入すればよい。
【0056】図27は、上記方式をメモリLSIなどで
周知のデータ入力バッファに適用した例である。図中、
SBは待機状態のときに高レベルになる信号である。イ
ンバータL31およびL32の出力は、図4および図7に示
したように、それぞれφS、φCとしてスイッチの制御に
用いることができる。L33はNANDゲートであり、そ
の入力はφSとデータ入力信号DINである。待機状態の
ときはφSは低レベルであるから、DINの如何にかかわ
らずL33の出力は高レベル、従ってインバータL34の出
力dINの出力は低レベルになる。一方、動作状態のとき
は、SBが低レベルであるから、dINはDINに追随す
る。NANDゲートL33とインバータL34については、
それぞれVSS側、VCC側にスイッチと抵抗を挿入する
ことにより、サブスレッショルド電流を低減できる。イ
ンバータL31とL32についてはこの手法は使えないが、
MOSトランジスタのしきい電圧を高くすることによ
り、サブスレッショルド電流を低減できる。待機状態と
動作状態の切り換えにはそれほど高速性は要求されない
ことが多いから、しきい電圧の高いMOSトランジスタ
を用いても差し支えない。図18〜26の参考例は、簡
単な回路でサブスレッショルド電流を低減できるという
利点がある反面、サブスレッショルド電流低減が必要な
時間帯、例えば待機状態における信号レベルが判ってい
なければ適用できないという制約がある。従って、この
ときには、LSI内のできるだけ多くのノードのレベル
が確定するようにすることが望ましい。図27の入力バ
ッファを用いることによって、このときの信号dINのレ
ベルを低レベルに確定させることができる。なお、信号
INのレベルを確定させる方法としては、この他に、例
えば「待機状態のときはデータ入力端子DINは低レベル
(または高レベル)にする」という仕様を定めておく方
法もある。以上、データ入力バッファについて述べた
が、アドレス信号その他の信号の入力バッファも同様で
ある。
【0057】図18〜図27の参考例は、メモリLSI
に適用するのに好適である。メモリLSIでは、待機状
態の時に高レベルであるか低レベルであるかが判ってい
るノードが比較的多く、さらに図27の入力バッファを
用いることによってほとんどのノードのレベルを確定さ
せられるからである。図26、27の参考例は、LSI
チップの外部端子に対する入出力回路としてだけでな
く、例えばマイクロプロセッサの内部バスに対するドラ
イバ/レシーバとしても用いることができる。
【0058】これまでは本発明を用いる半導体集積回路
をCMOS回路に適用した参考例について述べてきた
が、本発明を用いる半導体集積回路は、単一極性のMO
Sトランジスタで構成された回路にも適用できる。図2
8にNチャネルMOSトランジスタのみで構成された回
路の例を示す。図中、PCはプリチャージ信号、I
1、IN2は入力信号である。待機時、すなわちプリチ
ャージ状態では、PCが高レベル、IN1とIN2は低レ
ベルであり、出力OUTは高レベル(=VCC−VT)に
プリチャージされている。動作時には、PCが低レベル
になった後、IN1とIN2は高レベルになるかあるいは
低レベルにとどまる。IN1とIN2のうち少なくとも一
方が高レベルになれば、OUTは低レベルになり、両方
共低レベルにとどまれば、OUTは高レベルのままであ
る。すなわち、この回路はIN1とIN2のNORを出力
する回路である。この回路では、待機時にオフになって
いるトランジスタは、VSS側のMN41、MN42であり、こ
れらのトランジスタにサブスレッショルド電流が流れ
る。従って、この回路に本発明を用いる半導体集積回路
を適用するには、図に示すように、VSS側にスイッチと
抵抗を挿入すればよい。VCC側には不要である。
【0059】図18〜28の参考例は、簡単な回路でサ
ブスレッショルド電流を低減できるという利点がある反
面、サブスレッショルド電流低減が必要な時間帯、例え
ば待機状態における信号レベルが判っていなければ適用
できないという制約がある。従って、このときには、L
SI内のできるだけ多くのノードのレベルが確定するよ
うにすることが望ましい。このための手段としては、図
27の入力バッファのような回路を用いることによっ
て、このときの信号dINのレベルを低レベルに確定させ
ることができる。このレベルを確定させる方法として
は、この他に、例えば「待機状態のときはデータ入力端
子DINは低レベル(または高レベル)にする」という仕
様を定めておく方法もある。図18〜図28の参考例
は、メモリLSIに適用するのに好適である。メモリL
SIでは、待機状態の時に高レベルであるか低レベルで
あるかが判っているノードが比較的多く、さらに図27
の入力バッファを用いることによってほとんどのノード
のレベルを確定させられるからである。
【0060】以上の例では、論理振幅が段数の増加とと
もに低下したり、入力信号の電圧レベルが予め判ってい
ない場合にはやや複雑な設計が必要であるといった問題
がある。図29は、これらを解決するもので、論理出力
が確定するまでの所要時間帯は、これまで述べてきたよ
うにスイッチをオンにして、通常の高速動作をさせる。
それ以外の時間帯では、スイッチをオフにすることによ
って、論理回路(図はCMOSインバータの例)のサブ
スレッショルド電流経路を遮断するものである。ただ
し、スイッチがオフになると電源電圧の供給路が断たれ
るため、論理回路の出力はフローティングとなり、論理
出力は確定しなくなる。そこで、その出力に、電圧レベ
ルを保持する一種のラッチ回路(レベルホールド回路)
を設けていることが特長である。レベルホールド回路に
しきい電圧の高いトランジスタなどを使えば、レベルホ
ールド回路のサブスレッショルド電流は無視できるほど
小さくなり、全体としてはサブスレッショルド電流は小
さくできる。遅延時間は、レベルホールド回路の影響は
小さく、論理回路により定まる。論理回路に駆動能力の
大きい高速な回路を用いても、待機状態では論理回路を
通じて電流が流れないため、消費電流はレベルホールド
回路を通じて流れる電流だけである。レベルホールド回
路は、出力を保持するだけなので駆動能力が小さくて良
く、消費電流は小さくできる。スイッチをオフにして
も、レベルホールド回路により論理回路の出力が保持さ
れるので、出力が反転する恐れが無く、安定に動作す
る。したがって、低消費電力で高速に安定動作を行う半
導体装置を実現できる。本発明を適用する半導体集積回
路によれば、電圧レベルが常にレベルホールド回路で一
定値に保証されるので、論理段数の増加とともに論理振
幅が低下することはない。また、論理入力によらず効力
を発揮する。図29を用いてさらに本参考例を説明す
る。論理回路LCが、スイッチSWH及びSWLを介し
て、高電位の電源線VHH及び低電位の電源線VLLに
接続される。ここでVHHならびにVLLは、これまで
述べてきたVCC、VSSにそれぞれ対応させることもでき
る。論理回路LCの出力端子OUTには、レベルホール
ド回路LHが接続される。スイッチSWHとSWLは、
制御パルスCKで制御され、同時にオン,オフする。論
理回路LCは、インバータ、NAND回路、NOR回路
などの論理ゲートやフリップフロップ回路、あるいはそ
れら複数個の組合せで構成される。レベルホールド回路
LHは、正帰還回路により構成できる。論理回路LCの
動作は、スイッチSWH及びSWLをオンにして行う。
論理回路LCの入力INに応じた出力OUTが確定した
後、スイッチSWH及びSWLをオフにして、論理回路
LCを介したVHHからVSSへの電流経路を遮断し、
論理回路LCの出力をレベルホールド回路LHにより保
持する。回路の遅延時間には、レベルホールド回路LH
の影響は小さく、論理回路LCにより定まる。論理回路
LCに駆動能力の大きい回路を用いて遅延時間の短い高
速な動作を行うことができる。例えば待機状態では論理
回路LCを通じて電流が流れないため、消費電流はレベ
ルホールド回路LHを通じて流れる電流だけである。レ
ベルホールド回路LHは、駆動能力が小さくて良いの
で、消費電流は小さくできる。しかも、レベルホールド
回路LHにより論理回路LCの出力OUTが維持される
ため、誤動作の恐れがない。したがって、低消費電力で
高速に安定動作を行う回路を実現できる。
【0061】本発明を適用する半導体集積回路をCMO
Sインバータで構成した参考例を、図30に示す。NM
OSトランジスタMN1,PMOSトランジスタMP1
が、それぞれ図29でのスイッチSWL,SWHとして
動作する。オフにしたときのリーク電流を小さくするた
め、トランジスタMN1,MP1のしきい値電圧は十分
大きくする。オン抵抗が大きくならないようにチャネル
幅/チャネル長を定める。NMOSトランジスタMN1
のゲートには制御パルスCKが、PMOSトランジスタ
MP1のゲートには制御パルスCKBが入力される。C
KBはCKの相補信号である。NMOSトランジスタM
N2とPMOSトランジスタMP2からなるCMOSイ
ンバータINVを、MN1,MP1に接続する。低電圧
動作で駆動能力を大きくするため、トランジスタMN
2,MP2のしきい値電圧は小さくする。インバータI
NVの出力端子OUTには、NMOSトランジスタMN
3,MN4とPMOSトランジスタMP3,MP4から
なるレベルホールド回路LHが接続される。出力を保持
している間の貫通電流を小さくするため、トランジスタ
MN3,MN4,MP3,MP4のしきい値電圧を十分
大きくし、チャネル幅/チャネル長を十分小さくする。
電源電圧としきい値電圧の数値例を挙げる。VLLを接
地電位0Vとし、VHHを外部電源電圧1Vとする。N
MOSトランジスタのしきい値電圧は、MN2は0.2
V,MN1とMN3及びMN4は0.4Vとする。PM
OSトランジスタのしきい値電圧は、MP2は−0.2
V,MP1とMP3及びMP4は−0.4Vとする。
【0062】図31に示すタイミング図を用いて、動作
を説明する。まず、制御パルスCKをVHHに上げ、C
KBをVLLに下げて、トランジスタMN1,MP1を
オンにして、インバータINVをVHH,VLLに接続
する。入力信号INがVLLからVHHに上がることに
より、MP2がオフにMN2がオンになり、出力OUT
がVHHからVLLに放電される。トランジスタMN2
は飽和領域で導通を始め、MN2を流れる電流値はゲー
ト(入力端子IN)−ソース(ノードNL)間の電圧で
定まる。トランジスタMN1がノードNLとVLLとの
間に設けられているので、MN1のオン抵抗とMN2か
ら流れる電流によりノードNLの電位が一時的に上昇す
る。しかし、MN1のゲートはVHHとなっているの
で、しきい値電圧が大きくても、オン抵抗が十分小さく
なるように設計することができ、遅延時間に対する影響
を小さくできる。また、出力OUTがVLLに反転する
とき、レベルホールド回路LHは出力OUTをVHHに
保つように、MN4がオフにMP4がオンになってい
る。そのため、MN2がオンになることによりVHHか
らMP4,MN2を通じてVLLに貫通電流が流れる
が、MN2に比べてMP4の駆動能力を小さく設計する
ことにより、遅延時間や消費電流に対する影響は小さ
い。出力OUTが下がることにより、MN3がオフにM
P3がオンになり、レベルホールド回路内のノードNL
HがVLLからVHHに反転し、MN4がオンにMP4
がオフになって、レベルホールド回路LHは出力OUT
をVLLに保つように動作し、貫通電流は流れなくな
る。MP2はゲート,ソースが共にVHHなのでオフで
あるが、しきい値電圧が小さいため、リーク電流が大き
く貫通電流がインバータINVを通じて流れる。そし
て、制御パルスCKをVLLに下げ、CKBをVHHに
上げて、トランジスタMN1,MP1をオフにして、イ
ンバータINVをVHH,VLLから分離する。このと
き、MN1,MP1はゲート,ソースが等電位で、しき
い値電圧が大きいため完全にオフになる。レベルホール
ド回路LHの正帰還により、出力OUTはVHHに保た
れる。このとき、NMOSトランジスタMN2がオンな
ので、ノードNLはVLLに保たれる。一方、ノードN
Hから出力端子OUTへのPMOSトランジスタMP2
のリーク電流のため、ノードNHの電圧は低下し始め
る。そして、MP2はゲート電位よりもソース電位が下
がり完全にオフとなる。その結果、待機状態でインバー
タINVの貫通電流は流れない。そして、入力信号IN
が変化する前に、制御パルスCKをVHHに上げ、CK
BをVLLに下げて、トランジスタMN1,MP1をオ
ンにして、ノードNHをVHHにする。入力INがVH
HからVLLに反転することにより、出力OUTがVL
LからVHHに反転する。インバータINVとレベルホ
ールド回路LHを通じて貫通電流が流れる期間が短くな
るように、レベルホールド回路LHが出力OUTにすば
やく追従するのが望ましい。そのため、インバータIN
Vとレベルホールド回路LHは近接して配置し、配線遅
延を小さくする。本参考例から明らかなように、スイッ
チとして用いるMOSトランジスタのしきい値電圧を、
従来サブスレッショルド電流を小さくするために必要と
されている0.4V程度以上にすれば、待機状態の貫通
電流を増加させずに、論理回路中のMOSトランジスタ
のしきい値電圧を小さくすることができる。動作電圧を
1V以下に低電圧化しても、MOSトランジスタのしき
い値電圧を0.25V以下にして駆動能力を確保でき
る。したがって、低電圧化による低消費電力化が実現で
きる。また、従来のスケーリング則に基づき、素子のス
ケーリングによる性能向上が実現できる。しかも、スイ
ッチとレベルホールド回路を負荷すること以外は、従来
のCMOS論理回路と同じ構成であるので、従来と同じ
設計手法を用いることができる。
【0063】図32は、上記方式をCMOSインバータ
チェーンに適用した参考例を示している。図30に示し
た1段のインバータにスイッチ2個とレベルホールド回
路も設けた構成を多段接続すればインバータチェーンが
実現できるが、本参考例はスイッチやレベルホールド回
路を複数のインバータで共有して、素子数及び面積を小
さくした例である。ここでは4段のインバータチェーン
の場合を例にとるが、他の段数の場合も同様に構成され
る。4個のインバータINV1,INV2,INV3,
INV4が直列接続される。最終段のインバータINV
4の出力端子OUTにレベルホールド回路LHが接続さ
れる。各インバータは、図30中のINVと同様にPM
OSトランジスタとNMOSトランジスタ1個ずつで構
成される。各インバータのトランジスタサイズは、同じ
であっても異なっていても良い。ドライバとしてよく用
いられるように、チャネル長を同じにして、一定の段間
でチャネル幅をINV1,INV2,INV3,INV
4の順に大きくしていくこともできる。各インバータの
PMOSトランジスタのソースはノードNHに、NMO
SトランジスタのソースはノードNLに接続される。ノ
ードNLと低レベルの電源VLLとの間にスイッチSW
Lが、ノードNHと高レベルの電源VHHとの間にスイ
ッチSWHが設けられる。スイッチSWLとSWHは制
御パルスCKにより制御され、同時にオン,オフする。
図30に示したように、スイッチSWLはNMOSトラ
ンジスタで、SWHはCKの相補信号をゲートに入力し
たPMOSトランジスタで実現される。インバータチェ
ーンの動作は、スイッチSWL,SWHをオンにして行
う。例えば、入力INが低レベルVLLから高レベルV
HHに反転すると、インバータINV1によりノードN
1がVHHからVLLに反転し、INV2によりノード
N2がVLLからVHHに反転し、INV3によりノー
ドN3がVHHからVLLに反転し、INV4により出
力端子OUTがVLLからVHHに反転する。OUTが
VHHに確定すると、レベルホールド回路LHはOUT
をVHHに保つように動作する。待機状態では、スイッ
チSWL,SWHをオフにすることにより、インバータ
を介したVHHからVLLへの電流経路を遮断する。イ
ンバータチェーンに上記方式を適用する場合、本参考例
の様にインバータチェーンをまとめて一つの論理回路と
して取扱うことにより、その出力端子にのみレベルホー
ルド回路を設ければ良い。また、スイッチSWL,SW
Hを複数のインバータで共有できる。スイッチSWL、
SWHの大きさは、流れるピーク電流の大きさで決定さ
れる。複数個のインバータを流れる電流和のピークは、
各インバータのピーク電流での和よりも小さくなる。例
えば、段間比を3としてインバータチェーンを構成する
場合、電流和のピークは最終段のピーク電流にほぼ同じ
になる。したがって、複数のインバータでスイッチを共
有する方が、インバータごとにスイッチを設ける場合に
比べて、スイッチの面積が小さくて済む。
【0064】図33は、上記方式をインバータチェーン
に適用した別の参考例を示している。図32と同様に4
段のインバータチェーンの場合を例にとるが、他の段数
の場合も同様に構成される。4個のインバータINV
1,INV2,INV3,INV4が直列接続される。
インバータINV3の出力端子でINV4の入力端子で
あるノードN3とINV4の出力端子OUTに、それぞ
れレベルホールド回路LH3,LH4が接続される。各
インバータは、図30中のINVと同様にPMOSトラ
ンジスタとNMOSトランジスタ1個ずつで構成され
る。奇数番目のインバータINV1,INV3はノード
NL1及びNH1に、偶数番目のインバータINV2,
INV4はノードNL2及びNH2に接続される。ノー
ドNL1,NL2と低レベルの電源VLLとの間にそれ
ぞれスイッチSWL1,SWL2が、ノードNH1,N
H2と高レベルの電源VHHとの間にそれぞれスイッチ
SWH1,SWH2が設けられる。スイッチSWL1,
SWL2とSWH1,SWH2は制御パルスCKにより
制御され、同時にオン,オフする。インバータの動作
は、スイッチSWL1,SWL2,SWH1,SWH2
をオンにして行う。例えば、入力INが低レベルVLL
から高レベルVHHに反転すると、ノードN1がVHH
からVLLに、ノードN2がVLLからVHHに、ノー
ドN3がVHHからVLLに、INV4により出力端子
OUTがVLLからVHHに順次反転する。N3がVL
Lに確定すると、レベルホールド回路LH1はN3をV
LLに保つように動作する。また、OUTがVHHに確
定すると、レベルホールド回路LHはOUTをVHHに
保つように動作する。たとえば待機状態では、スイッチ
SWL1,SWL2,SWH1,SWH2をオフにする
ことにより、インバータを介したVHHからVLLへの
電流経路を遮断する。このとき、ノードN3がレベルホ
ールド回路LH3により低レベルVLLに保たれるた
め、ノードNL1もインバータINV3を通じてVLL
に保たれる。さらに、インバータINV1を通じてノー
ドN1がVLLに保たれる。同様に、出力端子OUTが
レベルホールド回路LH4により高レベルVHHに保た
れることにより、ノードNH2及びN2もVHHに保た
れる。したがって、インバータ間を接続するノードがV
HHとVLLのいずれかに保たれる。以上のように、ス
イッチを2組設け、奇数番目のインバータと偶数番目の
インバータとを違うスイッチに接続し、奇数番目のイン
バータのいずれかの出力端子と偶数番目のインバータの
いずれかの出力端子とに、それぞれレベルホールド回路
を接続することにより、インバータ間のノードN1,N
2,N3が全て高レベルと低レベルのいずれかに保たれ
る。待機状態が長く続いてもインバータの入力が中間レ
ベルとならないため安定に動作し、スイッチをオンにし
たときに情報が反転したり貫通電流が流れたりする恐れ
がない。以上上記方式を、CMOSインバータやインバ
ータチェーンに適用した参考例を示しながら説明してき
たが、論理回路にスイッチとレベルホールド回路を負荷
して低消費電力で高速に安定動作を行うという上記方式
の趣旨を逸脱しないかぎり、これまでに述べた参考例に
限定されるものではない。
【0065】例えば、上記方式をCMOSインバータに
適用した別の参考例を図34に示す。図30に示した参
考例では、スイッチとして動作するトランジスタMN
1,MP2をCMOSインバータINVと電源VLL,
VHHとの間に設けている。それに対して、本参考例で
はNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとの間
に設ける。2個のNMOSトランジスタMN2,MN1
と2個のPMOSトランジスタMP1,MP2が直列
に、低レベルの電源VLLと高レベルの電源VHHの間
に接続される。NMOSトランジスタMN1,PMOS
トランジスタMP1は、スイッチとして動作する。オフ
にしたときのリーク電流を小さくするため、トランジス
タMN1,MP1のしきい値電圧は大きくする。NMO
SトランジスタMN1のゲートには制御パルスCKが、
PMOSトランジスタMP1のゲートにはCKの相補信
号の制御パルスCKBが入力される。NMOSトランジ
スタMN2とPMOSトランジスタMP2は、ゲートが
入力端子INに接続され、CMOSインバータとして動
作する。低電圧動作で駆動能力を大きくするため、トラ
ンジスタMN1,MP1のしきい値電圧は小さくする。
出力端子OUTには、図30と同様に構成されたレベル
ホールド回路LHが接続される。図30に示した参考例
と同様に、動作を行う。制御パルスCK,CKBによ
り、トランジスタMN1,MP1をオンにして、トラン
ジスタMN2,MP2をCMOSインバータとして動作
させる。例えば、入力INが低レベルVLLから高レベ
ルVHHに反転すると、それまでオフであったトランジ
スタMN2が導通し始め飽和領域で動作する。このとき
MN2の電流値はゲート−ソース間の電圧で定まる。本
参考例では、トランジスタMN1がMN2と出力端子O
UTとの間に設けられているので、MN1のオン抵抗は
MN2のドレインに接続される。そのため、MN1のオ
ン抵抗の、MN2の電流値に対する影響は小さい。出力
OUTが確定後、トランジスタMN1,MP1をオフに
して、貫通電流を防止し、レベルホールド回路LHによ
り出力OUTを維持する。本参考例のようにスイッチを
論理回路の出力端子側に挿入すると、スイッチを複数の
論理ゲートで共有することは出来ないが、スイッチのオ
ン抵抗の影響が小さい。スイッチとして用いるトランジ
スタが同じ場合、図30に示した参考例の様にスイッチ
を論理回路の電源側に設ける場合に比べて、遅延時間が
短くなる。あるいは、遅延時間が同じになるように設計
すると、スイッチとして用いるトランジスタのチャネル
幅/チャネル長が小さくて済み、その面積を小さくでき
る。
【0066】図35は、レベルホールド回路の別な構成
例である。このレベルホールド回路を、図30に示した
参考例でNMOSトランジスタMN3,MN4とPMO
SトランジスタMP3,MP4で構成されているレベル
ホールド回路LHと置き換えて、用いた場合について説
明する。このレベルホールド回路は、それぞれ3個のN
MOSトランジスタMN3,MN4,MN5とPMOS
トランジスタMP3,MP4,MP5で構成される。待
機状態でのリーク電流を低減するため、各トランジスタ
のしきい値電圧は大きくする。例えば、NMOSトラン
ジスタは0.4V,PMOSトランジスタは−0.4V
とする。MN3,MP3はインバータを構成しており、
MN4,MN5,MP4,MP5はスイッチングインバ
ータを構成している。MN5のゲートには制御パルスC
KBが、MP5のゲートには制御パルスCKが入力され
る。動作タイミングは、図30に示したレベルホールド
回路LHを用いた場合と同じで、図31に示したとおり
である。制御パルスCKを高レベルVHHに上げ、CK
Bを低レベルVLLに下げてインバータINVを動作さ
せる。この時、レベルホールド回路で、トランジスタM
N5,MP5がオフとなる。そのため、出力OUTが反
転するときに、インバータINVとレベルホールド回路
を通じて貫通電流が流れることがなく、遅延時間と消費
電流が小さくて済む。待機状態では、制御パルスCKを
低レベルVLLに下げ、CKBを高レベルVHHに上げ
てインバータINVを電源VLL,VHHから切り離
す。この時、レベルホールド回路で、トランジスタMN
5,MP5がオンとなり、正帰還により出力OUTが保
持される。
【0067】このように、レベルホールド回路をインバ
ータとスイッチングインバータの組合せで構成すること
により、トランジスタが2個増えるが、論理回路とレベ
ルホールド回路が競合することが無くなり、遅延時間と
消費電流が小さくて済む。また、レベルホールド回路の
駆動能力を大きくしてもよく、出力端子でのリークが大
きい場合でも出力が変動する恐れがなく安定動作ができ
る。最近の3.3Vから5Vで動作するマイクロプロセ
ッサでは、前述したように低電力化するために、低電力
バックアップモード(スリープモード)などでは不必要
な回路へのクロックの印加を停止させ充放電電流を低減
したりしている。本参考例では、図42に示すように、
スリープモードの間クロックCK1t,CK2tをとも
に低レベルにすることにより、トランジスタMP11及
びMN11,MP12及びMN12がいずれもオフにな
り、論理回路LC1,LC2の両方の貫通電流が遮断さ
れる。そのため、スリープモードでは動作モードより
も、サブスレッショルド電流を低減する効果がさらに大
きい。図29〜図35の参考例では、一つのタイミング
信号CK(CKB)によって電源スイッチを制御してい
たが、LSI内に複数の回路ブロックがある場合はそれ
ぞれの電源スイッチを別々のタイミングで制御すること
によりサブスレッショルド電流をさらに減じることがで
きる。本発明の実施例としてこの方法を図36〜図39
に示す。なお、以下の手法ではサブスレッショルド電流
低減のみではなく一般の非過渡動作時の電流低減にも用
いることができる。
【0068】実施例1 図36は本発明の第1の実施例である複数の回路ブロッ
クの電源スイッチの制御例を示す例である。INはこの
LSIチップに入力する信号を代表させて示したもの
で、動作期間ではこのINの信号によって、LG1,L
G2,LG3と続く論理回路ブロックが次々と動作して
いく。各論理回路ブロックは図29〜図35で説明した
ように、論理回路LCとレベルホールド回路LHとから
なる。SWH1〜SWH3はVCCとLG1,LG2,
LG3との間に挿入した電源スイッチであり、SWL1
〜SWL3はVSSとLG1,LG2,LG3との間に
挿入した電源スイッチである。図36の特長は、LG1
の電源スイッチSWH1,SWL1の制御はスリープモ
ード/通常動作モード切り換え信号SLPで行うが、後
段のLG2,LG3以降は、前段の動作を感知する手段
KH1〜KH3によって電源スイッチSWH2〜SWL
3の制御を行うことにある。また、図面には示していな
いが後段の動作を検知し各論理回路ブロックの電源スイ
ッチをオフしたり、タイマを備え一定の時間後に自動的
に電源スイッチをオフする手段を設けてもよい。電源ス
イッチをオフしても各論理回路ブロック内のレベルホー
ルド回路によって情報は保持される。各論理回路ブロッ
クの電源スイッチは、論理回路ブロックが動作する時に
初めてオンになるので、LSI全体のサブスレッショル
ド電流は小さくなる。また、スリープモードから通常動
作モードへの移行は初段のみリセット(セット)すれば
良いため短い時間で済む。なお、図ではLG1において
KH1はLCの出力の変化を検知する例を示したが、L
Cの内部ノードの変化を検知しても良い。また、KH1
で次段のLG2の電源スイッチを活性化するだけでな
く、さらに後段のLG3の電源スイッチを活性化しても
良い。
【0069】図36の動作例を図37に示す。SLPが
高レベルの時スリープモードであり、低レベルの時が動
作モードである例である。さて、時刻t1でSLPが高
レベルから低レベルに切り替わり、スリープ状態から通
常動作状態に切り替わる。これによって、初段のLG1
の電源スイッチSWH1,SWL1がオンになる。次
に、時刻t2でINが変化しLG1が動作する。この時
間t2−t1は、前述のようにSWH1,SWL1をオ
ンするのみで良いので短くて済む。なお、このSWH
1,SWL1はSLPが低レベルの間は常に活性化して
いる。一方、その他の電源スイッチは信号の流れに沿っ
て対応する回路ブロックのものがオンになる。すなわ
ち、時刻t3でLG1の出力φG1が切り替わり、これ
をKH1が検知してφ1を切り替え、次段のLG2の電
源スイッチSWH2,SWL2をオンにする。これによ
って、LG2が動作し、時刻t4でその出力φG2が切
り替わる。また、KH2がこの変化を検知しφ2を切り
替え、LG3の電源スイッチSWH3,SWL3をオン
する。これによってLG3が動作する。ここで、時刻t
4でφG2が切り替わり後段のLG3が動作し始めれ
ば、LG2はその出力レベルを保持しておきさえすれば
良い。このため、時刻t5で再びφ1を切り替え、電源
スイッチをオフすることができる。この時刻t5の検知
は前述のように後段の回路の出力からフィードバックし
ても良いし、タイマを設けても良い。以下、同様な動作
を行う。
【0070】実施例2 図38は本発明の第2の実施例であるクロックに同期し
て動作するLSIにおける電源スイッチの制御例を示す
図である。この例では、注目するLSIチップはクロッ
ク信号CLKに同期して動作し、しかもnサイクル(こ
こではn=4)のクロックによって、このLSIの一回
の動作が完了する場合である。チップ内では、CLKに
同期して入力INを受けて回路ブロックLG1〜LG4
が順に動作する。各回路ブロックは、前参考例同様に論
理回路とレベルホールド回路からなる。この例の特長は
CLKを用いて、電源線スイッチ制御回路SVで電源線
スイッチSWH1〜SWL4を制御し、サブスレッショ
ルド電流を小さく抑えることにある。各回路ブロックは
nサイクルのうちの1サイクルのみ動作するから、チッ
プ内部の信号の流れに沿って電源線スイッチを順次オン
し、またオフすれば良い。これによって、電源スイッチ
が活性化している回路ブロックはおよそn分の1に抑え
ることができる。
【0071】図38の動作例を図39に示す。CLKの
4クロック分でLSIチップの1サイクルが動作する例
である。1サイクル目のCLKの立ち下がりを受けて、
その時のINの信号を取り込み、φ1が切り替わりSW
H1,SWL1がオンになり、LG1が動作する。この
LG1の出力φG1が切り替わる前後に(図では少し
前)、次のCLKの立ち下がりを受けてφ2が切り替わ
り、SWH2,SWL2がオンになりLG2が動作可能
となる。φG1が切り替わり、LG2の動作が開始する
とLG1では出力レベルを保持しさえすれば良い。この
ため、適当なタイミング(ここでは次のCLKの立ち上
がり)によってSWH1,SWL1をオフし、LG1内
のレベルホールド回路によって信号を保持しておく。以
下、φ4まで示したように電源スイッチの制御を行う。
これによって、LSIチップ内の各回路ブロックでは、
その電源線スイッチをCLKによってこまめにオンオフ
できるので、サブスレッショルド電流を含めた消費電流
の小さな動作とすることができる。
【0072】マイクロプロセッサのようなランダムロジ
ックLSIなどにおいては、内部のレジスタの出力を固
定したり、リセット機能付きフリップフロップ回路など
の論理を追加して、問題となるノードの電圧を強制的に
固定することも有効である。図40に、出力を固定でき
るラッチ回路の構成例を示す。この回路は、通常のラッ
チ回路中のインバータをNAND回路で置き換えただけ
の簡単な構成である。図41に示すように、φSが高レ
ベルの間は通常のラッチ回路とし動作し、φSが低レベ
ルの間(スリープモード)は出力信号Qのレベルを高レ
ベルに確定させる。ここで、スリープモードとは、消費
電流低減のために、LSI全体もしくは回路ブロック単
位の動作を停止させるモードである。なお、スリープモ
ードの間、φtを低レベル,φbを高レベルにしておけ
ば、ラッチ回路自身のサブスレッショルド電流も低減で
きる。このラッチ回路を用いた場合、φSが低レベルに
なることによりノードN41が強制的に高レベルになるた
め、スリープモードによりレジスタの情報が消去され
る。しかし、CPU中の必要な情報を主記憶へ退避して
おき、スリープモード後にリセット状態から再開するよ
うな使い方、例えばノートパソコンで入力が一定時間無
いときに待機状態にするレジューム機能などでは問題な
い。図42は出力を強制的に固定できるラッチ回路の別
な構成例である。図43に示すように、この回路も、φ
Sが高レベルの間は通常のラッチ回路とし動作し、φS
低レベルの間は出力信号Qのレベルを高レベルに確定さ
せる。このラッチ回路は、φSが低レベルになってもノ
ードN41に影響しないため、スリープモードの間も情報
を保持できる。スリープモード解除後にスリープモード
前の状態からそのまま再開でき、CPUがタスクを実行
している間でもスリープモードにできる。そのため、ス
リープモードから比較的短時間で復帰するような場合に
好適である。尚、ランダムロジックLSIのように複雑
な動作をするLSI等においては、例えば待機状態での
チップ内部の各ノードの論理(電圧)状態をデザインオ
ートメーション(DA)の手法を用いて求め、その結果
に応じて、DAで上述したスイッチと抵抗を挿入する位
置を自動的に決めることができる。図18〜図27の参
考例は、入力信号が特定のレベルにあることを前提とし
ている。入力レベルが意図したレベルとは異なる場合
は、サブスレッショルド電流低減効果が小さくなる。し
たがって、例えば電源投入時においては、入力信号レベ
ルが確定せず、大きなサブスレッショルド電流が流れる
可能性がある。これを防ぐためには、本発明の実施例と
して図44より図48に示すように電源線にスイッチを
入れることが望ましい。
【0073】実施例3 図44は、本発明の第3の実施例である電源線スイッチ
の第1の制御例を示す図である。K1は、例えば図18
〜図27に示した論理ゲート群である。電源線スイッチ
SCCは制御回路SVによって制御される。この回路中
には、外部印加電源VCCのレベルを検知するレベル検
知回路LD1と、外部入力信号INのレベルを検知する
レベル検知回路LD2があり、これらの回路はそれぞれ
出力信号φVC及びφSBを発生する。LLは、φVC
及びφSBを受けて、スイッチ制御信号φ1を発生する
論理回路である。すなわち、VCCの立ち上がり時に
は、VCCが所定のレベルに達し、かつ入力信号INが
特定のレベル(K1のサブスレッショルド電流を小さく
するレベル)になったことを検出してスイッチSCCを
オンし、VCCの立ち下がり時には、VCCのレベル低
下を検出してスイッチをオフする。
【0074】図44のLSIの動作例を図45に示す。
電源VCCが投入されると電位が上昇するが、これが例
えばVCαに達すると、LD1が動作し、この例では出
力信号φVCを低レベルから高レベルに切り替える。次
に入力信号INがK1のサブスレッショルド電流低減効
果が大きい特定の信号レベル(ここでは高レベル)にな
ると、この図の例ではそのレベルがVCβ以上になる
と、LD2の出力φSBが切り替わる。これによりφ1
が切り替わり電源スイッチがオンするので、内部電源V
C1が立ち上がる。逆にINがVCCよりも先に立ち上
がった場合は、まず、INがVCβ以上になるとLD2
の出力φSBが切り替わり、この後VCCがVCαに達
すると、LD1が動作し、φVCを低レベルから高レベ
ルに切り替える。これによりφ1が切り替わり電源スイ
ッチがオンし、内部電源VC1が立ち上がる。いずれの
場合も、INのレベルが確定した後にスイッチがオンに
なるので、大きなサブスレッショルド電流が流れること
はない。LLは、VCCがVCα以上になった後でIN
が変化しそれによってφSBが変化してもφ1は変化し
ないように構成する。内部電源VC1は外部電源VCC
が立ち下がることによって立ち下がる。なお、スイッチ
はこの図の例ではVCC側に入れてあるが、VSS側に
入れても良い。また、複数の電源が印加される場合もあ
るが、その場合はそのうちの少なくともひとつの電源に
対してレベル検知回路を設ければ良い。
【0075】実施例4 図46は、本発明の第4の実施例である電源線スイッチ
の第2の制御例を示す図である。この実施例の特徴は、
論理ゲート群K1の入力信号レベルを確定させるための
回路LK1(ここではNORゲート)が設けられたこと
である。この回路により、電源立ち上がり時には、K1
の入力信号IN’のレベルがK1のサブスレッショルド
電流を小さくするレベル(ここでは低レベル)に固定さ
れる。図47に動作例を示す。電源VCCが投入され所
定の電位レベルVCαとなると、LD1がこれを検知
し、信号φVCをこの例では低レベルから高レベルに切
り替える。これによって、ワンショット発生回路OSH
によってφK1にワンショットパルスが発生する。この
φK1が高レベルになることにより、K1の入力信号I
N’は外部からの入力信号INのレベルにかかわらず、
低レベルになる。並行して、遅延回路DLYによってφ
VCからφVC’が発生され、スイッチSCCがオンに
なり、内部電源VC1が立ち上がりK1へ電流が供給さ
れる。すでに上述のLK1によってIN’はK1のサブ
スレッショルド電流を小さくするレベルとなっている。
こうすれば、電源投入時に内部の電位が確定せずに大電
流が流れるということは無い。VCCが立ち下がると、
これによって内部電源VC1も立ち下がる。図46で
は、レベル検知回路はVCCに対するもののみを示して
いるが、図44に示したように入力信号INに対するも
のや他の電源に対するものを設けても良い。また、スイ
ッチはこの図の例ではVCC側に入れてあるが、VSS
側に入れても良い。
【0076】実施例5 図48は本発明の第5の実施例である電源線スイッチの
第3の制御例を示す図である。図44〜図47の実施例
では、電源線スイッチ制御回路SVは外部電源VCCを
入力とし、またこれを回路の電源として用い、このレベ
ルを検知する構成としていた。しかし、本実施例ではL
SIボード上に、外部電源電源VCC以外に電池を設
け、この電池からSVへ電源VCTを供給している。電
池は、例えばボード上に1個だけ設け、これを複数個の
チップで共用すれば良い。この様な構成とすると、電源
VCCを入れていない時でも、レベル検知回路が動作し
ているので、本来の電源VCCの変化を監視することが
容易にできる。各LSIチップは図44又は図46と同
様の構成とすればよい。ただし、電池からの電流で電源
線スイッチ制御回路SVを常に活性化しておき、外部電
源電源VCCの変化を監視するようにする。本構成を用
いれば、前に説明した電源投入時の過大なサブスレッシ
ョルド電流を防止することが容易にできる。なお、図4
4では常に一定電圧が得られる電池を用いたが、最初に
レベルが確定することが決まっている電源が用意されて
いればこれを電池の代わりに用いることができる。
【0077】以上説明したように、本発明は、MOSト
ランジスタ回路およびそれで構成された半導体集積回路
の低消費電力化にきわめて有効である。半導体集積回路
の低消費電力化に対する要求は、最近特に強く、例えば
日経エレクトロニクス1991年9月2日号、第106
頁から第111頁には、低電力バックアップモードを有
するマイクロプロセッサシステムについて記載されてい
る。バックアップモードでは、クロックを停止させた
り、不要な部分への電源の供給を停止したりして、低消
費電力化を図っている。しかし、サブスレッショルド電
流の低減についてまでは考慮されていない。これらのプ
ロセッサシステムは3.3〜5Vで動作するために、十
分に高いしきい電圧のトランジスタが使えるので、サブ
スレッショルド電流は問題にならないほど小さい。しか
し、将来動作電圧が2Vあるいは1.5Vと低くなり、
しきい電圧も低くせざるを得なくなると、従来のCMO
S回路を使うやり方ではもはや過大なサブスレッショル
ド電流は低減できなくなる。本発明を、例えばレジュー
ム用回路(バックアップモードでも電源が供給されてい
る)に適用すれば、さらに低消費電力化が実現できる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高速・低消費電力のMOSトランジスタ回路、およびそ
れで構成された半導体集積回路が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1のインバータを示す図であ
る。
【図2】本発明によるサブスレッショルド電流低減の原
理を示す図である。
【図3】本発明によるサブスレッショルド電流低減効果
を示す図である。
【図4】本発明の参考例2のインバータの回路図であ
る。
【図5】本発明の信号のタイミングを示す図である。
【図6】本発明のデバイス構造を示す図である。
【図7】本発明の参考例3のインバータの回路図であ
る。
【図8】本発明の参考例4のインバータの回路図であ
る。
【図9】本発明のデバイス構造を示す図である。
【図10】本発明の参考例5のインバータ列を示す図で
ある。
【図11】本発明の参考例6のインバータ列を示す図で
ある。
【図12】本発明の参考例7のインバータ列を示す図で
ある。
【図13】本発明が適用される組合せ論理回路のグルー
プ分けの例を示す図である。
【図14】本発明の参考例8の組合せ論理回路を示す図
である。
【図15】本発明の参考例9の組合せ論理回路を示す図
である。
【図16】本発明の参考例10のラッチを示す図であ
る。
【図17】本発明の参考例11のラッチの回路図であ
る。
【図18】本発明の参考例12のインバータ列の回路図
である。
【図19】本発明の参考例13のインバータ列の回路図
である。
【図20】本発明の参考例14のNANDゲートの回路
図である。
【図21】本発明の参考例15のNORゲートの回路図
である。
【図22】本発明の参考例16のクロックインバータの
回路図である。
【図23】本発明の参考例17の組合せ論理回路の回路
図である。
【図24】本発明の参考例17の組合せ論理回路のレイ
アウト配置例である。
【図25】本発明の参考例18のラッチの回路図であ
る。
【図26】本発明の参考例19の出力バッファの回路図
である。
【図27】本発明の参考例20の入力バッファの回路図
である。
【図28】本発明の参考例21のNMOSダイナミック
回路の回路図である。
【図29】概念的参考例を示す図である。
【図30】CMOSインバータに適用した参考例の回路
図である。
【図31】CMOSインバータに適用した参考例の動作
タイミング図である。
【図32】インバータチェインに適用した参考例を示す
図である。
【図33】インバータチェインに適用した別の参考例を
示す図である。
【図34】CMOSインバータに適用した別の参考例を
示す図である。
【図35】レベルホールド回路の別の構成例の回路図で
ある。
【図36】本発明の第1の実施例による複数の回路ブロ
ックの電源スイッチ制御例を示す図である。
【図37】図36の動作例を示す図である。
【図38】本発明の第2の実施例によるクロック同期式
動作での電源スイッチ制御例を示す図である。
【図39】図38の動作例を示す図である。
【図40】出力を固定できるラッチ回路の回路図であ
る。
【図41】制御クロックの動作タイミング図である。
【図42】出力を固定できる別なラッチ回路の回路図で
ある。
【図43】制御クロックの動作タイミング図である。
【図44】本発明の第3の実施例による電源線スイッチ
の第1の制御例を示す図である。
【図45】図44の例の動作例を示す図である。
【図46】本発明の第4の実施例による電源線スイッチ
の第2の制御例を示す図である。
【図47】図46の例の動作例を示す図である。
【図48】本発明の第5の実施例による電源線スイッチ
の第3の制御例を示す図である。
【図49】従来のCMOSインバータの回路図である。
【図50】MOSトランジスタのサブスレッショルド特
性を示す図である。
【符号の説明】
L、L1〜Lk……論理ゲート、G1〜Gk……論理ゲート
群、SC、SC1〜SCk、SS、SS1〜SSk……スイッチ、
C、RC1〜RCk、RS、RS1〜RSk……抵抗。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H03K 19/00 (72)発明者 堀口 真志 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 栗原 良一 神奈川県海老名市下今泉810番地 株式会 社日立製作所オフィスシステム事業部内 (72)発明者 伊藤 清男 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 青木 正和 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 阪田 健 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5F038 AV06 AV13 CA02 CA03 CD16 DF05 DF08 DF17 EZ20 5J056 AA03 BB17 CC03 DD13 DD29 EE04 EE11 FF01 FF08 FF09 FF10 HH03 KK02 5M024 AA06 AA50 BB07 BB08 BB37 CC22 DD62 DD63 FF06 FF30 HH09 PP01 PP02 PP03 PP05 PP07 PP09 PP10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1配線と、 上記第1配線にソース・ドレイン経路が接続され、上記
    第1配線により動作電位が供給される複数のMOSトラン
    ジスタを有する第1回路ブロックと、 第2配線と、 上記第2配線にソース・ドレイン経路が接続され、上記
    第2配線により動作電位が供給される複数のMOSトラン
    ジスタを有する第2回路ブロックとを有し、 上記複数のMOSトランジスタのソース・ドレイン経路に
    は各MOSトランジスタのゲート・ソース間の電圧が0Vの
    ときにもリーク電流が流れ、 上記第1配線は第1MOSFETのソース・ドレイン経
    路を介して第3配線に接続され、 上記第2配線は第2MOSFETのソース・ドレイン経
    路を介して上記第3配線に接続され、 上記第1MOSFETは第1制御信号を受け、該第1制御信号
    が第1状態のとき上記第1配線に流れる電流を第1電流
    値まで少なくなるように制限し、 上記第2MOSFETは第2制御信号を受け、該第2制御信号
    が第1状態のとき上記第2配線に流れる電流を第2電流
    値まで少なくなるように制限し、 上記第3配線は第1方向に延在し、上記第1配線は上記
    第1方向と交わる第2方向に延在するように配置され、 上記第2配線は上記第2方向に延在するように配置され
    ることを特徴とする半導体集積回路。
  2. 【請求項2】上記第2方向は上記第1方向に対して垂直
    であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回
    路。
  3. 【請求項3】上記第1配線は第2方向上にある第1電位
    点より更に第1方向に延在することを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載の半導体集積回路。
  4. 【請求項4】第1配線、第2配線、第3配線、第4配
    線、第5配線、第6配線と、 第1回路ブロック、第2回路ブロック、第3回路ブロッ
    ク、第4回路ブロックとを有し、 上記第1配線は、上記第3配線により上記第1回路ブロ
    ックに動作電圧を供給し、上記第1配線と上記第3配線
    は第1MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接
    続され、 上記第1配線は、上記第4配線により上記第2回路ブロ
    ックに動作電圧を供給し、上記第1配線と上記第4配線
    は第2MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接
    続され、 上記第1回路ブロックは上記第3配線とソース・ドレイ
    ン経路が接続された第3MOSFETを有し、 上記第3MOSFETのソース・ドレイン経路には上記
    第3MOSFETのゲートとソースの電位差がOVであるときも
    貫通電流が流れ、 上記第1MOSFETはゲートに第1制御信号を受け、上記第
    1制御信号により上記第3MOSFETのソース・ドレイン経
    路に流れる上記貫通電流は制御され、 上記第2回路ブロックは上記第4配線とソース・ドレイ
    ン経路が接続された第4MOSFETを有し、 上記第4MOSFETのソース・ドレイン経路には上記
    第4MOSFETのゲートとソースの電位差がOVでも貫通電通
    が流れ、 上記第2MOSFETはゲートに第2制御信号を受け、上記第
    2制御信号により上記第4MOSFETに流れる上記貫通電流
    を小さくなるように制御し、 上記第2配線は、上記第5配線により上記第3回路ブロ
    ックに動作電圧を供給し、上記第2配線と上記第5配線
    は第5MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接
    続され、 上記第2配線は、上記第6配線により上記第4回路ブロ
    ックに動作電圧を供給し、上記第2配線と上記第6配線
    は第6MOSFETのソース・ドレイン経路を介して接
    続され、 上記第3回路ブロックは上記第5配線とソース・ドレイ
    ン経路が接続された第7MOSFETを有し、 上記第7MOSFETのソース・ドレイン経路には上記
    第7MOSFETのゲートとソースの電位差がOVでも貫通電流
    が流れ、 上記第5MOSFETはゲートに制御信号を受け、制御信号の
    状態により上記第7MOSFETに流れる貫通電流を小さくな
    るように制御し、 上記第4回路ブロックは上記第6配線とソース・ドレイ
    ン経路が接続された第8MOSFETを有し、 上記第8MOSFETのソース・ドレイン経路には上記
    第8MOSFETのゲートとソースの電位差がOVでも貫通電通
    が流れ、 上記第6MOSFETはゲートに制御信号を受け、制御信号の
    状態により上記第8MOSFETに流れる貫通電流を小さくな
    るように制御し、 上記第1配線と上記第2配線とは第1方向に延在し、 上記第3配線、上記第4配線、上記第5配線と上記第6
    配線とは第2方向に延在し、 上記第2方向は上記第1方向と交わることを特徴とする
    半導体集積回路。
  5. 【請求項5】上記第1方向と上記第2方向は垂直に交わ
    ることを特徴とする請求項4記載の半導体集積回路。
  6. 【請求項6】上記第3配線は上記第2方向上の第1電位
    点より更に第1方向に延在し、 上記第5配線は上記第2方向上の第2電位点より更に第
    1方向に延在することを特徴とする請求項4乃至請求項
    5のいずれかに記載の半導体集積回路。
  7. 【請求項7】上記第1回路ブロック、上記第2回路ブロ
    ックはデコーダであり、上記第3回路ブロックと上記第
    4回路ブロックはワードドライバであり、ワードドライ
    バにより選択されるメモリセルはDRAMであることを
    特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の半
    導体集積回路。
  8. 【請求項8】論理ゲートを含んだ第1四辺形領域と、 第1、第2、第3、及び第4の配線とを有し、 上記第1四辺形領域の第1辺は第1方向に延在し、 上記第1四辺形領域の第2辺は上記第1辺と角を共有
    し、第2方向に延在し、 上記第1の配線と第2の配線は上記第1四辺形領域外に
    置かれ、第1方向に延在し、 上記第3の配線と第4の配線は上記第1四辺形領域外に
    置かれ、第2方向に延在し、 第1MOSFETのソース・ドレイン経路は上記第1配線と上
    記第2配線の間に配置され、 第2MOSFETのソース・ドレイン経路は上記第3配線と上
    記第4配線の間に配置され、 上記第2配線は第3MOSFET群のソースと接続され、上記
    第3MOSFET群はそれぞれ上記論理ゲートの一部を構成
    し、 上記第4配線は第4MOSFET群のソースと接続され、第4
    MOSFET群それぞれ上記論理ゲートを構成し、 上記第3MOSFETのソース・ドレイン経路には上記
    第3MOSFETのゲートとソースの電位差がOVでも貫通電通
    が流れ、 上記第4MOSFETのソース・ドレイン経路には上記
    第4MOSFETのゲートとソースの電位差がOVでも貫通電通
    が流れ、 上記第1MOSFETはそのゲートの受ける第1制御信号の値
    により、上記第3配線に流れる電流を制限し、 上記第2MOSFETはそのゲートの受ける第2制御信号の値
    により、上記第4配線に流れる電流を制限することを特
    徴とする半導体集積回路。
  9. 【請求項9】上記第1四辺形領域の第3辺と、辺を共有
    する第2四辺形領域を有し、 上記第2四辺形領域にはDRAMのメモリセルが構成され、 上記第3MOSFETから構成された論理ゲートはデコーダ回
    路を構成し、 上記第4MOSFETから構成された論理ゲートはワードドラ
    イバ回路を構成し、 上記ワードドライバ回路は上記DRAMのメモリセルを選択
    することを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路。
  10. 【請求項10】上記第1配線と上記第2配線との間に更
    に接続された第1回路と、 上記第3配線と上記第4配線との間に更に接続された第
    2回路とを有し、 上記第1回路は上記第1MOSFETがオフ状態のときには上
    記第2配線の電位を上記第1配線の電位よりも下げ、 上記第2回路は上記第2MOSFETがオフ状態のときには上
    記第4配線の電位を上記第3配線の電位よりも下げ、 上記第1と第2MOSFETはpチャネルMOSFETであることを
    特徴とする請求項8乃至請求項9のいずれかに記載の半
    導体集積回路。
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