JP3567005B2 - ハロゲン化銀写真乳剤およびハロゲン化銀感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤およびハロゲン化銀感光材料 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、応力による写真性変化が少なく、感度が高く、潜像保存性、インキュベーション耐性の良好なハロゲン化銀写真乳剤および写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にハロゲン化銀乳剤を塗布した写真感材には様々な機械的応力が加えられる。例えば一般写真用ネガフィルムはパトローネに巻き込まれたりカメラに装てんしたりする際に折り曲げられたり、コマ送りのために引っ張られたりする。
【0003】
このように、写真感材に様々な応力が加わるとハロゲン化銀粒子の保持体(バインダー)であるゼラチンや支持体であるプラスチックフィルムを媒体としてハロゲン化銀粒子に応力がかかる。ハロゲン化銀粒子に応力が加えられると写真感材の写真性に変化が起こることが知られている。例えばK.B.Mather,J.Opt.Soc.Am.,38,(1948)1054,P.Faelens and P.de Smet,Sci.et Ind.Phot.,25、No5,(1954)178,P.Faelens,J.Phot.Sci.,2,(1954)103等に詳細に報告されている。
【0004】
これまでに、これらの応力による写真性変化(以下圧力性)を軽減するためにさまざまな手段が検討されている。例えば、特開昭59−99433号、同60−35726号、同60−147727号等には粒子内部に沃度ギャップを設けることで圧力性を改良する手段が開示されている。また、特開昭62−123445号には粒子内部に沃度ギャップを有しさらに表面層と内部層の間にも沃度ギャップを設けることで圧力性及び良好な感度を両立する技術が開示されている。これらの手段を用いれば確かに応力による写真性変化を軽減しうるが、同時に潜像保存性やインキュベーション耐性の悪化を伴うため満足できるものではなかった。
【0005】
一方、上記の技術と同様にハロゲン化銀粒子内部の沃度分布をコントロールする圧力性以外の写真特性を改良する技術も従来検討されている。
【0006】
例えば、特開昭62−187838号には内部に高沃度層を設けることで感度、粒状、鮮鋭度を改良する手段が開示されている。しかし、保存中のカブリ変化が大きいという難点があった。特開昭58−113927号には、最表面の沃度含量を高めることで感度粒状比を改良した平板状ハロゲン化銀乳剤が開示されている。しかし潜像保存性が悪いため実用には耐えられないという欠点を有していた。さらに、保存性を改良する手段として特開昭62−58237号等には粒子内部に沃度コンバージョン層を設けることで経時中のカブリ変化を防止する手段が開示されている。しかしながらこの技術も潜像保存性が不十分であった。
【0007】
このようにこれまでに様々な技術が検討されてきたが、これらの技術は一部の性能を改良もしくは向上させるものであって、圧力性、感度粒状比、潜像保存性、インキュベーション耐性等の性能をすべて満足するようなものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、応力による写真性変化が少なく、感度が高く、潜像保存性、インキュベーション耐性の良好なハロゲン化銀写真乳剤、およびハロゲン化銀写真感光材料を得ることにある。
【0009】
【課題が解決するための手段】
本発明の上記目的は下記によって達成することができた。
(1)内部核が臭化銀もしくは沃化銀含有率が1モル%以下の沃臭化銀からなり、該内部核の外側に沃化銀含有率が2モル%以上20モル%以下の沃臭化銀からなる第1被覆層を有し、該第1被覆層の外側に沃化銀含有率が第1被覆層よりも低くかつ、3モル%以下の沃臭化銀もしくは臭化銀からなる第2被覆層を有するハロゲン化銀乳剤粒子において、全銀量の3%以上97%以下が形成される任意の時点および第2被覆終了後に沃化物イオンによるハロゲンコンバージョン、あるいは沃化銀微粒子の添加、あるいは銀イオンと沃化物イオンの添加により高沃度相を設けることを特徴とするハロゲン化銀乳剤粒子からなるハロゲン化銀写真乳剤。
【0010】
(2)該ハロゲン化銀粒子のトータル沃度含量が5モル%以下であることを特徴とする(1)記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0011】
(3)該ハロゲン化銀粒子が立方体、14面体、八面体であることを特徴とする(1)記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0012】
(4)該ハロゲン化銀粒子サイズ分布の変動係数が20%以下の単分散乳剤であることを特徴とする(1)記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0013】
(5)該ハロゲン化銀粒子がセレン増感されたことを特徴とする(1)記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0014】
(6)該ハロゲン化銀粒子の内部核の形成に種晶粒子を用いることを特徴とする(1)記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0015】
(7)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(1)記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0016】
(8)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(2)記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0017】
(9)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(3)記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0018】
(10)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(4)記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0019】
(11)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(5)記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0020】
(12)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(6)記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0021】
(13)同一乳剤層中にかぶらせ乳剤を含有することを特徴とする(7)記載のハロゲン化銀感光材料。
(14)同一乳剤層中に一般式(1)の化合物を含有することを特徴とする(7)記載のハロゲン化銀感光材料。
一般式(1)
【0022】
【化2】
Figure 0003567005
【0023】
式中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を表わし、R及びRは水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表わし、nは3〜5の整数を表わす。
(15)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、(1)記載の乳剤を含有し、かつ同一色感光性ユニットの該ハロゲン化銀乳剤層より支持体から離れた層に平板状ハロゲン化銀乳剤を含むことを特徴とするハロゲン化銀感光材料により達成する事ができた。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0024】
本発明のハロゲン化銀粒子のサイズは、投影面積径であらわす。ここで投影面積径とは、粒子の投影面積に等しい面積の円の直径をいう。
本発明のハロゲン化銀粒子のサイズとしては0.1μm以上2.0μm以下が好ましく0.15μm以上1.0μm以下がより好ましく、さらに0.2μm以上0.7μm以下が最も好ましい。
【0025】
本発明に用いられる内部核粒子は、例えば、グラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkides,Chimie et Physique Photographique Paul Montel ,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry(Focal Press ,1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press ,1964)に記載された方法を用いて調製することができる。すなわち、例えば、酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、例えば、片側混合法、同時混合法、それらの組合わせのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶形が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
【0026】
内部核の形状としては板状、球状、双晶系であってもまた、八面体、立方体、14面体もしくは混合系等を用いることができる。
【0027】
また、内部核は、多分散でも単分散でも良いが、単分散である方がいっそう好ましい。
粒子サイズを均一にするには、英国特許1535016号、特公昭58−36890号、同52−16364号等に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、米国特許4242445号、特開昭55−158124号等に記載されているように水溶液濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において早く成長させることが好ましい。これらの方法は、再核発生を起こさず、各ハロゲン化銀粒子が均一に被覆されていくため、後述する第1被覆層及び第2被覆層を導入する場合にも好ましく用いられる。
【0028】
本発明の内部核は、種晶乳剤を用い、成長させることが好ましい。種晶乳剤は上記方法を用いて形成でき、あらかじめ種晶乳剤を形成し脱塩工程を施したものを用いても良い。
【0029】
本発明の内部核が沃臭化銀からなる場合、本発明の効果をより顕著にするために、均質な固溶相であることが好ましい。ここで均質とは、沃化銀含有率の分布において、内部核中の95モル%のハロゲン化銀の沃化銀含有率が、平均沃化銀含有率の±40%の範囲内に入ることを意味する。
【0030】
内部核のハロゲン組成としては、沃化銀の平均含有率は好ましくは0モル%以上1モル%以下であるが、より好ましくは0モル%以上0.5モル%以下であり、特に好ましくは0モル%以上0.3モル%以下である。
内部核の銀が、粒子全体の銀に対して占める割合は、好ましくは1%以上95%以下、より好ましくは2%以上85%以下、更に好ましくは2%以上60%以下である。
【0031】
第1被覆層の沃化銀含有率は、2モル%以上20モル%以下であるが、2モル%以上10モル%以下が好ましく、2モル%以上5モル%以下が特に好ましい。
第1被覆層の銀が、粒子全体の銀に対して占める割合は1%以上90%以下、好ましくは5%以上85%以下、より好ましくは10%以上80%以下、特に好ましくは20%以上80%以下である。
【0032】
第2被覆層が沃臭化銀からなる場合、それは均質であることは必ずしも必要ではないが、均質な沃臭化銀であることがより好ましい。
【0033】
また、第2被覆層は、第1被覆層以下を十分に覆うことが必要であり、このために第2被覆層の平均厚みは好ましくは0.01μm以上であるが、より好ましくは0.02μm以上であり、更に好ましくは0.04μm以上である。
【0034】
第2被覆層の沃化銀含有率は0モル%以上3モル%以下であるが、好ましくは0モル%以上2モル%以下、より好ましくは0モル%以上1モル%以下、特に好ましくは0モル%以上0.5モル%以下である。
【0035】
第2被覆層の銀が粒子全体の銀に対して占める割合としては2%以上90%以下が好ましく、より好ましくは5%以上80%以下であり、更に好ましくは10%以上60%以下である。
【0036】
本発明では全銀量の3%以上97%以下が形成される任意の時点および第2被覆層の終了時に沃化物イオンによるハロゲンコンバージョンにより、あるいは沃化銀微粒子の添加により、あるいは銀イオンと沃化物イオンの添加により高沃度相が設けられる。
【0037】
最初の該高沃度相は、全銀量の3%以上97%以下が形成される任意の時点で設けられるが、内部核の形成後、第2被覆層形成中の任意の時点に設けることが好ましく、第1被覆層形成後第2被覆層形成前に設けることが最も好ましい。このとき、沃化物塩の添加量は、ハロゲン化銀粒子の全銀量に対し0.1モル%以上5モル%以下が好ましく、0.3モル%以上2.0モル%以下がさらに好ましく、0.3モル%以上1.5モル%以下が最も好ましい。
【0038】
沃化物イオンによるハロゲンコンバージョン法を用いる場合には沃化物イオンを含むハロゲン溶液(本発明の効果を損なわない範囲で、臭化物イオン、塩化物イオン等が混合されていてもよい。)を、添加することにより行うことができる。また、例えば特開昭59−133540 号、特開昭58−108526 号、特開昭59−162540 号に記載されているようなエピタキシャル接合法を用いることができる。この局在化を行うときには、その時に以下のような条件を選択することが個々の粒子の沃化銀含有率を均一にするために有効である。すなわち、沃化物塩添加前のpAgは8.5以上10.5以下の範囲が好ましく、9.0以上10.5以下の範囲がより好ましい。温度は30℃以上50℃以下の範囲に保つことが好ましい。
【0039】
また用いる沃化物イオンの濃度は薄い方が好ましく、具体的には0.2M以下の濃度であることが好ましい。
【0040】
沃化銀微粒子を添加する方法を用いる場合には、沃化銀微粒子の粒子サイズは0.02μm以上0.2μm以下が好ましく、0.02μm以上0.1μm以下がオストワルド熟成の起こり易さと沃化銀粒子自体の安定性の観点から更に好ましい。
【0041】
銀イオンと沃化物イオンを同時に添加する方法を用いる場合には、粒子間の沃化銀含率の分布が狭くなるように添加速度、pAg、温度などを選ぶ必要がある。
【0042】
上記の高沃度相を設けるための3つの方法のうち、ハロゲンコンバージョン法を用いることが好ましい。
【0043】
第2被覆層の外側に高沃度相を設ける場合、その位置は化学増感の前、途中、後のいずれでも良いが沃化物コンバージョン法および沃化銀微粒子を添加する方法を用いる場合は化学熟成の後期または終了後に用いるのが好ましく、また増感色素添加前が好ましい。
【0044】
沃化物塩の添加量は、ハロゲン銀粒子の全銀量に対し、0.005モル%以上3モル%以下が好ましく、0.01モル%以上2モル%以下が更に好ましく、0.05モル%以上1モル%以下が最も好ましい。
【0045】
高沃度相を設ける方法としては、前述の高沃度相を設ける手段に準じて行うことができるが、沃化物イオンによるハロゲンコンバージョン法が最も好ましい。
【0046】
本発明のハロゲン化銀乳剤の平均沃化銀含率は、6モル%未満が好ましく、5モル%以下がより好ましく、更に4.5モル%以下が好ましい。
【0047】
本発明のハロゲン化銀乳剤の粒子間沃度分布の相対標準偏差は、特に規定はないが、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。
【0048】
個々の乳剤粒子の沃化銀含有率は、例えばX線マイクロ・アナライザーを用いて、一個一個の粒子の組成を分析することにより測定できる。ここでいう「個々の粒子の沃化銀含有率の相対標準偏差」とは、例えばX線マイクロ・アナライザーにより少なくとも100個の乳剤粒子の沃化銀含有率を測定した際の沃化銀含有率の標準偏差を平均沃化銀含有率で除した値に100を乗じて得られる値である。個々の乳剤粒子の沃化銀含有率測定の具体的方法は例えば欧州特許第147,868A号に記載されている。
【0049】
個々の粒子の沃化銀含有率の相対標準偏差が大きいと、個々の粒子の化学増感の適点が異なり、すべての乳剤粒子の性能を引き出すことが不可能になり、また転位の数の粒子間の相対標準偏差も大きくなる傾向にある。
【0050】
個々の粒子の沃化銀含有率Yi〔モル%〕と各粒子の球相当直径Xi〔ミクロン〕の間には、相関がある場合とない場合があるが、相関がないことが望ましい。
【0051】
本発明の粒子のハロゲン組成に関する構造については、例えば、X線回折、EPMA(XMAという名称もある)法(電子線でハロゲン化銀粒子を走査して、ハロゲン化銀組成を検出する方法)、ESCA(XPSという名称もある)法(X線を照射し粒子表面から出て来る光電子を分光する方法)を組み合わせることにより確認することができる。
【0052】
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径は、約0.1μm以下の微粒子でも、投影面積直径が約10μmにいたるまでの大サイズ粒子でもよく、また狭い分布を有する乳剤でも、あるいは広い分布を有する乳剤でもよいが、単分散乳剤が粒状性を良化する上で好ましい。
【0053】
ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶体を有するいわゆるレギュラー粒子でもよく、また平板状、球状のような変則的な結晶形を持つもの、双晶面のような結晶欠陥を持つものあるいはそれらの複合形でもよいが、レギュラー粒子が特に好ましい。また種々の結晶形の混合物を用いてもよい。
【0054】
レギュラー粒子に関しては特公平4−30572号、特開昭59−140443号、同59−149344号、同59−149345号などに記載がある結晶面の頂点が僅かに丸みを有する粒子を用いてもよい。
【0055】
単分散乳剤としては、その少なくとも95重量%が平均直径の±40%以内にあるような乳剤が代表的である。少なくとも95重量%または粒子数で少なくとも95%のハロゲン化銀粒子を平均粒子直径±20%の範囲内としたような乳剤を本発明で好ましく使用でき、±15%の範囲内がさらに好ましく、±10%の範囲内が特に好ましい。このような乳剤の製造方法は、例えば、米国特許第3,574,628号、同第3,655,394号及び英国特許第1,413,748号に記載されている。また、例えば、特開昭48−8600、同51−39027号、同51−83097号、同53−137133号、同54−48521号、同54−99419号、同58−37635号、同58−49938号に記載されたような単分散乳剤も本発明で好ましく使用できる。
【0056】
本発明のハロゲン化銀乳剤は粒子形成中にイリジウム、ロジウム、鉛といった多価金属を添加するができる。
例えば、イリジウムは相反則不軌特性の改良のため添加されるが、その添加量はハロゲン化銀粒子の種類や大きさにより異なるが、好ましくはハロゲン化銀1モル当たり10−5モル以下であり、より好ましくは10−7モル以上10−5モル以下である。
【0057】
本発明のハロゲン化銀乳剤は化学増感を施すことができる。たとえば、ジェームス(T.H.James )著、ザ・セオリー・オブ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年(T.H.James ,The Theory of the Photographic Process,4 thed,Macmillan,1977)67−77頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロージャー120 巻、1974年4月、12008 :リサーチ・デイクロージャー、34巻1975年6月、13452 、米国特許第2,642,361 号、同3,297,446 号、同3,772,031 号、同3,857,711 号、同3,901,714 号、同4,266,018 号、および同3,904,415 号、並びに英国特許第1,315,755 号に記載されるように、pAg5以上10以下、pH5以上8以下および温度30℃以上80℃以下において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せを用いて行うことができる。化学増感は、最適には、金化合物とチアシアネート化合物の存在下で行われる。また米国特許第3,857,711 号、同4,266,018 号および同4,054,457 号に記載される、例えば、硫黄含有化合物もしくはハイポ、チオ尿素系化合物、ロダニン系化合物の硫黄含有化合物の存在下に行う。化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。用いられる化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038 号、同3,411,914 号、同3,554,757 号、特開昭58−126526 号およびダフィン著「写真乳剤化学」、138 〜143 頁に記載されている。化学増感に加えて、または代替して、米国特許第3,891,446 号および同3,984,249 号に記載されるように、例えば水素を用いて還元増感することができる。さらに、米国特許第2,518,698 号、同2,743,182 号および同2,743,183 号に記載される塩化第一錫、二酸化チオウレア、ポリアミンのような還元剤を用いて、または低pAg(例えば5未満)処理及び/または高pH(例えば8より大)処理によっても還元増感することができる。また米国特許第3,917,485 号および同3,966,476 号に記載される化学増感法で色増感性を向上することもできる。
【0058】
また特開昭61−3134 号や同61−3136 号に記載されている酸化剤を用いた増感法も適用することができる。
【0059】
また、本発明の乳剤はセレン化合物による化学増感を好ましく用いることができる。
【0060】
本発明のハロゲン化銀乳剤に対するセレン増感は、従来公知の方法にて、実施することができる。すなわち、通常、不安定型セレン化合物および/または非不安定型セレン化合物を添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。特公昭44−15748号に記載の不安定セレン増感剤を用いるセレン増感が好ましく用いられる。具体的な不安定セレン増感剤としては、例えば、アリルイソセレノシアネートの如き脂肪族イソセレノシアネート類、セレノ尿素類、セレノケトン類、セレノアミド類、セレノカルボン酸類およびエステル類、セレノフォスフェート類がある。特に好ましい不安定セレン化合物は以下に示される。
I. コロイド状金属セレン
II. 有機セレン化合物(セレン原子が共有結合により有機化合物の炭素原子に2重結合しているもの)
a イソセレノシアネート類
例えば、アリルイソセレノシアネートの如き脂肪族イソセレノシアネート
b セレノ尿素類(エノール型を含む)
例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ジオクチル、テトラメチル、N−(β−カルボキシエチル)−N′,N′−ジメチル、N,N−ジメチル、ジエチル、ジメチルのような脂肪族セレノ尿素;フェニル、トリルのような芳香族基を1個又はそれ以上もつ芳香族セレノ尿素;ピリジル、ベンゾチアゾリルのような複素環式基をもつ複素環式セレノ尿素
c セレノケトン類
例えば、セレノアセトン、セレノアセトフェノン、アルキル基が−C(=Se)−に結合したセレノケトン、セレノベンゾフェノン
d セレノアミド類
例えば、セレノアセトアミド
e セレノカルボン酸およびエステル類
例えば、2−セレノプロピオン酸、3−セレノ酪酸、メチル3−セレノブチレート
III.その他
a セレナイド類
例えば、ジエチルセレナイド、ジエチルジセレナイド、トリフェニルフォスフィンセレナイド、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルフォスフィンセレナイド
b セレノフォスフェート類
例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフォート
不安定型セレン化合物の好ましい類型を上に述べたがこれらは限定的なものではない。当業技術者には写真乳剤の増感剤としての不安定型セレン化合物といえば、セレンが不安定である限りに於て該化合物の構造はさして重要なものではなく、セレン増感剤分子の有機部分はセレンを担持し、それを不安定な形で乳剤中に存在せしめる以外何らの役割をもたぬことが一般に理解されている。本発明に於いては、かかる広範な概念の不安定セレン化合物が有利に用いられる。
【0061】
特公昭46−4553号、特公昭52−34492号および特公昭52−34491号に記載の非不安定型セレン増感剤を用いるセレン増感も用いられる。非不安定型セレン化合物には、例えば、亜セレン酸、セレノシアン化カリ、セレナゾール類、セレナゾール類の4級アンモニウム塩、ジアリールセレニド、ジアリールジセレニド、2−チオセレナゾリジンジオン、2−セレノオキサゾリジンチオンおよびこれらの誘導体が含まれる。
【0062】
特公昭52−38408号に記載の非不安定型セレン増感剤、チオセレナゾリジンジオン化合物も有効である。
【0063】
これらのセレン増感剤は水またはメタノール、エタノールなどの有機溶媒の単独または混合溶媒に溶解し化学増感時に添加される。好ましくはセレン増感以外の化学増感開始前に添加される。使用されるセレン増感剤は1種に限らず上記セレン増感剤の2種以上を併用して用いることができる。不安定セレン化合物と非不安定セレン化合物の併用は好ましい。
【0064】
本発明に使用されるセレン増感剤の添加量は、用いるセレン増感剤の活性度、ハロゲン化銀の種類や大きさ、熟成の温度および時間などにより異なるが、好ましくは、ハロゲン化銀1モル当り1×10−8モル以上である。より好ましくは1×10−7モル以上、5×10−5モル以下である。セレン増感剤を用いた場合の化学熟成の温度は好ましくは45℃以上である。より好ましくは50℃以上、80℃以下である。
【0065】
セレン増感剤を用いた場合の熟成pAgは任意であるが、pAgは7.5以上が好ましく、8.0以上が更に好ましい。pHも任意であるが、pH7.5以下が好ましく、6.8以下が更に好ましい。これら好ましい条件は単独でも良いが、組み合わせが更に好ましい。
【0066】
本発明のセレン増感は、ハロゲン化銀溶剤の存在下で行うことにより、より効果的である。
【0067】
本発明で用いることができるハロゲン化銀溶剤としては、例えば、米国特許第3,271,157号、同第3,531,289号、同3,574,628号、特開昭54−1019号、同54−158917号に記載された(a)有機チオエーテル類、例えば、特開昭53−82408号、同55−77737号、同55−2982号に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−144319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と窒素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載された (d)イミダゾール類、(e)亜硫酸塩、(f)チオシアネートがあげられる。
後掲の「化3」にこれらの具体的化合物を示す。
【0068】
【化3】
Figure 0003567005
【0069】
特に好ましい溶剤としては、チオシアネートおよびテトラメチルチオ尿素がある。また用いられる溶剤の量は種類によっても異なるが、例えばチオシアネートの場合、好ましい量はハロゲン化銀1モル当り1×10−4モル以上、1×10−2モル以下である。
【0070】
本発明のハロゲン化銀粒子は化学増感においてセレン増感の外に硫黄増感および金増感の片方又は両方を併用することが望ましい。
【0071】
硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。
【0072】
また、金増感は、通常、金増感剤を添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。
【0073】
上記の硫黄増感には硫黄増感剤として公知のものを用いることができる。例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチオシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニンが挙げられる。その他米国特許第1,574,944号、同第2,410,689号、同第2,278,947号、同第2,728,668号、同第3,501,313号、同第3,656,955号明細書、ドイツ特許1,422,869号、特公昭56−24937号、特開昭55−45016号に記載されている硫黄増感剤も用いることができる。
【0074】
硫黄増感剤の添加量は、乳剤の感度を効果的に増大させるのに十分な量でよい。この量は、pH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で層当の範囲にわたって変化するが、ハロゲン化銀1モル当り1×10−7モル以上、5×10−5モル以下が好ましい。
【0075】
本発明の金増感の金増感剤としては金の酸化数が+1価でも+3価でもよく、金増感剤として通常用いられる金化合物を用いることができる。代表的な例として、例えば、塩化金酸塩、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールドが挙げられる。
【0076】
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り1×10−7モル以上、5×10−5モル以下が好ましい。
【0077】
化学熟成に際して、ハロゲン化銀溶剤および/またはセレン増感剤および/または硫黄増感剤および金増感剤等の添加の時期および順位については特に制限を設ける必要はなく、例えば、化学熟成の初期(好ましくは)または化学熟成進行中に上記化合物を同時に、あるいは添加時点を異にして添加することができる。また添加に際しては、上記の化合物を水、または水と混合し得る有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンの単液あるいは混合液に溶解せしめて添加させてもよい。
【0078】
本発明の乳剤は、表面もしくは表面から任意の位置を化学増感されていても良いが表面を化学増感することが好ましい。内部を化学増感する場合には特開昭63−264740号等記載の方法を参照することができる。
【0079】
本発明のハロゲン化銀粒子は粒子形成過程、あるいは化学増感過程において還元増感することができる。
【0080】
還元増感をハロゲン化銀乳剤の粒子形成過程に施すというのは、基本的には核形成、熟成、成長の間に行うことを意味する。還元増感は粒子形成の初期段階である核形成時、物理熟成時、成長時のどの段階で実施してもよい。最も好ましいのはハロゲン化銀粒子の成長中に還元増感する方法である。ここで成長中とは、ハロゲン化銀粒子が物理熟成あるいは水溶性銀塩と水溶性ハロゲン化アルカリの添加によって成長しつつある状態で還元増感を施す方法も、成長途中に成長を一時止めた状態で還元増感を施した後さらに成長させる方法も含有することを意味する。
【0081】
上記還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に公知の還元剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1以上7以下の低pAgの雰囲気で成長させるあるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8以上11以下の高pHの雰囲気で成長させるあるいは熟成させる方法のいずれをも選ぶことができる。また2つ以上の方法を併用することもできる。
【0082】
還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できるため好ましい方法である。
【0083】
還元増感剤として第一錫塩、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明にはこれら公知の化合物から選んで用いることができる。また2種以上の化合物を併用することができる。還元増感剤としては、塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10−8モル以上10−3モル以下の範囲が適当である。
【0084】
還元増感剤は、水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類のような溶媒に溶かし、粒子形成中に添加することができる。あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子形成の適当な時期に添加する方が好ましい。また水溶性銀塩あるいは水溶性ハロゲン化アルカリの水溶液にあらかじめ還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いて粒子形成してもよい。また粒子形成に伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して添加するのも好ましい方法である。
【0085】
本発明に用いられる分光増感色素としては通常メチン色素が用いられるが、これにシアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。これらの色素類には、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン、オキサゾリン、チアゾリン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、イミダゾール、テトラゾール、ピリジン;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;およびこれらの核の芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン、ベンズインドレニン、インドール、ベンズオキサドール、ナフトオキサドール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンゾセレナゾール、ベンズイミダゾール、キノリンが適用できる。これらの核は炭素原子上に置換されていてもよい。
【0086】
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構造を有する核として、例えば、ピラゾリン−5−オン、チオヒダントイン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、チアゾリン−2,4−ジオン、ローダニン、チオバルビツール酸のような5〜6員異節環核を適用することができる。
【0087】
上記の色素の中で本発明にとくに有用な増感色素はシアニン色素である。本発明に有用なシアニン色素の具体例として下記化4に示す一般式(2)で表わされる色素があげられる。
【0088】
【化4】
Figure 0003567005
【0089】
式中、Z,Zはシアニン色素に通常用いられる複素環核、特にチアゾール、チアゾリン、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、オキサゾール、オキサゾリン、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、テトラゾール、ピリジン、キノリン、イミダゾリン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、セレナゾリン、セレナゾール、ベンゾセレナゾール、ナフトセレナゾール又はインドレニンのような核を形成するに必要な原子群を表わす。これらの核は、例えば、ハロゲン原子、メチルのような低級アルキル基、フェニール基、ヒドロキシル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルファモイル基、アルキルカルバモイル基、アセチル基、アセトキシ基、シアノ基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基によって置換されていてもよい。
【0090】
またはLはメチン基、置換メチン基を表わす。置換メチン基としては、例えば、メチル、エチルのような低級アルキル基、フェニル、置換フェニル、メトキシ、エトキシによって置換されたメチン基があげられる。
【0091】
とRは炭素数が1以上5以下のアルキル基;カルボキシ基をもつ置換アルキル基;β−スルホエチル、γ−スルホプロピル、δ−スルホブチル、2−(3−スルホプロポキシ)エチル、2−(2−(3−スルホプロポキシ)エトキシ)エチル、2−ヒドロキシ・スルホプロピルのようなスルホ基をもつ置換アルキル基、アリル(allyl)基やその他の通常シアニン色素のN−置換基に用いられている置換アルキル基を表わす。mは1、2または3を表わす。X は沃素イオン、臭素イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンのような通常シアニン色素に用いられる酸アニオン基を表わす。nは1または2を表わし、ベタイン構造をとるときはnは1である。
【0092】
好ましくは、一般式(2)の増感色素を2種類以上用いて分光増感される。
【0093】
分光増感色素としては、上記以外に次のようなものに記載されたものが用いられる。例えば、ドイツ特許929,080号、米国特許2,493,748号、同第2,503,776号、同第2,519,001号、同第2,912,329号、同第3,656,956号、同第3,672,897号、同第3,694,217号、同第4,025,349号、同第4,046,572号、同第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,552,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,344号、米国特許1,242,588号、同第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭44−14030号、同52−24844号、同43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号、同50−80827号に記載されている。
【0094】
本発明のハロゲン化銀乳剤に特開平4−362930号記載の分光増感色素を好ましく用いることができる。
【0095】
また、本発明のハロゲン化銀乳剤に特開平5−127293号、同5−127291号等に記載されている分光増感色素を好ましく用いることができる。
【0096】
ハロゲン化銀乳剤調製中に添加される増感色素の量は、添加剤の種類やハロゲン化銀量などによって一義的に述べることはできないが、従来の方法にて添加される量、すなわち飽和被覆量の50%以上80%以下を用いることができる。
【0097】
すなわち、好ましい増感色素の添加量はハロゲン化銀1モルあたり0.001ミリモル以上100ミリモル以下であり、さらに好ましくは0.01ミリモル以上10ミリモル以下である。
【0098】
増加色素は化学熟成後、または化学熟成前に添加される。本発明のハロゲン化銀粒子に対しては最も好ましくは増感色素は、化学熟成中又は化学熟成以前(例えば粒子形成時、物理熟成前)に添加される。
【0099】
増感色素とともに、それ自体、分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。例えば、含窒素異節環基で置換されたアミノスチルベン化合物(例えば、米国特許2,933,390号、同第3,635,721号に記載のもの)、芳香族有機酸ホルムアルデヒド縮合物(例えば、米国特許3,743,510号に記載のもの)、カドミウム塩、アザインデン化合物を含んでもよい。米国特許3,615,613号、同第3,615,641号、同第3,617,295号、同第3,635,721号に記載の組合せは特に有用である。
【0100】
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわち、アゾール類たとえばベンゾチアゾリウム塩、ニトロインダゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベンズイミダゾール類(特にニトロ−またはハロゲン置換体);複素環メルカプト化合物類たとえばメルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン類;カルボキシル基やスルホン基などの水溶性基を有する上記の複素環メルカプト化合物類;チオケト化合物たとえばオキサゾリンチオン;アザインデン類たとえばテトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類);ベンゼンチオスルホン酸類;ベンゼンスルフィン酸;のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた多くの化合物を加えることができる。
【0101】
これらかぶり防止剤または安定剤の添加時期は通常、化学増感を施した後であるが、より好ましくは化学熟成の途中又は化学熟成の開始以前の時期の中から選ぶことができる。すなわちハロゲン化銀乳剤粒子形成過程において、銀塩溶液の添加中でも、添加後から化学熟成開始までの間でも、化学熟成の途中(化学熟成時間中、好ましくは開始から50%までの時間内に、より好ましくは20%までの時間内)でもよい。
【0102】
本発明乳剤は下記一般式(1)で示される化合物を同一層に添加することが好ましい。
一般式(1)
【0103】
【化5】
Figure 0003567005
【0104】
式中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を表わし、R及びRは水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表わし、nは3以上5以下の整数を表わす。
【0105】
一般式(1)において、Rで表される脂肪族基は好ましくは、炭素数1以上30以下のものであって特に炭素数1以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、プロパルギル基、3−ペンチニル基、ベンジル基である。
【0106】
一般式(1)において、Rで表される芳香族基は好ましくは、炭素数6以上30以下のものであって、特に炭素数6以上20以下の単環または縮環のアリール基であり、例えばフェニル基、ナフチル基である。
一般式(1)において、Rで表される複素環基は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも一つを含む3ないし10員環の飽和もしくは不飽和の複素環基である。これらは単環状であってもよいし、さらに他の芳香環と縮合環を形成してもよい。複素環基としては、好ましくは5ないし6員環の芳香族複素環基であり、例えばピリジル基、イミダゾリル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、イソキノリニル基、チアゾリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチアゾリル基である。
【0107】
一般式(1)において、Rで表されるアミノ基は置換されていてもよい。置換基の例としてはアルキル基(例えばメチル、エチル、ブチル)、アシル基(例えばアセチル、メタンスルホニル)があげられる。置換アミノ基の具体例をあげると、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、アセチルアミノ基である。
一般式(1)において、Rで表されるアルコキシ基の具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘプタデシルオキシ基があげられる。
【0108】
一般式(1)において、Rで表されるアルキルチオ基の具体例としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基があげられる。
一般式(1)において、Rで表されるカルバモイル基は置換基として炭素数1以上20以下のアルキル基やアリール基を一つ又は二つ有することができる。置換カルバモイル基の具体例としては、例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基があげられる。
一般式(1)において、Rで表されるアルコキシカルボニル基の具体例はメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基である。
一般式(1)において、Rで表されるハロゲン原子の具体例はフッ素原子、塩素原子、臭素原子及び沃素原子である。
【0109】
一般式(1)において、R及びRは同じであっても異なっていてもよい。R及びRで表される脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基はRと同意義を表わす。
一般式(1)において好ましくは、Rは水素原子、アルキル基、アリール基またはアルキルチオ基をあらわし、R及びRは水素原子を表し、nは3または4を表わす。
一般式(1)においてより好ましくは、Rは水素原子、アルキル基、またはアルキルチオ基をあらわし、R及びRは水素原子を表し、nは3または4を表わす。
【0110】
下記「化6」ないし「化8」に本発明の化合物の具体例を示すが、本発明の化合物はこれに限定されるものではない。
【0111】
【化6】
Figure 0003567005
【0112】
【化7】
Figure 0003567005
【0113】
【化8】
Figure 0003567005
【0114】
一般式(1)で表される化合物は既に知られている次の文献、ビュウロウ(Bulow)とハース(Haas)によるBerichte,42巻4638頁(1907年)及び43巻375頁(1910年)、アレン(Allen)らによるJ.Org.Chem.,24巻796頁(1959年)、デ・カト(De Cat)とドルメール(Dormael)によるBull.Soc.Chim.Belg.,60巻69頁(1951年)及びクック(Cook)らによるRec.Trav.Chem.,69巻343頁(1950年)等に記載の方法に準じて合成することができる。
【0115】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、単独で用いても良く、あるいは他の感光性ハロゲン化銀乳剤と混合して用いても良いが、表面及び/または内部をかぶらせた非感光性のハロゲン化銀乳剤を同一層に併用することができる。
【0116】
以下に表面および/または内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子について説明する。
本発明において表面および/または内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子(以下かぶらせハロゲン化銀粒子と呼ぶ)とは化学的な方法あるいは光により、粒子の表面および/または内部にかぶり核を有し露光に無関係に現像可能になるよう調製されたハロゲン化銀粒子のことをいう。
【0117】
表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子(表面かぶらせ型ハロゲン化銀粒子)はハロゲン化銀の粒子形成中および/または粒子形成後にこれらのハロゲン化銀粒子を化学的な方法あるいは光によってかぶらせることによって調製しうる。
前記のかぶらせ工程は、pHおよびpAg の適当な条件の下で、還元剤や金塩を添加する方法、あるいは低pAg 下で加熱する方法、または一様な露光を与える方法などによって行うことができる。還元剤としては塩化第1スズ、ヒドラジン系化合物、エタノールアミン、二酸化チオ尿素などを用いることができる。
これらのかぶらせ物質によるかぶらせ工程はかぶらせ物質の感光性乳剤層への拡散による経時かぶり防止等の目的で水洗工程の前に置くことが好ましい。
【0118】
また内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子(内部かぶらせ型ハロゲン化銀粒子)は上記の表面かぶらせ型ハロゲン化銀粒子を核(コア)としてこれらの粒子の表面に外殻(シェル)を形成することによって調製しうる。このような内部かぶらせ型ハロゲン化銀については特開昭59−214852号に詳しく記載されている。これらの内部かぶらせ型ハロゲン化銀粒子はそのシェル厚を調節することによって増感現像に対する効果を調節しうる。
さらに、内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子は、粒子形成スタート時から、上記のかぶらせ法を用い、かぶらせたコアを形成した後に、未かぶらせのシェルをつけることによっても形成しうる。必要に応じて内部から表面にいたるまですべてかぶらせることも可能である。
【0119】
これらのかぶらせハロゲン化銀粒子は塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれであっても構わないが、沃化物を含むハロゲン化銀である場合、その沃化物含有率は5モル%以下が好ましく、2モル%以下が更に好ましい。
またこれらのかぶらせハロゲン化銀粒子は粒子内部にハロゲン組成の異なる内部構造を有していてもよい。
【0120】
本発明に用いうるかぶらせハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは特に限定しないが、これらのかぶらせハロゲン化銀粒子を添加する感光性ハロゲン化銀乳剤層または非感光性中間層に添加する場合は隣接する最低感度層のハロゲン化銀粒子の平均サイズよりも小さいことが好ましい。具体的には0.5μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがより好ましくはさらには0.1μm以下であることが最も好ましい。
また、これらのかぶらせハロゲン化銀粒子の粒子形状には特別な限定はなく、規則的な(regular)粒子でも不規則な(irregular)粒子でも良い。またこれらのかぶらせハロゲン化銀粒子は多分散でもよいが単分散である方が好ましい。
ここで単分散ハロゲン化銀乳剤(非平板状粒子)とは、それに含まれるハロゲン化銀粒子の全重量又は全個数の95%以上が平均粒径の±40%以内、より好ましくは±30%以内にあるものと定義される。
【0121】
これらのかぶらせハロゲン化銀粒子の使用量は本発明において必要とする程度に応じて任意に変化させうるが、本発明の乳剤との銀量の比率に対し、0.05モル%以上50モル%以下が好ましく0.1モル%以上25モル%以下がより好ましく、0.5モル%以上20モル%以下が最も好ましい。
【0122】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、同一層にコロイド銀と併用することができる。本発明に用いられるコロイド銀は黄色、褐色、青色、黒色等の何れを用いても良い。
これらのコロイド銀の使用量は本発明において必要とする程度に応じて任意に変化させうるが、本発明の乳剤との銀量の比率に対し、0.05モル%以上50モル%以下が好ましく0.1モル%以上25モル%以下がより好ましく、0.5モル%以上20モル%以下が最も好ましい。
【0123】
種々の型のコロイド銀の調製は文献に、例えばWiley & Sons,New York,1933発行、Weiser著のColloidal Elements(Carey Leaのデキストリン還元法による黄色のコロイド銀)またはドイツ特許第1096193号明細書(褐色及び黒色のコロイド銀)または米国特許第2,688,601号明細書(青色のコロイド銀)に記載されている。
【0124】
本発明の乳剤粒子からなる乳剤は、以上のように単独で用いてもよく、他の感光性ハロゲン化銀乳剤と混合していてもよく、表面及び/または内部をかぶらせたハロゲン化銀乳剤あるいはコロイド銀と混合して用いてもよく、あるいは一般式(1)の化合物を含んで用いてもよく、それらの組み合わせで用いてもよい。本発明の乳剤を他のハロゲン化銀乳剤と混合する場合には本発明の乳剤が20%以上が好ましく、更に50%以上が好ましく、70%以上が最も好ましい。
【0125】
本発明の写真乳剤は種々のカラー及び白黒の感光材料に適用することができる。一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムおよびカラー反転ペーパー、カラー拡散型感光材料および熱現像型カラー感光材料などを代表例として挙げることができる。
【0126】
リスフィルムもしくはスキャナーフィルムなどの製版用フィルム、直医・間接医療用もしくは工業用のX線フィルム、撮影用ネガ白黒フィルム、白黒印画紙、COM用もしくは通常マイクロフィルム、銀塩拡散転写型感光材料およびプリントアウト型感光材料にも本発明の写真乳剤を適用できる。
【0127】
本発明の写真乳剤を適用する、カラー感光材料は、支持体上に青感性層、緑感性層、赤感性層又は赤外光に感応する層のハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよく、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特に制限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質的な感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層(単位感光性層)を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。その場合、該感光性層は青色光、緑色光および赤色光の何れかに感光性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置側が逆であっても、また同一感色性層中に感色性の異なる感光性層が狭まれたような設置順をもとりえる。
【0128】
上記、ハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には各種の中間層等の非感光性層を設けてもよい。
【0129】
該中間層には、特開昭61−43748号、同59−113438号、同59−113440号、同61−20037号、同61−20038号に記載されるようなカプラー、DIR化合物が含まれていてもよく、通常用いられるように混色防止剤を含んでいてもよい。
【0130】
各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号あるいは英国特許第923,045号に記載されるように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層構成を好ましく用いることができる。通常は、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましく、また各ハロゲン乳剤層の間には非感光性層が設けられていてもよい。また、例えば特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、同62−206543号に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0131】
具体的として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)/の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順に設置することができる。
【0132】
また特公昭55−34932号に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
【0133】
また特公昭49−15495号に記載されているように上層に最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層にそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層に中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
【0134】
その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層などの順に配置されていてもよい。
【0135】
本発明のハロゲン化銀乳剤を上記の多層構成の感材に用いる場合、本発明の乳剤以外に様々なハロゲン化銀乳剤を併用することができるが、同一感色性ユニットの支持体より離れた層に平板状ハロゲン化銀乳剤を配置することが好ましい。
【0136】
色再現性を改良するために、米国特許第4,663,271号、同第4,705,744号、同第4,707,436号、特開昭62−160448号、同63−89580号に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL)を主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
【0137】
本発明の写真乳剤を使用するときに併用できる公知の写真用添加剤は2つのリサーチ・ディスクロージャーに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
【0138】
Figure 0003567005
また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防止するために、米国特許4,411,987号や同第4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加することが好ましい。
【0139】
本発明の写真乳剤はカラー感光材料に使用することが好ましく、種々のカラーカプラーを使用することができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスクロージャー(RD)No.17643、VII −C〜Gに記載された特許に記載されている。
【0140】
イエローカプラーとしては、例えば、米国特許第3,933,501号、同第4,022,620号、同第4,326,024号、同第4,401,752号、同第4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許第1,425,020号、同第1,476,760号、米国特許第3,973,968号、同第4,314,023号、同第4,511,649号、欧州特許第249,473A号、等に記載のものが好ましい。
【0141】
マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、例えば、米国特許第4,310,619号、同第4,351,897号、欧州特許第73,636号、米国特許第3,061,432号、同第3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24230(1984年6月)、特開昭60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許第4,500,630号、同第4,540,654号、同第4,556,630号、国際公開W088/04795号等に記載のものが特に好ましい。
【0142】
シアンカプラーとしては、フェノール系及びナフトール系カプラーが挙げられ、例えば米国特許第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,228,233号、同第4,296,200号、同第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号、同第3,758,308号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、西独特許公開第3,329,729号、欧州特許第121,365A号、同第249,453A号、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,775,616号、同第4,451,559号、同第4,427,767号、同第4,690,889号、同第4,254,212号、同第4,296,199号、特開昭61−42658号等に記載のものが好ましい。
【0143】
発色色素の不要吸収を補正するためのカラード・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo. 17643のVII −G項、米国特許第4,163,670号、特公昭57−39413号、米国特許第4,004,929号、同第4,138,258号、英国特許第1,146,368号に記載のものが好ましい。また、米国特許第4,774,181号に記載のカップリング時に放出された蛍光色素により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや、米国特許第4,777,120号に記載の現像主薬と反応して色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基として有するカプラーを用いることも好ましい。
【0144】
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,570号、西独特許(公開)第3,234,533号に記載のものが好ましい。
【0145】
ポリマー化された色素形成カプラーの典型例は、例えば米国特許第3,451,820号、同第4,080,221号、同第4,367,288号、同第4,409,320号、同第4,576,910号、英国特許第2,102,173号に記載されている。
【0146】
カップリングに伴って写真的に有用な残基を放出するカプラーもまた本発明で好ましく使用できる。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のRD17643、VII −F項に記載された特許、特開昭57−151944号、同57−154234号、同60−184248号、同63−37346号、同63−37350号、米国特許4,248,962号、同4,782,012号に記載されたものが好ましい。
【0147】
その他、本発明の感光材料に用いることのできるカプラーとしては、米国特許第4,130,427号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,472号、同第4,338,393号、同第4,310,618号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950号、特開昭62−24525号等に記載のDIRレドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしくはDIRレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第173,302A号、同第313,308A号に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、R.D.No.11449、同No.24241、特開昭61−201247号等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米国特許第4,553,477号等に記載のリガンド放出カプラー、特開昭63−75747号に記載のロイコ色素を放出するカプラー、米国特許第4,774,181号に記載の蛍光色素を放出するカプラーが挙げられる。
【0148】
本発明のカラー感光材料中には、例えば特開昭63−257747号、同62−272248号、および特開平1−80941号に記載の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールの各種の防腐剤もしくは防黴剤を添加することが好ましい。
【0149】
本発明に使用できる適当な支持体は、例えば、前述のRD.No.17643の28頁、および同No.18716の647頁右欄から648頁左欄に記載されている。
【0150】
本発明の写真乳剤を使用した感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。また膜膨潤速度T1/2 は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。膜厚は、25℃相対温度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、膜膨潤速度T1/2 は、当該技術分野において公知の手法に従って測定することができる。たとえば、エー・グリーン(A.Green)らによりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング (Photogr,Sci.Eng,),19巻、2号、124〜129頁に記載の型のスエローメータ(膨潤計)を使用することにより、測定でき、T1/2 は発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、飽和膜厚の1/2に到達するまでの時間と定義する。
【0151】
膜膨潤速度T1/2 は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。また膨潤率は150%以上400%以下が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚に従って計算する。
【0152】
本発明に従ったカラー写真感光材料は、US−4141735記載中の熱処理されたポリ(アルキレン芳香族ジカルボキシレート)重合体の支持体を使用することもできる。
【0153】
本発明に従ったカラー写真感光材料は、前述のRD.No.17643の28〜29頁、および同No.18716の615左欄〜右欄に記載された通常の方法によって現像処理することができる。
【0154】
また反転処理を実施する場合は通常白黒現像を行ってから発色現像する。この黒白現像液には、例えば、ハイドロキシンのようなジヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−3−ピラゾリドンのような3−ピラゾリドン類またはN−メチル−p−アミノフェノールのようなアミノフェノール類のような公知の黒白現像主薬を単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0155】
本発明の写真乳剤を使用したハロゲン化銀カラー写真感光材料は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えば、カプラーのような使用素材による)、用途、更には水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向流、順流等の補充方式、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers第64巻、P.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で、求めることができる。
【0156】
前記文献に記載の多段向流方式によれば、水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の滞留時間の増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。本発明のカラー感光材料の処理において、このような問題の解決策として、特開昭62−288838号に記載のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、例えば特開昭57−8542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、その他ベンゾトリアゾール、堀口博著「防菌防黴剤の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0157】
本発明の感光材料の処理における水洗水のpHは、4以上9以下であり、好ましくは5以上8以下である。水洗水温、水洗時間も、例えば感光材料の特性、用途で種々設定し得るが、一般には、15℃以上45℃以下で20秒以上10分以下、好ましくは25℃以上40℃以下で30秒以上5分以下の範囲が選択される。更に、本発明の感光材料は、上記水洗に代り、直接安定液によって処理することができる。このような安定化処理においては、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号に記載の公知の方法はすべて用いることができる。
【0158】
また、前記水洗処理に続いて、更に安定化処理する場合もあり、その例として、撮影用カラー感光材料の最終浴として使用される、ホルマリン浴が挙げられる。
【0159】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)乳剤の調製
a.Em−1の調製
臭化カリウム0.9g、不活性ゼラチン50g、硝酸アンモニウム4.5gを蒸留水1Lに溶かした水溶液をよく攪拌しながら、これに1規定水酸化ナトリウム17.4ccを加え、ダブルジェット法により、4%臭化カリウム水溶液と4%硝酸銀水溶液とを9分間にわたって加えた。この間、温度を72℃、pAgを7.1に保持した(この添加(1)で全銀量の10%を消費した)。続いてダブルジェット法で沃化カリウム4.1gが添加されるように沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを6.9に保ちながら37分間にわたって添加した(この添加(2)で全銀量の70.%を消費した)。さらに、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを7.4に保ちながら10分間にわたって添加した(この添加(3)で全銀量の20.0%を消費した)。続いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱した後、ベンゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学増感し、化学増感終了後化合物F−3を0.20g加えたのち1%KI水溶液を16cc添加し表面に高沃化銀部分を形成させた。その後S−1〜S−4の増感色素を最適量添加し、平均粒子直径が0.40μmである比較例用の立方体AgBrI(AgI=3.6モル%)乳剤Em−1を得た。
【0160】
b.Em−2の調製
上記Em−1の調製法において添加2において添加される沃化カリウム量を3.1gとし、添加2と添加3の間で、沃化カリウム1.0gを1.5%沃化カリウム水溶液として、一定速度で2分にわたって加える以外は同様の方法で、平均粒子直径が0.40μmである本発明の立方体AgBrI(AgI=3.6モル%)乳剤Em−2を調製した。
【0161】
c.Em−3の調製
上記Em−1の調製法において添加1までの調製を行った後、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを6.9に保ちながら37分間にわたって添加し(この添加(2)で全銀量の70%を消費した)、続いて、沃化カリウム4.1gを1.5%水溶液として一定速度で7分間にわたって添加する以外は同様の方法で平均粒子直径が0.40μmである比較例用の立方体AgBrI(AgI=3.6モル%)乳剤Em−3を調製した。
【0162】
d.Em−4の調製
臭化カリウム0.9g、不活性ゼラチン50g、硝酸アンモニウム4.5gを蒸留水1Lに溶かした水溶液をよく攪拌しながら、これに1規定水酸化ナトリウム15.0ccを加え、さらにダブルジェット法により、4%臭化カリウム水溶液と4%硝酸銀水溶液とを18分間にわたって加えた。この間、温度を72℃、pAgを7.1に保持した(この添加(1)で全銀量の10%を消費した)。続いてダブルジェット法で沃化カリウム4.1gが添加されるように沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを7.2に保ちながら37分間にわたって添加した(この添加(2)で全銀量の70%を消費した)。さらに、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを8.0に保ちながら10分間にわたって添加した(この添加(3)で全銀量の20.0%を消費した)。続いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱した後、ベンゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学増感し、化学増感終了後化合物F−3を0.15g加えたのち1%KI水溶液を32.0cc添加し表面に高沃化銀部分を形成させた。その後S−1〜S−4の増感色素を最適量添加し、平均粒子直径が0.50μmである比較例用の14面体AgBrI(AgI=3.7モル%)乳剤Em−4を調製した。
【0163】
e.Em−5の調製
上記乳剤Em−4の調製法において添加2において添加される沃化カリウム量を2.8gとし、添加3の添加中、全銀量の10%を添加したところで添加を中断し、沃化カリウム1.3gを1.5%沃化カリウム水溶液として、一定速度で2分にわたって添加した後、添加3を再開する以外は同様の方法で、平均粒子直径が0.50μmである本発明の14面体AgBrI(AgI=3.7モル%)乳剤Em−5を調製した。
【0164】
f.乳剤Em−6の調製
上記乳剤Em−4の調製法において添加1まで調製を行った後、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを7.2に保ちながら37分間にわたって添加し(この添加(2)で全銀量の70%を消費した)、更に添加3の添加中、全銀量の10%を添加したところで添加を中断し、沃化カリウム4.1gを1.5%水溶液として一定速度で7分間にわたって添加した後添加3を再開すること以外は同様の方法で平均粒子直径が0.50μmである比較例用の14面体AgBrI(AgI=3.7モル%)乳剤Em−6を調製した。
【0165】
g.乳剤Em−7の調製
臭化カリウム0.9g、不活性ゼラチン50g、硝酸アンモニウム4.0gを蒸留水1リットルに溶かした水溶液をよく攪拌しながら、これに1規定水酸化ナトリウム12.0ccを加え、さらにダブルジェット法により、4%臭化カリウム水溶液と4%硝酸銀水溶液とを5分間にわたって加えた。この間、温度を72℃、pAgを7.1に保持した(この添加(1)で全銀量の10%を消費した)。続いてダブルジェット法で沃化カリウム4.1gが添加されるように沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを8.3に保ちながら37分間にわたって添加した(この添加(2)で全銀量の70%を消費した)。さらに、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを8.5に保ちながら10分間にわたって添加した(この添加(3)で全銀量の20.0%を消費した)。続いて、50℃にてチオシアン酸ナトリウムで20分熟成した後、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱した後、ベンゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学増感し、化学増感終了後化合物F−3を0.25g加えた後、1%KI水溶液を25.0cc添加し表面に高沃化銀部分を形成させた。その後S−1〜S−4の増感色素を最適量添加し、平均粒子直径が0.30μmである比較例用の八面体gBrI(AgI=3.7モル%)Em−7を調製した。このとき特開昭58−107530 記載の方法で測定した粒子の角の丸みは1/7rであった。
【0166】
g.乳剤Em−8の調製
上記Em−7の調製法において、添加2において添加される沃化カリウム量を2.8gとし、添加2の途中全銀量の50%を添加したところで添加を中断し、沃化カリウム1.3gを1.2%沃化カリウム水溶液として、一定速度で2分にわたって加えた後添加2を再開する以外は同様の方法で、平均粒子直径が0.30μmである本発明の八面体AgBrI(AgI=3.7モル%)乳剤Em−8を調製した。
【0167】
h.乳剤Em−9の調製
上記Em−7の調製法において、添加1まで行った後、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを8.3に保ちながら添加し、全銀量の50%を添加したところで、沃化カリウム4.1gを1.2%水溶液として一定速度で7分間にわたって添加した後添加2を再開する(この添加(2)で全銀量の70%を消費した)すること以外同様の方法で平均粒子直径が0.30μmである比較例用の8面体AgBrI(AgI=3.7モル%)乳剤Em−9を調製した。
【0168】
i.乳剤Em−10の調製
臭化カリウム12g、不活性ゼラチン25gを蒸留水4リットルに溶かした水溶液をよく攪拌しながら、ダブルジェット法により、14%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液とを1分間にわたって加えた。この間、温度を50℃に保持した(この添加(1)で全銀量の10%を消費した)。その後、ゼラチン溶液(17%、300cc)を加えて75℃まで昇温した後、25%の硝酸アンモニウム水溶液40ccと1Nの水酸化ナトリウム75ccを添加し、15分間保持した後1NのHSOを500cc添加した。続いてダブルジェット法で沃化カリウム2.0gが添加されるように沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を75℃、pAgを8.4に保ちながら添加した(この添加(2)で全銀量の70%を消費した)。その後、45℃に温度を下げ臭化カリウムを添加してpAgを9.3に調節後、沃化カリウム0.4gを1.2%水溶液として一定速度で2分間にわたって添加した。その後、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液をpAgを8.4に保ちながら10分間にわたって添加した(この添加(3)で全銀量の20.0%を消費した)。続いて上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱した後、ベンゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学増感し、化学増感終了後化合物F−3を0.25g加えたのち1%KI水溶液を25.0cc添加し表面に高沃化銀部分を形成させた。その後S−1〜S−4の増感色素を最適量添加し、平均粒子直径が0.70μmである本発明の平板AgBrI(AgI=2.0モル%)Em−10を調製した。
【0169】
j.乳剤Em−11の調製
上記Em−10の調製法において、添加2の添加時に沃化カリウムを添加せず、その後の沃化カリウム単独添加の添加時のKIの添加量を2.4gとすること以外同様の方法で平均粒子直径が0.70μmである比較例用の平板AgBrI(AgI=2.0モル%)乳剤Em−11を調製した。
【0170】
k.乳剤Em−12の調製
臭化カリウム11g、不活性ゼラチン27gを蒸留水3.5リットルに溶かした水溶液をよく攪拌しながら、ダブルジェット法により、14%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液とを2分間にわたって加えた。この間、温度を35℃に保持した(この添加(1)で全銀量の10%を消費した)。その後、ゼラチン溶液(17%、300cc)を加えて75℃まで昇温した後、25%の硝酸アンモニウム水用液40ccと1Nの水酸化ナトリウム75ccを添加し、15分間保持した後1NのHSOを500cc添加した。続いてダブルジェット法で沃化カリウム4.0gが添加されるように沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を75℃、pAgを8.4に保ちながら添加した(この添加(2)で全銀量の50%を消費した)。その後、50℃に温度を下げ臭化カリウムを添加してpAgを9.3に調節後、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液をpAgを8.4に保ちながら5分間添加した(この添加(3)はここまでで全銀量の10.0%を消費した。)。その後、沃化カリウム0.8gを1.2%水溶液として一定速度で2分間にわたって添加した後、添加3を再開し10分間にわたって添加した(この添加(4)で全銀量の30.0%を消費した)。続いて上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱した後、ベンゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学増感し、化学増感終了後化合物F−3を0.25g加えたのち1%KI水溶液を25.0cc添加し表面に高沃化銀部分を形成させた。その後S−11〜S−12の増感色素を最適量添加し、平均粒子直径が0.55μmである本発明の平板AgBrI(AgI=4.0モル%)Em−12を調製した。
【0171】
l.乳剤Em−13の調製
上記Em−12の調製法において、添加2の添加時に沃化カリウムを添加せず、その後の沃化カリウム単独添加の添加時のKIの添加量を4.8gとすること以外同様の方法で平均粒子直径が0.55μmである比較例用の平板AgBrI(AgI=4.0モル%)乳剤Em−13を調製した。
【0172】
m.乳剤Em−20の調製
臭化カリウム0.9g、不活性ゼラチン50g、硝酸アンモニウム4.5gを蒸留水1リットルに溶かした水溶液をよく攪拌しながら、これに1規定水酸化ナトリウム17.4ccを加え、さらにダブルジェット法により、4%臭化カリウム水溶液と4%硝酸銀水溶液とを7分間にわたって加えた。この間、温度を72℃、pAgを7.1に保持した(この添加(1)で全銀量の10%を消費した)。続いてダブルジェット法で沃化カリウム3.8gが添加されるように沃化カリウムを含む20%臭化カリウム水溶液および、20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを6.9に保ちながら37分間にわたって添加した(この添加(2)で全銀量の70.%を消費した)。次に、沃化カリウム0.5gを1.2%沃化カリウム水溶液として、一定速度で2分にわたって加えた後、ダブルジェット法で20%臭化カリウム水溶液と20%硝酸銀水溶液を温度を72℃、pAgを7.4に保ちながら10分間にわたって添加した(この添加(3)で全銀量の20.0%を消費した)。続いて、上記乳剤に対して35℃にて公知のフロキュレーション法により水洗し、ゼラチンを加え60℃に加熱した後、ベンゼンチオスルフォン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルセレノウレア、塩化金酸を用いて最適に化学増感し、化学増感終了後化合物F−3を0.17g加えたのち1%KI水溶液を12.0cc添加し表面に高沃化銀部分を形成させた。その後S−5〜S−10の増感色素を最適量添加し、平均粒子直径が0.45μmである本発明の立方体AgBrI(AgI=3.7モル%)乳剤Em−20を得た。
【0173】
n.乳剤21〜37の調製
Em−20を基本として粒子の沃度構造、沃度量、表面の沃化銀量、を変化させた乳剤21〜37を調製した。
【0174】
o.乳剤40〜43の調製
前記Em−20を基本として、表面の沃化銀量、化学増感剤の種類を変化させた乳剤40〜43を調製した。
【0175】
Em−1からEm−13の粒子構造を表1に、Em−20からEm−37の粒子構造を表2に示す。Em−40〜43の粒子構造を表3に示す。
【0176】
【表1】
Figure 0003567005
【0177】
【表2】
Figure 0003567005
【0178】
【表3】
Figure 0003567005
【0179】
(2)塗布試料の作成
以上の乳剤に各々塗布助剤として増粘剤としてポリビニルベンゼンスルフォネート、硬膜剤としてビニルスルフォン系化合物、安定剤として化合物F−3を加えて乳剤塗布液を調製した。続いてこれ等の塗布液を下塗り加工したポリエステル支持体上に均一に塗布し、その上に主にゼラチン水溶液からなる表面保護層を塗布して、Em1〜13、20〜37、40〜43を含む塗布試料101〜113、120〜137、140〜143を作製した。
【0180】
このとき各々の塗布銀量は2.0g/m、保護層のゼラチン塗布量は2.0g/mであった。
【0181】
(3)塗布試料の評価
a.感度
上記試料試料112、113以外はマイナスブルーフィルムを通じて、試料112、113はマイナスブルーフィルムを用いずに1/100秒間露光し、下記の処理液を用いて現像処理を行った。
処理液
1−フェニル−3−ピラゾリドン 0.5g
ヒドロキノン 10g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 2g
亜硫酸カリウム 60g
ほう酸 4g
炭酸カリウム 20g
臭化ナトリウム 5g
ジエチレングリコール 20g
水酸化ナトリウムでpH10.0に調整
水を加えて 1リットル
このようにして塗布したフィルムをかくして得られたセンシトメトリー結果を表4に示す。ここで感度はかぶり+0.2の濃度を与える露光量の逆数の相対値で示した。
【0182】
b.インキュベーション耐性
上記塗布試料をフリーザーで保存しておいた試料(コントロール試料)と50℃55%に7日間保存しておいた試料を取り出し露光、処理したときの感度の差(ΔS1)を測定し、結果を表4〜6に示した。ΔS1の絶対値が小さいほどインキュベーション耐性に優れていることを示す。
【0183】
c.潜像保存性
上記塗布試料を1/100秒間ウェッジ露光を行ってから50℃、40%に14日間保存後、処理を行った試料の感度と露光直後に上記処理を行なった試料の感度との感度の差(ΔS2)を測定し、結果を表4〜6に示した。ΔS2の絶対値が小さいほど潜像保存性が優れていることを示す。
【0184】
d.圧力性
得られた塗布試料を25℃で湿度40%に調湿された条件下で折り曲げる。この折り曲げは、直径6mmの鉄棒に沿って180°曲げられた。この操作の直後に、1/100秒間のウェッジ露光を与え、上記処理を行った。加圧試料とコントロール試料の感度の差(ΔS3)を測定し、結果を表4〜6に示した。ΔS3の絶対値が小さいほど圧力性が優れていることを示す。
【0185】
【表4】
Figure 0003567005
【0186】
【表5】
Figure 0003567005
【0187】
【表6】
Figure 0003567005
【0188】
表4、表5および表6から本発明の乳剤は感度が高く、潜像保存性、インキュベーション耐性、圧力性がいずれも良好であることがわかる。
【0189】
例えば、試料102と試料101との比較、試料105と試料104との比較、試料108と試料107の比較から、本発明の5重構造の粒子を用いた場合には、沃度コンバージョン層を持たない4重構造粒子を用いた場合に比べ感度が高く、潜像保存性、圧力性に優れ、試料102と試料103との比較、試料105と試料106との比較、試料108と試料109との比較、試料110と試料111との比較、試料112と試料113との比較から本発明の5重構造粒子は沃度コンバージョン層のみ有する4重構造粒子に対して、潜像保存性、インキュベーション耐性、圧力性が良好であることが明かである。また、この粒子の効果は試料120から試料137のデータから明らかなように本発明の範囲の時に顕著であることがわかる。さらに試料140から143の結果から、本発明の効果は本発明のセレン化合物が存在する場合の時に顕著であることがわかる。
【0190】
(実施例2)
(1).試料201の作製
下塗りを施した厚み127 μmの三酢酸セルロースフィルム支持体上に、下記の組成の各層より成る多層カラー感光材料を作製し、試料201とした。数字は平方メートル当りの添加量を表わす。なお添加した化合物の効果は記載した用途に限らない。
【0191】
Figure 0003567005
【0192】
Figure 0003567005
【0193】
Figure 0003567005
【0194】
Figure 0003567005
【0195】
Figure 0003567005
【0196】
Figure 0003567005
【0197】
Figure 0003567005
【0198】
Figure 0003567005
【0199】
Figure 0003567005
【0200】
Figure 0003567005
【0201】
Figure 0003567005
【0202】
Figure 0003567005
【0203】
Figure 0003567005
【0204】
Figure 0003567005
【0205】
Figure 0003567005
【0206】
Figure 0003567005
【0207】
Figure 0003567005
【0208】
Figure 0003567005
【0209】
Figure 0003567005
【0210】
用いた感光性ハロゲン化銀乳剤は表7、表8に示した。
【0211】
【表7】
Figure 0003567005
【0212】
【表8】
Figure 0003567005
【0213】
また、上記組成物の他に添加剤F−1〜F−8、界面活性剤W−1〜W−6、ゼラチン硬化剤H−1を添加した。
更に防腐、防黴剤としてフェノール、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、p−安息香酸ブチルエステルを添加した。
【0214】
【化9】
Figure 0003567005
【0215】
【化10】
Figure 0003567005
【0216】
【化11】
Figure 0003567005
【0217】
【化12】
Figure 0003567005
【0218】
【化13】
Figure 0003567005
【0219】
【化14】
Figure 0003567005
【0220】
【化15】
Figure 0003567005
【0221】
【化16】
Figure 0003567005
【0222】
【化17】
Figure 0003567005
【0223】
【化18】
Figure 0003567005
【0224】
【化19】
Figure 0003567005
【0225】
【化20】
Figure 0003567005
【0226】
【化21】
Figure 0003567005
【0227】
【化22】
Figure 0003567005
【0228】
【化23】
Figure 0003567005
【0229】
(2)試料202〜243の作製
試料201の第5層に添加する乳剤Em−1をEm−2〜9に置きかえることにより試料201〜209を、第6層に使用する乳剤EをEm−10〜Em−11に置き換えることにより試料210〜211を、第10層に添加する乳剤KをEm−20〜37、Em−40〜43に置き換えることにより試料220〜237、試料240〜243を、第16層乳剤RをEm−12〜13に置き換えることにより試料212〜213を作製した。
【0230】
(3)試料の評価
a.感度
作製した試料201〜213、220〜237、240〜243を2000 lux、1/50秒の色温度4800Kの白色光源を用い、ウェッジ露光を行い、以下の現像処理を行った。試料201〜209はシアン濃度1.0を、試料210〜211はシアン濃度2.0を与える相対露光量の逆数の相対値で、試料212〜213はイエロー濃度2.0を与える相対露光量の逆数の相対値で、試料220〜237、240〜243はマゼンタ濃度1.0を与える相対露光量の逆数の相対値で感度を測定した。
【0231】
b.インキュベーション耐性
試料をフリーザーで保存しておいた試料と50℃55%に7日間保存しておいた試料を取り出し露光、処理したときの感度差を測定した。この感度差が小さいほど保存安定性に優れていることを示す。
【0232】
c.潜像保存性
上記塗布試料を、ウェッジ露光を行ってから50℃、40%に14日間保存後、処理を行った試料の感度と露光直後に上記処理を行なった試料の感度との感度差を測定した。感度差が小さいほど潜像保存性が優れていることを示す。
【0233】
Figure 0003567005
各処理液の組成は以下の通りであった。
Figure 0003567005
Figure 0003567005
Figure 0003567005
【0234】
試料101〜143の結果と同様に、本発明の乳剤を含有した試料は感度が高く、潜像保存性、インキュベーション耐性が良好であり、本発明の効果は本発明のセレン化合物が存在する時に顕著であった。
【0235】
(3)試料301〜313の作製
上記試料201より第5層に添加する乳剤Em−1を乳剤Dに置きかえ、かつ第10層に添加する乳剤KをEm−10に置き換え、かつ第10層に内部をかぶらせた微粒子沃臭化銀乳剤(平均粒径0.15μm、変動係数10%、沃化銀含量1mol%、かぶせ微粒子と呼ぶ)と化合物F−3を表10のごとく添加し、第6層の乳剤Lを表9に示した乳剤Tに置き換えることにより試料301から305を作製した。
【0236】
【表9】
Figure 0003567005
【0237】
Figure 0003567005
【0238】
上記試料201の第5層に添加する乳剤Em−1、かつ第6層に添加する乳剤E、Fを表11のごとく置き換え、かつ第5層に表面及び内部をかぶらせ微粒子と化合物F−3を表11のごとく添加することにより試料306から314を作製した。
【0239】
Figure 0003567005
【0240】
(3)試料の評価
上記試料は201〜230と同様に感度、インキュベーション耐性、潜像保存性の評価を同様に行なった。尚、試料301〜305に関してはマゼンタ感度で、試料306〜313に関してはシアン感度で評価を行ない、結果を表12、表13に示す。尚、シャープネスに関しては白色でMTF測定用のパターンを通して露光し、試料301〜305に関してはマゼンタ色像で、試料306〜313に関してはシアン色像でMTFを測定し空間周波数が10サイクル/mm及び30サイクル/mmの場合に関して評価を行なった。
【0241】
【表10】
Figure 0003567005
【0242】
【表11】
Figure 0003567005
【0243】
表12および表13からわかる通り、本発明の乳剤と同一乳剤層中に化合物F−3を用いた場合は、高感化しインキュベーション耐性、および、潜像保存性が良化する。また、かぶらせ微粒子を本発明の乳剤と同一乳剤層中に用いた場合には、感度が高感化するとともに、シャープネスが良化している。また、本発明の乳剤の同一色感光性ユニットの該ハロゲン化銀乳剤層より支持体から離れた層に平板状ハロゲン化銀乳剤を含む場合には、シャープネスが良化している。
【0244】
例えば、試料301と試料302の比較、試料306と試料307の比較より、本発明の乳剤と同一層内に化合物F−3を含有する場合は、感度が高く、インキュベーション耐性や潜像保存性も良好である。また、試料302と試料303の比較、試料307と試料308の比較より、本発明の乳剤と同一層内にかぶらせ微粒子を含有する場合は、感度が高く、シャープネスも良化している。一方、試料301と試料304、試料303と試料305、試料306と試料309、試料308と試料310の比較より、本発明の乳剤の同一色感光性ユニットの該ハロゲン化銀乳剤層より支持体から離れた層に平板状ハロゲン化銀乳剤を含む場合には、シャープネスの改良効果が著しいことがわかる。
【0245】
(実施例3)
1)支持体
本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作製した。
市販のポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100重量部と紫外線吸収剤として Tinuvin P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy 社製)2重量部とを常法により乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し140℃で3.0倍の縦延伸を行い、続いて130℃で3.0倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPENフィルムを得た。
さらに、その一部を直径20cmのステンレス巻き芯に巻付けて、110℃、48時間の熱履歴を与えた。
2)下塗層の塗設
上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処理、さらにグロー放電処理、および火焔処理をした後、それぞれの面に下記組成の下塗液を塗布して、下塗層を延伸時高温面側に設けた。コロナ放電処理はピラーPillar社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、30cm幅支持体を20m/分で処理する。このとき、電流・電圧の読み取り値より、被処理物は0.375KV・A・分/mの処理がなされた。処理時の放電周波数は、9.6KHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは、1.6mmであった。又UV放電処理は、75℃で加熱しながら放電処理した。さらにグロー放電処理は、円柱電極で3000Wで30秒間照射した。
Figure 0003567005
【0246】
3)バック層の塗設
下塗後の上記支持体の片方の面に、バック層として下記組成の帯電防止層、磁気記録層、および滑り層を塗設した。
3−1)帯電防止層の塗設
3−1−1)導電性微粒子分散液(酸化スズ−酸化アンチモン複合物分散液)の調製
塩化第二スズ水和物230重量部と三塩化アンチモン23重量部をエタノール3000重量部に溶解し、均一溶液を得た。この溶液に、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を前記溶液のpHが3になるまで滴下し、コロイド状酸化第二スズと酸化アンチモンの共沈澱を得た。得られた共沈澱を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイド状沈澱を得た。
【0247】
赤褐色コロイド状沈澱を遠心分離により分離した。過剰なイオンを除くため、沈澱に水を加え遠心分離によって水洗した。この操作を3回繰り返し、過剰イオンを除去した。
過剰イオンを除去したコロイド状沈澱200重量部を水1500重量部に再分散し、650℃に加熱した焼成炉に噴霧し、青味がかった平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複合物の微粒子粉末を得た。この微粒子粉末の比抵抗は5Ω・cmであった。
上記の微粒子粉末40重量部と水60重量部の混合液をpH7.0に調製し、攪拌機で粗分散の後、横型サンドミル(商品名ダイノミル;WILLYA.BACHOFENAG 製)で滞留時間が30分になるまで分散して調製した。この時の二次凝集体の平均粒径は約0.04μmであった。
【0248】
3−1−2)導電性層の塗設
下記の処方による導電性層を乾燥膜厚が0.2μmになるように塗布し、115℃で60秒間乾燥した。
Figure 0003567005
得られた導電性膜の抵抗は、108.0(100V) であり、優れた帯電防止性能を有するものであった。
3−2)磁気記録層の塗設
磁性体 Co−被着γ−Fe(長軸0.14μm、単軸0.03μmの針状、比表面積41m/g、飽和磁化89 emu/g、表面は酸化アルミと酸化珪素でそれぞれFeの2重量%で表面処理されている。保磁力930 Oe、Fe+2/Fe+3比は6/94)1100gを水220g及びポリ(重合度16)オキシエチレンプロピル トリメトキシシランのシランカップリング剤を150g添加して、オープンニーダーで3時間良く混練した。この粗分散した粘性のある液を70℃で1昼夜乾燥し、水を除去した後、110℃、1時間加熱して表面処理をした磁気粒子を作製した。
さらに以下の処方で、再びオープンニーダーにて混練した。
【0249】
Figure 0003567005
さらに、以下の処方でサンドミル(1/4G)で200rpm、4時間微細分散した。
Figure 0003567005
さらにジアセチルセルロースと、硬化剤としてトリメチロールプロパン−トルエンジイソシアナートの3倍モル付加物をバインダーに対して20wt%添加した。得られた液の粘度が約80cpとなるように、等量のメチルエチルケトンとシクロヘキサノンで希釈した。又、塗布は、上記の導電性層の上にバーコーターで膜厚が1.2μmとなるように行なった。磁性体の量は62mg/mとなるように塗布した。またマット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と研磨剤の酸化アルミ(0.5μm)をそれぞれ10mg/mとなるように添加した。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃となっている)。
X−ライトのステータスMでブルーフィルターを用いた時の、磁気記録層のDの色濃度の増加分は、約0.1であった。また、磁気記録層の飽和磁化モーメントは4.2 emu/m、保磁力923 Oe、角形比は65%であった。
【0250】
3−3)滑り層の調製
下記処方液を化合物の固形分塗布量が下記のようになるように塗布し、110℃で5分乾燥させて滑り層を得た。
Figure 0003567005
なお、化合物a/化合物b(6:9)は、キシレンとプロピレングリコールモノメチルエーテル(容量比1:1)溶媒中で105℃に加熱、溶解し、この液を10倍量のプロピレングリコールモノメチルエーテル(25℃)に注加して微細分散液とした。さらに5倍量のアセトン中で希釈した後、高圧ホモジナイザー(200気圧)で再分散し、分散物(平均粒径0.01μm)にしてから添加して用いた。
得られた滑り層の性能は、動摩擦係数0.06(5mmφのステンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/minute) 、静摩擦係数0.07(クリップ法)であり、優れた特性を有する。また後述する乳剤面との滑り特性も動摩擦係数0.12であった。
【0251】
4)感材層の塗設
次に、前記で得られたバック層の反対側に、実施例2の試料201〜243に対応する感材層を塗設した感光材料試料401〜443を得た。ここで下二桁の番号が同じ試料は同一の感材層を有する。
【0252】
試料401〜443に対し実施例2と全く同じテストを行ない、本発明の試料は比較例に比して優れた結果を得た。
【0253】
【発明の効果】
本発明のハロゲン化銀乳剤、およびハロゲン化銀写真感光材料は、応力による写真性変化が少なく、感度が高く、潜像保存性、インキュベーション耐性が良好であるという特徴を有する。

Claims (11)

  1. 内部核が臭化銀もしくは沃化銀含有率が1モル%以下の沃臭化銀からなり、該内部核の外側に沃化銀含有率が2モル%以上20モル%以下の沃臭化銀からなる第1被覆層を有し、該第1被覆層の外側に沃化銀含有率が第1被覆層よりも低く、かつ3モル%以下の沃臭化銀もしくは臭化銀からなる第2被覆層を有するハロゲン化銀乳剤粒子において、全銀量の3%以上97%以下が形成される任意の時点および第2被覆終了後に沃化物イオンによるハロゲンコンバージョン、あるいは沃化銀微粒子の添加、あるいは銀イオンと沃化物イオンの添加により高沃度相を設けることを特徴とするハロゲン化銀乳剤粒子からなるハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 該ハロゲン化銀粒子のトータル沃度含量が5モル%以下であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 該ハロゲン化銀粒子が立方体、14面体、八面体であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  4. 該ハロゲン化銀粒子サイズ分布の変動係数が20%以下の単分散乳剤であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  5. 該ハロゲン化銀粒子がセレン増感されたことを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  6. 該ハロゲン化銀粒子の内部核の形成に種晶粒子を用いることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  7. 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、請求項1記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  8. 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層に、請求項2ないし6記載の乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  9. 同一乳剤層中にかぶらせ乳剤を含有することを特徴とする請求項7記載のハロゲン化銀感光材料。
  10. 同一乳剤層中に一般式(1)の化合物を含有することを特徴とする請求項7記載のハロゲン化銀感光材料。
    一般式(1)
    Figure 0003567005
    式中、Rは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基またはアルコキシカルボニル基を表わし、R及びRは水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表わし、nは3〜5の整数を表わす。
  11. 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料において、ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層中に、請求項1記載の乳剤を含有し、かつ同一色感光性ユニットの該ハロゲン化銀乳剤層より支持体から離れた層に平板状ハロゲン化銀乳剤を含むことを特徴とするハロゲン化銀感光材料。
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