JP3566538B2 - インダクタ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層回路基板やマルチチップモジュール・ハイブリット回路等の印刷回路に好適な、2次元的な形状で大きなインダクタンスを得ることができるインダクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インダクタは、通常、図12に概略の原理図で示すように、1枚の面を張るように構成された電流Iの流れている閉じた環状の導体線1と、そのように張られた面と交差する磁束密度Bの和である交差磁束Φとで形成される。
【0003】
また、インダクタは、図13に図12と同様の概略の原理図で示すように、理想的には直径がDである環状の導体線1の周囲に理想的には無限の大きさの空間、実用的にはその張られた面と同程度の寸法である約Dの厚みと約2Dの直径の大きさの周りの空間を必要とすることから、通常は3次元的な形状の構成となる。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】
前述のようにインダクタは、環状の導体線1およびその導体線1の張られる面の面積に対して交差磁束Φを確保するためにこの面積と同じ程度の大きさの周りの空間を必要とすることから、通常は3次元的な形状を必要とする。これに対し、インダクタの小型化を図るべくより次元の低い形の構造、例えば2次元的な形状のインダクタを実現するために、従来より多層回路基板等において電子回路の一部を構成するインダクタを厚膜印刷技術や薄膜技術により2次元的な形状で形成することが行なわれている。
【0005】
しかし、この場合、単純な環状の導体線を形成するだけでは、環状の導体線の上下の空間が制限されることにより交差磁束が減少したり損失が増大したりしてインダクタンス値が小さくなってしまうという欠点があるため、小型化を図りつつ十分なインダクタンス値を確保することは困難であった。
【0006】
これは、環状の導体線の張られる面に対して無理に小さな厚みとした2次元的な形状とすると、張られる面を交差する交差磁束が減少してインダクタンス値が減少し、また損失によりQ値も悪化するためである。
【0007】
これに対し、従来より、上記の欠点をある程度容認した上でその欠点を補いつつ2次元的な形状で所望のインダクタンスを得るためのインダクタとして、例えば図14に斜視図で概略構成を示すミアンダ型インダクタや、図15に同じく斜視図で概略構成を示すマイクロストリップ線路の一端を短縮したもの等が知られている。
【0008】
図14に示すミアンダ型インダクタは、基板2上に導体線3をジグザク的なパターンにして配設し、少しでも導体線3の長さを確保しようとしたものである。しかし、このような構成とすることは何ら本質的な改善では無く、経験的に僅かにインダクタンス値が増えることが知られているのみであり、十分なインダクタンス値が得られないという問題点があった。
【0009】
また、図15に示すように基板4上に形成されたマイクロストリップ線路5の一端をビア導体6等により短絡してインダクタとする場合は、スパイラルインダクタやミアンダ型インダクタと比較して、ビア導体6の寸法を確保するための基板4の厚みやマイクロストリップ線路5の長さ方向の寸法が必要であり、しかも実用的な特性インピーダンスとの関係でインダクタンス値が小さい等、使用するスペースの効率がさらに良くないという問題点があった。
【0010】
これら図14および図15に示すインダクタは、主に自己インダクタンスのみを利用するものである。
【0011】
一方、自己インダクタンスのみではなく相互インダクタンスを用いてインダクタンス値を増加させる手法によるインダクタンスもある。そのようなインダクタンスの例として、図16に斜視図で概略構成を示すスパイラルインダクタや、図17に同じく斜視図で概略構成を示すインダクタ、あるいは図18に概略の原理図で示すインダクタ等がある。
【0012】
図16に示すスパイラルインダクタは、基板7上に導体線8をスパイラル状に配設し、相互インダクタンスを利用して少しでもイングクタンス値をあげようとするものである。しかし、インダクタとしての厚みを制限したことによる交差磁束の減少に関しては何ら改善は無く、導体線8を複数巻きにすることによる改善効果も僅かであるという問題点があった。
【0013】
次に、図17に示すインダクタは、基板9上で2つのループ(環状部分)が隣接するように導体線10を並列に配設してエアブリッジ(立体配線)で接続し、それらループ間の相互インダクタンスを有効に利用しようとするものである。この場合は、2つのループを並列に配設することから基板9上で小型化を図ることが困難であるとともに、個々のループが必要とする空間厚みに関しても何ら改善は無いという問題点があった。
【0014】
また、図18に示すインダクタは、スパイラル状の導体線11を3次元的に積み上げて上下のループ間の相互インダクタンスを有効に利用しようとするものであるが、この場合は、3次元的に積み上げて配線する構造が必要となるため、2次元的な形状として小型化を図ることができないという問題点があった。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みて本発明者が鋭意研究に努めた結果完成されたものであり、その目的は、厚膜印刷技術や薄膜形成技術といった多層回路基板の製造に容易に適用できる技術でもって形成でき、各種の回路基板に対して高集積化や高密度実装化に対応して形成するのに適した2次元的な形状でありながら、従来の2次元的な形状のインダクタよりも大きなインダクタンスを得ることができるインダクタを提供することにある。
【0016】
【問題点を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を解決するため、3次元形状のインダクタと同程度のインダクタンス値を、より次元を低く、すなわちほぼ2次元の形状に近くした厚みの薄い形状のインダクタにより実現する手段を提案するものである。
【0017】
本発明者は、複数の誘電体基板上にそれぞれ所定の配列でもって導体線により正方形状の環状のインダクタすなわち方形輪を多数配設して、それらを閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群を形成し、それらの誘電体基板を各閉曲線状方形輪群のそれぞれの方形輪同士の相互インダクタンスが正となるように上下に重ねて、閉曲線状方形輪群の一部に接続した端子導体を介して一続きの導体線とすることにより、厚みの薄いほぼ2次元的な形状で所望の大きなインダクタンス値を有するインダクタを実現することができることを見出した。
【0018】
すなわち、本発明のインダクタは、複数の誘電体基板の各々に下記条件▲1▼または▲2▼を満たす正方形群の各正方形に沿って導体線を配設して方形輪群を形成するとともに、各方形輪の隣接する角部の少なくとも一方を切断し、該切断した隣接する角部同士を全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群を形成し、かつ該閉曲線状方形輪群の一部を切断して外部導出用の端子導体を接続し、これら複数の誘電体基板を前記閉曲線状方形輪群の各方形輪同士の相互インダクタンスが正となるように上下に重ねて前記端子導体同士を接続して成ることを特徴とするものである。
▲1▼ 1辺の長さがaの正方形を、第1列にn個(nは自然数)を間隔aで配置し、第1列に隣接させて第2列にn個(nはn−1≦n≦n+1の自然数)を第1列と互い違いに間隔aで配置し、以下、順次同様に第m−1列に隣接させて第m列(mは2以上の自然数)にn個(nはnm−1 −1≦n≦nm−1 +1の自然数)を第m−1列と互い違いに間隔aで配置して、市松模様状に配置した正方形群である。
【0019】
▲2▼ 市松模様状の正方形群の少なくとも一部を縮小または拡大して、平面状または曲面上に変形させて配置した正方形群である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインダクタについて図面を参照しながら説明する。
本発明のインダクタは、図1に概略の原理図で示す、誘電体基板(図示せず)上に形成された導体線12により構成される一辺の長さがaの正方形状の方形輪(方形のループインダクタ)13を基本インダクタとするものである。
【0021】
この方形輪13のインダクタンスへ寄与する磁界は、同図中に磁束密度Bで示すように磁界分布が一様でなく、正方形の中央部は強く角の部分は弱い分布となる。この磁界分布を利用して、平面上の複数のループの接続では避けられない相互インダクタンスが負となる導体線の配置を、磁界分布の弱い箇所すなわち方形輪13の角の部分に割り当て、最小の多層構造あるいは立体配線でもって、相互インダクタンスが正となる導体線の配置を、磁界分布の強い箇所すなわち方形輪13の中央部に割り当てるようにする。本発明のインダクタにおいては、このようにして最小の立体配線でほぼ平面構造のインダクタのインダクタンス値の確保を図っている。
【0022】
次に、図2に斜視図で示すように、誘電体基板14上に形成した導体線15により、一辺の長さがaの正方形状の方形輪16をn個(この例ではn=3)を互いに結合が無視できるまで離して直列に接続して配置し、これらのインダクタンスをLとすると、全体のインダクタンス値は個々のインダクタンスのn倍すなわち3倍となる。
【0023】
しかし、n個の方形輪16が同じ誘電体基板14の一平面上にあり、かつそれぞれの方形輪16を流れる電流の向きが同図中に矢印で示すように同じ場合は、各方形輪16の結合は必ず相互インダクタンスが負となり、ある方形輪16で誘起した磁束密度Bは他の方形輪16で誘起した磁束密度Bによる交差磁束を打ち消す向きとなる。そのため、このような配置では、n個の方形輪16を直列に接続しても全体のインダクタンス値はnLよりも小さなものとなる。また、n個の方形輪16を直列に接続する場合は、立体配線や配線の交差なしでは相互インダクタンスが正となる電流の向きには接続することができない。
【0024】
一方、同じように一辺の長さがaの正方形状の方形輪n個が一辺の長さがb(b>a)の正方形状の誘電体基板上にあるものとすると、方形輪を形成する導体線の線径dがaよりも充分小さいうちは、方形輪の一辺を1/kにして方形輪の数をk倍としても、基板の面積bと個々の方形輪の張る面積の総和n×((a/k)×k)=naとの比は一定である。この状態で個々の方形輪を直列に接続しても、インダクタンス値はほぼ一定であるが、個々の方形輪について基板の周りの高さ方向に必要な空間を狭くすることができ、結果としてインダクタの厚みを薄くすることができるものとなる。
【0025】
以上より、本発明のインダクタがその作用効果を奏するための要件としては、次の3点が挙げられる。
(1)一平面上に形成した微小な方形輪を直列接続することで、全体してのインダクタンス値を確保したままインダクタの厚みを薄くする。
【0026】
(2)一平面上に形成された複数の方形輪と他の平面上に形成された複数の方形輪とを重ねてそれらの相互インダクタンスを利用し、その際、同一平面上の方形輪の形状と配置を、複数の方形輪同士の負の相互インダクタンスの影響を少なくするように設定する。
【0027】
(3)一平面上に形成された複数の方形輪と他の平面上に形成された複数の方形輪とを重ねて、最小の立体配線数および配置でもって、重ねた複数の方形輪間では正の相互インダクタンスを形成するように設定する。
【0028】
以上の要件のうち(1)については前述の通りである。要件(2)についてさらに説明する。図3に概略の原理図で示すように、誘電体基板(図示せず)のある平面上に一辺の長さがaの正方形状の導体線17で形成された方形輪18によりインダクタンスを構成しているとする。この方形輪18の外側では、インダクタンスに寄与する磁界の強度は、同図中に破線で示すようにそれぞれの辺の中央近辺で最大となり、一点鎖線で示すようにそれぞれの角の部分で最小となる。この状態でこの方形輪18の近くに電流の向きが同じ方形輪18を持ってくると、それらの間の相互インダクタンスは負となる。
【0029】
一方、同じ平面上でこの方形輪18を複数個立体配線を用いずに接続すると、図4に2個を接続した場合の概略の原理図で示すように、それぞれの方形輪19を流れる電流の向きは同図中に矢印で示すように必ず同じとなり、全体としてのインダクタンスはそれぞれの自己インダクタンスの和よりも小さいものとなる。この例では約√2倍となり、2倍とはならない。
【0030】
これに対し、図5に概略の原理図で示すように、誘電体基板(図示せず)の平面上に形成した導体線20により形成された一辺の長さがaの方形輪21同士(この例では2個の方形輪21)を、互いに結合の少ない角の部分に対角線の延長上に配置し、隣接する角部同士を切断して接続して方形輪群22を形成することにより、上記のような相互インダクタンスによるインダクタンス値の減少を抑えることができる。
【0031】
本発明のインダクタは、誘電体基板上にこのような配置関係でもって複数の方形輪を配置してそれらを全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群を形成するものであり、まず、閉曲線状方形輪群を形成する方形輪を配置する基準として正方形群を設定する。この正方形群は、1辺の長さがaの正方形を、第1列にn個(nは自然数)を間隔aで配置し、第1列に隣接させて第2列にn個(nはn−1≦n≦n+1の自然数)を第1列と互い違いに間隔aで配置し、以下、順次同様に第m−1列に隣接させて第m列(mは2以上の自然数)にn個(nはnm−1 −1≦n≦nm−1 +1の自然数)を第m−1列と互い違いに間隔aで配置して、市松模様状に配置したものである。そして、複数の誘電体基板の各々にその正方形群の各正方形に沿って導体線を配設して方形輪群を形成するとともに、各方形輪の隣接する角部の少なくとも一方を切断し、この切断した隣接する角部同士を全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群を形成し、かつこの閉曲線状方形輪群の一部を切断して外部導出用の端子導体を接続し、これら複数の誘電体基板を互いの閉曲線状方形輪群の各方形輪同士の相互インダクタンスが正となるように上下に重ねて端子導体同士を接続して形成するものである。
【0032】
次に、このような閉曲線状方形輪群の例を図6〜図9により説明する。
まず、図6および図7は本発明のインダクタに係る閉曲線状方形輪群の例を示す平面図であり、それぞれ(a)はその基本となる正方形群の例を、(b)はそれによる閉曲線状方形輪群の例を、(c)はそれによる閉曲線状方形輪群の他の例を示している。
【0033】
図6において、23は誘電体基板であり、24(斜線を施して示す)は一辺の長さがaの正方形、25は正方形群、26は導体線、27は正方形24に対応して形成された方形輪、28aおよび28bは閉曲線状方形輪群、29は端子導体である。
【0034】
この例では、図6(a)に示すように、第1列から第8列(m=8)のそれぞれに4個ずつ(n=n=n=n=n=n=n=n=4)計32個の正方形24を互い違いに間隔aで市松模様状に配置して正方形群25を形成している。そして、図6(b)および(c)に示すように、誘電体基板23にその正方形群25の各正方形24に沿って導体線26を配設して方形輪27群を形成するとともに、各方形輪27の隣接する角部の少なくとも一方を切断し、この切断した隣接する角部同士を全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群28a・28bを形成し、この閉曲線状方形輪群28a・28bの一部を切断して外部導出用の端子導体29を接続している。
【0035】
このように、閉曲線状方形輪群28a・28bは、それぞれの方形輪27の隣接する正方形24の互いの接点部分において互いに接しないように角部を丸めて導体線26を配設して互いに分離されるか、あるいは互いの接点部分において角部を切断して、隣接する方形輪27の対応する辺に、接続部が交差しないように接続して形成される。このような閉曲線状方形輪群28a・28bの配線構造には複数の可能性があり、図6(b)と(c)とは、それぞれ各方形輪27の接続の仕方を異ならせて、同じ正方形群25に基づいて異なる配線構造の閉曲線状方形輪群28a・28bを形成した例を示している。
【0036】
また、図7においても同様に、30は誘電体基板であり、31(斜線を施して示す)は一辺の長さがaの正方形、32は正方形群、33は導体線、34は正方形31に対応して形成された方形輪、35aおよび35bは閉曲線状方形輪群、36は端子導体である。
【0037】
この例では、図7(a)に示すように、図6(a)の正方形群25とは相補の関係となるように、第1列から第8列(m=8)のそれぞれに4個ずつ(n=n=n=n=n=n=n=n=4)計32個の正方形31を互い違いに間隔aで市松模様状に配置して正方形群32を形成している。そして、図7(b)および(c)に示すように、誘電体基板30にその正方形群32の各正方形31に沿って導体線33を配設して方形輪34群を形成するとともに、各方形輪34の隣接する角部の少なくとも一方を切断し、この切断した隣接する角部同士を全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群35a・35bを形成し、この閉曲線状方形輪群35a・35bの一部を切断して外部導出用の端子導体36を接続している。図6(a)および(b)と同様に、図7(b)と(c)とは、それぞれ各方形輪34の接続の仕方を異ならせて、同じ正方形群32に基づいて異なる配線構造の閉曲線状方形輪群35a・35bを形成した例を示している。
【0038】
また、図8は本発明のインダクタに係る閉曲線状方形輪群の他の例を示す平面図であり、(a)はその基本となる正方形群の例を、(b)はそれによる閉曲線状方形輪群の例を、(c)は(b)と相補の関係の閉曲線状方形輪群の例を示している。
【0039】
図8においても図6および図7と同様に、37および38は誘電体基板であり、39(斜線を施して示す)は一辺の長さがaの正方形、40は正方形群、41および42は導体線、43および44は方形輪、45および46は閉曲線状方形輪群、47および48は端子導体である。
【0040】
この例では、図8(a)に示すように、第1列から第5列(m=5)のうち第1列・第3列・第5列に4個ずつ(n=n=n=4)、第2列・第4列に3個ずつ(n=n=3)の計18個の正方形39を互い違いに間隔aで市松模様状に配置して正方形群40を形成している。そして、図8(b)に示すように、誘電体基板37にその正方形群40の各正方形39に沿って導体線41を配設して方形輪43群を形成するとともに、各方形輪43の隣接する角部の少なくとも一方を切断し、この切断した隣接する角部同士を全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群45を形成し、この閉曲線状方形輪群45の一部を切断して外部導出用の端子導体47を接続している。また、図8(c)には、(b)の閉曲線状方形輪群45とは相補の関係となるように誘電体基板38上に閉曲線状方形輪群46を形成して端子導体48を接続した例を示している。
【0041】
さらに、図9は本発明のインダクタに係る閉曲線状方形輪群のさらに他の例を示す平面図であり、(a)はその基本となる正方形群の例を、(b)はそれによる閉曲線状方形輪群の例を、(c)は(b)と相補の関係の閉曲線状方形輪群の例を示している。
【0042】
図9においても図6〜図8と同様に、49および50は誘電体基板であり、51(斜線を施して示す)は一辺の長さがaの正方形、52は正方形群、53および54は導体線、55および56は方形輪、57および58は閉曲線状方形輪群、59および60は端子導体である。
【0043】
この例では、図9(a)に示すように、第1列から第4列(m=4)に、第1列に4個(n=4)、第2列に3個(n=3)、第3列に2個(n=2)、第4列に1個(n=1)の正方形51を互い違いに間隔aで市松模様状に配置して、逆ピラミッド型の正方形群52を形成している。そして、図9(b)に示すように、誘電体基板49にその正方形群52の各正方形51に沿って導体線53を配設して方形輪55群を形成するとともに、各方形輪55の隣接する角部の少なくとも一方を切断し、この切断した隣接する角部同士を全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群57を形成し、この閉曲線状方形輪群57の一部を切断して外部導出用の端子導体59を接続している。また、図9(c)には、(b)の閉曲線状方形輪群57とは相補の関係となるように誘電体基板50に閉曲線状方形輪群58を形成して端子導体60を接続した例を示しており、この例の場合は第1列に3個、第2列に2個、第3列に1個の方形輪56を配置して閉曲線状方形輪群58を形成している。
【0044】
そして、本発明のインダクタは、このようにして閉曲線状方形輪群が形成された複数の誘電体基板を互いの閉曲線状方形輪群の各方形輪同士の相互インダクタンスが正となるように上下に重ねて端子導体同士を接続しているものである。
【0045】
このように上下に重ねて端子導体同士を接続した例を図10に分解斜視図で、また、そのようにして形成した本発明のインダクタの例を図11に斜視図で示す。図10および図11の例は図6(b)に示した誘電体基板23と図7(b)に示した誘電体基板30とを上下に重ねて接続した例を示しており、図10ではその端子導体29・36付近の部分を示している。
【0046】
図10に示すように、端子導体29が接続された閉曲線状方形輪群28aが形成された誘電体基板23と、端子導体36が接続された閉曲線状方形輪群35aが形成された誘電体基板30とを2点鎖線で示すように上下に重ねて、端子導体29の一方と端子導体36の一方とを閉曲線状方形輪群28a・35aの各方形輪27・34同士の相互インダクタンスが正となるように、すなわちこの場合は各方形輪27・34同士が相補の関係となるように上下で互い違いに配置されるように重ねるとともに、上下で重なり合う各方形輪27・34の導体線26・33のうち図3に示した各辺の中央近辺で最大となるインダクタンスに寄与する磁界の強度が互いに強め合うようにそれらの辺を流れる電流Iの向きが同図中に矢印で示すように同じとなるように、接続する。
【0047】
なお、端子導体29・36としては、外部の電気回路・電子回路と電気的に接続するためのものとして、リード線やボンディングワイヤ等の導体線を用いても、電極端子を取着もしくは圧接しても、あるいは誘電体基板23・30の内部に配設したビア導体やスルーホール導体等の貫通導体を用いてもよく、仕様に応じて適当な電気的接続用の導体を用いればよい。
【0048】
また、このような端子導体29・36と閉曲線状方形輪群28a・35aを形成する導体線26・33との接続、ならびに端子導体29・36間の接続は、エアブリッジと言われる立体配線構造を用いて、例えば誘電体基板23・30の表面を迂回させた接続用導体等により接続してもよく、絶縁層を介在させた積層構造により立体的に、例えば誘電体基板23中に形成したビア導体等の貫通導体によって接続してもよく、このインダクタが誘電体基板の内部に形成される場合には通常の多層配線基板において行なわれるようにスルーホール導体やビア導体等の貫通導体と他の誘電体層上に形成された導体層とにより立体的に接続してもよい。
【0049】
これにより、図11に示すように、誘電体基板23に形成された閉曲線状方形輪群28aと誘電体基板30に形成された閉曲線状方形輪群35aとが、方形輪27・34の一辺の長さaに比べて非常に小さい距離である誘電体基板23の厚みdの間隔をもって、各方形輪27・34間の相互インダクタンスが正となるように上下に配置されて接続されて、本発明のインダクタンスが形成される。
【0050】
なお、この図10および図11に示した例では、上下の閉曲線状方形輪群が互いに相補の関係にあるものを重ねたが、これら上下の閉曲線状方形輪群は、前述のように上下で重なり合う各方形輪の導体線の各辺の中央近辺で最大となるインダクタンスに寄与する磁界の強度が互いに強め合うようにそれらの辺を流れる電流Iの向きが同じとなるように、同じ形状の閉曲線状方形輪群であってもよい。この場合は、上下に同形状のループインダクタを重ねて複数巻きのインダクタを構成してそれらループインダクタ間の相互インダクタンスを利用するものとなって、同様に大きなインダクタンス値を得ることができる。
【0051】
本発明のインダクタンスにおいて誘電体基板上に形成される導体線は、所望の厚みおよび線幅で誘電体基板の所定の同一面上に厚膜印刷技術や薄膜形成技術等の適当な技術を用いて容易に形成して配設することができる。
【0052】
そして、このような導体線でもって上記の所定の条件を満たす正方形群の各正方形に沿って方形輪を形成し閉曲線状方形輪群を形成することにより、各方形輪として厚みを抑えた自己インダクタンスを形成するとともに相互インダクタンスにも寄与するループインダクタの部分を誘電体基板上に効率良く配置させることができ、それによって所望の高いインダクタンス値を容易に実現することができる。
【0053】
以上の例では正方形の平板状の誘電体基板を用いた例を示しているが、誘電体基板には多層回路基板の表面や内部の誘電体層等の種々の誘電体を用いることができ、その面の形状も平坦面のみならず凹凸等の種々の曲面であってもよい。
【0054】
また、本発明のインダクタによれば、上記の条件▲1▼を基本として条件▲2▼を適用することにより、誘電体基板の表面または内部の平坦面上のみならず凹凸等の種々の曲面上にも所望のインダクタンス値のインダクタを容易に実現することができる。
【0055】
さらに、本発明のインダクタによれば、誘電体基板の表面または内部の同一面上でインダクタンス形成用の複数の閉曲線状方形輪群を形成し、上下に重ねた閉曲線状方形輪群の各々にその一部を切断して接続した端子導体同士を接続して1本の導体線によるインダクタとなるように構成されていることから、これら各導体線および端子導体を厚膜印刷技術や薄膜形成技術といった回路基板の製造に容易に適用できる技術でもって形成することができるので、各種の回路基板に対してその表面や内部の誘電体層上に高集積化や高密度実装化に対応して形成することができ、しかもほぼ2次元的な形状で、より次元の高い形状のインダクタと同等以上の高いインダクタンス値を実現することができる。
【0056】
また、本発明のインダクタのインダクタンス値は導体線の幅あるいは太さならびに誘電体基板の厚みによる上下の閉曲線状方形輪群同士の間隔dの大きさを変えることによっても変化させることができ、インダクタの厚みやQ値とのトレードオフでインダクタンス値を調整して所望のインダクタンス値のインダクタを得ることができる。
【0057】
本発明は以上の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。例えば、方形輪が一部欠落しても本発明の主旨とする接続がなされていればよい。
【0058】
【発明の効果】
以上のような本発明のインダクタによれば、複数の誘電体基板の各々に上記条件▲1▼または▲2▼を満たす正方形群に基づいて所定の閉曲線状方形輪群を形成し、これらを上下の閉曲線状方形輪群の各方形輪同士の相互インダクタンスが正となるように上下に重ねて接続したことから、厚みを抑えた自己インダクタンスによるインダクタおよび相互インダクタンスを有効に利用できる形状のインダクタを形成することができ、それにより相互インダクタンスによる高いインダクタンス値を有する薄いインダクタを実現できるものとなる。
【0059】
また、本発明のインダクタによれば、上記の条件▲1▼を基本として条件▲2▼を適用することにより、誘電体基板の表面または内部の平坦面上のみならず凹凸等の種々の曲面上にも所望のインダクタンス値のインダクタを容易に実現することができる。
【0060】
さらに、本発明のインダクタによれば、誘電体基板に所定の形状に配設した導体線により形成された閉曲線状方形輪群およびそれに接続された端子導体により構成されていることから、これら各導体線および端子導体は厚膜印刷技術や薄膜形成技術といった回路基板の製造に容易に適用できる技術でもって形成することができるので、各種の回路基板に対してその表面や内部の誘電体層上に高集積化や高密度実装化に対応して形成することができ、しかも厚み方向には誘電体基板の厚み程度を必要とするのみのほぼ2次元的な形状で、従来の2次元的な形状のインダクタはもとより、より次元の高い形状のインダクタと同等以上の大きなインダクタンス値を実現することができる。
【0061】
以上により、本発明によれば、厚膜印刷技術や薄膜形成技術といった多層回路基板の製造に容易に適用できる技術でもって形成でき、各種の回路基板に対して高集積化や高密度実装化に対応して形成するのに適した2次元的な形状でありながら、従来の2次元な形状のインダクタよりも大きなインダクタンスを得ることができるインダクタを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインダクタを説明するための概略の原理図である。
【図2】本発明のインダクタを説明するための斜視図である。
【図3】本発明のインダクタを説明するための概略の原理図である。
【図4】本発明のインダクタを説明するための概略の原理図である。
【図5】本発明のインダクタを説明するための概略の原理図である。
【図6】(a)は本発明のインダクタに係る正方形群の例を示す平面図、(b)はそれによる閉曲線状方形輪群の例を示す平面図、(c)はそれによる閉曲線状方形輪群の他の例を示す平面図である。
【図7】(a)は本発明のインダクタに係る正方形群の例を示す平面図、(b)はそれによる閉曲線状方形輪群の例を示す平面図、(c)はそれによる閉曲線状方形輪群の他の例を示す平面図である。
【図8】(a)は本発明のインダクタに係る正方形群の例を示す平面図、(b)はそれによる閉曲線状方形輪群の例を示す平面図、(c)は(b)と相補の関係にある閉曲線状方形輪群の例を示す平面図である。
【図9】(a)は本発明のインダクタに係る正方形群の例を示す平面図、(b)はそれによる閉曲線状方形輪群の例を示す平面図、(c)は(b)と相補の関係にある閉曲線状方形輪群の例を示す平面図である。
【図10】本発明のインダクタにおいて誘電体基板を上下に重ねて端子導体同士を接続した例を示す分解斜視図である。
【図11】本発明のインダクタの例を示す斜視図である。
【図12】インダクタを説明するための概略の原理図である。
【図13】インダクタを説明するための概略の原理図である。
【図14】ミアンダ型インダクタの概略構成を示す斜視図である。
【図15】マイクロストリップ線路の一端を短縮したインダクタの概略構成を示す斜視図である。
【図16】スパイラルインダクタの概略構成を示す斜視図である。
【図17】相互インダクタンスを利用する従来のインダクタンスの例の概略構成を示す斜視図である。
【図18】相互インダクタンスを利用する従来のインダクタンスの例を示す概略の原理図である。
【符号の説明】
24、31、39、51・・・・・・・・・・・・・・・・・正方形
25、32、40、52・・・・・・・・・・・・・・・・・正方形群
23、30、37、38、49、50・・・・・・・・・・・・・誘電体基板
12、17、20、26、33、41、42、53、54・・・・・・・導体線
13、18、19、21、27、34、43、44、55、56・・・・・方形輪
22、28a、28b、35a、35b、45、46、57、58・・・閉曲線状方形輪群
29、36、47、48、59、60・・・・・・・・・・・・・端子導体

Claims (1)

  1. 複数の誘電体基板の各々に下記条件▲1▼または▲2▼を満たす正方形群の各正方形に沿って導体線を配設して方形輪群を形成するとともに、各方形輪の隣接する角部の少なくとも一方を切断し、該切断した隣接する角部同士を全体が閉曲線を形成するように接続して閉曲線状方形輪群を形成し、かつ該閉曲線状方形輪群の一部を切断して外部導出用の端子導体を接続し、これら複数の誘電体基板を前記閉曲線状方形輪群の各方形輪同士の相互インダクタンスが正となるように上下に重ねて前記端子導体同士を接続して成ることを特徴とするインダクタ。
    ▲1▼ 1辺の長さがaの正方形を、第1列にn個(nは自然数)を間隔aで配置し、第1列に隣接させて第2列にn個(nはn−1≦n≦n+1の自然数)を第1列と互い違いに間隔aで配置し、以下、順次同様に第m−1列に隣接させて第m列(mは2以上の自然数)にn個(nはnm−1 −1≦n≦nm−1 +1の自然数)を第m−1列と互い違いに間隔aで配置して、市
    松模様状に配置した正方形群である。
    ▲2▼ 市松模様状の正方形群の少なくとも一部を縮小または拡大して、平面状また
    は曲面上に変形させて配置した正方形群である。
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