JP3566439B2 - 低圧水銀蒸気放電灯およびこれを用いた照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、近赤外線領域に発光ピークをもつ蛍光ランプなどに代表される低圧水銀蒸気放電灯およびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長が650nm〜800nmなどのような近赤外線領域に発光強度を有する蛍光ランプは、植物栽培用光源やOCR読取り用光源などに使用されている。従来の蛍光ランプは、上記近赤外線領域の発光強度を高めるため特開昭52−89281号公報などに記載されているように、鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(Li AlO2 ;Fe)が使用されていた。Li AlO2 ;Fe蛍光体は、740nmに発光ピーク波長を有し、近赤外線領域の発光強度を増すのに有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記Li AlO2 ;Fe蛍光体は、近赤外線領域の発光強度がさ程大きくないことが判ってきたばかりでなく、水銀と結合し易い性質があるため光束維持率が良くないという問題がある。特にこの種のLi AlO2 ;Fe蛍光体は放電空間の水銀蒸気を吸着する作用が強く、このLi AlO2 ;Fe蛍光体に吸着された水銀は紫外線の蛍光体に到達するのを阻害して可視光発光性能を低下させ、また可視光の透過を妨害するようになる。このため、点灯時間の経過に伴い光束維持率が低下する。
【0004】
特に、電球形蛍光ランプやコンパクト形蛍光ランプは、管径が10mm〜17mm程度の細いガラス管を屈曲形状に成形して高密度化し、小形で高い光束を出すようになっており、一般の蛍光ランプに比べて単位長さ当りの入力電力を高くしている。このため、蛍光体の単位面積当りの水銀打ち込み量が多くなるとともに、蛍光体の光束維持率に影響を与える185nmに代表される真空紫外線の照射密度が増える。この結果、Li AlO2 ;Fe蛍光体を用いた電球形蛍光ランプやコンパクト形蛍光ランプは、Li AlO2 ;Fe蛍光体に対する水銀の吸着量が増し、光束維持率が低下し、電極や回路部品の寿命が末期になる前にランプ交換を余儀無くされるなど、電球形蛍光ランプやコンパクト形蛍光ランプの利点である長寿命ランプという長所が生かされないという不具合が生じる。
【0005】
さらにまた、ランプを始動したとき水銀蒸気圧が高く、起動から特性が安定するまでに数十分から数時間を要するような蛍光ランプの場合は、水銀蒸気圧が高い状態のときに蛍光体の単位面積当りの水銀打ち込み量が多くなることから、蛍光体の劣化やガラスの黒化および蛍光体への水銀付着による光束維持率の低下を生じ易いという問題もある。
【0006】
したがって本発明の目的とするところは、近赤外線領域の発光強度が高く、しかも水銀の吸着が少なくて光束維持率を改善できる低圧蒸気放電灯およびこれを用いた照明装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の低圧水銀蒸気放電灯は、内部で放電が発生されるとともに水銀および希ガスが封入された透光性気密容器の内面に、クロムおよびユーロピウムの少なくとも1つで付活されたYAG構造を有して発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体を含む蛍光体層を具備していることを特徴とする。
【0008】
ここで、クロムおよびユーロピウムの少なくとも1つで付活されたYAG構造を有して発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体というのは、YAG(イットリウムアルミナガーネット)構造をもち、発光ピーク波長が650nm〜800nmの付近にある蛍光体をいい(以下、YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体という)、具体的には、Y3 Al5 O12;Cr、Y3 Al5 O12;Eu、Y3 Al5 O12;Cr,Eu、Gd3 Al5 O12;Cr、Y3 Ga5 O12;Cr、Gd3 Ga5 O12;Cr、Y3 Al2 Ga3 O12;Cr、Y3 AlGa4 O12;Crなどが用いられる。
【0009】
蛍光体層は、上記YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体を単独に用いた場合でも、または他の蛍光体と併用してもよい。
また、低圧水銀蒸気放電灯とは、蛍光ランプで代表されるが、内部に放電を発生させる手段は透光性気密容器の内部に封装されていても、または外部に設けられていてもよい。そして、電極は熱陰極であっても冷陰極であってもよい。透光性気密容器は通常ガラス管にて形成される。このガラス管内には、水銀の外に希ガスが封入される。
【0010】
本発明者等は、発光ピーク波長が650nm〜800nmの付近にある蛍光体を種々調べた結果、上記YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体は、従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(Li AlO2 ;Fe)に比べて、近赤外線の発光強度が高いばかりでなく、水銀の付着が少なく、光束維持率に優れていることを見出だした。したがって、上記YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体をガラス管の内面に塗布して蛍光体被膜を形成したランプは、従来に比べて近赤外線の発光強度が高くなり、しかも光束維持率に優れたランプとなる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の低圧水銀蒸気放電灯において、YAG構造を有して発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体は、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を主体とするものであることを特徴とする。
【0012】
YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体のなかでも、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)は特に近赤外線の発光強度が高く、かつ光束維持率に優れている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の低圧水銀蒸気放電灯において、蛍光体層として、上記YAG構造を有して発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体と、発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体とを含んでいることを特徴とする。
【0014】
請求項3の低圧水銀蒸気放電灯によれば、ランプを点灯すると近赤外線領域の発光ばかりでなく同時に可視光の発光も得られるから、照明用光源として用いることができるとともに、その他植物栽培用光源を始めとする広い分野への使用が可能になる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体は、3波長域発光形蛍光体であることを特徴とする。
【0016】
3波長域発光形蛍光体は、赤、青、緑の各波長域にピーク波長を有する3種類の蛍光体を混合したものであり、例えば赤色系蛍光体には3価のユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体Y2 O3 :Eu3+、青色系蛍光体には2価のユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩蛍光体(Sr,Ca,Ba)10(PO4 )6 Cl2 :Eu2+または2価のユーロピウム付活アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体BaMg2 Al16O27:Eu2+、および緑色蛍光体としてはセリウムCeを含有するテルビウムTb付活けい・りん酸塩蛍光体(La,Ce,Tb)・(P,Si)O4 などを用いることができるが、3波長域発光形であれば他の蛍光体と組み合わせであってもよい。
【0017】
可視光を発する蛍光体が3波長域発光形蛍光体であれば、近赤外線領域の発光に加えて、赤、緑、青の可視領域の発光が得られるので、発光効率が向上するとともに、適用範囲が一層広くなる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、蛍光体層は、気密容器の壁面側から順に、上記YAG構造を有して発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体を主体とする層および上記可視光発光蛍光体を主体とする層によって形成されていることを特徴とする。
【0019】
通常、YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体と可視光発光蛍光体を併用する場合、可視光の発光強度を高くする要求が多い。請求項5の低圧水銀蒸気放電灯によれば、放電空間の水銀から放射された紫外線は放電空間側に位置する可視光発光蛍光体を励起して可視光を発光させ、この可視光発光蛍光体を透過した紫外線がYAG構造を有する近赤外線発光蛍光体を励起して近赤外線を発光するようになる。紫外線は放電空間側に位置する可視光発光蛍光体を照射する割合が多いから、積層構造が逆の場合に比べて可視光の発光量が多くなる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、気密容器の内面と蛍光体層の間に、金属酸化物からなる保護層を設けたことを特徴とする。
【0021】
一般に単位長さ当りの入力電力が大きなランプや、周囲の温度が高い雰囲気で点灯されるランプの場合、放電空間側から蛍光体層を透過して水銀の打ち込みが生じたり、紫外線が蛍光体層を透過してガラスを照射し、このためガラスからアルカリ成分が析出して蛍光体と反応し蛍光体の輝度劣化やガラスの黒化、水銀の消耗が多くなるといった現象が生じ、光束維持率の低下を招く。これに対して請求項6の低圧水銀蒸気放電灯によれば、気密容器の内面と蛍光体層との間に金属酸化物からなる保護層を設けたので、この保護膜が蛍光体層を透過した水銀の打ち込みを阻止し、かつ蛍光体層を透過した紫外線がガラスに到達するのを抑止し、ガラスからアルカリ成分が析出するのを防止し、よって蛍光体の劣化やガラスの黒化、水銀の消耗を抑えることができる。この結果光束維持率を高めることができる。
【0022】
請求項7の発明は、請求項6記載の低圧水銀蒸気放電灯において、保護層がAl2 O3 、TiO2 、SiO2 、ZnO、CeO2 、Y2 O3 のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする。
【0023】
Al2 O3 、TiO2 、SiO2 、ZnO、CeO2 、Y2 O3 などの金属酸化物は、水銀や紫外線の透過を阻止し、しかも可視光を透過する作用に優れており、よって保護膜として好適する。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいづれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、気密容器内に水銀蒸気圧制御手段としてアマルガムが収容されていることを特徴とする。
【0025】
水銀蒸気圧制御手段としてアマルガムを用いた低圧水銀蒸気放電灯は、安定点灯に至るとアマルガムが放電空間内の水銀蒸気圧を最適圧力に規制する作用を奏するが、始動時には水銀蒸気圧の高い状態を発生することがあり、この状態が数十分ないし数時間続くことがある。このように水銀蒸気圧の高い状態が長い時間続くと、蛍光体やガラスに対する水銀イオンの打ち込みが多くなり、蛍光体の劣化やガラスの着色(黒化)が早期に進む傾向にある。このような状況で使用される蛍光体として、従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(Li AlO2 ;Fe)を用いると水銀を吸着し易いことから蛍光体の劣化が進み、光束維持率の低下が大きい。これに対し、YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体であれば、上記Li AlO2 ;Fe蛍光体に比べて水銀を吸着し難いことから蛍光体の劣化が少なくなり、光束維持率が優れることになる。
【0026】
請求項9の発明の低圧水銀蒸気放電灯は、請求項1ないし請求項8のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯と点灯回路とが一体化されており、この点灯回路に接続された口金を有して電球形蛍光ランプを構成していることを特徴とする。
【0027】
この場合、点灯回路は電子安定器およびチョークコイル安定器を含み、高周波点灯式であってもよい。低圧水銀蒸気放電灯の気密容器はグローブで覆う構造または外部に露出した構造であってもよい。
【0028】
電球形蛍光ランプは、ガラス管を屈曲形状にして高密度化を図り、小形で高い光束を出すようになっており、一般の蛍光ランプに比べて単位長さ当りの入力電力を高くしているため、蛍光体の単位面積当りの水銀打ち込み量が多くなる。この結果、従来のLi AlO2 ;Fe蛍光体を用いた電球形蛍光ランプでは水銀の付着量が増すことから光束維持率が低下し、電極や回路部品が寿命となる前に交換を余儀無くされる。これに対し、YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体を用いると、水銀の付着が少ないので、光束維持率が改善される。
【0029】
請求項10の発明の照明装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯を光源として用いたことを特徴とする。
請求項10の発明によれば、請求項1ないし請求項9のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯の利点を生かしたOA機器を提供できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下本発明について、図1ないし図7に示す第1の実施の形態について説明する。
図1は電球形蛍光ランプの構造を示す図、図2は発光管の内面に形成された蛍光体被膜の構成図、図3はクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)の発光スペクトルを示す特性図、図4はクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体と従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体との発光強度を示す分光エネルギー分布を示す特性図、図5は光束維持率を示す特性図、図6は発光管内の水銀消耗量を示す図、図7は始動時の管内水銀蒸気圧の変化を示す特性図である。
【0031】
図1において符号1は透光性気密容器に相当する発光管であり、外径12mmの直管ガラス管を鞍形に屈曲成形して構成されている。発光管1の端部はステム2により気密に封止されており、このステム2には熱陰極からなる電極3が取着されている。電極3はタングステンコイルフィラメントにて形成されており、ステム2を貫通して導かれた一対のリード線4,4に支持されている。電極3には、図示しないBaO、SrO、CaOなどからなる電子放射性物質(エミッタ)が塗布されている。
【0032】
上記ステム2には細管5が突設されており、この細管5は放電空間に連通している。細管5には水銀とビスマスBiおよびインジウムIn等からなる主アマルガム6が収容されているとともに、上記一方のリード線4には電極3に近接した位置に、水銀とインジウムIn等からなる補助アマルガム7が取付けられている。
【0033】
発光管1の内面には、図2に示すように蛍光体層が形成されている。この蛍光体については後で説明する。発光管1の内部には、所定圧、例えば3Torr程度のアルゴンなどからなる希ガスが封入されている。
【0034】
発光管1は接着剤11を介して仕切板10に固定されている。この仕切板10は合成樹脂製カバー12の一端に取付けられている。カバー12の一端は上記仕切板10にて閉塞されており、他端にE26などのような捩込み形口金13が取付けられている。そして、カバー12内には、配線基板14に実装された高周波点灯形電子回路装置15が収容されている。前記発光管1はこの高周波点灯形電子点灯回路装置15に電気的に接続されており、かつこの高周波点灯形電子点灯回路装置15は捩込み形口金13に電気的に接続されている。したがって、発光管1は高周波点灯されるようになっている。
なお、発光管1は、仕切板10に固定した透光性のグローブ16にて覆われている。
【0035】
上記発光管1の内面に形成された蛍光体層について、図2にもとづき説明する。発光管を構成するガラス管1の内面には、蛍光体層20が形成されている。蛍光体層20は、少なくともYAG構造を有する近赤外線発光蛍光体を有している。YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体というのは、既に説明した通り、クロムおよびユーロピウムの少なくとも1つで付活されたYAG構造を有し、かつ発光ピーク波長が650nm〜800nmの近赤外線領域にある蛍光体を指しており、具体的には、Y3 Al5 O12;Cr、Y3 Al5 O12;Eu、Y3 Al5 O12;Cr,Eu、Gd3 Al5 O12;Cr、Y3 Ga5 O12;Cr、Gd3 Ga5 O12;Cr、Y3 Al2 Ga3 O12;Cr、Y3 AlGa4 O12;Crなどの少なくとも1種が用いられる。
【0036】
本実施例の場合、近赤外線の発光強度が高く、かつ光束維持率に優れたクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)が用いられている。このようなクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体は単独で用いてもよいが、可視光を発する可視光発光蛍光体と併用して用いられている。可視光発光蛍光体は、ハロりん酸カルシウム蛍光体{3Ca3 (PO4 )2 ・CaX2 ;Sb,Mn(XはF,Cl)}であってもよいが、本例では3波長域発光形希土類蛍光体を用いている。3波長域発光形希土類蛍光体は、例えば赤色系蛍光体には3価のユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体Y2 O3 :Eu3+、青色系蛍光体には2価のユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩蛍光体(Sr,Ca,Ba)10(PO4 )6 Cl2 :Eu2+または2価のユーロピウム付活アルカリ土類アルミン酸塩蛍光体BaMg2 Al16O27:Eu2+、および緑色蛍光体としてはセリウムCeを含有するテルビウムTb付活けい・りん酸塩蛍光体(La,Ce,Tb)・(P,Si)O4 などが用いられている。
【0037】
クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体と可視光発光蛍光体とを併用して用いる場合、両者を混合して単一層の被膜を形成してもよいが、別々の被膜を形成して積層構造にするのがよい。
【0038】
図2に示す蛍光体層20は、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体からなる層21と、3波長域発光形希土類蛍光体からなる可視光蛍光体の層22を積層して構成してある。この場合、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体層21をガラス管1側に設け、3波長域発光形希土類蛍光体からなる可視光蛍光体層22を放電空間側に設けてある。なお、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体および3波長発光形希土類蛍光体は平均粒径が1.0μm以下で0.1μm以上の粉末であってよく、またクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体層21の膜厚t1 、および3波長域発光形希土類蛍光体からなる可視光蛍光体層22の膜厚t2 はそれぞれ同等膜厚であってよく、これら膜厚t1 およびt2 は10μm〜30μmの範囲がよい。
【0039】
クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体層21の膜厚t1 を10μm〜30μmにすれば、近赤外線の発光量を多くすることができる。膜厚が10μm未満であると近赤外線発光量が少なくなり、また膜厚が30μmを越えると蛍光体層の自己吸収により同じく近赤外線の発光量が低下する。
【0040】
また、3波長域発光形希土類蛍光体からなる可視光蛍光体層22の膜厚t2 も10μm〜30μmにすれば、可視光の発光量を多くすることができる。膜厚が10μm未満であると可視光の発光量が少なくなり、また膜厚が30μmを越えると蛍光体層の自己吸収により同じく可視光の発光量が低下する。
【0041】
さらに、上記蛍光体層20とガラス管1との間には、金属酸化物からなる保護層30が形成されている。この保護層30は、Al2 O3 、TiO2 、SiO2 、ZnO、CeO2 、Y2 O3 のうちの少なくとも1種から構成されており、膜厚t3 は0.1μm〜5μmの範囲がよい。
【0042】
このような構成の電球形蛍光ランプについて作用を説明する。
入力電力を15W、ランプ電流を200mA(管壁負荷110mW/cm2 )としてこのランプを点灯すると、水銀から発せられる紫外線が蛍光体層20を照射し、蛍光体層20は可視光および近赤外線を発する。すなわち、蛍光体層20は、3波長域発光形希土類蛍光体からなる可視光蛍光体の層22と、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体からなる層21を積層して構成してあるから、3波長域発光形希土類蛍光体が可視光を発し、かつクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体が720nmに発光ピークをもつ近赤外線を発する。このため通常の一般照明に供される3波長発光による可視光に加えて、720nm付近の近赤外線が強化された発光を奏するようになる。この結果、植物栽培用光源やOCR読取り用光源などに用いて有効になる。
【0043】
特に、本実施例は電球形蛍光ランプであるから、植物栽培用光源として既存の植物栽培施設の捩込み形ソケットに他の光源と併用して取付けて使用することができる。また、白熱電球に置き換えて用いれば大きな節電効果が得られる。
【0044】
クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)は、Crの濃度に応じて発光スペクトルの形、すなわちピーク波長や、長波長または短波長側への裾の引き方が変わるが、その一例を図3に示す。すなわち、この場合、720nmに発光ピークを有する。
【0045】
そして、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)は、従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(Li AlO2 ;Fe)と比べた場合、図4に示すように、近赤外線の発光強度がほぼ2.5倍の強さをもっている。図4は、発光管の内面に、可視光蛍光体を用いずに近赤外線蛍光体層のみを形成した場合の分光エネルギー分布特性を示したものであり、600nm以下の発光は水銀の発光スペクトルである。図4から判る通り、従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(Li AlO2 ;Fe)はほぼ740nmに発光ピーク波長を有するが相対発光エネルギーが低く、これに対しクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)は、720nmに発光ピークを有し、相対発光エネルギーはLi AlO2 ;Feに比べて約2.5倍である。
【0046】
このことから、近赤外線発光用蛍光体としてクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を用いた方が、近赤外線の発光強度が高くなる。
【0047】
また、図5は図1に示す電球形蛍光ランプについて光束維持率を測定した特性図であり、実線がクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を用いた場合、破線が従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(Li AlO2 ;Fe)を用いた場合を示す。この図から、近赤外線発光用蛍光体としてクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を用いた方が光束維持率が格段に優れていることが判る。
【0048】
その理由は、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体は、この蛍光体に対する水銀の付着作用が少なく、よって紫外線および可視光の遮断作用が少なくなるためである。水銀の消耗量については、図6に示す示す実験結果から明らかである。
【0049】
このようなことから本実施例の電球形蛍光ランプは、近赤外線の発光強度が高く、しかも光束維持率が向上する。
上記のような電球形蛍光ランプの場合、管壁負荷が相対的に高い状態で点灯され、発光管温度も高くなる。このため水銀蒸気圧も相対的に高くなり、放電空間から管壁に向けて水銀の打ち込みも激しくなる心配がある。
【0050】
これに対し、本例では近赤外線発光用蛍光体としてクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を用いてあるから近赤外線発光用蛍光体に水銀が付着する割合が少なく、よって近赤外線発光用蛍光体が劣化する割合が少ない。しかも、発光管1の内面とクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体からなる層21の間に金属酸化物からなる保護層30を設けてあるから、この保護膜30が蛍光体層22および21を透過した水銀のガラスへの打ち込みを阻止し、かつ蛍光体層22および21を透過した紫外線がガラスに到達するのを抑止する。このため、水銀の消耗が抑えられ、ガラスからアルカリ成分が析出するのが防止され、よってアルカリ成分による蛍光体の劣化やガラスの黒化を防止することができる。このことからも、光束維持率を高めることができる。
【0051】
上記保護層30は、Al2 O3 、TiO2 、SiO2 、ZnO、CeO2 、Y2 O3 のうちの少なくとも1種からなり、これら酸化物は可視光の透過に優れ、水銀および紫外線の透過を阻止する作用に優れており、よって保護膜として好適する。
【0052】
さらに、上記電球形蛍光ランプは、管壁負荷が高い状態で点灯され、発光管温度が高くなるため、アマルガム6、7を用いて管内の水銀蒸気圧を最適レベルに維持するようにしている。この場合、ランプの始動性を向上させるために、電極3の近傍に補助アマルガム7を用いるなどの工夫をしているが、このようにすると起動直後に補助アマルガム7から多量の水銀が放出されるから、管内の水銀蒸気圧は図7に示すように高くなる。この水銀蒸気は点灯時間の経過に伴い温度の低い部分に設置された主アマルガム6に凝集されるようになり、余剰の水銀は主アマルガム6に捕獲される。このように、始動から水銀蒸気圧が安定するまでに数十分から数時間を要することがあり、このような動作特性の蛍光ランプでは、始動から水銀蒸気圧が安定するまで水銀蒸気圧が高い状態が続き、このとき放電空間から管壁に向けて水銀の打ち込みも激しくなる心配がある。
【0053】
しかし、本実施例では、近赤外線発光用蛍光体としてクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を用いてあるから近赤外線発光用蛍光体に水銀が付着する割合が少なく、よって近赤外線発光用蛍光体が劣化する割合が少なくなる。また、発光管1の内面とクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体からなる層21の間に金属酸化物からなる保護層30を設けてあるから、この保護膜30が蛍光体層22および21を透過した水銀のガラスへの打ち込みを阻止し、かつ蛍光体層22および21を透過した紫外線がガラスに到達するのを抑止する。このため、水銀の消耗を抑えることができ、ガラスからアルカリ成分が析出するのを防止し、よって蛍光体の劣化やガラスの黒化を防止することができる。このことからも、光束維持率を高めることができる。
【0054】
上記実施例は、発光管1をグローブ16で覆った電球形蛍光ランプの場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図8に示す第2の実施の形態のように、発光管1が外部に露出した構造の電球形蛍光ランプであっても実施可能である。なお、この場合の発光管1は、2本のU字形ガラス管を互の端部同士で接合して1本の連続した放電空間を構成したものである。また、図8の図面では、図1と同様の部材は同一番号を付して説明を省略する。
【0055】
また、本発明は直管形蛍光ランプに実施してもよい。図9は本発明の第3の実施の形態に係る熱陰極形直管形状の蛍光ランプを示し、この蛍光ランプ50は、ガラスからなる発光管51の端部をステム52,52により閉塞してあり、これらステム52,52には内部リード線53…を介してタングステンフィラメントからなる熱陰極の電極54,54が取着されている。電極54,54には、図示しないBaO、SrO、CaOなどからなる電子放射性物質(エミッタ)が塗布されている。
【0056】
発光管51の端部には口金55,55が被着されており、これら口金55,55には上記内部リード線53…に接続された口金ピン56…が突設されている。発光管51の内面には、金属酸化物からなる保護膜57が形成されており、この内側に近赤外線発光用蛍光体層58が形成されているとともに、さらにこの内側に可視光発光蛍光体層59が積層して構成されている。
【0057】
保護層57は、先の実施例と同様に、Al2 O3 、TiO2 、SiO2 、ZnO、CeO2 、Y2 O3 のうちの少なくとも1種から構成されている。また、近赤外線発光用蛍光体層58はクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)にて形成されており、さらに可視光発光蛍光体層59は3波長域発光形蛍光体にて形成されている。発光管51の内部には、所定量の水銀と、アルゴンなどの希ガスが封入されている。
【0058】
このような構成の蛍光ランプであっても、近赤外線発光用蛍光体としてクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を用いてあるから近赤外線の発光強度が高くなり、かつ水銀の付着割合が少ないから水銀の消耗も少なくなり、光束維持率を高めることができる。
【0059】
上記直管形蛍光ランプ50は、OA機器の光源としても使用可能であり、例えば示す画像、文字またはバーコード読取り用装置に適用することができる。すなわち、図10は画像読取り装置を示し、同図で50は図9に示した構造の蛍光ランプであり、61は反射体である。反射体61は、例えばアルミプレートをプレス加工して形成したもので、断面が楕円の一部形状、すなわちほぼU字形に近似しており、蛍光ランプ50のバルブ軸に沿う長尺な形状をなしており、全体がほぼ樋形状をなしている。蛍光ランプ50は、この反射体61のほぼ焦点位置に配置され、ランプ50から放出された光は反射体61により反射され、原稿載置ガラス板62の一定位置に集光されるようになっている。原稿載置ガラス板62には読取り原稿63が載置され、この原稿63の下面は上記集光により照射される。そして、この反射光が下部に設けられた光学結像レンズ系64を通じて光電変換素子65に結像されるようになっている。よって、蛍光ランプ50から照射された光により原稿63に記載された画像が上記光学結像レンズ系64を介して光電変換素子65に読取られる。
【0060】
なお、蛍光ランプ50、反射体61、光学結像レンズ系64および光電変換素子65はフレーム66により一体化されており、この一体化されたユニットは原稿載置ガラス板62と相対的に水平に移動するようになっており、よって読取り原稿63の画像を走査する。
なお、蛍光ランプは熱陰極に限らず、冷陰極形蛍光ランプにも適用可能である。
【0061】
前記各実施例では、発光管の内面に保護膜とこの内側に近赤外線発光用蛍光体層、さらにこの内側に可視光発光蛍光体層を積層して構成した構造について説明したが、保護層は必ずしもなくてもよい。また、蛍光体層は、近赤外線発光用蛍光体層とこの放電空間側に可視光発光蛍光体層を積層した構造に限らず、図11の(A)図に示すように、ガラス管1の内面に3波長発光形蛍光体層22を設けるとともにこの内側(放電空間側)にクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)等からなる近赤外線発光用蛍光体層21を設けてもよい。但し、可視光を多量に放射したいランプは、図2に示す通り、ガラス管1の内面にクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)等からなる近赤外線発光用蛍光体層21を設け、この内側(放電空間側)に3波長域発光形蛍光体層22を設けるのがよい。
【0062】
また、蛍光体層は、図11の(B)図に示す通り、3波長域発光形蛍光体とクロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)等からなる近赤外線発光用蛍光体とを混合し、単一の層を形成してもよい。
【0063】
さらにまた、蛍光体層は、図11の(C)図に示す通り、3波長域発光形蛍光体を用いずに、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)等からなる近赤外線発光用蛍光体のみで形成してもよく、この場合の分光エネルギー分布が図4に示されているものである。
【0064】
そしてまた、本発明の近赤外線発光形蛍光体は、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)に限らず、既に説明したように、YAG(イットリウムアルミナガーネット)構造をもち、発光ピーク波長が650nm〜800nmの付近にある蛍光体であればよく、その他の蛍光体としては、Y3 Al5 O12;Eu、Y3 Al5 O12;Cr,Eu、Gd3 Al5 O12;Cr、Y3 Ga5 O12;Cr、Gd3 Ga5 O12;Cr、Y3 Al2 Ga3 O12;Cr、Y3 AlGa4 O12;Crなどの少なくとも1種を用いてもよい。
【0065】
図12にはY3 Al5 O12;Eu蛍光体の発光スペクトルを示し、図13にはY3 Ga5 O12;Cr蛍光体の発光スペクトルを示し、さらに図14にはGd3 Al5 O12;Cr蛍光体の発光スペクトルを示し、さらにまた図15にはGd3 Ga5 O12;Cr蛍光体の発光スペクトルを示す。これら蛍光体の発光スペクトルは、付活剤の濃度でピーク波長が長波長や短波長側に若干ずれたり、ピーク波形の裾が縮拡するが、ここでは代表的な例を示した。
これら蛍光体は、いずれもYAG構造をもち発光ピーク波長が650nm〜800nmの付近にあることが判る。
【0066】
【発明の効果】
以上説明した通り請求項1の発明によれば、近赤外線発光蛍光体として発光ピーク波長が650nm〜800nmの付近にあるYAG構造をもつ蛍光体を用いたから、従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体(Li AlO2 ;Fe)を用いた場合に比べて近赤外線の発光強度が高くなるとともに、水銀の付着が少なくて光束維持率が向上する。
【0067】
請求項2の発明によれば、クロムおよびユーロピウムの少なくとも1つで付活されたYAG構造を有し発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体として、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)を用いたので、特に近赤外線の発光強度が高くなり、しかも光束維持率に優れている。
【0068】
請求項3の発明によれば、蛍光体層として、上記YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体と、発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体とを併用したから、近赤外線領域の発光と同時に可視光の発光も得られるようになり、照明用光源を始めとして、その他植物栽培用光源など、広い分野への使用が可能になる。
【0069】
請求項4の発明によれば、発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体として3波長域発光形蛍光体を用いたから、近赤外線領域の発光に加えて、赤、緑、青の可視領域の発光が得られ、よって発光効率が向上し、ランプの適用範囲が一層広くなる。
【0070】
請求項5の発明によれば、気密容器の壁面側から順に、上記YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体の層および上記可視光発光蛍光体からなる層を形成したから、積層構造が逆の場合に比べて可視光の発光量が多くなる。
【0071】
請求項6の発明によれば、気密容器の内面と蛍光体被膜との間に、金属酸化物からなる保護層を設けたから、例えば単位長さ当りの入力電力の大きなランプや、周囲の温度が高い雰囲気で点灯されるランプの場合に、上記保護膜が蛍光体層を透過した水銀の打ち込みを阻止し、かつ蛍光体層を透過した紫外線がガラスに到達するのを抑止し、ガラスからアルカリ成分が析出するのを防止し、よって蛍光体の劣化やガラスの黒化、水銀の消耗を抑えることができる。この結果光束維持率を高めることができる。
【0072】
請求項7の発明によれば、保護層はAl2 O3 、TiO2 、SiO2 、ZnO、CeO2 、Y2 O3 のうちの少なくとも1種の金属酸化物で構成されるから、水銀や紫外線の透過を阻止し、しかも可視光を透過する作用に優れている。
【0073】
請求項8の発明によれば、気密容器内に水銀蒸気圧制御手段としてアマルガムを収容したランプであっても、YAG構造を有する近赤外線発光蛍光体を用いたから蛍光体の劣化が少なく、光束維持率に優れるようになる。
【0074】
請求項9の発明によれば、請求項1ないし請求項8のいずれか一に記載された低圧水銀蒸気放電灯を電球形蛍光ランプに適用したから、従来の電球形蛍光ランプに比べて光束維持率が改善される。
【0075】
請求項10の発明によれば、請求項1ないし請求項9のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯を照明装置の光源として用いたので、請求項1ないし請求項9のいずれか一に記載のランプの利点を生かした照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電球形蛍光ランプの構造を示す図。
【図2】同実施例の発光管の内面に形成された蛍光体被膜の構成図。
【図3】クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)の発光スペクトルを示す特性図。
【図4】クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体と従来の鉄付活アルミン酸リチウム蛍光体との発光強度を示す分光エネルギー分布を示す特性図。
【図5】光束維持率を示す特性図。
【図6】発光管内の水銀消耗量を示す図。
【図7】始動時の管内水銀蒸気圧の変化を示す特性図。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示し、発光管露出形の電球形蛍光ランプの構成を示す図。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示し、(A)図は直管形蛍光ランプの構成を示す図、(B)図は(A)図中B部の拡大した断面図。
【図10】同実施例の蛍光ランプを画像読取り装置の光源として用いた例を示す構成図。
【図11】(A)ないし(C)図は、それぞれ異なる蛍光体層の構成図。
【図12】Y3 Al5 O12;Eu蛍光体の発光スペクトルを示す特性図。
【図13】Y3 Ga5 O12;Cr蛍光体の発光スペクトルを示す特性図。
【図14】Gd3 Al5 O12;Cr蛍光体の発光スペクトルを示す特性図。
【図15】Gd3 Ga5 O12;Cr蛍光体の発光スペクトルを示す特性図。
【符号の説明】
1…発光管
2…ステム
3…電極
4…リード線
5…細管
6…主アマルガム
7…補助アマルガム
10…仕切板
12…カバー
13…捩込み形口金
15…高周波点灯形電子回路装置
16…グローブ
20…蛍光体層
21…クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体(Y3 Al5 O12;Cr)層22…3波長発光形希土類蛍光体層
30…金属酸化物からなる保護層
50…熱陰極形直管形状の蛍光ランプ
51…発光管
54…熱陰極形電極
57…保護膜
58…近赤外線発光用蛍光体層
59…可視光発光蛍光体層
61…画像読取り装置の反射体
62…原稿載置ガラス板
63…読取り原稿
64…光学結像レンズ系
65…光電変換素子
Claims (10)
- 内部で放電が発生されるとともに水銀および希ガスが封入された透光性気密容器と;
上記気密容器の内面に設けられ、クロムおよびユーロピウムの少なくとも1つで付活されたYAG構造を有し、発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体を含む蛍光体層と;
を具備していることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 - 請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、上記YAG構造を有し発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体は、クロム付活アルミン酸イットリウム蛍光体を主体とするものであることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。
- 請求項1または請求項2に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、
蛍光体層は、上記YAG構造を有し発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体と、発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体とを含んでいることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 - 請求項3に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、
発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体は、3波長域発光形蛍光体であることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 - 請求項3または請求項4に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、
蛍光体層は、気密容器の壁面側から順に、上記YAG構造を有し発光ピーク波長が近赤外線領域にある蛍光体を主体とする層および上記可視光発光蛍光体を主体とする層によって形成されていることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、
気密容器の内面と蛍光体層の間に金属酸化物からなる保護層を設けたことを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 - 請求項6に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、
保護層は、Al2 O3 、TiO2 、SiO2 、ZnO、CeO2 、Y2 O3 のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯において、
気密容器内には、水銀蒸気圧制御手段としてアマルガムが収容されていることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯と点灯回路とが一体化されており、点灯回路が接続された口金を有して電球形蛍光ランプを構成していることを特徴とする低圧水銀蒸気放電灯。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか一に記載の低圧水銀蒸気放電灯を光源として用いたことを特徴とする照明装置。
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