JP3566165B2 - 競合制御方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大規模高速なパケット交換網等で使用され、DRR法等のパラメータである粒度q値をパケット長等の統計処理に基づき可変設定とする競合制御方法及びその実施に直接使用する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は、従来の競合制御装置の基本構成を示したものである。図13を参照しつつ、従来の競合制御装置の基本構成を説明する。
【0003】
従来の競合制御装置は、入力回線に接続される任意の数のバッファ(図13では、第1バッファB1、・・第4バッファB4)と、出力回線に接続されるパケット読み出し部PRと、読出し制御部RCとで図13の様に接続構成される。
尚、図13において、各入力パケット流とは、物理的に存在する入力回線上のパケットを何らかの手法により論理的に相対分離された入力パケットの流れを指す。
【0004】
入力されたパケットは、パケットのヘッダ部に記載された情報を基にして、入力パケット流に分離され、其々各パケット流に対応するバッファに入力される。ここで、入力パケット流は、任意の種類(図13では4種類)存在するが、各入力回線と入力パケット流を対応させる場合もあるし、各品質クラス毎に入力パケット流を対応させる場合もある。パケットは、一般に可変長パケットである。
【0005】
読出し制御部RCは、任意の数Nのバッファ(図13では、N=4)から1個のバッファBi(i=1〜N)を選択し、その先頭のパケットは、パケット読出し部PRにより読み出される。
【0006】
ここで、読出すパケットを選択する方法としては、例えば、ラウンドロビン(RR:Round Robin)法がある。このRR法は、トークンが各バッファを順番に巡回し、出力のリクエストを出しているバッファを順次選択する方法である。あるバッファを選択したら、巡回方向の次のバッファからスタートして、リクエストをサーチして、次回読み出すバッファを選択していく。
【0007】
RR法では、選択の回数が公平に与えられるが、パケット長が長いパケットを有するバッファは、パケット長が短いパケットを有するバッファに較べて、多くのトラフィックを出力回線に送出することになる。
従って、平均パケット長がバッファ毎に異なる場合、トラフィック量(スループット)の公平性を担保できない。
そこで、かかるRR法の問題を解決する為に、ディフィシットラウンドロビン(DRR:Deficit Round Robin)法が提案されている。
【0008】
図14は、DRR法を用いた場合の読出し制御部の基本構成を示したものである。図15は、DRR法を用いた読出し制御部の流れ図である。図16は、各バッファにパケットが蓄積されている例を模式的に示したものである。図17は、粒度q=500の場合の読出し制御部の制御例を示したものである。
【0009】
図14に示す様に、読出し制御部RCは、読出し選択処理部RSと、粒度レジスタQRとで構成され、各バッファ、(図示しない)外部設定部、パケット読出し部PRとに接続される。ここで、粒度レジスタQRには、(図示しない)外部設定部により固定的に粒度q値が設定される。
DRR法においては、用いられるパラメータとして、粒度q値、ディフィシット値(deficit値:d値)、キューの先頭のパケット長Lがある。
先ず、各バッファのディフィシット値をd=0とする。
【0010】
次に、図15に示した、DRR法を用いた読出し制御部の流れ図を説明する。
トークンは各バッファを巡回している。前のバッファからトークンを受けた或るバッファに着目する(S1−1)。そのバッファのキューにパケットがあるか否かを確認する(S1−2)。
【0011】
キューにパケットがあれば(S1−2でYes)、d=d+qとし(S1−3)、Lがd以下であれば(S1−4でYes)、当該バッファが読出しバッファとして選択され(S1−5)、d=d−Lとなる(S1−6)一方、L>d(S1−4でNo)であれば、dの値はそのままである。そして、次のバッファへトークンを渡す(S1−7)。
キューにパケットがなければ(S1−2でNo)、d=0とし(S1―8)、次のバッファへトークンを渡す(S1−7)。
【0012】
ここで、図16に示した様にパケットのキューに蓄積されている場合について、図17の具体例を説明する。尚、図16で、長方形の中の「1−0(800)」(これは、図16の第1バッファB1のキューの先頭部分の長方形の中に記載してあること)は、第1バッファB1の先頭の並びであることを「1―0」が示し、( )内の「800」は、パケット長Lを示している。又、図17に示した数字は、各バッファのディフィシット値(d値)を示し、四角で囲繞した部分は、パケット読出し選択があった(S1−5、S1−6)ことを示している。
【0013】
図17では、粒度q=500とする。
第1バッファB1からスタートする。トークンを受けると(S1−1)、第1バッファB1のキューにパケットがある否かを確認し(S1−2)、パケットがあるので(S1−2でYes)、S1−3によりd=500となる。ここで、L=800であるので、dとLの大小の比較により、S1−4でNoとなるので、第1バッファB1は読出しパケットとして選択されずに、S1−7により、第2バッファB2に進むことになる。
【0014】
そして、同様に第2バッファB2では、S1−3によりd=500となるが、L=600なので、S1−4でNoとなり読出しバッファとして選択されない。
第3バッファB3では、S1−3によりd=500となり、L=400なので、S1−4でYesとなり、S1−5より読出しバッファとして選択され、S1−6よりd=d−L=500−400=100となる。
【0015】
次に読出しバッファをサーチし、第4バッファB4からスタートする。
第4バッファB4では、S1−3によりd=500となり、L=1000なので、S1−4でNoとなり読出しバッファとして選択されない。
【0016】
次に第1バッファB1に進み、第1バッファB1では、現在のd値がd=500であるので、トークンを受けると(S1−1)、d=d+q=500+500=1000となり(S1−3)、L=800であるので、dはL以上の条件を満たし(S1−4でYes)、読出しバッファとして選択され(S1−5)、d=d−L=1000−800=200となる(S1−6)。
【0017】
次に読出しバッファをサーチする。
第2バッファB2も、同様に、d=d+q=500+500=1000となり、L=600であるので、dはL以上となり、読出しバッファとして選択され、d=d−L=1000−600=400となる。
次の読出しバッファをサーチする。第3バッファB3では、キューにパケットがないので、S1−8により、d値は、リセットされ、d=0となる。
以下、同様の動作が、読出しバッファをサーチする為に繰り返される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記説明したDRR法において、読出しパケットを選択する為には、dがL以上なる条件を満たす必要がある。
長いパケットは、短いパケットより、読出しパケットを選択される回数が減るが、平均パケット長がバッファ毎に異なる場合でも、トラフィック量(スループット)の公平性を担保できるが、公平性や高スループットを担保することができるのは、粒度の値であるq値を適切に設定できた場合に限られる。
【0019】
図18は、粒度q=1000の場合の読出し制御部の制御例を示したものである。尚、図18の数字及び四角で囲繞した部分の意味は、図17と同様である。
もし、図18に示すように、q=1000と粒度を大きく設定すると、公平性を担保できなくなる。qが十分大きい場合、トークンが各バッファに巡回してきた場合、d=d+q(S1−3)で、dを更新すると、Lより大きくなる場合が多くなり、パケット長に関係なくパケット読出しが選択されることになる。結果的に単純なRR法を実行することと等価となり、公平性を担保できなくなる。
【0020】
図19は、粒度q=100の場合の読出し制御部の制御例を示したものである。尚、図19の数字、四角で囲繞した部分の意味は、図17と同様である。
図19に示す様に、q=100と粒度を小さく設定すると、q<<Lの場合、トークンが各バッファに巡回してきたとき、d=d+q(S1−3)により、d値を更新しても、d値がL値よりまだ小さいので、数回の巡回により、d値を何回も更新する必要がある。
【0021】
図19の例では、第3バッファB3が4回の更新後に読出しバッファとして選択される。かように、一つの読出し選択までにトークンが巡回する回数が多くなるので、計算量が増加して、読出し選択に必要となる所要時間が大きくなる。これにより、出力回線が空いている状態でも、読出し選択の所要時間が大きくなり、読み出せないことになり、スループットが低下する結果となる。
【0022】
以上から分かる様に、適切な粒度(q値)を設定しない限り、DRRの性能が悪化することになる。
そこで、適切なq値を設定する為には、予めパケット長の分布を知る必要がある。
【0023】
しかし、不確定なトラフィック入力に対しては、このパケット長の予測は困難であるし、又、ある期間のパケット長の分布を予測して適切なq値を設定したとしても、パケット長の分布は、時々刻々変化するので、任意の時刻で設定した粒度(q値)は、その任意の時刻が経過すると、必ずしも適切とはいえない。
よって、従来の競合制御装置においては、粒度が固定的に設定されるので、適切な粒度q値でないと、公平性や高スループットの性能を担保できない。
【0024】
ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は以下の通りである。
本発明の第1の目的は、公平性や高いスループットの性能を担保できる競合制御方法及び装置の提供にある。
【0025】
本発明の第2の目的は、適切な粒度を設定できる競合制御方法及び装置の提供にある。
【0026】
本発明の第3の目的は、DRRの性能を劣化させない競合制御方法及び装置の提供にある。
【0027】
本発明の他の目的は、明細書、図面、特に、特許請求の範囲における各請求項の記載から自ずと明らかとなろう。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明装置は、上記課題の解決に当たり、到着するパケットを入力パケット流毎に一時的に蓄積する任意数のバッファと、各バッファのうち次に出力すべきパケットが蓄積されているバッファの読出し選択制御を行う読出し制御部と、当該読出し制御部により読出し選択とされたバッファから順次出力回線にパケットを出力するパケット読出し部と、パケット処理における統計的観測情報を収集して当該収集した統計的観測情報に基づき、当該読出し制御部での前記読出し選択制御の制御パラメータである粒度を決定し当該読出し制御部に通知する統計実行部と、で構成される特徴的構成手段を講じる。
【0029】
本発明方法は、上記課題の解決に当たり、到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに当たり、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行う競合制御方法であって、各パケットのパケット処理において収集される統計的観測情報に基づいて、当該読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す特徴的構成手段を講じる。
【0030】
更に、具体的詳細に述べると、当該課題の解決では、本発明が次に列挙する上位概念から下位概念にわたる新規な特徴的構成手法又は手段を採用することにより、上記目的を達成するように為される。
【0031】
本発明装置の第1の特徴は、到着するパケットを入力パケット流毎に一時的に蓄積する任意数のバッファと、各バッファのうち次に出力すべきパケットが蓄積されているバッファの読出し選択制御を行う読出し制御部と、当該読出し制御部により読出し選択とされたバッファから順次出力回線にパケットを出力するパケット読出し部と、パケット処理における統計的観測情報を収集して当該収集した統計的観測情報に基づき、前記読出し制御部での前記読出し選択制御の制御パラメータである粒度を決定し当該読出し制御部に通知する統計実行部と、で構成される競合制御装置において、前記読出し制御部は、トークンを与える規準となる値を格納するラウンドロビンカウンタと、前記バッファに対応したディフィシットカウンタと、前記粒度を格納する粒度レジスタと、当該粒度の更新制御を行う粒度制御部と、1ラウンド毎に、前記ラウンドロビンカウンタの値に対応するバッファにトークンが与えられたことを契機に、前記粒度レジスタの粒度を、対応するバッファのディフィシットカウンタの値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタの値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対してのみ前記読出し選択とする制御を行う読出し選択処理部と、で構成され、前記統計実行部は、前記統計的観測情報であるパケット長情報を収集し、当該収集したパケット長情報を統計処理して得られる値を前記粒度に前記決定する手段である競合制御装置の構成採用にある。
【0032】
本発明装置の第2の特徴は、上記本発明装置の第1の特徴における前記統計実行部における統計処理は、前記収集したパケット長情報の集合から、中央値、最小値、最大値、最頻値、平均値の何れかを算出する処理である競合制御装置の構成採用にある。
【0033】
本発明装置の第3の特徴は、上記本発明装置の第1又は第2の特徴における前記統計実行部は、或る確率でサンプリングしたパケットのパケット長情報の個数を一定に保って前記統計的観測情報の収集を行う統計部と、当該統計部からの当該収集した統計的観測情報に基づき新たな粒度を決定する判断部と、で構成される競合制御装置の構成採用にある。
【0034】
本発明装置の第4の特徴は、上記本発明装置の第1、第2又は第3の特徴における前記統計実行部は、前記バッファの入力前段、出力後段の何れか一方に接続される競合制御装置の構成採用にある。
【0035】
本発明方法の第1の特徴は、到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに際し、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、前記読出し選択制御は、1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、前記粒度の決定は、パケットのパケット長情報を収集する前記パケット出力処理を通して、当該収集したパケット長情報を統計処理して得られる前記統計的観測情報に基づいて、為される競合制御方法の構成採用にある。
【0036】
本発明方法の第2の特徴は、上記本発明方法の第1の特徴における前記統計処理は、前記収集したパケット長情報の個数を一定に保って為される、競合制御方法の構成採用にある。
【0037】
本発明方法の第3の特徴は、到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに際し、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、前記読出し選択制御は、1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、前記粒度の決定は、前記出力回線の回線使用率の統計的観測に基づいて演算処理して為され、前記回線使用率の統計的観測は、出力中のパケットが存在し、且つバッファに出力待ちのパケットが存在する場合で、前記出力中のパケットの出力が完了した時に、直ちに当該出力待ちのパケットが出力できた回数を正常回数としてカウントすることであり、前記演算処理は、前記正常回数が或る閾値を超えると、粒度を減少させる処理であり、前記演算処理における前記正常回数が或る閾値を超えることは、前記正常回数が予め設定した任意の回数、トークンの巡回数の単位で換算した換算巡回数でそれぞれ表される閾値の何れかを超えることであり、前記カウントは、スライディングウインドウ、ジャンピングウインドウの何れかで決められる観測期間中に為される競合制御方法の構成採用にある。
【0038】
本発明方法の第4の特徴は、到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに当り、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、前記読出し選択制御は、1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、前記粒度の決定は、前記出力回線の回線使用率の統計的観測に基づいて演算処理して為され、前記回線使用率の統計的観測は、出力中のパケットが存在し、且つバッファに出力待ちのパケットが存在する場合で、前記出力中のパケットの出力が完了した時に、直ちに当該出力待ちのパケットが出力できなかった回数を異常回数としてカウントすることであり、前記演算処理は、前記異常回数が或る閾値を超えると粒度を増加させる処理であり、前記カウントは、スライディングウインドウ、ジャンピングウインドウの何れかで決められる観測期間中に為される競合制御方法の構成採用にある。
【0039】
本発明方法の第5の特徴は、到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに当り、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、前記読出し選択制御は、1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、前記粒度の決定は、前記到着したパケットのトラフィック量を観測し、当該観測した入力トラフィック量の変動に伴って、為される競合制御方法の構成採用にある。
【0040】
本発明方法の第6の特徴は、上記本発明方法の第5の特徴における前記粒度の決定は、前記入力トラフィック量の統計処理を行い、当該統計処理の結果と回線速度とから見込み検索回数値を算出して、当該算出した見込み検索回数値と、各バッファへトークンが巡回した際に当該バッファからスキップされずに読み出された検索回数の平均値との大小を比較して、当該検索回数の平均値が大きい場合には粒度の増加、当該検索回数の平均値が小さい場合には粒度の減少により為される競合制御方法の構成採用にある。
【0041】
本発明方法の第7の特徴は、上記本発明方法の第6の特徴における前記入力トラフィック量の統計処理は、ローパスフィルター、スライディングウインドウ、ジャンピングウインドウの何れかを用いて統計的な平均値を算出する処理である競合制御方法の構成採用にある。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0043】
(装置例1)
図1は、本発明一実施形態である競合制御装置の基本構成図であり、図2は、図1における読出し制御部と出力側統計処理実行部との関係図である。
【0044】
競合制御装置は、到着するパケットを入力パケット流毎に一時的に蓄積する任意数(複数)のバッファ(図1では、第1バッファB1、第2バッファB2、・・第NバッファBN)と、各バッファのうち次に出力すべきパケットが蓄積されているバッファを読出しの選択制御を行う読出し制御部RCと、読出し制御部RCにより読出し選択とされたバッファから順次出力回線にパケットを出力するパケット読出し部PRと、パケット処理における統計的観測情報を収集して粒度のq値を決定し読出し制御部RCに通知する統計実行部とで構成される。
【0045】
尚、装置例1では、統計実行部は、各バッファの出力側に設置されるので、特に出力側統計実行部OSとする。
読出し制御部RCは、トークンを与える規準となるラウンドロビンカウンタRRCと、各バッファに対応したディフィシットカウンタ(図2では、第1ディフィシットカウンタC1、第2ディフィシットカウンタC2、・・第NディフィシットカウンタCN)と、粒度の値を格納する粒度レジスタQRと、粒度の更新制御を行う粒度制御部QC、読出し選択処理部RSとで構成される。
【0046】
読出し制御部RCは、かかる構成により、ラウンドロビンカウンタの値に対応するバッファにトークンを与え、トークンを与えたことを機会として粒度レジスタQRに格納される値をそのバッファのディフィシットカウンタに加算し、ディフィシットカウンタの値であるディフィシット値に相当する量以下のパケットを、ディフィシットカウンタの値と引き換えに、当該パケットを一時的に蓄積するバッファから読出し選択する手段である。
【0047】
尚、読出し制御部RCにおける読出し選択の仕方は、かかる事項に限定されず、変更為し得、読出し選択処理部RSは、当該読出し選択の制御を行う手段であり、各ラウンドロビンカウンタRRC及び各ディフィシットカウンタは、読出し選択処理部RSに内蔵する様に構成してもよい。
【0048】
統計処理実行部(図1、図2では出力側統計実行部OS)は、パケット処理における統計的観測情報を収集する統計部STと、当該収集した統計的観測情報に基づき粒度レジスタに設定する値を決定し、当該決定した値を読出し制御部RCの粒度制御部QCに通知する判断部JDで構成される。
尚、競合制御装置の詳細は、下記方法例1での競合制御装置の動作説明に準じる。
【0049】
(装置例2)
図3は、本発明一実施形態である競合制御装置の基本構成図であり、図4は、図3における読出し制御部と入力側統計処理実行部との関係図である。
【0050】
競合制御装置は、到着するパケットを入力パケット流毎に一時的に蓄積する任意数(複数)のバッファ(図3では、第1バッファB1、第2バッファB2、・・、第NバッファBN)と、各バッファのうち次に出力すべきパケットが蓄積されているバッファを読出しの選択制御を行う読出し制御部RCと、読出し制御部RCにより読出し選択とされたバッファから順次出力回線にパケットを出力するパケット読出し部PRと、パケット処理における統計的観測情報を収集して粒度のq値を決定し読出し制御部RCに通知する統計実行部とで構成される。
【0051】
尚、装置例2では、統計実行部は、各バッファの入力側に設置されるので、特に入力側統計実行部ISとするも、読出し制御部RC、入力側統計処理実行部ISの内部構成は装置例1と同様である。
又、競合制御装置の詳細は、下記方法例1で説明する競合制御装置の動作説明に準じる。
【0052】
(方法例1)
次に、本発明の一実施形態である競合制御方法を、装置例1の動作手順を説明しながら説明する。尚、装置例2も動作手順も同様であるので、出力側統計実行部OSと入力側統計実行部ISとを特に区別することなく、統計実行部として説明する。
【0053】
本発明で特に強調すべき点は、従来の競合制御装置では、粒度レジスタQRに外部から固定的に粒度q値を設定していたのに対して、この粒度q値を可変にできる様にした点である。以下具体的に説明していく。
【0054】
入力されたパケットはヴァーチャルサーキット等予め設定された単位で識別される複数の入力パケット流(図1、図3では、第1入力パケット流、第2入力パケット流、・・第n入力パケット入力流)は、各パケット流に対応した異なるバッファに蓄積される。そして、読出し選択制御部RCは、次に出力するパケットを、複数のバッファに蓄積されたパケットの何れかから以下の手順により選択する。
【0055】
先ず、読出し選択制御部RCは、ラウンドロビンカウンタRRCの値に対応するバッファBi(iは、ラウンドロビンカウンタRRCの値に対応するバッファの番号)にトークン(=発言権)を与え、トークンを与えられたことを機会に粒度レジスタQRに格納される値をそのバッファBiのディフィシットカウンタCi(i=Biのi)に加算する。
【0056】
そしてトークンを与えたバッファから、ディフィシット値に相当するデータ量のパケットに対しては出力許可信号を出す。この際、出力許可を与えたパケットのデータ量をディフィシットカウンタの値から減算する。
以上が、パケットの選択処理手順である。尚、この手順は例示であり、例えば、図15に示す他、適宜変更実施なし得る。
【0057】
図2に示す様に、パケット読取り部PRからパケットを出力回線に出力する際には、当該出力するパケットのパケット長Lを、予め設定された確率Pでサンプリングするか否かの判断を行い、確率Pでサンプリングされたパケット長情報を、出力側統計処理実行部OSに通知する。
【0058】
パケット読出し部PRから出力側統計処理実行部OSに通知されたパケット長情報は、出力側統計処理部OS内の統計部STに蓄積される。そして判断部JDは、統計部JDに当該パケット長情報が蓄積される毎に、新たな統計値を算出するか否かの判断を行う。
【0059】
更に、判断部JDは、新たな統計値を算出した時点で、粒度q値を更新するかの判断処理を行う。
判断部JDにより、粒度q値の更新を行うと判断すると、更新すべき粒度を算出した時点で、読出し制御部RC内の粒度制御部QCに、新たな粒度を通知する。
【0060】
粒度制御部QCは、新たな粒度の通知を受けた時点で、読出し選択処理部RCが利用する粒度レジスタQR内の粒度q値を更新する。
以上が、読出し制御部RCと出力側統計実行部OSの内部動作を説明したが、図3、図4の読出し制御部RCと入力側統計実行部ISの内部動作についても同様である。
【0061】
即ち、パケット読取り部PRからパケットを出力回線に出力する際に行う、出力するパケットのパケット長Lのサンプリングの判断、及びパケット長情報の出力側統計処理実行部OSへの通知が、ぞれぞれ、其々対応するバッファに、各入力バッファ流が入力される際(競合制御装置に入力される場合でもよい)に行う、入力するパケットのパケット長Lのサンプリングの判断、及びパケット長情報の入力側統計処理実行部ISへの通知となる相違がある。
【0062】
ここで、判断部JDが行う、新たな統計値を算出するか否かの判断を行うタイミングにつき、例示しながら詳細する。
図5は、タイミングの一例であるスライディングウインドウを用いて統計値を算出するタイミングを決定する手法を示した説明図である。図5を参照しながら、スライディングウインドウを用いて統計値を算出するタイミングを決定する手法を説明する。
【0063】
Pi時刻にパケットが到着する(尚便宜上Pi時刻に到着したパケット名をPiとする)。ここで、パケットが到着するとは、図2では、パケット読取り部PRからパケットを出力回線に出力すること(又は、パケット読出し部PRから実際に読み出されたパケットのパケット長情報の信号が出力側統計実行部OSの統計部STに到着すること等)を指し、図4では、各入力バッファ流から各バッファにパケットが入力されること(又は、競合制御装置にパケットが入力されること等)を指す。
【0064】
パケット到着毎に確率Pで統計部JDでパケット長情報がサンプリングされる。尚、サンプリングされるときの時刻をLiで表し、そのサンプリング名をその時刻であるLiと便宜上示す。添え字iは、任意の自然数である。
スライディングウインドウ法では、新たなパケット長情報がサンプリングされる毎に過去w個分のパケット長情報を用いて統計処理する。
【0065】
予めウインドウサイズw=3と設定した場合には、L2のパケットが蓄積された時点で、判断部JDはサンプリングされたパケット長情報から統計値を算出し、観測値M0を当該算出した値に更新する。そして次のL3のパケットが蓄積された時点で、観測地M1が更新される。
【0066】
図6は、タイミングの一例であるジャンピングウインドウを用いて統計値を算出するタイミングを決定する手法を示した説明図である。図6を参照しながら、ジャンピングウインドウを用いて統計値を算出するタイミングを決定する手法を説明する。
【0067】
Pi時刻にパケットが到着する。パケット到着毎に確率Pで統計部JDにパケット長情報がサンプリングされる。尚、このときの時刻をLiで表すとする。尚、パケットが到着する及びPi,Liは、図5と同様である。
ジャンピングウインドウ法では、w個のパケット長情報がサンプリングされる毎に過去w個分のパケット長情報を用いて統計処理する。
【0068】
予めウインドウサイズw=3と設定した場合には、L2のパケットが蓄積された時点でサンプリングされたパケット長情報から統計値を計算し、観測値M0を当該算出した値に更新する。又L5のパケットが蓄積された時点で、観測値M1が更新される。
【0069】
以上がタイミングの例示であるが、各Liのパケットの蓄積は、統計部STで行い、統計部STで蓄積したパケット長情報を判断部JDが受取り、統計値の計算を行うことになるが、統計部STと判断部JDの役割分担については、之に限られない。
【0070】
次に、判断部JDで行われる統計情報の算出に関して説明する。
尚、統計情報としては、パケット長情報を基にして算出されるパケット長の平均値、中央値、最小値、最大値、最頻値であり、この内の何れかが、粒度として新たに決定されることになる。
【0071】
先ず、サンプルリングしたw個のパケット長情報の集合Gは、パケット長情報Lの集合で、(式1)の様に表すとする。
G={L1,L2,・・Lw} (式1)
このとき、中央値Mは以下の通り算出される。
Gの要素を並び替えて、(式2)で表されるG’を考える。
【数1】
【0072】
ここで、中央値Mは、(式3)となる。尚、[ ]はカッコ内の数を超えない最大の整数を表すガウス記号である。
M=L’[w/2] (式3)
一方、平均値は、(式4)の様に算出される。
【数2】
【0073】
一方、最小値は、(式5)の様に算出される。
M=min{L1,L2,・・,Lw} (式5)
一方、最大値は(式6)の様に算出される。
M=max{L1,L2,・・,Lw} (式6)
【0074】
又、平均値の算出にあっては、(式4)を用いずにパケット情報がサンプリングされる毎に、以下の様にして、平均パケット長を算出することも考えられる。この場合は、統計部STにローパスフィルターが備えられ、算出した平均値を判断部JDに転送することになる。
【0075】
ローパスフィルターによる平均値は、サンプリングLkがされる毎に、(式7)で算出される。尚、αは、0〜1の任意の数である。
Mk=αLk+(1―α)Mk−1 (式7)
【0076】
判断部JDでは、観測値(上記算出した値の何れか)Mを新たな粒度qnewとして判断する。その結果、今までの粒度qoldと比較して新たな粒度の変更があった場合には、読出し制御部RCの粒度制御部QCに新たな粒度qnewを通知し、qoldは、この新たな粒度qnewに置換されることになる。
【0077】
読出し制御部RCでは、DRRの手順に従い読出しパケットの選択を行っているが、トークンが巡回する区切りのところで、新たな粒度qnewが出力側統計実行部OS(又は入力側統計実行部IS)から粒度制御部QCに通知されている場合には、粒度レジスタQRの値をこの新たな粒度に更新することにより、現在使用している粒度を新たな粒度で更新し、当該変更された粒度を用いてDRR法の制御を実行し続ける。
【0078】
以上が、装置例1及び2並びに方法例1の説明であるが、本発明は、上記したことに限定されるものではなく、一種の例示であり、適宜変更実施し得るものである。
【0079】
【実施例】
次に、上記装置例1及び2並びに方法例1の応用乃至変形した例を、実施例として以下説明する。尚、上記装置例1を基本に説明するが、上記装置例2でも同様に変形することができることは説明するまでもない。又、本発明の基本的な事項については、説明が重複するので、主として相違点のみを具体例を挙げながら説明することにする。
【0080】
(実施例1)
実施例1は、上記発明の実施の形態とは、統計情報の収集法と、得られた情報から粒度を算出する手法が異なるものの、基本的な流れ、考え方には変わりないので、相違点を主として説明する。
【0081】
図7は、本発明の実施例1である、図1及び2の装置例1を変形した競合制御装置の構成を一部示したものでる。省略部分については、図1及び2と同様である。尚、具体的にバッファ数はN=5の場合としてあり、読出し制御部RCと出力側統計実行部OSとで、出力タイミング通知を行うことが、装置例1及び2と異なる。
【0082】
図8、本発明の実施例1における読出し正常状態例を説明する為の説明図、図9は本発明の実施例1における読出し損失状態例を説明する為の説明図、図10は、本発明の実施例1におけるカウンタ演算フロー図である。
図7に示す様に、第1バッファB1、第2バッファB2、第4バッファB4、第5バッファB5に、それぞれパケットPa、パケットPc、パケットPd、パケットPbが、蓄積されている。そして、読出し制御部RCは、順次各バッファを評価し、次の出力パケットを決定する。
【0083】
今、時刻t0に第1バッファB1を評価しパケットPaが第1バッファB1から出力されるとする。
時刻t1に第2バッファB2のパケットの出力判断を行うが、ディフィシット値がパケット長情報よりも小さかった為に、当該パケットは出力されないものとする。
【0084】
時刻t2には、次の第3バッファB3からパケット出力判断を行うが、第3パケットにはパケットはないものとする。
時刻t3には、第4バッファB4を評価するが、ディフィシット値がパケット長情報より短かった為に、このパケットは出力されなかったとする。
時刻t4には、ディフィシット値がパケット長情報より大きく、このパケットPbが出力されたとする。
【0085】
図8及び図9は、図7に示した条件下におけるパケット読出し部PR、出力側統計実行部OS、読出し制御部RCの状態遷移の一例を各々示したものである。
パケット読出し部PRでは、パケットPa、パケットPbの情報が順次出力回線に転送されている様子を、出力側統計実行部OSでは、読出し制御部RCが各バッファについてのパケット出力判断を行った結果を受取っている様子を、読出し制御部RCでは、各バッファの出力判断を時間Δtで行っている様子を、示している。
【0086】
図8に示すように、パケットPaが出力完了する前に読出し制御部RCでは次のパケットを選択し終わっている場合は、パケットPaが出力完了するとほぼ同時に、次のパケットを出力することができる。かかる状態を正常状態と呼ぶことにする。
一方、図9に示す様に、パケットPaが短く、パケットPaの出力を完了しても、読出し制御部RCが次の出力パケットを調べている場合には、出力することができずに、回線使用効率が低下する。かかる状態を損失状態と呼ぶ。
【0087】
正常状態でパケットを出力できた場合には、正常カウンタを、損失状態でパケットを出力した場合には、損失カウンタを増加させる。この損失カウンタと正常カウンタの各値を用いることにより、DRR法の粒度の更新を行う。
尚、正常カウンタ及び損失カウンタは、読出し制御部RCに具備されても、読出し選択処理部RS内部に設けてもよいし、図2、4のラウンドロビンカウンタRRC等の様に読出し選択処理部RSに接続し得るように外付けしてもよい。
【0088】
図10は、本発明の実施例1におけるDDR法の粒度の更新の流れを示した流れ図である。
図10等を参照して、粒度の更新の仕方につき説明する。
先ず、パケット出力時(S2−1)に、正常状態・損失状態の状態判断を行う(S2−2)。
【0089】
損失状態(S2−2でNo)では、損失カウンタを増加させる(S2―3)。このとき、損失カウンタチェックタイミングの場合で(S2−4でYes)、損失カウンタを予め設定された閾値nより大きい場合(S2−5でYes)には、粒度の増加を行い(S2−6)、損失カウンタ、正常カウンタを共に0にリセットする(S2−7)。
【0090】
一方、正常状態(S2−2でYes)では、正常状態のカウンタを増加させる(S2−8)。このとき、正常カウンタチェックタイミングの場合で(S2−9でYes)、正常カウンタが予め閾値mより大きい場合(S2−10でYes)は、粒度を減少させ(S2−11)、正常カウンタを0にリセットする(S2−12)。
【0091】
S2−6の粒度増加は、qnew=qold+α 又は、qnew=qold×β 等により行う。又、S2−11の粒度減少は、qnew=qold−γ 又は、qnew=qold÷δにより行う。尚、α、β、γ、δは、其々予め設定した定数(α>0、β>1、γ>0、δ>1)で、qoldは、更新前の粒度q値を、qnewは、更新後の粒度q値を示す。
【0092】
尚、正常カウンタ、異常カウンタのS2−10、S2―4の判断は、予め設定した任意の回数、又はトークン巡回数の単位で換算した換算巡回数で表される閾値を基に判断されてもよい。又、正常カウンタ及び異常カウンタは、スライディングウインドウ、ジャンピングウインドウ等で定まる観測中に為されても良い。
【0093】
(実施例2)
次に、実施例2を説明するが、上記発明の実施の形態とは、統計情報の収集法と、得られた情報から粒度を算出する手法が異なるものの、基本的な流れ、考え方には変わりない。
【0094】
図11は、本発明の実施例2における平均ジャンプカウンタ値演算の流れ図であり、図12は、本発明の実施例2における粒度演算の流れ図である。
実施例2で用いられる統計情報は以下の様に算出される。
先ず、バッファ(又は競合制御装置)に到着するパケットに着目して、到着したパケットの履歴から入力トラフィック量を計算する。
【0095】
初めに、ローパスフィルターを用いて以下の様に入力トラフィック量Rを算出する。ここで、i番目にパケットが到着した時刻をtiとし、そのパケット長をLiとする。このとき入力トラフィック量をRiとすると、αを0〜1の任意数として
Ri=αri+(1−α)Ri−1 (式8)
ri=Li/(ti−ti−1) (式9)
となる。
【0096】
次に、スライディングウインドウを用いて、入力トラフィック量Rの算出を行うことができる。ここで、パケットが到着する毎に、(式10)(式11)を用いて算出する。尚、ウインドウサイズw、i番目のパケットが到着した時刻をtiとし、そのパケット長をLiとし、このときの入力トラフィック量をRiとする。
Gi={Li−w + 1,Li−w+2,・・,Li} (式10)
【数3】
【0097】
最後に、ジャンピングウインドウを用いて、次式を用いて入力トラフィック量Rの算出を行うことが可能である。ここで、ウインドウサイズwとしたとき、w個のパケットが到着する時刻twn(nは整数)毎にパケット長の集合Gnを用いてレートRnを計算する。
Gn={Lnw + 1,Lnw+2,・・,Lnw} (式12)
【数4】
【0098】
かかる統計の結果を用いて、ジャンプカウンタ値J、及び平均ジャンプカウンタ値Eを計算する。
読出し制御部RCでは、上記発明の実施の形態で説明した様に、各バッファの出力判定の評価を行う(S3−1)。
かかる結果、バッファ内にパケットがあるにも関わらず、粒度よりもパケット長の小さい故に読み出されなかった場合(S3−2でYes且つS3−3でNo)は、ジャンプカウンタ値Jを増加させる(S3−4)。
【0099】
一方、パケットが出力された場合(S3−2でYes且つS3−3でYes)は、パケットの出力が為され(S3−5)、ジャンプカウンタ値Jを増加させる(S3−6)と共に、この値、即ちジャンプカウンタ値Jを用いて平均ジャンプカウンタ値Eを算出し(S3−7)、ジャンプカウンタをリセットする(S3−8)。
【0100】
このとき、ローパスフィルターを用いてもよいし、スライディングウインドウ、又はジャンピングウインドウの様に複数のJiの履歴から平均ジャンプカウンタ値を計算してもよい。又、統計実行部で、ジャンプカウンタ値J、平均ジャンプカウンタ値Eを計算するには、読出し制御部RC等からそれに必要な情報(信号)が転送されることになる。
【0101】
又、かかる計算を読出し制御部RCで行う場合には、統計実行部にかかる計算の結果を転送する必要がある。
この平均ジャンプカウンタ値Eを予め決められた粒度更新間隔毎に、図12に示す流れに従って粒度q値を更新する。図中Cは、出力回線の速度を表す。
【0102】
即ち、入力トラフィック量の統計処理を行って、粒度見直しのタイミング(例えば、任意回数バッファを巡回する等)となると(S4−1)、入力トラフィック量Rが出力回線の速度C以上の場合(S4−2)、統計処理の結果と出力回線の速度の比である見込み検索回数値R/Cを算出して、算出した見込み検索回数値と、各バッファへトークンが巡回した際にバッファからスキップされずに読み出された検索回数の平均値Eとの大小を比較する(S4−3)。
【0103】
検索回数の平均値が大きい場合(S4−3でNo)には粒度の増加(S4−4)、検索回数の平均値が小さい場合(S4−3でYes)には粒度の減少(S4−5)を為して粒度を決定される。尚、粒度の増減は、固定値を足す、掛ける、引く、割る等の計算により行い、実現される。
【0104】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、必ずしも上記した事項に限定されるものではなく、本発明の目的を達し、下記する効果を奏する範囲において、適宜変更実施可能である。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、読出し状況又は選択の状況に応じて可変制御される粒度qを用いることにより、従来の競合制御装置において、不適切に設定され、かつ固定的な粒度q値を用いることにより生じる、公平性や高スループットの性能を担保できない問題点を解消でき、公平性や高スループットを提供できる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施形態である競合制御装置の基本構成図である。
【図2】図1における読出し制御部と出力側統計処理実行部との関係図である。
【図3】本発明一実施形態である、別の競合制御装置の基本構成図である。
【図4】図3における読出し制御部と入力側統計処理実行部との関係図である。
【図5】本発明の一実施形態である競合制御方法におけるタイミングの一例であるスライディングウインドウを用いて統計値を算出するタイミングを決定する手法を示した説明図である。
【図6】本発明の一実施形態である競合制御方法におけるタイミングの一例であるジャンピングウインドウを用いて統計値を算出するタイミングを決定する手法を示した説明図である。
【図7】本発明の実施例1である、図1及び2を変形した競合制御装置の部分構成図である。
【図8】本発明の実施例1における読出し正常状態例を説明する為の説明図である。
【図9】本発明の実施例1における読出し損失状態例を説明する為の説明図である。
【図10】本発明の実施例1におけるカウンタ演算フロー図である。
【図11】本発明の実施例2における平均ジャンプカウンタ値演算の流れ図である。
【図12】本発明の実施例2における粒度演算の流れ図である。
【図13】従来の競合制御装置の基本構成図である。
【図14】従来の、DRR法を用いた場合の読出し制御部の基本構成図である。
【図15】従来の、DRR法を用いた読出し制御部の流れ図である。
【図16】各バッファにパケットが蓄積されている例の模式図である。
【図17】粒度q=500の場合の読出し制御部の制御例の説明図である。
【図18】粒度q=1000の場合の読出し制御部の制御例の説明図である。
【図19】粒度q=100の場合の読出し制御部の制御例の説明図である。
【符号の説明】
B1…第1バッファ
B2…第2バッファ
B3…第3バッファ
B4…第4バッファ
B5…第5バッファ
BN…第Nバッファ
IS…入力側統計実行部
JD…判断部
OS…出力側統計実行部
Pa,Pb,Pc,Pd…パケット
PR…パケット読出し部
QR…粒度レジスタ
RC…読出し制御部
RS…読出し選択処理部
ST…統計部
Claims (11)
- 到着するパケットを入力パケット流毎に一時的に蓄積する任意数のバッファと、
各バッファのうち次に出力すべきパケットが蓄積されているバッファの読出し選択制御を行う読出し制御部と、
当該読出し制御部により読出し選択とされたバッファから順次出力回線にパケットを出力するパケット読出し部と、
パケット処理における統計的観測情報を収集して当該収集した統計的観測情報に基づき、前記読出し制御部での前記読出し選択制御の制御パラメータである粒度を決定し当該読出し制御部に通知する統計実行部と、
で構成される競合制御装置において、
前記読出し制御部は、
トークンを与える規準となる値を格納するラウンドロビンカウンタと、
前記バッファに対応したディフィシットカウンタと、
前記粒度を格納する粒度レジスタと、
当該粒度の更新制御を行う粒度制御部と、
1ラウンド毎に、前記ラウンドロビンカウンタの値に対応するバッファにトークンが与えられたことを契機に、前記粒度レジスタの粒度を、対応するバッファのディフィシットカウンタの値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタの値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対してのみ前記読出し選択とする制御を行う読出し選択処理部と、で構成され、
前記統計実行部は、
前記統計的観測情報であるパケット長情報を収集し、当該収集したパケット長情報を統計処理して得られる値を前記粒度に前記決定する手段である、
ことを特徴とする競合制御装置。 - 前記統計実行部における統計処理は、
前記収集したパケット長情報の集合から、中央値、最小値、最大値、最頻値、平均値の何れかを算出する処理である、
ことを特徴とする請求項1に記載の競合制御装置。 - 前記統計実行部は、
或る確率でサンプリングしたパケットのパケット長情報の個数を一定に保って前記統計的観測情報の収集を行う統計部と、
当該統計部からの当該収集した統計的観測情報に基づき新たな粒度を決定する判断部と、
で構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の競合制御装置。 - 前記統計実行部は、
前記バッファの入力前段、出力後段の何れか一方に接続される、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の競合制御装置。 - 到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに際し、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、
各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、
前記読出し選択制御は、
1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、
前記粒度の決定は、
パケットのパケット長情報を収集する前記パケット出力処理を通して、当該収集したパケット長情報を統計処理して得られる前記統計的観測情報に基づいて、為される、
ことを特徴とする競合制御方法。 - 前記統計処理は、
前記収集したパケット長情報の個数を一定に保って為される、
ことを特徴とする請求項5に記載の競合制御方法。 - 到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに際し、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、
各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、
前記読出し選択制御は、
1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、
前記粒度の決定は、
前記出力回線の回線使用率の統計的観測に基づいて演算処理して為され、
前記回線使用率の統計的観測は、
出力中のパケットが存在し、且つバッファに出力待ちのパケットが存在する場合で、前記出力中のパケットの出力が完了した時に、直ちに当該出力待ちのパケットが出力できた回数を正常回数としてカウントすることであり、
前記演算処理は、
前記正常回数が或る閾値を超えると、粒度を減少させる処理であり、
前記演算処理における前記正常回数が或る閾値を超えることは、
前記正常回数が予め設定した任意の回数、トークンの巡回数の単位で換算した換算巡回数でそれぞれ表される閾値の何れかを超えることであり、
前記カウントは、
スライディングウインドウ、ジャンピングウインドウの何れかで決められる観測期間中に為される、
ことを特徴とする競合制御方法。 - 到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに当り、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、
各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、
前記読出し選択制御は、
1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、
前記粒度の決定は、
前記出力回線の回線使用率の統計的観測に基づいて演算処理して為され、
前記回線使用率の統計的観測は、
出力中のパケットが存在し、且つバッファに出力待ちのパケットが存在する場合で、前記出力中のパケットの出力が完了した時に、直ちに当該出力待ちのパケットが出力できなかった回数を異常回数としてカウントすることであり、
前記演算処理は、
前記異常回数が或る閾値を超えると粒度を増加させる処理であり、
前記カウントは、
スライディングウインドウ、ジャンピングウインドウの何れかで決められる観測期間中に為される、
ことを特徴とする競合制御方法。 - 到着するパケットを入力パケット流毎に各バッファに蓄積したパケット群の内から、次に出力すべきパケットを出力回線に出力するに当り、次に出力すべきパケットのバッファの読出し選択制御を行うに当り、
各パケットのパケット出力処理において収集される統計的観測情報のフィードバックに基づいて、前記読出し選択制御のパラメータである粒度を決定して、当該読出し選択を為す競合制御方法において、
前記読出し選択制御は、
1ラウンド毎に、ラウンドロビンカウンタ値に相当するバッファにトークンを与えたことを契機に、現在の粒度を、当該バッファのディフィシット値に加算し、当該バッファから当該ディフィシットカウンタ値に相当するデータ量以下の高々1パケットに対して読出し選択を行う制御であり、
前記粒度の決定は、
前記到着したパケットのトラフィック量を観測し、当該観測した入力トラフィック量の変動に伴って、為される、
ことを特徴とする競合制御方法。 - 前記粒度の決定は、
前記入力トラフィック量の統計処理を行い、
当該統計処理の結果と回線速度とから見込み検索回数値を算出して、
当該算出した見込み検索回数値と、各バッファへトークンが巡回した際に当該バッファからスキップされずに読み出された検索回数の平均値との大小を比較して、
当該検索回数の平均値が大きい場合には粒度の増加、当該検索回数の平均値が小さい場合には粒度の減少により為される、
ことである請求項9に記載の競合制御方法。 - 前記入力トラフィック量の統計処理は、
ローパスフィルター、スライディングウインドウ、ジャンピングウインドウの何れかを用いて統計的な平均値を算出する処理である、
ことを請求項10に記載の競合制御方法。
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JP2001223740A (ja) | 2001-08-17 |
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