JP3566112B2 - 上塗塗料循環システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体上塗ライン等に採用され、ポンプによって上塗塗料がタンクから色毎に調圧弁および切換弁を経て帰還路によりタンクに循環される上塗塗料循環システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体上塗ライン等に採用される上塗塗料循環システムとしては、特開平6−343914号公報に開示された第1従来例のものがある。
図示はしないが、これは塗料供給管と塗料戻し配管とを接続するバイパス配管に塗装装置を設けて、塗料供給管と塗料戻し配管を塗装ラインの両側にわたって配設する必要をなくし、全配管長を短縮したものである。また塗料供給管と塗料戻し配管とをオリフィスによって接続して、塗料供給管内の圧力を塗料戻し配管内の圧力よりも確実に高く保ち、これにより各バイパス通路を確実に塗料を流し、レギュレータ(調圧弁)を使用せずに塗装を行うことを可能にした。
【0003】
また、上塗塗料循環システムとしては、図4および図5に示すような第2従来例のものも広く採用されている。
図4に示す上塗塗料循環システムは、ポンプ42A、42B・・・によって上塗塗料がタンク41から色毎に調圧弁43A、43B・・・および切換弁44A、44B・・・を経て帰還路によりタンク41に循環される。
この上塗塗料循環システムでは、塗装色に対応する前記各調圧弁43A、43B・・・の全てを、図5に示したような調圧弁によって予め適正な塗料圧に調整しておくものである。
ダイヤフラム53によって塗料室52Aと調圧室52Bとに分割された調圧弁43の本体51に螺合されたハンドル61を回動操作し、調圧スプリング60を介して前記ダイヤフラム53を左へ移動させることにより、弁体54を塗料の導入パイプ56における弁座55から開弁させて、適正に減圧して調圧された塗料が排出パイプ57から調圧ライン48A、48B・・・を経て、切換弁44A、44B・・・に供給される。
【0004】
全てのラインの塗料は適正に調圧されてそれぞれの色に対応した各切換弁44A、44B・・・に供給されてくるが、切換コントローラ47によって塗装が要求される色のラインのみの切換弁、例えば図示の例では切換弁44A、44B・・・の中の切換弁44Cのみが吐出ライン49Cに切り換えられ、メタリングバルブ45を経て塗装用の自動機ガンへ供給される。
したがって、塗装に与らなかったその他の色は帰還路であるサードラインTによってタンク41に帰還する。
また、前記各調圧弁43A、43B・・・によって適正な塗料圧に調整される際に生じた各余剰塗料はセカンドラインSによってタンク41に還流される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の上塗塗料循環システムにあって、前記第1従来例のものでは、塗料供給管と塗料戻し配管とをオリフィスによって接続して、塗料供給管内の圧力を塗料戻し配管内の圧力よりも確実に高く保ち、これにより各バイパス通路を確実に塗料を流し、調圧弁を使用せずに塗装を行うことを可能にしたものの、オリフィスによって減圧された塗料は塗料戻し配管内において流れが停滞しがちとなり、色むらや色相不良等の塗料の欠陥を生じ、最悪の場合は塗料の管内での堆積を生じた。
また、前記第2従来例のものにおいても、前記各切換弁44A、44B・・・に供給されてくる各塗料ラインは、全て各調圧弁43A、43B・・・によって減圧して調圧されているので、帰還路であるサードラインTにおいて前記第1従来例のものと同様の、塗料の流れの停滞や欠陥ならびに堆積を生じる虞れがあることから、前記サードラインTにおける各色ライン毎にタンク62と還流用の各ポンプ63A、63B・・・を設けて強制的に循環させるように構成していた。
このため、システムの煩雑化や設備投資のコストアップを招いていた。
【0006】
そこで本発明では、上記従来の上塗塗料循環システムおける諸課題を解決して、帰還路における塗料の流れを円滑にして、塗料の品質を維持するとともに、システムを簡素化して低コストな上塗塗料循環システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、ポンプによって上塗塗料がタンクから色毎に調圧弁および切換弁を経て帰還路によりタンクに循環される上塗塗料循環システムにおいて、上塗りする所定の色の塗料ラインのみを前記調圧弁にて減圧して調圧するとともに、該調圧に連動して前記所定の色の塗料ラインのみの切換弁を塗装用自動機ガンへ切り換えるように構成したことを特徴とするものである。
また本発明は、前記調圧弁における調圧は、加圧された制御エアーの減圧により塗料の流路における弁体が絞られて行われることを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0008】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の上塗塗料循環システムの1実施の形態を示すもので、図1はシステム全体のスケルトン図、図2は調圧弁の断面図、図3は切換弁の切換え状態を示す図である。
本発明の上塗塗料循環システムは、図1に示すように、ポンプ2A、2B・・・によって上塗塗料がタンク1から色毎にファーストラインF(FA、FB・・・)により供給され、調圧弁3A、3B・・・にて調圧された後、調圧ライン8A、8B・・・から切換弁4A、4B・・・に達し、塗装に供される色の塗料のみが吐出ライン9に切り換えられて、メタリングバルブ5を介して塗装用の自動機ガンに供給され、それ以外の色の塗料は帰還路であるサードライン(TA、TB・・・)によりタンク1に循環される。なお、前記ファーストラインFからは手吹き用調圧弁10A、10B・・・にて調圧されて塗装用の手吹きガンに塗料が供給される各色毎の手吹き用のラインが設けられている。
【0009】
前記各色毎のラインに設けられる調圧弁3(3A、3B・・・)としては、本発明の上塗塗料循環システムにおいて採用される好適な構成を有する。
図2に示すように、本発明の上塗塗料循環システムにおいて使用される特有の調圧弁3は、ダイヤフラム13によって塗料室12Aと調圧室12Bとに分割された調圧弁3の本体11に螺子部19により螺合されたハンドル21を回動操作し、調圧スプリング20を介して前記ダイヤフラム13を移動させることにより、弁体14を塗料の導入パイプ16における弁座15からの開度を調整することの他に、前記調圧室12Bにエアー供給パイプ18を付設することによって、該エアー供給パイプ18に加圧された高圧の制御エアーを付加して、弁体14を弁座15から充分に開放しておくことができるように構成されたものである。
【0010】
したがって、例えば塗料ラインにおけるCラインの色の塗料を塗装作業にて使用する場合には、電磁弁等により選択的に切り換えられるエアー供給コントローラ6を制御し、調圧弁3Cのみをエアー供給パイプ18を通じて高圧の制御エアーを減圧することにより、Cラインの塗料のみを適正に減圧して調圧された塗料を排出パイプ17から調圧ライン8Cを経て、切換弁4Cに供給される。したがって、塗装に供されないA、B、DおよびEラインにおける塗料は調圧されないので、充分に開放された弁体14を通じて高圧のままで調圧ライン8A、8B、8Dおよび8Eに流れ出して行く。
このとき、前記エアー供給コントローラ6の制御に連動させて切換コントローラ7を制御し、調圧弁3Cに対応した切換弁4Cのみを、図3(A)の帰還状態(切換弁のリターン通路4−Tを通じた状態)から図3(B)のような塗装のための吐出ライン9Cへの接続状態(切換弁の吐出通路4−9を通じた状態)に切り換えるものである。その他の塗装に供さない色のA、B、DおよびEラインの切換弁4A、4B、4Dおよび4Eは図3(A)の状態のままでサードラインTA、TB、TDおよびTEラインによってタンク1に高圧で還流される。
かくして、切換弁4Cにより切り換えられたCラインの塗料のみが塗装用の自動機ガンへ供給されて適正な塗料圧にて塗装に供される。
【0011】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、タンク、ポンプ、調圧弁、切換弁、エアー供給コントローラおよび切換コントローラの形式、制御方法等については適宜採用できるものである。
【0012】
【発明の効果】
以上詳細に述べてきたように、本発明によれば、ポンプによって上塗塗料がタンクから色毎に調圧弁および切換弁を経て帰還路によりタンクに循環される上塗塗料循環システムにおいて、上塗りする所定の色の塗料ラインのみを前記調圧弁にて減圧して調圧するとともに、該調圧に連動して前記所定の色の塗料ラインのみの切換弁を塗装用自動機ガンへ切り換えるように構成したので、塗装に供さない色のラインを流れる塗料は帰還路によってタンクに高圧で還流され、循環不良による塗料の堆積等の虞れがないばかりか、還流された塗料が塗装に供されることになっても色むらや色相不良等の塗装欠陥を生じさせることもない。
また、塗装に供する色の塗装ラインのみを減圧して調圧するので、その他の色の塗装ラインのものは高圧にてシステム内を循環できるので、従来のもののような調圧弁からタンクに帰還するいわゆるセカンドラインを必要としないばかりか、帰還路であるサードラインに循環停滞を防止するための還流ポンプ等を配設する必要もない。
したがって、設備が大幅に削減されて低コストな上塗塗料循環システムが実現される。
【0013】
また、前記調圧弁における調圧は、加圧された制御エアーの減圧により塗料の流路における弁体が絞られて行われるように構成したので、その制御はエアー電磁弁等の切換えにより、軽便にかつ円滑に行うことができる。しかも、市販の調圧弁の僅かな改良にて本発明の上塗塗料循環システムに容易に組み込むことができ、絶大なる効果を発揮することができる。
このように本発明によれば、帰還路における塗料の流れを円滑にして、塗料の品質を維持するとともに、システムを簡素化して低コストな上塗塗料循環システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の上塗塗料循環システムの1実施の形態を示すもので、システム全体のスケルトン図である。
【図2】本発明の上塗塗料循環システムの1実施の形態を示すもので、調圧弁の断面図である。
【図3】本発明の上塗塗料循環システムの1実施の形態を示すもので、切換弁の切換え状態を示す図である。
【図4】従来の上塗塗料循環システムのシステム全体のスケルトン図である。
【図5】従来の調圧弁の断面図である。
【符号の説明】
F ファーストライン
T サードライン(帰還路)
1 タンク
2 ポンプ
3 調圧弁
4 切換弁
5 メタリングバルブ
6 エアー供給コントローラ
7 切換コントローラ
8 調圧ライン
9 吐出ライン
10 手吹き用調圧弁
11 本体
12A 塗料室
12B 調圧室
13 ダイヤフラム
14 弁体
15 弁座
16 導入パイプ
17 排出パイプ
18 エアー供給パイプ
19 螺子部
20 調圧スプリング
21 ハンドル
Claims (2)
- ポンプによって上塗塗料がタンクから色毎に調圧弁および切換弁を経て帰還路によりタンクに循環される上塗塗料循環システムにおいて、上塗りする所定の色の塗料ラインのみを前記調圧弁にて減圧して調圧するとともに、該調圧に連動して前記所定の色の塗料ラインのみの切換弁を塗装用自動機ガンへ切り換えるように構成したことを特徴とする上塗塗料循環システム。
- 前記調圧弁における調圧は、加圧された制御エアーの減圧により塗料の流路における弁体が絞られて行われることを特徴とする請求項1に記載の上塗塗料循環システム。
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JP35598798A JP3566112B2 (ja) | 1998-12-15 | 1998-12-15 | 上塗塗料循環システム |
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