JP3565557B2 - 水道用原水の毒物混入監視方法および装置 - Google Patents

水道用原水の毒物混入監視方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3565557B2
JP3565557B2 JP2002335356A JP2002335356A JP3565557B2 JP 3565557 B2 JP3565557 B2 JP 3565557B2 JP 2002335356 A JP2002335356 A JP 2002335356A JP 2002335356 A JP2002335356 A JP 2002335356A JP 3565557 B2 JP3565557 B2 JP 3565557B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitrification
water
raw water
rate
tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002335356A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004170198A (ja
Inventor
極 松原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2002335356A priority Critical patent/JP3565557B2/ja
Publication of JP2004170198A publication Critical patent/JP2004170198A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3565557B2 publication Critical patent/JP3565557B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川水,井水,湖沼水など、またはこれらを水源とする水道用原水の毒物混入監視方法および装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道用原水の毒物混入監視装置としては、▲1▼硝化菌を利用した硝化センサー(非特許文献1参照)、▲2▼魚の運動性を利用した魚センサー(非特許文献2参照)、▲3▼生物のDNA損傷を検出する方法(非特許文献3参照)等がある。
しかし、▲1▼の方法は毒物のみならず高BODが流入したとき硝化性能が低下するので毒物混入の判定には不適切である。▲2▼については当該試料水で魚を飼い、毒物混入時の生死により判定する方法であるが、DO維持など飼育が難しいだけではなく、生死の判定を無人で行うには困難がある。また、▲3▼については高度なDNA分析の技術が必要であり、現状、自動測定の域にも達していない。
【0003】
【非特許文献1】
学会誌「EICA」第7巻第2号(2002):183〜186頁、図2。
【非特許文献2】
第35回「日本水環境学会年会講演集」(平成13年):115頁。
【非特許文献3】
学会誌「EICA」第7巻第2号(2002):193〜196頁。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、装置が簡単・安価であるとともに、DNA分析等の高度技術を駆使する必要がなく、メンテナンスも容易であって、水道用原水に毒物が混入したことを確実に検知でき、飲料水としての水道用原水のリスクを回避することができる水道用原水の毒物混入監視方法および装置を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、水道用原水の一部を連続採取し、アンモニア性窒素を含む一定濃度の栄養塩類を添加して栄養塩類含有水道用原水としたうえ、生物担体を添加した硝化槽に供給して一定水温、一定NH−N負荷で硝化速度を連続監視するとともに、前記栄養塩類含有水道用原水をrr測定槽に供給して前記硝化槽と同一処理条件で操作し、前記硝化速度に異変が生じた場合には、前記rr測定槽の槽内水を排出した後、該栄養塩類含有水道用原水を供給して回分処理にて酸素利用速度定数を測定し、得られた硝化速度と酸素利用速度定数を比較して毒物混入を判定することを特徴とする本発明の水道用原水の毒物混入監視方法によって、解決することができる。
【0006】
また、上記の問題は、水道用原水の一部を連続採取し、アンモニア性窒素を含む一定濃度の栄養塩類を添加して栄養塩類含有水道用原水としたうえ、生物担体を添加した硝化・rr測定槽に供給して一定水温、一定NH−N負荷で硝化速度を連続監視するとともに、前記硝化速度に異変が生じた場合には、当該硝化・rr測定槽の槽内水を排出した後、該栄養塩類含有水道用原水を供給して回分処理にて酸素利用速度定数を測定し、得られた硝化速度と酸素利用速度定数を比較して毒物混入を判定することを特徴とする本発明の水道用原水の毒物混入監視方法によって、解決することができる。
【0007】
本発明の毒物混入監視方法は、前記硝化槽または硝化・rr測定槽における硝化速度を監視するときの操作が、20〜25℃の一定水温、生物担体のNH−N負荷が1〜3kg(NH−N)/m(担体)・日の一定の好気性処理である毒物混入監視方法として、また、前記硝化速度が通常値の20%を超えて低下したときに硝化速度の異変があったとする前記毒物混入監視方法として、さらに、前記硝化速度が通常値の20%を越えて低下し、かつ前記酸素利用速度定数の値が通常値の10%を越えて低下したとき毒物混入があったと判定する前記毒物混入監視方法として好ましく具体化される。
【0008】
さらに、上記の問題は、前記した硝化速度の連続監視と回分処理による酸素利用速度定数の測定を個別の2槽で行うようにした水道用原水の毒物混入監視装置であって、少なくとも生物担体を収容し、内部には曝気装置と生物担体分離スクリーンを設けるとともに、栄養塩類供給装置を付設した水道用原水供給ラインと、Nセンサーを付設した硝化液流出ラインとを接続した開放型硝化槽と、この開放型硝化槽とは別個に、少なくとも生物担体を収容し、内部には生物担体分離スクリーンとDOセンサーを設けた密閉可能なrr測定槽とを装備したことを特徴とする本発明の水道用原水の毒物混入監視装置によって、解決される。
【0009】
また、同じく上記の問題は、前記した硝化速度の連続監視と回分処理による酸素利用速度定数の測定を単一の硝化・rr測定槽で行うようにした水道用原水の毒物混入監視装置であって、該硝化・rr測定槽が、栄養塩類供給装置を付設した水道用原水供給ラインとNセンサーを付設した硝化液流出ラインとを接続し、少なくとも生物担体を収納し、内部には曝気装置、生物担体分離スクリーンおよびDOセンサーを設けたものであることを特徴とする本発明の水道用原水の毒物混入監視装置によって、解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の水道用原水の毒物混入監視方法および装置に係る実施形態について、図と表を参照しながら説明する。
本発明の毒物混入監視方法の骨子は、所定条件で操作される硝化槽において水道用原水の硝化速度の変化を監視し、その硝化速度に異変が生じた場合には、さらに同水道用原水の酸素利用速度定数を測定し、得られた硝化速度と酸素利用速度定数を比較して毒物混入の有無を判定しようとする点に特徴があり、水道浄水装置に付設したり、一般公共用水域で使用して、水道用原水に生物呼吸阻害物質の混入を検出し、テロ等を想定した毒物によるリスクを回避することを可能とするものである。
【0011】
図1は、水道水浄水装置1に本発明の毒物混入監視装置2を適用した事例であり、水道用原水aを浄水装置1で浄化し上水cを供給するラインにおいて、分岐した水道用原水aに栄養塩類bを添加し毒物混入監視装置2からの情報により、開閉弁v0を操作して給水停止・配水停止し、毒物が混入した上水cが供給されないように構成している。なお、一般に、毒物は、化学薬品と病原微生物に分けられるが、病原微生物は浄水操作および殺菌により除去されるので、本発明は、生物に危害を加える化学薬品による化学的毒物を対象としている。
【0012】
図2は、本発明における毒物混入監視装置2の第1実施形態を示したものである。
図2の装置では、先ず、開放型硝化槽3が装備され、この槽内には生物担体が収容され、撹拌と酸素供給のための曝気装置31、生物担体の流出防止用の生物担体分離スクリーン32、処理液温を一定に保持するための温度調節器33などが設けられるとともに、水道用原水aを供給する水道用原水供給ラインa1に接続され、これには栄養塩類bを供給するための栄養塩類供給装置41が付設されている。そして、硝化液dを排出するための硝化液流出ラインd1が接続され、これには、硝化液dのN(窒素)濃度を測定するNセンサーs1が付設されている。
【0013】
さらに、この実施形態では、前記開放型硝化槽3とは別個に、水道用原水aの酸素利用速度を測定するための処理槽(以下、rr測定槽という)5が装備され、この槽内には、生物担体が収容され、撹拌と酸素供給のための曝気装置51、生物担体の流出防止用の生物担体分離スクリーン52、処理液温を一定に保持するための温度調節器53、液中のDO濃度測定用のDOセンサーs2が付設されている。水道用原水供給ラインa1から分岐して栄養塩類bを含む水道用原水を導入する分岐ラインa2、硝化液eの排出ラインe1が接続されている。
【0014】
そして、前記Nセンサーs1とDOセンサーs2の測定信号は、データ処理装置42に送られ、後述するように硝化速度と酸素利用速度を算出し、その変化を監視し、毒物混入の有無を判定するとともに、必要に応じて図1における浄水装置1への水道用原水aの供給を停止するよう構成されている。
【0015】
本発明の毒物混入監視方法は、以上、図2に示し、説明したフローの装置を用いて実施することができる。すなわち、通常、水道用原水aは栄養塩類bを添加されて硝化槽3およびrr測定槽5に供給され、同一条件で硝化処理が行われている。このとき、硝化槽3では、流出する硝化液のアンモニア性窒素または硝酸性窒素の濃度がNセンサーs1によって測定されており、データ処理装置42を介して硝化速度が監視されている。一方、rr測定槽5でも分岐ラインa2の供給バルブV1を開、排出ラインe1の排出バルブV2を開、槽を解放する解放バルブV3を開、槽内液を排出するドレンバルブV4を閉の状態とし、硝化槽3と同条件で硝化処理が行われている。この間、rr測定槽5の攪拌機54とDOセンサーs2は待機状態となっている。
【0016】
水道用原水aに添加する栄養塩類bは、例えば表1のような化学成分、組成からなる水溶液であり、水道用原水への添加後の濃度を、生物担体のNH―N負荷を勘案してアンモニア性窒素として5〜12mg/l程度の一定値になるようにする。
【0017】
【表1】
Figure 0003565557
【0018】
本発明において、硝化速度は以下のように求められる。
通常、水道用原水aにはアンモニア性は殆ど含まれることはなく、また、硝化により除去されたアンモニア性窒素の100%近くは硝酸性窒素に転換されるので、次の(1)式または(2)式で硝化速度NVが計算できる。
(硝化液アンモニア性窒素から計算する場合)
NV=(Ni−Ne)・Qr/1000・V・r (1)
(硝化液硝酸性窒素から計算する場合)
NV=Nt・Qr/1000・V・r (2)
ただし、NV : 硝化速度(kg/m担体・日)
Ni : 栄養塩類添加後水道用原水アンモニア性窒素(mg/l)
Ne : 硝化液アンモニア性窒素(mg/l)
Nt : 硝化液硝酸性窒素(mg/l)
Qr : 栄養塩類添加後水道用原水量(l/日)
V : 硝化槽体積(l)
r : 生物担体添加率(−)
【0019】
本発明において、硝化槽3およびrr測定槽5における硝化条件としては、処理水温を20〜25℃の一定値に保つこと、NH−N負荷を1〜3kg(NH−N)/m(担体)・日の一定値に保つことが重要である。その理由は、処理水温が変動すると生物担体に付着した硝化菌の活性が変化することと、低水温では硝化能力が著しく低下するために、硝化速度の低下が水温の影響によるものか毒物の混入によるものかの判定が難しくなるからである。
【0020】
図3は、硝化速度に及ぼす水温の影響を調べたものである。水温が20℃を越えると硝化速度が急激に高まっており、水温による未硝化トラブルは防ぐことができる。また、25℃を越えるとNH−N負荷が3kg(NH−N)/m(担体)・日でも完全硝化することから、NH−N負荷が1〜3kg(NH−N)/m(担体)・日の範囲では硝化速度は80〜100%は確保できる。従って、この条件では他の要因がない限りは硝化不良のトラブルは回避できる。
【0021】
一方、図4は、処理水温20℃におけるNH−N負荷と硝化速度(アンモニア性窒素除去率)の関係を示したものである。
図のように、NH−N負荷が3kg(NH−N)/m(担体)・日を越えると、毒物が混入しなくても硝化速度が急激に低下するので判定が難しくなる。
また、NH−N負荷が1kgNH−N)/m(担体)・日未満では硝化速度は100%を維持するが、低負荷のために生物担体に付着する生物量が不安定になり、正常な硝化反応が行われない恐れがでてくる。このように、硝化槽3における処理水温とNH−N負荷の管理は重要な因子となる。また、rr測定槽5についても硝化槽3と同条件を保つ必要から、同様な操作が必要となる。
【0022】
このようにして硝化槽3における硝化速度の監視が行われるが、水道用原水aに毒物あるいは降雨等による高BODあるいは高NH−Nが流入すると硝化速度に変化が現れる。毒物が混入すると硝化速度が低下するが、その様子を示したものが図5である。
【0023】
図5に示すとおり、毒物を代表するシアンの混入により硝化速度が低下していることから、毒物混入の有無を硝化速度(硝化速度)の低下度合いで判定することができる。そして、毒性と濃度から考えて具体的な数値としては、通常値(シアン0mg/l、硝化速度100%)に対して、シアン0.01mg/lの場合に見られる硝化速度の20%減(シアン0.01mg/l、硝化速度80%)の値が判定基準として想定される。なお、毒物の種類により硝化反応に与える影響は異なると考えられるが,急性毒を対象として、人間の飲料によるリスクを考えれば、硝化速度の通常値の20%を超えた低下によって毒物混入の目安にすることができる。
【0024】
また、図6はBODの混入濃度と硝化槽における硝化速度(アンモニア性窒素除去率)の関係を示したものである。降雨などで高BODおよび高NH―Nが流入しても、硝化液中のアンモニア性窒素を監視している場合には硝化速度低下の現象が現れる。これは高BOD成分が混入すると、硝化槽でBOD除去が先行して行われるために硝化反応が後回しにされ、結果として硝化速度の低下を招くのである。
【0025】
このように、毒物が混入しなくとも高濃度のBODが混入するだけで硝化速度は低下する。従って、硝化速度の監視のみで毒物混入の判定を下すと誤判定のおそれがあることが判る。また、高NH−Nが混入しても硝化速度の低下を招くが、これは見掛け上のことで、流入するNH−Nが増加したために添加したNH−Nから計算した硝化速度が低下した原因によるものである。この意味では、高NH−Nが混入した場合の硝化槽での硝化速度監視には硝化液dの硝酸性窒素で行うほうが優れている。
【0026】
以上のように、水道用原水に混入する物質によって、硝化槽3の硝化速度に変化が現れ、それが毒物あるいはBOD成分であれば硝化速度が低下する。しかし、硝化速度の低下だけからは毒物混入とは必ずしも断定できないのは如上の通りである。従って、硝化速度の低下に基づき給水及び配水を停止すれば、より安全ではあるが、住民のライフラインである水道を停止するには、より誤判定のない判定基準が必要となる。
【0027】
本発明では、前記したような硝化速度低下の原因が毒物混入に起因するか否かを判断するために、硝化槽3と同条件で運転しているrr測定槽5を用いて、その酸素利用速度定数を求めて毒物などの混入のない正常状態における通常値と比較するように構成しているのである。
【0028】
この酸素利用速度定数を測定するには、以下の手順で行うことができる。
先ず、図2において、供給バルブV1を閉とし、rr測定槽5に流入する栄養塩類添加の水道用原水aを停止し、ドレンバルブV4を開として槽内水を排水する。次いで、供給バルブV1を開、排出バルブV2を閉、ドレンバルブV4を閉として栄養塩類添加水道用原水を開放バルブV3から溢れるまで供給する。
【0029】
次いで、供給バルブV1を閉とし、攪拌機54、DOセンサーs2を作動させながら、槽内水のDOが飽和近くに達するまで曝気装置51で曝気する。その後曝気を停止して、供給バルブV1を再び開とし、栄養塩類添加水道用原水を槽内に供給して内部の空気を解放バルブV3より追い出して、直ちに各バルブを閉じて密閉する。
【0030】
次いで、経過時間に伴うDO濃度の変化を槽内のDOセンサーs2により測定し、この経過時間とDO濃度の変化のデータからデータ処理装置42により、酸素利用速度〔rr(t)〕を算出する。
この経過時間とDO濃度の変化は、図7に例示するようなrr測定槽内DO濃度と時間の関係で表わされ、酸素利用速度〔rr(t)〕は、このグラフの勾配(mg/l.Hr)に相当するものである。
【0031】
また、この酸素利用速度〔rr(t)〕は、同時に測定された水温(t℃)により、次(3)式または他の水温補正式により20℃における酸素利用速度〔rr(20)〕に換算される。
Log rr(20) = 0.0368(20−t) + log rr(t) (3)
【0032】
さらに、この酸素利用速度〔rr(20)〕は、次の(4)式によってより普遍的な定数である酸素利用速度定数〔Kr(20)〕に変換される。
Kr(20) = rr(20) × Q/V (4)
ただし、Kr(20):20℃における酸素利用速度定数〔mg/ml(担体).Hr〕
rr(20):20℃における酸素利用速度(mg/l.Hr)
Q :rr測定槽内水量(l)
V :生物担体量(ml)
【0033】
そして、本発明は、このようにして得られた硝化速度に変化がみられた水道用原水の酸素利用速度定数が、予め測定しておいた毒物が混入していない水道用原水の酸素利用速度定数の通常値と比較して、BOD混入とCN混入の場合を区別し、その結果により最終的に毒物混入の有無の判定を行うものである。
【0034】
図8は、酸素利用速度定数に対するBOD混入率の影響を、また、図9はCN混入率の影響を示したものである。
そして、図8に見られるように、混入物がBOD成分である有機物にあっては微生物が分解する対象(BOD成分,アンモニア性窒素)の比率が変化するために、酸素利用速度定数は幾分変化するものの、呼吸は継続することから0.4mg/ml担体.Hrを下回ることはない。しかし、急性毒であるCNが、毒性を発揮する0.01mg/l以上では微生物の呼吸停止が進み、酸素利用速度定数は0.36mg/ml担体.Hrを下回るようになる。すなわち、BOD等の無毒な物質が混入した状態を含む通常の場合の酸素利用速度定数(通常値)に比較し、その値が10%超えて低下したら呼吸阻害を生じるような急性の毒物の混入があったと判定し、給水、配水の停止等、必要な措置を講じるのが適当であることが分る。
【0035】
水道用原水に本発明の毒物混入監視装置を接続すると、毒物混入から30分後には硝化速度の異変が、また、その30分後には毒物混入の判定ができるので、配水池を2池以上に分割し、前池の滞留時間を1時間以上とすれば毒物混入上水の配水を防止することができる。
【0036】
なお、CN以外の急性毒を有する物質についても、毒性が出現する濃度は変化しても出現濃度以上においてCNと同程度の呼吸阻害を生じるので、CNと同様に毒物混入を判定できる。なお、水道用原水にNH−Nが混入した場合には硝化速度および酸素利用速度定数が増加するが、一般的に急性毒性が出現することはない。また、毒物以外のBODなどの通常成分であれば、通常の浄水操作により除去できるので、水道用原水におけるリスクは考える必要はほとんどない。
【0037】
以上のように、図2に示す実施形態により、水道用原水における毒物混入のリスクは回避できる。この実施形態は、硝化槽3とrr測定槽5の2槽で構成されており、硝化速度監視と定期的な酸素利用速度定数の測定によりデータを蓄積できる利点があることから、水道用原水の長期的水質変化にも対応でき、信頼の置ける通常値が準備されるから、硝化速度,酸素利用速度定数の異常にも対処しやすい利点がある。
【0038】
次に、図10を参照して、他の実施形態について説明すると、このケースでは、硝化槽とrr測定槽を個別の処理槽としていた第1実施形態と異なり、硝化槽とrr測定槽をそれぞれの機能を兼ね備えるの単一の硝化・rr測定槽7によって、硝化速度の連続監視と回分処理による酸素利用速度の測定を行えるようにした点に特徴がある。
【0039】
具体的には、該硝化・rr測定槽7は、栄養塩類供給装置41から栄養塩類b供給できるようにした水道原水供給ラインa1と、Nセンサーs1を付設した硝化液流出ラインd1とを接続し、槽内に生物担体を収容し、内部には曝気装置71、生物担体分離スクリーン72、DOセンサーs2、温度調節器73、撹拌機74などを設けている点は、先の実施形態の硝化槽3とrr測定槽5との同様である。
【0040】
そして、この硝化・rr測定槽7は、先の実施形態の場合に同じく、供給バルブV1、排出バルブV2、解放バルブV3、ドレンバルブV4などを操作して、通常は、前記した内容で図2の硝化槽3と同様にして硝化速度の監視を行い、硝化速度に異変が生じたとき、槽内水を一旦排水した後に、図2のrr測定槽5と同様に操作して、前記に同じ手法によって酸素利用速度定数を測定することができるのである。かくして、この他の実施形態では、単一の硝化・rr測定槽7を用いることから、装置全体をごくコンパクト化して構成できる利点が得られることになる。
【0041】
【実施例】
図2に示す水道用原水の毒物混入監視装置を用いて、水道用原水に、表1に示す栄養塩類を添加し、NH−Nとして10mg/lに調整して水温:20℃,NH−N負荷:2.3kg/m(担体)・日の一定条件で、体積:1L、生物担体添加率:10v/v%の硝化槽で硝化速度を連続監視した。また、rr測定槽も同様に操作して硝化反応を継続しながら、1回/日の割合で酸素利用速度定数を求めた。毒物の混入のない場合は、硝化速度は2.2kg/m(担体)・日であり、酸素利用速度定数は0.45mg/ml(担体).Hrのようにほぼ一定値を示した。
【0042】
ここで、毒物の一種であるアジ化ナトリウムを10mg/lになるように水道用原水に混入させると、硝化速度は1.7kg/m(担体)・日(通常時の23%低下)に低下し、同時に酸素利用速度定数も、0.36mg/ml(担体).Hr(同、20%低下)に低下した。かくして、本発明に規定した毒物混入判定の基準により、毒物混入の有無を的確に判定できることが分った。
【0043】
【発明の効果】
本発明の水道用原水の毒物混入監視方法および装置は、以上説明したように構成されているので、次のとおりの優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した水道用原水の毒物混入監視方法および装置として、工業的価値はきわめて大なるものがある。
▲1▼水道用原水に呼吸阻害を生じる毒物が混入したことを確実に検知でき、飲料水としての水道用原水のリスクを回避することができる。そして、この情報は水道水源へも反映でき、流域におけるリスク回避に寄与することができる。
▲2▼既存の方法に比べ、データが正確であるばかりでなく、装置が簡単・安価、かつDNA分析などの高度技術を用いる必要がないから、装置のメンテナンスも容易で、操作にも熟練を要しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】浄水装置に本発明の毒物混入監視装置を適用したフロー概念図。
【図2】毒物混入監視装置の第1実施形態を示す要部フロー図。
【図3】硝化速度に及ぼす水温の影響を示すグラフ。
【図4】NH−N負荷と硝化速度(アンモニア性窒素除去率)の関係を示したグラフ。
【図5】毒物混入による硝化速度低下する様子を示したグラフ。
実施例1を示す一部切欠き断面図。
【図6】BODの混入濃度と硝化速度(アンモニア性窒素除去率)の関係を示したグラフ。
【図7】経過時間とDOの関係を示したグラフ。
【図8】酸素利用速度定数に対するBOD混入率の影響を示すグラフ。
【図9】酸素利用速度定数に対するCN混入率の影響を示すグラフ。
【図10】他の実施形態を示す要部フロー図。
【符号の説明】
1 水道水浄水装置、2 毒物混入監視装置、3 開放型硝化槽、31 曝気装置、32 生物担体分離スクリーン、33 温度調節器、41 栄養塩類供給装置、42 データ処理装置、5 rr測定槽、51 曝気装置、52 生物担体分離スクリーン、53 温度調節器、54 撹拌機、a 水道用原水、a1 水道用原水供給ライン、a2 分岐ライン、b 栄養塩類、c 上水、d 硝化液、d1 硝化液流出ライン、e 硝化液、e1 排出ライン、s1 Nセンサー、s2 DOセンサー、V0 開閉弁、V1 供給バルブ、V2 排出バルブ、V3 解放バルブ、V4 ドレンバルブ。

Claims (7)

  1. 水道用原水の一部を連続採取し、アンモニア性窒素を含む一定濃度の栄養塩類を添加して栄養塩類含有水道用原水としたうえ、生物担体を添加した硝化槽に供給して一定水温、一定NH−N負荷で硝化速度を連続監視するとともに、前記栄養塩類含有水道用原水をrr測定槽に供給して前記硝化槽と同一処理条件で操作し、前記硝化速度に異変が生じた場合には、前記rr測定槽の槽内水を排出した後、該栄養塩類含有水道用原水を供給して回分処理にて酸素利用速度定数を測定し、得られた硝化速度と酸素利用速度定数を比較して毒物混入を判定することを特徴とする水道用原水の毒物混入監視方法。
  2. 水道用原水の一部を連続採取し、アンモニア性窒素を含む一定濃度の栄養塩類を添加して栄養塩類含有水道用原水としたうえ、生物担体を添加した硝化・rr測定槽に供給して一定水温、一定NH−N負荷で硝化速度を連続監視するとともに、前記硝化速度に異変が生じた場合には、当該硝化・rr測定槽の槽内水を排出した後、該栄養塩類含有水道用原水を供給して回分処理にて酸素利用速度定数を測定し、得られた硝化速度と酸素利用速度定数を比較して毒物混入を判定することを特徴とする水道用原水の毒物混入監視方法。
  3. 請求項1記載の硝化槽または請求項2記載の硝化・rr測定槽における硝化速度を監視するときの操作が、20〜25℃の一定水温、生物担体のNH−N負荷が1〜3kg(NH−N)/m(担体)・日の一定の好気性処理である水道用原水の毒物混入監視方法。
  4. 前記硝化速度が通常値の20%を超えて低下したときに硝化速度の異変があったとする請求項1または2または3に記載の水道用原水の毒物混入監視方法。
  5. 前記硝化速度が通常値の20%を越えて低下し、かつ前記酸素利用速度定数の値が通常値の10%を越えて低下したとき毒物混入があったと判定する請求項1〜4のいずれかに記載の水道用原水の毒物混入監視方法。
  6. 請求項1記載の硝化速度の連続監視と回分処理による酸素利用速度定数の測定を個別の2槽で行うようにした水道用原水への毒物混入監視装置であって、少なくとも生物担体を収容し、内部には曝気装置と生物担体分離スクリーンを設けるとともに、栄養塩類供給装置を付設した水道原水供給ラインと、Nセンサーを付設した硝化液流出ラインとを接続した開放型硝化槽と、この開放型硝化槽とは別個に、少なくとも生物担体を収容し、内部には生物担体分離スクリーンとDOセンサーを設けた密閉可能なrr測定槽とを装備したことを特徴とする水道用原水の毒物混入監視装置。
  7. 請求項2記載の硝化速度の連続監視と回分処理による酸素利用速度定数の測定を単一の硝化・rr測定槽で行うようにした水道用原水への毒物混入監視装置であって、該硝化・rr測定槽が、栄養塩類供給装置を付設した水道原水供給ラインとNセンサーを付設した硝化液流出ラインとを接続し、少なくとも生物担体を収納し、内部には曝気装置、生物担体分離スクリーンおよびDOセンサーを設けたものであることを特徴とする水道用原水の毒物混入監視装置。
JP2002335356A 2002-11-19 2002-11-19 水道用原水の毒物混入監視方法および装置 Expired - Fee Related JP3565557B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002335356A JP3565557B2 (ja) 2002-11-19 2002-11-19 水道用原水の毒物混入監視方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002335356A JP3565557B2 (ja) 2002-11-19 2002-11-19 水道用原水の毒物混入監視方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004170198A JP2004170198A (ja) 2004-06-17
JP3565557B2 true JP3565557B2 (ja) 2004-09-15

Family

ID=32699509

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002335356A Expired - Fee Related JP3565557B2 (ja) 2002-11-19 2002-11-19 水道用原水の毒物混入監視方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3565557B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104849422A (zh) * 2015-03-11 2015-08-19 中国农业大学 一种氨氮在线监测系统及方法

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5347711B2 (ja) * 2009-05-21 2013-11-20 新日鐵住金株式会社 水中の有害物質の検知方法
CN103245697A (zh) * 2013-04-18 2013-08-14 姜堰市华晨仪器有限公司 一种氨氮在线监测仪
JP5738390B2 (ja) * 2013-12-13 2015-06-24 株式会社ウェルシィ 活性汚泥の活性管理方法及び水処理方法
CN105548039B (zh) * 2015-12-07 2018-04-10 清华大学 一种活性污泥反硝化速率在线检测装置及检测方法
CN105717268A (zh) * 2016-04-13 2016-06-29 中国水利水电科学研究院 一种用于水生物评估的水环境监测装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104849422A (zh) * 2015-03-11 2015-08-19 中国农业大学 一种氨氮在线监测系统及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004170198A (ja) 2004-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0785072B2 (ja) 毒物検知装置とこれを用いた水質監視システム
CN111186960A (zh) 一种禽畜粪便污水处理工艺
JP3565557B2 (ja) 水道用原水の毒物混入監視方法および装置
KR100923733B1 (ko) 황입자를 이용한 수중 독성탐지장치 및 방법
US8449777B2 (en) Oxidation process
JP3913129B2 (ja) 生物処理装置の処理性能監視システム
CN104820082A (zh) 废水毒性检测系统及废水毒性检测方法
JP5347711B2 (ja) 水中の有害物質の検知方法
CN209872683U (zh) 污水处理厂进水硝化功能毒性预警装置
JPH0735741A (ja) Bod測定装置
JP2003266096A (ja) 排水処理装置
JP3884638B2 (ja) 合流式下水道における雨天時下水の消毒処理方法及び装置
CN101824381A (zh) 水质监视装置
CN109775942A (zh) 污水处理厂进水硝化功能毒性预警装置及方法
Henney et al. Shock load of chromium (VI)
Hikuma et al. Use of microbial electrodes for observation of microbiological nitrogen elimination process
Zhang et al. Treatment of swine wastewater by biological and membrane separation technologies
US11945739B2 (en) Testing method for wastewater treatment facility
JP4096612B2 (ja) 活性汚泥阻害物質の計測方法を用いた活性汚泥阻害物質の監視装置、廃水処理方法および廃水処理装置
JP3823357B2 (ja) 硝化活性測定装置および硝化方法
Carsey et al. Boynton Inlet 48-hour sampling intensives, June and September 2007
Tafese Nitrogen removal in MBBR: Investigating the effect of temperature
Pedrouso Fuentes et al. Mainstream anammox reactor performance treating municipal wastewater and batch study of temperature, pH and organic matter concentration cross-effects
SU1008245A1 (ru) Способ определени токсичности сточных вод
JP2003136092A (ja) 排煙脱硫排水の処理方法及び処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040607

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3565557

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080618

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080618

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080618

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080618

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080618

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100618

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100618

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110618

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110618

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120618

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120618

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130618

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees