JP3565370B2 - アブレーション方法およびアブレータ構造 - Google Patents
アブレーション方法およびアブレータ構造 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、飛翔体の加熱表面側を高熱ガスから熱保護して飛翔体内部の機器類を守るのに利用されるアブレータ方法およびアブレータ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飛翔体が地球や惑星の大気に突入する場合には、大気との摩擦によって高熱状態となることから、飛翔体の加熱表面側を高熱ガスから保護することによって内部機器への熱影響を回避する必要がある。
【0003】
従来、このような熱保護のための方法としては、例えば、
(i)比較的弱い加熱を長時間受ける場合に適したものとして、耐熱性に優れた表面材料を高温に保持し、表面からの輻射放熱によって熱保護を行うようにした輻射冷却方法、具体的には、耐熱タイルを用いる方法や、
(ii)比較的強い加熱を短時間受ける場合に適したものとして、熱容量の大きい機体で熱を吸収して、機体表面の溶融・燃焼等による変形を防ぐようにした加熱吸収方法、具体的にはノーズキャップを用いる方法や、
(iii)強い加熱を長時間受ける場合に適したものとして、樹脂を主材料とする表面材の熱分解・燃焼・昇華に伴う低温気体の噴出によって加熱を減じ、高温表面からの輻射冷却と併せて熱防護を行うようにしたアブレーション方法、具体的には高密度アブレータ材料や低密度アブレータ材料を用いる方法などがある。
【0004】
そして、本発明は、上記(iii)のアブレーション方法およびこれに適用されるアブレータ構造の改良に関するものである。
【0005】
上記したアブレーション方法における従来の高密度アブレータ材料としては、密度ρが約1.74g/cm3前後のSiO2繊維強化樹脂(SiO2−FRP)や、密度ρが約1.38g/cm3前後のC繊維強化樹脂(C−FRP)などが使用されていた。
【0006】
また、従来のアブレーション方法における低密度アブレータ材料としては、シリコーン樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂などの樹脂にマイクロバルーンを混合することによって密度ρが約0.40〜0.60g/cm3となるように低密度化して短繊維(シリカ,カーボン,ポリアミド(ナイロン)等)で強化したものなどが使用されていた。
【0007】
そして、このような高密度もしくは低密度アブレータ材料は、図8(A)に示すように、アブレータ材51としてサポート52上に接着されて一体化した構造をなすものとなっており、矢印A方向から空力加熱を受けることによって表面がリセッションし、図8(B)に示すように、アブレータ材51の厚さが薄くなることにより熱防護を行うようにしていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の高密度アブレータ材料では、剛性が大きく強度部材としても使用できると共に、リセッション量(表面後退量)が少なく、加熱率10〜20MW/m2程度の高加熱にも耐えることが可能であるという利点を有しているものの、高密度であるため重量が増大する傾向にあると共に、断熱性があまり良くないため内部機器に対する熱保護性に若干劣るという問題点があった。
【0009】
また、上記した従来の低密度アブレータ材料では、低密度であるため重量を軽減することが可能であると共に断熱性が良好であるためある程度の厚さを有している間は内部機器に対する熱保護性に優れているという利点を有しているものの、剛性が小さく強度部材として使用しがたいと共に、リセッション量が多く、加熱率3MW/m2程度までしか耐えることができないという問題点があった。
【0010】
さらには、図8((B)に示すように、アブレータ材51はサポート52に接着されたままとなっているため、アブレータ材51の熱がこのアブレータ材51およびサポート52を通して内部機器側に伝達されることがあるという問題点があったことから、これらの問題点を解消することが課題としてあった。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、このような従来の課題にかんがみてなされたものであって、高密度アブレータ材料を用いることができるため、従来の高密度アブレータ材料の場合と同様にリセッション量が少なく、加熱率10〜20MW/m2程度の高加熱にも耐えることが可能であり、しかも高密度アブレータ材料の層厚さを従来に比べて小さくすることができるため従来よりも重量の軽減をはかることができ、層厚さを小さくしたときでも熱伝導による内部機器への熱影響を十分に回避することが可能であるアブレーション方法およびアブレータ構造を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるアブレーション方法は、請求項1に記載しているように、飛翔体の加熱表面側を高熱ガスから熱保護するに際し、サポートおよび飛翔体の主構造材の少なくとも一方に対してアブレータ材を分離可能としておき、加熱ピークが過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上となったところでアブレータ材をサポートから分離するようにしたことを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係わるアブレータ構造は、請求項2に記載しているように、アブレータ材がサポートに対して分離可能となっている構成としたことを特徴としている。
【0014】
そして、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項3に記載しているように、アブレータ材がサポート上に積層されている構造のものとしたり、請求項4に記載しているように、アブレータ材とサポートおよび飛翔体の主構造材の少なくとも一方との間に空間が形成してある構成のものとしたりすることができる。
【0015】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項5に記載しているように、サポートはアブレータ専用のサポートである構成とすることができ、請求項6に記載しているように、サポートはアブレータ材自身や飛翔体の主構造材が兼ねるものである構成とすることができる。
【0016】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項7に記載しているように、アブレータ材を分離可能とする分離機構は火薬の爆発力を用いたものである構成のものとすることができる。
【0017】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項8に記載しているように、アブレータ材は高密度アブレータ材料よりなるものとすることができ、あるいは、請求項9に記載しているように、アブレータ材は表面側が高密度アブレータ材料よりなりかつ内部側が低密度アブレータ材料よりなり、場合によっては表面側から裏面側へと密度が順次減少すると共に裏面側から表面側へと密度が順次増大するアブレータ材料よりなるものとすることができる。
【0018】
【発明の作用】
本発明に係わるアブレーション方法は、請求項1に記載しているように、飛翔体の加熱表面側を高熱ガスから熱保護するに際し、サポートに対してアブレータ材を分離可能としておき、加熱ピークが過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上となったところでアブレータ材をサポートから分離するようにしたから、例えば、アブレータ材として高密度アブレータ材料を用いた場合に、大気圏に再突入して飛翔体の前方部分が加熱される間は高密度アブレータ材料により熱保護されるようになることによって、リセッション量が少なく、加熱率10〜20MW/m2程度の高加熱にも耐えうるものとなり、加熱ピークを過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上となったところでアブレータ材がサポートから分離されることによって、アブレータ材が保持している熱が飛翔体側へ伝導されることがなくなって、このアブレータ材を通しての熱伝導が完全に絶ち切られることとなるので、高密度アブレータ材料を分離せずにそのままとしている場合に比べて熱伝導による内部機器への熱影響が大幅に回避されることとなる。そして、このように、高密度アブレータ材料は加熱ピークを過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上となったところで分離されるので、熱伝導を遅くするためにアブレータ材の厚さを大きくする必要性がなくなることから、従来ほどの厚さにしなくとも良いこととなって、重量の軽減がはかられることとなる。
【0019】
また、本発明に係わるアブレータ構造は、請求項2に記載しているように、アブレータ材がサポートに対して分離可能となっている構成としたから、請求項1に記載のアブレータ方法が容易に実現されることとなる。
【0020】
そして、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項3に記載しているように、アブレータ材がサポート上に積層されている構造のものとすることによって、構造が簡単でアブレータ材の保持が良好になされることとなり、請求項4に記載しているように、アブレータ材とサポートおよび飛翔体の主構造材の少なくとも一方との間に空間が形成してある構成のものとすることによって、空間の存在により断熱性がより一層向上して熱保護性がさらに向上することとなる。
【0021】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項5に記載しているように、サポートはアブレータ用サポートである構成とすることによって、アブレータ材に対するサポートを各々のアブレータ材に適したものとすることにより、アブレータ材のサポートが良好に行えることとなり、FRPタイプの高密度アブレータ材は強度が高いことから、請求項6に記載しているように、従来のサポート構造をアブレータ材自身が兼ねる構成としたり、飛翔体の主構造材が兼ねる構成とすることによって、極く簡便な構造で飛翔体の熱保護が行えることとなる。
【0022】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項7に記載しているように、アブレータ材を分離可能とする分離機構は火薬の爆発力を用いたものである構成のものとすることによって、アブレータ材の分離が確実に行えることとなる。
【0023】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項8に記載しているように、アブレータ材は高密度アブレータ材料よりなるものとすることによって、高密度アブレータ材の特長である高剛性,低リセッション速度,耐高加熱率性を活かせるようになり、請求項9に記載しているように、アブレータ材は表面側が高密度アブレータ材料よりなりかつ内部側が低密度アブレータ材料よりなるものとすることによって、高密度アブレータ材料の特長である高剛性,低リセッション速度,耐高加熱率性を活かしたうえで、低密度アブレータ材料の特長である軽量性,断熱性を活かしうるものとなって、リセッション量が少なくしかも軽量であって熱保護特性にも優れたアブレータ構造となる。
【0024】
【実施例】
図1(A)は、本発明に係わるアブレーション方法の実施に使用するアブレータ構造の一実施例を示すものであって、アブレータ材1がサポート2上に積層されており、このアブレータ材1は、分離機構3により、サポート2に対して分離可能となっている。
【0025】
図2(A)は、本発明に係わるアブレーション方法の実施に使用するアブレータ構造の他の実施例を示すものであって、アブレータ材1が空間4を介してサポート2で支持されており、このアブレータ材1は、分離機構3により、サポート2に対して分離可能となっている。この場合、アブレータ材1には突出部1aを設けておくことによって、サポート2との間で空間4が形成されるようにしてある。
【0026】
図3は、図1(A)および図2(A)に示した分離機構3の詳細(とくに、図2(A)のB部分)を示すものであって、図4に示すような一端側に六角頭5aを有すると共に他端側におねじ部5bを有し、途中に細径としたノッチ部5cを形成したボルト5を用い、図3に示すように、アブレータ材1とサポート2との境界部分にボルト5のノッチ部5cが位置するようにしてスペーサ6を介してナット7で締め付けることによりアブレータ材1とサポート2とを固定し、ナット7で固定したあとは穴埋め部材1aで穴埋めし、スペーサ6とサポート2との間に、楕円形をなすステンレス鋼製筒状体8の内部に2条の線条爆薬9,9を収めた扁平形状の継手切断用火工品10をアブレータ材1およびサポート2の外縁に沿ってリング形状に配設した構造をなしている。
【0027】
したがって、図1(A)または図2(A)に示したアブレータ構造を採用した飛翔体において、この飛翔体が大気圏内に再突入した際には、図1(A)および図2(A)の矢印方向から空力加熱を受けることによってアブレータ材1が熱分解・燃焼・昇華しながら低温気体を噴射することによって飛翔体の加熱を減じ、高温表面からの輻射冷却と併せて、飛翔体内部の機器を熱保護する。
【0028】
そして、図1(C)に示すように、アブレータ材1に対する加熱ピークPが過ぎたところで、あるいは、アブレータ材1の裏面温度が所定温度以上、例えば250℃を超えたところで、線条爆薬9,9を爆発させることによって、楕円形をなすステンレス鋼製筒状体8を円形にし、ボルト5に対して軸方向の引張力を付加することによって、ボルト5のノッチ部5cで切断し、図1(B)および図2(B)に示すように、アブレータ材1をサポート2から分離することができるようにする。
【0029】
したがって、アブレータ材1が保持している熱は、この分離によってサポート2に全く伝達されないこととなり、内部機器に対する熱防護をさらに良好なものにすることが可能となる。
【0030】
したがって、例えば、アブレータ材1として、剛性が高くリセッション量が少ないという利点を有するものの熱伝導率が良好である高密度アブレータ材料を用いたときに、アブレータ材1の熱伝導による飛翔体側への熱移動がアブレータ材1の分離によって遮断されることとなるので、アブレータ材1として熱伝導率の良い(断熱性の良くない)高密度アブレータ材料を用いたときでも、熱伝達が途中で停止されることとなり、熱伝達を遅らすためにアブレータ材1の厚さを大きくする必要性がなくなって、アブレータ材1の厚さを小さなものとすることが可能となり、軽量化がはかられることとなる。
【0031】
上記した実施例において、ボルト5はノッチ部5cをそなえたノッチボルトタイプのものとしているが、図5に示すように、線条爆薬9,9の爆発によって、ボルト5のテーパ面5dによる剪断力でシェアピン8が切断されることによりアブレータ材1をサポート2から分離できるようにするシェアピンボルトタイプのものを用いることができ、その他適宜の分離機構を採用することができる。
【0032】
図6(A)は、本発明に係わるアブレータ構造のさらに他の実施例を示すものであって、図1(A)および図2(A)のアブレータ構造では、アブレータ材1がこのアブレータ材1を支持するために設けたアブレータ用サポート2によって分離機構3を介して固定・保持されている場合を示しているのに対して、図6(A)に示すアブレータ構造では、FRPタイプの高密度アブレータ材はマトリックス樹脂が熱分解を生じはじめる温度(300℃位)までは強度が高いため、従来からのサポート構造はアブレータ材自身がもつようにし、省略できるようにして、飛翔体の主構造材11にアブレータ材1を従来のサポート構造を用いずに分離機構3を介して固定・保持できるようにした場合を示している。
【0033】
そして、この場合にも、飛翔体が大気圏に突入して図6(A)のA方向からの空力加熱によりアブレータ材1が熱分解・燃焼・昇華しながら熱保護を行い、アブレータ材1に対する加熱ピークが過ぎたところで、あるいは、アブレータ材1の裏面温度が所定温度以上となったところで、分離機構3を作動させて図6(B)に示すようにアブレータ材1をサポート2から分離するようになすことによって、アブレータ材1がもつ熱が飛翔体側に伝達されるのを完全に遮断することができるようになる。
【0034】
図7は本発明のさらに他の実施例を示すものであって、図1ないし図6の実施例では、アブレータ材1が高密度アブレータ材料または低密度アブレータ材料の単層よりなるものとしているが、図7に示すアブレータ材1のように、表面側が厚さT1を有する高密度アブレータ材料1Aよりなると共に内部側が厚さT2を有する低密度アブレータ材料1Bよりなる2層構造であるものとし、このアブレータ材1をアブレータ用サポート2もしくは飛翔体の主構造材が兼用するサポート2に対して図示しない分離機構3により分離可能とした構造としてもよい。そして、この場合の高密度アブレータ材料1Aおよび低密度アブレータ材料1Bとしては、例えば、表1に示すようなものを用いることができる。
【0035】
【表1】
【0036】
また、表面側の高密度アブレータ材料からサポート側の低密度アブレータ材料までの間で密度が次第に変化する傾斜的特性を有するアブレータ材料からなるアブレータ材1としても良い。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係わるアブレーション方法は、請求項1に記載しているように、飛翔体の加熱表面側を高熱ガスから熱保護するに際し、サポートに対してアブレータ材を分離可能としておき、加熱ピークが過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上に上昇したところでアブレータ材をサポートから分離するようにしたから、例えば、アブレータ材として高密度アブレータ材料を用いた場合に、大気圏に再突入して飛翔体の前方部分が加熱される間は高密度アブレータ材料により熱保護されるようになることによって、リセッション量が少なく、加熱率10〜20MW/m2程度の高加熱にも耐えることができるものとなり、加熱ピークを過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上に上昇したところでアブレータ材が分離されることによって、アブレータ材が保持している熱が飛翔体側へ伝導されることがなくなって、このアブレータ材を通しての熱伝導が完全に絶ち切られることとなるので、高密度アブレータ材料を分離せずにそのままとしている場合に比べて熱伝導による内部機器への熱影響を大幅に回避することが可能となる。そして、このように、高密度アブレータ材料は加熱ピークを過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上に上昇したところで分離されるので、熱伝導を遅くするためにアブレータ材の厚さを大きくする必要性がなくなることから、従来ほどの厚さにしなくとも良いこととなって、重量の軽減を実現することが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0038】
また、本発明に係わるアブレータ構造は、請求項2に記載しているように、アブレータ材がサポートに対して分離可能となっている構成としたから、請求項1に記載のアブレータ方法を容易に実現することが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0039】
そして、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項3に記載しているように、アブレータ材がサポート上に積層されている構造のものとすることによって、構造が簡単でアブレータ材の保持も良好にすることが可能となり、請求項4に記載しているように、アブレータ材とサポートおよび飛翔体の主構造材の少なくとも一方との間に空間が形成してある構成のものとすることによって、空間の存在により断熱性をより一層向上させることが可能となって熱保護性をさらに向上することが可能となる。
【0040】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項5に記載しているように、サポートはアブレータ用サポートである構成とすることによって、アブレータ材に対するサポートを各々のアブレータ材に適したものとすることにより、アブレータ材のサポートを良好に行うことが可能となり、請求項6に記載しているように、サポートはアブレータ材自身や飛翔体の主構造材である構成とすることによって、強度が大であるFRPタイプの高密度アブレータ材自身や飛翔体の主構造材がサポートを兼用する構成とすることにより極く簡便な構造で飛翔体の熱保護を行うことが可能となる。
【0041】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項7に記載しているように、アブレータ材を分離可能とする分離機構は火薬の爆発力を用いたものである構成のものとすることによって、アブレータ材の分離を確実に行うことが可能となる。
【0042】
同じく、本発明に係わるアブレータ構造の実施態様においては、請求項8に記載しているように、アブレータ材は高密度アブレータ材料よりなるものとすることによって、高密度アブレータ材の特長である高剛性,低リセッション速度,耐高加熱率性を活かすことができるようになり、請求項9に記載しているように、アブレータ材は表面側が高密度アブレータ材料よりなりかつ内部側が低密度アブレータ材料よりなるものとすることによって、高密度アブレータ材料の特長である高剛性,低リセッション速度,耐高加熱率性を活かしたうえで、低密度アブレータ材料の特長である軽量性,断熱性を活かすことができるものとなって、リセッション量が少なくしかも軽量であって熱保護特性にも優れたアブレータ構造とすることが可能となるという著しく優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるアブレータ構造の一実施例を示す断面説明図(図1の(A))および分離後の断面説明図(図1の(B))ならびに加熱ピークPの説明図(図1の(C))である。
【図2】本発明に係わるアブレータ構造の他の実施例を示す断面説明図(図2の(A))および分離後の断面説明図(図2の(B))である。
【図3】アブレータ材の分離機構を示す図2(A)のB部分の拡大断面説明図である。
【図4】ノッチボルトタイプとした分離機構用ボルトの説明図である。
【図5】シェアピンボルトタイプとした分離機構用ボルトの説明図である。
【図6】本発明に係わるアブレータ構造のさらに他の実施例を示す断面説明図(図6の(A))および分離後の断面説明図(図6の(B))である。
【図7】本発明に係わるアブレータ構造のさらに他の実施例を示す部分断面説明図である。
【図8】従来のおけるアブレータ構造の一例を示す断面説明図(図8の(A))および空力加熱後の断面説明図(図8の(B))である。
【符号の説明】
1 アブレータ材
2 サポート
3 分離機構
4 空間
5 ボルト(分離機構)
8 ステンレス鋼製筒状体(分離機構)
9 線条爆薬(分離機構)
10 継手切断用火工品(分離機構)
11 飛翔体の主構造材
Claims (9)
- 飛翔体の加熱表面側を高熱ガスから熱保護するに際し、サポートに対してアブレータ材を分離可能としておき、加熱ピークが過ぎたところないしはアブレータ材の裏面温度が所定温度以上となったところでアブレータ材をサポートから分離することを特徴とするアブレーション方法。
- アブレータ材がサポートに対して分離可能となっていることを特徴とするアブレータ構造。
- アブレータ材がサポート上に積層されている請求項2に記載のアブレータ構造。
- アブレータ材とサポートおよび飛翔体の主構造材の少なくとも一方との間に空間が形成してある請求項2に記載のアブレータ構造。
- サポートはアブレータ用サポートである請求項2ないし4のいずれかに記載のアブレータ構造。
- サポートはアブレータ材自身である請求項2ないし4のいずれかに記載のアブレータ構造。
- アブレータ材を分離可能とする分離機構は火薬の爆発力を用いたものである請求項2ないし6のいずれかに記載のアブレータ構造。
- アブレータ材は高密度アブレータ材料よりなる請求項2ないし7のいずれかに記載のアブレータ構造。
- アブレータ材は表面側が高密度アブレータ材料よりなりかつ内部側が低密度アブレータ材料よりなる請求項2ないし7のいずれかに記載のアブレータ構造。
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