JP3565264B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵ハンドルの操舵量と車輪の転舵量との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置が知られている。このような伝達比可変機構の一般的な制御手法としては、車速に応じて伝達比Gを設定すると共に、設定した伝達比Gのもとで、操舵ハンドルの操舵角に応じてアクチュエータの動作制御を実行する。
【0003】
例えば操舵ハンドルが操舵された状態で、短時間に車速の大きさが急激に変化すると、車速の急変に伴って伝達比が大きく変化し、この影響でアクチュエータが駆動される場合がある。このようにアクチュエータが駆動されると車輪が転舵されるため、運転者に操舵違和感を与える場合がある。そこで、このように車速が急変した場合の対応策として、伝達比の変化或いは制御上の車速変化を抑制することにより、車速の急変に起因したアクチュエータの動作を抑制する抑制処理が、例えば特開昭63−247168号に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一例として、車速が急減速した場合を想定すると、前述した抑制処理が実施された場合には、車速の急激な低下に伴う伝達比の変化が抑制される。具体的には、急減速に伴う伝達比のクイック側への速い移行が抑制されて、スロー側に維持される傾向となり(図5参照)、急減速直後には通常の低速走行時に比べて操舵感が異なってしまう。
【0005】
一方、車両がほぼ直進状態で走行している場合に、このような急激な減速が行われた場合であっても、操舵角、アクチュエータの作動角、車輪の転舵角など、一連の操舵系の位置が中立付近にあり、中立位置からの偏差が小さい分だけ、伝達比変化の影響も小さい。このような状況下で急減速に起因する伝達比の変化を抑制すると、車速に応じた本来の伝達比変化が抑制されてしまい、アクチュエータの応答性に影響を及ぼし、車速に応じた好適な操舵特性を損なう場合も起こり得る。
【0006】
なお、車速が急変した場合に、伝達比の変化を抑制する場合を説明したが、伝達比は車速に応じて設定するため、操舵制御で用いる車速(制御車速)の変化を抑制させた場合も同様の結果となる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、車速の急変に伴ってアクチュエータが駆動される現象を、操舵系の位置を考慮しつつ好適に抑えることで、好適な操舵特性を維持し得る車両用操舵制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで請求項1にかかる車両用操舵制御装置は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、駆動手段の作動角を検知する作動角検知手段と、作動角が制御目標に追従するように駆動手段の動作制御を行う制御手段とを備えており、制御手段は、車速に応じて伝達比を設定し、設定した伝達比と操舵角とをもとに、制御目標を設定する設定手段と、操舵角、作動角及び転舵角の少なくともいずれかに基づく操舵系の位置と、車速変化の大きさとをもとに、車速変化に起因した制御目標の変化を制限する制限手段とを備え、操舵系の位置が中立位置から離間している領域では、中立位置付近の領域に比べて、車速の変化に対する制御目標の変化量を小さいものとするよう構成される
【0009】
なお、「制御目標の変化を制限する」とは、制御目標の変化を禁止する場合と、変化を抑制させる場合の双方を含む意である。また、操舵ハンドル、伝達比可変機構および転舵輪は、機械的に接続された一連の操舵系を構成しており、操舵角、作動角或いは転舵角の少なくともいずれかをもとに、操舵系の位置を検知することができる。この際、設定されている伝達比を考慮しても良い。
【0010】
このような制限手段を備えることで、車速変化が大の場合に、一様に伝達比の変化を制限するのではなく、操舵系の位置と車速変化の大きさの関係から、車速変化に応じた制御目標の変化を許容するか否かを選択できる。操舵系の位置が中立位置から離間している領域では、中立位置付近の領域に比べて、車速変化に対する伝達比変化を小さくすることで、車速変化に起因する制御目標の急変が制限される。換言すれば、操舵系の位置が中立位置付近の領域では、車速変化が大きい場合であっても制御目標の変化の制限の程度が少なくされ、車速に応じた好適な操舵特性が確保される。
【0011】
請求項2にかかる車両用操舵制御装置は、操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、駆動手段の作動角を検知する作動角検知手段と、作動角が制御目標に追従するように駆動手段の動作制御を行う制御手段とを備えており、制御手段は、車速に応じて伝達比を設定し、設定した伝達比と操舵角とをもとに、制御目標を設定する設定手段と、操舵角、作動角及び転舵角の少なくともいずれかに基づく操舵系の位置と、車速変化の大きさとをもとに、車速変化に起因した制御目標の変化を制限する制限手段とを備え、操舵系の位置が中立位置付近の領域では、車速変化が大の場合にも車速変化に起因した制御目標の変化を許容し、操舵系の位置が中立位置付近から離間した領域では、車速変化が小の場合にも車速変化に起因した制御目標の変化を制限する。
【0012】
車速が急激に変化した場合にはこれに伴って伝達比が大きく変化し、この影響で制御目標の変化速度が大となる。しかし、操舵系の位置が中立位置付近の領域にある場合には、この制御目標の変化によって駆動手段が操舵系を駆動する量が小であり、例えば操舵角が中立位置に維持された状況下では、車速が急変した場合であっても駆動手段によって操舵系が駆動される量はごく僅かである。このため、操舵系の位置が中立位置付近にある場合には、車速変化が大きい場合であっても設定手段によって通常の制御目標を設定して、車速に応じた好適な操舵特性を確保する。
【0013】
一方、操舵系の位置が中立位置から離間するに連れて、車速の急変に起因した伝達比の変化速度が大きい状況では、操舵系がより大きく駆動される傾向がある。このため、操舵系の位置が中立位置から離間した領域では、制限手段によって、急加減速に起因した伝達比の変化を制限して、車速変化に起因した制御目標の変化を制限する。
【0014】
請求項3にかかる車両用操舵制御装置は、請求項1又は2にかかる車両用操舵制御装置において、制限手段は伝達比の変化を制限する。
【0015】
車速に応じて伝達比が設定され、設定された伝達比と操舵角とをもとに制御目標が設定される。このため、車速に応じて伝達の変化を制限することで、車速変化に起因した制御目標の変化を制限することができる。
【0016】
請求項4にかかる車両用操舵制御装置は、請求項1又は2にかかる車両用操舵制御装置において、伝達比を設定する際に用いる制御上の車速を制御車速とすると、制限手段はこの制御車速の変化を制限する。
【0017】
制御車速に応じて伝達比が設定され、設定された伝達比と操舵角とをもとに制御目標が設定される。このように伝達比は制御車速に応じて設定されるため、制御車速自体の変化を制限することで、伝達比の変化を制限することができ、これにより、車速変化に起因した制御目標の変化を制限することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1に操舵装置の構成を示す。入力軸20と出力軸40とは伝達比可変機構30を介して連結されており、入力軸20には操舵ハンドル10が連結されている。出力軸40は、ラックアンドピニオン式のギヤ装置50を介してラック軸51に連結されており、ラック軸51の両側には転舵輪FWが連結されている。
【0020】
また、操舵ハンドル10の操舵角が入力軸20の回転角に対応するため、入力軸20には、入力軸20の回転角としての操舵角θhを検出する操舵角センサ21を設けている。
【0021】
伝達比可変機構30は、入力軸20と出力軸40とを連結する所定のギヤ機構を備えており、このギヤ機構を、例えばサーボモータで構成するアクチュエータ31で駆動することで、入力軸20に対して出力軸40が相対的に回転して、入力軸20−出力軸40間の回転量の伝達比が変化する機構となっている。このアクチュエータ31には、アクチュエータ31の作動角を検出する作動角センサ32を備えており、検出された作動角θmは操舵制御装置100に与えられる。
【0022】
この出力軸40の回転角を出力角θpとすると、アクチュエータ31が作動角θmだけ回転することで、操舵角θhが増速されて出力角θpとなるため、操舵角θh、作動角θm、出力角θpは下記(1)式の関係となる。従って、操舵角θhと作動角θmとをもとに、出力角θpを把握することができる。
θp=θh+θm …(1)
【0023】
そして出力角θpはラック軸51のストローク位置に対応し、さらにラック軸51のストローク位置は車輪FWの転舵角に対応するため、操舵角θhと作動角θmとをもとに車輪FWの転舵角を検知することができる。
【0024】
伝達比可変機構30の駆動制御は操舵制御装置100によって実施される。操舵制御装置100には、操舵角センサ21、作動角センサ32の他、車両の速度を検出する車速センサ60、車両に作用する前後方向の加速度を検出する加速度センサ61の各検出信号が与えられ、操舵制御装置100はこれらの信号をもとに伝達比Gを設定すると共に、伝達比G及び操舵角θhに応じて設定される制御信号Isをアクチュエータ31に対して出力する処理を繰り返し、伝達比可変機構30の駆動制御を実施している。
【0025】
ここで、操舵制御装置100で実施する制御処理について、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0026】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作によって起動する。まず、ステップ(以下、ステップを「S」と記す。)100に進み、操舵角センサ21で検出された操舵角θh、作動角センサ32で検出された作動角θm、車速センサ60の検出結果より得られる車速(制御車速)Vがそれぞれ読み込まれる。
【0027】
続くS200では伝達比Gの設定処理が実施されるが、具体的な設定処理については、後に詳述する。
【0028】
続くS300では、制御目標となるアクチュエータ31の目標作動角θmmを設定する。操舵角θh、伝達比G及び出力角θpは下記(2)式の関係となるため、(1)式、(2)式より目標作動角θmmは(3)式で規定される。
θp=G・θh …(2)
θmm=(G−1)・θh …(3)
【0029】
続くS400では、S100で読み込まれたアクチュエータ31の作動角θmと、S300で設定された目標作動角θmmとの偏差eを、e=θmm−θmとして演算し、続くS500では、オーバーシュートすることなく偏差eを0にするように、アクチュエータ31を制御する制御信号Isを決定する。この処理の一例としては、Is=C(s)・eの演算式に基づいて、PID制御のパラメータを適切に設定することにより制御信号Isを決定することができる。なお、式中の「(s)」はラプラス演算子である。
【0030】
続くS600では、S500で決定された制御信号Isをアクチュエータ31に出力し、制御信号Isに基づいてアクチュエータ31を駆動する。
【0031】
この後、S700に進み、イグニションスイッチ(IG)がオフ操作されたかを判断し、「No」の場合にはS100に戻り、S700で「Yes」と判断されるまで、前述したS100以降の処理が繰り返し実行される。
【0032】
ここで、先のS200で実施される伝達比Gの設定処理を図3のフローチャートに沿って説明する。
【0033】
まず、S202に進み、加速度センサ61で検出された、車両に作用する前後方向の加速度gの値を読み込む。
【0034】
続くS204では、車速Vに応じた伝達比Gの更新を許可するか否かの判定を行う。この際、図4の判定マップをもとに判定を行う。この判定マップは、車速変化に伴う伝達比Gの更新を許可する更新許可領域と、更新を禁止する更新禁止領域とを、加速度gと作動角θmとの関係に応じて予め規定しており、S204では、この時点での車速の変化状態を示す加速度gと、このときの操舵系の位置を示すアクチュエータ31の作動角θmとをもとに、いずれの領域にあるかを判定する。なお、アクチュエータ31の作動角θmは、操舵ハンドル10の中立位置に対応する位置を0としており、左右の操舵に対応する回転位置が正・負となるが、図4では絶対値として示している。
【0035】
この判定マップは次のような技術思想に基づいて規定している。車速Vが急激に変化した場合にはこれに伴って伝達比Gが速く変化し、この影響で目標作動角θmmが変化する。しかし、操舵系の位置、例えば操舵角θhが中立位置付近の領域にある場合には、この伝達比Gの急変の影響によってアクチュエータ31が操舵系を駆動する量が小であり、伝達比Gの急変による影響は小さい。このため、操舵系の位置が中立位置付近にある場合には、車速変化が大きい場合であっても通常の伝達比Gを設定して、車速Vに応じた好適な操舵特性を確保する。
【0036】
一方、車速Vの急変によって伝達比Gの変化速度が大きい場合、操舵系の位置が中立位置から離間するに連れて、操舵系がより大きく駆動される傾向がある。このため、操舵系の位置が中立位置から離間した領域では、急加減速に起因した伝達比Gの変化を制限して、車速変化に起因した制御目標の変化を抑制する。
【0037】
そこで、この時点での加速度gと作動角θmとの関係が、更新許可領域にあると判定された場合には、S206に進み、図5に示す車速Vと伝達比Gとの関係を示すマップをもとに、車速Vに応じた伝達比Gを設定する。
【0038】
続くS208では、制限フラグF=0であるかを判断する。この制限フラグFは、制限フラグF=1の場合に、伝達比Gの更新に制限が加えられていることを示し、F=0の場合にはこの制限が解除されていることを示す。この時点では、制限フラグF=0に設定されているため、S208で「Yes」と判断されて、S210に進む。
【0039】
S208では、設定された伝達比Gの値をGoldとして記憶し、このルーチンを終了する。
【0040】
これに対し、先のS204で、この時点での加速度gと作動角θmとの関係が、更新禁止領域にあると判定された場合には、S212に進み、前回のルーチンで設定された伝達比Goldを、伝達比Gとして再び設定する。そして、続くS214では、制限フラグFをF=1に設定し、伝達比Gの更新に制限が加えられていることを示した後、前述したS210の処理が実行される。
【0041】
従って、S204で加速度gと作動角θmとの関係が更新禁止領域にあると判定される間、S212の処理において前回のルーチンで設定された伝達比Gの値がそのまま維持されることになり、この間、伝達比Gの変更が禁止される。
【0042】
また、加速度gと作動角θmとの関係が、再び更新許可領域に復帰した場合には、S204からS206を経てS208に進む。
【0043】
この状況下では、制限フラグF=1に設定されているため、S208で「No」と判断されてS216に進む。
【0044】
S216では、S206で設定された伝達比Gと、復帰直前のルーチンにおけるS210で記憶された伝達比Goldとの偏差を、伝達比偏差Ge=G−Goldとして設定する。
【0045】
続くS218では、S216で設定した伝達比偏差Geがしきい値β(β>0)以上であるかを判断し、「Yes」の場合にはS220に進み、この伝達比偏差Geを減少させるべく、αを所定の定数(α>0)として、Goldに定数αを加えた値を今回のルーチンで設定する伝達比Gとして設定し、前出のS210に進む。従ってS218で「Yes」と判断される間は、前回のルーチンで設定された伝達比Goldがルーチン毎に定数α分だけ増加され、通常の処理で車速Vに応じて設定されるべき本来の伝達比Gの値に、徐々に近づくこことになる。
【0046】
これに対し、S218の判断で「No」の場合にはS222に進み、伝達比偏差Geがしきい値−β以下であるかを判断する。その結果、「Yes」の場合にはS224に進み、この伝達比偏差Geを減少させるべく、Goldから定数αを減じた値を今回のルーチンで設定する伝達比Gとして設定し、前出のS210に進む。従ってS222で「Yes」と判断される間は、前回のルーチンで設定された伝達比Goldがルーチン毎に定数α分だけ減少され、通常の処理で車速Vに応じて設定されるべき本来の伝達比Gの値に、徐々に近づくこことになる。
【0047】
そして、β>Ge>−βとなると伝達比偏差Geが解消されたものとして処理することとし、S226に進んで制限フラグFを0にリセットし、前出のS210に進む。従ってS218及びS222で共に「No」の場合には、S206で設定された伝達比Gの値が、変更なくそのまま設定されることになる。
【0048】
S200では、このように車速Vの変化状態とアクチュエータ31の作動角θmの位置とに応じて、伝達比Gの更新が制限される場合があり、伝達比Gの更新が制限されると、続くS300で設定される、制御目標となるアクチュエータ31の目標作動角θmmの変化が抑制される((3)式参照)。従って、車速Vの急変によってアクチュエータ31が駆動される現象を、車速Vの急変状態とその際の作動角θmとに応じて好適に抑制することが可能となる。
【0049】
また、伝達比Gの値を、制限を加えた値から通常の設定値に復帰させる際にも、経時的に徐々に復帰させる処理を採用したので、制限解除直後における設定伝達比の急変を防止することができる。
【0050】
ここで、他の実施形態について説明する。
【0051】
図3のフローチャートでは、伝達比Gの変化状態に制限を加える処理例を例示したが、この伝達比Gは車速Vに応じて設定するため、伝達比Gを設定する際に用いる車速V自体の変化に制限を加えることによっても、同様にS200を実施することも可能である。
【0052】
このような処理の一例を図6のフローチャートに示す。
【0053】
まずS232では、加速度センサ61で検出された前後方向の加速度gの値を読み込み、続くS234では、図4の判定マップをもとに伝達比Gの更新を許可するか否かの判定を行う。
【0054】
S234において、この時点での加速度gと作動角θmとの関係が、更新許可領域にあると判定された場合には、S236に進み、先のS100で読み込んだ車速Vの値を、伝達比Gの設定に用いる車速Vcとして設定する。
【0055】
続くS238では、制限フラグF=0であるかを判断するが、この時点では制限フラグF=0に設定されるため、S238で「Yes」と判断され、S239に進み、図7に示す車速Vcと伝達比Gとの関係を示すマップをもとに、車速Vcに応じた伝達比Gを設定する。
【0056】
S240では、伝達比Gの設定に用いた車速Vcの値をVoldとして記憶し、このルーチンを終了する。
【0057】
これに対し、先のS234で、この時点での加速度gと作動角θmとの関係が、更新禁止領域にあると判定された場合には、S242に進み、前回のルーチンで用いた車速Voldを、車速Vcとして再び設定する。そして、続くS244では、制限フラグFをF=1に設定する。
【0058】
続くS239では、このS242で設定された車速Vcに応じた伝達比Gを設定し、この後、前述したS240が実施される。
【0059】
従って、S234で加速度gと作動角θmとの関係が更新禁止領域にあると判定される間、S242の処理において前回のルーチンで設定された車速Vcの値がそのまま維持されることになり、この間、伝達比Gの変更が禁止される。
【0060】
また、加速度gと作動角θmとの関係が、再び更新許可領域に復帰した場合には、S204からS206を経てS208に進む。
【0061】
この状況下では、制限フラグF=1に設定されているため、S238で「No」と判断されてS246に進む。
【0062】
S246では、S236で設定された車速Vcと、復帰直前のルーチンにおけるS240で記憶された車速Voldとの偏差を、車速偏差Ve=Vc−Voldとして設定する。
【0063】
続くS248では、S246で設定した車速偏差Veがしきい値δ(δ>0)以上であるかを判断し、「Yes」の場合にはS250に進み、この車速偏差Veを減少させるべく、γを所定の定数(γ>0)として、Voldに定数γを加えた値を今回のルーチンで用いる車速Vcとして設定し、前出のS239に進む。従ってS248で「Yes」と判断される間は、前回のルーチンで設定された車速Voldがルーチン毎に定数γ分だけ増加され、制御上用いる通常の車速Vの値に、徐々に近づくこことになる。
【0064】
これに対し、S248の判断で「No」の場合にはS252に進み、車速偏差Veがしきい値−γ以下であるかを判断する。その結果、「Yes」の場合にはS224に進み、この車速偏差Veを減少させるべく、Voldから定数γを減じた値を今回のルーチンで用いる車速Vcとして設定し、前出のS239に進む。従ってS252で「Yes」と判断される間は、前回のルーチンで用いた車速Voldがルーチン毎に定数γ分だけ減少され、制御上用いる通常の車速Vの値に、徐々に近づくこことになる。
【0065】
そして、γ>Ve>−γとなると車速偏差Veが解消されたものとして処理することとし、S256に進んで制限フラグFを0にリセットする。そして、前出のS239に進み、S100で読み込んだ車速Vの値を用いて、伝達比Gの値が設定されることになる。
【0066】
このようにして、伝達比Gを設定する際に用いる車速Vcの変化に制限を加えることによっても、図3の場合と同様に伝達比Gの変化に制限を加えることができ、S300で設定される目標作動角θmmの変化が抑制される。
【0067】
以上説明した各実施形態では、伝達比G或いは車速Vcの変化を禁止する場合について例示したが、変化を禁止する場合に限定するものではなく、これらの変化を抑制できれば良い。従って、例えば図4に示した「更新禁止領域」を「更新抑制領域」とし、加速度gと作動角θmとの関係がこの更新抑制領域にあると判定される場合には、伝達比G或いは車速Vcの変化を抑制するような処理を実施しても良い。
【0068】
この場合の実施形態を図8及び図9のフローチャートに示しておく。
【0069】
図8のフローチャートは、図3のフローチャートに変更を加えたチャートであり、主な変更箇所は、S206の実行タイミングを、S202とS204の間とし、S204で更新抑制領域と判定された場合には、S214に進んで制限フラグFをF=1にセットする。そしてこの後、S216以降の処理に進む。従って、更新抑制領域と判定される間、伝達比Gの変化が抑制され、定数α分だけ増加或いは減少する。
【0070】
図9のフローチャートは図6のフローチャートに変更を加えたチャートであり、主な変更箇所は、S236の実行タイミングをS232とS234の間とし、S234で更新抑制領域と判定された場合には、S244に進んで制限フラグFをF=1にセットする。そしてこの後、S246以降の処理に進む。従って、更新抑制領域と判定される間、車速Vcの変化が抑制され、定数γ分だけ増加或いは減少する。
【0071】
以上説明した各実施形態のうち、図4で図示した判定マップでは、横軸を、車両に作用する加速度|g|によって示したが、車速Vの変化状態の程度が把握できれば良い。一例としては、通常、車速(車体速度)は、車輪の回転速度をもとに推定するため、例えば図10に示すように、車輪速センサ70の検出結果をもとに得られる車輪速度Vwと、この車輪速度Vwをローパスフィルタ71に入力してその結果得られるフィルタ車速Vfとを比較する。その結果、車速がより大きく急変するほど、偏差ΔV=|車輪速度Vw−フィルタ車速Vf|は大きな値を示すので、この偏差ΔVの大きさを図4のマップの横軸として採用しても良い。
【0072】
また、操舵ハンドル10から転舵輪FWに至るの一連の操舵系は、互いに機械的に連結されており、操舵ハンドル10の操舵角θh、アクチュエータ31の作動角θm、出力軸40の回転角θp(転舵輪FWの転舵角)は、前述した(1)式〜(3)式の関係となる。従って、作動角θm、操舵角θh、出力角θp(転舵角)は、互いに関連した値を示すことになり、少なくともいずれかの値により、操舵系が中立位置からどの程度操作された状態であるかを示す、操舵系の位置を把握できる。なお、このときの伝達比Gを考慮しても良い。図4で図示した判定マップの縦軸は、代表的にアクチュエータ31の作動角θmを用いたが、この作動角θmに代えて、操舵角θhや出力角θpを縦軸に採用することもできる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、各請求項にかかる車両用操舵制御装置によれば、操舵系の位置と車速変化の大きさとをもとに車速変化に起因した制御目標の変化を制限する制限手段を備えるので、車速変化が大の場合に、一様に伝達比の変化を制限するのではなく、操舵系の位置と車速変化の大きさの関係から、車速変化に応じた制御目標の変化を制限することができる。このため、車速の急変に伴ってアクチュエータが駆動される現象を、操舵系の位置を考慮しつつ好適に抑えることが可能となり、車速が急変した場合にも、操舵系の位置に応じた好適な操舵特性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】操舵装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【図2】操舵制御装置で実施する制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図2におけるS200で実施する処理例を示すフローチャートである。
【図4】加速度|g|と作動角|θm|との関係をもとに、伝達比の更新を禁止する更新禁止領域と更新許可領域とを規定した判定マップである。
【図5】車速Vと伝達比Gとの関係を規定したマップである。
【図6】図2におけるS200で実施する他の処理例を示すフローチャートである。
【図7】車速Vcと伝達比Gとの関係を規定したマップである。
【図8】図2におけるS200で実施する他の処理例を示すフローチャートである。
【図9】図2におけるS200で実施する他の処理例を示すフローチャートである。
【図10】偏差ΔVの設定処理を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
10…操舵ハンドル、20…入力軸、21…操舵角センサ
30…伝達比可変機構、31…アクチュエータ、32…作動角センサ
40…出力軸、41…出力角センサ、70…操舵制御装置

Claims (4)

  1. 操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、
    前記伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、
    前記駆動手段の作動角を検知する作動角検知手段と、
    前記作動角が制御目標に追従するように前記駆動手段の動作制御を行う制御手段とを備えており、
    前記制御手段は、車速に応じて伝達比を設定し、設定した伝達比と操舵角とをもとに、前記制御目標を設定する設定手段と、前記操舵角、作動角及び転舵角の少なくともいずれかに基づく操舵系の位置と、車速変化の大きさとをもとに、車速変化に起因した前記制御目標の変化を制限する制限手段とを備え、前記操舵系の位置が中立位置から離間している領域では、中立位置付近の領域に比べて、車速の変化に対する前記制御目標の変化量を小さいものとする車両用操舵制御装置。
  2. 操舵ハンドルの操舵角と転舵輪の転舵角との間の伝達比を変化させる伝達比可変機構を備えた車両用操舵制御装置であって、
    前記伝達比可変機構を回転駆動する駆動手段と、
    前記駆動手段の作動角を検知する作動角検知手段と、
    前記作動角が制御目標に追従するように前記駆動手段の動作制御を行う制御手段とを備えており、
    前記制御手段は、車速に応じて伝達比を設定し、設定した伝達比と操舵角とをもとに、前記制御目標を設定する設定手段と、前記操舵角、作動角及び転舵角の少なくともいずれかに基づく操舵系の位置と、車速変化の大きさとをもとに、車速変化に起因した前記制御目標の変化を制限する制限手段とを備え、前記操舵系の位置が中立位置付近の領域では、車速変化が大の場合にも車速変化に起因した前記制御目標の変化を許容し、前記操舵系の位置が中立位置付近から離間した領域では、車速変化が小の場合にも車速変化に起因した前記制御目標の変化を制限する車両用操舵制御装置。
  3. 前記制限手段は、前記伝達比の変化を制限する請求項1又は2記載の車両用操舵制御装置。
  4. 前記伝達比を設定する際に用いる制御上の車速を制御車速とすると、前記制限手段はこの制御車速の変化を制限する請求項1又は2記載の車両用操舵制御装置。
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