JP3564995B2 - 皮下脂肪厚計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、皮下脂肪層の厚さを計測する皮下脂肪厚計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、近年、近赤外光による皮下脂肪層の厚さ計測装置の開発を進めており、本願の発明者の一人は、他の発明者とともに、すでに送受光間距離の異なる複数のセンサ又は1つのセンサにより生体組織中の吸光度変化を計測し、得られた吸光度変化の比率に基づいて、測定対象の吸光物質が主として存在する生体組織と生体表面との間の介在組織の厚みを算出する方法及び装置を創出し、すでに出願している(特願平8−314345号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した先願の皮下脂肪厚計測方法及び装置にあっては、皮下脂肪層の厚さによって計測に適した送受光間距離が異なるにもかかわらず、その距離を選択する手段がなく、一般使用者は最適な送受光間距離を設定することができなかった。そのため、各測定部位における皮下脂肪厚によって最適な計測条件が満たされず、計測精度、分解能が低下し、一般ユーザが使用するには、なお問題が残されていた。
【0004】
この発明は、上記問題点に着目してなされたものであって、誰もが簡単に計測でき、高精度な計測が可能な皮下脂肪厚計測装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の皮下脂肪厚計測装置は、送受光間距離の異なる複数のセンサまたは1つのセンサと、該センサにより生体組織中の吸光度変化を計測する吸光度変化計測手段と、得られた吸光度変化の比率に基づいて脂肪層の厚みを算出する脂肪層厚算出手段とを備える生体の脂肪層厚の計測装置において、前記センサは、複数個の異なる光路長が得られるように配置された少なくとも1個の送光素子と複数個の受光素子、あるいは複数個の送光素子と少なくとも1個の受光素子であり、前記送受光素子の中から計測に適切な送受光素子の組合せを選択する情報を入力する入力手段を備えている。
【0006】
計測に適切な送受光素子の組合せを選択する情報を入力する入力手段は、例えば、腰、足、腹等の測定部位の別、測定範囲、すなわち距離の別、身長、体重、性別、年齢等の個人属性データである。例えば、入力手段により測定部位として「腰」が選択されると、腰の脂肪厚に適した光路長を持つ送発光素子が選択される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明の一実施形態皮下脂肪厚計測装置のケース体1の下面1aを示し、1個の送光素子2と、3個の受光素子3、4、5が直線上に配置されている。ここでは、送光素子2と受光素子3の距離が2cm、送光素子2と受光素子4の距離が3cm、送光素子2と受光素子5の距離が4cmに設定されている。腕、足、腹など広い皮下脂肪厚範囲に対応するため、複数の受光素子3、4、5を設けている。逆に受光素子を1個とし、送光素子を複数あるいは両方を複数とし、適宜選択するようにしてもよい。各素子2、3、4、5は、各送受光間距離により計測部位が異ならないよう、またなるべく小型のプローブセンサユニットとするために、直線上に配置されている。
【0008】
また、送光素子2は、1つだけでは光量が不足する場合には、図2に示すように、複数の送光素子2a、2b、2cを使用し、同時点灯してもよい。この場合、各受光素子3、4、5との距離が変わらないように、送光素子2a、2b、2cは、各受光素子3、4、5との配列線上に対して、軸対象に配置することが望ましい。
【0009】
図3は、この実施形態皮下脂肪厚計測装置のケース体1の上面1b等を示す斜視図である。ケース体1の上面1bには、計測部位選択入力部6と、計測値表示部7が設けられている。計測部位選択入力部6には、図4に示すように、腕ボタン8、足ボタン9、腹ボタン10が配置されている。一般に、腕<足<腹の順で脂肪が多い。このように皮下脂肪層は、計測部位により異なるが、1つの計測部位ではある範囲内にあることが容易に想定される。そのため、この実施形態皮下脂肪厚計測装置において、計測者は自分が測定しようとする部位を選択すると、その選択した計測部位に応じて、適切な送受光間距離が選択される。
【0010】
もっとも、皮下脂肪厚は個人差も大きい。そのため、上記部位の他に、身長、体重、年齢などの個人属性データをさらに入力し、これらも考慮して、さらに最適な送受光間距離を選択するようにすれば、より精度の高い計測が可能となる。計測値表示部7には、計測された皮下脂肪厚が表示される。
図5は、ケース体1の上面1bの他の例を示す図である。ここでは、図4の計測部位選択入力部6に代えて、計測範囲選択入力部11を備えている。この計測範囲選択入力部11には、20mmボタン12、30mmボタン13、40mmボタン14を配置している。計測部位の場合、上記したように個人差が大きい。予め、ある程度皮下脂肪厚がどの程度か知っている場合は、この実施形態により計測範囲によって送受光間距離を選択した方が確実である。
【0011】
図6は、この発明の実施形態皮下脂肪厚計測装置の回路構成を示すブロック図である。図6の回路において、CPU20からの指令により駆動回路21によって送光素子2が駆動され、近赤外光を発する。この近赤外光は、皮下脂肪30を通り、散乱吸収を受けるとともに、受光素子3、4、5によって受光され、アナログスイッチ22でいずれか一つの受光出力が選択され、AMP23を介してCPU20に取り込まれる。CPU20では、測定部位選択入力部6で、いずれのボタンか選択入力されているかに応じ、いずれの受光素子3、4、5の出力を生かすか決定し、アナログスイッチ22を動作させる。例えば、足ボタンが操作されていたとすると、適正な送受光間距離は、送光素子2と受光素子4間であるとして、受光素子4の出力が生かされ、その吸光度信号により皮下脂肪30の厚さを算出し、計測値表示部7に表示する。
【0012】
図7は、この発明の他の実施形態皮下脂肪厚測定装置の処理動作を説明するフロー図である。この処理の実行は、図6のCPU20の制御のもと、進められる。動作スタートで、先ず測定部位選択入力部6の選択ボタンがいずれであるかを読込む(ST1)。続いて、送光素子2を駆動し(ST2)、読込んだ腕ボタン8、足ボタン9、腹ボタン10のいずれかに対応する受光素子出力を取込み、仮の脂肪厚を計測する(ST3)。そして、この仮の脂肪厚がボタン選択された部位で決まる所定範囲に属するか否かを判定する(ST4)。所定範囲であれば、ボタン選択が適切であると判断し、計測も適正であるとし、その仮の脂肪厚を計測値として出力する(ST7)。
【0013】
ST4において、仮脂肪厚が所定範囲外である場合には、選択ボタンが適切でないものとし、計測した仮脂肪厚に対応する距離の受光素子を決定し(ST5)、その受光素子出力を取込んで、再度脂肪厚を計測し(ST6)、ここで求められた脂肪厚を計測値として出力する(ST7)。
適切な送受光間距離は、上述したように、皮下脂肪層厚の約2倍が良い。皮下脂肪20mmならば、送受光間距離は40mmとなる。また、一方、皮下脂肪層厚に対して、送受光間距離が必要以上に長い場合は、筋組織での光の減衰が大きく、S/Nが悪くなる。そのため、なるべく短い送受光間距離で計測する必要がある。したがって、上記ように計測する皮下脂肪層厚の上限に対して、約2倍の送受光間距離を選択する必要がある。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、送光素子あるいは受光素子を複数にして、複数の異なる送受光間距離を選択し得るようにし、入力手段により適切な送受光間距離を自動選択し得るようにしたので、誰にでも簡単に計測に最適な送受光間距離を選択できるし、計測精度が向上する。
【0015】
また、請求項2に係る発明によれば、入力手段より入力する情報が測定部位、測定範囲であるから、測定者は部位に合わせた選択ができ、また自分の皮下脂肪率をほぼ知っていれば、適正な送受光間距離を容易に設定できる。
請求項3に係る発明によれば、個人属性データを入力するので、個人別にきめの細かい送受光間距離の設定が可能となり、より計測精度が向上する。
【0016】
また、請求項4に係る発明によれば、測定部位、測定範囲、個人属性データを綜合勘案できるので、より適正な送受光間距離を設定できる。
また、請求項5に係る発明によれば、送光素子と受光素子を1つのユニットに一体化しているので、小型化が実現できる上、同ユニットで広い計測範囲、多くの部位に対応可能である。
【0017】
また、請求項6に係る発明によれば、部位と送受距離に応じて送光量を変更しているので、適正な送受光量で計測できる。
また、請求項7に係る発明によれば、複数の送光素子を軸対象に配置しているので、送光量を確保できる上、軸方向に直交方向からの光量のバラツキが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態皮下脂肪厚計測装置のケース体の下面を示す図である。
【図2】同実施形態皮下脂肪厚計測装置のケース体の下面の他の例を示す図である。
【図3】同実施形態皮下脂肪厚計測装置のケース体の上面側より見た斜視図である。
【図4】同実施形態皮下脂肪厚計測装置のケース体の上面を示す図である。
【図5】同実施形態皮下脂肪厚計測装置のケース体の上面の他の例を示す図である。
【図6】同実施形態皮下脂肪厚計測装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の他の実施形態皮下脂肪厚計測装置の処理動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
2 送光素子
3、4、5 受光素子
6 測定部位選択入力部
7 計測値表示部
8 腕ボタン
9 足ボタン
10 腹ボタン
20 CPU

Claims (7)

  1. 送受光間距離の異なる複数のセンサまたは1つのセンサと、該センサにより生体組織中の吸光度変化を計測する吸光度変化計測手段と、得られた吸光度変化の比率に基づいて脂肪層の厚みを算出する脂肪層厚算出手段とを備える生体の脂肪層厚の計測装置において、 前記センサは、複数個の異なる光路長が得られるように配置された少なくとも1個の送光素子と複数個の受光素子、あるいは複数個の送光素子と少なくとも1個の受光素子であり、前記送受光素子の中から計測に適切な送受光素子の組合せを選択する情報を入力する入力手段を備えたことを特徴とする皮下脂肪厚計測装置。
  2. 前記入力手段は、測定部位あるいは測定範囲を入力するものであることを特徴とする請求項1記載の皮下脂肪厚計測装置。
  3. 前記入力手段は、身長、体重、性別、年齢等の個人属性データを入力するものであることを特徴とする請求項1記載の皮下脂肪厚計測装置。
  4. 前記入力手段は、測定部位あるいは測定範囲、または身長、体重、性別、年齢等の個人属性データを入力するものであり、入力された測定部位、測定範囲、個人属性データのいずれか1つ、あるいは複数の情報に応じて最適な送受光間距離を自動選択するものであることを特徴とする請求項1記載の皮下脂肪厚計測装置。
  5. 前記送光素子及び受光素子が1つのユニットに一体化されてなることを特徴とする請求項1記載の皮下脂肪厚計測装置。
  6. 前記送光素子は、計測部位と送受間距離に応じて送光量を変更するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4記載の皮下脂肪厚計測装置。
  7. 前記送光素子は、近赤外光を発する複数の送光素子を軸対象位置に配置したものであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の皮下脂肪厚計測装置。
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