JP3564545B2 - 空気袋用の空気栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟質な合成樹脂シートによって形成された浮き輪等の空気袋内に空気を注入するための空気栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気袋20は、例えば図1に示すような浮きマットや、浮き輪、空気枕等といったものに形成されるものであり、図2にも示すように、合成樹脂シート21によって空気室22を構成して使用されるものである。勿論、この空気袋20に対しては、本発明が対象としている空気栓が使用され、この空気栓から空気室22内に空気を注入し、使用後にあっては、この空気栓から空気を抜いてその縮小化が図られる便利なものである。
【0003】
ところで、この種の空気袋20においては、その空気室22内に鈴を入れて動かしたときに生ずる音を楽しんだり、合成樹脂シート21を透明あるいは半透明として、空気室22内に種々な着色を施したビーズ等を入れて、デザイン的にも優れたものとすることがなされてきている。このようなビーズ等を空気室22内に入れた場合、空気栓から空気を抜くときに、このビーズ等が空気と一緒に出てきてしまうおそれがあるが、それを解消しようとする目的で、例えば、登録実用新案第3017848号公報にて「風船状おもちゃ」が提案されている。
【0004】
この登録実用新案第3017848号公報にて提案されている「風船状おもちゃ」は、図4に示したような構成を有するものであり、空気室22の中に入れた「粒状体」が内部「キャップ」の「通気孔」から外に出ないようにするものであり、これはこれでその目的を達成することが十分できるものである。
【0005】
しかしながら、図4に示した従来の空気袋20では、次のようなことに対応できなくなってきている。つまり、近年に至って、例えば透明な合成樹脂シート21によって形成した空気室22内に非常に小さいラメ体23を入れて、このラメ体23が七色で輝くことにより、空気袋20全体の意匠的美しさを増大させることがなされてきているが、図4に示したような通気孔から簡単に外に飛び出してしまうだけでなく、この通気孔を目詰まりさせてしまうこともあったのである。
【0006】
このラメ体23は、砂粒程度以下の大きさの平板状のもので、「雲母」のように見る方向によって反射する光の波長が異なるものである。つまり、このラメ体23を透明な合成樹脂シート21によって形成した空気袋20内にたくさん入れたとき、当該空気袋20が太陽光によって七色に輝くといった効果を発揮するものであるが、このラメ体23が外に出てしまえば、このような効果が薄れてしまうのである。
【0007】
そこで、本発明者は、このような小さなラメ体23が空気袋20の外に飛び出したり、通気孔の目詰まりを発生させたりしないようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この種の空気袋20における上記問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、小さなラメ体23が空気袋20外に飛び出さず、空気が通る穴の目詰まりも生じさせないようにすることのできる空気栓10を、簡単な構成によって提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明の採った手段は、後述する実施の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「軟質な合成樹脂シート21によって空気室22を有する袋状に形成され、この空気室22内にラメ体23を収納するようにした、浮き輪、枕、あるいはベッド等の空気袋20内に空気を注入するために使用される空気栓10であって、
空気穴12を閉じる栓体13を一体的に有した可撓性支持部11aを備えて、合成樹脂シート21の表面に溶着される取付基部11と、この取付基部11の裏面に一体化されて、前記空気穴からの空気の前記空気袋内への出入を可能にする多数の通気孔15を有した収納部14と、この収納部14の側壁の一部を内方へ突出させることにより形成した係止部16と、この係止部16より内側の収納部14内に収納されるスポンジ体17とを備えたものとして、
栓体13を閉じたときに、係止部16によりスポンジ体17を小さく押圧できようにするとともに、空気
袋20内の空気を抜くときに、スポンジ体17によってラメ体23を漉し取るようにしたことを特徴とする空気栓10」
である。
【0010】
すなわち、本発明に係る空気栓10は、基本的には、従来技術である図4に示した空気栓と同様であるが、根本的に異なる点は、図4に示したキャップを収納部14として、この収納部14内にスポンジ体17を収納したことである。このスポンジ体17は、三次元網目構造の通気路を有しているものであり、この通気路は、空気袋20内に入れたラメ体23を通さない小さな穴となっている。また、このスポンジ体17は、非常に柔軟なものであって、図3に示すように、栓体13を空気袋20側に押し込んだとき、空気穴12を構成している下端部の押圧力によって小さくされるものである。
【0011】
この三次元網目構造の通気路を有するスポンジ体17が当該空気栓10内に存在することによって、図2に示すように、空気穴12から空気袋20内への空気の注入が行えることは当然として、当該空気袋20の空気室22内の空気を抜くときには、内に入れてあって収納部14の通気孔15から外に出ようとするラメ体23が、その図示下面にて漉し取られることになるのである。これにより、空気袋20のの空気室22内に入れてある光輝く小さなラメ体23は、空気袋20内に閉じこめられたままとされるのである。
【0012】
また、このスポンジ体17は、これを収納している収納部14に設けた係止部16によって、その図2に示した位置に保持されている。このため、当該スポンジ体17の下面が通気孔15を有する収納部14の下面に常に当接していて、前述したラメ体23の漉し取り作用を確実に行うようにしている。また、空気穴12を押し込んだときに、図3に示すように、このスポンジ体17が常に上面にて押し潰されることになり、空気穴12が外されたときのスポンジ体17の復元を確実に行えるようにしているのである。
【0013】
従って、この空気栓10は、小さなラメ体23が空気袋20外に飛び出さず、空気が通る穴の目詰まりも生じさせないようにすることができて、空気袋20の空気室22内に入れたラメ体23の消失が確実に防止されるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、以上のように構成した本発明を、図面に示した実施の形態である空気栓10について説明すると、図1には、当該空気栓10が採用されるマット状の空気袋20が示してある。この空気袋20は、透明あるいは半透明の合成樹脂シート21によって、空気栓10から空気が注入されることになる空気室22を有しているものであり、この空気室22内には、図2に示したように、反射光が見る方向によって七色に変化する多数の小さなラメ体23が入れてある。
【0015】
空気栓10は、その取付基部11によって合成樹脂シート21の一部に溶着されるものであり、この可撓性支持部11aの上端側に一体成形した空気穴12と、この空気穴12に連結部12aを介して連結した栓体13とを備えているものである。栓体13は、図3に示したように、空気穴12内に挿入されることにより空気穴12を閉じるものであり、これらの空気穴12及び栓体13は、可撓性支持部11aによって取付基部11側に連結されたまま、後述する収納部14内に押し込まれ、合成樹脂シート21の表面から突出しないようになされるものである。
【0016】
以上の空気穴12及び栓体13が一体化されている取付基部11の裏面には、図2及び図3に示したように、収納部14がその取付部14aにて一体化してある。この収納部14は、栓体13を挿入した空気穴12と、後述するスポンジ体17とを収納できる程度の収納空間を有するもので、その底壁には空気を通すための通気孔15が複数形成してある。また、この収納部14の側壁には、当該収納部14を型成形する際に同時に成形するか、あるいは筒状に成形した収納部14に後に押し込み熱加工される係止部16が形成してある。
【0017】
収納部14内の各係止部16の下側には、図2及び図3に示したように、スポンジ体17が収納してある。このスポンジ体17は、合成樹脂を一定の率で発泡させた文字通り「スポンジ」状のものであり、空気を十分通す三次元網目構造の通気路を内部に多数有したものである。また、このスポンジ体17は、その直径が収納部14の内径と略同じ程度にしてあり、高さも収納部14の底面と各係止部16との間の寸法と同じにしてあって、収納部14内の係止部16以下の部分になるべく隙間なく収納したものである。
【0018】
このスポンジ体17の収納部14内への収納は、収納部14を取付基部11に溶着する前に行われることは当然であり、収納部14内に突出している係止部16上から押し込めば、このスポンジ体17は変形して各係止部16の下側に押し込まれるものである。また、このスポンジ体17が簡単に変形し得るものであることから、図3に示したように、空気穴12の収納部14内への押し込みが簡単になされ、図2に示した原型への復帰も確実になされるのである。
【0019】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明においては、上記実施の形態にて例示した如く、
「軟質な合成樹脂シート21によって空気室22を有する袋状に形成され、この空気室22内にラメ体23を収納するようにした、浮き輪、枕、あるいはベッド等の空気袋20内に空気を注入するために使用される空気栓10であって、
空気穴12を閉じる栓体13を一体的に有した可撓性支持部11aを備えて、合成樹脂シート21の表面に溶着される取付基部11と、この取付基部11の裏面に一体化されて、前記空気穴からの空気の前記空気袋内への出入を可能にする多数の通気孔15を有した収納部14と、この収納部14の側壁の一部を内方へ突出させることにより形成した係止部16と、この係止部16より内側の収納部14内に収納されるスポンジ体17とを備えたものとして、
栓体13を閉じたときに、係止部16によりスポンジ体17を小さく押圧できようにするとともに、空気袋20内の空気を抜くときに、スポンジ体17によってラメ体23を漉し取るようにしたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、小さなラメ体23が空気袋20外に飛び出さず、空気が通る穴の目詰まりも生じさせないようにすることのできる空気栓10を、簡単な構成によって提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気栓を適用した空気袋の斜視図である。
【図2】本発明に係る空気栓の、空気穴から空気袋内に空気を注入している状態を示す、図1中の1−1線にそって見た拡大断面図である。
【図3】同空気栓の、空気穴を収納部内に押し込んだ状態の拡大断面図である。
【図4】従来の空気栓を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
10 空気栓
11 取付基部
11a 可撓性支持部
12 空気穴
12a 連結部
13 栓体
14 収納部
14a 取付部
15 通気孔
16 係止部
17 スポンジ体
20 空気袋
21 合成樹脂シート
22 空気室
23 ラメ体
Claims (1)
- 軟質な合成樹脂シートによって空気室を有する袋状に形成され、この空気室内にラメ体を収納するようにした、浮き輪、枕、あるいはベッド等の空気袋内に空気を注入するために使用される空気栓であって、
空気穴を閉じる栓体を一体的に有した可撓性支持部を備えて、前記合成樹脂シートの表面に溶着される取付基部と、この取付基部の裏面に一体化されて、前記空気穴からの空気の前記空気袋内への出入を可能にする多数の通気孔を有した収納部と、この収納部の側壁の一部を内方へ突出させることにより形成した係止部と、この係止部より内側の前記収納部内に収納されるスポンジ体とを備えたものとして、
前記栓体を閉じたときに、前記係止部により前記スポンジ体を小さく押圧できようにするとともに、前記空気袋内の空気を抜くときに、前記スポンジ体によって前記ラメ体を漉し取るようにしたことを特徴とする空気栓。
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