JP3564305B2 - 電源装置用ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無停電電源装置、めっき用電源装置、溶接機、切断機、充電器等の様々な電源装置のケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような電源装置では、まず、商用交流電圧が整流、平滑され、直流電圧に変換される。この直流電圧がインバータによって高周波電圧に変換される。この高周波電圧が変圧器によってインバータ側と絶縁されると共に、別の値の高周波電圧に変換される。この変圧された高周波電圧が再び整流、平滑され、直流電圧に変換されて、負荷に供給される。この電源装置では、インバータを使用しているので、大型の変圧器や大型の平滑用リアクトルが不要であり、この電源装置全体を小型化できる。なお、電源装置を無停電電源装置に使用する場合、変圧器と出力側の整流、平滑回路が除去される場合もある。
【0003】
このような電源装置は、使用する部品の数が多く、また、回路構成が複雑である。しかも、各部品の中には、大量の熱を発生する発熱部品もあり、その熱の放熱効果を高めるために、本願出願人は、特願平9−84330号において、アルミニウムまたはアルミニウム合金を押し出し成型した電源用ケースを提案した。
【0004】
このケースは、底壁と、この底壁の両側からそれぞれ立ち上がった側壁と、これら側壁の先端側間に跨った天井とを有する中空体を備えたものである。この中空体内に、ダイオードやIGBT等の半導体装置、コンデンサ、変圧器、プリント配線基板、蓄電池等の電源装置の各部品が配置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような電源装置のケースを製造する場合、中空体を形成するための金型を形成し、この金型によってアルミニウムまたはアルミニウム合金を押し出し成型する必要がある。そのため、金型は、肉厚が大きく、大型になる。その上、金型が複雑にもなる。よって、高価な金型となり、電源装置のコストが増大するおそれがあった。
【0006】
本発明は、簡単な構成の金型によって製造することができる電源装置のケースを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、主壁と、この主壁の両側縁からこれにほぼ垂直にかつ互いに平行に同一方向に伸延した第1及び第2の側壁と、第1の側壁の先端部に形成された凸部と、第2の側壁の先端部に前記凸部と係合可能に形成された凹部とを、有する第1及び第2のユニットを備えている。第1のユニットの第1側壁と第2のユニットの第2側壁とが接触し、第1のユニットの第2側壁と第2ユニットの第1側壁とが接触した状態において、第1のユニットの凸部が、第2のユニットの凹部と係合し、第1のユニットの凹部に第2のユニットの凸部が係合している。
【0008】
第1及び第2のユニットは、同一の形状であるので、1つの金型からそれぞれ製造することができる。しかも、金型は、底壁と2つの側壁と、凸部と凹部とを形成することができればよいので、その構成も簡単なものとなる。
【0009】
第1及び第2のユニットは、アルミニウムまたはアルミニウム合金を金型によって押し出し成型することにより、製造することもできる。
【0010】
凸部は、その先端部に膨大部を有するものとでき、これに対応して、凹部は、膨大部が嵌合する形状とされる。これによって、第1及び第2のユニットは容易に外れることはない。
【0011】
また、膨大部は、予め定めた距離だけ第1の側壁の外面から内側に偏った位置に設けることができ、凹部も、上記予め定めた距離だけ第2の側壁の外面から内側に偏った位置に設けられる。これによって、第1のユニットの膨大部と第2のユニットの膨大部とを嵌合させ、第2のユニットの膨大部を第1のユニットの凹部に嵌合させたとき、第1ユニットの第1の側壁と第2ユニットの第2の側壁との外面が一致し、かつ第1ユニットの第2の側壁と第2ユニットの第1の側壁との外面が一致する。
【0012】
第1及び第2のユニットの第1及び第2の側壁の近傍に、前記主壁との間に溝を形成するように溝形成体が設けられている。この場合、上記の溝を案内として利用して、電源装置の一部を構成する電源ユニットをケース内に出し入れすることが容易に行える。
【0013】
前記溝形成体における前記主壁と反対側の面が、電源装置用の部品を支持可能な平面とされている。この場合、上述した電源装置の一部を構成する電源ユニットを、この平面で支持することができ、この電源ユニットの支持と案内を、溝形成体のみによって行うことができる。
【0014】
第1及び第2のユニットの第1の側壁における主壁から離れた位置に、1対の溝形成体を設け、これらの間に第1の溝を設け、さらに、第1及び第2のユニットの第2の側壁における主壁から離れた位置に、別の1対の溝形成体を設け、これらの間に第2の溝を、第1の溝と対応するように設けることもできる。これら第1及び第2の溝を用いて、上記とは別の電源ユニットを出し入れ自由に電源ケース内に収容することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施の形態の電源装置用のケースは、図1に示すように2つのユニット2a及び2bを備えている。これらユニット2a、2bは、同一形状に形成されている。従って、ユニット2aについてのみ詳細に以下に説明し、ユニット2bの各構成部品については、ユニット2aの各構成部品と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0016】
ユニット2aは、図2に示すように、例えばほぼ長方形状に形成された主壁4を有している。主壁4の両長辺全域にわたって、第1の側壁6、第2の側壁8が形成されている。第1及び第2の側壁6、8も、例えば同じ大きさのほぼ長方形状をなし、主壁4に対してほぼ垂直に同一方向に互いに平行に伸延している。
【0017】
第1の側壁6の先端部には、主壁4の長辺方向に沿って連続的に凸部10が形成されている。この凸部10は、第1の側壁16の外面から予め定めた距離だけ内側に偏った位置に第1の側壁と平行に先端部よりさらに伸延した首部10aを有し、この首部10aの先端に首部10aよりも大きい円柱状の膨大部10bを有している。
【0018】
第2の側壁8の先端部には、主壁4の長辺方向に沿って連続的に凹部12が形成されている。凸部12は、第2の側壁8の先端部から下方に向かって形成された溝12aを有し、この溝12aは、首部10aとほぼ同じ大きさである。この溝12aの下端に、これに連ねて、膨大部10bとほぼ同じ大きさの拡大孔12bが形成されている。
【0019】
主壁4に接近した第1の側壁6の内面位置には、主壁4の長辺方向に沿って連続的に溝形成体14が形成されている。溝形成体14は、例えば溝付きリブであり、それぞれ主壁4と平行な上面14aと下面14bとを有している。下面14bは、主壁4との間に、微少な例えば1mm乃至2mmの溝16を形成している。また、上面14aと下面14bとの間には、主壁4の長辺方向に沿って連続的に溝14cが形成されている。
【0020】
同様に、主壁4に接近した第2の側壁8の内面位置にも、溝形成体18が形成されている。この溝形成体18も溝付きのリブであり、溝付きリブ14と同様に上面18a、下面18b、溝18cを有し、上面18aは、溝付きリブ14の上面14aと同じ高さ位置に、下面18bも同下面14bと同じ高さ位置に、溝18cも、同溝14cと同じ高さ位置に、それぞれ設けられている。即ち、溝形成体14と18とは、主壁4の中央を垂直に通る対称軸に対して線対称に配置されている。従って、溝16と同一の溝20が、下面18bと主壁4との間に形成されている。
【0021】
第1の側壁6の内面における先端部に近い位置には、溝付きリブ14と同様に上面22a、下面22b及び溝22cを有する溝付きリブ22が形成されている。この下面22bから約1mm乃至2mm下方に、内側向きにリブ24が形成されている。リブ24と下面22bとの間に、溝26が形成されている。即ち、溝付きリブ22とリブ24とが一対の溝形成体をなしている。
【0022】
同様に、第2の側壁8の内面における溝付きリブ22に対応する位置に溝付きリブ28が形成されている。この溝付きリブ28も、溝付きリブ22の上面22aと同じ高さ位置に上面28aを、同下面22bと同じ高さ位置に下面28bを、同溝22cと同じ高さ位置に溝28cを有している。また、リブ24と同じ高さ位置にリブ30が形成され、リブ30と下面28bとの間に、溝26と対応するように溝32が形成されている。溝付きリブ28とリブ30も溝形成体をなしている。
【0023】
主壁4の内面には、その長辺方向に沿って連続的に、複数の吸熱用のリブ34が形成されている。第1の側壁6と第2の側壁8との外面には、その上下方向に沿って一定間隔をおいて微少な凹部36aと凸部36bとが、それぞれ形成されている。主壁4の外面にも、水平方向に一定間隔をおいて、微少な凹部38aと凸部38bとが、連続的に形成されている。
【0024】
このようなユニット2a、2bは、同一の形状であるので、同一の金型によってアルミニウムまたはアルミニウム合金を押し出し成型することによって、それぞれ形成される。
【0025】
このようにして形成された同一形状のユニット2a、2bを図1に示すように、組み合わせることによって、前面と後面とが開口した中空の電源装置用のケースを構成することができる。即ち、ユニット2a、2bの主壁4、4が互いに平行に、かつユニット2aの第1の側壁6とユニット2bの第2の側壁8との先端が互いに対向するように、かつユニット2aの第2の側壁8とユニット2bの第1の側壁6とが互いに対向するように配置し、ユニット2aの凸部10の膨大部10bをユニット2bの凹部12の拡大孔12bに嵌合させ、ユニット2bの凸部10の膨大部10bをユニット2aの凹部12の拡大孔12bに嵌合させる。
【0026】
膨大部10bが拡大孔12bに嵌合しているので、ユニット2a、2bが容易に分離することはない。また、凸部10の首部10a、膨大部10bと、凹部12の溝12a、拡大孔12bとは、共に第1及び第2の側壁6、8の外面から予め定めた距離だけ内側にそれぞれ偏った位置に形成されているので、組み合わせた状態で、ユニット2aの第1の側壁6とユニット2bの第2の側壁8との外面が一致し、同様にユニット2aの第2の側壁8とユニット2bの第1の側壁6との外面も一致している。従って、この電源装置用のケースの見栄えがよくなる。また、このケースは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であるので、シールドケースとして使用することができる上に、放熱効果も高い。
【0027】
図3及び図4は、図1に示す電源装置用ケースを、蓄電池を内蔵する無停電電源装置に使用した場合を示している。
【0028】
ユニット2a、2bを図1に示したように組み合わせて電源装置用ケースが形成されている。電源部40は、側面形状がほぼL字状をなす電源取付板42上に形成されている。電源取付板42の長方形状の平面部42aには、電力用半導体装置44が取り付けられた冷却フィン46が設けられている。更に、電力半導体装置44を制御するための制御部48や、変圧器(図示せず)等の電源装置用の各種部品も平面部42a上に設けられている。また平面部42aの前面側には、通気用の矩形の貫通孔50が形成されている。平面部42aの後部には、平面部42aと垂直に垂直部42bが形成されている。この垂直部42bに、冷却用のファン52が取り付けられている。
【0029】
この電源部40は、上記のケースの後面側の開口からユニット2aの溝26、32に、平面部42aを挿入してケース側にスライドさせることによって、ケース内に取り付けられる。従って、電源部40の収納が容易に行われる。なお、電源部40は、ユニット2aの溝26、32の下方にあるリブ24、30によって支持されている。
【0030】
ケース内における電源部40の下方に、バッテリー収納部54が配置されている。バッテリー収納部54は、この無停電電源装置に入力される交流電源が停電したときに、直流電力を供給する複数のバッテリー56を備えたものである。バッテリー56は、側面形状がほぼL字状をなすバッテリー取付板58の矩形の平面部58a上に配置されており、鋼帯60によって平面部58a上に固定されている。バッテリー取付板58の垂直部58bは、平面部58aの後面側に平面部58aと垂直に配置されている。この垂直部58bには、複数の空気の吸入孔62が桝目状に穿設され、さらにバッテリー収容部54を、ケースから引き出す際に指をかけるための開口64も穿設されている。
【0031】
平面部58aの下面において、その両側縁の近傍にこれに沿って保持部66がそれぞれ形成されている。これら保持部66は、溝16、20の厚さとほぼ等しい厚さを有する水平部66aと、これを平面部58aに繋ぐ垂直な脚部66bとからなるL字状のものである。平面部58aが溝付きリブ14、18の上面14a、18aに乗せられた状態において、水平部66aが溝16、20内に侵入可能に脚部66bの長さが選択されている。
【0032】
バッテリー収納部54は、平面部58aが溝付きリブ14、18の上面14a、18aに支持された状態において、両保持部66の水平部66aが溝16、20内に侵入しているので、バッテリー収納部54が上下方向に移動することはない。また、バッテリー56は有寿命品であるので、その寿命に近づいたとき、交換することが必要であり、バッテリー56の交換時には、溝16、20が案内として機能し、バッテリー収容部54を、スライドさせることによって容易に引き出すことができる。
【0033】
なお、バッテリー収容部54の垂直部58bは、ユニット2aの主壁4からユニット2aの溝付きリブ22、28の距離にほぼ等しい寸法を有し、電源部40の垂直部42bは、ユニット2aの溝付きリブ22、28からユニット2bの溝付きユニット14、18までの距離にほぼ等しい寸法を有している。垂直部58bの4隅のうち下側の2箇所にタッピングビス68、68が、溝付きリブ14、18の溝14c、18cに挿入される。また、垂直部58bの4隅のうち上側の2箇所と、垂直部42bの4隅のうち下側の2箇所とに共通にタッピングビス70、70が、ユニット2aの溝付きリブ22、28の溝22c、28cに挿入される。同様に、垂直部42bの4隅のうち上側の2箇所にタッピングビス72、72が、ユニット2bの溝付きリブ14、18の溝14c、18cに挿通される。これによって、垂直部42b、58bの固定が行われている。
【0034】
ケースの前面側の開口には正面パネル74が取り付けられている。正面パネル74には、メーター76やスイッチ等の操作部品(図示せず)が取り付けられている。また、この正面パネル74の下部には、空気を取り入れるための吸入孔78が形成されている。この正面パネル74は、ケースの高さ寸法にほぼ等しい高さ寸法を有し、その4隅にタッピングビス80がユニット2a、2bの溝付きリブ14、18の溝14c、18cにそれぞれ挿通される。正面パネル74が固定されている。
【0035】
この無停電電源装置が運転されているとき、ファン52が動作することによって、図3に矢印で示すようにバッテリー収納部54の吸入孔62から吸入された空気が、バッテリー56をそれぞれ冷却し、貫通孔50を通って電源部40のフィン46、トランス等を冷却し、ファン52によって外部に排出される。
【0036】
なお、ユニット2a、2bを嵌合させて、ケースを構成しているので、バッテリー56と電源部40との間、電源部40と正面パネル74の部品との間の電気的接続には、プラグやソケットを用いることが望ましい。
【0037】
上記の実施の形態では、1対の溝形成体として溝付きリブ22、28、リブ24、30を用いたが、垂直部42b、58bの固定を溝22c、28cに対して行わない場合には、溝付きリブ22、28を使用する必要はなく、単なるリブのみを設けることもできる。溝付きリブ14、18も同様である。また、上記の実施の形態では、ユニット2a、2bが、特別な固定具を用いなくても、自由に外れないようにするために、凸部10の膨大部10bを凹部12に拡大孔12bを設けたが、ユニット2a、2bの固定を他の方法によって行う場合には、凸部を単なる突起として、凹部を単なる溝とすることもできる。
【0038】
上記の実施の形態では、無停電電源装置のケースに本発明によるケースを実施したが、溶接機、切断機、充電器等の種々の電源装置のケースとして使用することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ケースを構成する2つのユニットが同一形状であるので、これらユニットをそれぞれ1つの金型で製造することができる上に、ユニットが主壁と2つの側壁とを有するものであるので、金型自体も簡単な構成のものとすることができる。また、主壁との間に溝を形成する溝形成体を設けているので、この溝内に部品に設けた脚部を挿入することによって、この部品が上下動することを防止できるし、この溝が案内として機能するので、この部品の出し入れも容易に行える。更に、この溝形成体の上面で部品を支持できるように、上面を構成しているので、この部品の支持、固定及び案内を、溝形成体のみで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態の電源装置用ケースの正面図である。
【図2】図1のケースを構成している2つのユニットのうち1つの正面図である。
【図3】図1のケースを用いた無停電電源装置の組立図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
2a、2b ユニット
4 主壁
6 第1の側壁
8 第2の側壁
10 凸部
12 凹部
Claims (1)
- 主壁と、この主壁の両側縁からこれにほぼ垂直にかつ互いに平行に同一方向に伸延した第1及び第2の側壁と、第1の側壁の先端部に形成された凸部と、第2の側壁の先端部に前記凸部と係合可能に形成された凹部とを、有する第1及び第2のユニットを備え、
第1及び第2のユニットの前記主壁が互いに平行に、かつ第1のユニットの第1側壁と第2のユニットの第2側壁とが接触し、第1のユニットの第2側壁と第2ユニットの第1側壁とが接触した状態において、第1のユニットの凸部が、第2のユニットの凹部と係合し、第1のユニットの凹部に第2のユニットの凸部が係合し、
第1及び第2のユニットの第1及び第2の側壁の近傍に、前記主壁との間に溝を形成するように設けられ、
前記溝形成体における前記主壁と反対側の面が、電源装置用の部品を支持可能な平面とされている電源装置用ケース。
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