JP3564208B2 - 溶媒の存在下での非水性重合によつてゴムで改質されたabs成形コンパウンドを製造するための方法 - Google Patents

溶媒の存在下での非水性重合によつてゴムで改質されたabs成形コンパウンドを製造するための方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、少なくとも二つの異なる溶媒の存在下でグラフト基体として予備成形された可溶性でかつゲルを含まないゴムの存在下で、芳香族モノアルケニルモノマー、エチレン性不飽和ニトリルモノマー並びに必要に応じてその他の共重合可能なビニルモノマー及び/又はマレインモノマーのラジカル開始された重合によって、耐衝撃性で溶融加工可能な成形コンパウンドを製造するための段階的重合方法に関する。かくして、本発明は、耐衝撃性ABS成形コンパウンドを製造するための多段階溶液重合方法に関する。
【0002】
本発明による方法は、単純な重合技術及び経済的な効率によって特徴付けられ、そして本発明による生成物は、高い耐衝撃性、硬度、艶消表面、耐熱性によってそして優れた加工挙動によって特徴付けられる。
【0003】
低い重合温度及び圧力は、本発明による方法が高度の運転上の信頼性を有することを意味する。
【0004】
本発明の目的は、技術的に単純な装置中で実施することができそしてグラフトゴムの顕著な耐衝撃性効果が伴った良好な加工及び応用特性を有するABSを与える、溶融加工可能なABS成形コンパウンドを製造するための経済的で運転上信頼できる方法である。
【0005】
本発明は、溶媒の存在下でのグラフト基体としての予備成形された可溶性ゴムの存在下での芳香族モノアルケニルモノマー、エチレン性不飽和ニトリルモノマー並びに必要に応じてその他の共重合性ビニルモノマー及び/又はマレインモノマーのラジカル開始重合によって耐衝撃性の溶融加工可能な成形コンパウンドを製造するための方法であって、
(A)脂肪族(C〜C10)、脂環式及び/又は芳香族炭化水素、並びに
(B)脂肪族(C〜C)又は脂環式アルコール、ケトン、エーテル、エステル及び/又はニトリルである少なくとも二つの異なる溶媒の助けによって、
1.90〜20重量部のモノアルケニル芳香族モノマー又はこれらの等価物の混合物、
2.10〜50重量部のエチレン性不飽和ニトリルモノマー又はこれらの等価物の混合物並びに
3.必要に応じて0〜30重量部の、1並びに2と共重合することができる更なるビニル、(メタ)アクリル及び/又はマレイン及び/又はフマル及び/又はイタコンモノマー又はこれらの等価物の混合物を、
4.撹拌された溶液中の6〜50重量部の可溶性のゲルを含まない予備成形されたゴムの存在下でラジカル開始によって、
5.18〜200重量部のグループ(A)からの溶媒又は溶媒混合物の
6.重合されるモノマー1〜3の和に関して高々40重量%のモノマー転化率まで重合させ、
7.18〜450重量部のグループ(B)からの溶媒又は溶媒混合物をステップ4/5のものとは別の時間に又は別の場所で添加し、そして
8.ラジカル的に開始された重合を、完全な混合をしながら30〜99重量%の、重合されているモノマー1〜3の和に関するモノマー転化率までの更なる段階継続する
ことを特徴とする方法を提供する。
【0006】
ゴムで改質された成形コンパウンドの製造のために使用される現在の方法は、水性乳化重合を含むが、これは、本明細書中ではより詳細には取り扱わない。ゴムで改質された成形コンパウンドを製造するための塊状及び溶液重合を含む方法は、知られていてそしてHouben Weyl,Methoden der organischen Chemie,vol.E 20/part 1,p.182〜217,Georg Thieme Verlag,Stuttgart中に述べられている。これらの既知の方法の欠点は、必要とされる高い温度、圧力下での重合、並びになかんずく、塔形反応器、静的ミキサー反応器又は櫂形反応器中での高価な高粘度重合処理技術によってのみ制御することができる高粘度の発生、並びに高い圧力及び温度に伴う安全面である。
【0007】
US−P 3 538 190は、ゴムのための一つの溶媒又は溶媒の混合物を使用してABS樹脂を製造するための方法を述べている。
【0008】
このような溶媒は、脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素例えばヘキサン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサンである。脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素の混合物が好ましく使用される。例外なく、これらの溶媒又は溶媒混合物はゴムのために使用される。モノアルケニル芳香族及びエチレン性不飽和ニトリルモノマーの重合の過程の間に、ポリマー樹脂相は使用されている溶媒中の分散相として現れ、そしてゴム又はグラフトゴムは連続的溶液相中に留まる。このやり方で得られた生成物の電子顕微鏡写真は、連続的ゴム相中に分散された、1μm未満の粒度を有するニトリル/芳香族化合物樹脂相を明らかにする。しかしながら、このタイプの分散は望ましくない。市場は、今や、ゴムが分散相でありそして熱可塑性樹脂が連続相を形成するABS樹脂を要求している。このゴムは原則として橋かけされていなければならない。グラフトゴム/ゴムが連続相にある時にはそしてこれが橋かけ又はゲル化されている場合には、加工の問題が起きる。US 3 538 190による方法は、高粘度技術を使用しないそして加圧された反応器の使用を必要としない技術的に単純な重合手順のすべての利点を有するけれども、それらの工業的な安全上の問題があって、連続的な熱可塑性樹脂相を有する必要とされる生成物は得られない。
【0009】
非水性の製造方法は、それらが廃水をもたらさないという利点を別にしても、改善された生成物特性例えば自然な色、高いゴム有効性及び艶消表面によって特徴付けられる。本発明による方法を使用することによって、非水性製造方法のこれらの利点を、低温での(本発明による方法においては60〜約120℃で重合を実施する)そして好ましくは大気圧下での500ポアズ未満の低粘度での重合による単純な反応方法技術の利点と組み合わせることができる。本発明による方法の特別な利点は、約40重量%までの高いゴム含量を有するABS樹脂もまたこの方法によって製造することができることである。高いゴム含量を有するこのようなタイプのABS樹脂は、ポリマーブレンドを生成させる他の熱可塑性材料と混合するために必要とされる。高いゴム含量を有するこのようなタイプのABS樹脂は、これまでのところ水性乳化重合によってのみ製造することができた。本発明の方法によって製造された本発明による生成物は、優れた加工及び性能特徴によって、そして強度、硬度、耐熱性、及び射出成形の間の流動性のこれまでのところ得られなかった有利な組み合わせによって特徴付けられる。
【0010】
本発明の重要な部分は、上で述べたグループ(B)からの溶媒又は溶媒混合物の使用である。驚くべきことに、1:1〜1:2.3の上で述べた重量比で上で述べたグループ(A)及び(B)からの溶媒又は溶媒混合物を使用する時には、グラフトゴム/ゴムが耐衝撃性熱可塑性樹脂中の分散相中に現れ、そして熱可塑性樹脂が連続相中に現れる。
【0011】
本発明による非水性重合方法は、少なくとも二つの異なる溶媒の存在下で回分式に、半連続的に又は連続的に実施することができる。連続的重合方法は、ゴム4を、溶媒/混合物7とは別に、好ましくは溶媒/混合物5中に溶かし、そして完全に混合されそして撹拌されたタンク反応器中に重合されているモノマー1〜3の和に関して20重量%を越える第一段階における不動の(stationary)モノマー転化率でもって連続的に供給され、量り込まれ、そしてラジカル開始された重合を、完全に混合しながら、カスケードの形の1以上の更に連続的に運転され撹拌されたタンク反応器中で又は栓流反応器中で及び/又は両方のタイプの反応器の組み合わせ中で、重合されているモノマー1〜3の和に関して40〜99重量%のモノマー転化率まで少なくとも一つの更なる段階で継続し、そして残留モノマー及び溶媒を、熱交換蒸発器(heat−exchangingdevotilizers)(Waermeaustauschverdampfer)、フラッシュ蒸発器、押出蒸発器、プレート蒸発器、薄膜若しくは薄層蒸発器、又はスクリュー蒸発器におけるポリマー蒸発の慣用的な方法によって除去し、そして本発明の方法に返すことで区別される。
【0012】
しかしながら、ゴム及び溶媒(A)、項目4/5を溶媒(B)、項目7とは別に第一段階中に連続的に量り込むことが必須である。項目6及び8による重合ステップは、隔離されたミクロ混合された(micromixed)状態で順番に実施する。
【0013】
本発明による重合の回分式及び半連続的方法は、満たされた又は部分的に満たされた完全に混合された撹拌されたタンク反応器中で実施し、その中にモノマー及び溶媒1〜5を最初に導入し、項目6及び8に従って20〜99重量%の上で述べたモノマー転化率まで重合を実施し、そして溶媒7を異なる時間に、好ましくは項目6による20〜40%のモノマー転化率の後で添加する。
【0014】
半連続的重合の有利な変形例は以下の通りである:
連続的に又は回分式で又は半連続的にのいずれかで製造された非水性ポリマー媒体を、項目1〜5及び6〜8に従って最初に反応器中に入れ、そしてモノマー1〜3、ゴム及び溶媒4及び5並びに、別の場所で、溶媒7を、重合されているモノマー1〜3の和に関して41〜99重量%の不動のマクロ混合された(macromixed)転化率で項目6及び8に従って必要とされる充填レベルまで反応器に供給する。項目6及び8による段階を、隔離されたミクロ混合された入り口又は撹拌入れ(stirring−in)ゾーン中で順番に実施するが、この点で4/5及び7の計量された添加を場所的に離して保持することが重要である。
【0015】
この手順のすべての変形例の一つの特徴は、4/5及び7の別々の添加であり、それ故、項目6及び8の特徴は、明らかにグラフトゴム粒子の有利な構造を生み出す巨視的な不動の状態を維持しながら、隔離されたミクロ混合された状態で順番に実施される。
【0016】
溶かされた形で供給されるゴムのより良い混合及び/又は分散のために、ポリマーシロップを、混合及び剪断装置を経由してループ中にポンプ注入することができる。このようなタイプのループ操作は、先行技術の一部であり、そして既知の方法によってゴムの粒度を調節する時には有用である可能性がある。
【0017】
ここでも再び、ゴム及び溶媒(A)、項目4/5を、溶媒(B)、ステップ7とは別に導入することが必須である。次に再び、項目6及び8による重合を、隔離されたミクロ混合された状態で順番に行うことができる。
【0018】
溶媒(A)を含む4/5のそして溶媒(B)を含む7の導入を、場所によるか又は時間によるかのどちらかで分離することは重要であるけれども、手順の半連続的又は流入方法におけるそしてまた手順の進行中又は連続的方法の間の4/5とモノマー1〜3の添加の、場所によるか又は時間によるかのどちらかでの分離は重要ではない。いつでも必須かつ重要であることは、項目5による溶媒(A)のそして項目7による(B)の流入の、場所によるか又は時間によるかのどちらかでの分離である。項目6及び8を、場所によるか又は時間によるかのどちらかで順番に実施する時には、巨視的な転化率範囲が重なる可能性があることは当業者には明らかである。
【0019】
99%完全な巨視的な混合を作り出すための混合時間が平均滞留時間の1/5未満である場合には、完全な混合が達成されると見なされる。
【0020】
項目6及び8を含む段階に関する平均滞留時間は2〜16時間である。重合は、有利には60〜120℃で、好ましくは溶媒/ポリマー混合物の沸点で実施する。重合は好ましくは大気圧で実施するが、重合を3barまでの少し過剰な圧力で実施することもまた可能である。
【0021】
当業者は、撹拌されかつ完全に混合された重合手順の間に、殊に粘性条件下で、特に入り口ゾーンの近くで、隔離(segregation)が起きる可能性があることを知っている。所謂マクロ混合領域(area)は、反応器の全体の内容にわたっての完全な統合(integration)と見なされる。ミクロ化された区域(region)においては、異なる組成及び転化率を有する領域が発生することはありそうである。これらは、隔離のミクロ混合された区域と呼ばれる。理論的な像は、それらの外被が更なる重合の過程の間に又は完全混合によって破られて開かれそしてそれらの内容物が次に反応器全体の一般的な内容物への分配のために放出される小さな小袋中の回分式重合の像である。
【0022】
撹拌又は輸送された媒体の粘度は、高々500ポアズの、好ましくは約100ポアズの最大値までの範囲内で変わる。
【0023】
グラフトポリマーの単離は、既知の先行技術に従って溶媒中で沈殿させることによって、水及び/若しくはスチームと共に追い出すことによって、又はフラッシュ蒸発器(flash devolatili(z)sers)(Entspannungsverdampfern)、押出蒸発器、コイルチューブ蒸発器、薄膜蒸発器、ある種の薄層蒸発器、落下膜蒸発器、プレート若しくはストランド蒸発器、スクリュー蒸発器などでポリマー溶融液にまで蒸発させることによって実施する。
【0024】
溶媒及び残留モノマーもまた、先行技術に従って混合及び掻取り装置を備えた撹拌多相気化器又は蒸発器中で除去してポリマー溶融液を生成させることができる。発泡剤及び共留剤例えば、なかんずく、スチームの使用もまた可能である。ポリマーの単離の間に又は重合に先立って、添加剤、安定剤、老化防止剤、充填剤及び潤滑剤を添加することができる。これらは、先行技術に従って重合の始めに出発溶液に又は重合の後でポリマーに添加することができる。
【0025】
驚くべきことに、本発明による方法によって製造された耐衝撃性ABS成形コンパウンドの電子顕微鏡写真は、四酸化オスミウムによる対照化の後で、高い比率の内部グラフト及び大きなゴム相容積を有するグラフトゴム粒子に関する多モードの粒度分布を示す。例えば図1、3、5、7中に示されているようなこのタイプの分布及び構造は、知られているように、有利な加工及び性能特徴を与えることができ、そして例えば、US 5,166,261中に開示されているように、幾つかのプロセスエンジニアリング努力の主題である。これらのグラフトゴム粒子は、<0.1〜10μmの径を有する。配合に依存して、裂かれたゴム薄片を有する“無秩序の”ゴム構造が得られる(図8は、実施例6の生成物、OsOでエッチングされた極薄い切片の透過型電子顕微鏡写真(TEM)、上の部分の倍率12500:1、下の部分の倍率25000:1を示す)。本発明による方法によって生成されたゴム粒子の構造に共通の特徴は、それらの多モードのサイズ分布及びゴム粒子の見かけは“無秩序な”多形の性質である。
【0026】
捩れ振り子試験における剪断弾性率の変化から、大きなゴム相容積及び高い比率の内部グラフトが存在することをまた結論することができる。ゴム相容積は、剪断弾性率曲線上のピークGの大きな面積から見ることができるように、使用されたゴム部分のものの約2倍である。ABS樹脂中のゴム相容積を構成するグラフトゴム/ゴムは、非常に高い効率を有する。剪断弾性率曲線はまた、104℃よりも高い、高いガラス転移温度を明らかにする。
【0027】
グループ(A)中の溶媒は、脂肪族炭化水素例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はそれらのイソ誘導体、脂環式炭化水素例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、アルキルシクロペンタン、アルキルシクロヘキサン、及び芳香族炭化水素例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンである。ヘキサン、トルエン及びエチルベンゼンが好ましい。
【0028】
グループ(B)中の溶媒は、アルコール例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert.−ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、イソオクタノール、シクロヘキサノール;ケトン例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン;エーテル例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチル、ジエチル、ジプロピル又はジイソプロピルエーテル;エステル例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなど;ニトリル例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルである。メチルエチルケトン及びテトラヒドロフランが好ましい。
【0029】
分子量(molar mass)を調節するために、先行技術に従って慣用的に、例えばメルカプタン及びオレフィン、例えばドデシルメルカプタン、シクロヘキセン、ダイマー−トリ−メチルスチレンテルピノレンなどを、重合されているモノマー1〜3に関して0.05〜1.0重量%の量で使用する。
【0030】
ラジカル重合のための適切な開始剤は、分解してラジカルを与えるグラフト活性なペルオキシド及び/又はアゾ化合物である。これらの中に含まれるのは、なかんずく、アゾジイソ酪酸ジニトリル、アゾイソ酪酸アルキル、tert.−ブチルペルエステル例えばtert.−ブチルペルピバレート、ペルオクトエート又はペルベンゾエート又はペルネオデカノエートである。適切なラジカル開始剤はまた、ペルオキシジカーボネート例えばジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート及びジエチルヘキシルペルオキシジカーボネートを含む。これらの開始剤は、モノマー1〜3に関して0.01〜0.5重量%の量で使用する。
【0031】
更にまた、当業者には知られているような、慣用的な添加剤例えば着色剤、酸化防止剤、潤滑剤、安定剤を、重合の間に、又は重合の後でかつ加工の前に添加することができる。
【0032】
グラフトゴム基体のためのゴムとしての使用のために適切なゴムは、低い比率のゲルを含むグラフト可能な可溶性ゴムである。それは、好ましくは、二重結合に関して8〜14%の高いシス−1,2分率を有し、そして50,000〜500,000の(重量平均)分子量を有するポリブタジエン、ランダムな又はブロックの形のそれらのスチレンコポリマー、それらの枝分かれ又は星形ポリマー例えば“溶液”ABS又は“バルク”ABSを製造するために先行技術において使用されるものである。適切なゴムはまた、先行技術から知られているような、エチレン/プロピレンコポリマーを基にした又はアクリレートコポリマーを基にしたゴムである。
【0033】
グループ1中のモノアルケニル芳香族モノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、環置換アルキルスチレン、環置換クロロスチレンである。
【0034】
グループ2中のエチレン性不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリルである。
【0035】
グループ3中の共重合するモノマーは、“ABS”成形コンパウンドの製造のための共重合するモノマーとして当業者には知られている、アクリルモノマー例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert.−ブチル(メタ)アクリレート、フマル又はイタコン酸のエステル、マレイン酸誘導体例えば無水マレイン酸、マレイン酸のエステル、N−置換マレイミド(maleic imides)例えば好ましくはN−シクロヘキシル又はN−フェニルマレイミド、N−アルキルフェニルマレイミド、またアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸又はそれらのアミドである。
【0036】
本発明による方法によって製造されたABS樹脂は、従来の先行技術に従って別の熱可塑性材料と、なかんずく、ポリスチレン−コ−アクリロニトリル、ポリ−α−メチルスチレン−コ−アクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及び芳香族ポリエステル樹脂とコンパウンドすることができる。
【0037】
【実施例】
1.溶媒(A)としてトルエンを使用する回分式方法の手順の実施例
二重結合の11%が1,2−ビニル二重結合でありそして38%が1,4−シス二重結合である259gのポリ−シス−ブタジエン(Buna CB HX 502 C、Bayer Elastomeres France)及び0.26gの2,5−ジ−tert.−ブチルフェノールをN下で60℃で540gのトルエン中に溶かし、そしてこの混合物中に1331gのスチレンを撹拌して入れる。完全な溶解後に、570gのアクリロニトリル及び6.65gのtert.−ドデシルメルカプタンを添加し、そしてこの全体を壁清掃撹拌機を有する6リットルの実験用反応器中で大気圧で75℃に加熱する。
【0038】
ここで、570gのトルエン中の1.2gのtert.−ブチルペルピバレートを撹拌して入れる。60分後に、200℃で蒸発サンプルの固体含量を測定することによって評価された、スチレン及びアクリロニトリルに関する転化率は38重量%であった。ここで、360gのメチルエチルケトン(2−ブタノン)を、4.8gのtert.−ブチルドデシルメルカプタンと一緒に20分の過程にわたって撹拌して入れる。反応混合物の粘度はかなり減少する。ここで温度を82℃に上げ、そして次に別の1080gのメチルエチルケトン(2−ブタノン)を、5.3gのtert.−ブチルペルオクトエート及び2.2gのベンゼンプロピオン酸−3,5ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−オクタデシルエステル(Irganox 1076(R)(Ciba Geigy))と一緒に3時間にわたって撹拌して入れ、そして後重合を90℃で12時間続ける。スチレン及びアクリロニトリルに関する転化率は92%である。粘性溶液を注ぎ出してフィルムを生成させそして乾燥する。OsOでエッチングした極薄い切片の透過型電子顕微鏡写真(TEM)(図1、倍率、それぞれ12500:1及び25000:1)は、高い比率の内部グラフトを有する、0.1〜1.5μmの多モード粒度分布のグラフトゴムを示す。バッチに関する物質収支を実施することによって決定したゴム含量は、13重量%である。PSANマトリックスのスチレン含量は72重量%であり、そしてアクリロニトリル含量は28重量%である。
【0039】
蒸発皿の上で室温で乾燥した物質を粒状化し、そして次に残留揮発性物質をガス抜き押出機中で除去し、そして粒状化を行う。
【0040】
残留量は、120ppmのトルエン、43ppmのスチレン及び1.5ppmのアクリロニトリルである。
【0041】
小さな標準的な標本を製造するための射出成形の条件:
溶融温度:230℃
金型温度:60℃
金型充填時間:2.8sec
射出成形した標本は艶消表面を有していた。
【0042】
表面光沢を測定する反射計の値は18である(Tw=70/20℃)。
【0043】
この熱可塑性ABS樹脂は、流動特性、硬度及びノッチ付き衝撃強さの良好な組み合わせ、並びに薄い自然の色を有する:
Figure 0003564208
2.溶媒(A)としてトルエンを使用する回分式方法によるABSの製造の実施例
320gのポリ−シス−ブタジエン(“Buna CB HX 502 C”、Bayer Elastomeres,France)を、0.32gの2,5−ジ−tert.−ブチルフェノールと一緒にN下で60℃で750gのトルエン中に溶かし、そして次にこの溶液中に921.6gのスチレンを撹拌して入れる。混合が完了した時に、358.4gのアクリロニトリルを撹拌して入れ、そして5.12gのtert.−ドデシルメルカプタンを添加し、そしてこの混合物を壁清掃撹拌機を有する5リットルの実験用反応器中で大気圧で75℃に加熱する。
【0044】
次に、80mlのトルエン中の0.77gのtert.−ブチルペルピバレートを混合物中に撹拌して入れる。1時間の撹拌の過程において粘度がかなり増加する。次に、700mlのメチルエチルケトンを、2.56gのtert.−ドデシルメルカプタンと一緒に、30分の過程で混合物中に滴加しそして撹拌して入れる。反応混合物の粘度は減少する。温度を80℃に上げ、そして次に別の400mlのメチルエチルケトンを、0.96gのtert.−ブチルペルピバレートと一緒に、4時間の過程で混合物中に撹拌して入れる。次に、この混合物を、100mlのメチルエチルケトン及び0.64gのtert.−ブチルペルオクトエートによって再活性化し、そして引き続いてこの混合物を87℃で更に4時間撹拌する。
【0045】
固体含量は31重量%であり、そして収率はスチレン及びアクリロニトリルモノマーを基にして56.5重量%であり、そしてポリマーのゴム含量は30.8重量%である。
【0046】
このポリマー溶液を、32mmの自己清掃同期回転蒸発スクリュー中で160〜240℃で、16gのパラフィンオイル及び1.6gのIRGANOX−1076(R)を添加して溶媒を除去し、そして溶融液を押出しそして粒状化する。
【0047】
これらの粒子を、実験用押出機中で1:1.2の重量比で塊状重合によって製造されたスチレン/アクリロニトリルコポリマーと混合し、そしてこの混合物を射出成形して小さな標準的な標本を製造する。
【0048】
小さな標準的な標本を製造するための射出成形の条件:
溶融温度:230℃
金型温度:60℃
金型充填時間:2.8sec
射出成形した標本は艶消表面を有する。残留アクリロニトリル含量は1.7ppmである。
【0049】
得られた熱可塑性ABS樹脂は、流動性、硬度、ノッチ付き衝撃強さ及び耐熱性の特異な組み合わせ、並びに薄い自然の色及び残留モノマー/アクリロニトリルモノマーの低い含量を有する:
Figure 0003564208
比較の目的のために、塊状法による非水性重合によって製造された商業的に入手できるABS(“Magnum 3502”,DOW)を分析した。試験データを図2中で六角形(hexahedral)図中で比較する。
【0050】
すべての試験データは、特性の優れた一層有利な組み合わせを明瞭に示す。
【0051】
図3は、OsOでエッチングした実施例2による生成物の微小切片のTEM写真を示す。今までには知られていない種類のゴムの多モード多形態の粒度及び形状分布を確認することができる。
【0052】
3.溶媒(A)としてトルエンを使用するABSの“回分式”製造の実施例
260gのポリ−シス−ブタジエン(“Buna CB HX 502 C”、Bayer Elastomeres,France)を、0.26gのジ−tert.−ブチルフェノール(“IONOL”(R))と一緒にN下で60℃で540gのトルエン中に溶かし、そしてこの溶液中に1331gのスチレン及び9.6gのtert.−ドデシルメルカプタンを撹拌して入れる。完全な混合の後で、570gのアクリロニトリルを撹拌して入れ、そしてこの混合物を還流コンデンサーを備えた6リットルの試験容器中でN下で大気圧で75℃に加熱する。可能な場合にはこの容器の壁を清掃すべき馬蹄形撹拌機を60rpmで回転した。
【0053】
1.14gのtert.−ブチルペルピバレートを72gのトルエン中に撹拌して入れる。45分の過程において粘度が増加する。360gのメチルエチルケトン(2−ブタノン)を、1.9gのtert.−ドデシルメルカプタンと一緒に、30分の過程でこの混合物中に撹拌して入れるが、その間に粘度はかなり減少する。温度を80℃に上げ、そして次に別の1080gのメチルエチルケトンを、5.3gのtert.−ブチルペルオクトエートと一緒に、3時間の過程で滴加する。沸騰割合に従って、温度をゆっくりと87℃に上げる。撹拌を8時間続け、そして100gのメチルエチルケトン、22gのパラフィンオイル及び2.2gのCiba−GeigyからのIRGANOX 1076(R)を添加することによってこの混合物を安定化させる。
【0054】
このポリマー溶液を、自己清掃32mm同期回転蒸発スクリュー中で蒸発させ、そして二軸の実験用押出機中で均一化させ、そして生成するストランドを粒状化する。
【0055】
ゴム含量は、赤外試験によって測定すると14.7重量%であった。
【0056】
小さな標準的な標本を製造するための射出成形方法の条件は、実施例2中で述べたようである。
【0057】
射出成形した標本は艶消表面を有し、そして残留アクリロニトリル含量は1.6ppmである。
【0058】
生成する熱可塑性ABS樹脂は、流動性、硬度、ノッチ付き衝撃強さ及び耐熱性の特異な組み合わせ、並びに薄い自然の色及び低い残留モノマー/アクリロニトリル含量を有する:
Figure 0003564208
比較の目的のために、既に実施例2において使用した、塊状法による非水性重合によって製造された商業的に入手できるABS(“Magnum 3502”,DOW)を分析した。試験データを図4中で六角形図中で比較する。
【0059】
すべての試験データは、特性の優れた一層有利な組み合わせを明瞭に示す。
【0060】
図5は、OsOでエッチングした実施例3による生成物の微小切片のTEM写真を示す。今までには知られていない種類のゴムの多モード多形態の粒度及び形状分布を再び確認することができる。
【0061】
4.溶媒(A)としてn−ヘキサンを使用する回分式方法の手順の実施例
706gのスチレンを450gのn−ヘキサン中の192gのポリ−シス−ブタジエン(Buna CB HX 502 C)の溶液に添加する。完全な混合の後で、これを撹拌しながらN下で60℃に加熱し、そして302.5gのアクリロニトリル及び3.5gのtert.−ドデシルメルカプタンを添加しそして5リットルの実験用反応器中で大気圧で加熱する。反応器ジャケットの温度を75℃に上げ、そして60gのn−ヘキサン中の1.0gのtert.−ブチルペルピバレートを添加する。次の100分にわたって粘度がかなり増加する。ここで、300gのメチルエチルケトン(2−ブタノン)を、2.5gのtert.−ドデシルメルカプタンと一緒に、30分の過程にわたって撹拌して入れ、そして反応器壁温度を82℃に上げる。別の900gのメチルエチルケトンを、2.8gのtert.−ブチルペルオクトエートと一緒に、3時間の過程にわたって撹拌して入れ、そして同時に8%のアクリロニトリルを含む535gのn−ヘキサン混合物を短いVigreuxカラムを経由して留去する。同時に、このバッチに60mlの新しいアクリロニトリルを補充する。この混合物を82℃の壁温度で更に12時間撹拌する。この溶液を32mmのZSK同期回転実験用蒸発スクリューで蒸発させる。固体を、Haake,Karlsruheからの円錐形逆回転二軸実験用スクリュー中で117rpmで28%のアクリロニトリル含量を有する410gの塊状で製造されたスチレン−アクリロニトリルコポリマーとの混合物の形で、最終生成物が14重量%のゴム含量を有するように、押出しそして粒状化する。
【0062】
小さな標準的な標本を製造するための射出成形の条件:
溶融温度:230℃
金型温度:60℃
金型充填時間:2.8sec
射出成形した標本は艶消表面を有する。この材料は乳状でそして少し半透明である。
【0063】
IZOD(kJ/m) 23℃ 31
MVI (10/200℃)(cm/10分) 14
樹脂相のガラス転移温度(捩れ振り子試験):108℃
ゴム相のガラス転移温度(捩れ振り子試験):−95℃
5.溶媒(A)としてn−ヘキサンを使用するABSの“回分式”製造の実施例
137.5gのポリ−シス−ブタジエン(“Buna CB HX 502 C”)を、0.14gの2,5−ジ−tert.−ブチルフェノールと一緒に、N下で350gのn−ヘキサン中に溶かし、そして705.6gのスチレンをこの溶液中に撹拌して入れる。完全な混合の後で、302.4gのアクリロニトリル及び3.5gのtert.−ドデシルメルカプタンを添加しそして壁清掃撹拌機を備えた5リットルの実験用反応器中でこの混合物を75℃に加熱する。10分の期間内に、60gのn−ヘキサン中の1.0gのtert.−ブチルペルピバレートを添加する。115分の過程にわたって粘度が増加する。次に、300gのメチルエチルケトンを、2.5gのtert.−ドデシルメルカプタンと一緒に、30分の過程にわたって撹拌しながら添加する。次に、450gのメチルエチルケトン及び49gのアクリロニトリルの混合物を4時間の期間にわたって滴加し、同時にヘキサンをカラムを経由して反応混合物から溜出させる。この4時間の期間内に、活性化の目的のために、50mlのメチルエチルケトン中の2.82gのtert.−ブチルペルオクトエートを添加する。この混合物を引き続いて8時間撹拌し、そして1.5gの安定剤を添加する。
【0064】
反応器内容物の固体含量及び物質収支から、スチレン及びアクリロニトリルを基にした84%の転化率、並びに14%のゴム含量が測定される。この溶液を、16gのパラフィンオイル及び1.6gのIRGANOX 1076(R)と一緒に、同期回転実験用押出機中で試験1において述べたように蒸発させ、そしてこのABSを射出成形して試験標本を製造する。
【0065】
生成する熱可塑性ABS樹脂は、流動性、硬度、ノッチ付き衝撃強さ及び耐熱性の特異な組み合わせ、並びに薄い自然の色、低い残留モノマー/アクリロニトリル含量を有し、そして標本は艶消表面を有する:
Figure 0003564208
比較の目的のために、塊状法による非水性重合によって製造された商業的に入手できるABS(“Magnum 3504”,DOW)を使用した。試験データを図6中で六角形図中で比較する。
【0066】
すべての試験データは、特性の優れた一層有利な組み合わせを明瞭に示す。
【0067】
図7は、OsOでエッチングした本発明による生成物の微小切片のTEM写真を示す。今までには知られていない種類のゴムの多モード多形態の粒度及び形状分布を確認することができる。
【0068】
6.流入方法の手順の実施例
47重量%の固体含量を有する実施例1の試験からの280gのポリマー溶液を、最初に壁清掃撹拌機を有する5リットルの実験用反応器中に入れ、そして50gのメチルエチルケトン(2−ブタノン)で希釈する。このバッチをN下でそして撹拌しながら87℃に加熱し、そして以下の原料を別々にしかし同時に8時間の過程にわたって撹拌しながら量り込む:
Figure 0003564208
【0069】
短時間後に、スチレン及びアクリロニトリルに関する40〜45重量%の準静止転化率が確立される。I及びIIの添加を完了した後で、87℃で更に3時間撹拌を続ける。転化率は62重量%に上がる。ABS樹脂中のゴム分率は26重量%である。溶媒混合物を蒸発皿中で蒸発せしめる。なお残留溶媒及び残留モノマーを含むポリマーを、溶融液中で製造された28重量%のアクリロニトリル含量を有するスチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)樹脂と等しい重量部で混合し、そして残留揮発性物質を、13%のゴム含量を有するABSが得られるように、ガス抜き押出機中で除去する。
【0070】
射出成形された標本を使用して測定した試験結果:
Figure 0003564208
図8は、この生成物のTEM写真であり、そして0.1〜約1.5μmのゴム粒子のための、しかしより薄片の構造を有する多モードの粒度分布を示す。
【0071】
7.継続中の(連続的)方法の手順の実施例
重合装置は、直列に接続された壁清掃撹拌機を有する2つの実験用反応器から成る。第一反応器は3リットルの容量を、そして第二反応器は6リットルの容量を有する。より良い混合のために、組み込みの静止ミキサーを有する外部ループを2つの反応器の各々に装着する。反応器の充填レベルは、反応器ユニットを秤量することによってチェックする。これらの反応器はそれらの全容量の70%で、第一反応器は大気圧で、そして第二反応器は大気圧よりも約0〜1.0bar高い圧力で運転する。これらの反応器を、実施例3における試験からのポリマー溶液で充填する。第一反応器を75℃に、そして第二反応器を100℃に加熱する。
【0072】
以下の計量された流れを、別々の入り口を経由して第一反応器に連続的に供給する:
Figure 0003564208
【0073】
スチレン及びアクリロニトリルに関する静止転化率は42重量%である。
【0074】
これらの反応器中の同じ充填容積を維持しながら、生成物流れを第一反応器から第二反応器へ輸送する。以下のものを連続的に第二反応器中に量り込む:
Figure 0003564208
【0075】
最大容量の66%の充填レベルを維持しながら第二反応器から引き出されるポリマーシロップを、Sulzerタイプの加熱可能な内部に設置された混合要素を有する150mlの熱交換器を連続的に通過させ、そして揮発性成分を、先行技術に従って連続的な多段蒸発カスケード中で除去する。物質収支から、スチレン及びアクリロニトリルに関する81重量%の総括転化率が達成される。ゴム含量は20重量%である。溶融液中で製造された28重量%のアクリロニトリル含量を有するスチレン−アクリロニトリルコポリマーと、混合押出機中で混合することによって、ゴム含量を14重量%に低下させる。
【0076】
射出成形された標本から測定された試験結果:
Figure 0003564208
8.N−フェニルマレイミドとの共重合の実施例
128gのシス−ポリブタジエン、Buna HX 502 Cを、60℃で400gのトルエン中に溶かし、そしてそれに414gのスチレンを添加する。ここで、188gのアクリロニトリル及び1.2gのtert.−ドデシルメルカプタンを撹拌して入れ、そして以下の溶液を1時間の過程にわたって2つの別々の滴加漏斗から75℃で量り込む:
a)0.3gのtert.−ブチルペルピバレートを含む25gのトルエン
b)100gのトルエン、25gのメチルエチルケトン及び23.5gのN−フェニルマレイミド。
【0077】
ここで、スチレン及びアクリロニトリル及びN−フェニルマレイミドに関する転化率は35重量%である。ここで、
c)400gのメチルエチルケトン(2−ブタノン)中の43.7gのN−フェニルマレイミド及び0.4gのtert.−ブチルペルオクトエート
の溶液を、撹拌しながら80℃で4時間の過程にわたって滴加し、そして次に87℃で更に4時間撹拌する。
【0078】
スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミドに関する転化率は77%であり、そしてポリマーのゴム含量は19重量%である。このポリマー溶液を皿の中に注ぎ、乾燥してシートを製造し、そしてこれらを16重量%のゴム含量まで希釈し、そして工業的に塊状製造された28重量%のアクリロニトリルを含むポリスチレン−コ−アクリロニトリルとガス抜き押出機中で混合することによって粒状化する。
【0079】
小さな標準的な標本を製造するための射出成形の条件:
溶融温度:270℃
金型温度:60℃
金型充填時間:3.0sec
捩れ振り子試験において、樹脂マトリックスに関して119℃のガラス転移温度が測定される。
【0080】
IZOD(kJ/m) 23℃ ; 27。
【0081】
9.2−エチル−6−メチル−フェニル−マレイミドとの共重合の実施例
72gのシス−ポリブタジエン、Buna HX 502を、室温で0.07gのジ−tert.−ブチルフェノール及び酸化防止剤としてのIONOL(R)の存在下で150gのトルエン中に溶かし、そして2.6gのtert.−ドデシルメルカプタンを添加する。60℃で148gのアクリロニトリルを撹拌して入れ、そして75℃で10分の過程で
a)18.55mgの2−エチル−6−メチル−フェニル−マレイミド
128mlの2−ブタノン
0.54gのtert.−ブチルペルピバレート
の溶液を添加する。
【0082】
次に、対数関数的に減少する流入速度で4時間の過程で撹拌しながら、
b)34.5gの2−エチル−6−メチル−フェニル−マレイミド
400mlの2−ブタノン及び
0.79gのtert.−ブチルペルピバレート
の溶液を添加し、そして反応温度をゆっくりと87℃に上げる。撹拌を87℃で更に4時間続ける。
【0083】
次に、
c)0.6gのIRGANOX 1076(R)
4.8gのパラフィンオイル及び
10mlの2−ブタノン
の溶液を添加し、そしてこのポリマー溶液を蒸発皿の上に注ぐ。このポリマーを乾燥して室温でシートを製造し、粉砕し、4部のメタノール及び1部の水の混合物中で溶媒及び残留モノマーを除去し、ガス抜き押出機中で後処理し、そして粒状化する。
【0084】
射出成形ブランクを実施例8中で述べたようにして製造した。
【0085】
ガラス転移温度(捩れ振り子試験) : 118℃
−IZOD(kJ/m) 23℃ ; 28。
【0086】
本発明の主なる特徴及び態様は以下の通りである。
【0087】
1. 非水性重合によってゴムで改質された耐衝撃性ABS成形コンパウンドを製造するための方法であって、
(A)脂肪族(C〜C10)、脂環式及び/又は芳香族炭化水素、
並びに
(B)脂肪族(C〜C)又は脂環式アルコール、ケトン、エーテル、エステル及び/又はニトリル
である少なくとも二つの異なる溶媒の助けによって、
1.90〜20重量部のモノアルケニル芳香族モノマー又はこれらの等価物の混合物、
2.10〜50重量部のエチレン性不飽和ニトリルモノマー又はこれらの等価物の混合物並びに
3.必要に応じて0〜30重量部の、1並びに2と共重合することができる更なるビニル、(メタ)アクリル及び/又はマレイン及び/又はフマル及び/又はイタコンモノマー又はこれらの等価物の混合物を、
4.撹拌された溶液中の6〜50重量部の可溶性のゲルを含まない予備成形されたゴムの存在下でラジカル開始によって、
5.18〜200重量部のグループ(A)からの溶媒又は溶媒混合物の
6.重合されるモノマー1〜3の和に関して高々40重量%のモノマー転化率まで重合させ、
7.18〜450重量部のグループ(B)からの溶媒又は溶媒混合物を項目5のものとは別の時間に又は別の場所で添加し、そして
8.ラジカル的に開始された重合を、完全な混合をしながら30〜99重量%の、重合されているモノマー1〜3の和に関するモノマー転化率までの更なる段階継続する
ことを特徴とする方法。
【0088】
2. 重合をバッチ方法として実施することを特徴とする、上記1記載の方法。
【0089】
3. 溶媒(A)を含む項目4/5そして溶媒(B)を含む項目7のための物理的に分離された入り口を使用することによって、重合を流入方法として半連続的に実施することを特徴とする、上記1記載の方法。
【0090】
4. 溶媒(A)を含む項目4/5そして溶媒(B)を含む項目7のための物理的に分離された入り口を使用することによって、重合を進行中の(連続的)方法として実施することを特徴とする、上記1記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生成物の切片の透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の生成物と従来の生成物の試験データ比較する六角形図である。
【図3】本発明の生成物の切片の透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の生成物と従来の生成物の試験データ比較する六角形図である。
【図5】本発明の生成物の切片の透過型電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の生成物と従来の生成物の試験データ比較する六角形図である。
【図7】本発明の生成物の切片の透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】本発明の生成物の切片の透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (1)

  1. 非水性重合によってゴムで改質された耐衝撃性ABS成形コンパウンドを製造するための方法であって、
    (A)脂肪族(C4〜C10)、脂環式及び/又は芳香族炭化水素、並びに
    (B)脂肪族(C1〜C8)又は脂環式アルコール、ケトン、エーテル、エステル及び/又はニトリルである少なくとも二つの異なる溶媒の助けによって、
    1.90〜20重量部のモノアルケニル芳香族モノマー又はこれらの等価物の混合物、
    2.10〜50重量部のエチレン性不飽和ニトリルモノマー又はこれらの等価物の混合物並びに
    3.必要に応じて0〜30重量部の、1並びに2と共重合することができる更なるビニル、(メタ)アクリル及び/又はマレイン及び/又はフマル及び/又はイタコンモノマー又はこれらの等価物の混合物を、
    4.撹拌された溶液中の6〜50重量部の可溶性のゲルを含まない予備成形された二重結合に関して8から14%の高いシス−1,2分率を有するポリブタジエン又はそれらのスチレンコポリマーの存在下でラジカル開始によって、
    5.18〜200重量部のグループ(A)からの溶媒又は溶媒混合物の
    6.重合されるモノマー1〜3の和に関して高々45重量%のモノマー転化率まで重合させ、
    7.18〜450重量部のグループ(B)からの溶媒又は溶媒混合物を項目5のものとは別の時間に又は別の場所で添加し、そして
    8.ラジカル的に開始された重合を、完全な混合をしながら30〜99重量%の、重合されているモノマー1〜3の和に関するモノマー転化率までの更なる段階継続する
    ことを特徴とする方法。
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