JP3563667B2 - 信号復調回路及びそれを用いた光信号受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リモートコントロール送信器(以下「リモコン」という)等からの赤外線信号を復調する信号復調回路及びこれを用いた光信号受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
赤外線などの光信号を利用したデータ通信用素子としては、家電製品に使用されている最も一般的なリモコンや、パソコン機器周辺に使用されるIrDAに準拠した光空間伝送素子などが挙げられる。これら機器の使用環境においては必要とされる信号光の他に、太陽光や照明器具からの外乱ノイズ光が存在しており、これら外乱ノイズ光が赤外線受信装置に入力され誤動作出力が発生された場合、赤外線受信装置を用いた機器の動作にも誤動作などの影響を与えてしまう。ここでは、外乱ノイズ光入射時に出力を不感(誤動作防止)とする信号復調回路及び、それを用いた赤外線受信装置の回路構成について述べる。
【0003】
従来の赤外線受信装置についてその回路ブロック図を図4に、またこの回路ブロック図における各部の動作波型図を図5に示す。まず、図4について説明すると、図中のフォトダイオードPDで赤外線入力信号を電気信号に変換し、その電気信号をアンプA1、A2により増幅し、更に入力信号の搬送波周波数を中心周波数foとするバンドパスフィルタBPFにより強度変調する。この強度変調された出力はローパスフィルタLPFに入力され、信号検出のための検波レベルとして出力されて、前記バンドパスフィルタBPFの出力とともに比較器COMP1に入力される。
【0004】
比較器COMP1とコンデンサC2において前記ローパスフィルタLPFの出力である検波レベルdと前記バンドパスフィルタBPFの出力信号cを比較積分し、第2の比較器COMP2において波形整形を行い、その信号を出力端子OUTに出力する。
【0005】
図5は図4における各部の信号波形図である。図5に示すように、送信されて来る赤外線入力信号をフォトダイオードPDで受信した赤外線入力信号は、aに示すような波形になる。この赤外線入力信号aをアンプA1、A2で増幅するとアンプの出力波形はbに示すような波形となり、更にバンドパスフィルタBPFで強度変調を行うとcに示すような波形となる。この波形cをローパスフィルタLPFに入力すると、その出力波形はdに示すような波形になり、検波レベルを与える信号になる。この検波レベルになる波形dと前記信号波形cを第1の比較器COMP1で比較し、その比較出力をコンデンサC2で積分すると、その出力波形は、eに示すような積分波形になり、この積分波形eを第2の比較器COMP2を介し更にトランジスタで波形整形を行うと、出力端子OUTには赤外線入力信号aに対応した出力波形5fが導出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来例で説明した図4に示す信号復調ブロックでは、ローパスフィルタLPFにおいて信号検出のための検波レベルを設定し、インバーター蛍光灯などの外乱光ノイズ成分に対しては上記検波レベルにより、ノイズ成分のピークを捉えてノイズ成分を除去するよう動作している。このため検波レベルを設定するためのローパスフィルタの時定数については微調整が必要となる。つまり、時定数を大きくしていくと信号成分に対して検波レベルが殆ど変化しないため受信感度が高くなり受信距離が延びることになるが、ノイズ成分に対してはノイズ振幅のピークを捉えられないため、ノイズ成分を出力端子OUTに出力してしまう誤動作の頻度が高くなる。
【0007】
逆に、ローパスフィルタLPFの時定数を小さくしていくと、ノイズ成分振幅のピークを捉えることができるため、ノイズによる誤動作を防止できるが、信号成分に対しても検波レベルが影響を受けるため、受信感度が下がり受信距離が低下することになる。
【0008】
インバーター蛍光灯などの外乱光ノイズ成分は、信号増幅ブロックにおいて信号と同様に増幅されて、信号復調ブロックに入力されるため、外乱光の照度が大きくなり、ノイズ振幅が大きくなると、ローパスフィルタLPFの出力の検波レベルがノイズのピークを捉えることことができなくなるため、ノイズ成分が出力端子OUTに誤動作信号として出力されてしまうという問題があった。
【0009】
この赤外線受信装置の外乱光ノイズによる誤動作は、赤外線受信装置を用いた家電製品自体の誤動作を招く可能性もあるため、家電製品側のマイコンで誤動作対策を行う必要があり、設計が複雑化するとともに、誤動作に対応するため常にマイコンを動作状態にする必要があり、製品の省電力化の妨げとなるなどの問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の信号復調回路は、入力信号の検波レベルを入力信号の振幅に応じて設定する検波レベル設定回路と、該検波レベル設定回路で設定した検波レベルと前記入力信号とを比較しその差信号を積分して出力信号を導出する比較積分回路を設けた信号復調回路において、
入力ノイズの振幅の平均値を検出する平均値検出回路と、前記入力ノイズの振幅の下限値を検出する下限値検出回路と、前記入力ノイズの振幅の平均値と下限値の差信号を検出する比較回路とを備え、該比較回路で検出した差信号に基づき前記検波レベル設定回路の検波レベルを調整することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の光信号受信装置は、 光信号を受光し電気信号に変換する光電変換素子と、該光電変換素子から出力する電気信号を増幅する振幅回路と、該振幅回路で増幅した電気信号を強度変調するバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタの出力を入力信号とする上記信号復調回路を設けたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係わる信号復調回路の等価回路ブロック図であり、図2はその各部の動作波形図である。図1において従来例と異なる部分は、長時間ノイズ処理用ブロックKが付加されている点と大入力信号検出回路Lが設けられている点である。長時間ノイズ処理ブロックKにおいては、入力端子INより入力された入力ノイズは、入力振幅の下限値を出力するための下限ピークホールドPHLD及び、入力振幅の平均値を検出するためのローパスフィルタLPF1に入力される。そして、この下限ピークホールドPHLD及びローパスフィルタLPF1の出力値は電圧差電流変換回路V/Iに入力され、その入力電圧差(平均値−下限値)に応じた充電電流を発生させてコンデンサC3を充電する。
【0013】
コンデンサC3に充電され発生した電圧は電圧電流変換回路V/Iにおいてリニアに電流変換され、信号検出用のローパスフィルタLPFから電流を引き抜いて検波レベルを下げるようシフトさせていく。ローパスフィルタLPFから出力される検波レベルは、充電電流制御回路ICJに入力され、前記ノイズ振幅下限値と比較されて検波レベルがノイズ振幅の下限値に達すると電圧差電流変換回路V/Iを不作動にしてコンデンサC3への充電を切るようになっている。このようにして検波レベルが入力ノイズ振幅の下限値を捉えるようになる。
【0014】
入力端子INより入力された入力信号とローパスフィルタLPFで生成された検波レベルは後段の入力オフセットを持つ比較積分器COMP1に入力され、入力信号と検波レベルの差が該オフセット電圧値以下になると、比較積分器COMP1は検出・復調動作しないため出力端子は不感状態となり、入力ノイズによる出力端子への誤動作は発生しない。
【0015】
次に大入力信号検出回路Lを前記信号復調回路に付加したときの動作について説明する。大入力信号検出回路Lは入力ノイズと前記検波レベルを比較してコンデンサC4を充電し、コンデンサC4に発生した電圧により予め定める電流値をローパスフィルタLPFより引き抜いて検波レベルをある値にシフト固定するように働く。ここで、大入力信号検出回路Lの時定数は前記ローパスフィルタLPF1からの時定数より短く設定されているため信号入力時点から大入力信号検出回路Lの方が長時間ノイズ処理回路(PHLDやLPF1、V/、V/より成る)よりも早く動作する。また、前記LPFから引き抜く電流値は検波レベルが信号の平均値からある電圧値低下した時に長時間ノイズ処理回路の出力電流値つまり電圧電流変換回路V/Iの出力電流値に略等しく設定される。
【0016】
よって、大入力信号時には大入力信号検出回路Lにより設定される検波レベルで一旦保持され、長時間ノイズ処理回路の出力電流値が、大入力信号検出回路Lの出力電流値を越えた時点から、検波レベルは再び、ノイズ振幅下限に向かって下がっていくことになる。
【0017】
次に、無信号検出回路Mを前記信号復調回路に付加した時の動作について説明する。無信号検出回路Mは入力ノイズが消滅した時に、コンデンサC3から電流を引き抜いて強制的に放電を行うことでリセットするようにし、ローパスフィルタLPFの出力である検波レベルが初期状態(最高検出感度状態)に復帰する時間を短くするよう動作する。
【0018】
図2は前記信号復調回路の各部における動作波形を示す図である。この図2に示す各部の動作波形を用いて前記信号復調回路の動作をさらに詳細に説明する。入力端子INに入力される入力ノイズAの下限値を捉える下限ピークホールドPHLD回路の出力はBの波形となり、入力ノイズAの平均値を検出するローパスフィルタLPF1の出力はCの波形となる。これらの波形に基づいて制御されるローパスフィルタLPFより出力される検波レベルはDの波形となる。
【0019】
この検波レベルの波形Dにおいて、ノイズ入力があるとその時点から検波レベルの波形Dは大入力信号検出回路Lによりノイズ入力信号の振幅に合わせてレベルVoから下がり始め、ある値Vで一旦その値が保持される。さらにノイズ入力が継続すると、長時間ノイズ処理回路の出力によってローパスフィルタLPFの検波レベルは再度下がり始め、入力ノイズ波形Aの振幅の下限(レベルV)まで下がり、無信号検出回路Mによりノイズ消滅が検出されるとコンデンサC3の充電を放電させて、初期レベルまで速やかに復帰する。
【0020】
Eの波形は波形Aで示す前記入力ノイズと波形Dで示す検波レベルを入力オフセットを持つ比較積分器COMP1で比較し、積分出力したのもである。波形Eにおいて、波形Aで示す入力ノイズと波形Dで示す検波レベルの差電圧が比較積分器COMP1が持つ入力オフセット電圧値より小さくなると、比較積分器COMP1は検出感度を持たないため積分は行われなくなり、出力波形Fも反転復帰してノイズによる誤動作が無くなる。ノイズ入力から出力反転復帰までの時間即ち不感状態への移行時間Tは、必要信号のブロック長を踏まえて通常数百msecに設定される。
【0021】
一方、端子INに入力される所望入力信号はコード化されているので、図5に示すように信号のオフ期間(波形の無い期間)が存在し、ノイズのようにオフ期間無しで継続することはない。よって、上述したローパスフィルタLPF1、比較器COMP1、COMP2のみ動作するため、信号に応じて図4のe、fに示すように所望の信号出力が得られる。ノイズ入力の場合は、図2の(3)に示すように最初に擬似パルスが出力されるが、その後はリセットされて不感状態となるので、ノイズの影響は生じない。また、ノイズが入力された状態で信号入力がある場合、送信機を受信機に近づけて信号振幅がノイズ振幅より大きくなると、ノイズ振幅のピークを捉えた検波レベルより大きい信号部分についてローパスフィルタLPF1、比較器COMP1、COMP2のみ動作して正常に信号コードを再生できる。図6はこの様子を示す波形図である。同図において、Nはノイズ入力、Sは信号入力、Dは検波レベル、Tは図2で示すノイズ入力初期における誤動作パルス、O1、O2、O3は再生された信号(コード信号)である。
【0022】
これらを具体的な例で説明する。今、エアコン(空気調和機)の動作中に蛍光灯を点灯すると、エアコンに搭載のリモコン受信器には光ノイズ信号が入力され、リモコン受信器から図2の▲3▼のパルスが出力されるが、その後はノイズに対して不感となり、引き続くノイズ入力によりリモコン(及びそれを搭載したエアコン)が誤動作することはない。次に、エアコンを制御するべく、リモコンよりリモートコントロール信号を送信すると、リモコン受信器は正規の動作を行ない、リモートコントロール信号を正しく再生し、その信号に従ってエアコンを制御する。
【0023】
第3図に本発明の信号復調回路を用いた光信号受信装置の一実施形態を示す。従来例と異なる点は上述する本発明に示す信号復調回路を用いた点である。光信号受信装置の動作については、従来例で説明した通りであり、信号復調回路の動作は上述した通りであるので説明を省略する。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、信号復調回路において、その検波レベルに入力ノイズの振幅の下限値を精度良く捉えることができるので、その検波レベルを用いて入力ノイズを正確に捉え、入力ノイズにより出力に発生する誤動作を高精度に防止することができる。また、信号検出用及び、長時間ノイズ処理用の2ブロック構成とすることで高感度且つ出力誤動作のノイズ耐量の高い信号復調回路を容易に設計することができる。
【0025】
また、本発明の信号復調回路を赤外線等の光信号受信装置に用いることにより、外乱光ノイズ入力による出力端子の誤動作を防止できるため、家電機器等におけるシステムの設計が簡略化され、且つ光信号受信装置の不要誤動作パルスにマイコンなど周辺機器の動作を抑制でき、システムの低消費電力化にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の信号復調回路のブロック図である。
【図2】本発明の信号復調回路の各部動作波形を示す図である。
【図3】本発明の信号復調回路を備えた赤外線受信装置のブロック図である。
【図4】従来の光信号受信装置のブロック図である。
【図5】従来の光信号受信装置の各部波形を示す図である。
【図6】本発明の信号復調回路の各部の動作波形を示す図である。
【符号の説明】
A1,A2 アンプ
C1〜C4 コンデンサ
BPF バンドパスフィルタ
LPF,LPF1ローパスフィルタ
PHLD 下限ピークホールド
COMP1 比較器
COMP2 比較器
ICJ 充電電流制御回路
V/I 電圧電流変換回路
V/I 電圧電流変換回路
L 大入力信号検出回路
M 無信号検出回路

Claims (9)

  1. 入力信号の検波レベルを入力信号の振幅に応じて設定する検波レベル設定回路と、該検波レベル設定回路で設定した検波レベルと前記入力信号とを比較しその差信号を積分して出力信号を導出する比較積分回路を設けた信号復調回路において、
    入力ノイズの振幅の平均値を検出する平均値検出回路と、前記入力ノイズの振幅の下限値を検出する下限値検出回路と、前記入力ノイズの振幅の平均値と下限値の差信号を検出する比較回路とを備え、該比較回路で検出した差信号に基づき前記検波レベル設定回路の検波レベルを調整することを特徴とする信号復調回路。
  2. 前記検波レベル設定回路および平均値検出回路はローパスフィルタで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の信号復調回路。
  3. 前記入力ノイズの振幅に応じて前記検波レベル設定回路の検波レベルの調整速度を変化させる検波レベル調整速度変化手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の信号復調回路。
  4. 前記検波レベル設定回路で設定した検波レベルが入力ノイズの振幅の下限値になったとき比較積分回路が不感状態になることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の信号復調回路。
  5. 前記比較積分回路にオフセット電圧を設定し、入力ノイズの振幅と、入力ノイズの下限値の差が前記オフセット電圧の値以下になると復調動作を停止させるようにしたことを特徴とする請求項請求項1〜4のいずれかに記載の信号復調回路。
  6. ノイズが入力してから、入力ノイズの振幅と前記検波レベルとの差が前記オフセット電圧の値以下になるまでの時間を予め設定できるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の信号復調回路。
  7. 前記検波レベルと入力ノイズを比較して積分し、その値より大信号の入力を検出する大入力信号検出回路を設け、該大入力信号検出回路により、前記検波レベルを予め定めたオフセットで固定するようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の信号復調回路。
  8. 前記入力ノイズがなくなったことを検出する無信号検出回路を設け、該無信号検出回路により、検波レベルを強制的に初期レベルに戻すリセット回路を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の信号復調回路。
  9. 光信号を受光し電気信号に変換する光電変換素子と、該光電変換素子から出力する電気信号を増幅する振幅回路と、該振幅回路で増幅した電気信号を強度変調するバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタの出力を入力信号とする、請求項1〜8のいずれかに記載の信号復調回路を設けたことを特徴とする光信号受信装置。
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