JP3563457B2 - レーザ勾配設定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、各種土木工事を行う際の基準線を設定するレーザ勾配設定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
土木工事をする場合に水平基準線、或は水平に対し所要角度傾斜した基準線が必要となるが、斯かる基準線を設定するものにレーザ勾配設定装置がある。
【0003】
例えば、下水工事にコンクリートパイプを埋設する場合、屈曲のない様、更に所要の角度で傾斜させなければならない。
【0004】
斯かるコンクリートパイプは上下水道等、液状物を流す為の流路として供され、或る程度の勾配をもって、更に屈曲のない様に設置される。埋設されたコンクリートパイプが上下、左右に蛇行していると、前記液状物が滞留し、詰まったり或は地中に漏出する事態となり、流路としての機能を果たせなくなる。従って、前記コンクリートパイプ埋設には、適性な基準線を必要とする。
【0005】
斯かる基準線として、レーザ光線は都合がよく、遠距離であっても糸の様に弛むことなく、作業中の障害になることもなく、更に作業、コンクリートパイプ等と干渉して切断されることもない。
【0006】
前記レーザ勾配設定装置は、レーザ光を発してコンクリートパイプを設置する場合の基準線を形成する。
【0007】
土中にコンクリートパイプ等を埋設する場合の作業として代表的なものに、地面を掘下げ、掘下げた溝に順次コンクリートパイプを設置埋設し、埋戻すオープンカット法がある。
【0008】
以下に図5を参照してオープンカット法を説明する。
【0009】
レーザ勾配設定装置1は水平又は勾配を設けた方向にレーザ光線を発するものであり、レーザ光線を水平と合致させれば水平基準線に、レーザ光線を所要角度傾斜させれば勾配を有する基準線となる。
【0010】
一定の直線区間毎に、コンクリートパイプ2を埋設する始点にコンクリートパイプを設置する深さ以上の縦穴3を掘削し、該縦穴3に連続する埋設溝4をコンクリートパイプを設置する深さ以上に掘削する。前記レーザ勾配設定装置1は前記縦穴3内に設置され、レーザ光線を勾配θで発し、基準レーザ光線Lを形成する。前記コンクリートパイプ2は軸心が該基準線Lに合致する様、前記埋設溝4内に仮台5を介して設置される。
【0011】
コンクリートパイプ2の軸心が前記基準レーザ光線Lに合致すると、前記埋設溝4を埋戻してコンクリートパイプ2を埋設する。
【0012】
前記レーザ勾配設定装置1は水平方向の位置が正確に設定されなければならない。従来、レーザ勾配設定装置1の水平方向の位置設定は、前記縦穴3の上方に支持台6を設け、該支持台6にトランシット7を設置し、該トランシット7より下げ振り8を垂下させ、既知の点10を設定する。更にレーザ勾配設定装置を縦穴3に設置し、前記下げ振り8を該レーザ勾配設定装置の中心に合致させ、更に前記レーザ勾配設定装置1から下げ振り9を垂下させ、該下げ振り9を前記既知の点10に合致させることで行っている。
【0013】
図6、図7により従来のレーザ勾配設定装置について説明する。
【0014】
レーザ投光機11は水平軸12を中心に傾動可能にスイングフレーム13に設けられ、又該スイングフレーム13は図示しない本体フレームに鉛直軸14を中心に水平方向に回動可能に設けられている。又前記水平軸12にチルトレバー15が傾動自在に設けられ、該チルトレバー15には電気的出力が得られる電気気泡管等のチルトセンサ16が設けられている。
【0015】
前記スイングフレーム13に連結して水平角調整機構17が設けられ、前記レーザ投光機11に連結して垂直角調整機構18が設けられ、前記チルトレバー15に連結してチルトセンサ傾動機構19が設けられている。該チルトセンサ傾動機構19は前記レーザ投光機11の支持体に設けられ、レーザ投光機11と一体に傾動する。
【0016】
前記水平角調整機構17は、水平方向に設けられた回転自在の第1スクリュー20と、該第1スクリュー20に螺合する第1スライドナット21、該第1スライドナット21に植設され、前記スイングフレーム13に係合するピン23、前記第1スクリュー20に嵌着された従動ギア24、該従動ギア24に駆動ギア25を介して連結された水平角調整モータ26から構成されている。
【0017】
前記垂直角調整機構18は、水平方向に設けられた回転自在の第2スクリュー27と、該第2スクリュー27に螺合する第2スライドナット28、該第2スライドナット28に植設され、前記レーザ投光機11に係合するピン29、前記第2スクリュー27に嵌着された従動ギア30、該従動ギア30に駆動ギア31を介して連結された垂直角調整モータ32から構成されている。
【0018】
前記チルトセンサ傾動機構19は、垂直方向に設けられた回転自在の第3スクリュー33と、該第3スクリュー33に螺合する第3スライドナット34、該第3スライドナット34に植設され、前記チルトレバー15に係合するピン35、第3スクリュー33に嵌着された従動ギア36、該従動ギア36に駆動ギア37を介して連結された勾配設定モータ38から構成され、該勾配設定モータ38としてパルスモータが用いられている。
【0019】
図7に於いて、39はレーザ光発光体を示し、該レーザ光発光体39からのレーザ光はコリメートレンズ40を透過し平行光線となって射出される。
【0020】
図8、図9に於いて従来のレーザ勾配設定装置の作動、基準線が水平に対して所要の角度θ傾斜する様設定する場合について説明する。
【0021】
レーザ勾配設定装置を設置し、レーザ勾配設定装置の上面に設けた棒気泡管(図示せず)により水平となる様調整する。パイプ等では円周方向に移動して行う。
【0022】
次に、前記レーザ投光機11が水平な状態で設定傾斜角θに相当するパルス数を前記勾配設定モータ38に入力して勾配設定モータ38を駆動し、前記駆動ギア37、従動ギア36、第3スクリュー33を介して第3スライドナット34を上方向に移動させ、前記チルトレバー15を設定角度θの逆方向に傾斜させる。
【0023】
前記垂直角調整モータ32を駆動し、前記駆動ギア31、従動ギア30、第2スクリュー27を介して第2スライドナット28を移動させ、ピン29を介してレーザ投光機11及びチルトレバー15を一体に傾動させる。前記チルトセンサ16が検出する角度が基準レベルになる迄、前記垂直角調整モータ32を駆動する。基準レベルとは電気的にゼロ値とした設定値である。
【0024】
前記チルトセンサ16が基準レベルとなった状態で前記レーザ投光機11が設定角θに傾斜設定される。又角度設定後、前記従動ギア24を駆動し、前記水平角調整機構17によりレーザ投光機11から発せられるレーザ光の水平方向の設定を行う。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のレーザ勾配設定装置では、前記チルトレバー15の角度設定はパルスモータによるオープンループとなっている。斯かるパルスモータによるオープンループ制御は、比較的簡単な構成で位置又は回転数を制御できるという利点があるが、パルスモータが入力したパルス数に比例したパルスモータの回転があり、或は回転伝達経路での誤差のないことが前提であり、オイル切れ、ごみ等によりパルスモータの円滑な動作が阻害されると、脱調現象を起こし、パルス数に対応した回転数とならない。或は、減速機及びスクリューのバックラッシュがあるとパルスモータの動作が正確に伝達されない。この為、パルス数に依存する従来のレーザ勾配設定装置では傾斜角の設定が正しく行われない場合がある。更に、生じた誤差を修正する機能がないので誤差が累積するという不都合もある。
【0026】
これに対して、近年ではマンホール間の距離が長くなる傾向があり、更に工事の際の勾配精度の要求も強くなっているので、従来のレーザ勾配設定装置では斯かる精度向上の要求に対応できないという問題があった。
【0027】
本発明は斯かる実情に鑑み、レーザ基準レベル設定に於ける傾斜角設定の精度の向上を図るものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、チルトセンサの傾動に対応して回転するエンコーダを設け、該エンコーダが検出する傾斜角が設定勾配に一致する様前記チルトセンサを傾斜させ、該チルトセンサが水平になる様該チルトセンサをレーザ投光機と一体に傾動させる様構成したレーザ勾配設定装置に係り、又レーザ投光機を傾動可能に設けると共に該レーザ投光機に対して傾動可能にチルトセンサを設け、該チルトセンサと対応して傾動するエンコーダを設け、前記チルトセンサにチルトセンサ傾動機構を連結し、又前記レーザ投光機に垂直角調整機構を連結し、前記チルトセンサと前記エンコーダからの信号で前記チルトセンサ傾動機構、垂直角調整機構を駆動する制御器を設けたレーザ勾配設定装置に係るものである。
【0029】
【作用】
チルトセンサ傾動機構により先ずエンコーダをチルトセンサと一体に、前記エンコーダからの信号が設定値と合致する様傾斜させ、次にチルトセンサの値が水平を検出する位置まで垂直角調整機構によりレーザ投光機を傾動させる。
【0030】
【実施例】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施例を説明する。
【0031】
図1、図2中、図6、図7中で示したものと同一のものには同符号を付して有る。
【0032】
レーザ投光機11は水平軸12を中心に傾動可能なスイングフレーム13に設けられ、該スイングフレーム13は図示しない本体フレームに鉛直軸14を中心に水平方向に回動可能に設けられている。又、前記水平軸12に傾動盤42が設けられ、該傾動盤42にチルトレバー15が連結され、又前記傾動盤42には水平状態を示す様気泡管等のチルトセンサ16が設けられている。又、前記水平軸12にはエンコーダ43が設けられ、該エンコーダ43は前記水平軸12の回転角、即ち前記レーザ投光機11の傾斜角を検出する。又、前記エンコーダ43からの信号は図示しない制御器に入力される。
【0033】
前記スイングフレーム13に連結して水平角調整機構17が設けられ、前記レーザ投光機11に連結して垂直角調整機構18が設けられ、前記チルトレバー15に連結してチルトセンサ傾動機構19が設けられている。該チルトセンサ傾動機構19は前記レーザ投光機11の支持体に設けられ、レーザ投光機11と一体に傾動する。
【0034】
前記水平角調整機構17は、水平方向に設けられた回転自在の第1スクリュー20と、該第1スクリュー20に螺合する第1スライドナット21、該第1スライドナット21に植設され、前記スイングフレーム13に係合するピン23、前記第1スクリュー20に嵌着された従動ギア24、該従動ギア24に駆動ギア25を介して連結された水平角調整モータ26から構成されている。
【0035】
前記垂直角調整機構18は、水平方向に設けられた回転自在の第2スクリュー27と、該第2スクリュー27に螺合する第2スライドナット28、該第2スライドナット28に植設され、前記レーザ投光機11に係合するピン29、前記第2スクリュー27に嵌着された従動ギア30、該従動ギア30に駆動ギア31を介して連結された垂直角調整モータ32から構成されている。
【0036】
前記チルトセンサ傾動機構19は、垂直方向に設けられた回転自在の第3スクリュー33と、該第3スクリュー33に螺合する第3スライドナット34、該第3スライドナット34に植設され、前記チルトレバー15に係合するピン35、第3スクリュー33に嵌着された従動ギア36、該従動ギア36に駆動ギア37を介して連結された勾配設定モータ38から構成されている。
【0037】
前記図示しない制御器は前記水平角調整モータ26、垂直角調整モータ32、勾配設定モータ38を制御駆動する。
【0038】
以下パイプ等の設置について、基準線を水平に対して所要の角度θ傾斜する様設定する場合について説明する。
【0039】
レーザ勾配設定装置を設置し、レーザ勾配設定装置の上面に設けた棒気泡管(図示せず)によりパイプの円周方向に対して水平となる様調整する。
【0040】
次に、前記レーザ投光機11が前記制御器(図示せず)に設定傾斜角θを入力し、該制御器によりに前記勾配設定モータ38を駆動する。前記駆動ギア37、従動ギア36、第3スクリュー33を介して第3スライドナット34を上方向に移動させ、前記チルトレバー15を設定角度θの逆方向に傾斜させる。該チルトレバー15は前記傾動盤42と共に一体に回転し、該傾動盤42の回転角はエンコーダ43により検出され、前記図示しない制御器にフィードバックされる。前記エンコーダ43の検出角度が設定角度となった時に前記勾配設定モータ38を停止する。
【0041】
前記垂直角調整モータ32を駆動し、前記駆動ギア31、従動ギア30、第2スクリュー27を介して第2スライドナット28を移動させ、ピン29を介してレーザ投光機11及びチルトレバー15を一体に傾動させる。前記チルトセンサ16が検出する角度が0になる迄、前記垂直角調整モータ32を駆動する。
【0042】
前記制御器が前記チルトセンサ16からの基準レベルを検知したところで前記垂直角調整モータ32を停止し、前記レーザ投光機11から発せられるレーザ光が設定角θに設定される。又角度設定後、前記従動ギア24を駆動し、前記水平角調整機構17によりレーザ投光機11から発せられるレーザ光の水平方向の設定を行う。
【0043】
尚、レーザ勾配設定装置で一度勾配設定を完了した後、更にレーザ勾配設定装置を設置する場合、レーザ投光機を必ずしも水平に設定し直す必要はない。本体がどの様な角度に設置されても、以前に設定した角度はエンコーダにより得られる為、新たに設定した角度との差が演算により求められ、チルトセンサが基準レベルに達した時、新たに設定した角度になる。
【0044】
尚、前記勾配設定モータ38はパルスモータ、DCモータ、サーボモータ等のモータが使用可能であることは言う迄もなく、更に前記エンコーダ43は傾動盤42に機械的に連結されていればよく、水平軸12に軸接手を介して連結しても、或はギア等の動作伝達手段を介して連結してもよい。又、前記エンコーダ43は実際の傾斜角を検出するので、レーザ勾配設定装置の所要箇所に設けた勾配設定表示器に勾配を表示する様にしてもよい。又、前記チルトセンサ16は傾動盤42に限らずチルトレバー15或は、チルトレバー15と一体に傾動する箇所に設けられればよい。
【0045】
更に、前記エンコーダ43は光学式、磁気式のいずれであってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、レーザ投光機の傾斜を直接検出して検出結果が設定角となる様制御するクローズドループ方式であるので、機構側の誤差要因が影響することなく、高精度の勾配設定が可能となり、更に繰返し使用しても累積誤差が生じないという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す要部側面図である。
【図2】同前一実施例の一部を破断した要部側面図である。
【図3】(A)(B)(C)は本実施例の作動説明図である。
【図4】本実施例の作動のフローチャートである。
【図5】レーザ勾配設定装置によるオープンカット法の説明図である。
【図6】従来例を示す要部側面図である。
【図7】該従来例の一部を破断した要部側面図である。
【図8】(A)(B)(C)は該従来例の作動説明図である。
【図9】該従来例の作動のフローチャートである。
【符号の説明】
1 レーザ勾配設定装置
11 レーザ投光機
15 チルトレバー
16 チルトセンサ
17 水平角調整機構
18 垂直角調整機構
19 チルトセンサ傾動機構
26 水平角調整モータ
30 従動ギア
32 垂直角調整モータ
43 エンコーダ

Claims (2)

  1. 鉛直軸を中心に回動可能なスイングフレームと、該スイングフレームに水平軸を中心に傾動可能に設けられたレーザ投光機と、前記水平軸を中心に前記レーザ投光機とは独立して回動可能に設けたチルトセンサと、前記レーザ投光機を傾動させる垂直角調整手段と、前記レーザ投光機に設けられ前記チルトセンサを傾動させるチルトセンサ傾動手段と、前記レーザ投光機と前記チルトセンサとの傾斜角を検出するエンコーダを具備することを特徴とするレーザ勾配設定装置。
  2. 勾配設定の表示器を有し、該表示器にエンコーダの検出する傾斜角を勾配として表示する請求項1のレーザ勾配設定装置。
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