JP3563273B2 - 回路基板用キャビネット - Google Patents

回路基板用キャビネット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回路基板を装着するためのシェルフが積層される回路基板用キャビネットに関し、特に熱遮断機能を有する回路基板用キャビネットに関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の回線を接続する通信装置は、回線数などに応じた多数の回路基板を収納する必要がある。このような通信装置は、通常、キャビネット構造となっている。
【0003】
図10は従来の通信装置のキャビネットの概略構成を示す分解斜視図である。キャビネット60の枠体61の最下部には、電源ユニット62が設けられている。枠体61には、複数のシェルフ63(図では1個のみ図示)が縦方向に並べて挿入される。シェルフ63には、多数の回路基板64が平行に挿入される。また、シェルフ63の正面側には、表面板65が開閉自在に取り付けられている。シェルフ63の上下面は開放されており、通気性が確保されている。この各シェルフ63の上には、ヒートシールドユニット66が設置される。
【0004】
図11は従来のヒートシールドユニット66の具体的な構造を示す斜視図である。ヒートシールドユニット66の筐体661は、その上側部662、下側部663および後側部664が開放されている。この筐体661の前側部665には、多数の通気口665aが形成されており、前方からの空気を吸気できるようになっている。また、筐体661内には、熱案内板666が設けられている。この熱案内板666は、筐体661内を上下斜めに仕切るように配置されている。これにより、筐体661の前側部665からの吸気は、熱案内板666によって上方へ排気される。一方、筐体661の下側部664からの吸気は、熱案内板666によって後方へ排気される。
【0005】
図12は複数のシェル63を装着したキャビネット61における空気の流れを説明する図である。各ヒートシールドユニット66の前側から入った空気は、熱案内板666によって上方へ案内され、上方にあるシェル63内を通過し、冷却する。シェルフ63内を冷却した空気は、さらにその上方のヒートシールドユニット66の熱案内板666によって、キャビネット60の後方に排気される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなキャビネット60に関しては、装置が火災を起こしたときに他の装置に類焼しないように十分な自己消火機能を有することが義務付けられている。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、冷却機能を低下させることなく、シェルフ内で発生した炎が他の装置へ類焼するのをより確実に防止することのできる回路基板用キャビネットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、回路基板を装着するためのシェルフが積層される回路基板用キャビネットにおいて、多数の貫通孔を有する熱遮蔽板によって前記シェルフの上側開口部を塞ぐことにより構成した熱遮蔽部を、有することを特徴とする回路基板用キャビネットが提供される。
【0009】
このような回路基板用キャビネットでは、シェルフ内の炎が上側開口部側へ上昇した場合、遮蔽部の熱遮蔽板に遮られる。よって、炎が外部に出ることを防止できる。
【0010】
また、熱遮蔽板は多数の貫通孔を有するので、通常時は、十分に空気が通過できるので、冷却能力を維持できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図2は本発明の第1の形態のキャビネットの概略構成を示す正面図である。キャビネット10の枠体11の最下部には、電源ユニット12が設けられている。また、枠体11内には、複数のシェルフ13,14,15が、互いに適度な間隔を空けて装着されている。これらシェルフ13,14,15は、枠体11から着脱自在になっているとともに、背面側の図示されていないマザーボードを介して電源ユニット12と接続されている。
【0012】
各シェルフ13内には、金属の仕切り板131が設けられており、スロット間を仕切っている。これにより、回路基板が燃焼したときに隣接する回路基板に炎が移ることが防止される。
【0013】
シェルフ13内のスロットは、例えば1段の部分と2段の部分とがあり、各スロットには、回路基板132などが装着される。また、シェルフ13の上下部分は、開放されている。なお、他のシェルフ14,15についてもほぼ同様の構成なので、ここでは説明を省略する。
【0014】
このような各シェルフ13,14,15の上面には、EMI(Electromagnetic Interference)対策用の図示されていないシールド板が設けられている。このシールド板には、8mm角の孔が、例えば中心距離10mm間隔で多数形成されている。各シェルフ13,14,15の上部には、それぞれ熱遮蔽部としてのヒートシールドユニット16,17,18が着脱可能に取り付けられている。ヒートシールドユニット16,17,18は、後述するように、上方向に対して空気を通すとともに、上方への炎の吹き出しを防止することができる。
【0015】
図3は第1の形態のヒートシールドユニット16の具体的な構成を示す斜視図である。ヒートシールドユニット16は、下側部が開放された箱形の金属製部材である。また、横×高さ×奥行きの寸法は、550×40×250(mm)程度である。天板161には、面全体に亘ってφ4.5mm程度の孔161aが、例えば中心距離6.5mm間隔で多数形成されている。天板161は、熱遮蔽板として機能する。
【0016】
ヒートシールドユニット16内には、天板161と平行に、金属製の熱遮蔽板162が設けられている。この熱遮蔽板162は、天板161から所定距離D1(例えば10mm)離れた位置に、溶接またはネジ止めにより取り付けられている。熱遮蔽板162には、天板161と同様に、面全体に亘ってφ4.5mm程度の孔162aが、例えば中心距離6.5mm間隔で多数形成されている。ただし、孔161aと孔162aの中心は、互いにずれるように形成されている。
【0017】
次に、このヒートシールドユニット16の熱遮蔽作用について説明する。
図1は第1の形態のヒートシールドユニット16による熱遮蔽作用を説明する断面図である。例えば試験のためにシェルフ13内でバーナーを燃やすと、発生した炎は、図の矢印で示すように、スロット内を上昇してシールド板13aを通過する。このとき、シールド板13aの孔は8mm角程度なので、炎の勢いは少し減少しただけでヒートシールドユニット16内に侵入する。
【0018】
ヒートシールドユニット16内において、炎は、まず熱遮蔽板162に遮られる。熱遮蔽板162の孔162aは、φ4.5mmなので、シールド板13aを通過する場合よりも炎は大きく減少する。熱遮蔽板162で遮蔽仕切れなかった炎は、孔162aを抜けて天板161に到達し、そこで減少する。熱遮蔽板162と天板161との間は、所定距離空いているので、熱遮蔽板162を抜けた後の炎は、ある程度広がってから天板161に到達する。このため、天板161で十分に炎の勢いを減衰させることができる。
【0019】
また、通常の使用時における冷却空気の流れは、バーナーの炎よりも十分に遅いので、ヒートシールドユニット16を設けることによる放熱作用の低下はない。
【0020】
なお、他のヒートシールドユニット17,18についてもほぼ同じ構成および作用を有する。
また、第1の形態では、天板161の下に熱遮蔽板162を1枚設けることにより2層構造としたが、シェルフ13のサイズやタイプに応じて3層以上の構造としてもよい。
【0021】
さらに、第1の形態では、シェルフ13,14,15内での炎の横への広がりを防止する手段として、仕切板131を設ける例を示したが、次に示すように、金属製のカバーを回路基板132の裏面に取り付けるようにしてもよい。
【0022】
図4は回路基板132へのカバーの取り付け構造を示す側面図である。回路基板132の基板本体133の搭載面133aには、各種回路部品が搭載されている。また、搭載面133aには、図示されていないLEDやイジェクタなどを有するパネル部132aや、シェルフ13側のコネクタと接続するためのコネクタ132bも取り付けられている。
【0023】
一方、基板本体133の裏面133bには、金属製のカバー134が、接着またはネジ止めにより固定されている。このカバー134は、裏面133bのほぼ全面を覆うように形成されている。また、カバー134の表面には、他の回路基板などと絶縁するための絶縁板135が貼り付けられている。
【0024】
このようなカバー134を取り付けた回路基板132を用いることにより、シェルフ13側の設計を変更することなく、火災時や試験時に炎が横へ広がることを防止できる。
【0025】
次に、本発明の第2の形態について説明する。
図5は第2の形態のシェルフの概略構成を示す正面図である。このシェルフ20は、基本的には図2で示したキャビネット10と同じタイプのキャビネットに装着される。ただし、シェルフ20間には何も挿入されない。シェルフ20は、1段タイプの基板装着部21と、2段タイプの基板装着部22とを有している。なお、シェルフ20は、図2で示したシェルフ13などよりも、高さおよび奥行きの寸法の小さいタイプのシェルフである。
【0026】
基板装着部21は、複数の金属製の仕切り板211によって各スロットが仕切られている。一方、基板装着部22は、レール221によって上下に分かれている。基板装着部22の上側部分および下側部分は、それぞれ仕切り板222.223によって各スロットが仕切られている。
【0027】
シェルフ20の天板23は、EMI対策用のシールド板として設けられており、その面全体に亘って、8mm角の孔が例えば中心距離10mm間隔で多数形成されている。この天板23と基板装着部21,22との間の空間には、ヒートシールド部材24が取り付けられている。ヒートシールド部材24は、主に、基板装着部21,22の両方の領域をほぼ覆う熱遮蔽板241と、基板装着部21の領域のみを覆う熱遮蔽板242と、両者の周囲を囲む側板243とから構成されている。また、横×高さ×奥行きの寸法は、530×20×200(mm)程度である。
【0028】
上側の熱遮蔽板241には、面全体に亘ってφ4.0mm程度の図示されていない孔が、例えば中心距離6.0mm間隔で多数形成されている。一方、下側の熱遮蔽板242は、上側の熱遮蔽板241と10mm程度の間隔を空けて平行に取り付けられている。この熱遮蔽板242にも熱遮蔽板241と同様に、面全体に亘ってφ4.0mm程度の孔が、例えば中心距離6.0mm間隔で多数形成されている。ただし、熱遮蔽板241の孔と熱遮蔽板242の孔の中心位置は、互いにずれていることが好ましい。
【0029】
このような構成のシェルフ20の基板装着部21では、遮るものがないので炎が勢いよく燃え上がる。しかし、上方のヒートシールドユニット24では、2枚の熱遮蔽板241,242の働きによって、炎の勢いを低減でき、外部に類焼することが防止される。一方、2段の基板装着部22は、レール221によって炎が弱められるので、熱遮蔽板241のみで十分に外部への類焼を防止できる。
【0030】
なお、図5のヒートシールドユニット24では、熱遮蔽板を部分的に2枚使用する例を示したが、シェルフのサイズやタイプによっては、全面に亘って熱遮蔽板を2層構造、あるいは3層以上の構造としてもよい。
【0031】
次に、本発明の第3の形態について説明する。
図6は第3の形態のヒートシールドユニットの概略構成を示す図であり、(A)はシェルフとの位置関係を示す側面図、(B)は背面図である。ここで示すヒートシールドユニット30は、基本的には図2で示したキャビネット10と同じタイプのキャビネットに、ヒートシールドユニット16の代わりに装着されるものである。すなわち、ヒートシールドユニット30は、図(A)に示すように、シェルフ13の上方に配置される。
【0032】
ヒートシールドユニット30は、斜めに配置されてシェルフ13からの空気を後方へ案内する熱案内板31と、その熱案内板31を両側から保持する側板32,33とを有している。このヒートシールドユニット30の背面部には、熱遮蔽板34が取り付けられている。さらに、熱遮蔽板34と平行に、熱遮蔽板35が内側部分に取り付けられている。
【0033】
熱遮蔽板34には、図(B)に示すように、全面に亘ってφ4.5mm程度の図示されていない孔が、例えば中心距離6.5mm間隔で多数形成されている。一方、内側の熱遮蔽板35は、熱遮蔽板34と10mm程度の間隔を空けて平行に取り付けられている。この熱遮蔽板35にも熱遮蔽板34と同様に、面全体に亘ってφ4.5mm程度の孔が、例えば中心距離6.5mm間隔で多数形成されている。ただし、熱遮蔽板34の孔と熱遮蔽板35の孔の中心位置は、互いにずれていることが好ましい。
【0034】
このような構成のヒートシールドユニット30では、シェルフ13から上がってきた炎を熱案内板31が反射して後方へ導く。その炎は、内側の熱遮蔽板35で減衰され、さらに外側の熱遮蔽板34によって減衰される。この2段階による減衰作用によって、外部への類焼を防止することができる。
【0035】
なお、シェルフ13のサイズやタイプによっては、熱遮蔽板を3層以上の構造としてもよい。
次に、本発明の第4の形態について説明する。
【0036】
図7は第4の形態のヒートシールドユニットの概略構成を示す図であり、(A)はシェルフとの位置関係を示す側面図、(B)は背面図である。ここで示すヒートシールドユニット40は、基本的には図2で示したキャビネット10と同じタイプのキャビネットに、ヒートシールドユニット16の代わりに装着されるものである。すなわち、ヒートシールドユニット40は、図(A)に示すように、シェルフ13の上方に配置される。
【0037】
ヒートシールドユニット40は、シェルフ13からの空気を後方へ案内する熱案内板41と、その熱案内板41を両側から保持する側板42,43とを有している。このヒートシールドユニット40の背面部には、熱遮蔽板44が取り付けられている。
【0038】
本形態の熱案内板41は、2段に折り曲げられることにより、上方に膨らむように形成されている。一方、熱遮蔽板44には、図(B)に示すように、全面に亘ってφ4.0mm程度の図示されていない孔が、例えば中心距離6.0mm間隔で多数形成されている。
【0039】
このような構成のヒートシールドユニット40では、シェルフ13から上がってきた炎を熱案内板41が反射して後方へ導く。このとき、熱案内板41は2段形状になっているので、炎の流れが緩衝される。したがって、出口部分では、1枚の熱遮蔽板44で十分に減衰できる。よって、外部への類焼を防止することができる。
【0040】
なお、図8に示すように、熱遮蔽板44よりも内側に、熱遮蔽板44と同様の孔を多数形成した熱遮蔽板45を、例えば10mm程度離して平行に設けるようにしてもよい。これにより、より確実に類焼を防止することができる。ただし、この場合、シェルフ13のシールド板の孔を8mm角から12mm角程度に広げることが好ましい。
【0041】
また、シェルフ13のサイズやタイプによっては、熱遮蔽板を3層以上の構造としてもよい。
次に、本発明の第5の形態について説明する。
【0042】
図9は第5の形態のシェルフの概略構成を示す側面図である。本形態のシェルフ50では、その天板51がEMI対策用のシールド板となっており、図示されていない多数の孔(例えば8mm角)が形成されている。シェルフ50の上部後側には、排気用の開口部52が形成されている。シェルフ50内部には、内部の空気を開口部52へ導く熱案内板53が設けられている。この熱案内板53は、2段に折り曲げられることにより、上方に膨らむように形成されている。
【0043】
また、シェルフ50内部には、排気の通路を遮断するように、熱遮断板54がバックボード55に固定されている。熱遮断板54は、開口部52側から内側に入るように折り曲げ形成されている。この熱遮断板54には、全面に亘ってφ4.0mm程度の図示されていない孔が、例えば中心距離6.0mm間隔で多数形成されている。
【0044】
このような構成のシェルフ50では、回路基板側から上がってきた炎を熱案内板53が反射して後方へ導く。このとき、熱案内板53は2段形状になっているので、炎の流れが緩衝される。また、これと同時に、炎は開口部52よりも十分手前のところで熱遮蔽板54によって遮蔽される。したがって、熱遮蔽板54から炎が漏れたとしても、開口部52から外部に吹き出す勢いはないので、類焼が防止できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、上側開口部側へ上昇したシェルフ内の炎を多数の貫通孔を有する第1の熱遮蔽板と、第1の熱遮蔽板を通過した炎を遮断するために、第1の熱遮蔽板の貫通孔と垂直方向に重ならない位置に多数の貫通孔を設けた第2の熱遮蔽板で熱遮蔽部を構成したので、炎が外部に出ることを確実に防止できる。よって、厳しい規定に耐えうる製品を製造することができる。
【0046】
また、熱遮蔽板に多数の貫通孔を設けているので、通常時は、十分に空気が通過できるので、冷却能力を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の形態のヒートシールドユニットによる熱遮蔽作用を説明する断面図である。
【図2】本発明の第1の形態のキャビネットの概略構成を示す正面図である。
【図3】第1の形態のヒートシールドユニットの具体的な構成を示す斜視図である。
【図4】回路基板132へのカバーの取り付け構造を示す側面図である。
【図5】第2の形態のシェルフの概略構成を示す正面図である。
【図6】第3の形態のヒートシールドユニットの概略構成を示す図であり、(A)はシェルフとの位置関係を示す側面図、(B)は背面図である。
【図7】第4の形態のヒートシールドユニットの概略構成を示す図であり、(A)はシェルフとの位置関係を示す側面図、(B)は背面図である。
【図8】第3の形態のヒートシールドユニットの変形例を示す図である。
【図9】第5の形態のシェルフの概略構成を示す側面図である。
【図10】従来の通信装置のキャビネットの概略構成を示す分解斜視図である。
【図11】従来のヒートシールドユニットの具体的な構造を示す斜視図である。
【図12】複数のシェルを装着したキャビネットにおける空気の流れを説明する図である。
【符号の説明】
10 キャビネット
11 枠体
13,14,15 シェルフ
16,17,18 ヒートシールドユニット
161 天板
161a 孔
162 熱遮蔽板
162a 孔

Claims (4)

  1. 回路基板を装着するためのシェルフが積層される回路基板用キャビネットにおいて、
    多数の貫通孔を有する第1の熱遮蔽板と、前記第1の熱遮蔽板を通過した炎を遮断するために、前記第1の熱遮蔽板の貫通孔と垂直方向に重ならない位置に多数の貫通孔を設けた第2の熱遮蔽板によって前記シェルフの上側開口部を塞ぐことにより構成した熱遮蔽部を、
    有することを特徴とする回路基板用キャビネット。
  2. 前記第1の熱遮蔽板の下部に、多数の貫通孔を有する第3の熱遮蔽板を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路基板用キャビネット。
  3. 前記熱遮蔽部は前記シェルフと一体であることを特徴とする請求項1記載の回路基板用キャビネット。
  4. 前記熱遮蔽部は前記シェルフと別体であり、着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の回路基板用キャビネット。
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