JP3562622B2 - 放電型点火プラグ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電型点火プラグの改良技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記の放電型点火プラグは、例えば自動車の排出ガスに含まれるトータル炭化水素の濃度測定に用いられる水素炎イオン化分析計などに装備されるもので、例えば図7に示すように、電源端子21のネジ止め用雄ネジbを後端に備えたステンレスなどの金属製の放電体22を、その針状先端22aを突出させる状態で、セラミックスなどの筒状の絶縁体23に挿通し、かつ、この絶縁体23と放電体22とを、これらが異種材料であることから、無機接着剤24によって一体化させるようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かゝる構成の放電型点火プラグにおいては、絶縁体23と放電体22とを、それらの先端部を接着剤24で一体化させているために、接着剤24が水素炎に晒されることになり、接着剤24が熱的影響を受けることに加えて、水素の燃焼に伴って生成される水により、接着剤24が侵されて、接着強度が低下するのみならず、ガスがリークする不具合があった。
【0004】
また、接着剤24が針状先端22aを舐めるように溶融して、放電面を侵すことから、着火性はもとより放電割合も低下し、更には、プラグ毎で放電むらが生じ易い問題があった。
【0005】
本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたもので、その目的は、上記の不都合を合理的な改良によって一挙に解消した放電型点火プラグを提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は次の通りである。即ち、針状先端を突出させる状態で、放電体を筒状の絶縁体に挿通させるに際して、本発明では、絶縁体の放電体挿通孔と放電体との間に、挿通孔からの放電体先端の突出量を規定するための位置決め手段を設け、この位置決め手段よりも後部側の挿通孔部分を放電体よりも大径に形成して、この挿通孔部分と放電体との間に接着剤を封入した点に特徴がある(請求項1)。
【0007】
位置決め手段は、接着剤封入用の挿通孔部分の端面に当接するフランジを、放電体の長手方向の中間部に連設することで構成され(請求項2)、或いは、放電体の後半部分を大径に形成する一方、この放電体の大径部分の端面が当接する段部を、絶縁体の放電体挿通孔に形成することで構成される(請求項3)。
【0008】
上記の構成によれば、放電体の針状先端の突出量を規定したことで、点火プラグ毎で放電むらが生じなくなる。
【0009】
また、接着剤が水素炎の熱的影響を受けないように、かつ、水素の燃焼によって生成される水から遠ざけるように、接着箇所を特定して、接着剤が侵されないようにしたことで、接着強度の低下はもとより、ガスのリークが確実に回避されることになり、加えて、接着剤の溶融に伴う着火不良ならびに放電割合の低下も確実に回避される。
【0010】
ここで、図7に仮想線で示すように、接着剤24によって絶縁体23と放電体22とを、それらの後端部で接着すれば、接着強度の低下などが回避されると考えられるが、これでは電源端子21をネジa止めする際に、接着剤24を破損させる問題があり、この点を踏まえて本発明では、放電体よりも大径に形成した挿通孔部分に接着剤を封入させるように考慮しており、これによって延いては、接着面積の増大による高強度の接着が達成される。
【0011】
即ち、本発明によれば、点火プラグ毎で放電むらが生じず、かつ、ガスのリークが防止される上に、放電能力の向上と着火性の改善、更には、耐久性の向上が達成される放電型点火プラグが提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は水素炎イオン化分析計を示し、図中の1はステンレスなどの金属製の燃焼室ケースで、燃焼室内には、水素炎ノズル2とコレクタ電極3とが設けられ、更に、この燃焼室ケース1のチムニー部分4には、放電型点火プラグ5が絶縁保持されている。
【0013】
6はサンプルガスと水素ガスとの混合ガスの供給路で、前記水素炎ノズル2に接続されている。7は水素炎ノズル2に接続された高圧配線、8はコレクタ電極3に接続された信号線で、この信号線8には信号処理回路が接続される。
【0014】
上記構成の水素炎イオン化分析計において、燃焼室内に混合ガスを導入し、陰極(金属製の燃焼室ケース1)との間で、点火プラグ5によりスパークを生じさせると、ノズル2の先端で混合ガスが燃焼し、そのときの水素炎のエネルギーでイオン化が生じる。
【0015】
この状態でコレクタ電極3に高電圧を印加すれば、サンプルガス中に含まれる炭素量に比例した微少イオン電流が流れ、この電流出力が信号線8を介して出力されるのであって、これによって例えば、サンプルガス中のトータル炭化水素の濃度が分析される。
【0016】
上記の放電型点火プラグ5は、図2及び図3に示すように構成されている。即ち、この点火プラグ5は、電源端子9をネジa止めするための雄ネジbが後端に形成された金属製(例えばステンレス製)の放電体10と、この放電体10の挿通孔11を備えた筒状の絶縁体(例えばセラミックス製)12とから成り、かつ、前記挿通孔11に放電体10を挿通し、この放電体10の針状先端10aを絶縁体12の先端部から所定量突出させた状態で、この両者10,12を接着剤13によって一体化させている。
【0017】
具体的には、前記絶縁体12は、燃焼室ケース1の上面に当接するフランジ14を長手方向の中間部に備えており、前記放電体10も長手方向の中間部にフランジ15を備えており、かつ、前記絶縁体12の放電体挿通孔11を、その後部側の挿通孔部分11aを放電体10のフランジ15外径よりもやゝ大にすると共に、前部側の挿通孔部分11bをフランジ15よりも前部側の放電体部分10bの外径よりもやゝ大にしている。
【0018】
そして、前記放電体10の針状先端10aを絶縁体12の先端部から所定量突出させた状態で、前記放電体10のフランジ端面S1が後部側の挿通孔部分11aの孔端面S2に当接するように、挿通孔部分11aの端面位置を設定して、この孔端面S2とフランジ端面S1とによって、挿通孔11からの放電体先端の突出量を規定する位置決め手段16を構成し、かつ、この位置決め手段16よりも後部側の挿通孔部分11aに接着剤13を封入している。
【0019】
上記の構成によれば、放電体挿通孔11からの針状先端10aの突出量が規定されるので、点火プラグ5毎で放電むらを生じることはない。また、放電体10と絶縁体12との接着箇所をプラグ後部側に特定したことで、接着剤13が熱的な影響などで侵されなくなり、かつ、接着剤13を挿通孔部分11aに封入させているので、電源端子9のネジa止めに際して、接着剤13を破損する虞れもない。
【0020】
更に、従来に比較して接着剤13の接着面積が増大することに加えて、放電体10に設けたフランジ15が、この放電体10の抜け止めの機能を発揮することから、放電体10と絶縁体12との高強度の接着が達成される。
【0021】
上記の構成において、図4に示すように、挿通孔11から突出させる放電体10の外径を小径にすると、針状先端10aの円錐の放電面積が小さくなることで放電強度が高くなり、この際、針状先端10aと陰極(属製の燃焼室ケース1)との間の寸法を最適化することにより、更に放電能力がアップする。
【0022】
別の実施の形態による放電型点火プラグ5を図5及び図6に示している。この実施の形態では、放電体10の後半部分10cを大径にして、ネジ止め用の雄ネジbを形成する一方、この大径部分10cの端面S3が当接する段部17を絶縁体12の放電体挿通孔11に形成して、この段部17の端面S4と前記大径部分10cの端面S3とによって、挿通孔11からの放電体先端の突出量を規定する位置決め手段16を構成し、更に、この位置決め手段16よりも後部側の挿通孔部分11cを、前記放電体10の大径部分10cよりも大径に形成して、この挿通孔部分11cと大径部分10cとの間に接着剤13を封入している。
【0023】
かゝる構成の点火プラグ5においても、点火プラグ5毎で放電むらが生じることはなく、かつ、熱的な影響などで接着剤13が侵されることもなく、更に、電源端子9のネジa止めによる接着剤13の破損もなく、放電体10と絶縁体12との高強度の接着が達成される。
【0024】
尚、図4〜図6において、図2及び図3に示して説明した構成部材と同じものには、同符号を付して重複説明を避けるようにしている。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、点火プラグ毎で放電むらが生じず、かつ、熱的な影響を一切受けることがなくて、放電能力の向上と着火性の改善、更には、耐久性の向上が達成される放電型点火プラグが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素炎イオン化分析計の概略断面図である。
【図2】放電型点火プラグの断面図である。
【図3】放電型点火プラグの放電体と絶縁体との詳細図である。
【図4】変形例の放電型点火プラグの断面図である。
【図5】別の実施の形態による放電型点火プラグの断面図である。
【図6】図5に示した放電型点火プラグの放電体と絶縁体との詳細図である。
【図7】従来例の放電型点火プラグの断面図である。
【符号の説明】
9…電源端子、10…放電体、10a…針状先端、10c…大径部分、11…放電体挿通孔、11a,11c…挿通孔部分、12…絶縁体、13…接着剤、15…フランジ、16…位置決め手段、17…段部、a…止めネジ、b…雄ネジ、S1〜S4…端面。

Claims (3)

  1. 電源端子のネジ止め用雄ネジを後端に備えた金属製の放電体を、その針状先端を突出させる状態で筒状の絶縁体に挿通し、かつ、両者を接着剤によって一体化して成る放電型点火プラグであって、前記絶縁体の放電体挿通孔と前記放電体との間に、前記挿通孔からの放電体先端の突出量を規定するための位置決め手段を設けると共に、この位置決め手段よりも後部側の挿通孔部分を放電体よりも大径に形成して、この挿通孔部分と放電体との間に接着剤を封入して成ることを特徴とする放電型点火プラグ。
  2. 前記放電体の長手方向の中間部に、前記接着剤封入用の挿通孔部分の端面に当接するフランジを連設して、位置決め手段を構成した請求項1に記載された放電型点火プラグ。
  3. 前記放電体の後半部分を大径に形成する一方、この放電体の大径部分の端面が当接する段部を、前記絶縁体の放電体挿通孔に形成して、位置決め手段を構成した請求項1に記載された放電型点火プラグ。
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