JP3562617B2 - Mrヘッドのオフセツト補正方法および磁気ディスクサーティファイア - Google Patents

Mrヘッドのオフセツト補正方法および磁気ディスクサーティファイア Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、MR(磁気抵抗効果)ヘッドのオフセット補正方法および磁気ディスクサーティファイアに関し、詳しくは、MRヘッドにより磁気ディスクをサーティファイする磁気ディスクサーテファイにおいて、書込み用のインダクティブヘッドと読出用のMRヘッドのオフセットに対する補正が簡単にできるようなMRヘッドのオフセット補正方法およびMRヘッドを用いる磁気ディスクサーティファイアに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクドライブに組み込まれるハード磁気ディスクは、製造された後に単体の状態でサーティファイアにより磁気媒体として電気的な性能についてサーティファイされ、その品質がランク別に判定される。これにより磁気ディスクは、区分けされたランクのものとしての保証がなされる。
【0003】
図7は、従来のサーティファイアの概略構成を示している。また、図8は、キャリッジとヘッドとの関係を示している。
ハード磁気ディスク(以下単にディスク)1は、スピンドル2に装着されて回転する。このディスクの表裏に配置される磁気ヘッド3A,3B(図8参照)は、それぞれのサスペンションスプリング31,31を介して支持アーム61,61に支持されている。そして、キャリッジ機構6にそれぞれの支持アーム61が取付けられている。磁気ヘッド3A,3Bは、データ書込み用にインダクティブヘッドを、データ読出用にMRヘッドを有している。各磁気ヘッドは、キャリッジ機構6によりディスク1の半径の方向に沿って移動して、その表裏両面の複数のトラックTRに順次位置決めされ、各トラックごとに電気的な性能の検査がなされる。
【0004】
ここで、キャリッジ機構6とスピンドル2等の駆動系は、データ処理装置48により駆動制御回路60によりその移動や回転が制御される。
なお、磁気ヘッド3A,3Bについてはそれぞれが表裏に配置される点を除けば、同様な構成であり、同様な動作をするるので、以下では、これらを区別せずに単に磁気ヘッド3として説明する。また、磁気ヘッド3と支持アーム61との関係は、磁気ヘッド3が支持アーム61の移動方向の延長線上に取付けられるものと、支持アーム61の移動方向に対して直角方向に取付けられるものとがあるが、図では延長線上に配置されるものを示してある。
【0005】
サーティファイについて説明すると、図7において、まず、欠陥検査回路4のテスト信号発生回路41が発生する周波数fのテスト信号Sが、書込制御回路42に加えられる。このテスト信号Sに従ってそれに対応するテストデータが書込制御回路42で生成されて書込/読出アンプ43に加えられる。生成されたテストデータは、書込/読出アンプ43から所定のレベルの書込電流に換えられて磁気ヘッド3を介して磁気ディスク1の各トラックTに順次書込まれる。
磁気ディスク1上の全トラックTRに対してテストデータの書込みが終了すると、書込まれたテストデータは、磁気ヘッド3により順次に書込/読出アンプ43を介して正相,逆相の2つの信号として読出され、レベル調整用アンプ(AMP)44に送出される。ここでレベル調整された2つの読出信号(それぞれが周波数fのテスト信号STに対応する信号)は、次にスライスレベル設定回路45と欠陥検出回路46とに入力される。
【0006】
スライスレベル設定回路45は、1トラックの平均値を作成するトラック平均値作成回路(TAA作成回路)451とスライスレベル作成回路452とにより構成される。TAA作成回路451は、トラック・アベレッジ・アンプリチュードと言われるものであり、ここでは読出信号1トラック分のピーク−ツウ−ピークの平均電圧値を発生する。なお、TAAの電圧値は、読出信号の正極側と負極側とで独立に算出される場合もある。
TAA作成回路451は、例えば、包絡線検波回路とトラック1周積分回路、そしてピーク検出回路等により構成される(図示せず)。その出力であるTAAの電圧値はスライス作成回路452に送出される。スライス作成回路452は、TAA作成回路451の出力TAAのレベルに対して所定の%の電圧値を閾値(スライスレベル)として発生する。所定の%は、制御部48のMPU47から送出される%を設定する信号Pによる。この回路で生成したスライスレベルは、欠陥検出回路46に送出される。
【0007】
欠陥検出回路46は、波形比較回路461とエラー検出回路462、そしてエラーメモリ463とにより構成される。エラー検出回路462は、ゲート回路で構成され、例えば、ミッシング検査では、波形比較回路461から得られる検出信号とテスト信号発生回路41から送出されるテストデータの各ビットに対応するタイミング信号Tとを得て、所定のウインドウパルスにより、ミッシング検査の場合に波形比較回路461の出力がないとき、タイミング信号Tの各ビットに同期させてビットエラー信号Eをビット信号として出力する。
【0008】
エラー検出回路462のビットエラー信号Eは、“0”のときにエラーがなし、“1”のときにはエラーがありというビット信号(エラー検出ビット)としてエラーメモリ463に送出される。エラーメモリ463は、テスト信号発生回路41からタイミング信号Tを受けて、これに応じてエラーメモリのアドレスを順次更新してエラー検出回路462から出力されるビット信号を受けて更新されたアドレスに順次、欠陥データとして“1”,“0”を記憶する。
MPU47は、磁気ディスク1の全周のテストが終了した時点で、このエラーメモリ463の内容をバス49を介してメモリ50に読み込む。そして、エラーメモリ463の内容に応じて磁気ディスク1(媒体)の品質を評価する。
【0009】
図9は、磁気ヘッド3を正面からみた構成の説明図である。磁気ヘッド3は、書込み用のインダクティブヘッド(IND・H)3aと読出用のMRヘッド(MR・H)3bとからなる。両ヘッド3a,3bの両者の中心にはそれぞれギャップga,gbがあって、理想的には、これらのギャップの中心Cは一致した状態にある。そして、インダクティブヘッド3aは、そのギャップgaの幅に応じてトラックTRに対して幅waの範囲(感度幅)でデータを書込み、MRヘッド3bは、そのギャップgbの幅に応じて幅wbの範囲(感度幅)でデータを読出す。
図9においては、両ギャップga,gbの中心は、同一線C上にあって、両ヘッド3a,3bには両ギャップの位置ずれ、いわゆるオフセットはない。しかし、現実には両ヘッドにいくらかのオフセットが存在する。サーティファイにおいてはこのオフセットが問題になる。このオフセットを図10〜図12により説明する。
【0010】
図10において、インダクティブヘッド3aのギャップgaの中心線はCaであり、また、MRヘッド3bのギャップgbの中心線はCbである。両中心線Ca,Cbの間隔Δxがオフセットである。図11は、オフセット量Δxに対する、MRヘッド3bの読出電圧の変化を示している。インダクティブヘッド3aは、トラックTRに幅waの範囲(感度幅)で一様にデータを書込む(実際は一様でなく、中心部に対して周辺部が漸次低下している)。書込まれたテストデータをMRヘッド3bがそのギャップgbにより読出す。このときデータを読出すことができる幅が感度幅wbである。
【0011】
ここで、読出状態において磁気ヘッド3が左側から右方向に移動するとする。そのMRヘッド3bも同時に左側から右方向に移動する。図11の▲1▼の位置では、MRヘッド3bの感度幅wbの右端がテストデータの幅waの左端に対応している。このときからMRヘッド3bのギャップgb(Cbはその中心線)がインダクティブヘッド3aにより書込まれたテストデータ(その左端)を読出せる状態なる。ただし、このときには読出電圧はいまだ0(ゼロ)である。
ここでは、簡単に説明するために、MRヘッド3bの読出電圧は、[mV]単位ではなく、これの最大読出電圧を1として、数値“0”から“1”の範囲の比として説明する。なお、それぞれヘッドの感度幅wa,wbは、それぞれのギャップga,gbの幅により決定される。MRヘッドの感度幅wbは、現在のところは数μm程度である。
【0012】
さて、(2)の位置ではMRヘッド3bの感度幅wbがwb/2だけ書込幅wa側に入り込んでいる。このときには右側の感度幅wbのうちのwb/2分が幅wa上にある。このときの読出電圧は、一様にテストデータが書込まれているとすれば0.5となる。さらに右側へとMRヘッド3bが移動して(3)の位置では、幅wbの全体が幅wa上にある。そこで、このときの読出電圧は最大の1.0となる。そして、wa>wbのときは、幅(wa−wb)の範囲では電圧が1.0のままとなって平坦になる。したがって、MRヘッド3bが(4)の位置での読出電圧は1.0である。その結果、全体としては下側に実線で示すような読出電圧特性になる
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
図12は、オフセット量Δx(μm)に対する、MRヘッド3bの読出電圧の実測値の一例を示している。例えば、Δx=±0.5μmの読出電圧は、最大値0.2mVに対して約0.18mV(約90%)に低下している。このような読出電圧の低下があるとサーティファイの信頼性も低下する。
ところで、実際にハードディスクが組込まれる磁気ディスク駆動装置では、MRヘッド3bは、サーボ情報で位置決めされて書込みデータを読出すことになる。一方、インダクティブヘッド3aもサーボ情報で位置決めされてデータを書込む。そのため、それぞれのヘッドの関係はオフセットがあってもそれぞれに位置決めされるので問題はない。実際には、図9に示す状態のヘッドと等価である。しかし、ディスクを検査するサーティファイの段階ではディスクにはサーボ情報が書込まれていない。したがって、MRヘッド3bとインダクティブヘッド3aとのオフセットが検査結果に直接影響を与え、問題となる。それがディスクの歩留まりの低下を招く。そのため、前記のオフセットはできるかぎりゼロになるように補正することが必要である。
【0014】
このようなことから、読出状態のとき、MRヘッド3bを移動させてオフセットを解消する方法が考えられている。この移動機構の1つとして、ピエゾアクチュエータによりMRヘッドをオフセットに対応する距離分だけ微小移動させることが提案されている。しかし、この場合には、MRヘッドのオフセット量Δxの数値測定を行わなければならない。さらに、ピエゾアクチュエータは、これの駆動電圧(印加電圧)に対してヒステリシス特性がある。その特性における移動距離と電圧との関係は非直線特性であってかつ一様なものではない。そのため、現在のところ、これによる補正方法は実際上は難しい状況にある。
この発明の目的は、前記のような従来技術の問題点を解決するものであって、簡易な制御によりMRヘッドのオフセットを実質的にゼロにするような補正ができるMRヘッドのオフセツト補正方法を提供することにある。
この発明の他の目的は、簡易な制御によりMRヘッドのオフセットを実質的にゼロに補正することで精度の高いサーティファイができる磁気ディスクサーティファイアを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明のMRヘッドのオフセツト補正方法および磁気ディスクサーティファイアの特徴は、書込み用のヘッドと読出用のMRヘッドを有する磁気ヘッドを使用して磁気ディスクのサーティファイを行うサーティファイアにおいて、
磁気ディスク上に設定される所定のトラック位置に前記磁気ヘッドを移動させる磁気ヘッド移動機構と、最大駆動電圧を有し、駆動電圧に応じて伸長または縮小して磁気ヘッドをトラックを横断する方向に微小移動させるピエゾアクチュエータとを備えていて、
ピエゾアクチュエータの特定のヒステリシス特性上における任意の点pにおいて書込用のヘッドによりトラックにテストデータを書込んで、点pからピエゾアクチュエータによりMRヘッドを微小移動させて微小移動させた点において書込んだテストデータをMRヘッドにより読出してテストデータの最大読出電圧に対応する駆動電圧を得て、
サーティファイにおいて、点pに設定された書込用のヘッドによりある被検査磁気ディスクのトラックにテストデータまたはあるテストデータを書込み、この書込まれたテストデータをMRヘッドにより読出すときに最大読出電圧に対応する駆動電圧をピエゾアクチュエータに加えてMRヘッドの位置を補正をするものである。
【0016】
このように、この発明では、サーティファイアは、ピエゾアクチュエータのヒステリシス特性の非直線性特性上における任意の点pにおいて書込用ヘッドによりテストデータを書込み、この点pからMRヘッドを微小移動させならが書込んだテストデータをMRヘッドにより読出して最大読出電圧を検出し、これに対応するピエゾアクチュエータの駆動電圧を得る。これによりオフセット補正をするMRヘッドの位置を検出する。そして、サーティファイにおいては、サーティファイアは、前記点pに磁気ヘッド(その書込用のヘッド)を位置設定しておいてテストデータを書込み、前記の最大読出電圧に対応する駆動電圧をピエゾアクチュエータに加えてMRヘッドの位置を補正してテストデータを読出す。これにより同じピエゾアクチュエータ上において、MRヘッドの位置がオフセット補正値を検出したときとの、書込用のヘッドに対する位置関係と同じものとなり、書込用のヘッドに対してMRヘッドのオフセットが実質的に“0”になるように補正をすることができる。
【0017】
通常のピエゾアクチュエータは、電圧を印加すると、駆動電圧に応じて伸張し、駆動電圧を下げると収縮するが、伸張(ヒステリシス特性上の往き)と収縮(ヒステリシス特性上の帰り)とでエゾアクチュエータは同じ駆動電圧に対してその伸びの長さが異なる。そのため、任意の点pの選択は、あらかじめ駆動電圧Vを前記ヒステリシス特性の原点(通常0V)から所定の駆動電圧Vpに増加して、書込み用ヘッド(例えば、インダクティブヘッド)をヒステリシス特性の、例えば、メジャーループの往路の途中の点pに設定するか、あるいは駆動電圧を最大値Vmに上げた後に駆動電圧をVp’(Vp’=Vpでも可)まで減少させて復路の途中の点p’に設定することによる。これによりディスクに対する磁気ヘッドのヒステリシス特性上の位置が決定され、この位置でディスク上の所定のトラックに磁気ヘッドが位置に位置決めされることになる。
【0018】
この状態で、サーティファイアは、このトラックにテストデータを書込む。そして、サーティファイアは、この位置に記憶されたテストデータをMRヘッドを微小移動させながら読出すことで、テストデータの読出電圧がピークとなる駆動電圧を検出する。このピークの位置は、前記点pとの関係においてMRヘッドに実質的なオフセットがない位置である。
このことで、サーティファイアは、選択された任意の点pにおいて書込まれたテストデータを媒介としてMRヘッドのオフセット補正量を得ることができる。ピエゾアクチュエータのヒステリシス特性の非直線上で設定した往路あるいは復路の任意の点p,p’を基準としてオフセット補正値を得るために、具体的には、サーティファイアは、ピークが検出されたときに得られる、オフセット補正量に対応する駆動電圧Vs(往路における電圧)またはVs’(復路における電圧)を往路、復路の判定とともに得て、前記の任意の点pあるいはp’の駆動電圧と併せてメモリに記憶する。なお、往路、復路の判定に代えて往路あるいは復路を示すフラグとともに前記駆動電圧を記憶することでもよい。
【0019】
オフセット補正では、サーティファイアがサーティファイするときに記憶された経路フラグと駆動電圧とを参照して、磁気ヘッドが位置決めされたトラック上においてテストデータの書込み位置を先に選択された任意の点pあるいはp’の位置になるように書込み用ヘッドをヒステリシス特性上で位置決めしてからテストデータを書込み、ヒステリシス特性上の補正された位置でMRヘッドによりテストデータを読み出す。
なお、オフセットの+,−は、通常、ディスクの半径に対して外周側を+,中心側を−に採る。また、通常のピエゾアクチュエータのヒステリシス特性において、メジャーループの往路にあるか、復路にあるかは、ヒステリシス特性の原点(通常“0”V)から駆動電圧を最大駆動電圧Vmまで増加させる範囲は往路であり、最大駆動電圧Vmから減少させていくと復路に入る。これにより往路と復路との区別ができる。このとき往路は伸び方向であり、復路は縮み方向であるので、これらそれぞれにおいて、+オフセットあるいは−オフセットの補正が可能になる。
【0020】
ところで、MRヘッドによるテストデータの読出状態において、読出電圧のピークが往路で検出されたときは、MRヘッドはディスク中心側へと移動している。したがって、インダクティブヘッドに対してMRヘッドは前記とは逆方向の+側にオフセットしていることになる。一方、復路で読出電圧のピークが検出されたときには逆にMRヘッドが−側にオフセットしていることになる。
ここで、ヒステリシス特性のメジャーループについて簡単に説明すると、ピエゾアクチュエータの最大の印加可能電圧(最大駆動電圧)をVmとすると、駆動電圧0VとVm[V]によるループがメジャーループである。その電圧増加側(図3の下側の曲線参照)は、駆動電圧の増加により伸長する往路であり、電圧減少側(図3の上側の曲線参照)は、駆動電圧の低減により収縮する復路になる。ピエゾアクチュエータの伸張、収縮は前記の駆動電圧に応じてこの往路と復路のループを循環する。
【0021】
メジャーループの形状は、ピエゾアクチュエータにより決まっており、これの仕様により、その往路と復路のそれぞれの距離の途中の点p,p’に対する書込み駆動電圧Vpは、あらかじめ決定しておくことができる。これらをここでは事前に決定してメモリにあらかじめ記憶しておく。そして、先に説明したように、MRヘッドのオフセットの方向に応じて往路か、復路のいずれかでオフセット補正量を検出する。したがって、前記のオフセット補正量の検出は、往路と復路のいずれか一方になる。
なお、サーティファイにおいては、サーティファイアは、被検査ディスク(テストディスク)の各トラックに対して磁気ヘッドを順次に設定し、トラックに磁気ヘッドを設定する都度、ピエゾアクチュエータの駆動電圧Vを一旦、0V(原点)とし、オフセットが−側のときは往路の書込み点pになるように0Vから書込み駆動電圧Vpに増加し、インダクティブヘッドを位置決めしてテストデータを書込み。オフセットが+側のときは0VからVm[V]を経て復路の書込み点p’に設定してトラックにテストデータを書込む。
【0022】
このとき、各トラックに対する磁気ヘッドの設定の都度、駆動電圧Vを一旦、0V(ヒステリシス特性の原点)とする理由は、駆動電圧Vsを直接駆動電圧Vpまで増加すると、ヒステリシス特性がマイナーループといわれる途中で発生する別の小さいループに入り込む。そのために磁気ヘッドが正しい書込み点pまたはp’に戻らなくなるからである。また、サーティファイアは、書込みの終了後においては、往路では、書込み点pから駆動電圧Vを電圧Vsまで増加させ、復路では書込み点p’から電圧Vs’まで低減させて磁気ヘッドを位置決めする。これにより、MRヘッドは、オフセットと逆方向の+側または−側にオフセット補正量を採取したときと同じ特定のヒステリシス特性上において微小移動する。これにより実質的にゼロになるようにオフセットが補正されて、テストデータが正しく読出されてサーティファイが適正に行われる。しかも、一度採取されたオフセット補正のための駆動電圧Vp,Vp’,Vs,Vs’は、同一のピエゾアクチュエータを使用してディスクサーティファイを実行する限り、有効なものである。
【0023】
その結果、ここでのサーティファイでは、MRヘッドのオフセット量Δxの数値の測定を必要とせずに、MRヘッドをヒステリシス特性の特定のループに沿って移動させる簡易な制御により、MRヘッドのオフセットを高精度に補正することができる。これにより磁気ディスクサーティファイの検査は、信頼性が向上し、検査ディスクの歩留まりも向上する。
【0024】
【実施例】
図1に示すように、この発明によるサーティファイアの構成は、まず、磁気ヘッド3を支持する支持アーム61にピエゾアクチュエータ71を結合してブロック8を構成し、ブロック8をキャリッジ機構6に固定したものである。これによりピエゾアクチュエータ71を電圧駆動して磁気ヘッド3をディスク1上に設定されるトラックを横断する方向に微小移動できるようにしたものである。なお、この実施例では、磁気ヘッド3が支持アーム61の移動方向に対して直角方向に取付けられるものを例としている。
【0025】
ブロック8の詳細を示すのが、図2である。ブロック8は、キャリッジ6の表面に複数の孔81,81を介してねじ等により固定される。ディスク1に対して表面側の磁気ヘッド3Aは、支持アーム61aの先端に取付ブロック64aを介して取付けられ、裏面側の磁気ヘッド3Bは、支持アーム61bの先端に取付ブロック64bを介して取付けられている。
支持アーム61a,61bは、これの先端部が結合されたスライド部軸62a,62bを後部に有している。このスライド部軸62a,62bがそれぞれスライドベアリング62a,62bに支承されることで支持アーム61a,61bはブロック8においてスライド可能に支承されている。
【0026】
さらに、スライド部軸63a,63bの後端は、ピエゾアクチュエータ71a,71bに一体的に結合され、ピエゾアクチュエータ71a,71bの伸張,収縮に応じて支持アーム61a,61bが進退し、これにより磁気ヘッド3A,3Bがそれぞれに半径方向に移動する。ピエゾアクチュエータ71a,71bの後端部は、ブロック8に支持されている。そして、ピエゾアクチュエータ71a,71bの後端部はさらに調整ねじ73a,73bの先端に結合されていて、調整ねじ73a,73bによりピエゾアクチュエータ71a,71bを介して支持アーム61a,61bの前後の位置調整がそれぞれにできるようになっている。なお、72a、72bは、それぞれピエゾアクチュエータ71a,71bに電圧信号を加えるリード線である。
【0027】
これにより、ピエゾアクチュエータ71a,71bをそれぞれ電圧駆動することで磁気ヘッド3(両磁気ヘッド3A,3B)をディスク半径方向に微小移動させることができる。
なお、図2の支持アーム61a,61bは、それぞれ図1の支持アーム61に対応し、ピエゾアクチュエータ71a,71bは、それぞれ図1のピエゾアクチュエータ71に対応している。以下では、それぞれ支持アーム61、ピエゾアクチュエータ71をもって説明する。
【0028】
磁気ヘッド3(インダクティブヘッド3a,MRヘッド3b)は、ピエゾアクチュエータ71の伸び量、あるいは縮み量に応じてディスクの半径方向において前後に微小移動する。そのために、図1のサーティファイアには、ピエゾアクチュエータ71の制御部として駆動電圧制御回路72と駆動電圧発生回路73とがさらに設けられている。駆動電圧制御回路72は、インタフェース(図示せず)を介してデータ処理部5のMPU51に接続されている。MPU51は、プログラム制御で駆動電圧制御回路72を制御し、この制御に応じた駆動電圧を駆動電圧発生回路73は発生してピエゾアクチュエータ71に加える。
【0029】
また、磁気ヘッド3のMRヘッド3bからテストデータの読出電圧を得るために、TAA作成回路451から得られる1トラック分についてのピーク−ツウ−ピークの平均読出電圧値をA/D変換回路(A/D)62を介してデータ処理装置5に入力する。データ処理装置5では、この読出電圧値をデジタル値で受ける。これによりMPU51は、磁気ヘッド3が位置決めされた1トラックについての平均読出電圧値を得る。
なお、53は、MPU51とメモリ52とを接続するバスであり、データ処理装置5のメモリ52には、オフセット補正量採取プログラム52aと、オフセット補正検査処理プログラム52b、オフセット補正駆動電圧値等を記憶するデータ記憶領域52c等が設けられている。
【0030】
まず、図4に従ってオフセット補正のための補正量のデータの採取から説明する。
所定の機能キー入力によりMPU51がオフセット補正量採取プログラム52aを実行する。ここで、インダクティブヘッド3aに対してMRヘッド3bのオフセットを補正するための初期値設定として、オペレータは、図3に示すヒステリシス特性のメジャーループにおける経路を示すものとして経路フラグ“0”(往路)と往路のテストデータ書込む点の駆動電圧Vp、そして経路フラグ“1”(復路)と復路のテストデータ書込む点の駆動電圧Vp’をあらかじめ入力する。これらはメモリ52にデータ記憶領域52cに記憶される。また、初期値設定では、MRヘッド3aの微小移動について移動回数を示す回数変数nをn=1に設定する(ステップ101)。
【0031】
なお、この発明においては、図10のオフセット量Δxは不必要であるので測定しない。また、前記の駆動電圧Vp(あるいはVp’)は、ヒステリシス特性の往路,復路の任意の点に対応する電圧値であって、Vp=Vp’であってよい。このときには、駆動電圧のメモリ52への記憶はVpだけでよい。さらに、経路フラグに代えて電圧VpとVp’とをそれぞれ往路、復路のものとして識別できる形態、例えば、+Vpを往路の電圧、−Vpを復路の電圧として正負の符号を往路と復路に対応させるようにしてもよい。
MPU51は、まず、スピンドル2に装着されたディスク1(あるいはテストディスク1)を回転し、適当なトラックTRの位置に磁気ヘッド3を位置決めする(ステップ102)。
【0032】
次に、MPU51は、往路の経路フラグ“0”の駆動電圧Vpをメモリ52から読出し、ピエゾアクチュエータ71の駆動電圧を0V(原点電圧)にした上で、駆動電圧を順次増加させて電圧Vpまで増加させる。これによりピエゾアクチュエータの伸張量により決定される往路の任意の点p(図3参照)の位置に磁気ヘッド3(インダクティブヘッド3a)を位置付ける(ステップ103)。
図3の曲線(a−b−c−d−a)は、ピエゾアクチュエータ71のヒステリシス特性のうちのメジャーループである。その下端aは、駆動電圧0Vに、上端cは最大駆動電圧Vmに対応している。メジャーループの下側の曲線(a−b−c)は、前記した往路であり、上側の曲線(c−d−a)は復路である。
最大駆動電圧Vmと、これに対するメジャーループの形状は、前記したようにピエゾアクチュエータの仕様により決定されている。そこで、ピエゾアクチュエータの駆動電圧を0Vにした上で、駆動電圧を増加させることで往路の任意の点pに、そして駆動電圧をVmまで上げた後に駆動電圧を減少させることで復路の任意の点p’にそれぞれインダクティブヘッド3aを位置付けることができる。これによりインダクティブヘッド3aは、磁気ヘッド3が位置決めされるトラック位置においてヒステリシス特性の原点位置からみて駆動電圧VpあるいはVp’に対応する伸張量により決定される位置に位置決めされることになる。
【0033】
次に、MPU51は、位置決めされているトラックTRにインダクティブヘッド3aによりテストデータを書込む(ステップ104)。そして、MPU51は、トラック1周分のテストデータを読出す処理をして、TAA作成回路451からピーク−ツウ−ピークの1トラックの平均読出電圧値を得る(ステップ105)。これを移動回数変数n(最初は初期値,n=1)の値と現在のピエゾアクチュエータ71の駆動電圧Vともにメモリ52に記憶する(ステップ106)。次に、磁気ヘッド3が1トラック幅以上移動したか否かをn>mにより判定する(ステップ107)。だたし、mは、1トラック幅以上移動する微小移動の回数である。
【0034】
ここでNOとなると、n=n+1とし、駆動電圧Vpを1回分の微小移動量に対応する電圧ΔVだけ増加させてVp=Vp+ΔVとする(ステップ108)。ただし、後述するステップ111〜113の復路の点P’の設定のときには前記の計算はVp’=Vp’−ΔVになる。
これによりMRヘッド3bを往路に沿って所定量微小移動する。このとき、MRヘッド3bの位置は、ディスク1の中心方向へと移動する。この場合は、ピエゾアクチュエータ71がテストデータを書込んだ点から伸張するので、MRヘッド3bは、インダクティブヘッド3aの書込みトラックの中心に対してディスクの中心方向(−側方向)へと移動する。
【0035】
次にステップ105へと戻り、読出電圧を得て、これと移動回数とをメモリ52に記憶する同様な処理を繰り返す。そして、ステップ106でYESとなると、図5に示すようなデータがメモリ52に記憶される。ただし、横軸は、移動回数あるいは移動回数に応じてヒステリシス特性において算出される移動距離であり、縦軸は、読出電圧(比)である。ここで読出電圧のデータは、前記の繰り返し処理により図5の点pから点q、点rへと採取されていく。なお、任意の点pの位置に応じて最初の読出電圧の値は異なってくる。そして、ピークは、図5の点q−r間で現れる。最大値の領域がこの点q−rであり、これが実質的に平坦なときは、そこが図11における読出電圧1.0の領域になる。この最大値の領域があるか否かを検出するために、次に、読出電圧に所定値以上のものがあるか否かの判定をする(ステップ109)。これは、例えば、0.7を超える読出電圧値(比)があるときにピークがあると判定する。ここで、YESとなると、最大領域における中央位置(中心)をピーク点sとみなして、これに対応する駆動電圧Vをピーク位置の駆動電圧Vsとして検出する。この電圧Vsを経路フラグ“0”とともにの記憶領域52cに記憶する(ステップ110)。このときの駆動電圧Vsがオフセット補正のための駆動電圧になる。
【0036】
なお、駆動電圧Vsは、最大値の領域である点q−rにおいてその中のピークの点のものが採用されてもよい。また、最大値の領域q−rにおいて、適当な点のものを選択してもよい。
もちろん、以上の場合には、MRヘッド3bがインダクティブヘッド3aに対して+側のオフセットを持っているときである。−側のオフセットを持っているときには、図5のような特性は得られない(後述)。このときにはヒステリシス特性の往路において0.7を超える読出電圧値はない。したがって、ステップ109の判定でNOとなる。
なお、前記の場合のオフセツトは、テストデータを書込んだ位置p点から−側へとMRヘッド3bを移動しているので、このときのオフセット量は、図3に示す点pとs間の垂直間隔+Δxになる。
【0037】
さて、先のステップ109においてNOのときには、往路でピークが検出されないときである。この場合には、復路でオフセット補正の駆動電圧を得る。以下、これについて説明する。
ステップ109においてNOになると、MPU51は、トラックTR以外の別のトラックTSの位置に磁気ヘッド3を位置決めする(ステップ111)。移動回数変数nをn=1に設定し(ステップ112)、経路のフラグが“1”の駆動電圧Vp’をメモリ52から読出して、駆動電圧Vを最大駆動電圧Vに増加した後に駆動電圧Vp’まで低減する(ステップ113)。これにより磁気ヘッド(インダクティブヘッド3a)の位置は、復路に入り、ピエゾアクチュエータ71は縮む方向に駆動される。このときには、インダクティブヘッド3aは復路の途中の任意の点p’に設定される(図3参照)。そして、ステップ104へと戻り、ここでトラックTSにテストデータを書込む(ステップ104)。なお、この実施例では、単純に制御するために駆動電圧値Vp=Vp’にしてある。もちろん、ここで、Vp’はVpとは別な電圧であってもよい。
【0038】
以下、ステップ105、106、107と経て前記と同様な処理を行い、ステップ108では、n=n+1としてnを1つ更新するとともに、駆動電圧Vp’を1回分の微小移動に対応するΔVだけ減少させてVp’=Vp’−ΔVとし、MRヘッド3bを復路に沿って所定量微小移動させる(ステップ108)。そして、ステップ105へと戻る。
これような繰り返し処理をn>mとなるまで繰り返してステップ106において、MPU51は、トラック1周分のテストデータを読出す処理をしてTAA作成回路451からピーク−ツウ−ピークの平均読出電圧値を得て、回数nと現在のピエゾアクチュエータ71の駆動電圧Vともにメモリに記憶する(ステップ116)。そして、ステップ107でYESとなると、先と同様に図5に示すようなデータがメモリ52に記憶される。
【0039】
この場合の繰り返し処理のときには、ピエゾアクチュエータ71がテストデータを書込んだ点p’からピエゾアクチュエータ71が縮むので、MRヘッド3bは、インダクティブヘッド3aの書込みトラックの中心に対して+側方向へ移動する。そこで、図5に示すように、p’点から点q’,r’というように読出電圧のデータが採取される。ここで、点q’−r’間が最大値で平坦のときは、そこが図11における読出電圧1.0の領域になる。そこで、その中心をピーク点s’とみなして、これに対応する駆動電圧Vs’をメモリ52に記憶する。
この場合には、MRヘッド3bは、テストデータを書込んだ位置p’点から+側へと移動している。したがって、オフセットは−側にあることになる。この場合のオフセツトは、図3に示すように、点p’とs’間の垂直間隔−Δxである。
【0040】
次に、読出電圧に所定値以上のものがあるか否かの判定する(ステップ109)。ここで、YESとなると、その中心をピーク点sとみなして、これに対応する駆動電圧Vをピーク位置の駆動電圧Vs’として検出して経路フラグ“1”とともにの記憶領域52cに記憶する(ステップ110)。
ところで、ステップ110の判定において、NOとなったときには、別の任意の点p,p’を改めて設定して同様な処理を行う。
このようにして選択した任意の点pあるいはp’についてのオフセット補正量としてピーク位置の駆動電圧Vs(あるいはVs’)のデータを採取する。この磁気ヘッドで検査対象となるディスクをサーティファイをするときには、ピエゾアクチュエータ71を取り替えない限り、このオフセット補正のデータを使用することができる。
【0041】
このとき、メモリに記憶された経路フラグ“0”,“1”は、それぞれ+側オフセットと−側オフセットとしてMRヘッドのオフセットの方向を表す情報になる。すなわち、これらはオフセット方向の判定結果を表す。
なお、以上においては、磁気ヘッド3Aと磁気ヘッド3Bとの区別をして説明していないが、以上の処理において、各磁気ヘッド3A,3BのMRヘッドは、同時に移動されてもよいし、個別的に移動されてもよい。また、それぞれのオフセット補正データがそれぞれに採取されてもよい。
【0042】
次に、図6のフローチャートによりMRヘッド3bのオフセットの補正を含むサーティファイ検査の手順について説明する。なお、この処理は、メモリ52に記憶されたオフセット補正検査処理プログラム52bをMPU51が実行することにより行われる。
オフセット補正のディスク検査においては、MPU51は、あるテストディスクの各トラックの位置に磁気ヘッド3を順次に位置決めして、この位置決めの都度、駆動電圧Vを原点(0V)から駆動電圧を増加してメモリから読出した任意の設定pの電圧Vp(あるいはV’)に再設定する。これにより書込み用のヘッドを往路の前記した書込み点p、または復路の書込み点p’に確実に設定することができる。MPU51は、この書込み点pあるいはp’に磁気ヘッド3を設定した後に位置決めされたトラックにあるテストデータ(オフセット補正値を採取したときのテストデータと同じであってもよい)を書込む。そして、書込み点pから駆動電圧VpをVsに増加あるいは書込み点p’から駆動電圧Vp’をVs’に低減して先にメモリ52に記憶された駆動電圧VsまたはVs’に設定する。これによりインダクティブヘッドとMRヘッドとの位置関係がオフセット補正量を採取したときと実質的に同じになる。その結果,MRヘッドが+側または−側に移動してオフセットが実質的にゼロになるような状態に設定されてディスクの検査ができる。
【0043】
以下、その処理を具体的に説明する。図6においては、テストディスク1はスピンドル2に装着され、すでに回転しているものとする。
まず、MPU51は、テストディスク1の最初のトラックTR1の位置に、磁気ヘッド3を位置決め設定する(ステップ201)。ここで、MPU51は、メモリ52にオフセット補正データとして記憶された駆動電圧値Vp(あるいはVp’)と、経路フラグ“0”(あるいは“1”)、そしてオフセット補正用の駆動電圧Vs(あるいはVs’)を読出す(ステップ202)。次にMPU51は、経路フラグが“0”か否か判定する(ステップ203)。これが“0”、すなわち、オフセットが+Δxのときは、駆動電圧Vをメイジャーループの原点に対応する0Vにまず設定してこの0Vから書込み駆動電圧Vpに増加してインダクティブヘッド3aを往路の途中のオフセット補正値を採取したときに選択された点pに設定する(ステップ204)。そしてテストデータを書込む(ステップ205)。次にMPU51は、駆動電圧Vpをメモリ52に記憶された駆動電圧Vsまで増加してMRヘッド3bをΔx分、−側に移動する(ステップ206)。これによりMRヘッド3bの+側オフセットが実質的にゼロになるように補正される。
【0044】
オフセットが実質的にゼロになるように補正されたMRヘッド3bにより、MPU51は、スライスレベル設定回路45と欠陥検出回路46と動作させて、1トラック分のテストデータを読出してエラー検出処理をする。このとき、欠陥検出回路46から1トラック分のエラーデータをMPU51が受ける(ステップ207)。次に全トラックエラー検出終了か否か判定をして(ステップ208)、NOのときには、次のトラックに磁気ヘッド3を位置決めして(ステップ209)、ステップ203へと戻り、すでに記憶された経路フラグにより経路フラグの判定をして、再び、ステップ204からステップ208の処理を繰り返す。
【0045】
ステップ208の判定において全トラックのエラー検出処理が終了したと判定されたときには、ステップ210において、検出されたエラ−結果によるテストディスクの評価とランク分け処理を行い、そのテストディスクの検査処理を終了する。そして、次のテストディスクのサーティファイへと移る。
一方、先のステップ203の判定において、経路フラグが“1”のとき、すなわち、オフセットが−Δxのときは、MPU51は、駆動電圧Vをメイジャーループの原点に対応する0Vに設定してこの0Vから最大駆動電圧Vに増加してつづいて駆動電圧Vp’(=Vpでも可)まで低減させる。これによりインダクティブヘッド3aを復路の途中の任意の点p’に設定する(ステップ211)。そして、テストデータを書込む(ステップ212)。次にMPU51は、駆動電圧Vp’をメモリ52から読出した駆動電圧Vs’まで低減させてMRヘッド3bをΔx分、+側に移動する(ステップ213)。その結果、MRヘッド3bのオフセットが実質的にゼロになるように補正される。その後、ステップ207へと移り、前記と同様に全トラック終了か否かの判定をステップ208で行い、ステップ209を経てステップ203へと戻る。そして、再び、ステップ211〜ステップ213を経てステップ207、208へと至り、その後、前記ステップ210の処理に入る。
【0046】
ところで、前記実施例では往路と復路のフラグを記録しているが、往路と復路とではオフセットの方向が逆方向になるので、往路と復路のフラグに換えて、例えば、オフセットが+側か(往路)、−側(復路)か、あるいは、オフセット補正値が−か(往路)、+か(復路)というように、オフセット方向あるいはオフセットの補正値の方向をメモリに記憶するようにしてもよい。
さらに、実施例における往路のテストデータ書込み点(任意の点p)は、ヒステリシスループの原点であってもよい。復路のテストデータ書込み点(任意の点p’)は、ヒステリシスループの最大電圧点であってもよい。
【0047】
実施例では、ヒステリシス特性のメジャーループを中心に説明しているが、最大電圧値近傍の電圧値においてマイナーループとして大きなヒステリシス特性のループが形成される場合には、これを採用してもよい。
ところで、現在のところ書込み用のヘッドは、インダクティブヘッドが主流となっているが、将来は、他の形態の磁気ヘッドが書込み用ヘッドとして使用されることが考えられるので、この発明は、書込みができる磁気ヘッドであれば、インダクティブヘッドに限定されるものではない。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、この発明にあっては、ヒステリシス特性のループの非直線性の欠点を解消するために、ヒステリシス特性の非直線性特性上における任意の点pにおいてオフセットを検出し、この検出点と同じ位置の特性点pをサーティファイにおいて利用することでオフセット補正をし、非直線性を克服し、さらに、ピエゾアクチュエータが往路と復路とでは逆方向に動くという相違を利用して、それぞれに逆方向のオフセット補正を割り当ててオフセット補正量を検出するようにしてそれぞれのオフセット補正量を得るようにしているので、オフセットΔxの数値の測定を必要とせずに、簡易な制御により、MRヘッドをヒステリシス特性のループに沿って移動して、オフセットを高精度に補正することができる。
その結果、サーティファイでは、MRヘッドのオフセット量Δxの数値の測定を必要とせずに、MRヘッドをヒステリシス特性の特定のループに沿って移動させる簡易な制御により、MRヘッドのオフセットを高精度に補正することができる。これにより磁気ディスクサーティファイの検査は、信頼性が向上し、検査ディスクの歩留まりも向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のオフセット補正方法を適用した一実施例のサーティファイアのブロック図である。
【図2】図2は、そのキャリッジにおける部分断面図である。
【図3】図3は、ピエゾアクチュエータのメジャーループと駆動電圧Vとの関係を示す説明図である。
【図4】図4は、オフセット補正量採取処理のフローチャートである。
【図5】図5は、MRヘッドを微小移動させたときの読出電圧の特性を示す説明図である。
【図6】図6は、オフセット補正によるサーティファイ処理のフローチャートである。
【図7】図7は、従来のサーティファイアのブロック図である。
【図8】図8は、従来のサーティファイアのキャリッジの説明図である。
【図9】図9は、MRヘッドの構成図である。
【図10】図10は、インダクティブヘッドに対するMRヘッドのオフセットについての説明図である。
【図11】図11は、オフセットに対するMRヘッドの読出電圧(比)の変化とその特性の説明図である。
【図12】図12は、読出電圧の実測データの一例を示す特性曲線の図である。
【符号の説明】
1…磁気ディスク、テストディスク、被検査ディスク、2…スピンドル、
3…MRヘッド、3a…インダクティブヘッド、3b…MRヘッド、
4…キャリッジ機構、5…データ処理部、
51…MPU、52…書込み制御回路、
53…読出制御回路、54…メモリ、55…プリンタ、
6,6(A),6(B)…ピエゾアクチュエータ、
7…ピエゾアクチュエータ制御部、71…印加電圧発生回路、
72…印加電圧制御回路、
+Δx…−側のオフセット、−Δx…+側のオフセット、
曲線(a−b−c−d−a)…ヒステリシス特性のメジャーループ、
曲線(a−b−c)…メジャーループの往路、曲線(c−d−a)…復路、
p,p’…往路と復路の書込み点、s,s’…往路と復路のピーク検出点、
V…印加電圧、V…書込み印加電圧、V,V’…ピーク検出印加電圧。

Claims (5)

  1. 書込み用のヘッドと読出用のMRヘッドを有する磁気ヘッドを使用して磁気ディスクのサーティファイを行うサーティファイアにおいて、
    前記磁気ディスク上の所定のトラックに前記磁気ヘッドを移動させる磁気ヘッド移動機構と、
    最大駆動電圧を有し、駆動電圧に応じて伸長または縮小して前記磁気ヘッドを前記トラックを横断する方向に微小移動させるピエゾアクチュエータとを備え、
    前記ピエゾアクチュエータの特定のヒステリシス特性上における任意の点pにおいて前記書込用のヘッドにより前記トラックにテストデータを書込んで、前記点pから前記ピエゾアクチュエータにより前記MRヘッドを微小移動させて移動させた点において前記書込んだテストデータを前記MRヘッドにより読出して前記テストデータの最大読出電圧に対応する前記駆動電圧を得て、
    サーティファイにおいて、前記点pに設定された前記書込用のヘッドによりある被検査磁気ディスクのトラックに前記テストデータまたはあるテストデータを書込み、この書込まれたテストデータを前記MRヘッドにより読出すときに前記最大読出電圧に対応する前記駆動電圧を前記ピエゾアクチュエータに加えて前記MRヘッドの位置を補正するMRヘッドのオフセツト補正方法。
  2. さらに、前記最大読出電圧に対応する前記駆動電圧を得る過程として、
    前記ピエゾアクチュエータの前記駆動電圧を増加して前記特定のヒステリシス特性の原点から所定の駆動電圧まで増加させることによりあるいは前記最大駆動電圧を通ったときには前記駆動電圧を減少させて前記所定の駆動電圧にすることにより前記点pに前記磁気ヘッドを設定して前記トラックに対して前記書込み用ヘッドにより前記テストデータを書込むテストデータ書込段階と、
    前記テストデータを書込んだ後において、前記所定の駆動電圧が前記最大駆動電圧を通ったものでないときには前記駆動電圧を所定量増加させて現在の位置から前記磁気ヘッドを微小量移動させて前記テストデータを読出し、前記所定の駆動電圧が前記最大駆動電圧を通った後のときには前記駆動電圧を所定量減少させて前記現在の位置から微小量移動させて前記テストデータを読出すものであり、前記微小量の移動を複数回繰り返して複数回前記テストデータを読出すテストデータ読出段階と、
    前記複数回の微小量移動に対応する各前記駆動電圧に対応して前記テストデータの読出電圧とを得て、この読出電圧が最大となる駆動電圧を検出する駆動電圧検出段階とからなり、
    前記サーティファイにおいては、前記テストデータを書込んだときの前記所定の駆動電圧と前記検出された駆動電圧とに基づいて前記ピエゾアクチュエータを制御して前記MRヘッドの位置を補正する請求項1記載のMRヘッドのオフセツト補正方法。
  3. 前記特定のヒステリシス特性はメジャーループであり、前記読出電圧が最大となる駆動電圧は最大値の領域として検出され、前記検出された駆動電圧が前記最大値の領域の中から選択されるものであり、前記サーティファイにおける前記MRヘッドのオフセット補正は、前記被検査磁気ディスクの各トラックへの位置決めの都度前記メジャーループの原点に戻り、この原点から前記所定の駆動電圧に基づいて前記点pに前記磁気ヘッドを設定し、前記テストデータあるいは前記あるテストデータを書込み、この書込まれたテストデータを読出すときに前記検出された駆動電圧に設定する請求項2記載のMRヘッドのオフセツト補正方法。
  4. 書込み用のヘッドと読出用のMRヘッドを有する磁気ヘッドを使用して磁気ディスクのサーティファイを行うサーティファイアにおいて、
    前記磁気ディスク上の所定のトラックに前記磁気ヘッドを移動させる磁気ヘッド移動機構と、
    最大駆動電圧を有し、駆動電圧に応じて伸長または縮小して前記磁気ヘッドを前記トラックを横断する方向に微小移動させるピエゾアクチュエータとを備え、
    前記ピエゾアクチュエータの特定のヒステリシス特性上における任意の点pにおいて前記書込用のヘッドにより前記トラックにテストデータを書込んで、前記点pから前記ピエゾアクチュエータにより前記MRヘッドを微小移動させて移動させた点において前記書込んだテストデータを前記MRヘッドにより読出して前記テストデータの最大読出電圧に対応する前記駆動電圧を補正駆動電圧として得る補正電圧検出手段とを備え、
    前記点pに設定された前記書込用のヘッドによりある被検査磁気ディスクのトラックに前記テストデータまたはあるテストデータを書込み、この書込まれたテストデータを前記MRヘッドにより読出すときに前記最大読出電圧に対応する前記駆動電圧を前記ピエゾアクチュエータに加えて前記MRヘッドの位置を補正する磁気ディスクサーティファイア。
  5. 書込み用のインダクティブヘッドと読出用のMRヘッドとよりなる磁気ヘッドを使用する磁気ディスクサーティファイアにおいて、
    前記磁気ディスク上の所定のトラックに前記磁気ヘッドを移動させる磁気ヘッド移動機構と、
    最大駆動電圧を有し、駆動電圧に応じて伸長または縮小して前記磁気ヘッドを前記トラックを横断する方向に微小移動させるピエゾアクチュエータとを備え、
    あらかじめ前記駆動電圧を0Vから所定の駆動電圧Vpに増加してあるいは前記ピエゾアクチュエータの前記最大駆動電圧を通って所定の駆動電圧Vp’まで減少させて、前記インダクティブヘッドを前記ピエゾアクチュエータのメジャーループのヒステリシス特性における往路の途中の任意の点pあるいは復路の途中の任意の点p’に前記磁気ヘッドを設定して磁気ディスクの適当なトラックの位置にテストデータを書込む書込手段と、
    前記駆動電圧Vpを漸次に増加して前記磁気ヘッドを前記往路に沿って微小量移動し、または前記駆動電圧Vp’を漸次低減して前記磁気ヘッドを前記復路に沿って微小量移動し、前記微小量の移動ごとに前記書込まれたテストデータを読出してこのテストデータの読出電圧の最大値の領域を前記往路あるいは前記復路のいずれかにおいて検出してさらに前記最大値の領域の中央位置の駆動電圧値を検出する駆動電圧値検出手段と、
    前記最大値の領域が前記往路で検出されたときは前記往路の情報と前記検出された駆動電圧と前記駆動電圧Vpとに基づいて、前記最大値の領域が前記復路で検出されたときは前記復路の情報と前記検出された駆動電圧と前記駆動電圧Vp’とに基づいて前記ピエゾアクチュエータを制御して前記インダクティブヘッドに対する前記MRヘッドのオフセット補正を行うオフセツト補正手段とを備える磁気ディスクサーティファイア。
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