JP3562550B2 - 活性炭触媒および排煙脱硫方法 - Google Patents

活性炭触媒および排煙脱硫方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中に含まれる硫黄酸化物を、接触硫酸化反応によって硫酸として回収除去するための活性炭触媒およびこれを用いた排煙脱硫方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、排ガス中に含まれる亜硫酸ガス等の硫黄酸化物を、低温で共存する酸素によって酸化することにより最終的に硫酸とし、これをそのまま硫酸として、或いはこれとカルシウム化合物とを反応させることにより石膏として回収するプロセスは周知である。
このような、排ガス中の亜硫酸ガス等を酸化させる触媒としては、活性炭が最も好ましいとされている。すなわち、上記触媒として、例えばアルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトのようなセラミックス系担体を用いた場合には、それだけでは活性が不足するために、これに触媒種として金属或いは金属酸化物を加える必要がある。ところが、これらの触媒種は、生成する硫酸の攻撃を受け、溶解または変質してしまうために、長時間にわたって安定した活性を維持することができないという欠点がある。これに対して、上記活性炭にあっては、何の触媒種も担持することなく活性が発現し、かつそれが長時間劣化することなく持続するという特長を有するからである。
【0003】
しかしながら、排煙脱硫装置としての工業的使用にあたって、市販の活性炭をそのまま用いた場合には、接触硫酸化反応における触媒活性が低いために、所望の脱硫効果を得るためには触媒充填量が極端に大きくなってしまい、よって湿式排煙脱硫プロセス等の他の脱硫プロセスと比較して経済的に太刀打ちすることができないという問題点がある。
ところで、本来活性炭の亜硫酸ガス吸着、酸化活性(以下、単に活性と略す。)は、排ガス中に水分がなければ非常に大きい。しかしながら、生成物である硫酸は、吸湿性が非常に大きいため、水蒸気の存在下では活性炭表面上で水分を吸収して希硫酸を生成し、これが活性炭の細孔内に充満して亜硫酸ガスの拡散および接触を妨害する結果、活性炭の表面活性が充分に発揮されないことになる。
そこで、活性炭に撥水性を付与して、生成した硫酸を速やかに活性炭の細孔から排出することにより、当該活性炭の高活性を維持させようとする各種の方法が提案されている。
【0004】
例えば、Chem. Eng. Comm. Vol.60(1987)、P253には、平均直径0.78mmの活性炭にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略す。)の分散液を吹掛けることにより、PTFEの添加量8〜20%の領域において亜硫酸ガスの吸着、酸化反応の速度定数が3倍に上昇したとの事例が開示されている。
また、特開昭59−36531号公報には、活性炭に撥水化処理を施すことで亜硫酸ガスの吸着、酸化活性が上昇すること、具体的には5〜10mmの粒状活性炭にPTFE分散液を含浸させ、200℃で2時間加熱処理することにより、活性炭単味の触媒に比べて遥かに高い活性を示すことが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、このような従来の触媒としての活性炭の活性を高める方策の有効性を検証すべく、以下の確認実験を行なった。
先ず、上述した従来の撥水化技術に基づいて、2.8〜4.0mmφの粒径範囲にある各種市販の活性炭に、スプレー法或いは含浸法によってPTFEを担持させ、その活性を測定したところ、活性炭単味の触媒と比較して、ある程度の活性の向上とその長時間の持続性が認められた。
しかしながら、大規模な工業的実施を考慮した場合には、他の競合する排煙脱硫プロセスに勝るためには、依然として触媒としてこの程度の活性では充分とは言えず、より一層の触媒活性の向上が必要であるとの認識に達した。
【0006】
そこで、本発明者等は、種々の検討の結果、触媒活性の向上には活性炭のマクロポア(5nmを超える細孔直径を有する孔)のみを撥水化することが有効であることを見出し、本願と同日提出の別途特許出願において、10〜100nmの球相当直径を有するポリスチレン等の撥水性物質を含浸担持することにより、触媒活性が大幅に向上することを示した。ところが、このような撥水性物質のうち、撥水性が大きいPTFE等の弗素樹脂の市販品は、平均球相当直径が100nm以上であり、通常の担持方法では原料活性炭のマクロポアを撥水化できないという問題点があった。
そこで、活性炭を微粉砕し、PTFE等の弗素樹脂と混合成形して撥水化したマクロポアを形成することにより上述した問題点を解決し、以下に詳述するように本発明に至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明者等は、撥水化により上記活性炭の活性向上をより一層発揮させるためには、当該活性炭のどの部分を撥水化すれば効果的であるかを調べてみた。
先ず、活性炭にPTFE分散液をスプレー担持、或いは含浸担持する従来の方法で作成した活性炭触媒における弗素の分布をEPMAで面分析した。その結果、PTFE粒子は、活性炭の粒子内部には全く侵入しておらず、すべて粒子外表面に付着していることが判明した。これは、市販の活性炭には、1μm以上の細孔が殆ど存在しないため、直径が0.2〜0.4μmの範囲にあるPTFE粒子が上記細孔内に侵入するには、抵抗が大き過ぎるためと考えられる。ちなみに、PTFE分散液に代えて、平均粒径が0.3μmのポリスチレン粒子の分散液を用いた場合についても、同様の実験結果を得た。そして、これら2種類の撥水性粒子を担持した活性炭触媒について活性試験を行なったところ、PTFEを担持したものの方が、ポリスチレン粒子を担持した活性炭触媒よりも僅かに活性が高いという知見は得られたものの、いずれも期待するほどの高活性を発現することはなかった。
【0008】
本発明者等はそこで、活性点近傍を含めた活性炭の全表面を一様に撥水化することにより、生成硫酸の排出が大幅に促進されることを期待し、活性炭における5nm以下の細孔直径を有する孔(以下、ミクロポアと略称する。)を含めた全表面の撥水化処理を行なうことにした。
第1の方法として、活性炭に、100〜400℃の弗素ガスを適量流すことにより、表面弗素化度の異なる種々の活性炭触媒を調製した。
また、第2の方法として、分子量の小さい撥水性物質であるステアリン酸、スチレンオリゴマー(平均分子量約320)、弗素含有油(平均分子量約500)等を適当な低沸点溶媒に溶解させた後、これに活性炭を減圧下で浸漬し、細孔内にこれらの溶液を充分浸透させた後に減圧乾燥して溶媒を飛ばすことにより、撥水性物質で活性炭の細孔内をコーティングした。
このようにして調製した活性炭触媒の比表面積は、撥水性物質の担持に伴う重量増加によるみかけ上の減少範囲内に収まっており、これらの担持物が細孔を閉塞したり、破壊したりしていないことが確認された。
【0009】
次いで、第1の方法によって得られた1〜20%の弗素化率を有する種々の活性炭触媒を用いて、亜硫酸ガス反応活性試験を行なったところ、弗素化率が上昇するのに伴って、水をはじく性質が徐々に大きくなることが水面浮遊時間テスト(これは、撥水化処理した活性炭粒子を水面に静かに浮かべ、その沈降開始時間と沈降終了時間の平均値をとるもので、撥水性の相対比較のための簡便法である。)から明らかになったものの、亜硫酸ガスの吸着、酸化活性は、むしろ弗素化率の上昇と逆比例して、低下して行くことが判った。
また、第2の方法によって得られたステアリン酸、スチレンオリゴマー、弗素化油等を担持した活性炭触媒にあっては、いずれも担持量が増加するのに伴って、同様に水面浮遊時間テストによる撥水性の増大が認められるものの、亜硫酸ガスの吸着、酸化活性については、0.5〜2%の添加領域において活性炭単味の触媒活性を僅かに上回るのみで、添加量の増大とともに活性が急速に低下して行くことが判った。
【0010】
以上のことから、活性炭のミクロポアを含めた全面的な撥水化は、活性炭の酸化活性点を被覆或いは破壊するために、充分な活性向上の効果が得られなくなるものと推定した。
そこで、本発明者等は、活性炭のミクロポアは撥水化せずに、マクロポア(5nmを超える細孔直径を有する孔)のみを撥水化することを試みた。先ず、分子量が10万以上のポリエチレン、ポリスチレン粉末を60〜70℃に加熱したトルエンに数%溶解させ、これに活性炭粒子を減圧下で浸漬した後に、加熱しながら減圧乾燥してトルエンを徹底的に飛散させた。このようにして得られた活性炭触媒は、撥水物質が原料活性炭に対して0.3〜1.5wt%の担持範囲において、かなり活性の向上を示した。
【0011】
これは、分子量が10万以上のポリエチレン、ポリスチレンが仮に球状でトルエン溶媒中に分散しているとすると、その直径は溶媒に膨潤していないとしても7nm以上となり、これは到底活性炭のミクロポアに侵入できるサイズではない。したがって、この活性炭触媒は、活性炭粒子のマクロポアと外表面とを撥水化していると考えるべきである。そして、上述したように、本反応系では、活性炭の外表面の撥水化は、反応活性の向上にそれ程大きく寄与していないことから、結局活性炭のマクロポアの撥水化こそが、最も活性向上に寄与するものであることが推論される。
【0012】
そこで次に、原料活性炭におけるマクロポアの内の、どの程度の細孔径のものを撥水化することが、最も活性向上に寄与するのかの知見を得るため、それぞれのポリスチレン(以下、PSと略す。)粒子の平均直径が10、28、55、102、300nmと異なる5種のラテックス(サイズが比較的均一なPS球状粒子を10wt%程度、水に分散させたもの)を準備し、これらを全て0.1〜5wt%に希釈して、各々に原料活性炭を減圧下で浸漬した後に、減圧乾燥することにより活性炭触媒を調製し、それぞれ活性試験に供した。その結果、いずれの活性炭触媒においても、最高の活性を発現するPSの最適添加量は、1wt%付近にあること、平均直径が28nmおよび55nmのものが高い活性を示し、10nmと102nmのものはそれよりも若干活性が低くなり、さらに平均直径300nmのものは、その活性において未処理の活性炭と大差がないことが判明した。
この5種類の活性炭触媒につき、触媒粒子破断面をSEM観察したところ、平均直径が55nm以下のPS粒子は、万遍なく活性炭粒子の内部まで侵入しているのに対して、102nmのPS粒子は活性炭粒子の表面近傍に多く存在しており、さらに300nmのPS粒子は活性炭の粒子外表面にのみ付着していた。
【0013】
平均直径10nmのPS粒子を含浸した活性炭触媒が、55nmおよび102nmのPS粒子を含浸したものよりも活性が低くなった理由については、推定の域を出ないが、PS粒子が細径になる程、原料活性炭のミクロポアを閉塞し易くなるためであると考えられる。したがって、上記実験結果から、平均直径が28nmのPS粒子が侵入できる最小径以上のマクロポアを全て撥水化すれば良いことを示しているものと思われる。
このようにして、マクロポアを撥水化することが活性の向上に大きく寄与することが上記活性試験によって確認された。
【0014】
また、上記マクロポアを撥水化させるための撥水化物質としては、PSやポリエチレン等よりも撥水性が大きいPTFE等の弗素樹脂を用いることが好適である。ところが、上述したように市販の弗素樹脂の平均粒径は、0.2〜0.4μmと比較的大きいために、原料活性炭のマクロポアに殆ど侵入することができない。
そこで本発明者等は、平均粒径が比較的大きな弗素樹脂を用いて、しかも原料活性炭のマクロポアを容易かつ確実に撥水化させる方法として、予め原料活性炭を粉砕し、これにPTFE分散液を混合して再度成形する方法を採ることにした。
【0015】
活性炭は、材質的に壊れ易いものであり、これを粉砕すると先ず相対的に細孔径の大きい部分から壊れ始める。そして、さらに粉砕を進めるに従って、より小さい孔の部分が破壊されて行く。したがって、上記活性炭の粉砕を徹底的に行って、当初の活性炭が持っていたマクロポアを全部消失させた後に、これにPTFE粒子を混ぜて再度成形すれば、活性炭における当初のマクロポアを全てPTFE粒子で修飾することになる。
本発明者等は、このような考え方から、最初に活性炭を出来る限り細かい粒子にまで粉砕してPTFE分散液と混合すれば、PTFEによるマクロポアの修飾率が高くなって、より高い活性が得られるものと考えた。そこで、市販の活性炭を平均粒子径10μmまで粉砕して、活性炭触媒の調製を行った。
【0016】
しかしながら、PTFEの添加量を2〜30wt%の範囲で種々に変化させても、高活性の活性炭触媒を得ることができなかった。これは、原料活性炭をあまりに細かく粉砕してしまうと、本来生成硫酸の排出流路となるべき活性炭粒子間の隙間が極端に狭くなり、さらには当該隙間がPTFEによって閉塞されてしまうものと考えられる。すなわち、本発明は、活性炭粒子間の隙間を本反応に適するサイズに調整した触媒でもある。
そこで、粉砕するに際して、活性炭の粒子サイズには最適値が在るのではないかと考え、PTFEの添加量を一定にして活性炭粉末の平均粒子径を10〜3,000μmまで種々変化させて成形してみたところ、12〜600μmの範囲において高活性な活性炭触媒を得ることが出来た。しかも、都合の良いことに、この高活性は、PTFEの添加量が3〜20wt%の高範囲な領域で得られることも判明した。
【0017】
したがって、活性炭を上述した平均粒子径の範囲内にまで粉砕し、これとPTFE分散液とを混練してさらに再度成形することにより、所望の細孔径寸法を有するマクロポアが撥水化されて高活性を有する活性炭触媒を容易に製造することができ、さらに当該活性炭触媒を用いることにより、より一層硫黄酸化物の酸化除去性能に優れた排煙脱硫プロセスを開発することができるとの本発明を完成するに至ったのである。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、効果的かつ容易に所望の径の細孔を撥水化処理することができて高活性を発現することができる活性炭触媒、およびこれを用いることにより、他の排煙脱硫プロセスと比べて脱硫効率において遜色が無く、よって経済性に優れる排煙脱硫を可能にする排煙脱硫方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る活性炭触媒は、硫黄酸化物を含む排ガスと接触させることにより、上記硫黄酸化物を吸着、酸化させて硫酸として回収除去するための活性炭触媒であって、平均粒子径が12〜600μm、好ましくは請求項2に記載の発明のように15〜350μm、さらに好ましくは請求項3に記載の発明のように20〜200μmの範囲の活性炭粉末に、当該活性炭に対して3〜20 wt の範囲の弗素樹脂の粒子またはその分散液を加えて混合、担持し、これを所定形状に成形してなることを特徴とするものである。
【0019】
ここで、請求項に記載の発明は、上記弗素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ樹脂、4弗化エチレン6弗化プロピレン共重合体、または3弗化塩化エチレン樹脂であることを特徴とするものである。
また、請求項に記載の本発明に係る排煙脱硫方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭触媒に、硫黄酸化物を含む排ガスを接触させることにより、当該排ガス中の上記硫黄酸化物を上記活性炭触媒に吸着、酸化させて硫酸として回収除去することを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る活性炭触媒の実施形態について具体的に説明する。
本発明に係る活性炭触媒は、排ガス中の亜硫酸ガスを共存する酸素によって酸化して硫酸として回収除去するためのものであって、所定範囲の撥水性の強い弗素樹脂の粒子またはその分散液を適切な粒径範囲を有する活性炭粉末と混合して成形したことを主たる特長とするものである。
ここで、使用する活性炭としては、原料の差異に基づく炭種によって活性に差があるため、極力活性の高くなる活性炭を選択することが好ましい。例えば、石炭を原料とするもの、椰子殻を用いたもの、さらにはピートや石油系ピッチを原料とするもの等18種類の活性炭について本発明者等が行なった撥水化処理前後における活性の変化の比較実験によれば、特に石炭を主原料とする活性炭触媒が、他の椰子殻あるいはピート、石油系ピッチなどを原料とする活性炭触媒と比較して、のきなみ高活性を発現した。
【0021】
このように石炭を主原料とする活性炭が、撥水化処理した場合に優位性を示す理由については定かではないが、もともと石炭系の活性炭は、本来他の原料からなる活性炭と比較して、亜硫酸ガスの吸着、酸化活性点の数が多いのに対して疎水性において劣るため、撥水化処理を施すことにより、本来の石炭系の活性炭における優れた活性が顕著に現れたものと考えられる。しかしながら、本発明においては、平均粒子径が12〜600μmの活性炭粉末に、当該活性炭に対して1〜25wt%の弗素樹脂を含む分散液を加えて混合し、これを所定形状に成形することにより、いかなる炭種の活性炭であろうとも、活性が大幅に向上することには変りがない。
【0022】
撥水化による活性向上に大きな影響を与える第1の重要な点は、原料となる活性炭粉末の粒度の調製にある。当該活性炭粉末の粒度が粗過ぎると、どのような弗素樹脂の添加量を選択した場合においても、高活性は発現しなくなる。また、逆に上記粒度が細か過ぎると、上述したように、本来生成硫酸の排出流路となるべき活性炭粒子間の隙間が極端に狭くなり、さらには当該隙間がPTFEによって閉塞されてしまう結果、弗素樹脂の添加量の如何に拘らず、急激な活性の低下を招来する。
本発明者等の知見によれば、後述する実施例においても見られるように、高活性を得るための活性炭粉末の粒度範囲は、平均直径が12〜600μm、好ましくは15〜350μm、より好ましくは20〜200μmの範囲である(図2参照)。
【0023】
次いで、撥水化処理に使用する弗素樹脂としては、一般に市販されているものを使用することができるが、弗素の含有率の高いもの、すなわち撥水性に優れるものを選択することが好ましい。このような弗素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、4弗化エチレン6弗化プロピレン共重合体(FEP)、または3弗化塩化エチレン樹脂(PCTEF)等が好適である。これらの弗素樹脂は、ポリスチレンやポリエチレン等よりも撥水性が大きく、しかも分散液中におけるこれらの弗素樹脂の平均粒径は、0.2〜0.4μmと比較的大きいために活性炭粉末のミクロポア内に侵入することがなく、よってこれらを混練成形することにより、マクロポアまでが撥水化された所望の活性炭触媒を得ることができる。
【0024】
ここで、撥水化による活性向上に大きな影響を与える第2の重要な点は、これら弗素樹脂の分散液の添加量である。その最適添加量は、活性炭粉末の粒径に如何に拘らず、活性炭粉末に対する当該弗素樹脂の重量として、1〜25wt%、より好ましくは3〜20wt%の範囲である(図3参照)。ただし、この添加量は、この領域以外においても相当の効果を示すので、これを完全に排除するものではない。PTFEは、上記効果にとどまらず、成形に際してもバインダー効果を発揮するので好適であり、この効果からも最適添加量は変動することがある。本発明において、成形のために適正なバインダーを使用できることは言うまでも無い。
【0025】
なお、高活性を得るために必要な原料活性炭粉末の平均粒子径範囲は、上述したように12〜600μmの範囲であるが、この範囲内においては、当該平均粒子径を種々に変化させても、弗素樹脂の添加量の最適範囲は、3〜20wt%の間にあり、殆ど傾向が一致しているという顕著な特長が確認された。
このようにして、混練された活性炭粉末と弗素樹脂とを成形する場合には、押出成形、打錠成形、てん動造粒法などの種々の成形法が適用可能である。ちなみに、強度の大きな活性炭触媒を得たい場合には、当該混合粉末を押圧して一定形状に成形する打錠成形が好ましい。また、排ガス中の媒塵等による差圧の発生を抑えたい場合には、上記混合粉末をプレート状あるいはハニカム状に成形することも可能である。以上のように、本活性炭触媒にあっては、活性炭粉末を原料として任意形状のものを作ることができ、上述した活性の向上と併せて製造コストの観点からも優れた効果が得られる。
【0026】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
(実施例1)
市販されている6種の活性炭を、それぞれ窒素気流中、800℃で1時間焼成した。
次に、得られた活性炭をそれぞれ約100g、市販されている粉砕器にて破砕した後、ステンレス製の篩(106μm以上212μm以下)を用いて、篩振盪器にて2時間の分級操作を行った。この様な操作を繰り返すことにより得られた活性炭を以下微粉活性炭と呼び、得られた微粉活性炭粒子の代表径(以下、粉砕粒子径と呼ぶ)を組合せた各篩のメッシュの平均値で表すこととした。つまり上記操作の場合、得られた微粉活性炭の粉砕粒子径は159μmとなる。
【0027】
次に、本発明に係る活性炭触媒として、市販のPTFE分散液(60wt%)に水を加えて6倍に希釈し、上記微粉活性炭をそれぞれ当該PTFE分散液と混練した後、圧縮成形機にて成形圧500kgf/cmの下で成形し、PTFEを10wt%含有する活性炭触媒を得た。次に、この活性炭触媒を45〜50℃にて、12hr乾燥した後、粗砕・分級して、2.8〜4.0mmφの粒状活性炭触媒を得た。 また、本実施例1に対する比較例1として、上記粉砕粒子径が159μmの微粉活性炭に、当該活性炭100gに対して100gの水を加え、得られた微粉活性炭を同様に成形圧500kgf/cm の下で混練成形してPTFEの含有量が0wt%の活性炭触媒を得た後に、これを粗砕・分級し、2.8〜4.0mmφの粒状触媒を得た。
【0028】
次いで、このようにして得られた本発明に係る活性炭触媒と、比較例1の活性炭触媒とを、それぞれ接触硫酸化反応試験装置に用いて活性試験を行った。各触媒とも各々内径16mmφのジャケット付き硝子製反応器に40ml充填し、SO2 ;1000 vol ppm、O ;4 vol%、CO ;10 vol%、N;balance、相対湿度100%の組成のガスを、この反応器に50℃、200dm/hrで流し(SV=5000hr−1)、SO計(紫外式・赤外式)により出口SOの濃度を測定し触媒活性を評価した。
図1は、試験開始後100hrにおける各活性炭触媒の脱硫性能を示すものである。図1より、6種類の活性炭にPTFEを10wt%含有させた本発明に係る粒状活性炭触媒は、PTFEを含有していない比較例1の活性炭触媒に比べて、いずれも脱硫性能が大幅に向上していることが判る。
【0029】
(実施例2)
実施例1において、窒素気流中、800℃で1時間焼成した活性炭Aを、実施例1と同様な方法で粉砕・分級した。この時、メッシュの異なる篩の組合せ(0〜20μm、0〜25μm、20〜53μm、53〜106μm、106〜212μm、212〜300μm、2800〜4000μm)を用いることによって、粉砕粒子径が異なる4種類の本発明に係る微粉活性炭(12.5、36.5、79.5、159、256μmと、2種類の比較例2としての微粉活性炭(10、3400μm)とを得た。
次に、市販のPTFE分散液(60wt%)に水を加えて6倍に希釈し、上記粉砕粒子径の微粉活性炭に対し、実施例1と同様な操作(混練・成形・乾燥・粗砕・分級)を行うことにより、いずれもPTFEを10wt%含有する2.8〜4.0mmφの粒状の活性炭触媒を得た。
【0030】
次いで、このようにして調製した本発明に係る活性炭触媒および比較例2の活性炭触媒を、実施例1に記載した反応試験装置を用い、同一条件にて触媒活性を評価した。
図2は、試験開始100hr後における各活性炭触媒の脱硫性能を示すものである。図2より、粉砕粒子径12〜600μm(好ましくは15〜350μm、さらに好ましくは20〜200μm)の微粉活性炭を用いてPTFEと混練成形することにより得られた活性炭触媒は、非常に高い脱硫性能を示している。したがって、PTFEと混練成形した活性炭触媒を得る上において、微粉活性炭粉の粉砕粒子径範囲は12〜600μm(好ましくは15〜350μm、さらに好ましくは20〜200μm)の範囲が最適径であることが判る。
【0031】
(実施例3)
実施例1において、窒素気流中、800℃で1時間焼成した活性炭Aを、実施例1と同様な方法で粉砕・分級して、微粉粒子径の異なる2種類(36.5、159μm)の微粉活性炭を得た。
次に、市販のPTFE分散液(60wt%)に水を加えて2〜20倍に希釈し、上記微粉活性炭を当該PTFE分散液と実施例2と同様に成形圧500kgf/cmの下で混練成形し、PTFEの含有量(3〜30wt%)が異なる混合成形触媒を得た。次に、実施例1と同様の方法で、この混合成形触媒を粗砕・分級し、2.8〜4.0mmφの粒状の活性炭触媒を得た。
【0032】
また、本実施例3に対する比較例3として、実施例1で窒素気流中、800℃で1時間焼成した活性炭Aを同様な方法で粉砕・分級して、粉砕粒子径の異なる2種類(36.5、159μm)の微粉活性炭を得た。
次に、上記微粉活性炭に水を加え(活性炭100gに対して水100g)、上記微粉活性炭を同様に成形圧500kgf/cm の下で混練成形し、PTFEの含有量が0wt%の成形触媒を得た後に、同様の方法でこの成形触媒を粗砕・分級して、2.8〜4.0mmφの粒状の活性炭触媒を得た。
【0033】
次いで、このようにして得られた本発明に係る活性炭触媒および比較例3の活性炭触媒を、実施例1に記載した反応試験装置を用い、同一条件にて触媒活性を評価した。
図3は、試験開始100hr後における各活性炭触媒の脱硫性能を示すものである。図3より、粉砕粒子径の異なる2種類(36.5、159μm)の微粉活性炭と市販のPTFE分散液(60wt%)との混練成形し(成形圧500kgf/cm)、PTFEの含有量(0〜30wt%)が異なる混合成形触媒において、わずかにPTFEを混入することで非常に高い脱硫性能を示すことが確認される。また、微粉活性炭と混練するPTFEの最適量は、1〜25wt%(好ましくは3〜20wt%)の範囲にあることが判る。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭触媒にあっては、平均粒子径が12〜600μm、好ましくは15〜350μm、より好ましくは20〜200μmの範囲の活性炭粉末に、当該活性炭に対して3〜20 wt の範囲の弗素樹脂を含む分散液を加えて混合し、これを所定形状に成形することによって構成しているので、最も接触硫酸化反応に寄与するミクロポアを除いて、生成硫酸の流路となるマクロポアが撥水化処理された極めて活性の高い活性炭触媒を、任意の形状に容易に製造することができるといった効果が得られる。
したがって、請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭触媒を用いた請求項に記載の排煙脱硫方法によれば、他の排煙脱硫プロセスと比べて脱硫効率において遜色が無く、よって経済性に優れる排煙脱硫が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における活性試験の結果を示すグラフである。
【図2】同、実施例2の活性試験の結果を示すグラフである。
【図3】同、実施例3の活性試験の結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 硫黄酸化物を含む排ガスと接触させることにより、上記硫黄酸化物を吸着、酸化させて硫酸として回収除去するための活性炭触媒であって、平均粒子径が12〜600μmの活性炭粉末に、当該活性炭に対して弗素樹脂が3〜20 wt になるように弗素樹脂の粒子またはその分散液を加えて混合、担持し、これを所定形状に成形してなることを特徴とする活性炭触媒。
  2. 上記活性炭粉末は、平均粒子径が15〜350μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の活性炭触媒。
  3. 上記活性炭粉末は、平均粒子径が20〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の活性炭触媒。
  4. 上記弗素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシ樹脂、4弗化エチレン6弗化プロピレン共重合体、または3弗化塩化エチレン樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の活性炭触媒。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の活性炭触媒に、硫黄酸化物を含む排ガスを接触させることにより、当該排ガス中の上記硫黄酸化物を上記活性炭触媒に吸着、酸化させて硫酸として回収除去することを特徴とする排煙脱硫方法。
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