JP3562506B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、微粉炭吹き込み量が溶銑トン当り180kg以上である微粉炭多量吹き込みによる高炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粉炭吹き込みは、微粉炭とコークスとの価格差に基づくコストメリットが大きいことから多くの高炉で採用され、高炉操業の合理化に大きく寄与している。特に近年ではコークス炉の炉命延長の観点からもその重要性が認識され、微粉炭の多量吹き込みが益々指向されるようになってきた。
【0003】
高炉内に吹き込む微粉炭量を増していくと種々の問題点が顕在化してくるが、そのうちの一つに微粉炭の燃焼率低下に起因した問題がある。すなわち、微粉炭吹込み量が増すに従って酸素過剰率(送風中の全酸素量と微粉炭を完全燃焼させるために必要な理論酸素量との比)が低下するため微粉炭の燃焼率(微粉炭中の可燃分の消費率)が低下し、レースウェイ内で燃焼しきれない未燃チャーが炉内に多量に排出される。
【0004】
この未燃チャーは炉下部でのソルーションロス反応(C+CO=2CO)により優先的に消費される可能性もあるが、炉内消費量には自ずと限界値が存在するので、消費限界値以上にチャーが発生すると、炉内で消費されずに炉頂から排出されるようになる。つまり、吹き込んだ微粉炭は炉内で熱源・還元剤として有効活用されずに単に炉内を通過するだけになってしまう。この場合、コークス置換率(微粉炭吹き込み比に対するコークス比の削減量の比率)の低下を招き、効率のよい高炉操業を行うことができなくなる。
【0005】
このような問題を回避するために、吹き込み直後の微粉炭の燃焼量を上昇させてレースウェイから排出される未燃チャーの発生量を極力低減させる方法や、炉内におけるソルーションロス反応量を増やすために炉頂から投入するコークス量を増加させる方法或いは炉頂における径方向の鉱石/コークスの層厚分布を調整する方法などの対応策が、単独で又は2つ以上を組み合わせて実施されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の対応策における操業諸元の変更は極めて経験的であり、理論的に見て適正値であるかどうかの基準はないのが現状である。すなわち、コークス比や送風条件などの操業条件が一定のときの燃焼条件の設定方法、又は燃焼条件が一定のときのコークス比などの操業条件の設定方法などにおいて、定量的な基準は存在しない。
【0007】
例えば、コークス比や送風条件などの操業条件並びに微粉炭吹き込み量(例えば200kg/溶銑ton以上)が一定の時、微粉炭の燃焼率をどのように設定すべきかという問題があり、このような問題について本発明者らが検討したところによれば、次のような要件が必要であることが判った。まず第1の要件としては、レースウェイから発生する未燃チャー量を炉内でガス化反応(ソルーションロス反応)により消費させる限界値以下となるように燃焼率を向上させることが必要である。
【0008】
しかし、微粉炭吹き込み量が多く且つ燃焼率が極端に高い場合には、レースウェイ内で燃焼するコークス量が僅少となるために、コークスの荷下がり速度が極めて遅くなるとともに、発生する未燃チャー量が減少する結果、炉内でソルーションロス反応を受けるコークス量が相対的に増加し、コークスの劣化・粉化が著しく進行することになる。このため多量のコークス粉がシャフト部において発生し、このコークス粉が炉下部、特に炉芯に移動・蓄積すると炉下部の通気性が阻害され、時には安定操業の維持が困難な状況に陥る場合もある。したがって、未燃チャーはある一定値以上発生させ、コークスの劣化・粉化を防止させることが第2の要件となる。
【0009】
したがって本発明の目的は、上記したような課題を解決し、炉頂からの未燃チャーの排出を極力抑制するとともに、炉内の通気性を良好に維持しつつ微粉炭の多量吹き込みを行うことができる高炉の操業方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、微粉炭の多量吹き込みにおいては吹き込まれた微粉炭の燃焼率に適正範囲が存在するという上記知見に基づきさらに検討を重ねた結果、高炉内に微粉炭を溶銑トン当たり180kg以上吹き込んで行う微粉炭多量吹き込み操業において、羽口先に形成されるレースウェイ内での微粉炭の燃焼率を、微粉炭吹き込み比、微粉炭中の灰分量との関係で所定の範囲に設定して操業を行うことにより、炉頂からの未燃チャーの排出量が極少レベルに抑制され、且つ炉内の通気性が良好に維持できることを見い出した。また、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率については、使用される微粉炭吹き込みランスの条件と所謂酸素過剰率とを用いた関係式により規定できることが判った。
【0011】
本発明の高炉の操業方法は以上のような知見に基づきなされたもので、炉内に微粉炭を溶銑トン当り180kg以上吹き込んで行う高炉の操業において、下記(2)式により求められるレースウェイ内での微粉炭の燃焼率ηを、下記(1)式を満足するように設定して操業を行うことを特徴とする高炉の操業方法である。
{1−30/PCR(1−ωa)}×100 ≧η≧{1−60/PCR(1−ωa)}×100 … (1)
但し
η:レースウェイ内での微粉炭の燃焼率(%)
PCR:微粉炭吹き込み比(kg/溶銑ton)
ωa:微粉炭中の灰分量(微粉炭量に対する灰分量の重量比)
【数2】
Figure 0003562506
但し
η:レースウェイ内での微粉炭の燃焼率(%)(但し、計算上η≧100となる場合は η=100とする)
n:羽口のブローパイプ内に設けられる微粉炭吹き込みランスの本数
k:単管式の微粉炭吹き込みランスの場合はk=0、中心から微粉炭を吹き込み、その外側から酸素又は酸素富化空気を吹き込む微粉炭吹き込みランスの場合はk=1
L:微粉炭吹き込みランス先端から羽口先端までの距離(m)
ExO:酸素過剰率(−)(=[送風中の全O量]/[吹き込まれた微粉炭を完全燃焼させるのに必要なO量])
Tb:送風温度(K)
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明法は、羽口から高炉内に微粉炭を溶銑トン当り180kg以上吹き込んで行う微粉炭多量吹き込み操業において、羽口先に形成されるレースウェイ内での微粉炭の燃焼率ηを、下記(1)式を満足するように設定して操業を行うものである。
{1−30/PCR(1−ωa)}×100≧η≧{1−60/PCR(1−ωa)}×100 … (1)
但し η:レースウェイ内での微粉炭の燃焼率(%)
PCR:微粉炭吹き込み比(kg/溶銑ton)
ωa:微粉炭中の灰分量(微粉炭量に対する灰分量の重量比)
ここで、上記燃焼率ηが上記(1)式の条件を満たす時に、未燃チャーが炉頂からダストとしてほとんど排出されず、且つ高炉内の通気性も良好に維持されることになる。
【0013】
以下、微粉炭の燃焼条件として上記(1)式が導かれた理由について説明する。まず、上記レースウェイ内での微粉炭の燃焼率ηは微粉炭中の可燃分の消費率であるから、下記(3)式で表すことができる。
η=[{(1−ωa−ωc)+ωc′}/(1−ωa)]×100 … (3)
但し ωa:微粉炭中の灰分量(微粉炭量に対する灰分量の重量比)
ωc:微粉炭中の炭素量(微粉炭量に対する炭素量の重量比)
ωc′:微粉炭中の炭素のうち燃焼した炭素量(微粉炭量に対する燃焼した炭素量の重量比)
また、Wcを未燃チャーの発生量(炭素量換算)とすると、Wcは下記(4)式で表すことができる。
Wc=PCR(ωc−ωc′) … (4)
【0014】
ここで、上記(3)式、(4)式からωc′を消去すると下記(5)式が得られる。
Wc=PCR{1−ωa−(η/100)×(1−ωa)} … (5)
上述したように、このWcはある限界値以下に抑える必要があり、この限界値をWとすると下記(6)式が成立する。
≧Wc … (6)
また、コークスの劣化を抑制するためには、上記(5)式におけるWcは所定量以上発生させる必要があり、この値をWとすると下記(7)式が成立する。
Wc≧W … (7)
上記(5)−(7)式からWcを消去すると下記(8)式が得られる。
1−W/PCR(1−ωa)≧η/100≧1−W/PCR(1−ωa) … (8)
【0015】
ここで、上記(8)式ではWとWが未知であるため、これを決定するために以下のような微粉炭吹き込み操業試験を実施した。試験を行った高炉は内容積4828m、羽口数40本を備えた高炉である。未燃チャーの発生挙動に及ぼす微粉炭吹き込み比と燃焼率の影響を調べるため、表1に示す操業条件で4水準(Case1〜4)の操業試験を実施した。このうち、Case1〜3では微粉炭吹き込み比をそれぞれ180kg/溶銑ton、220kg/溶銑ton、260kg/溶銑tonと変化させ、また、Case4では微粉炭吹き込み比を260kg/溶銑tonとし、Case3に対して酸素富化率を変化させた。
【0016】
上記Case1〜3の各操業条件においてレースウェイ内の燃焼率を変化させるために、3種類のランスを用いて操業を行った。すなわち、▲1▼1本のブローパイプに対して1本の単管式の微粉炭吹き込みランスを挿入した通常のシングルランス、▲2▼1本のブローパイプに対して2本の単管式の微粉炭吹き込みランスを挿入し、熱風中における微粉炭の分散性を改善することで燃焼性の改善が図られるようにしたダブルランス、▲3▼このダブルランスを同心2重管構造とし、中心(内管)から微粉炭を、その外側(内管と外管の隙間)から純酸素を各々吹き込み、微粉炭周りの酸素濃度を高めることで燃焼性が更に高められるようにしたoxy−coalランス、の3種類のランスを用いてそれぞれ操業を行った。
【0017】
酸素富化は単管式のシングルランスとダブルランスの場合は熱風中への富化とした。また、oxy−coalランスの場合は酸素富化率に相当する全量を冷酸素のまま内管と外管の隙間から吹き込んだ。吹き込みに用いた微粉炭は、表2に示すように灰分量が10mass%で、粒度は−74μmが80mass%以上になるように粉砕したものである。
【0018】
【表1】
Figure 0003562506
【0019】
【表2】
Figure 0003562506
【0020】
各ランス使用時のレースウェイ内での微粉炭の燃焼率は、後述する(2)式により求めた。レースウェイ内での微粉炭の燃焼率は、レースウェイ内から燃焼中の微粉炭を採取し、これを化学分析して求めるのが最も確実な方法であると言えるかもしれないが、この方法ではコークス粉も同時に採取されるため、これらを分離し、化学分析を行うのに非常な手間と時間がかかり、また或るレベル以上の測定精度を確保するには、コークス粉と未燃チャーを顕微鏡による観察下で分離する必要があり、実際は極めて困難である。そこで、本発明では使用する微粉炭吹き込みランスの条件と所謂酸素過剰率を用いた関係式によりレースウェイ内での微粉炭の燃焼率を規定する。その詳細については後述する。
【0021】
各ランス使用時のレースウェイ内での微粉炭の燃焼率を、各操業条件とランス種類ごとに表3にまとめて示す。また、レースウェイから排出される未燃チャーの組成は炭素分と灰分のみであるとの仮定の下でレースウェイからの未燃チャーの排出量(炭素換算量)を計算した結果も表3に示す。
一方、炉頂からの未燃チャーの排出量(炭素換算量)の測定は以下のようにして行った。まず、乾ダスト(サイクロンで捕集されたダスト)と湿ダスト(ベンチュリースクラバーで捕集されたダスト)を採取し、これを150μmで篩分けし、篩下の微粉(鉱石粉、コークス粉、未燃チャーの混合粉)を樹脂に埋め込んで研磨し、顕微鏡下で無作為に選んだ箇所について写真撮影を行った。そして、写真上で鉱石粉、コークス粉及び未燃チャー粒子を識別するとともに、全粒子の粒径と個数を計測した。次いで、これを−150μmの微粉中に占める各粒子の重量分率に換算し、さらに全ダスト(乾ダスト+湿ダスト)中における未燃チャーの重量分率に換算した。このようにして求めた炉頂からの未燃チャーの排出量を表3に示す。
【0022】
【表3】
Figure 0003562506
【0023】
表3の結果から、上記炉頂からの未燃チャーの排出量(炭素換算量)と上記レースウェイからの未燃チャーの排出量(炭素換算量)の関係を整理すると図1のようになる。同図によれば、炉頂からの未燃チャーの排出量は、操業条件に拘りなくほぼ未燃チャー発生量(レースウェイからの未燃チャーの排出量)のみの関数となることが判る。そして、レースウェイからの未燃チャーの排出量:60kg/溶銑tonを境にして炉頂からの未燃チャーの排出量が急増していることから、レースウェイから排出された未燃チャーは約60kg/溶銑tonまでは炉内消費されるが、これ以上は炉内消費しきれないものと推定される。したがって、上記(8)式におけるWは60kg/溶銑tonとすることが適当である。
【0024】
次に、表3における各試験操業が終了した後に一旦送風を停止し、羽口からコークスサンプラーを挿入して、半径方向6点から炉内コークスを採取した。そして、各ポイントごとに採取された全コークス中に占める−5mm粉の重量割合を測定した。このうち、高炉中心寄りの2点(無次元半径で0〜0.3)を炉芯中心におけるコークス粉率と定義し、この粉率に及ぼすレースウェイからの未燃チャーの排出量の影響を調べた。この結果を図2に示す。
【0025】
図2によれば、炉芯コークス量は微粉炭吹き込み量によって層別されるが、微粉炭吹き込み量が一定であれば、未燃チャー発生量(レースウェイからの未燃チャーの排出量)が約30kg/溶銑tonを境として、これ以下の場合にはコークス粉率が急増する傾向が認められる。これは、未燃チャー発生量が30kg/溶銑ton以下の場合には、前述したように高炉充填層中のコークスとCOガスによる反応量が相対的に増加する結果、コークスの劣化反応が進行し、コークス粉化量が増加するためであると考えられる。これらのことから、上記(8)式におけるWは30kg/溶銑tonとすることが適当である。
以上の結果から、Wは60kg/溶銑ton、Wは30kg/溶銑tonとなり、これらを上記(8)式に代入することにより、上記(1)式が得られる。
【0026】
本発明では、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率ηを下記(2)式により求められる微粉炭の燃焼率ηとする。先に述べたようにレースウェイ内から燃焼中の微粉炭を採取し、これを化学分析してレースウェイ内での微粉炭の燃焼率を求める方法は、同時に採取されるコークス粉を分離し、化学分析を行うのに非常な手間と時間がかかり、また或るレベル以上の測定精度を確保するには、コークス粉と未燃チャーを顕微鏡による観察下で分離する必要があり、実際は極めて困難である。そこで、本発明者らが検討した結果、微粉炭吹き込みランスの条件(ランスの形態、本数及び配置)と所謂酸素過剰率(=[送風中の全O量]/[吹き込まれた微粉炭を完全燃焼させるのに必要なO量])とを用いた下記(2)式により、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率を規定できることが判った。
【数3】
Figure 0003562506
但し
η:レースウェイ内での微粉炭の燃焼率(%)(但し、計算上η≧100となる場合は η=100とする)
n:羽口のブローパイプ内に設けられる微粉炭吹き込みランスの本数
k:単管式の微粉炭吹き込みランスの場合はk=0、中心から微粉炭を吹き込み、その外側から酸素又は酸素富化空気を吹き込む微粉炭吹き込みランスの場合はk=1
L:微粉炭吹き込みランス先端から羽口先端までの距離(m)
ExO:酸素過剰率(−)
Tb:送風温度(K)
【0027】
ここで、上記酸素過剰率ExOとは ExO=[送風中の全O量]/[吹き込まれた微粉炭を完全燃焼させるのに必要なO量]のことであり、その値は操業条件(送風条件、炭種)から求めることができる。
すなわち、送風中の全O量は下記(9)式で表される。
ToO=Vb×(0.21+AdO) … (9)
但し ToO:送風中の全O量(Nm/溶銑ton)
Vb:送風量(Nm/溶銑ton)
AdO:送風中の酸素富化率(−)
【0028】
また、吹き込まれた微粉炭を完全燃焼させるのに必要なO量は、下記(10)式で表され、
ThO=Oo×PCR … (10)
但し
ThO:吹き込まれた微粉炭を完全燃焼させるのに必要なO量(Nm/溶銑ton)
Oo:微粉炭1kgを完全燃焼させるのに必要なO量(Nm/溶銑ton)
PCR:微粉炭吹き込み比(kg/溶銑ton)
さらに、微粉炭1kgを完全燃焼させるのに必要なO量は下記(11)式で求めることができる。
Oo=1.87ωc+5.56ωh+0.7(ωs−ωo) … (11)
但し Oo:微粉炭1kgを完全燃焼させるのに必要なO量(Nm/溶銑ton)
ωc:微粉炭中の炭素の重量分率(−)
ωh:微粉炭中の水素の重量分率(−)
ωs:微粉炭中の硫黄の重量分率(−)
ωo:微粉炭中の酸素の重量分率(−)
したがって、上記(9)式〜(11)式により酸素過剰率[ExO]を求めることができる。
【0029】
本発明を実施する際のレースウェイ内における微粉炭の燃焼率ηの制御因子としては、通常、使用する微粉炭吹き込みランスの種類、微粉炭吹き込みランスの本数、微粉炭吹き込みランス先端から羽口先端までの距離、酸素富化率、熱風温度、羽口先理論燃焼温度などが挙げられ、これらを適宜選択、制御することにより設定された微粉炭の燃焼率ηを得ることができる。例えば、微粉炭吹き込み比PCRが200kg/溶銑ton、送風温度Tbが1473K(1200℃)の場合、他の条件(酸素富化率、送風量、炭種等)が一定であるとすると、微粉炭吹き込みランスを下記(a)〜(c)の条件で使用することにより、ほぼ同等の燃焼率η(レースウェイ内における微粉炭の燃焼率)を得ることができる。
(a) 単管式の微粉炭吹き込みランスを2本用い(ダブルランス)、これら微粉炭吹き込みランス先端から羽口先端までの距離Lを0.2〜0.3mとする。
(b) 中心から微粉炭を吹き込み、その外側から酸素又は酸素富化空気を吹き込む微粉炭吹き込みランス(oxy−coalランス)を1本用い(シングルランス)、この微粉炭吹き込みランス先端から羽口先端までの距離Lを0.3〜0.4mとする。
(c) 中心から微粉炭を吹き込み、その外側から酸素又は酸素富化空気を吹き込む微粉炭吹き込みランス(oxy−coalランス)を2本用い(ダブルランス)、この微粉炭吹き込みランス先端から羽口先端までの距離Lを0.1m程度とする。
【0030】
図3は、灰分量が10mass%程度の微粉炭を用いる場合を例に、レースウェイからの未燃チャーの排出量を30〜60kg/溶銑tonに制御するために必要な微粉炭燃焼率の範囲を、微粉炭吹き込み比の関数として示したものである。同図によれば、微粉炭吹き込み比に拘りなく、許容されるレースウェイからの未燃チャーの排出量は30〜60kg/溶銑tonと一定であることから、微粉炭吹き込み比が上昇するほど高い微粉炭燃焼率が必要であることが判る。
【0031】
【実施例】
内容積3224m、羽口数32本を備えた高炉において、以下のような微粉炭吹き込み試験操業を実施した。本実施例では、微粉炭吹き込み比は200kg/溶銑tonとし、灰分量が6mass%で、粒度は−74μm、80mass%以上になるように粉砕した微粉炭を空気をキャリアガスとして炉内に吹き込みつつ、表4に示す操業条件で試験操業を行った。
【0032】
本発明例: 微粉炭の吹き込みランスとして、1本のブローパイプに対して2本のランス(単管式の微粉炭吹き込みランス)を挿入したダブルランスを用いた。操業は7日間継続し、試験操業の7日目に炉頂ダスト(乾ダストと湿ダスト)を採取し、前述した方法によって炉頂からの未燃チャーの排出量を求めた。また、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率を上記(2)式により求め、さらに、この燃焼率に基づいて上記(5)式によりレースウェイからの未燃チャーの排出量を求めた。
【0033】
比較例1: 上記本発明例に引き続き、微粉炭吹き込みランスを1本のブローパイプに対して1本のランス(単管式の微粉炭吹き込みランス)を挿入したシングルランスに交替して操業をさらに7日間継続した。試験操業の7日目に炉頂ダスト(乾ダストと湿ダスト)を採取し、前述した方法によって炉頂からの未燃チャーの排出量を求めた。また、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率を上記(2)式により求め、さらに、この燃焼率に基づいて上記(5)式によりレースウェイからの未燃チャーの排出量を求めた。
【0034】
比較例2: 上記比較例1に引き続き、微粉炭吹き込みランスを上記本発明例と同じダブルランスに交替して操業をさらに継続した。但し、送風条件を上記本発明例に対して大幅に変更し、酸素富化率を10%まで上昇させるととともに、羽口先理論燃焼温度を2500℃に上昇させた。しかしながら、操業が進むに従って送風圧力の増加が顕著となり、操業開始6日目には送風圧力がブロアーの能力を超える可能性が生じたため、6日目の最後に炉頂ダスト(乾ダストと湿ダスト)を採取し、前述した方法によって炉頂からの未燃チャーの排出量を求めた。また、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率を上記(2)式により求め、さらに、この燃焼率に基づいて上記(5)式によりレースウェイからの未燃チャーの排出量を求めた。
【0035】
以上の本発明例、比較例1及び比較例2の結果を、それぞれの操業条件とともに表4に示す。
表4によれば、本発明例ではレースウェイ内での微粉炭の燃焼率は76%であり、炉頂からの未燃チャーの排出量は0.12kg/溶銑tonと極めて微少であることが判る。上記(5)式から計算したレースウェイからの未燃チャーの排出量(炭素換算量)は45.1kg/溶銑tonであり、これは上述した30〜60kg/溶銑tonの範囲内であることから、発生した未燃チャーは炉内でほぼ完全に消費されたものと推定される。
【0036】
これに対して比較例1では、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率は62%と低く、この結果、レースウェイからの未燃チャーの排出量は71.4kg/溶銑tonと増加し、炉頂からの未燃チャーの排出量は5.2kg/溶銑tonに達している。したがって、この比較例1ではレースウェイから排出された未燃チャーのうちの相当量が炉内で消費し切れなかったものと推定される。
【0037】
比較例2では、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率は90%と大きく上昇し、炉頂からの未燃チャーの排出量も0.06kg/溶銑tonと本発明例よりもさらに低い水準まで低減されている。しかし、炉下部の圧力損失(送風圧力と羽口軸上6.8mにおけるシャフト部圧力の差)を本発明例及び比較例1と比較すると図4のようになり、炉下部の圧損が大きくなったことが送風圧力上昇の原因であることが判明した。これは、この比較例2ではレースウェイ内における微粉炭の燃焼率は大きく向上する反面、レースウェイ内でのコークスの燃焼量が著しく減少するため、レースウェイに流入するコークス量が低下し、この結果、シャフト部でのコークスの滞留時間が大幅に増加したこと、さらに、未燃チャーの発生量が低下したことにより、シャフト中部から下部において生ずるコークスのガス化(ソルロス)反応量が相対的に増加し、コークスの劣化・粉化が進行し、コークスの微粉が大量に発生したことが原因の一つであると考えられる。このコークス粉は、塊コークスの荷下がりに伴って炉下部滴下帯や炉芯へ移動し、充填層内の平均粒径の低下及び空隙率が低下したことが炉下部の圧損上昇につながったものと考えられる。
【0038】
【表4】
Figure 0003562506
【0039】
【発明の効果】
以上述べた本発明法によれば、高炉内に微粉炭を180kg/溶銑ton以上吹き込んで行われる微粉炭多量吹き込み操業において、未燃チャーを炉内でほぼ完全に消費させるとともに、炉内通気性を良好に維持することができる。この結果、吹き込まれた微粉炭は炉内で燃料として有効に使用されることになるため、高炉の燃料比を低減できるとともに、通気性に余裕が生じるため、従来に較べてより小粒径の原料や低強度の原燃料をより多く使用することができ、高炉操業の合理化に大きく寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高炉の微粉炭多量吹き込み操業において、レースウェイからの未燃チャーの排出量と炉頂からの未燃チャーの排出量との関係を示すグラフ
【図2】高炉の微粉炭多量吹き込み操業において、レースウェイからの未燃チャーの排出量と炉芯コークス中の−5mmコークス粉率との関係を示すグラフ
【図3】高炉の微粉炭多量吹き込み操業において、レースウェイ内での微粉炭の燃焼率の適正範囲を示すグラフ
【図4】実施例における本発明例と比較例の炉下部圧力損失を示すグラフ

Claims (1)

  1. 炉内に微粉炭を溶銑トン当り180kg以上吹き込んで行う高炉の操業において、
    下記(2)式により求められるレースウェイ内での微粉炭の燃焼率ηを、下記(1)式を満足するように設定して操業を行うことを特徴とする高炉の操業方法。
    {1−30/PCR(1−ωa)}×100 ≧η≧{1−60/PCR(1−ωa)}×100 … (1)
    但し
    η:レースウェイ内での微粉炭の燃焼率(%)
    PCR:微粉炭吹き込み比(kg/溶銑ton)
    ωa:微粉炭中の灰分量(微粉炭量に対する灰分量の重量比)
    Figure 0003562506
    但し
    η:レースウェイ内での微粉炭の燃焼率(%)(但し、計算上η≧100となる場合は η=100とする)
    n:羽口のブローパイプ内に設けられる微粉炭吹き込みランスの本数
    k:単管式の微粉炭吹き込みランスの場合はk=0、中心から微粉炭を吹き込み、その外側から酸素又は酸素富化空気を吹き込む微粉炭吹き込みランスの場合はk=1
    L:微粉炭吹き込みランス先端から羽口先端までの距離(m)
    ExO:酸素過剰率(−)(=[送風中の全O量]/[吹き込まれた微粉炭を完全燃焼させるのに必要なO量])
    Tb:送風温度(K)
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