JP3562502B2 - Cdma受信装置及びその装置のチャネル推定方法 - Google Patents

Cdma受信装置及びその装置のチャネル推定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はCDMA(Code Division Multiple Access )受信装置及びその装置のチャネル推定方法に関し、特にW−CDMA(Wideband−CDMA) 受信装置及びその装置のチャネル推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
W−CDMA受信装置の受信特性を改善する方法の一つとして、フィンガ部におけるチャネル推定の精度を向上させることが挙げられる。チャネル推定とは、各パスのフェ−ジング変動に起因する受信信号の位相及び振幅の変動、即ちフェ−ジング複素包絡線を推定することをいう。
【0003】
従来より、チャネル推定はパイロット(PILOT) データのみを用いて行われているが、一度復調した後にパイロット以外のDPCCH(Dedicated Physical Control Channel:個別物理制御チャネル)データを硬判定(硬判定については後述する)し、その硬判定データを用いてチャネル推定する方法も使われようとしている。
【0004】
又、この種の従来技術の他の例が特開2000−78111号公報(以下、文献1という)、特開平10−51424号公報(以下、文献2という)、特開平11−68700号公報(以下、文献3という)、特開平11−154930号公報(以下、文献4という)及び特開平11−186990号公報(以下、文献5という)に開示されている。
【0005】
文献1開示の技術は、複数のパイロットに所定の重み付け係数を乗算して各パイロットを加算することにより、データ信号のチャネル情報についてのチャネル推定値を生成する、というものである。文献2開示の技術は、複数のパイロットブロックを重み付け平均化する、というものである。文献3開示の技術は、複数の物理チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行う、というものである。文献4開示の技術は、複数のパイロットチャネルのシンボルを重み付け平均化する、というものである。文献5開示の技術は、複数のパイロットブロックをシンボル毎に重み係数を変えて重ね付け平均化する、というものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のW−CDMA受信装置はチャネル推定の精度が低いという欠点があった。そこで、本発明の目的はチャネル推定の精度を従来よりも向上させることができ、もって受信特性の改善が可能なW−CDMA受信装置及びその装置のチャネル推定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明によるCDMA受信装置は、CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA受信装置であって、
前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、送信時においては同じ値が送られる前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とする。
【0008】
又、本発明によるチャネル推定方法は、CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定方法であって、物理レイヤにおける制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、送信時においては同じ値が送られる前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定するステップを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によるCDMA受信装置及びチャネル推定方法によれば、送信電力制御ビットを合成した後に硬判定を行うため、チャネル推定の精度を従来よりも向上させることができ、もって受信特性の改善が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の概要について述べておく。上述したが、従来、チャネル推定はパイロットデータのみを用いて行われるか、もしくは一度復調した後にパイロット以外のDPCCHデータを硬判定し、その硬判定データを用いて行われていた。
【0011】
即ち、パイロットデータのみによるチャネル推定でも一定の精度を得ることができる。しかしながら、パイロットデータ以外のDPCCHデータによるチャネル推定結果を加えればチャネル推定の精度はさらに向上する。
【0012】
一方、パイロットデータのみによるチャネル推定は、パイロットデータを既知データで逆変調(あるいは逆拡散)することによって得られる。これに対し、パイロットデータ以外のDPCCHデータによるチャネル推定では、上記既知データに相当するものが存在しないため、この既知データに相当するデータを新たに生成する必要がある。そこで、従来はパイロットデータ以外のDPCCHデータを硬判定し、その判定結果を上記既知データに相当するデータとして用いていたのである。即ち、パイロットデータ以外のDPCCHデータを硬判定結果のデータで逆変調(あるいは逆拡散)することによってパイロットデータ以外のDPCCHデータのチャネル推定を行っていたのである。
【0013】
これに対し、本発明はさらに1スロット内に送信電力制御ビット(以下、TPC(Transmit Power Control) ビットという)が2ビットあるフォーマットではそのTPCビットの値は同じものが送られるという情報を用いて、TPCビットの合成を行った後に硬判定を行う。即ち、従来はパイロットデータ以外のDPCCHデータを硬判定するだけであったのに対し、本発明では硬判定の前にTPCビットの合成を行うという処理が追加されている。これにより、チャネル推定の精度をさらに向上させることが可能となる。
【0014】
ここで、TPCビットの合成と硬判定について簡単に説明しておく。まず、TPCビットの合成について説明する。TPCビットとは送信側から対向装置に対し送信パワーの増減を指示する信号である。例えば、TPCビットが“1”の場合は対向装置に対し送信パワーの増加を指示し、“−1”の場合は対向装置に対し送信パワーの減少を指示するものである。このように、TPCビットは送信側では“1”か“−1”の2値しか持たない。一方、対向装置(受信側)ではこのTPCビットはA/D変換時のビット数に依存した分解能のデータとして現れる。例えば、3ビットのA/D変換の場合は、−1、−0.75、−0.5,−0.25,0,0.25,0.5,0.75の8値のいずれかで表される。又、上述したように、TPCビットが2ビットあるフォーマットではそのTPCビットの値は同じものが送られることから、この場合送信側から、例えばTPCビット“1”が2回続けて対向装置へ送信されるとすると、対向装置側ではこのTPCビットを順次受信するが、伝送路の状況によっては異なる2値、例えば最初のTPCビットとして−0.25を,2番目のTPCビットとして0.75を夫々受信することも考えられる。
【0015】
受信した値が−1〜−0.25の場合はTPCビットは“0”と判定され、受信した値が0〜0.75の場合はTPCビットは“1”と判定されるよう予め決められている。そこで、この場合、対向装置側では最初のTPCビットが“0”、2番目のTPCビットが“1”と認識されてしまう。送信側から送信したTPCビットが2回とも“1”であるにも拘らず、受信側では“1”と“0”を1回ずつ送信してきたと誤った認識をする一例である。
【0016】
そこで、本発明では、対向装置で受信した最初のTPCビットが−0.25,2番目のTPCビットが0.75の場合、例えば、両者を加算して2で除算するという演算(即ち、平均値演算)を行う。この場合、演算結果は0.25であり、判定結果は“1”となる。従って、TPCビットにこの演算を行って得られた判定結果はその演算を行なわなかった場合よりも信頼性が高くなる。
【0017】
TPCビットにこのような演算を行うことをTPCビットの合成というのである。このように、TPCビットを合成した後に硬判定しチャネル推定を行えばチャネル推定の精度が向上するのは明白である。
【0018】
又、上述の「受信した値が−1〜−0.25の場合(これを軟判定値という)にTPCビットを“0”と判定すること」、及び「受信した値が0〜0.75の場合(これも軟判定値という)にTPCビットを“1”と判定すること」を硬判定というのである。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。まず、本発明の実施の形態を述べる前に、本発明の基礎となる従来技術を述べておく。図6は、3GPP(3rd Generation Partonership Project) TS 25.211 V3.6.0 (2001−03) 5.2.1章 におけるアップリンク(up−link) 信号のデータフォーマットを示す図である。同図を参照すると、上位レイヤへのデータは、DPDCH(Dedicated Physical Data Channel: 個別物理データチャネル)に収められ、物理レイヤにおけるコントロール信号は、DPCCHに収められる。そして、コントロール信号の中のパイロット(Pilot)シンボルは上述したチャネル推定に使用され、そのチャネル推定をもとに受信データが復調される。
【0020】
基地局(Node−B)はRNC(Radio Network Controller)によって制御される。ここでいう上位レイヤに対する下位レイヤは、基地局に実装される物理レイヤ(Physical Layer; Layer 1)をいい、上位レイヤはRNC(Radio Network Controller)に実装されるMAC(Media Access Control)レイヤやRLC(Radio Link Control)レイヤのこと(Layer 2) をいう。
【0021】
又、本発明は端末(あるいは移動端末)から基地局方向の上り回線に対して、基地局で受信するときの特性向上の技術に関するものである。なお、基地局から端末への信号は下り回線という。
【0022】
図7は、送信側の変調方法の一例を示す図である。DPDCH信号は、まず拡散符号(Cd,1)により拡散され、次にゲイン定数(βd)によりゲイン調整されて、I(Inphase)信号となる。一方、DPCCH信号は、同様に拡散符号(Cc)により拡散されて、βcでゲイン調整されてQ(Quadrature)信号となる。その後I+jQの複素信号に対しスクランブルコード(Sn)でスクランブルされてベースバンド信号となる。
【0023】
図8は、受信部の一例の構成図である。同図を参照すると、受信部はサ−チャ(Searcher)部1と、フィンガ(Finger)部2とを含んで構成され、フィンガ部2はセレクタ21と、逆拡散器22と、チャネル推定部23と、同期検出部24と、レイク(Rake)合成・SIR(Signal to Interference and noise power Ratio)検出部25と、コード発生器26と、遅延部27とを含んで構成される。
【0024】
そして、受信ベースバンド信号は、パス(path)の遅延プロフィールを探索するサ−チャ部1と、復調を行うフィンガ部2とに供給される。フィンガ部2内においては、まず、受信信号はセレクタ21に入力され所定パスの信号が選択された後、サ−チャ部1からの遅延プロフィールに基づいて逆拡散器22にて逆拡散される。チャネル推定部23は、その逆拡散データよりチャネル推定を行う。同期検出部24は、そのチャネル推定値と逆拡散データにより復調を行う。そして、復調されたデータはレイク合成・SIR検出部25で合成及びSIR検出された後、図示しない上位信号処理部のコ−デック(CODEC)部に渡される。
【0025】
図9は、従来のチャネル推定にパイロットシンボルのみを使用した場合のチャネル推定部23の一例の構成図である。同図を参照すると、チャネル推定部23−1はパイロット抽出部31と、積算器32と、スロット平均部33と、ベクトル推定部34とを含んで構成される。
【0026】
チャネル推定部23−1は、まず、パイロット抽出部31にてDPCCH内のパイロットシンボルを抽出し、積算器32にて逆変調する(Xc(i,m,n)。そして、逆変調信号Xc(i,m,n)はスロット平均部33にて1スロット(slot)単位でベクトル平均され(h(i,m):iはフィンガ−番号、mはスロット番号)、その後、さらに推定精度をよくする目的で、ベクトル推定部34にて複数スロット分のデータでフィルタされる(Zc(i,m)。なお、nはシンボル番号を表す(DPCCH信号の場合、1スロットは10シンボルからなる)。
【0027】
図10は、従来のチャネル推定部23−1におけるベクトル推定部(フェーディングベクトル推定部)34の一例の構成図である。同図を参照すると、ベクトル推定部34は遅延部41〜44と、積算器45〜49と、加算器50とを含んで構成される。
【0028】
第i番目のフィンガ−における第mスロットのチャネル推定値(h(i,m))は、FIR(Finite Impulse Filter) フィルタで構成されるベクトル推定部34に入力され、フェーディングベクトル(Zc(i,m))が出力される(この図においては、タップ数5の場合を示していて、フェーディングベクトルZc(i,m)はチャネル推定値h(i,m)から2サンプル遅れる)。
【0029】
図11は、従来の同期検波部(復調部)の一例の構成図である。同図を参照すると、同期検波部24は積算器61,63と各パス合成部64とを含んで構成されている。なお、同図には、便宜上、複素共役62も図示されている。
【0030】
同図を参照すると、まず、図10で求めたチャネル推定ベクトルZc(i,m)とISSI(受信ノイズレベル)とが積算器61で積算される。そして、その積算結果を正規化した複素共役62とDPDCH受信データとが積算器63で積算され、積算結果として重み付き復調データが各パス合成部64を介して出力される。そして、その重み付き復調データを(パス(path)の能動的(active)な)各フィンガ−でレイク合成するとDPDCH信号の復調データUDCH (m−2,n)が出力される。
【0031】
この復調データUDCH (m−2,n)を数式で表示すると次のようになる。
【0032】
【数1】
Figure 0003562502
図12は、チャネル推定に硬判定データを用いた場合の従来のチャネル推定部23−2の一例の構成図である。なお、図9と同様の構成部分には同一番号を付し、その説明を省略する。同図を参照すると、チャネル推定部23−2はパイロット抽出部(DMUX:demultiplexer )31と、積算器32と、スロット平均部33と、積算器72、75,77と、レイク合成部80と、硬判定部73と、多重部(MUX)79と、スロット平均部76と、ベクトル推定部34とを含んで構成される。なお、同図には便宜上、複素共役71,74も図示されている。なお、同図中の積算器77,72、複素共役71、レイク合成部80は図11に記載した同期検波回路24の夫々積算器61、63、複素共役62、レイク合成部64と同等のもので構成され、同期検波回路24とは別個に設けられている。
【0033】
次に、このチャネル推定部23−2の動作について説明する。まず、最初にパイロット抽出部(DMUX)31で抽出されたパイロット部のデータを既知データD PLT (m,n)を用いて積算器32で逆変調し、さらにスロット平均部33でスロット平均してチャネル推定を行い(h(i,m))、そのチャネル推定結果を用いて積算器77、複素共役71及び積算器72を介して同期検波を行う。次に、その同期検波したデータをレイク合成部80にてレイク合成し、硬判定部73で硬判定を行う(DCCH (m,n))。
【0034】
次に、2回目のチャネル推定において、積算器32の出力であるパイロット部の逆変調データ(Xc(i,m,n))と、パイロット部以外の硬判定結果で逆変調したデータ(硬判定部73、複素共役74及び積算器75を介して得られるデータ)とを多重部79で多重し(X´c(i,m,n))、その多重結果をスロット平均部76でスロット平均する。その後スロット平均部76の出力はベクトル推定部34で平滑化され、その平滑化されたデータZc(i,m)が、DPDCHデータの復調の際に用いられる。即ち、ベクトル推定部34の出力は図7の同期検波・レベル検出部24へ入力される。
【0035】
なお、Xc(i,m,n)を数式で表示すると次のようになる。ここに、D PLT (m,n)は逆変調に用いられるデータである。
【0036】
【数2】
Figure 0003562502
同様に、h(i,m)を数式で表示すると次のようになる。
【0037】
【数3】
Figure 0003562502
同様に、DCCH (m,n)を数式で表示すると次のようになる。
【0038】
【数4】
Figure 0003562502
同様に、X´c(i,m,n)を数式で表示すると次のようになる。
【0039】
【数5】
Figure 0003562502
同様に、h´(i,m)を数式で表示すると次のようになる。
【0040】
【数6】
Figure 0003562502
次に、以上述べた従来技術を基に本発明に係るW−CDMA受信装置の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るW−CDMA受信装置のチャネル推定回路の最良の実施の形態の構成図である。なお、従来例(図8)と同様の構成部分には同一番号を付し、その説明を省略する。同図を参照すると、チャネル推定回路23−3は各フィンガに一つずつ設けられ、各々のチャネル推定回路23−3はパイロット抽出部(DMUX)31と、チャネル推定部(A)81と、検波部72と、チャネル推定部(B)82と、平均値演算部83とを含んでいる。又、各フィンガに共通する構成部分としてレイク合成部80と、TPC合成・硬判定部78とがさらに含まれる。
【0041】
次に、このチャネル推定回路の動作について説明する。まず、各フィンガごとの逆拡散器22からのDPCCHはチャネル推定回路のパイロット抽出部(DMUX)31へ入力され、パイロットシンボルとパイロットシンボル以外のデ−タとに分離される。次に、チャネル推定部(A)にて既知信号D PLT (m,n)を用いてパイロットシンボルのみによるチャネル推定が行われる。一方、パイロットシンボル以外のデ−タは検波部72にてチャネル推定部(A)でのチャネル推定結果を用いて同期検波され、さらにレイク合成部80にてレイク合成される。そして、そのレイク合成後のデ−タはTPC合成・硬判定部78にてTPC合成した後に硬判定される。さらに、チャネル推定部(B)にてその硬判定結果を用いてパイロットシンボル以外のデ−タによるチャネル推定が行われる。次に、平均値演算部83にてパイロットシンボルのみによるチャネル推定結果とパイロットシンボル以外のデ−タによるチャネル推定結果との平均値が演算され、その演算結果は各同期検波・レベル検出部24へ出力される。
【0042】
【実施例】
次に、チャネル推定回路の実施例について説明する。図2は、本発明に係るW−CDMA受信装置のチャネル推定部の実施例の構成図(一例として、DPCCHスロットフォ−マット=2の場合)、図3は同チャネル推定部の動作を示すフロ−チャ−トである。なお、図2において図12と同様の構成部分には同様の番号を付し、その説明を省略する。
【0043】
図2を参照すると、本発明のチャネル推定部23−3は、パイロット抽出部(DMUX)31と、積算器32,72,75,77と、スロット平均部33と、レイク合成部80と、TPC合成・硬判定部78と、多重部(MUX:multiplexer )79と、スロット平均部76と、ベクトル推定部34とを含んで構成される。なお、同図には便宜上、複素共役71,74も図示されている。
【0044】
次に、図3のフローチャートを参照しながらチャネル推定部の動作について説明する。まず、パイロットシンボルのみでチャネル推定を行う(S1)。即ち、図2のパイロット抽出部(DMUX)31でパイロットシンボルを抽出し、そのパイロットシンボルを既知デ−タD PLT (m,n)で逆変調し(Xc(i,m,n))、スロット平均部33でその(Xc(i,m,n))をスロット平均し、(h(i,m))を出力する。即ち、図2の逆変調部32が図1のチャネル推定部(A)81に相当する。
【0045】
次に、パイロットシンボル以外の受信データをステップ1(S1)で得たチャネル推定結果(h(i,m))を用いて同期検波及びレイク合成する。即ち、図10相当の動作を複素共役71、積算器72,77及びレイク合成部80を用いて行う。この同期検波により、パイロットシンボル以外の受信データの位相が所定量補正される。
【0046】
次に、同期検波及びレイク合成した結果をTPC合成・硬判定部78にてTPC合成した後に硬判定する(S3)。そして、硬判定結果としてDCCH (m,n)が得られ、複素共役71にてその複素共役D CCH (m,n)が得られる。この複素共役D CCH (m,n)が上記既知デ−タD PLT (m,n)に相当するデータである。
【0047】
次に、パイロットシンボル以外の受信データを複素共役74(D CCH (m,n))を用いて積算器75にて逆変調し、積算器32による逆変調結果(Xc(i,m,n))と併せて多重部(MUX)79で多重し、さらにスロット平均部76及びベクトル推定部34を介してチャネル推定する(Zc(i,m))。即ち、図2の逆変調部75が図1のチャネル推定部(B)82に相当し、図2の多重部(MUX)79が図1の平均値演算部83に相当する。
【0048】
次に、ベクトル推定部34の出力Zc(i,m)と、DPDCH受信データより、同期検波・レベル検出部24(図8参照)にてDPDCHの同期検波を行う(S5)。
【0049】
図4は本発明のTPC情報を用いた硬判定の一例の構成図である。同図はDPCCHスロットフォ−マット=2の場合を示している。同図を参照すると、DPCCHはシンボル番号0〜4のパイロット(PILOT) と、シンボル番号5,6のTFCI(Transport Format Combination Indicater:トランスポートフォーマット組合わせ情報)と、シンボル番号7のFBI(FeedBack Indicater)と、シンボル番号8,9のTPCとから構成されている。これらのうち、パイロットを除くTFCI、FBI及びTPCビットが図2の積算器72,77、複素共役71及びレイク合成部80にて同期検波され、さらに図2のTPC合成・硬判定部78にて8シンボルと9シンボルがTPC合成された後、硬判定される。
【0050】
図12の硬判定ブロックにおいて、従来は、式(4)のように硬判定結果(DCCH (m,n))を求めているが、本発明では、DPCCHスロットフォーマットが1から4のときは、TPCビットが2ビットあって、同じ値が送信されるという情報を使って、硬判定の精度を上げることにより、チャネル推定の精度の向上をめざしている(図4のTPC8,9参照)。従来は、TPCビットも個々に硬判定していたところ、本発明では2ビットを合成してから硬判定するようにしたため、従来よりもチャネル推定の精度を向上させることが可能となるのである。
【0051】
このチャネル推定の過程で得られる硬判定結果DCCH (m,n)を数式で表示すると次のようになる。
【0052】
【数7】
Figure 0003562502
【0053】
【数8】
Figure 0003562502
この式(7),(8)における硬判定結果DCCH (m,8),DCCH (m,9)を式(4)の硬判定結果DCCH (m,n)と比較すると、式(7),(8)ではZc(i,m,n)・h (m,n)を総加算した結果をさらにn=8から9まで加算するところが式(4)と相違している。このnは上述したようにシンボル番号を表している。従って、式(7),(8)はTPCを合成した後に硬判定することを表している。
【0054】
本発明に係るチャネル推定回路の動作は上記のとおりであるが、図2を参照すると、このチャネル推定回路はパイロットシンボルを既知データD PLT (m,n)を用いて逆変調部32にて逆拡散し、その逆拡散値をスロット平均部76にて1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値をベクトル推定部34にて複数スロット分のデータでフィルタ選別してフェ−ジングベクトル推定した第1の結果と、パイロットシンボル以外のデータをパイロットシンボルのチャネル推定結果(この場合はスロット平均部33の出力)を用いて積算器72にて同期検波し、TPC合成・硬判定部78にてその同期検波後の複数のTPCビットを合成し、さらにその合成値とパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定後のデータD CCH (m,n)を用いて積算器75にてパイロットシンボル以外のデータを逆拡散し、その逆拡散値をスロット平均部76にて1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値をベクトル推定部34にて複数スロット分のデータでフィルタ選別してフェ−ジングベクトル推定した第2の結果とを、多重部(MUX)79で加算して平均化し、チャネル推定しているのと等価である。
【0055】
図5は3GPPテストチャネル12.2kbpsのモデルにおけるCase3伝搬条件時のBLER(Block Error Rate: ブロック誤り率)特性図で、本発明によるチャネル推定精度の向上がどのように受信BLER特性を改善しているかを示したものである。BLERが1e−2の点において、従来の硬判定を使ったチャネル推定(同図のグラフb参照)では、パイロットのみのチャネル推定(同図のグラフa参照)より0.4dB強の改善がみられ、本発明のチャネル推定(同図のグラフc参照)では、さらに0.15dB程度の改善がみられることがわかる。
【0056】
次に、本発明の他の実施例について説明する。図2においては、最初のチャネル推定のときに処理削減のためにベクトル推定を行っていないが、ベクトル推定を行ってから逆変調を行っても構わない。即ち、図2のスロット平均部33と積算器77との間、又は複素共役71と積算器72との間にベクトル推定部34をもう一つ挿入してもよい。
【0057】
なお、上述したように、本発明は端末から基地局方向の上り回線に対して、基地局で受信するときの特性向上の技術に関するものである。従って、図8に示す受信部(チャネル推定回路23を含む)は基地局に設けられる回路である。これに対し、図7に示す送信部(変調回路)は端末に設けられるものである。
【0058】
次に、端末への本発明の適用について述べる。図13は下り回線、即ち基地局から端末へ送信される信号のデータフォーマットを示す図である。これは、3GPP TS25−211 5.3.2章のFigure 9に示されているものである。
【0059】
同図に示すように、下り回線では上述の上り回線(図6参照)と異なり、DPDCHとDPCCHは時間多重されて、まとめてDPCH(Dedicated PhysicalChannel;個別物理チャネル)と呼ばれている。又、下り回線では、CPICH(Common Pilot Channel;共通パイロットチャネル)というパイロットチャネル(TS25−211の5.3.3.1章参照)が別に(コード多重されて)送られていて、通常はこのチャネルのパイロットシンボルのみを用いてチャネル推定が行われる。又、CPICHのパイロットとDPCHのパイロットとの両方を用いてチャネル推定を行えば、さらにチャネル推定の特性を向上させることができる。
【0060】
この、CPICH及びDPCHを端末で受信して、端末側でチャネル推定を行う技術について次に述べる。図2のチャネル推定回路23−3は基地局に設けられるものとしてこれまで説明してきた。しかし、このチャネル推定回路23−3を端末に設けることも可能である。即ち、チャネル推定回路23−3を端末に設けるためには、図2のパイロット抽出部(DMUX)31への入力信号である「DPCCH」をCPICH及びDPCHに変更し、パイロット抽出部(DMUX)31の出力信号である「PILOT部」をCPICH及びDPCHのPILOT部に変更し、パイロット抽出部(DMUX)31の出力信号である「PILOT部以外」をDPCHのTPC,TFCI,FBI部に変更すればよい。
【0061】
【発明の効果】
本発明によるCDMA受信装置によれば、CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA受信装置であって、前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定するため、チャネル推定の精度を従来よりも向上させることができ、もって受信特性の改善が可能となる。
【0062】
又、本発明によるチャネル推定方法によれば、CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定方法であって、物理レイヤにおける制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定するステップを含むため、上述のCDMA受信装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るW−CDMA受信装置のチャネル推定回路の最良の実施の形態の構成図である。
【図2】本発明に係るW−CDMA受信装置のチャネル推定部の最良の実施の形態の構成図である。
【図3】同チャネル推定部の動作を示すフロ−チャ−トである。
【図4】本発明のTPC情報を用いた硬判定の一例の構成図である。
【図5】3GPPテストチャネル12.2kbpsのモデルにおけるCase3伝搬条件時のBLER特性図である。
【図6】3GPPにおけるアップリンク信号のデータフォーマットを示す図である。
【図7】送信側の変調方法の一例を示す図である。
【図8】受信部の一例の構成図である。
【図9】従来のチャネル推定にパイロットシンボルのみを使用した場合のチャネル推定部23の一例の構成図である。
【図10】従来のチャネル推定部23−1におけるベクトル推定部34の一例の構成図である。
【図11】従来の同期検波部(復調部)の一例の構成図である。
【図12】チャネル推定に硬判定データを用いた場合の従来のチャネル推定部23−2の一例の構成図である。
【図13】下り回線の送信フォーマットを示す図である。
【符号の説明】
1 サ−チャ部
2 フィンガ部
21 セレクタ
22 逆拡散器
23 チャネル推定部
24 同期検出部
25 レイク合成部
26 コード発生器
27 遅延部
31 パイロット抽出部
32 積算器
33 スロット平均部
34 ベクトル推定部
41 遅延部
45〜49 積算器
50 加算器
61,63 積算器
72、75、77 積算器
76 スロット平均部
78 TPC合成・硬判定部
79 多重部
80 レイク合成部
81,82 チャネル推定部
83 平均値演算部

Claims (10)

  1. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA受信装置であって、
    前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、送信時においては同じ値が送られる前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするCDMA受信装置。
  2. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定方法であって、
    物理レイヤにおける制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、送信時においては同じ値が送られる前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定するステップを含むことを特徴とするチャネル推定方法。
  3. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA基地局であって、
    前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける上り制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、送信時においては同じ値が送られる前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするCDMA基地局。
  4. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA移動端末であって、
    前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける下り制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、送信時においては同じ値が送られる前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするCDMA移動端末。
  5. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定回路であって、
    物理レイヤにおける制御チャネルのパイロットシンボルを用いてチャネル推定を行った結果と、送信時においては同じ値が送られる前記制御チャネルの複数の送信電力制御ビットを合成した後、その合成値と前記制御チャネルのパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定値を含む前記パイロットシンボル以外のデータを用いてチャネル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするチャネル推定回路。
  6. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA受信装置であって、
    前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける制御チャネルを受信してベースバンド信号を出力し、そのベースバンド信号のパイロットシンボルを既知データを用いて逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果と、
    パイロットシンボル以外のデータを前記パイロットシンボルのチャネル推定結果を用いて同期検波し、その同期検波後の送信時においては同じ値が送られる複数の送信電力制御ビットを合成し、さらにその合成値とパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定後のデータを用いて前記パイロットシンボル以外のデータを逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするCDMA受信装置。
  7. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定方法であって、
    物理レイヤにおける制御チャネルを受信してベースバンド信号を出力し、そのベースバンド信号のパイロットシンボルを既知データを用いて逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果と、
    パイロットシンボル以外のデータを前記パイロットシンボルのチャネル推定結果を用いて同期検波し、その同期検波後の送信時においては同じ値が送られる複数の送信電力制御ビットを合成し、さらにその合成値とパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定後のデータを用いて前記パイロットシンボル以外のデータを逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定するステップを含むことを特徴とするチャネル推定方法。
  8. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA基地局であって、
    前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける上り制御チャネルを受信してベースバンド信号を出力し、そのベースバンド信号のパイロットシンボルを既知データを用いて逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果と、
    パイロットシンボル以外のデータを前記パイロットシンボルのチャネル推定結果を用いて同期検波し、その同期検波後の送信時においては同じ値が送られる複数の送信電力制御ビットを合成し、さらにその合成値とパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定後のデータを用いて前記パイロットシンボル以外のデータを逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするCDMA基地局。
  9. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定手段を備えるCDMA移動端末であって、
    前記チャネル推定手段は、物理レイヤにおける下り制御チャネルを受信してベースバンド信号を出力し、そのベースバンド信号のパイロットシンボルを既知データを用いて逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果と、
    パイロットシンボル以外のデータを前記パイロットシンボルのチャネル推定結果を用いて同期検波し、その同期検波後の送信時においては同じ値が送られる複数の送信電力制御ビットを合成し、さらにその合成値とパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定後のデータを用いて前記パイロットシンボル以外のデータを逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするCDMA移動端末。
  10. CDMA受信方式のフィンガ部におけるチャネル推定回路であって、
    物理レイヤにおける制御チャネルを受信してベースバンド信号を出力し、そのベースバンド信号のパイロットシンボルを既知データを用いて逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果と、
    パイロットシンボル以外のデータを前記パイロットシンボルのチャネル推定結果を用いて同期検波し、その同期検波後の送信時においては同じ値が送られる複数の送信電力制御ビットを合成し、さらにその合成値とパイロットシンボル以外のデータとを硬判定し、その硬判定後のデータを用いて前記パイロットシンボル以外のデータを逆拡散し、その逆拡散値を1スロット単位でベクトル平均し、そのベクトル平均値を複数スロット分のデータで平均化してフェ−ジングベクトル推定を行った結果とを平均化してチャネル推定することを特徴とするチャネル推定回路。
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